第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は「一生モノの『あの日』を創り出す」というミッションと、「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ」というビジョンを掲げており、いずれの事業もミッション及びビジョンに紐づいた事業となっております。

創業当初よりリゾートバイトという手段を通して日本の多くの若者を全国のリゾート地へ送り出しており、「初めて訪れる土地で、初めて出会う人たちに囲まれ、初めての仕事を体験する」という特異な経験が若者のメンタルをタフに育て、多様な価値観と豊かな人間性を育む瞬間を目の当たりにしてまいりました。また、彼らが未知の体験の中から今まで知り得なかった選択肢と出逢い、それがその後の人生に大きな影響を与える体験となっていることも実感しております。今後も観光HR事業をさらに拡大させ、リゾートバイト体験を通して、新しい世界へ飛び込む若者を支援し、自分の人生に誇りを持ち、自分の人生を愛せるきっかけとなる『あの日』を多く創り出します。

また、当社においても未知の領域に果敢に挑戦(ダイブ)し続けたいという考えを大切にし、2019年には、テント3棟のグランピング施設を香川県東かがわ市に開業いたしました。現在では、北海道芦別市(ザランタン芦別)・栃木県鹿沼市(ザランタン鹿沼)・茨城県常陸大宮市(ザランタンひたち大宮)・岡山県津山市(ザランタンあば村)・佐賀県佐賀市(ザランタン三瀬高原)・香川県東かがわ市(ザランタン東かがわ)の全国6ヶ所(2024年9月現在)でグランピング施設を運営し、また、香川県東かがわ市にてホテル業態であるクラフトホテル瀬戸内を運営しております。引き続き地方創生事業を拡大させることで、その地域の経済活性化を支援することはもちろんのこと、そこで生活をする人々が生まれ育った地域の魅力を今まで以上に誇りに感じられるような地方創生にも貢献したいと考えております。

今後についても、当社はチャレンジャーであり続け、ビジョンの実現と社会への貢献を通して、企業価値の最大化を目指してまいります。

 


 

 

 

(2) 経営戦略等

当社の主たる事業領域である国内の観光市場は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延の影響を受け大きく落ち込みましたが、それでもなお日本政府は2030年における訪日外国人旅行者数6,000万人、旅行消費額37兆円の目標を変更することはなく(出典:観光庁「これまでの議論の経過について」2022年3月)、観光業は日本経済の成長エンジンとして期待されていると考えております。その一方で、宿泊・飲食業は慢性的な人手不足に直面しているほか、労働生産性についても全産業と比較した場合には低水準に留まっており(出典:観光庁「「令和5年度観光の状況」及び「令和6年度観光施策」(観光白書)について 第Ⅰ部)、観光業の成長を妨げるボトルネックとなりかねないと考えております。こうした環境のもと、主力事業の観光HR事業では旺盛な人材需要を追い風に観光施設等からの求人依頼は増加しております。そのため、顧客の信頼を積み上げ、将来にわたり確実に利益を生み出す事業基盤を強化するため、人材確保の強化をより推進してまいります。また、当社の地方創生事業は非観光地における地域の魅力開発や賑わい創出を得意としており、引き続き地域の魅力を引き出すことで地方創生に貢献するとともに、非観光地の遊休施設を活用するなどして収益性の高い施設の展開を目指します。

 

① 若手人材の獲得[観光HR事業]

20代30代を対象にした、ノバセル株式会社によるリゾートバイトに関する調査(2023年4月)では、リゾートバイトを「知らない」が51.0%、「名前は聞いたことがあるが、サービスの特徴・詳細は知らない」が34.5%であり、85.5%がリゾートバイトについて知らない、もしくは詳しくは知らないという結果となりました。この結果より、20代30代の市場には開拓の余地が大いにあると判断しており、引き続きプロモーション活動を行い認知の拡大を推進してまいります

 

② シニア人材の獲得[観光HR事業]

当社の全就業者に占める50歳以上のシニア人材の割合は、2012年の0.78%から2024年には8.12%へと急増しております。今後も自由な働き方を求めるシニア層や、移住を検討しておりその準備や調査としてリゾートバイトを活用したいシニア層への訴求を促進し、シニア人材の獲得強化を図ります

 

③ 外国人人材の獲得[観光HR事業]

当社の観光HR事業は、就業先に従業員寮が完備されており、ワーキングホリデー制度や特定技能制度を利用して来日する外国人人材にとっては、来日後の住居探しが不要であることから非常に利便性の高いサービスであると考えております。当社は多国籍の社員からなる外国人採用の専属チームを組成し、継続的に外国人人材の獲得強化を図っており、インドネシア人、韓国人、ネパール人をはじめ、アジア圏の人材を中心とした外国人人材の採用実績があります。
 なお、特定技能人材については、海外現地での採用強化を目的として、既に6ヶ国21ヶ所の送り出し機関との契約を締結しております。インドネシアのボゴール県とは、現地の失業率改善、スキル獲得、悪質なブローカーの介在防止等を目的とした、特定技能「宿泊分野」における人材の育成・採用に向けたパートナーシップ契約を締結いたしました。
 さらに、フィリピンやネパールの大学とも協力覚書を締結しており、現地大学における宿泊施設にかかる就業スキルが高い人材に対して日本語教育を実施し、日本の宿泊施設に紹介するという独自のスキームも確立しております。今後も、海外現地機関との連携を強化し、外国人人材の獲得強化を図ります。

 

④ 非観光地での観光事業開発を促進[地方創生事業]

非観光地は、観光地化された地域と比べると遊休施設や遊休地が多く、好条件での物件取得や賃貸契約が見込めると考えております。当社は、これまでのグランピング施設運営で培った施設の運営ノウハウや、観光HR事業との連携による安定した人材供給力、WEBメディア運営で培ったD2Cでの集客ノウハウ等を活かし、継続してグランピング施設の新規開業や既存施設における客室の増室等を進める考えでありますが、グランピング施設に留まらず、非観光地にて収益性の高い観光事業の開発を目指してまいります。

 

⑤ 観光HR事業と地方創生事業等の掛け合わせによる新事業開発やクロスセルの促進[全社]

地方創生事業が有する企画開発・経営・運営に関するノウハウを活かし、観光業の課題解決となるような新事業や新サービスの開発を強化いたします。具体的には、WEBメディア運営で培ったD2Cでの集客ノウハウ等を活かしたマーケティング関連のコンサルティングサービスや集客支援サービス等を検討しております。開発された新事業や新サービスは、観光HR事業で築き上げた4,600ヶ所以上の取引先である観光施設等に対して販売や導入を進め、一施設当たりの取引額の最大化を目指しております

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、事業規模と収益性を測る指標として売上高及び営業利益を重要指標としております。

また、当社の主力事業である観光HR事業では、売上拡大に直結する派遣スタッフ等の就業者数の増加及び就業者1人当たりの売上高拡大を重要指標としております。

なお、観光HR事業のみならず、地方創生事業、情報システム事業等の各事業を拡大していくためには、「(4) 経営環境及び対処すべき課題」に記載の課題に対処していくことが必要であると考えておりますが、これらの課題に対応するため、常に事業環境や外部環境に関する情報収集や分析を行い、分析結果に沿った事業計画及び中期経営計画を策定・実行する方針であります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

人材業界を取り巻く環境としては、2024年6月時点の有効求人倍率は1.23倍(出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和6年6月分))と求職者よりも求人が多い状況にあり、今後も人手不足の状況が続くと考えております。そのため、女性や高齢者、外国人等の様々な方の就労を可能にすることが求められております

このような状況の中、当社の対処すべき課題として以下の事項があるものと認識しております。

 

① 派遣スタッフ等の獲得

当社の観光HR事業を拡大させるためには、派遣スタッフ等の継続的な確保が重要であります。取引先の旺盛な人材需要を追い風に、売り手市場が継続するものと考えております。そのため当社は(1)派遣スタッフ等の募集にかかる広告投資の強化、(2)派遣スタッフ等のスムーズな応募導線を確保するため、ホームページ等の継続的な改修、(3)応募の動機付け強化を図るため、ホームページのコンテンツ拡充、(4)魅力ある日本全国の求人の獲得、(5)既に登録済みの派遣スタッフ等から新たな派遣スタッフ等となり得る友人等を紹介してもらうこと、等の活動により新規派遣スタッフ等の確保に取り組んでおります。

 

② 派遣スタッフ等の1人当たりの就業期間の長期化(ライフタイムバリューの向上)

当社の観光HR事業を拡大させるためには、前述の派遣スタッフ等の獲得に加え、就業期間を長期化させることも重要であります。そのため当社は、取引先が派遣スタッフ等を評価し、派遣スタッフ等が取引先を評価する相互評価システムを導入し、(1)取引先から評価の高い派遣スタッフ等は、他の派遣スタッフ等と比べ高待遇での契約締結を可能とするとともに、(2)派遣スタッフ等から評価の高い取引先に対する派遣等を強化することにより、途中退職率の軽減及び満足度向上を図ります。(1)(2)に取り組むことで、当社のサービスを繰り返し利用し、複数の取引先へ就業するリピーターの獲得を強化し、就業期間の長期化を目指します。

 

③ 派遣先(求人)の獲得

当社の観光HR事業を拡大させるためには、派遣先の継続的な確保が重要であります。
 新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、日本人旅行者に加え訪日外国人旅行者も増加し、旺盛な人材需要は継続し、派遣先(求人)の獲得は堅調に推移すると予測しておりますが、派遣スタッフ等のニーズにマッチする派遣先(求人)の獲得がより一層重要度を増すと考えております。
 また、前述の派遣スタッフ等の獲得についても、当社が派遣スタッフ等のニーズにマッチする派遣先(求人)を多く獲得することにより、当社への応募数も増加すると考えております。
 今後も、営業活動を強化し、派遣スタッフ等のニーズにマッチする派遣先(求人)の獲得に努めてまいります。

 

④ 宿泊施設の新規開業候補地の選定

当社の地方創生事業は、主に地方公共団体が管理所有する遊休地にグランピング施設等の宿泊施設を開業しております。
 現在も慎重に新規開業地の選定を行っておりますが、成功確率を高めるためには数多くの候補地を獲得し、その中から選定することが重要であると考えております。
 今後も、地方公共団体に対する営業活動を継続し、候補地の開拓に努めてまいります。

 

⑤ 認知度の向上とブランドの確立

当社の観光HR事業、地方創生事業及び情報システム事業は、これまで業界内で競争力を高めてきたものの、より一層の認知度向上とブランドの確立が重要であります。

このような状況の中、当社はこれまで提供可能なサービスラインナップの強化や定期的なホームページのリニューアル等を行うとともに、広告宣伝の強化等に積極的な投資を行い、認知度向上とブランド力の強化を進めてまいりました。

広告宣伝手法の進化や多様化が進むなか、費用対効果を慎重に判断しつつ、今後も広告宣伝活動を積極的に行うことで、ブランド力や認知度を向上させ、優秀な人材の確保及び集客力の強化に努めてまいります。

 

⑥ 収益力の向上

観光HR事業については、前述のとおり人手不足に伴い、広告宣伝費等の採用コストの増加が考えられます。また、世界規模の物価上昇に起因した賃上げにより、派遣スタッフ等の獲得競争が激化し、他業種と同様に賃上げを迫られた結果、人件費等が膨らみ、利益が圧迫される可能性があり、その収益性の強化が大きな課題であると考えております。

当社は、これまでもIT技術を用いた業務の自動化やスリム化を図るオペレーション変更を推進してまいりました。引き続き、生産性向上に取り組み、増加が見込まれる人件費や採用コスト等の抑制にも取り組みます。また、柔軟にビジネスモデルの再構築や組織の再編成を行う等、包括的に収益力向上に努めてまいります。

 

⑦ M&A等を通じた事業領域の拡大

当社は、成長戦略の1つとして、M&Aや資本業務提携等の活用を積極的に行いたいと考えております。既存事業の周辺領域への事業拡大や当社とのシナジー効果が期待できる企業とのコラボレーション等を実現することにより、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

 

⑧ 人材の確保と育成・開発

当社は、中期経営計画等に沿い計画的に人材の確保を行ってまいりましたが、人材確保とともに、当社のビジョン・ミッションを理解し、その実現に向け計画を実行していくことができる優秀な人材の育成や、スキル等の開発も重要であると考えております。

このため、今後も当社の成長を牽引することが可能な人材の確保と育成、スキル等の開発に取り組んでまいります。

 

⑨ 経営体制の更なる強化

当社は、これまで会社の成長ステージに応じた経営体制を構築してまいりました。今後も持続的な成長と企業価値の向上を実現し、あらゆるステークホルダーの期待に応えるため、経営体制の更なる強化が必要であると認識しております。

このため、役職員のコンプライアンス意識の向上や、成長ステージに応じて変化する各事業の取引形態等に即した内部管理体制の改善等、一層の内部管理体制の充実及び強化に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ

① サステナビリティ基本方針

当社は「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ」「一生モノの『あの日』を創り出す」というビジョン・ミッションのもと、事業環境の変化にも柔軟に対応し、長期的な成長と社会への貢献を実現していくため、ESGを重視した経営を推進してまいります。

“人と地域が好転するターニングポイントを創り出す企業”として、持続可能な社会を実現するためには、社会課題の解決と経済価値の創造の双方の実現が重要であると考えております。ESG経営の推進を通して企業価値を高め、ステークホルダーの皆様の期待に応え成長し続けられる企業となるとともに、社会の持続的な発展にも貢献してまいります。

また同時に社内で策定したSDGsの取り組みを推進し、目標達成を目指す中で企業の社会的責任を果たしながら持続可能な社会を実現してまいります。

 

② ガバナンス

当社ではサステナビリティ推進体制として全社横断的なチームを設置し、営業部門・管理部門と連携しながらサステナビリティに関する取り組み全般について一元的に管理・統制を行っております。また、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応方針や実行計画等、当該チームで行われた協議内容及び報告事項については、重要性に応じて経営会議にて協議を行い適宜取締役会へ報告しております

なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制は、「第4 〔提出会社の状況〕 4 〔コーポレート・ガバナンスの状況等〕」に記載のとおりであります。

 

③ リスク管理

サステナビリティに関するリスク及び機会については、後述の「第2 〔事業の状況〕 3 〔事業等のリスク〕」と関連しております。当社はリスク管理に関する基本的事項を定め、事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践が可能となるよう、リスク管理についての基本方針及び推進体制の概要を「リスク・コンプライアンス規程」に定めております。

リスク管理の所管部署を管理本部とし、管理責任者は管理本部長としております。リスク管理責任者は、サステナビリティに関連する各リスクについても各部門責任者とともにリスクの検証を行い、全社的なリスクマネジメントに関わる課題・対応策を協議するため、原則として四半期に1度リスク・コンプライアンス委員会を開催しております。

 

 

④ 戦略

当社において短期、中期及び長期にわたり経営方針や経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取り組みについては、前述の「① サステナビリティ基本方針」に則してE(環境)S(社会)G(ガバナンス)の観点から評価し、SDGs推進と関連して対処しております。

E(環境)については、温暖化・気候変動等に起因する大規模自然災害を事業環境に関するリスクと捉え、「自社運営グランピング施設の脱プラスチック」「就業環境における省エネルギーの推進、温室効果ガスの削減」といった事業活動における環境負荷の低減に向けた取り組みを推進してまいります。

S(社会)については、人材不足による派遣スタッフ等の確保難を事業に関するリスクと捉え、労働環境に配慮し「格差のない平等な外国人就労支援」「リゾートバイトにおけるLGBTの方への配慮」等、多様な人材が安心して活躍できる場の創出を推進しております。なお、当社内の人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、「(2) 人的資本」にて後述しております。

その他、持続可能な地方創生への貢献が当社の発展の機会になることから、「地方の遊休地の利活用」「地方の関係人口の創出・拡大」を推進してまいります。

G(ガバナンス)については、法令・コンプライアンス違反を経営・組織に関するリスクと捉え、「コーポレート・ガバナンス体制の整備、強化」「役職員のコンプライアンス推進」等、持続的な成長及び企業価値向上の実現を目指し、経営の透明性と健全性の確保、経営体制の更なる強化、会社の成長ステージに応じたガバナンス体制の構築等を図ってまいります。

 

E(環境)

・自社運営グランピング施設の脱プラスチック推進

・就業環境における省エネルギーの推進、温室効果ガスの削減

S(社会)

・格差のない平等な外国人就労支援

・リゾートバイトにおけるLGBTの方への配慮

・地方の遊休地の利活用

・地方の関係人口創出・拡大

・ダイバーシティ&インクルージョン

G(ガバナンス)

・コーポレート・ガバナンス体制の整備、強化

・役職員のコンプライアンス推進

・リスクマネジメントの徹底

・内部監査によるモニタリングの徹底

 

 

 

(2) 人的資本

① 戦略
・人材採用方針

当社は「誰もがジブンの人生を愛する世界へ」というビジョンのもと、人材と観光を主軸として、常に多くのステークホルダーと関わるビジネスモデルであります。そのため、取引先や派遣スタッフ等の成功を願い寄り添い続ける価値観や多様なニーズに対応できる柔軟な思考、そして成長志向を持ち合わせた人材の確保が重要であると考えております。

採用方針としては、採用プロセスの中で特にビジョン・ミッションへの共感と、入社後に進化し続けていく資質を重視しております。

具体的には新卒採用において、数千名の応募者の中から内定者を決定いたしますが、当社のサービスが提供している価値と類するような体験を自身も過去に体験し、実体験をもとに当社のビジョン・ミッションに強く共感している方の採用に注力しております。

ビジョン・ミッション等に代表される当社の価値観と個人のパーパスが強く結びつくことで長期的なロイヤリティの向上につながると考え、重要な採用方針として取り入れております。

 

・人材育成方針

人材育成方針について、変化の激しい時代において組織が新たなサービスや企画を開発し、市場での競争力を高めるためには、全従業員が創造力を発揮し、従業員それぞれの能力を最大化させられる成長環境が必要であると考えております。職種に応じたスキルの向上は勿論のこと、AIを活用したイノベーション創出のためのAI人材の育成、事業拡大に応じて新規事業を牽引できる責任者の育成に注力し、次の施策を実行しております。

 

a.新規事業コンテスト

全従業員が参加可能な新規事業コンテスト(New-1グランプリ)を毎年開催しております。若手からのエントリーが多く、全従業員の前でプレゼンテーションを行うことで創造性を育む場としております。

 

b.社内起業家創出施策

イントラプレナーを育成するために代表取締役を含む社内取締役が1on1で1年間のメンバー育成を行っております。組織を牽引する責任者としての在り方や、概念化能力等、様々な知識習得の場としております。

 

c.ジョブチェンジ制度

従業員が個々の能力を最大限発揮できるよう、部署異動を希望する従業員情報、及びその希望内容を把握する仕組みを設けております。自らのキャリア形成と自主的な能力開発を実現する機会として運用しており、現在までに複数名が希望する部署へ異動をしております。

 

・社内環境整備方針

持続可能な組織には、優秀な人材がエンゲージメント高く定着し続けることが重要だと考えており、そのためには組織内で従業員が年齢や所属部署、立場に縛られず気兼ねなく提案や発言、発信ができる風土の醸成が必要であると考えております。また、理想の組織へと導ける信念と育成能力をもった責任者の配置や、従業員が人生のライフイベントを大切にしながら活躍できる多様な働き方の構築等が必要であると考えており、以下のような施策に取り組んでおります

 

 

a.信頼関係構築施策

従業員同士が互いを深く分かり合う場の1つとして、毎週月曜日にオンラインによる全社朝礼を実施し、個人や各部署がその想いを共有し合う時間を設けております。また、年末には全社共有会を開催しているほか、1年に一度全社員が集う全社総会を開催し、信頼関係構築の場としております

その他に新入社員には先輩社員がメンターとなり入社直後の期間をサポートしておりますが、メンター以外とのコミュニケーションを促進する狙いもあり上長が1on1ミーティングを毎月行っております。また他部署の従業員と交流する機会も積極的に設けており、様々な関係構築施策によりフラットな組織文化を醸成しております

 

b.360度人事評価システム

当社が顧客に価値を届け続けるために、組織全体で大切にしたい考え方や価値観を人事ポリシーとして設定しており、人事ポリシーに沿った行動についても人事評価の1つとしておりますが、その評価方法として1名の従業員に対して上司だけでなく同僚や部下も評価を行う360度評価を採用しております

具体的には社内外の関係者に対する関係性構築能力や、組織内での行動に対して関わる従業員から匿名で行動特性評価を受けております。また360度評価の結果に応じて抜擢人事も行っております。

 

c.多様な働き方の構築

出産、育児等様々なライフイベントを経験しながら従業員が活躍できる機会を作るため、リモートワークが可能な環境整備や時短勤務制度を導入しております。

 

② 指標及び目標

当社の人的資本に関する指標及び目標は下記のとおりであります。

指標

目標

実績

従業員の男女比率(女性比率)

2030年6月期までに50

42.9

%(2024年6月期)

男性労働者の配偶者出産休暇取得率

2025年6月期までに100

100.0

%(2024年6月期)

管理職に占める女性労働者の割合

2027年6月期までに20

8.0

%(2024年6月期)

 

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、これらは当社に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見し難いリスクも存在します。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

各リスクの発生可能性、影響度については、下表のとおりであります。

 

分類

リスク

発生時期

発生可能性

影響度

1.事業環境に関するリスク

(1)景気の変動と雇用情勢について

特定時期なし

(2)競合について

特定時期なし

(3)新型コロナウイルス感染症及び新たな感染症について

特定時期なし

(4)法的規制について

特定時期なし

(5)社会保険制度の改定について

数年以内

(6)大規模自然災害、事故等について

特定時期なし

2.事業に関するリスク

(1)四半期ごとの業績変動について

四半期毎

(2)派遣スタッフ等の確保について

特定時期なし

(3)新規事業について

特定時期なし

(4)知的財産権侵害等について

特定時期なし

(5)検索エンジンへの対応について

特定時期なし

(6)当社が運営する宿泊施設の契約期間について

契約期間毎

(7)宿泊施設開業計画について

特定時期なし

(8)食品の衛生管理について

特定時期なし

(9)業務委託契約について

特定時期なし

(10)システムトラブルについて

特定時期なし

3.経営・組織に関するリスク

(1)内部管理体制の充実及び法令遵守について

特定時期なし

(2)M&Aについて

特定時期なし

(3)特定の人物への依存について

特定時期なし

(4)配当政策について

特定時期なし

(5)固定資産の減損について

特定時期なし

4.その他のリスク

(1)ストック・オプション制度による株式価値の希薄化について

数年以内

(2)資金使途について

特定時期なし

(3)当社株式の流動性について

特定時期なし

 

 

 

1.事業環境に関するリスク

(1) 景気の変動と雇用情勢について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社の事業は景気動向や雇用情勢等の影響を受けやすいものでありますが、これらが悪化した場合でも、観光HR事業及び地方創生事業につきましては、観光業として一時的に影響を受けやすいものの、状況が改善されると旅行や観光活動が再び増加する傾向にあります。また、情報システム事業につきましては、景気が悪化した場合であっても、企業は業務効率化やコスト削減を目指し、情報システムへの投資を行う傾向があることから、当社の事業につきましては、一定の需要があるものと考えております。しかしながら、当社の想定を超えた経済環境の変化があった場合、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、景気動向や雇用情勢について十分に情報の収集を行い、分析した上で事前に対応策を検討してまいります。

 

(2) 競合について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

現在、当社が事業を展開している観光HR事業、地方創生事業及び情報システム事業の各分野において、競合企業が複数存在しており、一定の競争環境があるものと認識しております。当社は、主力としている観光HR事業の強化に加え、地方創生事業の新規宿泊施設の開業や情報システム事業の人員の拡充を進めるとともに、積極的なマーケティング活動やカスタマーサポートの充実、ホームページの利便性向上等に取り組んでおり、各市場において競争優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。今後も顧客ニーズへの対応を図り、サービスの充実に結び付けていく方針ではありますが、これらの取り組みが想定どおりの成果を上げられない場合や、競合他社が当社より低い価格で同水準のサービスを展開した場合、ユーザーを取り込む斬新なサービスを提供した場合は、当社のシェア率が下がり、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、競合他社の動向を注視するとともに、市場の変化に迅速に対応し、当社のサービスが顧客にどのような価値を提供しているのかを再評価いたします。結果として、競合他社と差別化できる要素を明確にすることで実効性の高い対応策を検討してまいります。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症及び新たな感染症について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:大)

新型コロナウイルス感染症においては、現時点で5類感染症に位置付けられ、今後、新たに行動制限等が発令されることはないと予測しておりますが、今後、新型コロナウイルス感染症と同様の新たな感染症が発生した場合、緊急事態宣言等の発出に伴う行動自粛要請等により、観光HR事業の取引先である観光施設等に対する制限が長引く場合や、地方創生事業のグランピング施設等が休業する必要がある場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、新たな感染症による影響が長期化した場合は、固定費の削減を図るとともに金融機関への支援を要請し、各方面からの資金調達の準備を進めてまいります。

 

 

(4) 法的規制について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:大)

従業員による重大な過失、不正、違法行為等が生じ、行政指導・改善命令を受けた場合、又は訴訟や損害賠償等に至った場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社に関連する主要な法的規制である労働者派遣法、職業安定法、労働基準法及び関係法令については、労働市場を取り巻く状況の変化や政策等に応じて改正が適宜行われております。その結果、派遣スタッフの正規雇用への転換の増加及び当社の顧客による派遣契約の縮小や、直接雇用契約への切り替えの増加等が、当社の想定を上回る速度で推移した場合、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、企業としての社会的責任を遂行するため、関係法令に則った社内諸規程及び業務マニュアルの整備等の内部管理体制の充実を図り、今後も事業規模の拡大や内外の状況変化に対応して適切な内部統制システムの充実やその運用を推進いたします。

また、顧問弁護士や顧問社会保険労務士より、当社に関連する主要な法的規制の改正等の情報提供をいただき、事前に対策を立てるとともに、関係法令に関する周知、教育の実施に努めてまいります。

 

 ① 労働者派遣法について

当社は、労働者派遣法に基づき厚生労働大臣の「労働者派遣事業許可(派13-300547)」を受けており、許可の有効期限は2027年12月31日であります。「許可の取消し等」を定めている労働者派遣法第14条において、派遣元事業主(派遣事業を行う者、法人である場合にはその役員を含む。)が同条第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。

現時点において、当社が上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社の事業活動が制限され、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、労働者派遣法及び関係法令については、経済環境・社会環境の変化に応じて改正される可能性が高く、改正内容によっては、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、役職員に対し、労働者派遣法に関する教育の実施や法改正情報の積極的な社内共有を行い、役職員が法律を理解することで違反事項の発生を防止しております。また、法改正等については顧問弁護士及び顧問社会保険労務士より事前に情報提供をいただくこととしており、当社の業績に影響を与えるような法改正が実施される場合には事前に対応策を検討してまいります

 

 ② 職業安定法について

当社は、職業安定法に基づく厚生労働大臣の「有料職業紹介事業許可(13-ユ-302319)」を受けており、許可の有効期限は2025年5月31日であります。「許可の取消し等」を定めている職業安定法第32条の9において、有料職業紹介事業者が同条第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。

現時点において、当社が上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社の事業活動が制限され、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、役職員に対し、職業安定法に関する教育の実施や法改正情報の積極的な社内共有を行い、役職員が法律を理解することで違反事項の発生を防止しております。また、法改正等については顧問弁護士及び顧問社会保険労務士より事前に情報提供をいただくこととしており、当社の業績に影響を与えるような法改正が実施される場合には事前に対応策を検討してまいります。

 

 

 ③ 労働基準法について

当社は、派遣先に対して当社の36協定の範囲を超えた時間外労働を当社の派遣スタッフが行うことがないよう、各派遣スタッフの時間外労働時間に応じ派遣先に対して改善の通知を行う等、適時必要と考える措置を講じるよう努めております。しかしながら、派遣元である当社の労務管理と安全配慮の取り組みが派遣先にて十分に反映されない場合や、今後の規制強化及び労働基準法をはじめとする法適応の動向によっては、契約の解除による売上減少や労働問題の発生、有給休暇取得の義務化等に伴うコストの増加により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、役職員に対し、労働基準法に関する教育の実施や法改正情報の積極的な社内共有を行い、役職員が法律を理解することで違反事項の発生を防止しております。また、法改正等については顧問弁護士及び顧問社会保険労務士より事前に情報提供をいただくこととしており、当社の業績に影響を与えるような法改正が実施される場合には事前に対応策を検討してまいります。

 

 ④ 個人情報保護法について

当社は、個人情報の外部漏洩はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の最重要事項と捉え、個人情報の保護に関する法律に基づく個人情報保護管理体制の整備を積極的に進めております。しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、契約内容にかかわらず法的責任を課せられる危険性があります。あるいは、法的責任まで問われない場合でもブランドイメージが毀損し、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、プライバシーマークを取得しており、定期的に役職員に対して個人情報の取り扱い等に関する教育を実施し、個人情報に対する意識を向上させております。セキュリティに関しましても、個人情報を取り扱う区域の管理につきましては、社有情報(個人情報を含む)を持つサーバや共有ストレージをサーバラックに収納し施錠管理し、電子媒体等を持ち運ぶ場合の漏えい防止策として、PCにBIOS設定でパスワードをかけた上で、HDDの暗号化やMDM(モバイルデバイス管理)を導入しており、PCや社用携帯を紛失した際には、リモートロック・ワイプ(遠隔データ削除)を可能としております。また、PCの操作ログを取得し、情報漏洩の疑いがないかを定期的にチェックを実施しております。

 

 ⑤ 旅館業法について

当社の地方創生事業は、旅館業法の「営業許可(ザランタン芦別:空滝生第296号指令、ザランタンあば村:岡山県指令美作保第7号及び第134号、ザランタン三瀬高原:佐賀県指令3佐保福第1278号、ザランタン鹿沼:栃木県指令西保第010500038号、ザランタンひたち大宮:ひな保指令第36号、ザランタン東かがわ:東保令第6-7号及び東保令第6-9号、クラフトホテル瀬戸内:東保令第5-25号)」を受けており、これまで法的規制によって事業展開に制約を受けたことはありませんが、今後新たな法的規制等の導入や既存の法的規制の変更等が生じた場合及び重大な法令違反が起こった場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、旅館業法における施設基準(建物の構造、衛生管理、消防設備等)を維持するため、日々施設において衛生管理のチェック等を実施しております。また、内部監査において定期的に施設を巡回することで施設基準の維持管理及びチェック体制等に不備事項等がないかを確認しております。

 

 

 ⑥ その他法的規制等について

当社は事業の遂行において、上記①~⑤の他、不当景品類及び不当表示防止法、求人広告掲載基準、下請代金支払遅延等防止法、最低賃金法、著作権法、健康増進法、公衆浴場法、温泉法、未成年者飲酒禁止法、旅行業法等による法的規制を受けます。

当社はこれらの法的規制についても遵守を徹底しておりますが、各種法令の変化に対して当社が適切に対応できなかった場合には、当社の信用の低下により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、顧問弁護士及び顧問社会保険労務士等へ当社の事業内容や事業環境を積極的に説明しておりますが、当社の事業に影響を与える可能性のある法改正が実施される際には事前に情報を共有いただくこととしており、情報を精査したうえで事前に対応策を検討することとしております。また、新規事業や既存事業において新たな取り組みを実施する場合にも、事前に顧問弁護士及び顧問社会保険労務士等へ相談をすることで違反事項や不備事項等の発生防止に努めております

 

(5) 社会保険制度の改定について

(発生時期:数年以内 発生可能性:低 影響度:中)

当社は、現行の社会保険制度において、従業員はもちろんのこと、加入要件を満たす派遣スタッフ全員についても社会保険の加入を徹底しておりますが、今後、社会保険制度の改定が実施され、例えば、加入要件が引き下げられることにより、社会保険料の事業主負担額が増加する場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、社内で社会保険制度に関する情報を定期的に収集しているほか、顧問社会保険労務士より社会保険制度の法改正の情報や料率の変更等の情報を事前に提供いただくこととしており、法改正及び料率の変更等により事業主負担額が増加する場合には、派遣先企業に対して派遣料金の値上げ交渉を実施することで、一定の利益率を維持することとしております。

 

(6) 大規模自然災害、事故等について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社の多数の取引先は、日本全国のリゾート地において宿泊業等のリゾート関連ビジネスを営んでおります。そのため、当社が想定する以上の大規模な自然災害や事故等により、宿泊施設等の損壊、交通機関の停止、電力供給の停止、通信障害、観光客の減少等の影響を受け、リゾート関連ビジネスの継続に大きな支障をきたした結果、当社の取引先が人員削減等のコスト削減の一環として派遣スタッフ等の利用を取り止めた場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります

また、地方創生事業の宿泊施設も同様に休業等を余儀なくされた場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社の取引先は北海道から沖縄まで日本全国にわたることから、仮に大規模な自然災害等が発生し、被災地域の宿泊施設等の人材需要が減少した場合においても、他の地域の取引先への人材供給を強化する等して影響を最小限に留めることができるよう、地理的なリスク分散を図っております。また、地方創生事業の宿泊施設を展開する地域において同様の災害等が発生した場合においても、多数の地域に施設を展開していることから、他の地域の施設にて集客強化を行うなどして業績に与える影響を軽減することとしております

 

 

2.事業に関するリスク

(1) 四半期ごとの業績変動について

(発生時期:四半期毎 発生可能性:高 影響度:中)

当社の売上構成比が最も大きい観光HR事業の多数の取引先は、日本全国のリゾート地において宿泊業等のリゾート関連ビジネスを営んでいることから、繁忙期である夏季に当社の派遣スタッフ等の人数が増大する傾向にあります。また、地方創生事業についても同様に夏季が繁忙期であることから、この期間に収益が増加する傾向が強く、当社の売上高の推移は年間を通じて平準化されず四半期決算の業績が著しく変動する可能性があります(コロナ禍以前の2019年3月期年間売上高に占める同年8月度の売上高割合は1割強であります。)。

なお、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の影響により2020年3月期第4四半期から2023年6月期においては通常の四半期ごとの業績変動と異なっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が収束した2024年6月期は、夏季に収益が増加する傾向に戻っております

 

(主要な対応策)

当社は、四季を通じて取引可能な取引先や事業ポートフォリオの拡大に取り組み、四半期ごとの業績変動についても縮小できるよう努めてまいります。今後も業績変動の可能性はありますが、適切に開示してまいります。

 

(2) 派遣スタッフ等の確保について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:中 影響度:大)

当社は、事業展開する上で派遣スタッフ等の確保が非常に重要であると認識しており、自社ホームページやインターネット広告等により派遣スタッフ等の募集を常時実施しております。また、定期的なキャンペーンの実施や未就業の派遣スタッフ等に対して本人の希望に沿った就業先情報を定期的に発信する等して応募促進を図っております

しかしながら、雇用情勢や労働需要の変化により、人材の確保が当社の意図したとおりに進まなかった場合や、顧客の要望に対して十分な人材の確保ができなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります

 

(主要な対応策)

当社は、安定した人材確保のために継続的な広告宣伝や各種プロモーションの実施を行うとともに、当社のサービスを複数回利用するリピーターの確保に努めてまいります。

 

(3) 新規事業について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:小)

当社は、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業を開発していく方針であります。実施にあたってはリスクを軽減するために必要な情報収集及び検討を行っておりますが、不確定要素が多く存在する可能性があり、新規事業の展開が予想どおりに進まない場合や、新規事業への取り組みに付随したシステム投資・人件費・広告宣伝費等の追加的な費用が発生した場合は、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、新規事業の実施を計画する上で事前に十分な市場の調査を行い、市場に適合したサービスを展開することで市場への参入リスクを低減し、不確定要素を軽減させることとしております。また、実施にあたっては、明確で実行可能なビジネスプランを策定し、事業の目標、戦略、予算を十分に検討し設定することとしております。

 

 

(4) 知的財産権侵害等について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:小)

当社は、提供する各サービスの名称等における商標権等、多数の知的財産権を保有しております。知的財産権における権利の保護、維持、取得を適正に行っておりますが、第三者との間で知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があり、その結果、損害賠償等の費用が発生し、当社の事業遂行及び業績に影響を与える可能性があります。

また、第三者が当社のサービスと同一・類似の名称を無断で使用した場合には、ユーザーの誤解を招いたり、当社の評判・信用が毀損されたりする等、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、新規事業及び既存事業において新たなサービスを展開する場合は、サービスの名称について商標登録することとしており、その際に弁理士等により当該サービス名称が第三者の知的財産権を侵害していないかの確認を実施しております。また、当社の知的財産権(主にサービス名称)に対する外部からの侵害につきましては、当社内で実施している市場調査等を通して確認することとしております。

 

(5) 検索エンジンへの対応について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しており、当社の各サービスにおいても、これら検索サイトから多くの利用者を集客しております。今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更やシステムトラブル等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社にとって優位に働かない場合には、当社の集客効果は減退し、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、定期的に自社のウェブサイトのキーワードの最適化や高品質なコンテンツの作成、ユーザビリティの向上策等を実施することによりGoogleやYahoo!等の検索エンジンにおいて上位に掲載される対策を講じております。また、必要に応じて有料広告を活用する等して検索エンジンでの視認性の向上を図っております。

 

(6) 当社が運営する宿泊施設の契約期間について

(発生時期:契約期間毎 発生可能性:中 影響度:中)

当社が運営する一部の宿泊施設は、地方公共団体が設置した公共施設内で営業を行っております。公共施設内の管理運営権は、地方自治法の指定管理者制度に基づき指名を受けた指定管理者が有しており、当社は指定管理者と有期契約を締結し、宿泊施設の運営を行っております。有期契約であるため、契約更新を行う必要があり、何らかの事由により契約更新ができない場合や、地方自治体による指定管理制度の廃止や、指定管理者の意向等により指定管理者と地方公共団体との指定管理期間の継続等が行われず指定管理者が撤退することとなった場合には、想定の収益計画を達成できず、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、指定管理者との契約時又は更新時において、長期的な契約期間となるよう交渉し締結することとしております。また、現指定管理者が指定管理期間を終え、継続の意向なく撤退する場合におきましても、地方公共団体による再公募に参加することとしており、当社が管理者として指定される場合には、可能な限り収益計画に見合った長期的な指定管理期間となるよう交渉を行うこととしております。

 

 

(7) 宿泊施設開業計画について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:大)

地方創生事業では、新規宿泊施設を開業するにあたり、地方公共団体等との契約形態にもよりますが、宿泊施設開業計画の提案から交渉、地元住民等への説明会の実施等を含め、開業までに必要な期間は通常1年~1年半程度となります。当該提案から交渉の過程において、当社の要望が汲み取られない場合などには、計画の見直しが必要となり、開業までの期間が長期化する可能性があります。また、地元住民等への説明会におきましても、反対意見により計画自体が頓挫した場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社では事前に開業スケジュールを慎重に検討し計画を立案するとともに、複数の開業候補地の選定を同時に進め、仮に一部の開業候補地で計画の見直しが必要になった場合においても、他の開業候補地の優先度を調整することで計画に遅れが生じないよう努めております。

 

(8) 食品の衛生管理について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社が運営する宿泊施設では食事の提供を行っておりますが、万が一、食中毒等の事故が発生した場合は営業許可の取り消しや一定期間の営業停止、ブランドイメージの毀損等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、食品の衛生管理及び品質管理はHACCP手法に基づく衛生管理マニュアルを策定し、チェックリスト等を用いて管理するとともに、衛生管理に関する教育の実施に努めてまいります。また、定期的に本社社員が宿泊施設への往査を行い衛生管理体制に問題がないかの確認を行っております。

 

(9) 業務委託契約について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

情報システム事業は、顧客と業務委託契約を締結後、業務遂行にあたりますが、労働局により偽装請負問題を指摘され、法令に違反する事項が発生した場合には事業停止の可能性があり、その場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、当社の従業員が取引先企業内で業務を行う必要性が生じた場合には、必ず管理責任者を設置し従業員への指揮命令を当該管理責任者が行うこととする体制としております。また、管理責任者からは定期的な業務報告を受けることとしており、偽装請負問題に発展しないための対策を講じる等、関係法令を遵守し運営しております。

 

(10) システムトラブルについて

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社が運営する観光HR事業では、自社システムと他社サービス(LINE等)とのシステム連携により、システム化及び合理化を図っておりますが、大規模なプログラミング不良、不正アクセス、自然災害、その他の要因によりシステム障害やネットワークの切断等の予測不能なトラブルが発生した場合には一時的に業務が滞ることから事業活動に影響が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、システム連携前に動作テストを慎重に実施し不具合やトラブルが発生しないよう取り組んでおります。また、システム障害等が発生した場合においても、連携する他社サービスの代替として電話や電子メールを用いることで当社サービスが停止することはなく、事業運営は継続可能であります。

 

 

3.経営・組織に関するリスク

(1) 内部管理体制の充実及び法令遵守について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社は、今後更なる事業拡大を図るため、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させることが必要不可欠であると認識しております。しかしながら、人的要因及び急激な事業環境の変化により、内部統制に関する制度の構築、運用、モニタリングのいずれかが充分に機能しない場合、様々な事業リスクを適切に管理できず、業績に影響を与える可能性があります。

また、内部統制に関する制度が完全にその機能を果たしたとしても、これらは違法行為の全てを排除することを保証するものではなく、従業員による重大な過失、不正、その他の違法行為等が生じた場合には、訴訟や損害賠償等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、事業展開や企業規模の拡大に合わせ、管理部門の人員の充実を図るとともに継続的に組織体制の見直しを行い、適切な内部管理体制強化に努めております。また、役員や従業員への教育を行い、体制の実効性を保つよう取り組んでおります。

 

(2) M&Aについて

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社は、事業拡大の手段として関連事業を営む企業のM&A等を行う可能性があり、M&A後に偶発債務等の発生や事業環境の変化等により計画どおりの事業展開を行えなかった場合は、のれんや関係会社株式の減損処理が発生し、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

M&A等を実施する場合には、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細な事前審査を行い、極力リスクを回避するように努めております。

 

(3) 特定の人物への依存について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社の代表取締役社長である庄子潔は、当社の経営方針や事業戦略全般の策定等、多方面において重要な役割を果たしております。何らかの理由により代表取締役社長に不測の事態が生じた場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社では同氏に過度に依存しない経営体制を構築するため、職務権限の委譲や合議制の推進、経営幹部の育成等により、業務執行体制の強化に努めております

 

(4) 配当政策について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:小)

当社は、株主に対する利益還元については重要な経営課題の1つとして認識しております。しかしながら、当社は現在成長段階にあり、より一層の内部留保の充実を図り、収益基盤の安定化・多様化や新規の投資にこれを充当することにより更なる事業拡大を図ることが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

なお、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(主要な対応策)

当社は、将来的に財政状態や経営成績を勘案しながら株主への利益の配分を検討する方針であります。

 

 

(5) 固定資産の減損について

(発生時期:特定時期なし 発生可能性:低 影響度:中)

当社の保有する固定資産は、その取得にあたって事前に必要性や収益性を十分に検証した上で決定しております。しかしながら、事業環境や経営状況の著しい変化等により収益性が低下し期待する成果が得られない場合には対象資産に対する減損損失の計上により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

経営計画の達成に努めるとともに、新規設備投資案件については、事前に必要性や収益性を十分に検証した上で、慎重に検討のうえ実施することにより、減損損失の計上に至る状況を回避するように努めてまいります。

 

4.その他のリスク

(1) ストック・オプション制度による株式価値の希薄化について

(発生時期:数年以内 発生可能性:中 影響度:中)

当社は、当社役員及び従業員の中長期的な業績向上に対する意欲向上を目的とし、ストック・オプション制度を採用しております。今後ストック・オプションが行使された場合には、株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、今後もストック・オプション制度を活用していく可能性があり、1株当たりの株式価値に希薄化が生じます。一方で、役職員の士気を高め、株価変動にかかる利害を株主の皆様とともにし、結果として企業価値の向上を図れるものと考えております。

 

(2) 資金使途について

(発生時期:特定期間なし 発生可能性:低 影響度:小)

新規上場時の新株発行により調達した資金の使途は、当社が運営するホームページ「リゾートバイトダイブ」の知名度、認知度を向上させていくためのブランディング活動費用及び各種広告媒体への出稿やリスティング広告等の強化を図るための広告宣伝費、人材獲得のための採用費及び人件費に充当する計画であります。

しかしながら、日々変化する経営環境に適切に対応するため、当初計画した資金使途によらない投資に充当する可能性があります。また、計画どおりに資金を充当した場合においても、当初見込んでいた効果が得られない可能性があります。

 

(主要な対応策)

当社は、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化については適時その動向を注視するとともに、資金使途が変更になった場合には、速やかに開示いたします。

 

(3) 当社株式の流動性について

(発生時期:特定期間なし 発生可能性:低 影響度:中)

2024年6月末現在、当社株式についての株式会社東京証券取引所の定める流動株式比率は31.2%となっております。今後は、大株主からの売出し、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、なんらかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(主要な対応策)

今後、既存大株主への一部売出しの要請、新株予約権の行使等による流通株式数の増加等、流動性の向上を図ってまいります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はほぼ解消し、観光業界では訪日外国人旅行者の増加が続き、景気は緩やかな回復傾向が見られます。一方で、資源・エネルギー価格の高騰、不安定な世界情勢を背景とした景気後退懸念など、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

観光業界におきましては、訪日外国人旅行者による宿泊等の体験型サービス消費が増加し、国内観光業におけるインバウンド需要の増加が見られました(出典:国土交通省 観光庁「訪日外国人消費動向調査」)。また、訪日外国人旅行者が2024年6月で4ヶ月連続300万人を突破し、単月としては過去最高の313.5万人を記録しました(出典:JNTO 日本政府観光局「訪日外客数(2024年6月推計値)」)。加えて、当事業年度における日本人国内旅行消費額が前年を上回り、日本人の宿泊需要も増加しておりました(出典:国土交通省 観光庁「旅行・観光消費動向調査2024年4-6月期(速報)」)。このような状況のもと、当社は国内観光業における人材需要の増加に対応するため、継続的な広告宣伝投資を行い求職者の確保に努めてまいりました。

以上の結果として、基幹事業である観光HR事業を中心に当社の業績は堅調に推移し、当事業年度における売上高は12,363,389千円(前期比49.6%増)、営業利益は542,316千円(前期比351.9%増)、経常利益は546,588千円(前期比296.3%増)、当期純利益は320,998千円(前期比90.7%増)となりました

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(観光HR事業)

観光HR事業におきましては、宿泊業等を中心とした日本人国内旅行者の宿泊需要に加え、訪日インバウンド市場の活性化に伴い、当社取引先である宿泊施設等の人材需要が引き続き旺盛でありました。取引先企業の人手不足の課題を解決すべく、特定技能の宿泊分野において、観光・宿泊業の専門スキルを学ぶ外国人学生に向けた日本での就労支援を行うため、海外の教育機関等とMOU(協力覚書)締結いたしました。また、求職者の利便性向上を図るためのホームページ(リゾートバイトダイブ)のリニューアル及び求職者向けの「勤務先レビュー」の公開や、翌期も見据えた求職者確保のための大型広告宣伝投資を行ってまいりました。これにより、2023年7月~2024年6月における年間就業者数は9,320名(前期比18.8%増)、LINE友だち数は128,065名(前期比61.6%増)となりました。

その他に、派遣スタッフの勤務期間長期化への取り組みも奏功し、派遣スタッフ1名当たりの売上高は1,244千円(前期比27.1%増)となりました。

以上の結果として、当セグメントの当事業年度における売上高は11,788,061千円(前期比51.0%増)となり、セグメント利益(営業利益)は884,717千円(前期比158.6%増)となりました。

 

(地方創生事業)

地方創生事業におきましては、2023年7月1日に茨城県常陸大宮市に「ザランタンひたち大宮」を新規開業、2024年3月1日に香川県東かがわ市に滞在型アウトドアホテルである「クラフトホテル瀬戸内」を新規開業いたしました。また、2024年4月1日に香川県東かがわ市の大池オートキャンプ場の指定管理者となり運営を開始し、グランピング施設を兼ね備えた「ザランタン東かがわ」としての開業準備(2024年7月1日に営業開始)を進めてまいりました。

既存のグランピング施設においては、本格シーズン到来に向け積極的に設備投資を行い、集客強化及びアクティビティコンテンツや施設インフラの拡充等を進めてまいりました。

以上の結果として、当セグメントの当事業年度における売上高は491,499千円(前期比29.4%増)となり、セグメント損失(営業損失)は314,345千円(前期は168,656千円の営業損失)となりました。

 

(情報システム事業)

情報システム事業におきましては、未経験エンジニアの育成や、大型案件獲得及び年度末需要獲得等の営業活動に加えて、工数管理による早期納品等に努めました。

以上の結果として、当セグメントの売上高は83,827千円(前期比4.4%増)となり、セグメント損失(営業損失)は28,054千円(前期は53,507千円の営業損失)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ504,086千円増加し、3,245,993千円となりました。これは主に、公募増資等により現金及び預金が260,319千円、売上高の増加により売掛金が232,784千円増加したことによるものであります。

当事業年度における固定資産の残高は、前事業年度末に比べ664,813千円増加し、1,068,952千円となりました。これは主に、地方創生事業における宿泊施設の新規開業や増設等に伴い有形固定資産が488,734千円増加したこと、及び地方創生事業における宿泊予約・宿泊者情報管理システムの開発に伴い無形固定資産が140,246千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は4,314,946千円となり、前事業年度末に比べ1,168,900千円増加しました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ382,023千円増加し、2,176,113千円となりました。これは主に、課税所得の増加に伴い未払法人税等が191,517千円、観光HR事業における就業者の増加により未払金が139,131千円増加したことによるものであります。

当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末に比べ145,277千円減少し、242,842千円となりました。これは主に、弁済により長期借入金が174,531千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は2,418,956千円となり、前事業年度末に比べ236,745千円増加しました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ932,154千円増加し、1,895,989千円となりました。これは、公募増資により資本金及び資本剰余金が611,156千円、当期純利益の計上により利益剰余金が320,998千円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、期初に比べ260,319千円増加し、2,038,006千円(前期末1,777,687千円)となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は626,222千円となりました。これは主に、増加要因として税引前当期純利益が538,228千円、未払金の増減が116,666千円あった一方で、減少要因として売上債権の増減が232,784千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は728,415千円となりました。これは主に、地方創生事業における宿泊施設の新規開業や増設等に伴い、有形固定資産の取得による支出が498,085千円、地方創生事業における宿泊予約・宿泊者情報管理システムの開発に伴い無形固定資産の取得による支出が153,402千円あったことによるものであります。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は362,512千円となりました。これは主に、増加要因として公募増資による収入が611,156千円、長期借入れによる収入が200,000千円あった一方で、減少要因として長期借入金の返済による支出が398,609千円、社債の償還による支出が70,000千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

観光HR事業

11,788,061

51.0

地方創生事業

491,499

29.4

情報システム事業

83,827

4.4

合計

12,363,389

49.6

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の経営者は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当事業年度において重要なものは「第5 〔経理の状況〕 1 〔財務諸表等〕 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は12,363,389千円(前期比49.6%増)となりました。これは主に観光HR事業において、当社の取引先である観光施設の人材需要が旺盛であり、当社への人材オーダーも増加したことによるものです。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は、9,410,961千円(前期比51.5%増)となりました。これは主に観光HR事業における派遣スタッフの増加により、派遣人件費が増加したことによるものです。この結果、売上総利益は2,952,427千円(前期比43.7%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、2,410,111千円(前期比24.6%増)となりました。これは主に売上規模の拡大に伴い従業員が増加し、給料手当が増加したことによるものです。その結果、営業利益は542,316千円(前期比351.9%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当事業年度における営業外収益は派遣スタッフの前払いによる手数料収入等を計上し21,669千円(前期比15.3%減)となり、営業外費用は新規上場に伴う上場関連費用、支払利息及び社債利息等を計上し17,397千円(前期比127.0%増)となりました。その結果、経常利益は546,588千円(前期比296.3%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

当事業年度において、特別利益は発生しておりません。

当事業年度における特別損失は建物及び構築物の除却による損失を3,846千円、ソフトウエアの除却による損失を3,766千円計上し、8,359千円となりました。また、繰越欠損金が解消したこと、及び公募増資により資本金が増加し、留保金課税が適用されたことに伴い法人税、住民税及び事業税の負担が増加いたしました。さらに、繰越欠損金の解消による繰延税金資産の減少に伴いプラス(損失側)の法人税等調整額を計上したことにより、法人税等の負担が増加し、当期純利益は320,998千円(前期比90.7%増)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資金の流動性については、経理部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手許流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、事業規模の拡大による人件費や、観光HR事業における認知度向上・登録者増加に必要な広告宣伝費、地方創生事業における宿泊施設の新規開業費用であります。これらの資金需要につきましては、「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び内部資金にて賄う方針であります。今後は、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針であります。なお、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2〔事業の状況〕 1 〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 〔事業の状況〕 3 〔事業等のリスク〕」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。