文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業と生活者を結ぶ情報の橋渡し役として、社会生活の向上と文化の発展に貢献することを経営の基本方針としております。そして、この基本方針のもと、お客さまの課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすることを目指しております。
新型コロナウイルス感染症によって加速したデジタル化は多くの業界に影響を与え、データ化による生産性向上やデジタル技術の活用によるビジネスモデルの転換に取り組む企業が増え、新しい価値を顧客に提供する動きが活発となってまいりました。
2023年の国内広告業界の売上高は、経済活動正常化に伴う各企業のプロモーション活動の再開による広告需要の高まりから5兆6,674億円(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)となり前年同水準の売上高に留まりましたが、経済全般のデジタル化の流れを背景に各企業ともデジタル技術を活用したプロモーション活動への関心が高い状況が続き、インターネット広告費につきましては、1兆4,861億円(前年比103.4%)の売上高となり(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)、前年に続き好調な伸びを維持しました。
このような中、過去、主流であったマス媒体を中心としたコミュニケーション活動は、デジタル化の進展や働き方改革に伴うワークスタイルの変化によって激変し、各企業はデジタル技術やデジタルツールのほかSNSなどを利用し、コミュニケーション領域を拡大するようになりました。
また、当社グループが事業を営むローカルエリアにおきましては、少子高齢化や労働力不足など解決すべき課題が数多く存在しております。
このようなデジタル化や少子高齢化で社会が大きく変化する時代にあっては、お客さまは経営全般の課題解決策を求めるようになり、お客さまの経営課題全般の解決に役立つ提案をすることが顧客第一の精神となります。また、お客さまは単に良いクリエイティブを提供するだけでは評価しなくなり、新しいサービスを生み出す力を重視するようになると考えられます。
そこで、当社グループにおきましては、「お客さまの経営課題の解決に繋がる戦略を設計し、共に実践するパートナーになること」を今後の当社グループの在り方と定義し、これを『マーケティングデザイン』と称して日々の営業活動の基本概念としております。そして、変化の激しい経営環境を乗り越えていくためには、「デジタル領域の拡大」と「新しい事業領域の開発」に取り組むことが不可欠であると考えております。さらに、私たちの提供するサービスは行政や地域に対しても広がります。地域課題から社会的価値を構想し、実現させていくことも当社グループの活動領域であると捉え、企業理念が示すように、「顧客課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすること」が当社グループの使命であると考えております。
当社グループの外注費を除く諸費用は変動が少なく固定的であるため、当社グループにおきましては、売上総利益の確保が営業利益および経常利益の獲得に大きく影響するという事業特性があります。従いまして、営業の成果である売上高と連動した収益性の指標として、売上総利益および売上総利益率(=売上総利益/総売上高)を重要な経営指標とし、日々の行動管理・業績管理・人事評価等に連動させ、目標の達成に向けて取り組んでおります。
※総売上高は、当社グループの営業活動によって得た販売額の総額であります。『収益認識に関する会計基準』に準拠した指標ではありませんが、投資者が当社グループの事業規模を判断するうえで重要な指標であると認識し、従前の企業会計原則に基づき算出し、参考情報として開示しております。
(1)および(2)に記載の、経営方針および経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の経営課題は以下のとおりであります。
〔広告事業〕
① デジタル領域への挑戦
2023年の国内広告業界のインターネット広告売上高は1兆4,861億円(前年比3.4%増)となり(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)、当社グループ商勢圏におきましても、各企業におけるマーケティング活動のデタル領域へのシフトが加速したこともあって、当社グループのデジタル領域の売上高は引き続き前年を上回る結果となりました。
このような中で、当社グループは、デジタル領域全般の受注拡大をより加速させるため、デジタルマーケティング分野の提案強化やデジタル技術を活かした新規事業の企画提案に取り組むとともに、データと観光・行政を連動させた提案活動などにも取り組んでおります。また、当社におきましては、2023年1月1日付の「DX認定事業者」認定結果に基づき、営業支援システムの導入など社内DXの推進を図ってまいりました。当社グループにおきましては、引き続き、デジタル化によるコミュニケーション活動の変化に対応した提案に努め、お客さまの成長に貢献できる真のパートナーを目指してまいります。
② 新規事業への挑戦
当社グループは、地域密着主義で培ったきめ細かな対応と、四国中国エリアに福岡、東京を加えた拠点ネットワーク、70年の実績に基づくノウハウによってお客様の様々なニーズに応え、時代に即した提案活動によって、より質の高いコミュニケーション効果の創造に努めてまいりました。しかしながら、前述したような広告業界を含めた社会全体の転換期にあっては、急速な変化に対応したマーケティング戦略の立案が求められております。
前述したように、当社グループにおきましては、変化の激しい経営環境を乗り越えていくためには「新しい事業領域の開発」に取り組むことが不可欠であると考え、四国遍路などの地元コンテンツを意識した新しいビジネスにも挑戦しており、今後につきましても、グループ内に蓄積された地域情報のほか、地元に密着した広告会社としてのノウハウを最大限に活用し、当社グループ自身が価値を生み出せる新しい事業の創出に取り組んでまいります。
③ クリエイティブスタッフの高付加価値化
お客さまが私たち広告会社に期待することにクリエイティブ力があります。素晴らしいクリエイティブワークは後世に残り、新しい顧客の開拓に繋がります。また、マーケティングに基づくものや、イノベーションを目指すクリエイティブもあります。お客さまにとって最適なコミュニケーションサービスを提供するためには、お客様の課題を発見でき、解決すべき方向性を仮設でき、これらに基づくお客様の価値を高めるサービスの提供が必要になります。つまり、デザインする力、素晴らしいコピーを生みだせる力、的確にマーケティングできる力などの専門的な能力だけではなく、最終的にはこうした力を兼ね備えた総合力が必要になります。
当社グループにおきましては、「無から有を生み出す」というクリエイティビティの原点に立ち戻り、新しいものを生み出す「創造力」や独自の発想で何かを作り出す「独創力」を兼ね備えた人材を育成すべく、クリエイティブスタッフの高付加価値化に取り組んでおり、海外向けの動画や地域再生・観光振興を題材にしたプロモーションのほか地元企業のブランディングに至るまで、毎年数多くの個性豊かな作品を創出しております。今後におきましても、クリエイティブスタッフの高付加価値化を図り、企業価値向上に繋げてまいります。
④ 課題解決型営業の推進
当社グループは、四国エリア(香川・愛媛・徳島・高知)、中国エリア(岡山・広島)、福岡・東京に拠点を配し、多様化するお客様の要望にお応えし、質の高いコミュニケーションサービスの提供に努めてまいりました。デジタル化へのシフトが加速している中にあっては、当社グループ商勢圏におきましても、デジタル技術が非接触・非対面の手段を提供し、デジタル化できることはデジタル化されていく一方で、デジタルには替えられないリアルの価値が再認識されていくと考えております。
当社グループにおきましては、引き続きリアルの価値にデジタル技術を融合したより具体的で高度化した提案活動に取り組み、お客さまの経営課題の解決に繋げてまいります。
⑤ 人材への投資
当社グループの競争力の源泉は人材であり、当社グループにとって最も重要な経営資源であります。お客様に満足いただけるコミュニケーションサービスを提供するためには、優秀な人材の確保と育成のほか、専門的な知識を持った人材の獲得も重要な経営課題であります。また、社員の「健康」や「働き方」も企業の業績や存続に関係する重要な経営課題であります。当社グループにおきましては、優秀な人員の確保と育成はもちろんのこと、多様な働き方の尊重や心身の健康に配慮した安全衛生について、引き続き取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本に関する戦略・指標目標」をご参照ください。
〔リテール事業〕
① 強みを活かした多面的な取り組みの強化
当社グループにおきましては、2022年4月策定の中期経営方針に基づき「新しい事業領域の開発」に取り組んでおり、四国の選りすぐりの逸品を販売するオンラインショップ「ロコメル(LOCOMERU)」の運営等に努めるほか、徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場~ふるさと物産館~』の運営をとおして地域産品の販路拡大に取り組んでおります。こうした取り組みによって、地域産品メーカーの帳合をとれることが強みとなり、百貨店や大型量販店での展示販売に繋がりました。
当社グループにおきましては、県外の物産展や催事へ出展するほか、商品の磨き上げや海外販路開拓の可能性を検討するとともに、オンラインショップのリニューアルを実施し、強みを活かした多面的な取り組みと確実な収益化に取り組んでまいります。
〔ヘルスケア事業〕
当社グループにおきましては、小規模の地域密着型の通所介護サービスを香川県高松市において提供し、ヘルスケア事業として区分しておりましたが、ヘルスケア事業につきましては、2024年3月31日をもってサービスの提供を終了する旨の届出を高松市に提出しており、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として特筆すべき事項はありません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方および取組
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を図るためには、取引先のほか、従業員や株主の皆様、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーに社会的な存在として認められ、共感を得られることが重要であると考えており、各ステークスホルダーに対する提供価値を高めることを基本としております。
昨今のサステナビリティをめぐる諸課題に対応するためには、まずは当社グループ自身が持続可能な成長を遂げることが重要であるとの認識のもと、「お客さまが達成したい目標を設計し実現するパートナーになること」を当社グループの在り方と定義し、これを『マーケティングデザイン』と称して日々の営業活動の基本概念としております。そして、変化の激しい経営環境を乗り越えていくために、将来も存続するための構造改革として、「既存事業の収益改善」と「新しい事業領域の開発」に取り組んでおり、顧客ニーズへの迅速な対応と顧客満足度の向上を図るため、デジタル領域への挑戦、課題解決型営業の推進、クリエイティブスタッフの高付加価値化を重要課題として、顧客への提供価値の最大化を図り、顧客課題の解決をとおした地域課題の解決に取り組んでおります。また、新規事業に取り組むなど事業領域の拡大にも挑戦しております。
当社グループは性別等に関わらず、従業員一人ひとりの個性を多様性として活かし、失敗を恐れず挑戦し続ける組織・企業風土の醸成を推進しております。人材の育成につきましては未来に目を向け創造性と革新性を発揮できる人材への成長を、人材の評価につきましては共創・協業による高い成果を発揮できる組織への転換を、人材の働き方につきましては継続的な従業員の健康増進を掲げ取り組みを進めております。女性の活躍につきましては、女性活躍推進法に基づく自主行動計画(「女性の定期的な採用、女性社員の職場定着率を高める職場の環境づくり」)の実行に取り組んでおります。そして、事業戦略に連動した人的資本戦略を実現するため、優秀な人材の確保と育成、公正な評価、多様な働き方の尊重、心身の健康に配慮した安全衛生を重要課題として掲げ、従業員への提供価値の最大化を図り、働きがいのある社会の実現に取り組んでおります。具体的には後述の「(3)人的資本に関する戦略・指標目標」をご参照ください。
当社グループが事業活動を営むうえで、広告の企画や制作、印刷等において協力会社との連携は不可欠であり、インターネット広告などは広告配信の際に高いデジタル技術を要するため、そのほとんどを外部に委託しております。当社グループにおきましては、取引慣行上、契約がなじまない場合もありますが、上場企業として責任あるコミュニケーション活動の提供を重要課題として掲げ、法令遵守はもちろんのこと、データセキュリティの強化から、取引先情報など営業秘密の管理についても強化しております。また、地方には、少子高齢化や労働力不足など解決すべき課題が数多く存在しておりますが、当社グループにおきましてはインターンシップの受け入れをとおして、若年者の安定就労機会の創出にも取り組んでおります。そして、こうした取り組みを継続することによって、地域社会への提供価値の最大化を図り、地元企業としての社会的責任を果たしてまいります。
なお、気候変動リスクへの関心が最近高まっておりますが、当社グループはコミュニケーションサービス業を主要な事業としているため、現在のところ気候変動が当社グループの事業に重大な影響を及ぼすことは想定しておりません。ただし、企業として環境保全に努めることは当然の責務であり、地域に根差した当社グループとしては、地域環境の保全に配慮した企業活動として、社内業務のペーパーレス化のほか、光熱費などエネルギー使用量の削減に取り組み、環境への提供価値の最大化を図ってまいります。
企業が将来に亘って事業を継続していくためには、取引先・従業員・地域社会に提供する価値を高めていくことが前提となります。そして、その結果、配当やキャピタルゲインといった株主に提供する価値が高まります。企業価値がこれら2つの価値の合計で構成されるならば、当社グループの企業価値を高めるためには、前述の取り組みを進め、事業の競争力確保や従業員エンゲージメントの向上を図ることが当社グループの重要課題であると考えております。そして、株主への提供価値の最大化を図り、企業価値の向上によって、当社グループの持続的成長サイクルの実現を果たしてまいります。
〔重要テーマ・リスク・取組項目〕
当社グループでは、人材戦略を含めたサステナビリティの実現に資する各種方針や重要事項等については、取締役会で審議し、決定しております。重要事項につきましては、代表取締役の監督の下、人事・総務・経理・財務機能を有するコーポレート部門で構成されるコーポレートデザイン局が集約し、検討、集計および特定等がなされた各種指標や事業上のリスク、機会といった事項は、経営会議で共有され、事業戦略や計画などの重要性を取締役会が考慮したうえで決定しております。具体的には前述の〔重要テーマ・リスク・取組項目〕をベースに人的資本への取り組みなどがもたらす機会、リスクへの対応等を検討・実行しております。
(3) 人的資本に関する戦略・指標目標
当社グループは、お客さまの課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすることを目指しており、これらの企業活動をとおして、社員一人ひとりの幸福を実現することを人的資本経営の礎としております。
当社グループは、コミュニケーションサービスという付加価値を販売する事業を営んでおります。どのような事業にあっても、人的資源は企業力の大きなウェイトを占めると思われますが、付加価値という未だ形になっていない商品を販売する当社にとって、従業員の資質、能力、やる気、働きがいが、物品を販売する一般的な企業と比較して、はるかに重要であることを認識し、諸施策を講じております。
① 戦略
○ 優秀な人材の確保と育成
当社グループは「物」としての特定の商品を販売しておらず、コミュニケーション効果の創造、すなわちお客さまの課題解決につながるコミュニケーションサービスという付加価値を販売しているため、当社グループの成長性および競争上の優位性の持続的な確保は、優秀な人材の獲得に大きく依存すると考えております。また、インターネットやモバイルなどの普及により、高度化するお客様のニーズに対応するためには専門的知識を有する人材の獲得も重要となります。
当社グループにおきましては、企業の発展に必要な人材確保のため、中長期的な視点からの新卒者を対象とした定期採用と、即戦力確保を目的としたキャリア採用を行っており、いずれの場合も「個性」、「バイタリティ」豊かな人材確保に努めております。
また、当社グループにおきましては、定期採用やキャリア採用によって優秀な人材の獲得を図るほか、当社グループの戦略に沿った研修の開催や、若手社員のスキルアップを図る研修の開催などをとおして人材育成に努めております。
当社グループはコミュニケーションサービスという未だ形になっていない商品、すなわち付加価値を販売する企業であり、営業社員や企画制作社員一人ひとりの「企画力」「提案力」自体が商品そのものであります。この観点にもとづき、外部講師を招いた研修やオンライン研修をとおして、一人ひとりの「企画・提案力」向上を図っております。また、社内に蓄積している情報、ノウハウをポータルサイト上に体系化・共有化することで、情報の体系化およびプレゼンテーションスキルの向上を図っております。そのほか、デジタル領域への挑戦を支援するため、従業員に対してウェブ解析士の資格認定を推奨し、資格取得にかかる費用を会社が負担するなど、リスキングを促し、現在グループ内にウェブ解析士の資格認定者が44名、上級ウェブ解析士認定者が8名在席しております。
その他、新規事業への挑戦として、社内で立案されたビジネスの構想の実現に取り組み、挑戦意欲の高い人材については新規事業責任者として登用しております。このような取り組みが当社子会社である株式会社FISHおよび株式会社MD&アソシエイツの設立に繋がりました。現在も、地元コンテンツを意識したビジネスや視覚学習教材の販売支援など新たなビジネスの挑戦に対して支援しております。
○ 公正な評価
当社グループ商勢圏におきましてもデジタル化の波が着実に押し寄せ、各企業のマーケティング活動は、マス媒体に代表されるような従来のプロモーション活動から加速的にデジタル領域へシフトしております。このようなコミュニケーションサービス市場の中で、従来のプロモーション活動が漸減している状況にあっては、成果の測定が困難な部署や担当するお客さまの扱い高の多少に従業員の評価が左右されることもあるため、期間内に成果を出すことのできる課題を優先したり、長期間かけて取り組むべき課題が見過ごされてしまうことがあります。
当社グループにおきましては、このような個人の役割と責任の分断を避けるため、成果と連動した指標のほか、部門数値目標の達成や、お客さまの課題解決に繋がる行動を重視した評価ポイントを取り入れることによって、組織目標の達成に向けた個人能力の最大化に取り組んでおります。
企業が持続的に成長していくためには、それを支える組織としての生産性の向上が必要となります。そこでは部門の生産性を最大化するための資産(ヒト・モノ・カネ・情報)のマネージメントが求められ、従業員一人ひとりが、相互に知恵を出し、スキルを活かし、役割を担うことで、部門の成果を最大化し、企業の目標を達成しなければなりません。そしてこのことは、今、当社グループが目指している『マーケティングデザイン』、すなわち、生活者視点で考え、お客さまにとって最適なマーケティング戦略を描き、創造することと密接に関係した行動となっていくと考えております。
また、当社グループにおきましては、業績優秀者や業績貢献者などの表彰制度のほか、優秀なクリエイティブ作品を制作した社員に対する優秀社外広告賞などの表彰制度を設けております。業務表彰制度を設けることは、社員一人ひとりの業務に対する取り組み方や、業界に対する幅広い知識を得ることができ、さらなるやる気・意欲の向上に結びつくものと考えており、こうした取り組みが多くの広告賞の受賞に繋がっていると自負しております。
○ 多様な働き方の尊重、心身の健康に配慮した安全衛生
当社グループの競争力の源泉は人材であり、当社グループにとって最も重要な経営資源であります。そして、従業員の「健康」や「働き方」は企業の業績や存続に関係する重要な経営課題であります。
当社グループにおきましては、職場環境の整備やモバイルパソコンの導入、グループウェアの機能拡充、クラウド型人材管理ツールの導入などによって、従業員の働く環境の改善を図るとともに、人材への投資を強化してまいりました。
今後につきましても、社内DXの推進を図り、業務効率の向上はもちろんのこと時間外労働の削減に努め、定時退社の推進、有給休暇取得率の向上、仕事と育児の両立支援などに取り組んでまいります。
○ 女性活躍推進法に基づく自主行動計画
当社グループにおきましては、女性活躍推進を重要課題として位置づけ、一人ひとりの女性が安心して活き活きと働き続けることで、能力を最大限に発揮し、キャリアアップ出来ることを目指し、女性活躍推進法に基づく自主行動計画を推進しております。
また、従業員のハラスメントに関する相談・苦情等に対応する社内専用窓口を設置し、全ての従業員が互いに尊重し合える安全で快適な職場環境の実現に努めております。
<女性活躍推進法に基づく行動計画>
目 的 女性が継続して活躍できる雇用環境の整備を行う
計画期間 2022年4月1月 ~ 2026年10月31日
目 標 計画期間内に正社員全体に占める女性社員の割合を産業毎の平均値(学術研究、専門、サービス業:22.9%)以上となることを目指す。
取組内容 ①女性の定期的な採用を図る。
②女性社員の職場定着率を高める職場の環境づくりを行う。
・キャリア形成支援(定期的な上長との面談の実施など)
・ワークライフバランスを実現するため、育児・介護のための在宅勤務制度導入の検討
・育児・介護に関する両立支援制度の周知、利用促進(短時間勤務、看護・介護休暇など)
当社グループは、コミュニケーション効果の創造、すなわちお客さまの課題解決につながるコミュニケーションサービスという付加価値を販売しているため、当社グループの成長性および競争上の優位性の持続的な確保は、優秀な人材の獲得と専門的知識を有する人材の確保に大きく依存すると考えております。
当社グループにおきましては、採用選考スケジュールやその内容、人材育成に関する方針や研修内容など優秀な人材の採用や育成に関する重要な人材戦略につきましては、人事・総務・経理・財務機能を有するコーポレート部門で構成されるコーポレートデザイン局が起案し、取締役会において決定しております。なお、取締役会で決定された重要な決定事項につきましては、適宜、経営会議において報告し、グループ内において共有しております。具体的には前述の『重要テーマ・リスク・取組項目』をベースに従業員の生活環境や多様化などに後れを取ることなく従業員が活躍できる機会の創出や、リスクへの対応等を検討・実行しております。
当社グループにおきましては、サステナビリティの実践に向けて、まずは現在公表している数値目標の達成を目指してまいります。なお、以下の指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
今後とも、人材への投資を惜しまず、『人財』を育てる経営理念のもと、自由かつ柔軟なプロフェッショナル集団を組織し、経営計画の実現による当社グループ自身の持続可能な成長を実現してまいります。
当社グループの事業の状況および経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
〔広告事業に関するリスクについて〕
① 市場環境の変動と経営成績の季節的変動について
広告主は、経済動向や自社の企業業績に応じて広告費を増減する傾向にあるため、当社グループの業績は国内の景気動向全般に大きく影響を受ける傾向にあります。そのため、国内経済が低迷し、さらに深刻化した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社グループは、四国中国九州エリアを中心として地域に密着した事業を展開しているため、これら地域の個人消費や景気が低迷したり、異常気象および大規模な震災、感染症の拡大等により経済情勢が悪化した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおきましては、特定の業種・業態の顧客に依存しておらず、かつ、顧客も多分に分散されているため、売上高および仕入高を差し引いた売上総利益におきましては大きな変動はありません。しかしながら、10月から12月にかけての第3四半期にみられる年末商戦に合わせた広告需要や1月の年始広告需要等におきましては利益率の高い案件が多く、3月決算会社の年度末の広告活動や官公庁受託案件の収益計上などが3月の年度末にかけて重なるため、当社グループの経営成績につきましては年後半のウェイトが高い特徴があります。
当社グループにおきましては、毎月開催する経営会議の場におきまして、当社および子会社の今後3ヶ月の受注予測を確認するほか、週単位での進捗状況の把握につとめ、以降の対策に繋げておりますが、前述した景気の低迷や経済情勢が悪化し、特に、第3四半期以降の受注予測との乖離が生じた場合には当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおきましては、前述した業績管理のほかに、新規開拓に貢献した社員や斬新な企画提案を実行した社員に対する表彰制度を設け、毎年業績貢献賞として表彰し、従業員のモチベーションの維持を図り、市場環境や経営成績の季節的変動に関するリスクの低減に努めております。
② 市場環境の変化による競合激化について
当社グループの各事業エリアにおきましては、従来から地元有力広告会社や大手広告会社の地方拠点と競合状態にあります。また、広告制作技術の進展や広告代理店を通さない広告ビジネスの在り方の変化によって、広告ビジネスへの参入障壁が低下し、印刷会社やイベント会社など広告会社以外との競合も見られるようになりました。さらに、インターネットを中心とする新たなメディアを通じたコミュニケーション手段が発達したことにより、当社グループにおきましても年々インターネット広告の扱い高が増加しており、インターネットを専門に扱う企業との新たな競合も発生してまいりました。インターネットを活用した情報発信手段の多様化は、メディア環境の変化と、各企業のマーケティングコミュニケーション戦略の変化をもたらし、広告主の広告費投下に対する慎重な姿勢として広告会社に対する要望の多様化に繋がりました。
当社グループにおきましては、お客さまの企業価値向上に繋がるストーリーを共創することが重要であると考え、今後のグループの在り方を『マーケティングデザイン』と称し、①既存事業の事業基盤の再構築、②デジタルメディア提案力の強化、③地域創生の推進、④課題解決型営業の推進、⑤人材への投資、に取り組み、提供するサービスの充実、ならびに、地元企業としての特性を活かした営業活動や提案力の強化によって、競争力の維持および強化を図っておりますが、前述の競合激化によって広告の受注を確保できない状況が続いた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループにおきましては、インターネットを活用した広告活動を取り扱う子会社や他社との業務提携、ウェブ解析士の認定取得、ウェブ広告運用セミナーの開催などをとおしてインターネット広告の取扱いにも注力しておりますが、今後、こうした新しいメディアの発展によって既存メディアを活用した広告需要が低下した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 取引先との関係について
当社グループの販売先につきましては、拠点ごとに業種や広告手法等に一定の傾向はあるものの、特定の顧客に対する依存関係はありません。また、当社グループと広告主との間には、長年のお付き合いによる継続的かつ安定的な取引関係が成立していると考えております。
当社グループにおきましては、地域市場環境の変動や広告主との関係変化による影響を軽減するために、新規広告主の獲得を含め多業種にわたる顧客基盤の構築を図っておりますが、これらの対応が不十分な場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、マスコミ四媒体の広告売上高が約4割を占めており、今後ともマス媒体広告の販売を行う方針であります。当社グループにおきましては仕入先である媒体社との良好な取引関係維持に努めておりますが、媒体社との取引関係に変化が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、広告の企画や制作、広報活動、市場調査等において、業務を外部の協力会社に委託する場合があり、インターネット広告における広告効果測定などは高い専門的技術を要するため、そのほとんどを外部に委託しております。当社グループは、外部協力会社の情報や取引内容を事前に確認し良質な協力会社の選定をとおして委託業務遂行能力が高い優秀な協力会社との取引関係維持に努めておりますが、協力会社との取引関係に変化が生じ、当社グループが的確に対応できなかった場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
〔リテール事業に関するリスクについて〕
① 競合について
当社グループは、新しい事業領域の開発として地域商社ビジネスに取り組んでおり、通信販売事業としてオンラインショップ『ロコメル(LOCOMERU)』の運営等に努めるほか、店舗販売事業として徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場~ふるさと物産館~』の運営をとおして地域産品の販路拡大に取り組んでおります。
通信販売事業におきましては多数の競合会社が存在しており、また、店舗販売事業におきましても地方の産出する特産品などを販売する各物産館が多く店舗を構え、特に東京エリアにおいては競合店舗が数多く存在しております。
当社グループにおきましては、特色ある産品のセレクトや販売手法の工夫により商品点数や購入者数の増加に努め、販売する商品の差別化を図っておりますが、既存事業者や新規参入事業者を含めた競争が激化するほか、生活者の嗜好変化が生じた場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 商品に関する損害賠償について
当社グループは、新しい事業領域の開拓として地域商社ビジネスに取り組んでおり、その事業特性から他社の地域産品を数多く取り扱うとともに、当社グループが直接製造する製品も一部取り扱っております。当社グループにおきましては、取り扱う商品の品質については十分留意し、また、製造物責任賠償についても保険に加入し事業を遂行しておりますが、何らかの理由により予想外のリコールや製造物責任賠償につながるような問題が生じ、保険が最終的に負担する賠償額を充分にカバーできない場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
〔その他のリスクについて〕
① 人材の確保および育成について
当社グループは「物」としての特定の商品を販売しておらず、コミュニケーション効果の創造、すなわち顧客の課題解決につながる広告活動(コミュニケーション活動)という付加価値を販売しているため、当社グループの成長性および競争上の優位性の持続的な確保は、優秀な人材の獲得に大きく依存すると考えております。また、インターネットやモバイルなどの普及により、専門的知識を有する人材の確保が急務となっております。当社グループにおきましては、定期採用や即戦力となる中途採用の推進によって優秀な人材の獲得を図るほか、課題解決型営業力向上研修といった当社グループ戦略に沿った研修の開催や、若手営業及び企画社員スキルアップ研修の実施などによる人材育成に努めておりますが、何らかの理由により優秀な人材が流出するなどの事態が生じた場合、当社グループの競争力が低下し、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 法的規制等について
広告業に関連する法的規制として、景品表示法、屋外広告物法、著作権法、商標法、不正競争防止法、薬事法等があり、そのほかに、広告主や広告業者などの広告団体が定める自主規制があります。また、広告業そのものには業法規制はないものの、付随する業務に関して、建設業法、警備業法、労働者派遣法、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法などの法的規制の適用を受けております。その他、通信販売事業としてオンラインショップ『ロコメル(LOCOMERU)』の運営のほか、店舗販売事業として徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場~ふるさと物産館~』の運営に取り組んでおりますが、当該事業は特定商取引に関する法律や製造物責任法の法的規制の適用を受けております。当社グループにおきましては、個人情報の管理をはじめ、各種法改正については十分な注意を払い適切な対策を講じておりますが、各種法令の強化や解釈の変化に対して適切に対応できなかった場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの扱うサービスには、インターネット広告がありますが、昨今、プライバシー保護の観点から、企業が取得した個人データの利用に関してポリシーの策定などが要求されております。当社グループにおきましては、インターネット広告を専門に扱う拠点のホームページ上にプライバシーポリシーを掲載するなど対応を図っておりますが、個人データの取得や利用に関して規制が強化された場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事故の発生について
当社グループは、屋上看板や広告塔の設置などの屋外広告のほかに、イベントや式典の企画・運営・会場設営等を受注しております。これらの業務の実施にあたっては、警備業や一般建設業等に関し公的認可を受け、安全性の確保に充分配慮したうえで業務に取り組んでおりますが、不測の事故等が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等について
当社グループと媒体社との広告取引は、広告主からの受注に基づきますが、広告主の倒産等により広告料金を回収できない場合には、広告会社は媒体社および制作会社に対して媒体料金および制作費の支払債務を負担することになります。また、広告業界におきましては、広告内容の変更に柔軟に対処するため、慣行上、文書による契約がなじまない場合があります。現在、当社グループにおいて、これら営業取引上の訴訟・紛争は生じておりませんが、広告業界の取引慣行が認められず、今後何らかの要因によって当社グループが関係する訴訟・紛争等が発生した場合、広告主からの信頼の低下や損害賠償請求等により当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が昨年5月に5類へ移行し、社会経済活動の正常化が進んだことから、景気は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、不安定な国際情勢、資源・エネルギー・原材料価格の上昇や円安の進行などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
広告業界におきましては、経済活動正常化に伴う各企業のプロモーション活動の再開から広告需要が高まりを見せる中、経済全般のデジタル化の流れを背景に各企業ともデジタル技術を活用したプロモーション活動への関心が高い状況が続き、2023年の広告業の売上高は前年同水準の5兆6,674億円(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)となりました。
当社グループ商勢圏におきましても、昨年5月以降人流が活発化したことに加え、年後半には円安を背景としたインバウンド需要が徐々に回復したこともあって、広告出稿量につきましては概ね回復基調となりました。
このような環境の中、当社グループにおきましては、お客さまの経営課題の解決に繋がる戦略を設計し、共に実践するパートナーになることを『マーケティングデザイン』と称し、この基本概念のもと2022年4月に策定した『中期経営方針』に基づき、デジタル領域の拡大と新しい事業領域の開発に取り組んでまいりました。
当社グループにおきましては、利益率向上を意識した営業活動と内制化の推進を徹底いたしましたが、催事関係の利益率が伸び悩んだことと動画コンテンツの制作や配信等に関する外注費の計上があり、収益は2,050百万円(前期比97.3%)、売上総利益は1,570百万円(前期比96.0%)となり、売上総利益率につきましても1.0ポイント低下いたしました。
当連結会計年度におきましては、提案活動の活発化に伴い営業活動費用が増加したほか、徳島・香川トモニ市場の再開に向けた初期費用に加えて、新規事業における販売商品に関するプロモーション費用や営業力・提案力強化を目的とした社内DXの推進費用を計上したことから、販売費及び一般管理費が1,533百万円(前期比104.5%)となり、営業利益は37百万円(前期比22.5%)、経常利益は62百万円(前期比33.4%)となりました。
また、連結子会社の事業用資産に関して減損処理を行い固定資産の減損損失68百万円を特別損失に計上し、さらに、当社グループの繰延税金資産に関して43百万円を取り崩した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は74百万円(前期は136百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
○セグメント別の業績
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
(広告事業)
広告事業におきましては、活動指針『マーケティングデザイン』のもと、高度化するお客さまのご要望に対して新しい商品やサービスの提案を行い、より質の高いコミュニケーション効果の創造に努め、顧客基盤の拡大を図ってまいりました。また、デジタル領域の拡大策として、動画広告やSEO・MEO対策などデジタル領域の提案を切り口とした新規開拓に努めてまいりました。その結果、マーケティング分野へのデータ活用を積極的に提案したことから、インターネット広告の売上が順調な伸びとなったほか、外出機会の増加による旅行や催事に関連したプロモーション活動や、昨年10月下旬に愛媛県で開催された『第35回全国健康福祉祭えひめ大会~ねんりんピック愛顔のえひめ2023』、JR高松駅周辺の再開発に関するプロモーション活動、地元への就職・転職支援フェアの開催などが当社グループの売上の伸長を牽引いたしました。
しかしながら、催事関係の利益率が伸び悩んだことと営業活動費用の増加から、当社グループの広告事業収益は1,958百万円(前期比94.5%)、セグメント利益は63百万円(前期比36.9%)となりました。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業におきましては、新型コロナウイルス感染症への予防意識から利用者数の減少がありましたが、利用者確保に向けた積極的な営業に加え、きめ細かな入浴介護サービスに努めた結果、収益は29百万円(前期比93.9%)、セグメント損失は3百万円(前期は0百万円のセグメント利益)となりました。
(リテール事業)
リテール事業におきましては、昨年7月に事業を譲り受け、同8月から再開した徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場~ふるさと物産館~』の運営をとおして地域産品の販路拡大に取り組んでまいりました。同店舗におきましては、購入者数も順調に増え安定した売上を確保することができ、百貨店や大型量販店での展示販売にも挑戦いたしました。
こうした取り組みの結果、当社グループのリテール事業収益は63百万円(前期は3百万円の収益)、セグメント損失は23百万円(前期は9百万円のセグメント損失)となりました。
当社グループは、広範囲かつ多種多様にわたる広告業務サービスの提供を主たる事業としております。受注実績については、広告業務サービスの内容、構造、形式等が必ずしも一様でないため、その金額あるいは数量を記載しておりません。
また、当社グループは、地域密着型の通所介護施設の運営を行っておりますが、当該事業につきましては介護事業に該当し、主として個人を対象とした業務を行っておりますので、生産および受注実績はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
広告事業におきましては、外出機会の増加による旅行や催事に関連したプロモーション活動のほか、昨年10月下旬に愛媛県で開催された『第35回全国健康福祉祭えひめ大会~ねんりんピック愛顔のえひめ2023』、JR高松駅周辺の再開発に関するプロモーション活動、地元への就職・転職支援フェアの開催などがありましたが、原材料やエネルギー価格の高騰によって地元企業の広告出稿に対する姿勢は慎重なものとなり、販売額は前年同水準となりました。
ヘルスケア事業につきましては、2024年3月末をもってサービスの停止を予定していたこともあり、販売額は減少いたしました。
リテール事業につきましては、徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場~ふるさと物産館~』における購入者数の安定から販売額は堅調となりました。
当連結会計年度末における総資産は4,086百万円となり、前連結会計年度末に比べ130百万円の減少となりました。
資産の部では、現金及び預金の減少と受取手形及び売掛金の増加のほか、譲渡制限付株式報酬制度の導入に伴う前払費用の増加等があり、流動資産は前連結会計年度末に比べ183百万円減少し、2,057百万円となりました。また、高知県が発行するグリーンボンドへの投資による投資有価証券の増加と譲渡制限付株式報酬制度の導入に伴う前払費用の増加のほか、固定資産の減損処理による減少と繰延税金資産の取り崩しがあり、固定資産は前連結会計年度末に比べ52百万円増加し、2,028百万円となりました。
負債の部では、短期借入金の減少と1年以内返済予定の長期借入金の減少から、流動負債は前連結会計年度末に比べ95百万円減少し、1,566百万円となりました。また、長期借入金の返済を主な要因として、固定負債は前連結会計年度末に比べ92百万円減少し、589百万円となりました。
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ56百万円増加し、1,930百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上と期末配当金の支払いのほか、譲渡制限付株式としての自己株式の処分によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ234百万円減少し、541百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は50百万円(前連結会計年度は得られた資金265百万円)となりました。これは主に減損損失68百万円、売上債権の増加額33百万円、法人税等の支払額70百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は5百万円(前連結会計年度は得られた資金11百万円)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出25百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は178百万円(前連結会計年度は使用した資金106百万円)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出108百万円および配当金の支払18百万円によるものであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、営業取引上の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用のほか、保有資産の修繕費用、M&A資金等であります。
当社グループは、毎月の資金繰り計画に基づき、経常的運転資金については短期的な銀行借入により、設備投資や企業買収資金などの経営戦略的事業資金については、原則、長期的な銀行借入によって資金調達することを基本としております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
○経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの経営成績は、収益2,050百万円(前期比97.3%)、営業利益37百万円(前期比22.5%)、経常利益62百万円(前期比33.4%)、親会社株主に帰属する当期純損失74百万円(前期は136百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当社グループの経営成績につきましては、外注費を除く諸費用については変動が少ないため、総売上高(※1)の増減が獲得する売上総利益の額に影響し、売上総利益の獲得状況が営業利益、経常利益の獲得に影響してまいります。
当社グループ商勢圏におきましても、昨年5月以降人流が活発化したことに加え、年後半には円安を背景としたインバウンド需要が徐々に回復したこともあって、広告出稿量につきましては概ね回復基調となりました。このような環境の中、当社グループにおきましては、お客さまの経営課題の解決に繋がる戦略を設計し、共に実践するパートナーになることを『マーケティングデザイン』と称し、この基本概念のもと2022年4月に策定した『中期経営方針』に基づき、デジタル領域の拡大と新しい事業領域の開発に取り組んでまいりました。デジタル領域の拡大につきましては、動画広告やSEO・MEO対策などデジタル領域の提案を切り口とした新規開拓に努めるとともに、マーケティング分野へのデータ活用を積極的に提案したことから、インターネット広告の売上は順調な伸びとなりました。新しい事業領域への取り組みといたしましては、昨年7月に事業を譲り受け、同8月から再開した徳島県および香川県の物産販売店舗『徳島・香川トモニ市場~ふるさと物産館~』の運営をとおして地域産品の販路拡大に取り組んでまいりました。同店舗におきましては、購入者数も順調に増え安定した売上を確保することができ、百貨店や大型量販店での展示販売にも挑戦いたしました。当連結会計年度におきましては、外出機会の増加による旅行や催事に関連したプロモーション活動のほか、昨年10月下旬に愛媛県で開催された『第35回全国健康福祉祭えひめ大会~ねんりんピック愛顔のえひめ2023』、JR高松駅周辺の再開発に関するプロモーション活動、地元への就職・転職支援フェアの開催などが当社グループの売上の伸長を牽引いたしました。以上の結果、総売上高につきましては増加いたしました。
利益面につきましては、利益率向上を意識した営業活動と内制化の推進を徹底いたしましたが、催事関係の利益率が伸び悩んだことと動画コンテンツの制作や配信等に関する外注費の計上があり、収益は2,050百万円(前期比97.3%)、売上総利益は1,570百万円(前期比96.0%)となり、売上総利益率につきましても1.0ポイント低下いたしました。
当連結会計年度におきましては、提案活動の活発化に伴い営業活動費用が増加したほか、徳島・香川トモニ市場の再開に向けた初期費用に加えて、新規事業における販売商品に関するプロモーション費用や営業力・提案力強化を目的とした社内DXの推進費用を計上したことから、販売費及び一般管理費が1,533百万円(前期比104.5%)となり、営業利益および経常利益は減少いたしました。また、連結子会社の事業用資産に関して減損処理を行い固定資産の減損損失68百万円を特別損失に計上し、さらに、当社グループの繰延税金資産を取り崩した結果、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても減少いたしました。
(※1)総売上高は、当社グループの営業活動によって得た販売額の総額であります。『収益認識に関する会計基準』に準拠した指標ではありませんが、投資者が当社グループの事業規模を判断するうえで重要な指標であると認識し、従前の企業会計原則に基づき算出し、参考情報として開示しております。
(※2)売上総利益率=売上総利益/総売上高
○財政状態およびキャッシュ・フローの分析
当連結会計期間末における総資産は4,086百万円となり、前連結会計年度末に比べ130百万円の減少となりました。
当社グループにおきましては、多額の設備投資を必要とする業種ではないため、前述したように総売上高の増減が利益獲得額に影響するとともに、財政状態につきましては、売上のほか仕入を含めた営業取引量の増減が売掛債権および仕入債務の増減等に繋がり、財政状態へ影響を与えることになります。
当連結会計年度末におきましては、大型イベント案件の売掛金回収が当連結会計年度末にあったことから受取手形及び売掛金の増加が33百万円に留まったことと、仕入債務の減少が2百万円となったこと、ならびに、前述した固定資産の減損損失の計上68百万円から、営業活動によって使用した資金は50百万円となり、営業活動によるキャッシュ・フローは悪化いたしました。
当連結会計年度におきましては、当社グループ所有の投資不動産の賃貸による収益等がありましたが、高知県グリーンボンドへの投資等から投資有価証券の取得による支出が25百万円となり、当連結会計年度末における投資活動により使用した資金は5百万円となりました。また、当該有価証券の購入のほか譲渡制限付株式報酬制度の導入に伴う前払費用の増加があり、固定資産は前連結会計年度末に比べ52百万円増加いたしました。
当連結会計年度におきましては、業績に連動した当社グループ資金繰り改善に伴う運転資金の借り入れ(短期借入金および長期借入金)返済から、財務活動により使用した資金は178百万円となり、あわせて、固定負債が92百万円減少しております。
以上の活動を主な要因として、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ234百万円減少し、541百万円となりました。
当社グループにおきましては、このように経営成績の成果としての総売上高および利益の獲得額が当社グループの財政状態ならびにキャッシュ・フローへ影響し、その度合いも高いため、経営方針と経営戦略の実現を目指し、前述した経営課題に取り組んでまいります。
なお、当社グループにおきましては、手元現預金に加え、借入枠の利用が可能であり、当面の資金繰りに関して懸念事項はありません。
特記すべき事項はありません。
該当事項はありません。