第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は国内唯一のワックス専業メーカーとして独自の技術により多種多様かつ高品質のワックス製品及びワックスを原料とする各種変性品並びにローサルファー重油を製造しています。また、永年にわたり蓄積された技術を基に需要家に対するきめ細かなサービスの提供はもとよりあらゆるご要望にもお応えできるよう基礎研究から製品の改良、新用途の開拓、新製品の開発まで幅広い販売開発活動に取り組んでいます。近年、加速する技術革新、環境問題、省エネルギーの観点から、情報化社会に求められている素材、環境問題に対応する素材、快適生活に役立つ素材の提供等、時代の要求にも応じられる新製品を数多く創出・提供することを目指し、社会・文化の発展に貢献することを基本方針としています。

 

「中期計画21-24」において不十分であった取組みを明確にするとともに、当期損失の要因を認識したうえで、「中期経営計画(23-27)」を策定し、2023年1月27日に取締役会にて決議いたしました。これは、「中期計画21-24」の基本方針を踏襲しつつ、「中期計画21-24」以降に実行する予定であった構造改革を前倒しして断行するものです。その概要は以下のとおりです。

1)事業モデル転換の早期化(2025年予定⇒2023年実行)

・ 2022年に使用した主要蒸留原料は、ワックス収率が低く、そのため重油生産量が増加し、原料処理コストの上昇要因となり、あるいは、軽油価格と連動するため、原油価格に連動する重油等の販売価格との格差が拡大して損失を拡大させるなど、当社のワックス事業の収益率に大きな影響を与える結果となりました。「中期経営計画(23-27)」のもとで、当社は、国内外のワックス収率の高い半製品や、スラックワックスを原料として使用することにより、ワックス収率をより一層高め、重油生産量の大幅減を図り、原料処理コストの上昇要因を減らすとともに、原料価格と重油販売価格の価格差による影響を減らすようにします。

・ 重油については、再度処理工程に投入してワックス製品化するなどして、燃料用として販売するだけでなく、できる限り製品製造に活用すべく、用途の多角化を進めます。

・ 輸出販売については、競争力がない不採算汎用製品の生産を最小化するようにします。

2)2023年からのワックス製品についての更なる価格改定

3)事業モデル転換に伴い、固定費を削減することによる収益の改善

4)適正な在庫水準まで在庫を削減することによるキャッシュ・フローの改善

5)管理体制の透明化、内部牽制機能の明確化による組織体制の見直し

 

なお、「中期経営計画(23-27)」にて計画し実行します、原料の転換及びそれに伴う工程の効率的な使用変更等の構造改革において、今後発生する損失は、現在精査中ですが、2021年に契約し2022年に使用した原料に関する契約の打ち切りに伴う概算費用は「中期経営計画(23-27)」の2023年の特別損失として織り込んでいます。

① 配当の考え方

「中期経営計画(23-27)」に基づき当社の事業モデルの転換を断行し、市況や需給環境の変化に耐えうる強固な事業基盤の構築及び財務体質の改善を着実に進めて参りますが、2023年の配当につきましては、配当原資を十分に確保することが困難であることが見込まれることから、誠に遺憾ながら無配とさせていただきますことに株主のみなさまのご理解を賜りたく存じます。

 

⑤ 業績目標(連結)

 

2023年度

売上高(百万円)

26,900

営業利益(百万円)

480

当期純利益(百万円)

△390

 

なお、本業績想定の前提条件等は、作成時点での入手可能な情報と過去の実績、傾向を参考に算出していますことをあらかじめご了承賜りますようお願いいたします。

株主のみなさまにおかれましては、引き続き変わらぬご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 原材料の調達

当社グループは、今後ワックス製造の主原料と位置付けるスラックワックスの供給元多様化を進めていますが、主要な供給元の装置トラブル等による供給障害が長引いた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原油価格変動

当社グループの製品コストの大半を占める原料油価格は、原油価格、石油製品価格市況に連動するため、その大幅かつ急激な市況変動があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 需要及び市況変動等

当社グループのワックス製品は、国内・海外の様々な産業分野、生活消費財分野等で使われていますので、その需要は各国経済および各産業界の動向の影響を受けます。また副産物である重油の需要は、気候や電力需給に大きく影響されます。当社グループは、ワックス製品の高付加価値化と脱重油の加速化を進めることにより、これら動向が当社グループの業績に及ぼす影響を最小化してまいります。

(4) 金利及び為替の変動

当社グループは有利子負債が多いため、金利の上昇は借入コストの増加につながり、また、為替の変動は輸入原料のコストや輸出製品の販売に影響を与えます。金利変動リスクや為替変動リスクを回避するためにデリバティブ取引等を利用する場合がありますが、リスクの完全な回避・低減を保証するものではないため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 災害や事故

地震や台風などの自然災害等が発生した場合は操業を停止する等の緊急措置をとるため、生産及び販売活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは人為的操業事故や災害を未然に防止するため、定期的な設備点検等安全対策の徹底を図っていますが、生産や販売活動の低下は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて計算されています。年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合などは、将来の退職給付費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 資産価値の変動

当社グループが保有する棚卸資産、固定資産や投資有価証券は、資産価値の下落による評価損や減損リスクにさらされています。当社グループは会計基準に従い適切な処理を行っていますが、今後更に資産価値が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 情報の管理

当社グループは社内情報システムのセキュリティ強化のために、ウイルス対策はもとより全PCの常時集中監視、使用できる外部記録媒体の制限を設けるなどの対策を講じています。また、システムインフラをクラウド化することによるBCP対策も進めています。しかしながら情報システムに障害が発生する可能性はゼロではないことから、生産及び販売活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 海外での事業活動について

当社グループはタイ王国において事業展開を行っています。事業展開にあたっては、現地の法令、行政上の手続、商慣習等に即した事業活動を行っていますが、予期しない政治状況の激変や法制度の変更、さらに地政学的なリスクが内在しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)新型コロナウイルス感染症

当社グループは新型コロナウイルス感染症拡大に対し、従業員や関係者の健康と安全に配慮しつつ、衛生管理の徹底、Web会議システムの活用など事業への影響を最小限に抑えるべく努力を継続しています。しかし、感染症拡大により、国内外の景気が大きく下振れする場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)の世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した食料、エネルギー等のサプライチェーン分断による価格高騰と、それによる歴史的高インフレを抑制するための各国中央銀行による急ピッチの利上げという金融政策の大転換に直面し、景気悪化に見舞われました。

当社グループ業績に大きく影響する原油価格は、年初のUS$80/bbl台前半から上期は急騰を続け一時US$120/bbl台をつけた後、下期は再びUS$80/bbl台まで下落するなど乱高下しました。また為替レートは、年初の110円/US$台から急速に円安が進行し一時約30年振りとなる150円/US$台まで下落、その後は130円/US$台まで上昇したもののこちらも歴史的な相場展開となりました。

このような環境下、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ、397百万円減少し、33,174百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、1,952百万円増加し、27,779百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、2,349百万円減少し、5,394百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高38,457百万円(前年同期比37.8%増)、営業損失△2,043百万円(前年同期は営業利益587百万円)、経常損失△2,263百万円(前年同期は経常利益467百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失△2,368百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益444百万円)となりました。

なお、当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比較して434百万円増加し2,039百万円となりました。

当連結会計年度末における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、1,625百万円(前年同期は666百万円の収入)となりました。これは主として税金等調整前当期純損失2,256百万円、減価償却費978百万円、売上債権の減少額406百万円、棚卸資産の減少額945百万円、仕入債務の減少額988百万円、未払消費税等の減少額945百万円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、339百万円(前年同期比340百万円の支出減)となりました。これは主として有形及び無形固定資産の取得による支出354百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、2,420百万円(前年同期比2,222百万円の収入減)となりました。これは主として短期借入金の純増額3,682百万円、長期借入金の返済による支出1,108百万円等によるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しています。

区分

数量

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ワックス

(パラフィン・マイクロクリスタリン)

72,140トン

△5.4

21,536

20.1

重油

159,810kl

△7.6

13,979

47.7

合計

 

35,515

29.6

(注)金額は、販売価格をもって算出しています。

 

b. 受注実績

 当社グループの生産においては、そのほとんどを見込生産で行っていますので、受注実績は記載していません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しています。

区分

数量

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ワックス

(パラフィン・マイクロクリスタリン)

80,579トン

3.8

24,048

31.4

重油

162,650kl

△5.6

14,228

50.9

その他仕入商品

 

 

180

△4.8

合計

 

 

38,457

37.8

(注)1 ワックスには輸入ワックスの仕入販売を含んでいます。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱商事エネルギー株式会社

4,520

16.2

6,407

16.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等

1) 財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べて397百万円減少の33,174百万円となりました。これは主として現金及び預金の増加額434百万円、商品及び製品の増加額1,428百万円、原材料及び貯蔵品の減少額2,301百万円等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比較して1,952百万円増加の27,779百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金の減少額932百万円、短期借入金の増加額3,857百万円、長期借入金の減少額997百万円等によるものです。

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比較して2,349百万円減少の5,394百万円となりました。これは主として利益剰余金の減少額2,462百万円等によるものです。

 

2) 経営成績

(ワックス販売数量)

国内は前年比2,031トン増の34,235トン、輸出は同比903トン増の46,343トン、合計は2,934トン増の80,579トンとなりました。

 

0102010_001.png

 

(重油販売数量)

9,684キロリットル減の162,650キロリットルとなりました。

(売上高)

国内ワックスは前年比1,931百万円増の12,384百万円、輸出ワックスは同比3,815百万円増の11,664百万円、重油は同比4,801百万円増の14,228百万円、その他商品を含めた総売上高は同比10,539百万円増の38,457百万円となりました。

 

0102010_002.png

 

(注)その他仕入商品は除きます。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、前連結会計年度に比べ、12,710百万円増の37,065百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、459百万円増の3,435百万円となりました。

(営業利益)

原油価格の上昇及び円安に伴う原材料価格の高騰に対し、国内市場の販売価格の是正に注力しましたが、重油事業の赤字をカバーするには至らなかったこと、また期末における棚卸資産評価損の計上により、営業損益は前連結会計年度に比べ2,630百万円減の営業損失2,043百万円となりました。

(営業外損益)

営業外損益は、前連結会計年度に比べ100百万円減少し、219百万円の損失となりました。これは、為替差損80百万円(前連結会計年度は為替差益37百万円)等によるものです。

この結果、経常損益は、前連結会計年度に比べ2,730百万円減の経常損失2,263百万円となりました。

(税金等調整前当期純利益)

特別損益は、補助金収入が3百万円減少する一方、投資有価証券売却益が3百万円増加したことにより、前連結会計年度並みの6百万円の利益となりました。この結果、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ2,730百万円減の税金等調整前当期純損失2,256百万円となりました。

(法人税等)

法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ10百万円減の30百万円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ92百万円増の80百万円となりました。この結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ82百万円増の111百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ2,812百万円減の親会社株主に帰属する当期純損失2,368百万円となりました。

 

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当連結会計年度決算は、2,368百万円の純損失を計上するに至りました。この損失の要因につきまして、以下のとおりご説明いたします。

1)原料価格の高騰により収益性が低下したこと

「中期計画21-24」の内容としていた重油生産量の減少を達成すべく、蒸留安定処理を目指した原料組立のモデル構成を確立するために、これまでスポット購入をしていました原料について、軽油価格に連動する価格とする合意のもと、2021年12月に2年間の長期契約を締結しました。しかし、2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機として原油価格が高騰しましたが、それ以上に軽油価格が高騰し、原油価格と軽油価格との差は、契約当時(2021年12月)US$10/bbl台であったものが、年央にはUS$50/bbl以上にまで拡大し、その後一時価格差縮小の兆しが見えたものの、下期は、概ねUS$40/bbl前後の異例の価格差が継続しました。その結果、原油価格に連動する製品の販売価格、とりわけワックス精製において生産される重油の販売価格との関係で、軽油価格に連動する原料購入価格が高止まったままで推移したことにより、重油販売における損失が拡大し、下期の業績が大幅に悪化しました。

2)国内ワックス販売の価格改定が追い付かなかったこと

原料価格の高騰に対応すべく、上期より国内販売製品の価格改定を着実に実施して参りましたが、それ以上に原料価格の高騰が進み、かつ、これが継続したため、第3四半期以降、当社が実施した価格改定により得られる収益よりもさらに原料コストが上回る状態となり、結果として、価格改定効果が収益性の回復のために追い付かず、不十分なものとなりました。

3)下期において輸出ワックス販売の売上が急激に減少したこと

輸出ワックスに関しましては、上期は、海外(特に欧米)需要が堅調であったことに加え、競合他社の一部供給トラブルもあり、原油価格高騰の流れに沿った販売価格の改定を年央までは実施いたしました。ところが、7月以降、原油価格が下落に転じたことで、9月以降は徐々に海外顧客が先安感をもち、いわば買い控え状態となったことに加え、欧米市場の景気悪化による需要減が顕著となり、輸出ワックス販売に急激なブレーキがかかりました。結果的に、下期での販売量が、計画25,300トンに対し実績18,700トンの6,600トン減となり、収益悪化の大きな要因となりました。

4)期末において棚卸資産評価損が拡大したこと

軽油価格に連動する原料購入価格が高止まったことや製品販売数量の減少は、原料、半製品及び製品の在庫単価の上昇や数量を増加させることとなり、これらの在庫に係る棚卸資産評価損を拡大させました。

着実な黒字体質への転換を掲げた「中期計画21-24」が計画2年目にして上記要因にて頓挫した結果を真摯に受け止め、改めて急激な経営環境の変化に対して迅速かつ適切なアクションをとれる体制構築を図るべく、「中期経営計画(23-27)」を策定いたしました。

 

c. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループは、運転資金及び設備資金を内部留保及び借入により調達することを基本としています。運転資金及び設備資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金償還時期等を考慮の上、適宜判断して調達していくこととしています。

また、当社グループは金融機関との長期にわたる良好な取引関係の維持により、当社グループの事業活動に必要な運転資金及び設備資金の調達に関しては今後とも問題なく実施可能と考えています。

新型コロナウイルス感染症による資金繰りに与える影響は軽微と見ており、当初の資金計画に基づいた資金調達を行う予定です。なお、今後新型コロナウイルス感染症が拡大し、当社グループの事業に大きな影響を与える場合には、別途資金調達を行う可能性があります。

 

③重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表を作成するのに当たっては、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載した基準に従っています。これらを含め、当社グループは、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて連結財務諸表を作成しています。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、SHELL MDS(MALAYSIA) SENDIRIAN BERHAD社と同社が天然ガスより製造する合成ワックスを、当社が輸入し日本国内で販売する契約を締結いたしました。契約期間は2021年8月1日より2年間とし、期間満了の6ヶ月前までに書面による通告で解除されない限り、2025年7月31日まで1年間ずつ契約期間を延長いたします。

(2) 当社は、機動的な資金調達手段を確保することにより、手元流動性を圧縮し、資金効率を高めることを目的として、取引銀行5行(株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社広島銀行、株式会社山口銀行、株式会社西京銀行)と総額60億円の特定融資枠契約(貸出コミットメントライン契約)を締結しています。

 

5【研究開発活動】

これからの社会のニーズに沿ったサステナブル素材の開発として、非可食性バイオマス素材であるライスワックスの応用開発、ゴム老化防止用ワックスや分子蒸留事業との多様な組み合わせを検討する中で、当社製品のバイオマス比率を高める取り組みを加速させています。また、ワックスの水系分散化技術を高度化させ、ソルベントフリーな幅広い水系材料への適用を進めています。

 

(1) ゴム老化防止用ワックス

タイヤ向けワックスを専門に生産するタイ子会社は、2022年度、設立時から目標としていた年間販売量10,000トンに届くレベルにまで成長いたしました。既存ビジネスの安定化と新規顧客開拓に継続して取り組んでいく予定です。また、タイヤ向けワックスに適合するサステナブル素材の多様化を目指し、お客様と連携した素材開発に取り組んでいます。ライスワックスを使用した製品の拡販に繋がっており、着実な成果が得られています。

 

(2) 分子蒸留

お客様からは安定的な引き合いをいただき、順調に数量を伸ばしております。一部の用途では今なお分子蒸留製品の評価を続けているお客様もあり、今後の拡販が期待できます。また、当社で築き上げてきた蒸留技術を応用し、精密な品質制御による更なる高機能化材料の創製にチャレンジしていきます。

 

(3) ライスワックス

ライスワックスをベースとした当社独自技術による高機能製品の開発を進めており、当社顧客ネットワークや展示会などのイベントを通じたサンプルワークを実施しています。特に、バイオマス素材の需要が旺盛なプラスチック材料やボタニカルインキ、コスメティック材料などの分野において、高い評価を得ています。今後も開発ワックスの早期製品化を目指し、ビーカースケールから量産技術の確立まで一貫して取り組んでいきます。

 

当連結会計年度における研究開発費は121百万円です。