当社は2021年に『西川ゴムグループ 2025年中長期経営計画』を策定・公表し、目標に向けてスタートを切りました。しかしながらその後の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックの長期化や、半導体の不足、ウクライナへのロシア侵攻開始、記録的な円安など、これまでに無い大きな外部環境の変化に見舞われました。しかしステークホルダーの皆様のご支援により、これらの苦境を乗り越える事ができました。
それら複雑に変化した経営環境に、グローバルでフレキシブルに対応すると同時に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を取り入れ、SDGsやESGなどのサステナブル経営との融合性を高めて、当社の企業価値向上と持続可能な社会に貢献すべく、ここに新たな『2030年 グローバル中長期経営計画』を策定いたしました。
今後当社は『全員経営』と『弾力発想。』で新たな目標に向けスタートいたします。
『2030年 グローバル中長期経営計画』ロードマップ



2030年中長期 財務目標(連結)
当社は、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、自社の資本コストを把握し、それを上回る収益性を目指すべく、ROEに加えて、新たに連結ROICを経営のKPIとして追加しました。これらの目標を達成することで、さらなる企業価値の向上を目指します。

※1 当社は従来、株主資本を分母としたROEを目標としておりましたが、今後は自己資本を分母としたROEに変更し、株主資本コストを上回るROEを目指します。
※2 当社は従来、総資産営業利益率(ROA)を経営指標としておりましたが、資本コスト経営導入に際し、投下資本利益率(ROIC)を新たな指標として設定し、加重平均資本コスト(WACC)を上回るROICを目指します。
2030年に向けた主な取組み
サステナブル経営の推進(非財務目標)
当社は、下記のプロセスを経て重要課題(マテリアリティ)を特定し、新たに目標項目と目標値を定めました。

社内調査報告書への対応
当社は2024年8月16日付「当社連結子会社における棚卸資産の計算等に関する調査結果及び再発防止策の策定に関するお知らせ」において公表しましたとおり、ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.において棚卸資産の計算等に関して疑義が生じた背景および原因について、外部の専門家の協力を得て社内調査を進めてまいりました。
その結果、棚卸資産に関する単価・数量・決算整理仕訳の誤り等による棚卸資産の過大計上が判明いたしました。
その原因については、①試算表と在庫明細の差異に係る手入力仕訳の査閲・承認が適切に行われていなかったこと、②本件子会社で使用する在庫管理システムにおける棚卸資産の単価設定を変更できるアクセス権限が適切に管理されていなかったこと、③棚卸資産の勘定内訳明細の網羅的な作成不足、④棚卸実施時のロケーションと在庫リストの網羅性の確認が不足していたこと、等がありましたが、当社による本件子会社の内部統制に係る管理・指導等にも課題があったと結論付けております。
また、当社の国内外の連結子会社全14社における類似事案を調査したところ、本件子会社以外の1社の棚卸資産残高について、単価入力のミス等により過大計上となっていることが判明いたしました。なお、調査の過程で不正の兆候は検出されておらず、誤謬による過大計上であると結論付けております。
当社は財務報告に係る内部統制の整備および運用の重要性を認識しており、再発防止策を通じて、内部統制に係る管理体制の見直しとさらなる機能強化を図ることは、財務報告の信頼性回復は言うまでもなく、新中長期経営計画を達成し、企業価値の向上を実現するために必要不可欠であると考えております。
今後、本件に関する個別業務の局所的な対処に留まることなく、本質的な再発防止に取り組むことで、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、取締役会による監督体制下にESG推進委員会を設置し、ガバナンス体制を構築しております。
①取締役会による監督体制
取締役会は、年4回開催されるESG推進委員会より取組状況や目標の達成状況の報告を受けております。
②ESG推進委員会と各分科会
非財務目標のE・S・Gそれぞれの重要課題と個別課題に対する具体案を検討・議論することを目的に、ESG推進委員会の下部組織として次の各分科会を設置し、毎月会合を開催しております。
・E分科会(環境対応部会)
・S分科会(社会性向上部会)
・G分科会(ガバナンス向上部会)
ESG推進委員会は、各分科会から報告を受けた内容に基づいてESG経営に関する戦略の方向性を協議し、取締役会へ報告しております。なお、取締役会にて承認された決定事項の通達や予算の実行等については、ESG推進委員会が各分科会へ指示し、それを受けた各分科会が執行組織に対応を指示しております。
③ESG推進に係る経営者の役割
ESG推進に係る事項は、ESG推進委員会が統括しており、代表取締役社長が委員長を務めております。また、各分科会のリーダーと副リーダーは取締役や執行役員を主要メンバーとして構成しており、当社経営層を中心とした推進体制を構築しております。
④サステナビリティに係る所管部門
サステナビリティ推進室は、ESG推進委員会の事務局を担当するとともに、全社的なサステナビリティに係る対応の推進およびESG推進に係る事項を含む施策を検討・立案し、ESG推進委員会に提言しております。
当社グループのサステナビリティに係るガバナンス体制図は、
サステナビリティに係るリスクは、ESG推進委員会にて評価し、定期的に取締役会に報告しております。
①サステナビリティに係るリスクを識別・評価するプロセス
サステナビリティに係るリスクについては、社内の関係部門および関係会社にて関連するリスクおよび機会を特定し、サステナビリティ推進室が識別の上、ESG推進委員会に報告します。
ESG推進委員会は、識別されたサステナビリティに係るリスクについて、リスクの潜在的な大きさとスコープを評価し、重要度に応じて対策案の検討を各分科会に指示した上で目標を設定し、取締役会に報告します。取締役会は、各リスクについて、対策案や設定した目標を監督します。
当社グループのサステナビリティに係るリスク管理プロセス図は、以下のとおりであります。

サステナビリティ全般に関するリスク・機会を管理するための指標として、以下の通り中長期目標を設定し、取り組んでおります。
なお、この中長期目標は当社が2024年5月に公表した新しい中長期経営計画『2030年 グローバル中長期経営計画』の非財務目標として設定しており、サステナブル経営との融合を図っております。
(注) 障がい者の法定雇用率は2024年4月時点で2.5%であり、2026年7月に2.7%へ段階的に引き上げられることとなっております。
詳細につきましては、当社ホームページおよび2023年12月に発行いたしました
当社ホームページ(サステナビリティ)
https://www.nishikawa-rbr.co.jp/sustainability/
CSR報告書2023
https://www.nishikawa-rbr.co.jp/sustainability/csr.html
またCSR報告書2024につきましては、2024年秋頃を目処に上記ホームページに最新版を掲載する予定です。
(4)戦略
〈気候変動〉
当社グループは気候変動によるリスクと機会を認識し、事業戦略への反映を進めております。主なリスクとして、カーボンニュートラルの実現への移行に際し、国内外において、炭素税の上昇やCO2排出量削減義務の強化、排出量取引制度などの導入が進む際に、社会や顧客のニーズの変化に対して発生する研究開発費や設備投資によるコストアップ、業績悪化など財政状況への悪影響があります。一方でこれらのニーズは新たな成長機会とも捉えております。
これらのリスクを踏まえてCO2排出量の削減目標を設定し、軽量化、リサイクル、低CO2材料や設備の導入といった環境に配慮した技術の革新に加え、再生可能エネルギーの導入を推し進めています。これらの開発テーマは四半期毎に開催されるESG推進委員会で審議された後、取締役会に上程されます。またCO2排出量の実績値につきましては取締役会にて報告し、進捗を監視しております。
〈人的資本〉
①人材育成方針
当社においては、人的資本経営の実現に向けて、事業戦略にマッチしたスキル・能力を見える化したうえで、採用と育成につなげ、人材活躍の最大化を図り、組織力を向上し続ける事を目的に社内制度を整備しております。
具体的には、職能・職位によって求められるスキルを明確にし、年次毎に個々人の状態を確認の上でOJTを進め、またOJTを補完するために全社・職掌・部門としてのOFF-JTと、自ら成長しようとする意欲に基づく各人の自己啓発を通じて能力開発を行い、育成ジョブローテーションを通じて能力の活用を図っております。
②職場環境整備方針
当社においては、西川ゴムグループスローガンである「しなやかでたくましい会社」であり続けるために、「ダイバーシティ&インクルージョン」「働き方改革」を重要課題として掲げております。
具体的には、人種・国籍・性別・年齢を問わずに人材を活用することでダイバーシティ(多様性)を高め、女性活躍行動計画を推進し、ワークライフバランスの充実をはかっていくことにより、やりがいをもって仕事ができる職場環境構築を図っております。
③人的資本に関する指標および目標
当社では、上記の方針に基づき下記の活動および仕組みづくりを推進しております。また、その活動効果を把握するために、以下の通り目標を掲げ活動を推進しております。
なお現時点においては、法律や制度が異なる海外子会社を含めて連結目標を一体的に管理することが困難であることや、実施事項が単体のみであるものも含まれていることから、関係会社の一部を対象から外しております。
(注)1 男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、「
2 障がい者の法定雇用率は2024年4月時点で2.5%であり、2026年7月に2.7%へ段階的に引き上げられることとなっております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針および体制と対応を“リスク管理規則”において定め、その基本方針および体制と対応に基づき、当社グループを取り巻くリスクへの予防措置とリスクが顕在化したときの対応措置を定めております。
なお、本項に記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの主要顧客は国内外の自動車メーカーであり、自動車用部品の取引が売上高の大半を占めております。そのため当社グループが展開している各国の市場において、経済の低迷や物価等の動向による自動車の購買意欲低下、材料供給不足や感染症の拡大等により生産調整が生じ自動車生産台数が減少した場合、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業展開する国や地域において、地震や豪雨等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業活動、業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社は災害発生時における災害対策および事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの導入、衛星電話の設置、防災訓練等の対策を講じており、グループ会社においても個々に各種対策を講じております。また、生産現場においては、地震への減災対策、土砂災害、二次災害の防止対策を進めております。これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績および財政状況に対する影響の低減に努めております。
当社グループの取引には外国通貨も使用しており、可能な限り為替変動の影響を受けないよう使用する各通貨のバランスをとっておりますが、市場状況の変化によって大幅な通貨変動の影響を受けた場合、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要顧客である自動車メーカーはグローバル化に伴い世界同一品質および同一価格確保のため、あるいはグローバル展開車種増加のため、世界規模での一括発注を進めています。当社グループの生産および販売も、国内、北米、欧州、アジア等グローバルに展開しておりますが、その殆ど全ての地区で競合他社と受注競争をしております。その結果、熾烈な価格競争により利益を圧迫することで、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、米国、タイ、中国、インド、メキシコ、インドネシア等に海外進出を行っており、当該地域における経済環境、市場動向等を検討し、計画的に事業展開していく予定ですが、進出国の政治的、経済的事情による影響を受け、事業の一時的縮小または中断などによる利益減少を招き、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、メキシコの連結子会社ニシカワ・シーリング・システムズ・メキシコ S.A. DE C.V.は、半導体不足の影響で落ち込んでいた生産が回復し、各得意先の販売数量も回復はみられましたが、原材料・エネルギー価格高騰などにより、継続的に営業損益がマイナスとなっており、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、米国の連結子会社ニシカワ・クーパー LLCは、米国経済の回復とともに、主要顧客である日系自動車メーカーの生産台数が増加し、売上は対前年増となっていますが、同時に北米の労働市場の需給バランスの崩れが急激な物価上昇を招き、原材料やエネルギー費の高騰と、逼迫する労働力の確保のために、想定以上にコストが増加しているため、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料および部品を複数のグループ外供給元から調達しておりますが、原材料価格の上昇や、資材の供給バランスによる影響で品不足が発生する場合、製品原価の上昇につながり、これらを販売価格に十分に転嫁できない場合、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、全ての役員および社員に対し、情報の取り扱いに関する規則を定め、高い情報セキュリティレベルを確保することを重要事項と認識しております。当社グループは、情報共有や業務の効率化のため、情報システムを構築・運営するとともに、情報システム運営上の安全性確保のため、サイバーセキュリティリスクも考慮し、情報システム管理基準を定め、危機管理対応の徹底に取り組んでおります。しかし、こうした対策を行ったとしても、不正アクセス、サイバー攻撃等による機密情報・個人情報の漏洩、機器の破損による情報システムの停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては当社グループの業績および財政状況、ならびに社会的信用の失墜や訴訟等により企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、当社グループ含め、情報管理に対する啓蒙活動を行うとともに、近年高度化、巧妙化しているサイバー攻撃への対応を強化し、情報管理体制の維持・強化等を推進しております。
当社グループは「品質第一」に徹し品質マネジメントシステムの徹底遵守と継続的改善を行っております。当社グループの製品は主として自動車の各シール部分に装着される場合が多く、自動車のボディーやドア、ガラスの建付け等相手部品との出来栄えや組合せで機能するもので、部品相互の関係で予期せぬ不具合が発生した場合、製品の不具合による損害賠償発生等により、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 重要な訴訟等の発生
当社グループを相手とした訴訟が提起され、当社の主張と相違する結果となった場合、その請求内容等によっては、当社グループの業績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、法令および社内の諸規定等を遵守するため、グローバル・コンプライアンス管理体制の強化を図り、定期的なコンプライアンス教育を実施する等、活動を推進しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化に起因する資源・エネルギー価格の高騰に加え、不動産市場の低迷を受けた中国経済の減速や、イスラエル・パレスチナ情勢の悪化、欧米での金融引き締めに伴う影響など、先行き不透明な状況が継続しております。
一方、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行による経済活動の正常化に伴い、飲食等のサービス業を中心に回復傾向にありますが、物価上昇による個人消費の停滞や輸出の伸び悩みにより、回復ペースは緩やかなものにとどまっております。
自動車業界におきましては、国内および海外の自動車生産台数は前期比で増加傾向に推移しました。
当社グループにおきましては、全社員が一丸となって精力的・継続的に取り組みを進めております合理化・効率化活動により、当連結会計年度における売上高は117,904百万円(前期比20.1%増)、営業利益は6,555百万円(前期は営業損失105百万円)、経常利益は8,920百万円(前期比569.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,038百万円(前期比330.3%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(日本)
自動車生産台数が前期比で増加したことに加え合理化・効率化活動の継続などにより、売上高は55,769百万円(前期比12.6%増)となり、営業利益は5,232百万円(前期比183.1%増)となりました。
(北米)
自動車生産台数が前期比で増加したことなどにより、売上高は42,901百万円(前期比41.9%増)となりました。利益においては前期より改善しましたが、メキシコ拠点において上期に発生した労働環境逼迫による一過性支出が影響し、営業損失は1,712百万円(前期は営業損失4,420百万円)となりました。
(東アジア)
自動車生産台数は前期比で増加しましたが、当社の受注車種が減少する中、徹底的なコスト削減を継続して推進したことなどにより、売上高は13,152百万円(前期比6.5%減)となり、営業利益は708百万円(前期比5.9%減)となりました。
(東南アジア)
自動車生産台数が前期比で増加したことなどにより、売上高は12,896百万円(前期比22.6%増)となり、営業利益は2,413百万円(前期比43.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,495百万円増加し、38,591百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、14,884百万円(前期比9,641百万円の収入増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、5,159百万円(前期比474百万円の支出増)となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入が減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、9,403百万円(前期比10,887百万円の支出増)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が増加したことなどによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産実績には、外注先に委託した生産分を含んでおります。
2 金額は、販売価額により表示しております。
ⅱ 受注実績
当社グループは、各自動車メーカーをはじめとして納入先より四半期毎および翌月の生産計画の内示を受け、見込生産を行っているため、受注実績に該当する事項はありません。
ⅲ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社は2021年に『西川ゴムグループ 2025年中長期経営計画』を策定・公表し、目標に向けてスタートを切りました。しかしながらその後の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックの長期化や、半導体の不足、ウクライナへのロシア侵攻開始、記録的な円安など、これまでに無い大きな外部環境の変化に見舞われました。しかしステークホルダーの皆様のご支援により、これらの苦境を乗り越える事ができました。
それら複雑に変化した経営環境に、グローバルでフレキシブルに対応すると同時に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を取り入れ、SDGsやESGなどのサステナブル経営との融合性を高めて、当社の企業価値向上と持続可能な社会に貢献すべく、ここに新たな『2030年 グローバル中長期経営計画』を策定いたしました。今後当社は『全員経営』と『弾力発想。』で新たな目標に向けスタートいたします。
現時点の2025年3月期の業績見通しは、以下のとおりであります。
[2025年3月期連結業績見通し]
『2030年 グローバル中長期経営計画』
財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産の額は137,732百万円となり、前連結会計年度末と比べ12,575百万円の増加となりました。主な増加は、投資有価証券、現金及び預金などであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は50,221百万円となり、前連結会計年度末と比べ374百万円の減少となりました。主な減少は、短期借入金、支払手形及び買掛金などであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は87,510百万円となり、前連結会計年度末と比べ12,949百万円の増加となりました。主な増加は、利益剰余金、為替換算調整勘定、その他有価証券評価差額金などであります。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ19,737百万円増加し、117,904百万円(前期比20.1%増)となりました。
海外におきましては、北米および東南アジアにおいて自動車生産台数が増加したことにより増収となりました。東アジアにおいては自動車生産台数は増加しましたが、受注車種の影響により減収となりました。
国内におきましては、自動車生産台数の増加により、増収となりました。
なお、セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、原材料および物流費高騰が継続する中、全社員が一丸となって精力的・継続的に取り組みを進めております合理化・効率化活動により、前連結会計年度に比べ6,661百万円増加し、6,555百万円(前期は営業損失105百万円)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ7,588百万円増加し、8,920百万円(前期比569.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3,867百万円増加し、5,038百万円(前期比330.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ⅰ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ1,495百万円増加し、38,591百万円となりました。キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ⅱ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは現在、必要な運転資金および設備投資資金については、自己資金または借入等により資金調達することとしております。当連結会計年度末において、短期借入金の残高は10,590百万円、長期借入金の残高は8,024百万円であります。
当社グループは、今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金および設備投資資金を調達していく考えであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当連結会計年度において、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益、費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループにおける研究開発活動は、当社が一元的に行っております。自動車や住宅の快適居住空間をシール&フォームエンジニアリングで支えるブランドカンパニーとして、先進技術を積極的に取り入れ、既存分野・概念にとらわれない幅広い技術開発にチャレンジし続けています。今後のカーボンニュートラルの実現に向け、サステナブル材料、省エネ技術に着目した開発活動も積極的に進めています。
当連結会計年度中の主な研究開発活動
(1) 自動車用部品
自動車市場に向けては「ドアシール技術開発」と「防音製品技術開発」を2本柱展開として、これらを益々拡大・発展させて売上向上に繋ぐべく、製品設計・材料開発・評価技術開発等の幅広い活動を鋭意進めております。
昨今の自動車は、航続距離アップの必要性から「軽量化」が推進されております。自動車のドアガラス周りの段差を縮小して外観性を向上させるヒドングラスランチャンネルは、これまで一般的なゴム+鋼材での構造でしたが、当社は「ALL樹脂」で開発いたしました。この樹脂化により、「軽量化」だけではなく「形状変更なく意匠モールのカラーバリエーションを選定できるフレキシブルな構造」・「高耐久化」・「リサイクル性向上」・「製造時CO2削減」にも寄与しており、顧客満足度を上げ且つ持続可能なものづくりに対応しております。また、この樹脂化した構造は多数の特許も取得しております。このヒドングラスランチャンネルは現在、国内だけではなくグローバルでも採用されており、受注拡大活動に大きく貢献しております。
今後も地球環境に配慮した製品の研究開発を進めてまいります。
昨今EV化の発展に伴い、更なる防音性向上のニーズが高まり、自動車の空気抵抗値低減のための“サイドガラスの面一化デザイン(フラッシュサーフェイス)”と、透過音低減のための“合わせガラス”採用が増える傾向にあります。
当社は、国内・海外自動車メーカーのオープンカーやハードトップ車のシールを、多数の車種において開発・量産してきた実績を持っております。それらの設計ノウハウをベースに、各自動車メーカーのニーズに応えるシール形状デザインの下、“合わせガラス”の開閉耐久を満足させ、キシミ音の低減をも実現した当社開発の塗料で、防音性向上のニーズにも対応しております。
今後も、カーボンニュートラルを意識した生産効率の高いシール製品の開発をさらに進めてまいります。
(2) 一般産業資材
住宅市場に向けても、得意先動向である住宅長期保証に対応したシール製品開発や機能性を向上させたシール製品開発を、コア技術である押出・発泡を基軸に進めております。
住宅の外壁目地シール材では、これまで湿式シーリング仕様の目地材で防水保証30年でしたが、当社は「乾式ガスケット仕様」で30年の長期保証ができる目地シール材を開発いたしました。
上を実現いたしました。施工しやすい製品設計は、特許も多数取得しております。
今後も材料・製品仕様の双方から、各得意先要望へのきめ細かい対応さらには新規顧客開拓を進め、受注・売上アップを確実に進めてまいります。
当連結会計年度において当社が支出した研究開発費の総額は
なお、当社グループのセグメントは地域別に構成されており、研究開発活動の全てを日本で行っているため、セグメントごとの研究開発活動の状況につきましては記載を省略しております。