【連結財務諸表注記】
1.報告企業
株式会社マクロミル(以下、「当社」という。)は日本に所在する企業であります。登記している本店は、東京都港区に所在しています。その他主要な事業所の住所はウェブサイトで開示しています。当社の連結財務諸表は、6月30日を期末日とし、当社及びその子会社(以下、当社グループ)並びに関連会社に対する当社グループの持分により構成されています。
各事業の内容については注記「6.セグメント情報」に記載しています。
2.作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2の「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しています。
本連結財務諸表は、2024年9月25日に代表執行役社長CEO佐々木徹及び執行役CFO橋元伸太郎によって承認されています。
当社グループの会計方針は2024年6月30日に有効なIFRSに準拠しています。
当社グループの連結財務諸表は、注記「3.重要性のある会計方針」に記載のとおり、公正価値で測定されている特定の金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
公正価値は、その価格が直接観察可能であるか、他の評価技法を用いて見積もられるかにかかわらず、測定日時点で、市場参加者間の秩序ある取引において、資産を売却するために受取るであろう価格又は負債を移転するために支払うであろう価格です。当社グループは資産又は負債の公正価値の見積りに関して、市場参加者が測定日において、当該資産又は負債の価格付けにその特徴を考慮に入れる場合には、その特徴を考慮しています。
連結財務諸表における測定及び開示目的での公正価値は、IFRS第2号「株式に基づく報酬」の公正価値、IFRS第16号「リース」のリース取引、及びIAS第36号「資産の減損」の使用価値のような公正価値と何らかの類似性はあるが公正価値ではない測定を除き、上記のように決定されています。さらに財務報告目的で、公正価値測定は以下に記述するように、そのインプットが観察可能である程度、及びインプットが公正価値測定全体に与える重要性に応じてレベル1、2、3に分類されます。
・レベル1のインプットは、企業が測定日現在でアクセスできる同一の資産又は負債に関する活発な市場における無調整の相場価格です。
・レベル2のインプットは、レベル1に含まれる相場価格以外のインプットのうち、資産又は負債について直接又は間接に観察可能なものです。
・レベル3のインプットは、資産又は負債に関する観察可能でないインプットです。
当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を切り捨てて表示しています。
連結財務諸表の作成において、早期適用した新基準等はありません。
第1四半期連結会計期間において、2023年7月3日付で株式の取得に伴い、株式会社モニタスが新たに連結子会社となりました。また、第2四半期連結会計期間において、2023年12月1日付で株式の取得に伴い、Mindmagnet Co.,Ltd.が新たに連結子会社となりました。
(6) 会計方針の変更
当社グループは、当連結会計年度より、以下の基準を適用しています。
・IAS第12号「法人所得税(2021年5月改訂)」の適用
当社グループは、IAS第12号「法人所得税(2021年5月改訂)」を当連結会計年度より適用しています。この適用により、リース取引や廃棄義務の取引などのように、取引時に同額の将来加算一時差異及び将来減算一時差異が生じる取引については、企業はそれにより生じる繰延税金負債および繰延税金資産を、それぞれ認識することが明確となりました。
この基準の適用による当社グループの連結財務諸表に与える重要な影響はありません。
・IAS第12号「法人所得税(2023年5月改訂)」の適用
当社グループは、IAS第12号「法人所得税(2023年5月改訂)」を当連結会計年度より適用しています。
この基準の適用による当社グループの連結財務諸表に与える重要な影響はありません。
(7) 表示方法の変更
(連結キャッシュ・フロー計算書)
前連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含めていた「短期投資の純増減(△は増加)」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度から独立掲記しています。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書の組替えを行っています。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、投資活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含めていた△156百万円を「短期投資の純増減(△は増加)」として組替えています。
前連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含めていた「子会社株式の追加取得による支出」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度から独立掲記しています。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書の組替えを行っています。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、財務活動によるキャッシュ・フローの「その他」に含めていた△89百万円を「子会社株式の追加取得による支出」として組替えています。
3.重要性のある会計方針
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループがある企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、当社グループは当該企業を支配していると判断しています。
当社グループは投資先の議決権の過半数を有していなくても、他の議決権保有者との契約上の取決め、他の契約上の取決めから生じる権利、事実上の支配等の要因を考慮してパワーを有すると判断することがあります。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めています。
子会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えています。当社グループ間の債権債務残高及び内部取引高、並びに当社グループ間の取引から発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しています。
子会社持分を一部処分した際、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理しています。非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識されています。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識しています。
連結子会社の非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別されています。子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させています。
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配をしていない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定されます。
関連会社への投資は、取得時には取得原価で認識され、以後は持分法によって会計処理しています。
関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法によって処理しています。関連会社の損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しています。
関連会社が適用する会計方針が当社グループの適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を加えています。
企業結合は取得法を用いて会計処理しています。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する持分金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しています。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において収益として計上しています。
現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な持分を保有者に与える非支配持分は、企業結合取引ごとに公正価値もしくは被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分で当初測定しています。
仲介手数料、弁護士費用、デューディリジェンス費用等の、企業結合に関連して発生する取引費用は、発生時に費用処理しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合は、完了していない項目を暫定的な金額で報告しています。取得日時点に存在していた事実と状況を、取得日当初に把握していたとしたら認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下、測定期間)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しています。測定期間は最長で1年間です。
非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しているため、当該取引からのれんは認識しておりません。
被取得企業における識別可能な資産及び負債は、以下を除いて、取得日の公正価値で測定しています。
・繰延税金資産・負債及び従業員給付契約に関連する資産・負債
当社グループの各企業は、その企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨として、それぞれ独自の機能通貨を定めており、各企業の取引はその機能通貨により測定しています。
各企業が個別財務諸表を作成する際、その企業の機能通貨以外の通貨での取引については、取引日における直物為替相場又はそれに近似するレートにより機能通貨に換算しています。
期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は期末日の為替相場で、公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債はその公正価値の算定日における為替相場で、取得原価に基づいて測定されている非貨幣性項目は取引日の為替相場でそれぞれ換算しています。
換算又は決済により生じる換算差額は、純損益として認識しています。
在外営業活動体の資産及び負債については期末日の為替レート、収益及び費用については、為替相場に著しい変動がある場合を除き、平均為替レートを用いて日本円に換算しています。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しています。在外営業活動体の換算差額は、在外営業活動体が処分された期間に純損益として認識されます。
金融資産の分類及び測定モデルの概要は以下のとおりです。当社グループは、金融資産を事後に償却原価で測定する金融資産と公正価値で測定する金融資産に分類しています。この分類は、金融資産が負債性金融商品か資本性金融商品かによって以下のとおり分類しています。なお、償却原価で測定する金融資産については発生日に当初認識しており、それ以外の金融資産については取引日に当初認識しています。
(a) 償却原価で測定する金融資産
負債性金融商品としての金融資産は、以下の要件をともに満たす場合に償却原価で事後測定しています。
・当社グループのビジネスモデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合
・契約条件が、特定された日に元本及び元本残高に係る利息の支払いのみによるキャッシュ・フローを生じさせる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値(直接起因する取引コストも含む)で当初認識しています。当初認識後、償却原価で測定する金融資産の帳簿価額については実効金利法を用いて算定し、必要な場合には減損損失を控除しています。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記の償却原価で測定する金融資産の区分の要件のいずれかが満たされない場合、負債性金融商品は「純損益を通じて公正価値で測定するもの」として分類され、公正価値で測定しその変動を純損益で認識しています。
(ⅱ) 資本性金融商品
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループの資本性金融商品は、公正価値で測定し、当初認識時に公正価値の変動をその他の包括利益に計上するという選択(取消不能)を行う場合を除いて、その変動を純損益で認識しています。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、資本性金融商品については、公正価値の変動を純損益ではなくその他の包括利益を通じて認識するという選択(取消不能)を行っています。公正価値変動による利得及び損失の事後における純損益への振替は行われません。なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産からの配当金については、「金融収益」として純損益で認識しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は公正価値(直接起因する取引コストも含む)で当初認識しています。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」として、その他の包括利益に含めています。資本性金融商品の認識を中止した場合、その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累計額を直接利益剰余金へ振り替えています。
償却原価で測定される金融資産については、将来発生すると見込まれる信用損失を控除して表示しています。当社グループは当該金融資産について、当初認識以降信用リスクが著しく増加しているか評価しています。この評価には、期日経過情報のほか、当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しています。
当初認識以降信用リスクが著しく増加していると評価された償却原価で測定される金融資産については、個々に全期間の予想信用損失を見積っています。そうでないものについては、報告日後12ヶ月の予想信用損失を見積っています。ただし、営業債権については常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定します。当該測定に係る金額は、純損益で認識します。
また、償却原価で測定される金融資産のうち、営業債権については、類似する債権ごとに過去における予想信用損失の実績率を基礎として将来の予想信用損失を見積っています。
金融負債の分類及び測定モデルの概要は以下のとおりです。
当社グループは、金融負債を当社グループが当該金融商品の契約当事者になった時点で認識しており、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
償却原価で測定する金融負債は、当初認識時に公正価値からその発行に直接起因する取引コストを減算して測定しています。また、当初認識後は実効金利法に基づく償却原価で測定しています。
なお、非支配持分の所有者に付与している子会社株式の売建プット・オプション及び非支配株主と締結した先渡契約に係る負債については、将来キャッシュ・フローを割り引く方法により算定した償還金額の現在価値を金融負債として認識するとともに、当初認識後の変動については資本剰余金として認識しています。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されています。
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で測定しています。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び見積販売コストを控除した額です。原価は、個々の棚卸資産に代替性がない場合は個別法により算定しており、その他は総平均法に基づいて算定しています。棚卸資産は、購入原価、加工費及び現在の場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでいます。
当社グループは、独立した事業が既に処分されたか又は売却目的保有に分類される要件を満たした時点で、当該事業を非継続事業に分類しています。事業を非継続事業に分類した場合は、当該事業が比較対象期間の開始日から非継続事業に分類されていたものとして連結損益計算書を再表示しています。
有形固定資産については、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で測定しています。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体・除去及び原状回復費用が含まれています。
土地及び建設仮勘定以外の各資産の減価償却費は、それぞれの見積耐用年数にわたり、定額法で計上されています。主要な資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 5~47年
・工具器具及び備品 4~20年
・車両 5年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
企業結合により生じたのれんは、のれんに計上しています。当初認識時におけるのれんの測定については、注記「3.重要性のある会計方針 (2)企業結合」に記載しています。
のれんは取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
のれんの償却は行わず、毎期又は減損の兆候が存在する場合には、その都度、減損テストを実施しています。のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入れは行っておりません((11)非金融資産の減損を参照)。
無形資産の測定においては、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で表示しています。
個別に取得した無形資産は、当初認識に際し取得原価で測定しており、企業結合において取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しています。
のれん以外の無形資産は、当初認識後それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却され、減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しています((11)非金融資産の減損を参照)。なお、耐用年数を確定できない無形資産はありません。
主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 5年
・顧客関連資産 5年及び8年
・パネル資産 14年
なお、見積耐用年数、残存価額及び償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
当社グループは、契約開始時に、特定された資産の使用を支配する権利が一定の期間にわたって対価と交換に移転する場合、その契約がリースまたはリースを含んでいると判定しています。
なお、リース期間が12ヶ月以内の短期リースおよび少額資産のリースについて、使用権資産およびリース負債を認識しないことを選択しています。
使用権資産は取得原価で当初測定し、取得原価には、リース負債の当初測定した金額に、リース契約に基づき要求される原資産の原状回復コスト等を含めています。リース負債は、リース開始日で支払われていないリース料を現在価値で当初測定しています。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、借手の追加借入利子率を割引率として使用しています。
当初認識後は、使用権資産を見積耐用年数またはリース期間のいずれか短い年数にわたり定額法により減価償却しています。リース料は、利息法に基づき金融費用とリース負債の返済額に配分し、金融費用は連結損益計算書において認識しています。リース負債の返済額は、連結キャッシュ・フロー計算書において、財務活動によるキャッシュ・フローの減額項目として計上しています。リース期間は、リースの解約不能期間に、行使することが合理的に確実な延長オプションの対象期間および行使しないことが合理的に確実な解約オプションの対象期間を加えたものとしています。
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社の非金融資産の帳簿価額は、期末日ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれん及び未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を毎年同じ時期に見積っています。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と売却費用控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。減損テストにおいて個別にテストされない資産は、継続的な使用により他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生成する最小の資金生成単位に統合しています。のれんの減損テストを行う際には、のれんが配分される資金生成単位を、のれんが関連する最小の単位を反映して減損がテストされるように統合しています。企業結合により取得したのれんは、結合のシナジーが得られると期待される資金生成単位に配分しています。
当社グループの全社資産は、独立したキャッシュ・インフローを生成いたしません。全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を決定しています。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合に損益として認識いたします。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額いたします。
のれんに関連する減損損失は戻入いたしません。その他の資産については、過去に認識した減損損失は、毎期末日において損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を評価しています。回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れます。減損損失は、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費及び償却額を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻し入れます。
当社グループの一部の子会社では、従業員の退職給付制度として確定給付制度を運営しています。
当該会社は、確定給付制度債務の現在価値及び関連する当期勤務費用並びに過去勤務費用を、予測単位積増方式を用いて算定しています。
割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しています。
確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値を控除し、算定しています。また、利息費用は、金融費用として計上しています。
確定給付制度債務及び制度資産の再測定額は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えています。
過去勤務費用は、発生した期の損益として処理しています。
また、当社及び当社グループの一部の子会社では、確定拠出制度を採用しています。確定拠出制度への拠出は、従業員が勤務を提供した期間に費用として処理しています。
当社は、持分決済型の株式に基づく報酬制度として、ストック・オプション制度を採用しています。ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮した上で、権利確定期間にわたって費用として連結損益計算書において認識し、同額を連結財政状態計算書において資本の増加として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、二項モデルを用いて算定しています。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しています。
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しています。引当金は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値及び当該負債に特有のリスクを反映した税引前の利率を用いて現在価値に割り引いています。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しています。
当社グループでは顧客との契約について、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、オンライン・リサーチを中心としたマーケティングリサーチサービスを提供しています。当社グループのマーケティングリサーチは設計、調査、集計、分析という段階に分けられ、設計から分析までがワンストップで提供されるものです。
当社グループにおける収益は、各取引の実態に応じて、一定の期間もしくは一時点で収益を認識しています。一定の期間にわたり収益を認識する場合は、顧客はマーケティングリサーチにおける各工程の成果物について、当該履行義務の充足が他に転用できる資産を創出せず、かつ、当社グループが現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利を有していることから、契約上のマイルストーンによるアウトプット法によって収益を認識しています。一時点で収益を認識する場合は、マーケティングリサーチの完了後、成果物を提出した時点で履行義務が充足されると判断していることから、この時点で収益を認識しています。契約資産は、顧客に移転した財又はサービスと交換に受け取る対価に対する権利のうち、時の経過以外の条件付きの権利です。契約負債は財又はサービスを顧客に移転する前に、顧客から対価を受け取っている又は対価の支払い期限が到来しているものです。サービス提供は受注から半年以内に完了するなど、通常、履行義務の充足から1年内に決済を完了しており、取引の対価には重大な金融要素を含んでいません。
また、収益は消費税等の税金を控除した金額で測定されます。
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領することについて合理的な保証が得られた場合に、補助金収入を公正価値で測定し、認識しています。収益に関する補助金は、純損益として認識し、その他の営業収益に計上しています。
法人所得税は、当期税金及び繰延税金から構成されています。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しています。
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で測定されます。税額の算定にあたっては、当社グループが事業活動を行い、課税対象となる損益を稼得する国において、連結会計年度末日までに制定又は実質的に制定されている税率及び税法に従っています。
繰延税金は、決算日における資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務上の金額との一時差異、繰越欠損金及び繰越税額控除に対して認識しています。単一の取引から資産と負債の両方を同額で認識する特定の取引については、認識される資産に係る将来加算一時差異に対し繰延税金負債を、認識される負債に関する将来減算一時差異に対し繰延税金資産を、それぞれ当初認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上しておりません。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合取引を除く、会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識され、繰延税金資産は将来減算一時差異を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で、すべての将来減算一時差異について認識されます。
繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しています。未認識の繰延税金資産は毎期再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識されます。
繰延税金資産及び負債は、連結会計年度末日において制定されている、又は実質的に制定されている法定税率及び税法に基づいて資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率及び税法によって測定されます。
繰延税金資産及び負債は、当期税金負債と当期税金資産を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、相殺しています。
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有するすべての潜在株式の影響を調整して計算しています。当社グループの潜在的普通株式はストック・オプション制度に係るものです。
4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行っています。これらの見積り及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、決算日において合理的であると考えられる様々な要因を勘案した経営者の最善の判断に基づいています。しかし、その性質上、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及びそれ以降の将来の会計期間において認識されます。
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える判断は以下のとおりです。
・金融商品の公正価値(注記「3.重要性のある会計方針(4)金融商品」、注記「35.金融商品」)
・確定給付制度債務の算定(注記「3.重要性のある会計方針(12)従業員給付」、注記「22.従業員給付」)
・ストック・オプションの公正価値(注記「3.重要性のある会計方針(13)株式に基づく報酬」、注記「34.株式に基づく報酬」)
経営者が行った重要な会計上の見積りは以下のとおりです。
・持分法で会計処理されている投資の評価
当社グループは、持分法で会計処理されている投資について、減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が識別された場合には、投資先の事業計画を基礎とした割引後の将来キャッシュ・フローに基づく回収可能価額を算定し、回収可能価額と帳簿価額を比較して、減損損失の認識の要否を判定しており、当連結会計年度においては、持分法で会計処理されている投資の減損損失の認識は不要であると判断しています。回収可能価額の算定に用いる割引後将来キャッシュ・フローは市場指標及び過去実績を勘案した売上成長率、永久成長率、割引率を主要な仮定としています。また、株式価値の評価方法の選択、割引率の算定、及び永久成長率の算定に当たっては、経営者は外部の専門家を利用しています。
・長期貸付金の評価
長期貸付金は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産であり、持分法適用会社であるToluna Holdings Limited社(以下、「Toluna」という)に対する転換権付き貸付債権(ベンダー・ローン)です。
転換権付き貸付債権の公正価値評価においては、Toluna株式の公正価値、転換権の行使までの期間、類似企業の株価のボラティリティを主要な仮定とする、モンテカルロ・シミュレーション法を用いて見積っています。また、モンテカルロ・シミュレーション法による算定には、外部の専門家を利用しています。なお、当連結会計年度においては、長期貸付金に対する公正価値の見直しは不要と判断しています。
なお、上記も含め、計上金額、算定方法及び仮定、見積りの不確実性については、各注記をご参照ください。
・金融資産の減損(注記「3.重要性のある会計方針(4)金融商品」、注記「8.営業債権及びその他の債権」、注記「35.金融商品」)
・有形固定資産、無形資産の耐用年数及び残存価額の見積り(注記「3.重要性のある会計方針(8)有形固定資産、(9)のれん及びその他の無形資産」、注記「13.有形固定資産」、注記「15.その他の無形資産」)
・非金融資産の減損の認識及び測定(注記「3.重要性のある会計方針(11)非金融資産の減損」、注記「13.有形固定資産」、注記「14.のれん」、注記「15.その他の無形資産」)
・持分法投資で会計処理されている投資の評価(注記「3. 重要性のある会計方針(1)連結の基礎②関連会社」、注記「16.持分法で会計処理されている投資」)
・繰延税金資産の回収可能性(注記「3.重要性のある会計方針(17)法人所得税」、注記「17.法人所得税」)
・引当金の認識・測定における判断及び見積り(注記「3.重要性のある会計方針(14)引当金」、注記「23.引当金」)
5.未適用の新基準
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が公表された基準書及び解釈指針のうち、当社グループが適用していない主なものは、以下のとおりです。なお、IFRS第18号の適用による当社グループへの影響は検討中です。
6.セグメント情報
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。当社グループは、日本及び海外でのオンライン・マーケティング・リサーチを主たる事業内容とし、企業集団を基礎とした地域別のセグメントから構成されています。日本並びに韓国以外のアジア地域で事業を営む「日本事業」及び「韓国事業」の2つを報告セグメントとしています。
「日本事業」は、当社及び広告代理店との合弁事業である株式会社電通マクロミルインサイト、株式会社H.M.マーケティングリサーチ等の子会社で構成されています。
「韓国事業」はMacromill Embrain co.,Ltd.等の子会社で構成されています。
第1四半期連結会計期間より、当社グループにおける業績管理区分の見直し等に伴い、従来「日本及び韓国事業」「その他の海外事業」の2区分としていた報告セグメントを、「日本事業」「韓国事業」の2区分に変更しています。
前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメント区分に基づき作成したものを開示しています。
韓国事業内のMacromill Embrain co.,Ltd.の収益及び業績についてはウォン建てで管理しています。換算レートは、下記のとおりです。
報告セグメントの収益及び費用は以下の通りです。
なお、報告セグメント間の取引は、市場の実勢価格を参考にして、その都度交渉の上で決定しています。
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
(4) 製品及びサービスに関する情報
当社グループのサービスはマーケティング・リサーチの単一サービス事業のため記載を省略しています。
売上収益及び非流動資産の地域別内訳は以下のとおりです。
外部顧客からの売上収益
(注) 売上収益は、販売が発生した所在地を基礎として分類しています。なお、その他海外区分に属する主な国は、中国、タイですが、前連結会計年度及び当連結会計年度において、日本及び韓国を除き、外部顧客からの売上収益が重要な単一の国はありません。
非流動資産
(注) 非流動資産は、資産の所在地によっており、金融商品、繰延税金資産を含んでいません。
当社グループの「日本事業」は、株式会社電通グループ及びその子会社に対してサービスを提供しています。
当該顧客に対する売上収益は、前連結会計年度において4,310百万円(連結売上収益の10.61%)、当連結会計年度において4,343百万円(同9.90%)です。
7.現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は以下のとおりです。
8.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は以下のとおりです。当社グループにおいて、受取手形及び売掛金の金額が顧客との契約により生じた債権額となっています。
(注) 連結財政状態計算書では、貸倒引当金控除後の金額で表示しています。
9.棚卸資産
棚卸資産の内訳は以下のとおりです。
費用として認識された棚卸資産の金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ1,922百万円及び2,158百万円です。
10.非継続事業
当社は、2023年6月1日付で、当社が当社子会社を通じて保有するMetrixLabグループの全株式をToluna Holdings Limited社(以下、「Toluna」という)に譲渡いたしました。その対価としてToluna株式の17.4%(5,369百万円)及び同社に対する54.8百万英ポンド(9,494百万円)の同社株式への転換権付き貸付債権(ベンダー・ローン)を取得し、同社は持分法適用会社となりました。なお、移転した対価であるMetrixLabグループの全株式の公正価値が、受取対価であるToluna株式17.4%及び同社に対する54.8百万英ポンドの同社株式への転換権付き貸付債権の合計と等価であることについて、外部の専門家による算定結果により確かめています。
本取引により、MetrixLabグループは当社グループの連結範囲から除外されたため、前連結会計年度より、当社グループの連結財務諸表上、MetrixLabグループの事業を非継続事業に分類しています。
非継続事業の損益は以下の通りです。
(2)非継続事業からのキャッシュ・フロー
非継続事業からのキャッシュ・フローは以下の通りです。
11.その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は以下のとおりです。
(注) 株式はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、敷金・保証金及び未収利息は償却原価で測定する金融資産、短期投資は純損益を通じて公正価値で測定する金融資産であり、その他は主に償却原価で測定する金融資産です。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の主な銘柄及び公正価値は以下のとおりです。
12.その他の資産
その他の資産の内訳は以下のとおりです。
13.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額、帳簿価額は以下のとおりです。
有形固定資産の帳簿価額の増減は以下のとおりです。
(注) 有形固定資産の減価償却費は、連結損益計算書の「営業費用」に含まれています。
14.のれん
のれんの帳簿価額の増減は以下のとおりです。
企業結合で生じたのれんは、取得日に、企業結合から利益がもたらされる資金生成単位グループに配分しています。のれんの帳簿価額の資金生成単位グループ別内訳は、次のとおりです。
当社グループは、事業用資産について独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位ごとに、資産のグルーピングを行っており、のれんについて、毎期又は減損の兆候がある場合にはその都度、減損テストを実施しています。前連結会計年度において、その他の海外事業セグメントを構成する企業群であるMetrixLabグループの事業をToluna Holdinngs Limited社へ譲渡したことにより、前連結会計年度では、日本及び韓国事業の単一グルーピングとなりました。また、第1四半期連結会計期間より、当社グループにおける業績管理区分の見直しに伴い、「日本及び韓国事業」の単一グルーピングを、「日本事業」「韓国事業」の2区分に変更しています。
減損テストの回収可能価額は、使用価値に基づき算定しています。使用価値は、過去の経験を反映し経営者が承認した今後5年度分の事業計画を基礎としたキャッシュ・フローの見積額を、当該資金生成単位グループの税引前 加重平均資本コストにより現在価値に割引いて算定しています(前連結会計年度は、日本及び韓国事業で9.6%、当連結会計年度は、日本事業で11.0%、韓国事業で16.3%)。事業計画の策定には、主要な仮定として、各社の過去の成長率及び各国のマーケティング・リサーチ市場の成長率を考慮した売上成長率を用いています。また、各資金生成単位グループにおける事業計画の5年を超える期間のキャッシュ・フローを予測するために用いられた成長率は、資金生成単位グループが属する国、産業の状況を勘案して決定した成長率を用い(前連結会計年度は、日本及び韓国事業で1.5%、当連結会計年度は日本事業で1.5%、韓国事業で2.0%)、資金生成単位グループが活動する産業の長期平均成長率を超えていません。
前連結会計年度において、日本及び韓国事業に計上しているのれんについて、仮に各期の将来の見積キャッシ ュ・フローが45.2%減少した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。また、割引率が合理的に予測可能な範囲で上昇したとしても、回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しています。上記の減損計上の余裕度に関する推定は、各期の将来の見積キャッシュ・フローの減少及び割引率の上昇がそれぞれ単独で発生するとの仮定に基づき記載しています。また、将来キャッシュ・フローの見積額の基礎となる事業計画の仮定に重要な変動が生じた場合にも、減損損失が生じる可能性があります。
当連結会計年度において、日本事業、韓国事業にそれぞれ計上しているのれんについて、仮に各期の将来の見積キャッシュ・フローが、日本事業、韓国事業においてそれぞれ、32.3%、19.3%減少した場合に回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。また、割引率が合理的に予測可能な範囲で上昇したとしても、回収可能価額が帳簿価額を下回る可能性は低いと判断しています。上記の減損計上の余裕度に関する推定は、各期の将来の見積キャッシュ・フローの減少及び割引率の上昇がそれぞれ単独で発生するとの仮定に基づき記載しています。また、将来キャッシュ・フローの見積額の基礎となる事業計画の仮定に重要な変動が生じた場合にも、減損損失が生じる可能性があります。
15.その他の無形資産
無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額、帳簿価額は以下のとおりです。
無形資産の帳簿価額の増減は以下のとおりです。
(注) 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「営業費用」に含まれています。
前連結会計年度において、Siebold Intermediate B.V.の全株式を売却したことに伴い、顧客関連資産及びパネル資産が大きく減少しています。
なお、費用として認識した研究開発費は、前連結会計年度7百万円、当連結会計年度0百万円です。
16.持分法で会計処理されている投資
(1)重要性のある関連会社の要約連結財務情報等
①一般情報
Toluna Holdings Limitedの要約連結財務諸表は、以下のとおりです。当該要約連結財務情報は、当社グループの会計方針に基づき、同社の決算に基づく連結財務諸表に調整を加えた金額となります。
②要約連結財務情報
(注)前連結会計年度の収益及び利益は、株式取得後の2023年6月1日から2023年6月30日の1か月間の数値です。
③投資情報
(2)重要性のない関連会社に対する投資の合算情報
17.法人所得税
繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳及び増減は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
(注1) その他には非継続事業の純損益の増減及び支配喪失による減少分が含まれています。
(注2)顧客関連資産およびパネル資産の「その他の包括利益において認識」は、為替換算差額です。
前連結会計年度(2022年6月30日)及び当連結会計年度(2023年6月30日)において、繰延税金資産を認識した税務上の繰越欠損金の残高がありますが、本欠損金が発生した要因は、再発が予測されない一過性のものであり、取締役会において承認された事業計画を基礎とした将来課税所得の予測額に基づき、税務便益が実現する可能性が高いものと判断しています。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
(注)前連結会計年度(2023年6月30日)及び当連結会計年度(2024年6月30日)において、繰延税金資産を認識した税務
上の繰越欠損金の残高がありますが、本欠損金が発生した要因は、再発が予測されない一過性のものであり、
取締役会において承認された事業計画を基礎とした将来課税所得の予測額に基づき、税務便益が実現する可能
性が高いものと判断しています。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異は以下のとおりです。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の失効予定は以下のとおりです。
繰延税金負債を認識していない子会社等に対する投資に係る将来加算一時差異の合計額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ2,129百万円及び1,764百万円であります。これらは当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールでき、かつ予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高いことから、繰延税金負債を認識していません。
法人所得税費用の内訳は以下のとおりです。
法定実効税率と平均実際負担税率との差異要因は以下のとおりであります。
当社グループは、主に法人税、住民税及び事業税を課されており、各所在地における税率を使用して計算しています。その主要な部分を占める親会社の法定実効税率は、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに30.6%となっています。
18.社債及び借入金
社債及び借入金の内訳
(注1) 平均利率については、借入金の当連結会計年度末残高に対する契約上の加重平均利率を記載しています。
(注2) 社債の内訳は次のとおりです。
当社は、長期借入金の借換えを目的として、2022年3月29日に株式会社みずほ銀行と金銭消費貸借契約を締結しています。
なお、当該契約には財務制限条項がついており、当該条項は以下のとおりです。
2022年6月期決算以降、各年度の決算期の末日及び第2四半期の末日における連結財政状態計算書上の資本合計の金額を2021年12月第2四半期の末日における連結財政状態計算書上の資本合計の金額の75%及び直前の決算期末日又は第2四半期の末日における連結財政状態計算書上の資本合計の金額の75%のいずれか高い方の金額以上に維持すること。
2022年6月期決算以降、各年度の決算期の末日及び第2四半期の末日における単体の貸借対照表上の純資産の部の金額を2021年12月第2四半期の末日における単体の貸借対照表上の資本合計の金額の75%及び直前の決算期末日又は第2四半期の末日における単体の貸借対照表上の資本合計の金額の75%のいずれか高い方の金額以上に維持すること。
2022年6月期決算以降の決算期を初回の決算期とする連続する2期について、各年度の決算期における連結の損益計算書に示される営業損益が2期連続して損失とならないようにすること。
2022年6月期決算以降の決算期を初回の決算期とする連続する2期について、各年度の決算期における単体の損益計算書に示される営業損益が2期連続して損失とならないようにすること。
19.リース
当社グループは、借手として、不動産、オフィス機器及び車両等を賃借しています。一部の契約には、延長オプション及び解約オプションが付されていますが、リース契約によって課された制限はありません。
延長オプション及び解約オプションは、主に不動産リースに含まれており、その多くは現契約と同期間にわたり延長するものであり、また6か月前までに相手方に書面により通知した場合に早期解約が認められるものです。
なお、これらのオプションは、リース契約主体が不動産を事業に活用する上で、必要に応じて使用されています。
リース負債に係る金利費用は、連結損益計算書上の「金融費用」に含まれています。使用権資産の減価償却費および短期および少額資産のリース費用は、連結損益計算書上の「営業費用」に含まれています。なお、上記表においては、非継続事業に係る費用も含まれています。
使用権資産の増加額は、前連結会計年度1,016百万円、当連結会計年度2,065百万円です。
リースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、前連結会計年度656百万円、当連結会計年度907百万円です。
リース負債の満期分析については、注記「35.金融商品 (4) 流動性リスク管理」に記載しています。
20.営業債務及びその他の債務
営業債務及びその他の債務の内訳は以下のとおりです。
21.その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は以下のとおりです。
未払費用は償却原価で測定する金融負債、未払金は主に純損益で測定する金融負債です。
その他の金融負債の満期分析については、注記「35.金融商品 (4) 流動性リスク管理」に記載しています。
22.従業員給付
当社グループの一部の子会社では、従業員の退職給付に備え、退職一時金制度及び確定給付企業年金制度並びに確定拠出年金制度を設けています。
退職一時金制度は、正社員を対象とする給与に連動した累積型の制度であり、確定給付企業年金制度は、一部の従業員に対してのみ、経過措置としての給付を行っています。これらの制度は、制度資産の価格変動リスク、確定給付制度債務の現在価値に用いる金利変動リスクなどの数理計算上のリスクに晒されています。
積立型制度及び非積立型制度の内訳は以下のとおりです。
確定給付制度債務の現在価値の変動は以下のとおりです。
当期勤務費用は、連結損益計算書上の「営業費用」に含まれています。利息費用は、連結損益計算書上の「金融費用」に含まれています。
確定給付制度債務の現在価値の評価に当たって使用された重要な数理計算上の仮定は以下のとおりです。
重要な数理計算上の仮定についての感応度分析は以下のとおりです。
重要な数理計算上の仮定が以下の割合で変動した場合に、確定給付制度債務の現在価値に与える影響を示しております。当分析は、他の数理計算上の仮定はすべて一定とした上で実施しています。
確定給付制度債務の加重平均デュレーションは、前連結会計年度において5.7年、当連結会計年度において5.5年です。
株式、債券、及びその他の適切な資産の組み合わせからなる年金制度の資産配分については、長期戦略が設定されています。これは、異なる資産クラスは異なる長期運用収益をもたらし、また、資産クラスの中には他より変動性が高いものがある、という認識に基づいています。長期戦略により、投資は十分に多様化しています。アセット・マネージャーには、その時々に応じて受託者と合意した管理幅の範囲内で長期戦略から乖離して柔軟に資産配分を行うことが認められています。
制度資産の公正価値の変動は以下のとおりです。
制度資産の主な項目ごとの内訳は以下のとおりです。
(注1)これらの制度資産はすべて合同運用ファンドを通じて運用されており、活発な市場における公表市場価格がないものに分類されています。
(注2)個人保険や企業年金資産等を合同して一つの勘定で運用するもので、元本と一定の利率が保証されています。
(注3)短期資金にはコールローン、預金等が含まれています。
当社グループは、翌連結会計年度(2025年6月期)に12百万円の掛金を制度資産へ拠出する予定です。
確定拠出制度に関して費用として認識された金額は、前連結会計年度215百万円、当連結会計年度272百万円です。なお、公的制度における費用は、前連結会計年度840百万円、当連結会計年度905百万円です。
各年度の連結損益計算書に含まれる従業員給付に係る費用は、以下のとおりです。
従業員給付費用は、連結損益計算書上の「営業費用」に含まれています。
23.引当金
引当金の内訳及び増減は以下のとおりです。
前連結会計年度
当連結会計年度
パネルポイント引当金
パネルポイント引当金は、当社グループが実施したリサーチに回答したパネルに対するインセンティブとして付与したポイントの利用によるプレゼント交換費用に備えるため、過年度の実績等を踏まえ、各連結会計年度末において将来利用されると見込まれる額を計上しています。なお、当該ポイントのパネルによる使用には不確実性があります。
資産除去債務
将来の資産除去に向けて、本社品川イーストワンタワー、その他大阪等の建物の除去について、法令又は契約で要求される法的義務及びそれに準じて発生する義務に基づき発生する債務を計上しています。
将来において経済的便益の流出が予測される時期は、主に各連結会計年度末日より1年を経過した後の時期になることが見込まれていますが、将来の事業計画等により影響を受けます。
24.その他の負債
その他の負債の内訳は以下のとおりです。
25.資本及びその他の資本項目
授権株式数、発行済株式数の残高の増減は以下のとおりです。
日本における会社法では、株式の発行に対しての払込み又は給付に係る額の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることが規定されています。また、会社法では、資本準備金の額は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
会社法では、剰余金の配当により支出する金額の10分の1を、資本準備金及び利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで資本準備金又は利益準備金として積み立てることが規定されています。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができます。
自己株式数及び残高の増減は以下のとおりです。
(注1) 2023年5月15日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得1,393,400株及び2022年10月21日開催の取締役会決議に基づく自己株式の処分25,400株によるものです。
(注2) 2023年10月25日開催の取締役会決議に基づき、自己株式46,300株を処分しています。
他方で、2024年2月28日開催の取締役会決議に基づき、株式給付信託(BBT)に係る信託口において当社株式436,700株を取得しています。株式給付信託(BBT)の詳細については、前記「第4 提出会社の状況 1.株式等の状況 (8) 役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しています。当連結会計年度末における当該自己株式の帳簿価額は334百万円、株式数は436,700株です。
当社はストック・オプション制度を採用しており、会社法に基づき新株予約権を発行しています。なお、金額及び契約条件等は、注記「34.株式に基づく報酬」に記載しています。
26.配当金
(1) 配当金支払額
前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)
当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)
(2) 配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)
当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)
27.売上収益
当社グループは、マーケティング・リサーチ事業から計上される収益を売上収益として表示し、顧客との契約から生じる収益を報告セグメントの区分に基づき、以下のとおり分解しています。
日本事業の3領域、及び韓国事業は、それぞれ以下のサービスから構成されています。
契約残高の内訳は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当連結会計年度の期首現在の契約負債残高は、当連結会計年度の収益として認識しています。また、当連結会計年度において、過去の期間に充足又は部分的に充足した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
当社グループにおいては、個別の予想契約期間が1年を超える重要な取引がないため、実務上の便法を適用し、残存履行義務に関する情報の記載を省略しています。また、顧客との契約から生じる対価の中に、取引価格に含まれていない重要な金額はありません。
当社グループにおいては、顧客との契約の獲得又は履行のために発生したコストから認識した資産はありません。
28.営業費用
営業費用の内訳は以下のとおりです。
29.その他の営業収益及びその他の営業費用
その他の営業収益の内訳は以下のとおりです。
その他の営業費用の内訳は以下のとおりです。
30.金融収益及び費用
金融収益の内訳は以下のとおりです。
金融費用の内訳は以下のとおりです。
(注) 為替差損は主に為替予約に係るものです。
31.その他の包括利益
その他の包括利益の各項目別の当期発生額及び損益への組替調整額、並びに税効果の影響は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
その他の資本の構成要素の内容及び目的
在外営業活動体の換算差額
外貨建てで作成された海外子会社の財務諸表を連結する際に発生した換算差額です。
確定給付制度の再測定
確定給付制度における期首時点の数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額及び数理計算上の仮定の変更による影響額です。これについては、発生時にその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から利益剰余金に直ちに振り替えています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じ公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動の累積額です。売却時または処分時に利益剰余金に振り替えています。
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する持分
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する持分の変動の累積額です。在外関連会社に持分法を適用した際の換算差額が含まれています。
32.1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益及び希薄化後1株当たり当期利益は以下のとおりです。
33.キャッシュ・フロー情報
(1)財務活動から生じた負債の変動
財務活動から生じた負債の変動は、次のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
(注) 1年内返済予定の金額を含んでいます。
(2)非資金取引
前連結会計年度に、当社が当社子会社を通じて保有していたMetrixLabグループの全株式をToluna Holdings Limited社(以下、「Toluna」という)に譲渡した取引の受領対価は次のとおりです。
Toluna株式の公正価値は、Tolunaの事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を、税引前加重平均資本コストにより現在価値に割引いて算定しています。また、当該株式の公正価値の評価における主要な仮定は売上高成長率、割引率及び継続価値の算定に使用される永久成長率です。なお、Tolunaの将来キャッシュ・フローの見積りは、今後5年間の事業計画を基礎とし市場指標や過去実績を勘案した売上高成長率を用いており、継続価値は事業計画の最終事業年度の将来キャッシュ・フローに永久成長率を考慮して算定しています。経営者は、割引率及び永久成長率の算定に当たっては、外部の専門家を利用しています。
転換権付き貸付債権の公正価値は、注記「35.金融商品」に記載のとおり、Toluna株式の公正価値、転換権の行使までの期間、類似企業の株価のボラティリティを主要な仮定とする、モンテカルロ・シミュレーション法を用いて見積っています。また、モンテカルロ・シミュレーション法による算定には、外部の専門家を利用しています。
34.株式に基づく報酬
当社は、ストック・オプション制度を採用しています。ストック・オプションは、当社の株主総会において承認された内容に基づき、当社の取締役会決議により、当社グループの取締役、執行役及び従業員に対して付与されています。当社が発行するストック・オプションは、全て持分決済型の株式報酬です。行使期間は割当契約に定められており、その期間内に行使されない場合は、当該オプションは失効いたします。
(注) 前連結会計年度及び当連結会計年度のストック・オプションは、第4回新株予約権のみで構成されています。
新株予約権の行使時の払込金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において550円です。
(2) 譲渡制限付株式報酬
当社は、株価変動のメリットとリスクを株主と共有し、株価上昇及び企業価値への貢献意欲を高めることを目的として、対象者となる執行役に対し、譲渡制限付株式を割り当てています。譲渡制限付株式報酬は、全て持分決済型の株式報酬です。当報酬制度の概要は、前記「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(4)役員の報酬等」③譲渡制限付株式に関する方針」に記載しています。
(3) 業績連動型株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」
当社は、2024年2月26日開催の報酬委員会において、執行役及び執行役員(以下「執行役等」といいます。)の報酬と当社の業績及び株式価値との連動性をより明確にし、執行役等が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも株主の皆様と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的として、業績連動型株式報酬制度「株式給付信託(BBT)」を導入することを決議いたしました。当該報酬制度の概要は、前記「第4 提出会社の状況 1.株式等の状況 (8) 役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しています。
(4) 株式報酬費用
連結損益計算書の「営業費用」に含まれている株式報酬費用計上額は、前連結会計年度において33百万円であり、当連結会計年度において35百万円であります。
35.金融商品
当社グループは、グループ企業が継続企業として継続し、負債と資本の最適化を通じて企業価値を最大化することを目指して資本管理を行っています。
各報告日時点の借入金から現金及び現金同等物を控除した差引額、及び資本(親会社の所有者に帰属する部分)の残高は以下のとおりです。
当社グループは、財務指標のモニタリングを当社の財務経理本部が行っています。
なお、当社グループの借入契約に基づく借入金(前連結会計年度10,929百万円、当連結会計年度10,296百万円)について、資本に関する規制を含む財務制限条項が付されており、前連結会計年度及び当連結会計年度において当該財務制限条項を遵守しています。
当該財務制限条項について非遵守の場合には、貸付人の請求によって契約上の期限の利益を失い、ただちに債務の弁済をしなければなりません(財務制限条項及びその非遵守の影響については、注記「18.社債及び借入金」参照)。
(2) 財務上のリスク管理
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・為替リスク・金利リスク・市場価格の変動リスク)に晒されており、当該財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っています。また、資金調達についてはその時々の経済環境等の要因を勘案し、直接金融や間接金融等の調達手段の中から最適と考えられる調達手段を選択していくことを取組方針としています。
(3) 信用リスク管理
信用リスクは、保有する金融資産の相手先の債務が不履行となることにより、当社グループに財務上の損失が発生するリスクです。営業債権及び契約資産について、当社グループは各社ごとの与信管理規程に則り、相手先ごとの期日管理及び残高管理等を行うとともに、信用状況を把握する体制とし、発生から一定期間を超えた営業債権及び契約資産については、債務不履行であると考え、減損処理の対象としています。
営業債権及び契約資産については、過去の信用損失及び現在把握している定性的な要因のほか、全般的なマクロ経済の動向等も考慮のうえで、単純化したアプローチにより、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。ただし、①契約上の支払の期日経過が6ヶ月以上1年未満で、かつ、債務者の財政状況の把握・検討により、支払能力に問題があるとされた滞留債権、及び②契約上の支払の期日より1年以上入金のない滞留債権を、信用減損した営業債権及び契約資産としています。また、債務者による法的整理の完了時や、債務者の支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合等、債権の回収が合理的に見込めない場合においては、債権を直接償却しています。
金融資産については、連結財務諸表に表示されている減損後の帳簿価額が当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。これらの信用リスクに係るエクスポージャーに関し、保証として保有する担保及びその他の信用補完するものはありません。なお、当社グループの債権のうち、特定の相手先グループに対して集中した信用リスクを負っていますため、詳細につき「信用リスクの集中」にて記載しています。
営業債権及び契約資産の帳簿価額及びこれらに対する貸倒引当金の増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度
当連結会計年度
当社グループによる信用リスク格付けごとの内訳は以下のとおりです。
営業債権及び契約資産の格付けは以下のとおり実施しています。
A.正常債権
B.期日経過が6ヶ月以上1年未満で、かつ、債務者の財政状況の把握・検討により、支払能力に問題があるとされた滞留債権
C.回収期日を1年以上経過している滞留債権
当社グループは、株式会社電通グループ及びその子会社に対して営業債権及び契約資産を保有しています。
当該顧客に対する営業債権及び契約資産は、前連結会計年度において1,662百万円(営業債権及び契約資産総額の20.21%)、当連結会計年度において661百万円(営業債権及び契約資産総額の8.34%)です。
流動性リスクは、当社グループが期限の到来した金融負債の返済義務を履行するにあたり、支払期日にその支払を実行できなくなるリスクです。
当社グループは、適切な返済資金を準備するとともに、継続的にキャッシュ・フローの計画と実績をモニタリングすることで流動性リスクを管理しています。
金融負債の期日別残高は以下のとおりであり、契約上のキャッシュ・フローは利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。
前連結会計年度(2023年6月30日)
当連結会計年度(2024年6月30日)
(5) 市場リスク管理
当社グループの活動は、主に経済環境・金融市場環境が変動するリスクにさらされています。金融市場環境が変動するリスクとして、具体的には①為替変動リスク、②金利変動リスクがあります。
当社グループが保有する金融商品のうち、当該市場リスクにさらされているものは、主として、Toluna Holdings Limitedに対する長期貸付金のほか、(旧)マクロミル①、及びMetrixLab Holding B.V.の買収資金を調達した際の長期借入金です。
当社グループは、国際的に事業を展開していることから、主に米ドル、英ポンド等の為替変動が業績に大きく影響いたします。
為替変動リスクは、主として、Toluna Holdings Limitedに対する貸付を外貨建にて実行していることにより生じますが、為替予約を行うことにより、経営成績及び貸付金の回収額に与える影響を軽減しています。
為替相場の現状及び今後の見通しについては常時モニタリングを行っています。
なお、当社グループの在外営業活動体の財務諸表換算に伴い、その他の包括利益が変動します。
当社グループの為替予約の詳細は、次のとおりです。
当社グループの主な為替リスクに対するエクスポージャー(純額)は、次のとおりです。
各連結会計年度末において保有する外貨建金融商品について米ドル、ポンドが機能通貨に対して10%増加した場合の税引前利益に与える影響額は、次のとおりです。計算にあたり使用した通貨以外の通貨は変動しないものと仮定しています。
金利変動リスクは、主として、(旧)マクロミル①及びMetrixLab Holding B.V.の買収資金として、変動利付の長期借入を行っていることにより生じます。
変動金利相場の現状及び今後の見通しについては常時モニタリングを行っています。
各連結会計年度末において、金利が1%上昇した場合の税引前利益に与える影響額は、次のとおりです。計算にあたり使用した変動要因以外の要因(為替レートなど)は一定であると仮定しています。
現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務については、短期間で決済されるものであるため、帳簿価額が公正価値に近似しています。
以下を除く、その他の金融資産、その他の金融負債の公正価値は残存期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しており、帳簿価額は公正価値に近似しています。
上場株式は、取引所の価格を公正価値としています。非上場株式は、時価純資産法を用いて評価しています。
社債及び借入金のうち、固定金利によるものは、元利金の合計額を同様の新規発行及び借入を行った場合に想定される利率で割り引いた現在価値により算出しています。
変動金利によるものは、短期間で市場金利を反映し、また、当社の信用状態は借入実行後大きな変動はないことから、契約上の金額は公正価値に近似しています。
デリバティブ資産は、その他の金融資産に含まれ、純損益を通じて公正価値で測定される金融資産に分類しています。これは為替予約であり、主に外国為替相場などの観察可能なインプットを用いたモデルに基づき測定しています。
(d) 長期貸付金
長期貸付金は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。これは持分法適用会社であるToluna Holdings Limitedに対する転換権付き貸付債権となっており、Toluna株式の公正価値、転換権の行使までの期間、類似企業の株価のボラティリティを主要な仮定とする、モンテカルロ・シミュレーション法を用いて見積っています。またモンテカルロ・シミュレーション法による算定には、外部の専門家を利用しています。
(e) 非支配株主と締結した先渡契約に係る負債
非支配株主と締結した先渡契約に係る負債は、連結子会社である株式会社エイトハンドレッドの非支配株主と締結した先渡契約の公正価値を計上しています。当初認識時については金融負債を計上し、同額を資本剰余金から減額しています。当該公正価値は、契約相手への支払いが要求される金額を見積り、その見積金額に譲渡時点までの期間及び信用リスクを加味した利率を用いて現在価値により算定しています。結果として、当連結会計年度末における金額は493百万円です。
当該金融負債の公正価値は、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算出し、公正価値の変動は資本剰余金の増減額として認識します。なお、当該金融負債の公正価値のヒエラルキーのレベルはレベル3ですが、下記表には含めていません。
当社グループにおける公正価値の測定レベルは、市場における観察可能性に応じて次の3つに区分しています。
レベル1:活発に取引される市場で公表価格により測定された公正価値
レベル2:レベル1以外の、観察可能な価格を直接、又は間接的に使用して算定された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法から算定された公正価値
各連結会計年度における金融商品の公正価値ヒエラルキーのレベル別の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年6月30日)
当連結会計年度(2024年6月30日)
各連結会計年度において、レベル1、2及び3の間の振替はありません。
当社グループが保有する償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は、以下のとおりです。
重要なインプットが直接又は間接に観察可能である償却原価で測定する金融商品は、レベル2に分類しています。
レベル2に分類される社債及び借入金の公正価値測定に用いられる評価技法は主に割引キャッシュ・フロー法であり、重要なインプットは割引率となっています。
レベル3に分類される長期貸付金の公正価値は、観察不能なインプット等に基づいたモンテカルロ・シミュレーション法で算定した金額で評価しているため、レベル3に分類しています。
割引率が上昇した場合は、レベル2及びレベル3に分類される公正価値は減少する関係にあります。一方、割引率が低下した場合は、公正価値は増加する関係にあります。
なお、レベル3に分類される非上場株式は、当該投資先の将来の収益性の見通し及び対象銘柄における純資産価額、当該投資先が保有する主要資産の定量的情報等の外部より観察不能なインプット情報を総合的に考慮し、公正価値を測定しています。
また、レベル3に分類した金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に重要な公正価値の増減は見込まれていません。
前連結会計年度及び当連結会計年度における、レベル3に分類された金融商品の増減は以下のとおりです。
(注) その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、決算日時点のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に関するものです。これらの利得及び損失は、連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれています。
36.重要な子会社
当連結会計年度末の主要な子会社の状況は以下のとおりです。
Macromill Embrain Co.,Ltd.の議決権の所有割合は50%以下でありますが、他の株主と株主総会において当社の議決権行使に同意する旨の株主間契約を締結しており、当社がMacromill Embrain Co.,Ltd.への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している状況にあると判断し、子会社としています。
(注) 議決権比率は、子会社を通じた間接保有分を含んでおります。
37.関連当事者
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
(単位:百万円)
(注)資金の貸付は、当社の子会社であるMacromill UK Holdings LimitedからToluna Holdings Limitedに対して行っており、利率については、市場金利を勘案して合理的に決定しています。なお、当該貸付金については転換権が付されています。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
(単位:百万円)
(注)資金の貸付は、当社の子会社であるMacromill UK Holdings LimitedからToluna Holdings Limitedに対して行っており、利率については、市場金利を勘案して合理的に決定しています。なお、当該貸付金については転換権が付されています。
38.後発事象
(無担保社債の発行)
当社は、2024年6月26日開催の取締役会に基づき、2024年7月4日を払込期日として、2027年満期第7回無担保社債(3年債)及び2029年満期第8回無担保社債(5年債)を発行しています。
それぞれの概要は以下のとおりであります。
注:
※1 利払期日: 利払期日が銀行休業日の場合、支払いは前営業日に前倒し
※2 中小企業者:資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員数の数が
100人以下の会社及び個人
(中小企業庁におけるサービス業の中小企業者の定義による)