第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する」をパーパス(存在意義)として位置づけ、このパーパスを体現し、持続的成長を実現するために、提供するサービスの価値を高めることはもちろんですが、社員一人一人の市場価値を高め、顧客に必要とされる人材になれるよう様々な取組を行いながら、社会全体の幸福度を高めていけるようなサービスを提供していくために事業を営んでおります

 


 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、ソーシャルメディアの普及やモバイルデバイスの技術革新を背景に生活者の情報接点が変化しており、TV・新聞・雑誌・ラジオのいわゆる4大マスメディアからSNS・動画配信サービス・ブログ等といった生活者が自ら情報を発信できるものへ移行しつつあります。情報量が急激に増加し、さらに顧客ニーズが多様化している中で既存の媒体や手法にとらわれずに顧客の価値を高めていく必要があると考えております。いつでも誰でもありとあらゆる情報へのアクセスが可能となる一方で、デマやフェイクニュースなど誤情報が社会的問題として指摘される現在において、発信される情報の正しさに正しい価値を発信することが重要な命題になると考えております

情報取得方法の多様化に伴い変化する顧客のニーズに応えるため、前連結会計年度においてアズ・ワールドコムジャパン株式会社の株式を取得し子会社化し、顧客の課題や要望に応じてカスタマイズしたPR戦略を提供できる体制を整えております。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、主な経営指標として売上高、営業利益を特に重視しております。また、KPI(Key Performance Indicators)として、適正な人員規模、教育体制による事業運営に努めてまいります。

 

 

(4) 経営戦略

当社グループは、変化し続けるメディア環境や技術の進化に対応しながら顧客のニーズに対応したサービスを積極的に取り込みながら高品質なサービスをワンストップで提供する体制の強化に取り組んでおります。今後も市場の動向や技術の進歩も踏まえながら将来にわたってより安定的かつ効率的な収益を確保できるサービスの開発に取り組み、顧客のPR戦略を総合的にサポートできる事業強化を継続的に進めることで、業界における競合優位性を強化し企業価値の向上に取り組んでまいります。

当社グループにおける他社への優位性は、「社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する」という当社グループ理念を共有する創造力と実行力を兼ね備えた多彩な人財によって発揮されます。そうした人財の確保・育成は最も重要な経営課題のひとつであり、他社にはない魅力的な職場環境や働き方、福利厚生制度をいち早く実現することは当社グループの成長と発展のためには欠かせないものとなっております。

今後は、積極的な採用活動(新卒・中途)を継続しながら、若手層の即戦力化を推進するトレーニングメニューの拡充とミドルレンジ層のマネジメント力強化、次世代経営層向けエキスパートプログラムの稼働等、全ての層における育成強化を図ることで、当社グループの今後の成長を見据えた組織体制の盤石化を図ってまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(4)に記載の、経営方針及び経営戦略を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

人材の確保及び育成強化

当社グループでは、今後の成長戦略を着実に遂行していくためには、営業や制作を担当するスタッフ及び管理職の確保と育成強化が必須であると認識しております。即戦力となる中途採用を強化するとともに、将来の経営幹部となる人材の確保のために積極的に新卒採用を進めていく方針であります。

 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 組織・管理体制の強化

経営環境の変化に対し、柔軟かつ迅速な意思決定を機動的に対応できる組織作りを目指し、経営効率化の観点から、管理部門の生産性向上に努めてまいります。

また、管理部門の人材確保と育成強化を充実させ、今後は株主を始めとするステークホルダーに対して、適時、的確な情報を開示するとともに、財務報告の適正性や経営を継続していく上でのコンプライアンス体制を強化し、企業としての社会的責任に応えてまいります。

 

② 新しい広報・PR手法の開発

PR業界においては、多様化するメディア環境を背景に、企業・団体において広報・PR活動の重要性に対する認識が一層高まっており、潜在市場における新しいニーズに対応するために新しい広報・PR手法の開発が課題となっております。そのためには、顧客ニーズを的確に捉え、その要望を入念に吟味しながら、顧客価値の向上を目指した継続的なサービス機能の拡充に努めてまいります。

 

③ サービスの認知度向上

当社グループが、今後も高い成長率を持続していくためには、サービスの認知度を向上させ、新規顧客を獲得することが必要不可欠であると考えております。そのため、今後は積極的な広告推進等を通じてサービスの認知度向上を図るとともに、新規顧客の獲得に向けて、マーケティングの強化や紹介パートナーの拡大等、営業機能の強化に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは「社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する」ことをパーパスとし、持続可能な社会の実現と社会貢献・企業価値の向上を目指しております。継続的なサービス提供及び持続的な成長を目指すにあたり、サステナビリティへの取組は重要な経営課題として捉えております。

 

(1)ガバナンス

当社グループは社内のIR/ESG戦略室において、サステナビリティに関連するリスクと機会を分析・監視します。また、基本方針や重要課題の特定、重要課題に関する指標、目標の設定や進捗管理、サステナビリティ関連情報開示等に関する審議を行い、半期に一度、取締役会へ報告いたします。

 

(2)戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは、人材こそが最大の資産であると考えております。個人が持つバックグラウンドに関わらず、当社グループの属する業界への貢献度が高く、当社グループの事業に共感を得られる人材に積極的に投資を行っております。経営者及び管理職で構成される経営会議(毎月開催)において、定期的に人的資本の多様性に関する指標を共有し、課題の議論及び改善に向けての方針の提示を実施しています。

さらに、人事部とは別に、営業部門に教育機関を設け、新卒採用・中途採用の人材が独り立ちするまで、OJT形式で研修を行うカリキュラムを採用し、オンボーディングさせることにより、競争力の強化と離職防止にも対応しております。

 

(3)リスク管理

「事業等のリスク(7)人材採用及び教育について」に記載のとおり、人材の確保とその教育をリスクとして識別しております。当該リスクに対して新卒採用及び中途採用の強化を行っております。

 

(4)指標及び目標

現在、女性、外国人、中途採用者等の区分での管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後検討してまいります。

 

(5)人材の育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループは、少子高齢化により国内の労働人口が減少する中、優秀な人材確保に努めるとともに、従業員の能力を最大限に発揮できる職場環境を整えており、入社年数、年齢、国籍、性別等を区別することなく、能力のある優秀な従業員が平等に管理職登用への機会が得られるような人事制度を整備しております。

さらにチャレンジ精神のある従業員を評価するため、処遇面における公正性、透明性を確保し、成果を出した従業員がさらにチャレンジできるように適切かつ公平な仕組みを提供しています。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらの事項が発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容を併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。なお、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しておりますが、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。また、本項における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した時に当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社はリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。

 

(1) 景気の変動について

PR業界の景況感は慎重な傾向があります。企業のPRに関連する予算は景気変動の影響を受けやすく、当社グループの売上高は当該予算の影響を受けるため、当社グループでは顧客のニーズを掘り起こす活動を積極的に行ってまいりますが、景気の悪化等が進む場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 当社グループの新規事業開発について

当社グループは独自の企画による事業開発で競合他社との差別化を図っており、今後も時代のニーズに応えた当社グループ独自の施策の立案に取り組んでまいります。新規事業への取組に際しては、業界や競合他社の情報の収集及びマーケット動向調査や分析等を十分に行った上で実行判断をすることとしておりますが、これらの施策が必ずしも顧客に受け入れられる保証はなく、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 競合他社の状況及び新規参入について

当社グループのPR事業において、新規参入事業者は絶えず発生しておりますが、一見の新規参入事業者による多様なメディアリレーションの構築は一朝一夕で実現できるものではないため、参入障壁は高いものと判断しております。しかしながら、今後、さらなる他社の新規参入により競争が激化し、当社グループがこれらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが新規事業を開始する際には、インターネット環境、モバイル機器の進化の状況、SNSやブログ等の利用状況といった情報環境の調査を綿密に行った上で事業開始の意思決定をしております。しかしながら、事業開始後に当該環境の変化や、同業他社等の新規参入があった場合、そこに新たな競合関係が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法的規制について

① 下請代金支払遅延等防止法について

当社グループは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用対象となる取引につき事業者に委託を行う場合は、当該取引の相手方が資本金5,000万円以下の法人事業者であるか、又は個人事業者である場合、下請法の適用があります。当連結会計年度末現在、下請法に違反する事象は生じておりませんが、下請法違反の状態は各取引担当従業員の判断によって発生する可能性があり、下請法の禁止事項に抵触しないための社内体制整備を進めておりますが、今後、下請法違反が発生し損害賠償請求等を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 著作権等の知的財産権の侵害について

当社グループは、制作物の制作にあたり、第三者の著作権等の知的財産権を侵害することがないように細心の注意を払っており、今までに第三者の知的財産権を侵害するような重大な問題が生じた事実はありません。しかしながら、知的財産権の対象は社会や技術の発展とともに増加していくため、網羅的に調査することは難しく、今後、第三者の知的財産権を侵害するような問題が生じて、損害賠償請求等を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報について

当社グループは顧客満足度向上のために、多数の顧客情報を保有していることから「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、個人情報の取扱いに関して一定の義務を負っております。そのため当社では、個人情報取扱管理規程を策定し、社内の管理体制には万全を期しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような問題が発生した場合、当社グループの信用低下による売上高の減少や損害賠償による費用の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)について

当社グループは、顧客である医療機関からの委託を受けて、当該医療機関のために医療法上の規制対象である「広告」を行う場合があり、当該広告を行うにあたっては、同法及びこれを受けて策定された医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。医療法等の適用がある広告を行う場合には、その都度、医療広告ガイドラインに則して違法な広告とならないかをチェックしており、違法の問題が生じないように社内体制を整備しておりますが、今後、違法な広告により損害賠償請求等を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 取引慣行について

当社グループの事業においては、一定期間にわたって継続的に取引が発生する場合においては、業務委託時に契約文書を締結しております。一方、スポット業務の発注等においては、業界の慣習上、引合いから活動開始に至るまでの時間が極めて短期間で進行する場合があり、契約文書を締結しないまま業務を委託する案件もあります。当社グループは、契約文書を締結しない場合においても、注文書や受注に関するメールログ等の受注記録を必ず保存することにより取引先との間で受注内容の齟齬を生じさせない対応を徹底しておりますが、取引先との認識の食い違い等により当社グループの業務に対し取引先との取引が成立しない事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) サーバー利用契約について

当社グループのPR事業において提供するサービスには、レンタルサーバーの利用を基本とするメディアがあります。新規サービス開始の際には、レンタルサーバーが安定して利用できるような確認を行っておりますが、レンタルサーバーを提供する業者が破綻等の状態に陥り、レンタルサーバーの継続的使用が困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材採用及び教育について

当社グループが安定的な成長を確保していくためには、優秀な人材の確保が必要であります。当社グループの経営理念を理解し、賛同できる人材の確保を重要課題として、新卒採用だけでなく、異業種を含めた中途採用等、優秀な人材の獲得に取り組んでおります。また、人材教育に関しては、実践を通じた教育を通し、プロフェッショナルとなり得る人材を育成しております。しかしながら、当社グループの経営理念を理解し、賛同できる人材の確保及び教育が追いつかない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 制作費の高騰について

当社グループのPR事業において提供するサービスには、質の高いコンテンツを制作するサービスがありますが、質の高いコンテンツを制作するには、高度な技術が必要とされるため、人件費や外注費等が高騰する場合があります。今後、制作に関連する人件費や外注費等がさらに高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 売掛金の回収について

当社グループは、売掛金の回収にあたり、一部を決済代行会社に委託しております。代金回収の手数料は契約によって定められておりますが、当該手数料の変動、又は何らかの事態が発生して当該契約が終了した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 情報システムについて

当社グループのサービスや社内管理システムは、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、社内管理体制の充実と教育を推進し、情報技術の進歩や社会情勢の変化に応じて、見直しや改善を実施し、万全を期した体制を整えております。しかしながら、自然災害等偶発的な事由によりネットワークの機能が停止した場合、サービス提供に支障が生じる可能性があります。また、外部からの不正な手段によりコンピュータ内へ侵入され、重要なデータの不正利用、コンピュータ・ウイルスの感染により重要なデータが消去される可能性があります。このような状況が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 特定の役員への依存について

当社の創業者である代表取締役社長本田幸大氏は、当社の最高責任者であり、事業の立案や実行等会社運営において多大な影響を与えてまいりました。

現在当社では、事業拡大に伴って権限の委譲や業務分掌に取り組み、同氏への依存度は低下しつつありますが、不慮の事故等により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 内部管理体制について

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには実効的なコーポレート・ガバナンスの実現が不可欠であると認識し、そのために、会社の業務執行が法令及び定款に適合することを確保するための内部管理体制を構築しております。しかしながら、社歴が短く、事業が急速に拡大しているため、例外的な事象には内部管理体制が追いつかない可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とした新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、新株式が発行され、株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。当連結会計年度末現在、これらのストック・オプションによる潜在株式数は399,200株であり、当連結会計年度末現在の発行株式総数7,268,200株の5.49%に相当しております。

新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

(14) 自然災害等のリスクについて

大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、当社グループ及び当社グループ取引先の事業活動が困難となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 調達資金の使途について

当社は2021年6月18日に東京証券取引所マザーズに上場し、それに伴う公募増資及び第三者割当増資により資金調達を行い、主に事業拡大のための採用活動費、人件費及び広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、当社が属する業界の環境が急激に変化することも考えられ、その場合、現時点で計画している資金使途以外へ充当する可能性及び当初の想定していた投資効果をあげられない可能性があります。

 

 

(16) メディアとの関係について

当社グループにおいては、メディアとの継続的かつ良好な関係を維持することが、顧客へ提供するサービスの品質・効果における重要な要素となります。当社グループは、メディア各社に対し有用な情報を長期的かつ継続的に提供することにより、メディア各社との信頼関係を構築してまいりましたが、当社グループが誤った情報の提供等により、メディアとの信頼関係を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 投資ファンドに関するリスクについて

当社グループは船舶投資ファンド等を保有しており、為替等金融市場の影響を受けます。金融市場の動向によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 与信管理と債権回収について

当社の主な顧客は法人、医療機関であり、顧客数は多数に及びます。顧客との取引開始前には与信調査を行い、取引期間中も継続して与信調査を行っております。また取引開始の際には前受金として事前に対価を受領する方針としており、与信リスクの低減に努めております。しかしながら、取引期間中に何らかの事情により顧客の与信が急激に悪化し、同時多発的に多額の債権回収が困難となった場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 検索エンジンへの依存について

当社グループのPR事業のうち、ダイレクトブランディングサービスはYahoo!やGoogle等の他社が運営する検索サイトの検索結果に依存したサービスを提供しております。そのため、検索サイトの運営会社の事業戦略の転換等によって、当社グループが検索結果を利用できなくなり、サービスが展開できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサービスに関係のある検索サイトの利用者数減少や市場ニーズの変化、技術革新による代替サービスの登場、検索ユーザーの用途の変化や、検索ユーザーの減少等によるマーケティング媒体としての価値の低下が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらに対し当社グループでは、検索エンジンにおける検索結果を継続的にモニタリングし、検索アルゴリズムの変更に際して迅速に対応できるよう努めております。

 

(20) 大株主について

当社の代表取締役社長本田幸大氏は、同氏の資産管理会社である株式会社S&Sホールディングスの所有株式を含めると、当連結会計年度末現在において当社グループの発行済株式総数の58.94%を所有しております。

同氏は、中長期的に安定株主として一定の議決権比率を維持するとともに、その議決権行使にあたっては少数株主の利益にも配慮しつつ株主共同の利益を追求する方針です。しかしながら、将来において何らかの事情により大株主である同氏の議決権比率が低下した場合、当社株式の市場価格や議決権の行使状況等に影響を及ぼす可能性があります。さらに、特定の相手先へ当社株式の譲渡を行った場合には、当該譲渡先の方針により、当社グループの事業戦略等に影響を与える可能性があります。

 

(21) 特定のオウンドメディアへの依存について

当社の売上高総額に占める「KENJA GLOBAL」及び「私のカクゴ」等のオウンドメディアに係る売上高の割合は、2022年5月期30.85%、2023年5月期24.74%、2024年5月期21.33%であり、当社の売上高総額の一定の比率を占めている状況にあります。当社は、TV局・新聞社等の外部の提供可能な複数のメディアと提携しており、これらの代替的なメディアの売上比率を増加していくことで、当該依存度の低下を図っていく方針であります。しかしながら、何らかの事情によりオウンドメディアの売上高及び利益が急速に悪化し、かつ、代替メディアへのサービス変更が追いつかない場合は当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当社グループは、前連結会計年度が連結初年度であり、また、連結子会社のみなし取得日を前連結会計年度末日としていることから、前連結会計年度においては、貸借対照表のみを連結しているため、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。そのため、経営成績及びキャッシュ・フローに関する記載については、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

また、2023年3月24日(みなし取得日2023年5月31日)に行われたアズ・ワールドコムジャパン株式会社との企業結合について、前連結会計年度末において暫定的な会計処理を行っていましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、インバウンド需要の拡大や雇用環境の改善など社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復傾向がみられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の悪化、急激な為替相場の変動や物価高騰などにより、依然として先行きが不透明な状況が続いております。このように経済環境や社会情勢が変化する中で企業、医療機関における経営課題は益々複雑化しております。

 このような環境下において、当社グループは「社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する」ことをパーパス(存在意義)として位置づけ、このパーパスを体現し、持続的成長を実現するために「あらゆる価値を可視化する」ことをミッションとして、企業価値向上に取り組んでおります。

 業種、企業規模に関わらず、あらゆる企業や団体等にPRサービスを提供し、魅力ある情報を世の中に伝え、社会全体の幸福度を高めていくことを目指してサービス展開をしており、前連結会計年度にはアズ・ワールドコムジャパン株式会社を子会社化し、新たに戦略PRをサービスに加えることでより幅広いサービスの提供が可能な体制を構築してまいりました。

 この結果、当連結会計年度の連結売上高は3,267,043千円となりました。利益面においては、営業利益1,045,419千円、経常利益1,078,370千円、親会社株主に帰属する当期純利益749,011千円となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、当社グループの報告セグメントは、従来「PR事業」のみの単一セグメントでありましたが、前連結会計年度末 より、アズ・ワールドコムジャパン株式会社の全株式を取得し、新たに連結の範囲に含めたことに伴い、単一セグメントから「ダイレクトブランディングサービス」、「ストラテジックPRサービス」、「PRプラットフォーム サービス」の3区分に変更しました

 

(1)ダイレクトブランディングサービス

 ダイレクトブランディングサービスにおきましては、コロナ禍以降の人材の流動化の影響を受け、人材確保に苦戦を強いられたため、前年比399,996千円減少となりましたが、オウンドメディアの新規顧客開拓に注力を行い、新規売上に占めるオウンドメディアの割合を前年より9.5%拡大し、外的要因に影響されない基盤づくりを行いました。また、既存顧客の継続率向上に努め、前年より2.3%向上しております。

この結果、売上高は2,683,750千円、セグメント利益は978,022千円となりました。

 

(2)PRプラットフォームサービス

 PRプラットフォームサービスにおきましては、プラットフォームサイトの機能開発強化やユーザビリティ向上に努め、さらなる顧客利便性の追求及び付加サービスの拡充等により顧客数の拡大に取り組みました。

この結果、売上高は380,502千円、セグメント利益は70,238千円となりました。

 

 

(3)ストラテジックPRサービス

 ストラテジックPRサービスにおきましては、売上高242,492千円、セグメント利益は14,360千円となりました。

 

b.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は5,054,743千円であります。前連結会計年度末と比較いたしますと、439,121千円減少しております。これは主に、自己株式を取得したこと、配当金の支払いをしたこと及び法人税等を納付したこと等により現金及び預金が545,612千円減少したこと等によるものであります。

 

  (負債)

当連結会計年度末における負債合計は697,447千円であります。前連結会計年度末と比較いたしますと、632,494千円減少しております。これは主に、買掛金が356,337千円減少したこと及び未払法人税等が156,816千円減少したこと等によるものであります

 

  (純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は4,357,296千円であります。前連結会計年度末と比較いたしますと、193,373千円増加しております。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により749,011千円増加したものの、自己株式の取得により297,280千円減少したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は3,538,211千円となり、前連結会計年度末と比較し、520,562千円減少しました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりです。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、230,678千円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,078,370千円、買掛金の減少による資金の減少356,337千円、法人税等の支払額499,291千円等によるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、165,454千円の支出となりました。これは主に投資事業有限責任組合出資の払戻による収入304,619千円、投資有価証券の取得による支出300,000千円、貸付けによる支出144,700千円等によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、585,786千円の支出となりました。これは主に自己株式の取得による支出299,256千円、配当金の支払額259,474千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載にはなじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載にはなじまないため、記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ダイレクトブランディングサービス

2,683,750

PRプラットフォームサービス

380,502

ストラテジックPRサービス

202,792

合計

3,267,043

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.前連結会計年度は連結損益計算書を作成していないため、前年同期比は記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、3,267,043千円となりました。売上高の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(売上原価及び売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、外注費の減少等により613,566千円となりました。この結果、売上総利益は2,653,477千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,608,057千円となりました。これは主に人員増加に伴う人件費や営業拠点の増床に伴う地代家賃の増加によるものです。この結果、営業利益は1,045,419千円となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当連結会計年度において、匿名組合投資利益25,637千円等により営業外収益が42,613千円、投資事業組合運用損2,774千円等により営業外費用が9,662千円発生しております。この結果、経常利益は1,078,370千円となりました。

 

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は329,359千円となりました。この結果、当期純利益は749,011千円となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、メディア掲載枠の仕入、映像制作及び記事制作に係る外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金は必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。

なお、当連結会計年度末において、現金及び現金同等物は3,538,211千円であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

当社グループは、「社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する」をパーパスに掲げ、事業を拡大してまいりました。

当社グループがこのパーパスの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等)」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益を重視しております。当事業年度における各指標の計画比の達成率は以下のとおりであり、引続き計画達成に向けて対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。

 

 

2024年5月

(計画)

2024年5月

(実績)

2024年5月

(達成率)

売上高

3,204百万円

3,267百万円

102.0%

営業利益

1,018百万円

1,045百万円

102.7%

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。