独立監査人の監査報告書

 

 

 

2024年8月26日

西川ゴム工業株式会社

取締役会 御中

有限責任 あずさ監査法人

 

広島事務所

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

尾  﨑  更  三

 

 

 

指定有限責任社員
業務執行社員

 

公認会計士

三  好    亨

 

 

 

<財務諸表監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている西川ゴム工業株式会社の2023年4月1日から2024年3月31日までの第75期事業年度の財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、西川ゴム工業株式会社の2024年3月31日現在の財政状態及び同日をもって終了する事業年度の経営成績を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当事業年度の財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない

 

 

 

ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.に対する関係会社貸付金の評価及び債務保証に関する会計処理の妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 西川ゴム工業株式会社(以下「会社」という。)の2024年3月31日に終了する事業年度の貸借対照表において、関係会社長期貸付金2,011百万円が計上されている。注記事項「(重要な会計上の見積り)1 貸付金及び債務保証損失の評価」に記載のとおり、この関係会社長期貸付金は、メキシコ合衆国において自動車用部品の製造及び販売事業を営む子会社であるニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.(以下「NSM」という。)に対する貸付金であり、総資産の2.2%を占めている。また、会社はNSMの金融機関からの借入金4,466百万円について債務保証を行っている。NSMは、当事業年度まで継続して営業損益がマイナスとなっており、財政状態が悪化している。

 

 注記事項「(重要な会計方針)4 引当金の計上基準(1)貸倒引当金」に記載のとおり、貸付金を含む貸倒懸念債権等の特定の債権は、個別に見積もった回収不能見込額を貸倒引当金として計上することで評価している。また、債務保証については、被保証先の財政状態を勘案し、損失の発生可能性が高い場合、損失見積額を債務保証損失引当金として計上することになる。

 

 会社は、NSMの財政状態及び経営成績を勘案し、NSMに対する貸付金の評価及び債務保証に係る損失を見積もっている。また、会社は、NSMの棚卸資産に関する修正処理を行ったことを理由に、2023年3月期の有価証券報告書の訂正報告書を2024年8月26日に提出している。このため、NSMの棚卸資産に関する修正処理の内容がNSMに対する貸付金の評価及び債務保証に係る損失の見積りに与える影響を検討する必要があり、この修正処理の内容を踏まえた会計上及び監査上の判断が求められる。

 

以上から、当監査法人は、ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V. に対する関係会社貸付金の評価及び債務保証に関する会計処理の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

 当監査法人は、ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V. に対する関係会社貸付金の評価及び債務保証に関する会計処理の妥当性を検討するため、NSMの経営者及び会社のグループ会社統制を担う取締役管理統括本部長に対して、NSMの財政状態及び経営成績について質問するとともに、NSMの財務諸表の内容を検討した。

 

NSMの財務諸表を検討するに当たり、その財政状態及び経営成績に影響を与えた修正処理の内容を把握するため、連結財務諸表の監査報告書における監査上の主要な検討事項「ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.における棚卸資産の過大計上に関する修正処理の妥当性」の監査上の対応に記載した手続のうち、NSMに関する手続を実施した。

 

 以上の手続を実施したうえで、NSMに対する関係会社貸付金の評価及び債務保証に関する会計処理について、注記事項を含む表示が適切か否かを検討した。

 

 

 

 

ニシカワ・クーパーLLCに対する債務保証に関する会計処理の妥当性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 西川ゴム工業株式会社(以下「会社」という。)の2024年3月31日に終了する事業年度の財務諸表に係る注記事項「(重要な会計上の見積り)1 貸付金及び債務保証損失の評価」に記載のとおり、会社はニシカワ・クーパーLLC(以下「NISCO」という。)の金融機関からの借入金5,102百万円に対して、債務保証を行っている。

 

 債務保証に関する会計処理は、被保証先の財政状態を勘案し、損失の発生可能性が高い場合、損失見積額を債務保証損失引当金として計上することになる。

 

 会社は、NISCOの財政状態、経営成績及び中期事業計画を基礎として見積もられた将来キャッシュ・フローを勘案し、債務保証に係る損失を見積もっている。NISCOの中期事業計画には、以下の不確実性が高い仮定が含まれていることから、これらの主要な仮定に係る経営者の判断は、将来キャッシュ・フローの見積りに重要な影響を及ぼす。

 

● 市場動向に応じた販売数量の増減予測

 

● 高騰した原材料価格の販売価格への転嫁の見込み

 

● 原材料費及び労務費の原価低減の見込み

 

 以上から、当監査法人は、ニシカワ・クーパーLLCに対する債務保証に関する会計処理の妥当性が、当事業年度の財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

 当監査法人は、ニシカワ・クーパーLLCに対する債務保証に関する会計処理の妥当性を検討するため、主に以下の手続を実施した。

 

(1) NISCOの財政状態及び経営成績の検討

NISCOの経営者及び会社のグループ会社統制を担う取締役管理統括本部長に対して、NISCOの財政状態及び経営成績について質問するとともに、NISCOの財務諸表の内容を検討した。

 

(2) NISCOの将来キャッシュ・フローの検討

NISCOの将来キャッシュ・フロー算定の基礎となった中期事業計画について、この計画に含まれる主要な仮定の適正性を検討するため、連結財務諸表の監査報告書における監査上の主要な検討事項「ニシカワ・クーパーLLCの固定資産の減損損失の認識の要否に係る判断の妥当性」の監査上の対応に記載した手続を実施した。

 

 以上の手続を実施したうえで、NISCOに対する債務保証について、注記事項を含む表示が適切か否かを検討した。

 

 

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査等委員会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

財務諸表に対する経営者及び監査等委員会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査等委員会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する財務諸表の注記事項が適切でない場合は、財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた財務諸表の表示、構成及び内容、並びに財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

監査人は、監査等委員会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査等委員会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査等委員会と協議した事項のうち、当事業年度の財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

報酬関連情報は、連結財務諸表の監査報告書に記載されている。

 

利害関係

会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない

 

以 上

 

 

(注) 1 上記は監査報告書の原本に記載された事項を電子化したものであり、その原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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