第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(自2023年3月1日至2023年11月30日)における日本経済は、7月~9月のGDP成長率が前期比0.7%減、年率換算2.9%減と一時的にマイナスとなりましたが、日本銀行が12月に発表した全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では現在および先行きの景況感の改善傾向が継続しており、景気は堅調に回復してきているものとみられます。諸物価の上昇や急激な為替変動、海外景気の下振れリスクや世界各地で発生する地政学リスクなど注視すべき懸念要因はあるものの、アフターコロナの流れが加速するなかで、経済・社会活動の正常化、製造業におけるサプライチェーンの正常化、訪日観光客の増加によるインバウンド需要の拡大などにより、今後も日本経済の持続的な景気回復が期待されています。

 教育、健康、医療、決済、行政、エンターテインメントなど、あらゆる領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)化への取り組みが進んでおります。アフターコロナにおいてもこの流れは継続しており、今後は景気回復に伴う設備投資の増加やインバウンド需要の拡大に加え、IoT(インターネット・オブ・シングス)市場の成長やChatGPTなどの生成AIの実用化進展などが相まって、DXおよびICT市場は引き続き成長していくことが予想されます。

 こうした状況の中、当社グループにおいては、コネクテッド事業の回復により当第3四半期累計で前年同期比では増収となった一方、2021年に発売したゲームソフトの海外販売の一巡、中期を見据えた既存受託系事業からAI、BtoBサービス、自社製品事業など投資先行型事業へのシフトにより売上高総利益率が低下し、増収減益という結果となりました。投資先行型事業として注力している事業は、ライフデザイン事業においては、ゲームソフト、キッズアプリなどのコンシューマ事業に加えて、ヘルスケア、メディカル、FinTech等のBtoBサービス、AI&クラウド事業ではAIチャットボットなどのSaaS関連、コネクテッド事業では自社製品事業であるaiwa事業などで、これら自社事業の拡大により収益性を向上していくという中期計画に沿って受託系事業からのシフトを図っており、当期においても売上高については順調に拡大しております。

 これらの結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高は6,163,622千円(前年同期比6.5%増)、営業損失は171,271千円(前年同期は営業損失86,749千円)となり、また、営業外損益において投資有価証券売却益76,568千円と為替差益89,265千円を計上したことにより、経常損失は4,307千円(前年同期は経常利益109,246千円)、純損失は20,971千円(前年同期は純利益43,674千円)となりました。

 なお、ライフデザインセグメントにおけるヘルスケア事業拡大に向けて、AI健康アプリ等で健康管理サービスを展開している「(株)リンクアンドコミュニケーション」社を、2023年1月より子会社化することを2023年10月30日に発表致しました。事業子会社ネオス(株)において営んで来たヘルスケア事業を会社分割し、これと統合することで、ヘルステック分野におけるリーディングカンパニーとして発展させて行くことを目指して参ります。

 

 セグメント別の事業動向については以下の通りです。

 

<ライフデザイン事業>

 当第3四半期連結累計期間におけるライフデザイン事業の売上高は1,854,080千円(前年同期比27.0%減)、セグメント利益37,144千円(前年同期比89.2%減)となりました。

 ライフデザイン事業については、昨年度業績に大きく寄与したゲームソフトの海外販売が一巡したこと、第4四半期に発売予定の新作ソフトの宣伝販促費が発生したことなどにより前年同期比では減収減益となりましたが、ヘルスケア、メディカル、FinTechなどのBtoBサービスは堅調に推移しており、ライフデザイン事業全体としての四半期毎の売上高は対前期比で増収を継続しております。新作ソフトのNintendo Switch「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」については、2024年2月22日の発売に向けて開発は順調に進んでおり、プロモーション活動についても交通広告等の掲載を11月から開始するなど積極的な販促活動を進めております。

 また、ソリューション案件については、GIGAスクール向け教育コンテンツや、保険会社向けヘルスケアサービス、メディカル関連などの大型案件の開発に注力しており、今後も当社の技術・知見や自社サービスの強みが生かせる領域を強化して参ります。

 

<AI&クラウド事業>

 当第3四半期連結累計期間におけるAI&クラウド事業の売上高は1,290,887千円(前年同期比6.0%減)、セグメント利益21,340千円(前年同期比68.6%減)となりました。

 AI&クラウド事業については、AI領域への開発リソースシフトによる一般受託開発の絞り込みにより売上高が縮小したことや、AIチャットボットへの積極的な開発・販売投資を継続したことにより、全体としては減収減益となりました。注力している“OfficeBot powered by ChatGPT API”については、顧客獲得数や企業・自治体などからの問い合わせ数は、引き続き順調に拡大しており、今後のさらなる拡大に向け、各種展示会への積極的な出展等の販促活動の強化や、顧客対応を強化するための営業部隊の拡充を推進しております。また、SaaS事業でのAIサービス拡大と並行して、AI領域でのさらなる事業拡大を図るため、ChatGPTの活用ノウハウをベースとしたソリューション案件の獲得や新たなプロダクト開発、研究開発の強化、業務提携を含めたリソース拡充などの施策を積極的に取り組んでいます。

 

<コネクテッド事業>

 当第3四半期連結累計期間におけるコネクテッド事業の売上高は3,095,268千円(前年同期比55.1%増)、セグメント損失は9,875千円(前年同期はセグメント損失281,388千円)となりました。

 コネクテッド事業については、ODM、aiwa製品ともに順調に推移し、為替差益を含めた実質セグメント利益は71百万円と、前年同期比で1億67百万円の改善となりました。ODMは、アフターコロナへの動きが加速するなかで累計ベースでは生産が拡大しており、現在、年末・春商戦に向けた受注活動の強化に取り組んでいます。aiwa製品については、新製品投入によるラインアップの拡充により、法人向けに加えてコンシューマ向けも拡大しており、前四半期比、前年同期比いずれも増収となりました。タブレットPC販売ランキングにおいても、「ヨドバシ・ドット・コム」や「価格.com」などで複数機種が上位に定常的に入るようになって来ており、2023年12月には『aiwa display』(液晶モニター)4機種を発売、製品領域の拡大にも取り組んでおります。

 

 なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを変更しており、前年同期比較については、変更後のセグメント区分に基づき作成した数値で比較しております。

 また、セグメント別の事業動向に記載の各セグメントの売上高については、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加えた金額を記載しております。詳細は、「注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

 

(2)財政状態の分析

①資産

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は4,813,817千円となり、前連結会計年度末に比べ1,347,172千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が871,641千円、受取手形、売掛金及び契約資産が467,388千円減少したことなどによるものです。固定資産は2,855,074千円となり、前連結会計年度末に比べ994,173千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が47,171千円、無形固定資産が350,614千円、投資その他の資産が596,388千円増加したことなどによるものです。この結果、総資産は7,668,891千円(前連結会計年度末は8,021,890千円)となり、前連結会計年度末に比べ352,998千円減少いたしました。

 

②負債

 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は1,968,261千円(前連結会計年度末は2,427,924千円)となり、前連結会計年度末に比べ459,663千円減少いたしました。これは主に買掛金が59,697千円、製品保証引当金が40,210千円、借入金が総じて298,772千円減少したことなどによるものです。

 

③純資産

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は5,700,630千円(前連結会計年度末は5,593,965千円)となり、前連結会計年度末に比べ106,664千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が79,623千円減少したものの、その他有価証券評価差額金が79,604千円、為替換算調整勘定が52,075千円増加したことなどによるものです。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社は、新規サービス提供のための開発に継続して取り組んでおります。なお、当第3四半期連結累計期間におきましては、コネクテッド事業において82,159千円の研究開発費を計上しております。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当社は、2023年10月30日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるネオス株式会社(以下「ネオス」といいます。)のヘルスケア事業を、株式会社リンクアンドコミュニケーション(以下「L&C社」といいます。)に吸収分割により承継させることを定めた吸収分割契約書を締結することを決議し、同日付で吸収分割契約を締結いたしました。

 会社分割の概要は次のとおりであります。

(1) 会社分割の目的

 長年にわたりヘルスケアサービスの企画・開発・運営を行ってきた両社の事業が統合されることによって、以下の効果を見込んでおります。

  ①ウェルネスサービスNo.1企業としての確立

 両社の事業が統合することにより、未病、予防領域におけるウェルネスサービス会社としての日本におけるNo.1企業を目指せる母体が出来ます。

  ②ヘルスケアソリューションの強化・拡大

 両社が既に有するソリューション、AI技術等も含めた技術アセットを組み合わせ、ヘルスケアソリューションの強化・拡大を図ってまいります。

  ③新規注力分野の効率的な立ち上げ

 事業連携を行うことで、よりスピーディーで効率的な新規事業分野の立ち上げを推進していきます。両社が有する資産を組み合わせることで、新たな事業の創出が効率的に行えるものと考えております。

(2) 会社分割の方法

 ネオスを吸収分割会社とし、L&C社を吸収分割承継会社とする分割型吸収分割

(3) 会社分割の効力発生日

 2024年1月1日

(4) 分割に際して発行する株式及び割当

 L&C社は本会社分割に際して同社の普通株式340,004株を発行し、その全部を分割会社であるネオスに割当交付します。なお、ネオスはこれと同時にネオスに割当てられたL&C社の全株式を、剰余金の配当としてネオスの100%親会社である当社に対して交付します。本会社分割の対価としてネオスが割当てを受けたL&C社株式を当社が剰余金の配当により取得することにより、L&C社は当社の連結子会社となる予定です。

(5) 割当株式数の算定根拠

 本会社分割の対価として割り当てられることになる株式数の公平性・妥当性を確保するため、分割会社が承継会社へ承継させる事業の価値、承継させる資産や負債等に関し、当社は、当社、ネオス及びL&C社から独立した第三者算定機関である株式会社クリフィックス・コンサルティングに、L&C社においても3社から独立した第三者算定機関である株式会社AGSコンサルティングに算定を依頼しました。ネオスのヘルスケア事業並びにL&C社の株主価値の算定に当たっては、当該分割比率算定書では、収益性や財務状況の類似性における制約に鑑み、類似会社比較法は採用せず、将来の事業活動の状況を評価に反映するディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(DCF法)が採用されております。これらの算定結果をもとに、両社の財務状況、資産の状況、財務予測等の将来見通しを踏まえて総合的に判断するとともに、この算定結果の範囲内で当社及びネオスとL&C社の3社間で慎重に協議を重ねた結果、本会社分割により承継される権利義務に見合う分割比率及び分割対価として交付される承継会社の株式の数を合意いたしました。

(6) 分割するヘルスケア事業の経営成績

 

2023年2月期

売上収益

615,394千円

(7) 分割する資産、負債の状況(2023年8月31日現在)

資産

金額(千円)

負債

金額(千円)

流動資産

196,539

流動負債

27,986

固定資産

32,899

固定負債

1,452

合計

229,438

合計

29,438

(8) 吸収分割承継会社の概要

名称

株式会社リンクアンドコミュニケーション

代表者

代表取締役社長 渡邉 敏成

住所

東京都千代田区紀尾井町4番1号 新紀尾井町ビル5階

資本金

982,525千円

事業内容

AI健康アプリ等での健康管理サービス事業及びメディア事業