当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行され、社会経済活動の正常化が進み景気は緩やかに回復しました。一方で、世界経済は高インフレに対する各国の金融引き締めの継続から世界経済の減速が強まる状況にあり、先行き不透明な状況で推移しました。
医療機器、医薬品業界におきましては、物資の高騰や医療従事者の慢性的な人手不足等、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増しつつあります。しかしながら、そのような状況下においても当社グループは、すべての人が適切な医療を受けることができる持続可能な世界の実現を目指して、今後もより安全な医療環境の整備の一翼を担うべく、医療機器・医薬品メーカーとしての責任と役割を果たしてまいりました。
当第1四半期連結累計期間における連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されるなか、主力の透析、ホスピタル関連製品の需要機会を逃すことなく販売、プロモーション活動に注力したことに加え、為替相場が円安方向で高位安定に推移したことで、輸出売上高が押し上げられ堅調に推移しました。この結果、連結売上高は前年同期比9.9%増加となる1,405億94百万円となりました。
利益面におきましては、販売数量の増加により工場の操業度が改善したことから、原材料・エネルギー価格の高騰によるコスト増加を吸収することができました。販売費及び一般管理費においては、前年同期における物流費の急騰が当第1四半期は一服したこと等により、営業利益は前年同期比148.4%増加となる73億37百万円となりました。
これに対して、経常利益は、高位安定する円安局面において外貨建預金や売掛金の換算替えによる為替差益は縮小したものの、前年同期比21.3%増加となる89億1百万円となりました。また、特別損益においては、政策保有株式の売却益と中国子会社の売却損失を計上しました。しかし、繰延税金資産の一部取崩等による法人税等の大幅増加により、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比22.3%減少の40億99百万円となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
国内販売におきましては、メディカル営業部門では新型コロナウイルス感染症の5類移行にともない、手術件数等が増加し、SD関連製品が好調に推移しました。しかしながら、バスキュラー関連製品の当社占有市場に対する他社参入の影響や、ワクチン接種用シリンジの販売減少、工場火災の影響による主力製品であるダイアライザの出荷調整等により、全体では低調に推移しました。
医薬営業部門では、供給問題に関する有識者検討会の報告書を受け、制度改革へ動き出すなかで、当社としても早期問題解消に向け取り組むべきことに尽力してまいりました。その結果、当第1四半期は、昨年12月発売のエソメプラゾールが52大学病院本院での採用をはじめ順調に拡大しました。また、不採算算定品の値上げについて市場の理解を得て改善に向け進むことで、売上高、利益ともに好調に推移しました。
海外販売におきましては、世界各地で積極的な販売活動を展開、ダイアライザ・透析装置をはじめとする主力商品の販売が順調に伸長しました。4月に大手透析プロバイダのDiaverum社と長期パートナーシップ契約を更新したことにより、ダイアライザを含む透析消耗品の安定的販売先を確保しました。透析関連製品では6月にイタリアのミラノで開催された欧州腎臓学会に、また、注力するバスキュラー関連製品では5月にフランスのパリで開催された欧州インターベンション学会および6月にインドのムンバイで開催されたインド・日本CTO(完全慢性閉塞)学会に出展し、同地域でのニプロブランドの浸透を図りました。
また自社透析センターも、引き続き世界各国で市場を拡大しており、当第1四半期においては中国、タイで各1施設、チリで4施設、南アフリカで5施設の計11施設を新規開設しました。引き続き新興国を中心に質の高い治療を提供できる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。販売拠点につきましては、5月にタイのコンケーンに営業所を新規開設しました。今後も拠点増強を継続し、販売拡大を推進いたします。
運送費におきましては、海上運賃が正常に戻りつつある一方、国内外の陸送コストは上昇傾向となっているため、今後も地産地消の促進、ハブ倉庫の活用、物流の最適化、安全在庫の確保などにより、安定供給および経費削減を推進してまいります。これらの活動を通し医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め、販売強化および管理強化による売上高の拡大、利益の確保に繋げてまいります。
生産拠点におきましては、大館工場で発生した火災によるダイアライザの供給能力減少に対して、大館工場、中国・合肥工場、インド工場での増産に取り組み販売部門と調整を行うことで、市場での混乱は抑えられました。今後、当下期稼働予定の大館工場新生産ラインにより供給能力の回復を図り、安定供給に努めてまいります。
この結果、当事業の売上高は1,079億81百万円(前年同期比10.6%増)、セグメント利益(営業利益)は118億18百万円(前年同期比39.7%増)となりました。
医薬関連事業におきましては、複数の新規受託製品の商用出荷開始や、新型コロナウイルス感染症の流行時に減少していた抗菌薬や一部品目の増産依頼があった他、インフレの情勢を踏まえた仕切価格の変更を行うことにより、売上高の増大と利益確保に努めました。一方で、既存の受託製品の販売終了が複数あり、売上高は前年同期比で微減となりました。
営業利益につきましては、前期に引き続き、原材料・エネルギー価格の高騰による製造経費の増加があったものの、上述の新規受託製品や増産依頼のあった製品による利益の上積み、仕切価格の変更による利益率の改善に加え、ニプロファーマ・ベトナム・リミテッドでの生産効率の改善活動による収益改善もあり、前年同期比で増加しました。
この結果、当事業の売上高は174億15百万円(前年同期比2.5%減)、セグメント利益(営業利益)は31億80百万円(前年同期比679.8%増)となりました。
ファーマパッケージング事業におきましては、ガラス管(医薬用包装容器の材料)の増産体制構築に加え、各工場のベストプラクティスを展開することで、グローバル規模での生産効率とコスト競争力向上に尽力しました。あわせて数年来、粘り強く実施した販売単価の適正化が、インフレによるコスト増が深刻な欧米においてもその影響額軽減の一助となりました。
他方、フランスのガラス管新工場立ち上げにともなう初期費用を一括計上した他、新型コロナウイルスパンデミック後の在庫調整局面にあるインド市場では、ガラス管、医薬用包装容器いずれも出荷数量が大幅に減少しました。また中国市場においては、ゼロコロナ政策解除後、ガラス管やバイアルを中心にプロモーション活動を本格化しました。日本国内市場においては、デンタル針や調製デバイス、インジェクションセット関連製品の販売が堅調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は150億8百万円(前年同期比22.9%増)、セグメント利益(営業利益)は5億66百万円(前年同期比44.1%減)となりました。
その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が1億89百万円(前年同期比22.8%増)、セグメント利益(営業利益)は3百万円(前年同期比98.4%減)となりました。
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は1兆406億78百万円で、前連結会計年度末に比べ132億78百万円の増加となりました。このうち流動資産は97億13百万円の増加、固定資産は35億65百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、原材料及び貯蔵品が33億69百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、機械装置及び運搬具(純額)が74億9百万円増加したことによるものであります。
一方、負債合計は7,914億80百万円で、前連結会計年度末に比べ62億55百万円の増加となりました。このうち流動負債は128億36百万円の増加、固定負債は65億81百万円の減少となりました。流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が130億63百万円増加したことによるものであり、固定負債の減少の主な要因は、長期借入金が59億55百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は2,491億97百万円で、前連結会計年度末に比べ70億23百万円の増加となりました。このうち株主資本は26億12百万円の増加、その他の包括利益累計額は41億11百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ0.4ポイント増加し、20.5%となりました。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は40億2百万円であります。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。