第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

なお新型コロナウイルス感染拡大については現在状況を注視しておりますが今後の経過によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 

継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の断続的な再拡大に伴う影響等の外部要因、さらに、営業及び制作進行を担う人材の減少に伴うリソース不足やワークフロー(組織・ルール・システム等)の大幅な変更の過渡期におけるリソース配分不備等の内部要因が重なり、売上高が大きく減少し、重要な営業損失1,146百万円、経常損失1,311百万円、親会社株主に帰属する当期純損失2,501百万円を計上し、2,460百万円の債務超過となりました。また、当該経営成績及び財政状態により、前連結会計年度末において、当社が株式会社りそな銀行をアレンジャーとする取引金融機関8行と締結しているシンジケート方式によるコミットメントライン契約及びタームローン契約における財務制限条項に抵触しており、同時に、RKDエンカレッジファンド投資事業有限責任組合(以下「RKDファンド」といいます。)と締結している株式投資契約における財務制限条項に抵触していることから、短期的な資金繰りへの懸念が生じております。なお、当第2四半期連結累計期間においては親会社株主に帰属する四半期純損失1,084百万円を計上しており、引き続き、債務超過は解消されない状態となっております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しております。

 このような事象又は状況の解消を図るべく、当社グループは、以下の諸施策を推進することにより、収益構造の改善及び財務基盤の安定化にむけて取り組んでおります。

 

① 財務基盤の安定化

 当社グループは、資金調達や資金繰りの安定化を図るため、従来から取引金融機関及びRKDファンドなどのステークホルダーに対し、適時に当社グループの経営成績及び財政状態、経営課題や経営改革に向けての取組などを報告するとともに、理解を得ることによって良好な関係を築けるよう取り組んでまいりました。

 前連結会計年度末以降、各種の財務制限条項への抵触状態が継続しておりますが、当社グループとしては、トップラインの維持・再成長と自助努力による収益構造の改善策を踏まえた事業計画の提示や追加的な資本政策の検討状況の説明などを通じ、メインバンクをはじめとした取引金融機関及びRKDファンドなどステークホルダーに対して支援の継続を要請し、シンジケートローンを含むグループ借入金につきましては返済条件の見直しについてご同意を得ております。取引金融機関に対しては引き続き当社取組に対し理解を得られるよう真摯に取り組んでまいります。

 

② 収益構造の改善

・売上高の維持・再成長について、受注獲得にむけた商談活動の増加を推進するために、あらためて“制販一体”の方針に立ち返り、やや画一的な営業・制作体制が敷かれクライアント企業との接点や接触頻度が減少している状況から脱却し、営業と制作がオーバーラップするなかでマーケットに接していくモデルへのシフトを推し進めております。また、2022年12月期から社内カンパニー制を採用したVisual領域のファンクションを中核に、あらためて撮影・CG制作等に代表される“Visual solution領域の強化”を掲げ、Communication領域とVisual領域の双方向からのアプローチでの案件受注の強化を推し進めております。

これらの方針・戦略を実現するための体制構築として、商流・クライアント企業マーケット(直接商流/協業商流)と、商材・サービス領域(Communication領域/Visual領域)を掛け合わせた緩やかなマトリクス視点で、主に担う戦略・ターゲット別に大きく区分した営業体制を再編成し、同時に、営業と制作が有機的に連携していくための機能の整備を進めております。さらに、受託案件における責任体制の明確化を図ることで、営業のリソースを案件を進行するフェーズから案件を創出するフェーズへとさらに集中・再配分していくことを可能とする、全社視点での最適化を図るモデルへのリデザインを推し進めております。

・事業付加価値額(売上高-外注原価)について、売上高の維持・再成長にむけた施策と並行し、原価削減にむけた外注費コントロール施策の枠組みとして、モニタリングを担う機能を設置し、受託案件の全案件を対象に、各案件の利益設計フェーズを中心にワークフロー全体にわたり、各案件の担当者にフォーカスする個人を特定したモニタリングをおこない、成果につながるフィードバックを含めたPDCAのサイクルを構築のうえ施策を推し進めております。また、この枠組みを発展させ、外注原価の抑制に限らず、適切な外注差益の獲得や当社グループ内における制作リソースの活用促進等、利益設計強化に関する体系的なモニタリングに基づく課題発見と改善指導を実施していくことで、各案件の特性に応じた事業付加価値額の最大化の実現を支援しております。

さらに、案件の稼働に係る内部コスト(人件費を中心とした当社グループ内のコスト)の可視化を図り、案件の見積り段階における内部コストを踏まえた利益設計に注力することで、案件に係る内部コストの売上高への適切な価格転嫁や、案件予算に適さない過剰な人員アサインの抑制等を推進し、生産性の観点から重視している指標である、当社グループ稼働人員1人あたり事業付加価値額の改善につなげてまいります。

・販売費及び一般管理費について、稼働人員数の減少に伴う報酬・給与等の減少、業績進捗を勘案した賞与の抑制など人件費のコントロールが既に一定程度に図られておりますが、売上高の維持・再成長を阻害することのないように、新規採用及び既存人員の配置転換を含めて事業系人員の拡充を進めながら、グループ全体における人員構成の最適化を図ることで、人件費のコントロールを継続してまいります。加えて、非中核部門の見直しなど事業及び組織のスクラップアンドビルドによる人件費及び活動経費の抑制、業務委託費を中心とした活動経費の徹底的な見直しによる抑制を図るとともに、オフィス等の一部のファシリティの解約あるいは転貸等による地代家賃等の設備費の抑制をさらに検討しており、固定的な費用の大幅な削減施策を推し進めております。

 

③ 債務超過解消のための対応策(追加的な新規資本政策の検討)

 継続企業の前提に関する重要な疑義の存在を早期に解消できるよう、外部コンサルタントを起用し、蓋然性の高い事業計画の作成及び資本政策の検討をおこなっております。

 

 以上の施策を実施するとともに、今後も引き続き有効と考えられる施策につきましては、積極的に実施してまいります。しかしながら、収益構造の改善施策には新たな取り組みが含まれていることから不確実性が認められるとともに、当社グループにおける追加的な資金調達の状況等によっては、当社グループの資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があります。このため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 (1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

 当社グループは、写真・CG・映像・イラストレーションなど視覚から訴求するものをビジュアルと総称し、これらビジュアルを活用したコミュニケーション・コンテンツの提供等を通じて、お客様の商品やサービスの価値を可視化することで、「届けたい想いが伝わり、行動を促す」コミュニケーションをお客様と共に創造する、ビジュアルコミュニケーション事業を展開しております。

 

 当社グループでは、2021年を初年度とする中期経営計画において、「One amana!」を掲げる経営方針のもと、“トップライン再成長”“原価削減”“DX推進”を基本戦略に据え、内部統制強化に向けた継続的な取り組みを実施するとともに、利益創出に努め、収益構造の改善及び財務基盤の安定化を図っていくことで、お客様の「Co-Creation Partner」を標榜するビジネスモデルを支える経営基盤の再構築を推し進めております。

 しかしながら、2022年(前連結会計年度)においては、新型コロナウイルス感染症の断続的な再拡大に伴う影響等の外部要因、また、営業及び制作進行を担う人材の減少に伴うリソース不足やワークフロー(組織・ルール・システム等)の大幅な変更の過渡期におけるリソース配分不備等の内部要因が重なり、売上高が大きく減少し、人件費のコントロールを中心とした固定費削減を図ったものの、大きな損失を計上し、債務超過に陥っております。加えて、当社従業員による不適切な取引の判明等による不適切な会計処理を受け、内部統制及びガバナンス体制に大きな課題を残しました。

 このような状況を踏まえて、2023年(当連結会計年度)においては、「利益創出」と「内部統制強化」を基本方針に据えた中期経営計画に立ち返り、2022年(前連結会計年度)において整備を進めたワークフローをさらに発展させながら活用し、あらためて内部統制の強化にむけた継続的な取り組みを徹底するとともに、事業の黒字化を早期に実現するために、利益体質化にむけて収益と費用の両側面から施策を実行し、収益構造の改善を図ることで財務基盤の安定化に努めております。収益構造の改善においては、受注獲得にむけた商談活動の増加を推進するために再編成した営業体制のもと、営業と制作が有機的に連携しながら、グループの総合力を発揮した売上高の再成長を目指し、同時に、受託案件毎における責任体制の明確化と利益設計の強化を図り、重要指標である1人あたり事業付加価値額(売上高-外注原価)の向上を推し進め、さらに、固定費の大幅な削減施策を検討のうえ適時に実施しております。

 

 当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスと共存するウィズコロナの生活様式が浸透するなか、行動制限措置の大幅な緩和等による経済活動の正常化を背景に、内需を中心に持ち直し傾向にあるものの、物価上昇圧力の強まりによる消費の下振れや、ロシア・ウクライナ情勢の悪化・長期化等の地政学的リスクへの懸念等に鑑みても、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。

 当第2四半期連結累計期間の売上高は、前連結会計年度にわたり営業及び制作進行を担う人材の減少が継続したことや、当社グループの財政状態等による与信観点での機会損失が重なったことなどを受け、6,310百万円(前年同期比10.3%減)となりました。商流別にみると、一般企業等から直接受託する取引(直接商流)と比較して、取引先のキーパーソンと当社グループ営業担当者との個別単位の関係値に一定程度に依拠する、広告代理店・制作会社等を経由して受託する取引(協業商流)における売上高の減少率が大きい傾向が継続しており、広告マーケット動向を踏まえた広告代理店等における内制強化等の外部環境変化、当社グループの営業及び制作進行を担う人材のリソース減少等の内部環境変化を、端的に反映したものとなりました。

 売上高の減少に伴い、事業付加価値額(売上高-外注原価)は3,395百万円(前年同期比10.5%減)、売上総利益は2,678百万円(前年同期比9.9%減)となりましたが、外注原価の抑制のみならず適切な外注差益の獲得や当社グループ内部リソースの有効活用など、案件毎の利益設計強化に関する体系的なモニタリングに基づく施策を推進することで、生産性の観点から重視している指標である、当社グループ稼働人員1人あたり事業付加価値額は前年同期比3.3%増となり改善が進みました。

 販売費及び一般管理費については、稼働人員数の減少に伴う報酬・給与等の減少、業績進捗を勘案した賞与勘定の抑制など人件費のコントロールを継続し、また、非中核部門の見直しにより事業及び組織の最適化を図ることなどで、固定的な費用の削減施策に努め、さらに、前連結会計年度において事業供与資産について減損損失を計上したことを受け、当連結会計年度からの償却費負担の軽減も加わり、3,032百万円(前年同期比16.0%減)となりました。

 以上の結果、営業損失は354百万円(前年同期は638百万円の営業損失)となりました。さらに、為替差益などによる営業外収益81百万円、支払利息などによる営業外費用91百万円を計上し、経常損失は365百万円(前年同期は654百万円の経常損失)となりました。また、関係会社株式売却益8百万円、事業及び組織の最適化に伴う事業譲渡益2百万円などを特別利益に計上した一方で、不適切な会計処理に係る特別調査費用等656百万円、オフィス閉鎖に伴う減損損失31百万円などを特別損失に計上し、税金等調整前四半期純損失は1,050百万円(前年同期は151百万円の税金等調整前四半期純損失)となり、最終的な親会社株主に帰属する四半期純損失は1,084百万円(前年同期は208百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

 

 当社グループはビジュアルコミュニケーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②財政状態

(資産)

 当第2四半期連結会計期間末における流動資産合計は4,544百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,552百万円減少しました。これは主として、現金及び預金の減少821百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少590百万円、その他に含まれる未収消費税等の減少63百万円等によるものです。

 固定資産合計は1,334百万円となり、前連結会計年度末に比べ127百万円減少しました。これは主として、有形固定資産の減少59百万円、無形固定資産の増加48百万円、投資その他の資産の減少116百万円等によるものです。

 この結果、総資産は5,883百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,681百万円減少しました。

(負債)

 当第2四半期連結会計期間末における流動負債合計は3,544百万円となり、前連結会計年度末に比べ274百万円減少しました。これは主として、支払手形及び買掛金の減少324百万円等によるものです。

 固定負債合計は5,951百万円となり、前連結会計年度末に比べ255百万円減少しました。これは主として、長期借入金の減少252百万円等によるものです。

 この結果、負債合計は9,495百万円となり、前連結会計年度末に比べ529百万円減少しました。

(純資産)

 当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は△3,611百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,151百万円減少しました。これは主として、当第2四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失の計上1,084百万円等によるものです。

 この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は△63.3%(前連結会計年度末は△34.3%)となりました。

 

 (2)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、821百万円減少し1,559百万円となりました。

 当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、686百万円の支払超過(前年同期は468百万円の収入超過)となりました。これは主として、特別調査費用等の支払額656百万円等により税金等調整前四半期純損失が1,050百万円となった上で、売上債権の減少額677百万円、仕入債務の減少額289百万円等があったことによるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、35百万円の収入超過(前年同期は497百万円の収入超過)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出48百万円、無形固定資産の取得による支出103百万円、関係会社の清算による収入117百万円、事業譲渡による収入17百万円、補助金の受取額42百万円等があったことによるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、189百万円の支払超過(前年同期は972百万円の支払超過)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出134百万円、非支配株主への配当金の支払額36百万円等があったことによるものです。

 

 (3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

 (4)経営方針・経営戦略等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 (6)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年6月29日に開催された取締役会において、当社の連結子会社である株式会社イエローコーナージャパンについて、当社保有の全株式を譲渡することを決議し、2023年6月30日に株式を譲渡いたしました。

詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。