第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、経営基本方針として「不動産価値創造企業として、変化する時代のスピードに対応し、一歩先のニーズを見据えます。既成概念に囚われず、新しい発想による価値を創造し、お客様の夢を叶えます。」を掲げ、他にはない価値、他にはないサービスを創造するオンリーワン企業を目指しております。

当社グループは、顧客満足なくして企業成長はあり得ないという信念のもとに、顧客満足度(購入時だけでなく購入後も含む)においてナンバーワン企業となることを目標として掲げており、お客さまに感動を与える付加価値の高い商品とサービスを提供することで社会に貢献し、利益を継続的に獲得することで、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

(2)経営戦略等

当期の当社グループを取り巻く外部環境は、正常化した社会活動に伴う企業収益の改善や雇用、所得環境の改善、各種政策の効果等により緩やかに回復しております。一方で、中国経済の動向、緊迫化する中東地域をめぐる情勢等による国内景気への影響が懸念されており、物価上昇や為替動向、金融資本市場の変動等の影響には十分注意する必要があります。

これらの状況を踏まえ、当社グループといたしましては、「事業の選択と集中」を掲げ、当社グループの主たる事業である分譲マンション事業と収益物件事業について資源を集中させ、今後の成長に向けて事業基盤の強化に努めてまいります。

多様化するニーズを的確に捉え、これに迅速に対応した商品企画とデザイン性の高い商品提供を目指し、分譲マンション事業につきましては、第一次取得者向けの商品だけではなく、富裕層に向けた商品開発と提供もあわせて行ってまいります。

また収益物件事業につきましては、オフバランススキームの活用など出口戦略の多角化を目指してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

当社は、財務健全化を図るため、自己資本比率20%以上、ネットD/Eレシオ4倍未満を、目標とする経営指標として掲げております。

 

(4)経営環境

当社グループが属する不動産業界において、首都圏の分譲マンション2024年1月~6月の供給戸数は9,066戸(前 年同期比13.7%減) となりました。2024年6月現在の平均価格は8,199万円となりました。都区部エリアにおいては 11,679万円と高水準で推移するなか、販売状況においても好調に推移しております(不動産経済研究所資料参照)。 不動産投資市場は、東京は2024年第1四半期の不動産投資額が世界都市別ランキングで1位(2023年通年5位)とな りました。円安環境に加えて日本は急激な金利上昇はないとの予想もあり、国内外の投資家からの収益不動産への 投資意欲は旺盛な状況が継続しております(民間調査機関調べ)。

このような状況下当社グループでは、所有物件の開発と売却・販売に努め、分譲マンション4物件と収益物件14 物件の売却引渡を行いました。また同時に、首都圏を中心とした分譲及び収益物件用地の仕入れ強化に努めまし た。

ホテル業界におきましては、国内需要は活発に推移しており、訪日外客数は順調に回復し2024年2月には300万人超えとなりその後も増加傾向で推移しております(観光庁調べ)。当社グループが運営する京都エリアでの市内主 要ホテルの2024年6月稼働率は、2019年同月と同水準の稼働率まで回復、平均客室単価においては30%を上回って おります。当社グループにおきましても、昨年春に営業再開いたしました施設の稼働が回復傾向に推移しておりま す。また、京都ホテル案件2物件を売却しております。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は27,037百万円(前年同期比36.2%減)、 営業利益1,757百万円(前年同期比20.3%減)、経常利益3,079百万円(前年同期比96.6%増)、親会社株主に帰属 する当期純利益2,714百万円(前年同期比55.4%増)となりました。

 

(5)事業上及び財務上対処すべき課題

当社グループを取り巻く外部環境は、短期的には物価高騰や為替不安、金利上昇や株価の乱高下に見られるように先行き不透明な状況が続いております。また中長期的には少子高齢化や国内の人口減少、格差問題、温暖化による地球環境の問題等様々な困難が想定されております。

当社グループはこのような様々な環境変化の中で、柔軟かつ早急に対応し、さらなる企業価値の向上を目指すために、事業上の効率的な運営を図り、ガバナンスを強化し、人的資本のさらなる充実を推進してまいります。

マンション事業については、用地仕入れ価格及び建築費の高騰に加え、お客様のニーズは多様化しております。今後も商品企画と意匠性の更なる向上を図り、お客様のニーズをとらえた商品開発と提供を行ってまいります。特にこれまで当社の主要な顧客層であった第一次取得者向けの商品だけではなく、富裕層に向けた商品開発と提供もあわせて行ってまいります。また環境に配慮し、顧客にとって快適な住まいとなるZEHを全分譲マンションに標準化してまいります。

収益物件事業については、円安と低金利を背景に販売は順調に推移しております。今後も投資家向けの良質な収益商品を提供するとともに、オフバランススキームの活用など出口戦略の多角化を目指してまいります。

当社グループでは、得意領域である不動産開発事業に資源を集中させ、今後の事業基盤の強化と発展に努めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。また、「サステナビリティ推進委員会の設置及びサステナビリティ基本方針の制定に関するお知らせ(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3271/tdnet/2339002/00.pdf)をご参照ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、経営基本方針のもと、「新しい発想、新しい挑戦、新しい行動。」の実践により、不動産総合デベロッパーとして継続的な企業価値の向上に努めるとともに、社員や地域社会の皆様など多様なステークホルダーを含む社会全体とともに成長していくため、事業を通じた持続可能な社会の実現、社会課題の解決を目指してまいります。

当社グループでは、従来より「リスク管理委員会」を設置し、リスク顕在化の防止と顕在時の損失ミニマイズのため、独自の「リスク管理基準」を設定し、定期的なリスクの棚卸、分類、それらを踏まえた予防策の策定・強化、万一のリスク顕在化に備えた有事対応手順の策定・見直し等を定期的に実施しております。

なお、サステナビリティ関連を含む当社のコーポレート・ガバナンスの全体像につきましては、「4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

①当期の取り組み(本報告書提出日現在までの実施事項を含む)

サステナビリティの観点からの課題解決を更に推し進めていくため、2023年9月22日付で「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。代表取締役社長が委員長を努め、委員長が指名した当社の役員、並びに、連結子会社の社長が委員となり、当社グループを取り巻く重要課題について、基本方針の策定、マテリアリティの特定、課題ごとの取組方針の設定、具体的施策の立案・同進捗管理等を審議し、リスク管理委員会によるリスクアセスメント機能との連携を図り、定期的な取締役会への報告と取締役会での審議を通じ、グループ全体でサステナビリティ経営を推進しております。

サステナビリティに連なるテーマとして、当社グループが本報告書提出日現在までに実施した主な取り組みは以下の通りです。

<環境関連>

・分譲マンションにおいて、ZEH仕様の標準化を開始(2024年8月当社ZEH分譲マンション1号が竣工)

・分譲マンション駐車場への電気自動車充電設備の設置(駐車場)

<社会関連(人的資本関連を含む)>

・健康優良企業に2年連続の認定(2024年5月認定更新)

・エンゲージメントサーベイの導入・実施(2023年8月より3回実施。改善対策の検討と実行)

・働き方改革において、リモートワーク/フレックスの導入(2024年7月)

・スマートカジュアルの導入(2024年7月)

・中途採用の強化(2024年6月期実績:26名)

・e-Learningを中心に研修・教育制度を強化(2024年度5回実施)

<ガバナンス関連>

・任意の指名報酬諮問委員会の設置(2024年8月)

 

②人的資本に関する「戦略」「指標及び目標」

当社グループは、人的資本への投資が中長期的に企業価値の向上をもたらすドライバーになり得ると確信しております。具体的には、イ)社内人材の育成・能力開発に向けた投資、ロ)外部専門人材の積極採用、ハ)競争力強化のための報酬制度見直し、ニ)従業員エンゲージメント向上に向けた取組、ホ)従業員の健康増進に向けた投資を人的投資の対象として推進する方針であります。

イ)社内人材の育成・能力開発に向けた投資

当社グループの人材は、不動産価値創造企業の担い手であり、業務に関連する資格取得の奨励、業務時間内に資格取得のための勉強時間の確保、手当給付など、従業員のスキル向上、能力をフルに発揮し挑戦できる環境づくりを目指しております。

ロ)外部専門人材の積極採用

採用においては、国籍、性別、年齢、職歴、学歴にかかわらず、能力・経験・実績を公正に評価して積極的な採用活動を実施しております。

ハ)競争力強化のための報酬制度見直し

2023年10月1日付で当社グループの主要3社が合併し新たな組織体制となり、評価制度、報酬体系の見直しを行い、従業員の業務内容・実績・業界水準に見合った評価制度、報酬体系を導入いたしました。

ニ)従業員エンゲージメント向上に向けた取組

2023年8月に全従業員に対して第1回目のエンゲージメントサーベイを実施し、このサーベイ結果を基準として、第2回目を2023年12月、2024年5月に第3回目を行い、実施結果を基に生産性の向上や離職率の低下など、従業員エンゲージメントの維持向上に努めております。今後も6ヶ月程度の間隔で定期的にサーベイを実施し、より高い従業員エンゲージメントの維持を目指してまいります。

ホ)従業員の健康増進に向けた取組

2023年度より、健康保険組合連合会東京連合会が実施する健康優良企業認定制度を目指し、2023年4月に銀の認定を取得し、2024年5月に同認定を更新取得しております。今後も本取組を継続することにより、従業員の健康増進に努めて参ります。

 

なお、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、及び、社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社における指標とその実績は次のとおりです。

指標

2024年6月末

女性管理職者数

3 4.3%

年次有給休暇取得率

81.02

月平均残業時間

13時間59分

 

③マテリアリティ(重要課題)と今後の取り組み方針

当社グループは、「サステナビリティ推進委員会」の設置準備ワーキング・グループにおける議論と当社取締役会での審議・決議を経て、2023年9月22日付にて以下5項目のマテリアリティ(重要課題)とその取り組み方針を設定、公表いたしました。その後、代表取締役を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」において、各マテリアリティの取り組み方針を踏まえた具体的な指標、目標について次の通り設定し、現在、指標等の達成に向け取り組んでおります。

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3【事業等のリスク】

当社グループの事業内容その他に関するリスクについて、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)有利子負債への依存と金利変動の影響について

当社グループは、用地の取得資金及び建築資金を主に金融機関からの借入金により調達しており、有利子負債依存度が高い水準にあります。今後においても、事業拡大に伴い有利子負債は高い水準で推移するものと想定され、資金借入が十分に行えなくなった場合や金利が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

項目

前連結会計年度末

(2023年6月30日)

当連結会計年度末

(2024年6月30日)

 

 

 

千円

千円

 

有利子負債残高

(A)

24,551,187

36,822,232

 

短期借入金

10,946,000

11,753,383

 

1年内返済予定の長期借入金

8,574,159

7,963,000

 

長期借入金

3,164,319

15,259,286

 

1年内償還予定の社債

100,000

272,000

 

社債

1,740,000

1,568,000

 

その他有利子負債(リース債務含む)

26,709

6,563

 

総資産額

(B)

33,243,581

49,002,155

 

有利子負債依存度

(A/B)

73.85

75.14

 

(2)金融機関からの資金調達にかかるリスクについて

当社グループの不動産開発において、多くは土地仕入時に金融機関から事業資金の借入を行っております。それゆえ、計画通りに物件の引渡ができない場合、借入先である金融機関との良好な関係が維持できなくなった場合には、返済期限の延長ができず、資金回収前に金融機関から返済を求められる可能性があります。さらに、代替の資金調達ができなかった場合には、資金繰りに窮する可能性があります。

 

(3)不動産市況の悪化によるリスクについて

当社グループの事業は、景気動向、金利動向、地価動向及び税制改正等の影響を受けやすいため、経済・雇用情勢等の悪化により、不動産に対する消費者の購入意欲や投資家による投資意欲が減退した場合、または仕入済の開発用不動産及び商品である販売用不動産の価値の下落が起こった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)用地取得にかかるリスクについて

当社グループでは、仕入物件の選定基準として、事業採算性の見地から所定の基準を設けておりますが、不動産市況の変化や用地取得競争の激化等により、当社グループの基準や事業戦略に合う優良な土地を仕入れることが困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)競合について

不動産業においては、事業を営むために宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業者の免許を受ける必要がありますが、一般的に参入障壁が高いとは言えず、多くの不動産業者が激しく競争している状況にあります。

今後、競争による分譲価格の下落が生じた場合、または販売代理事業における販売委託元のデベロッパーが、他社に販売を委託するまたは自社で販売するようになり、当社グループの販売受託が減ることとなった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)建築工事等について

当社グループは、分譲マンション事業、収益物件事業における建築工事は外注により行っております。外注先の選定にあたっては品質、建築工期及びコスト等を総合的に勘案して決定しており、特定の外注先に依存しないように努めております。

当社グループは、品質管理及び工期遅延防止のため、毎週工程進捗会議を行い、物件の進捗や問題点の報告検討及び対応の方向性の確認を行うとともに、設計監理者及び外注先との定例会議を行うことにより、工期スケジュール等の確認を行っております。しかしながら、工事中の事故、外注先の倒産や請負契約の不履行、その他予期せぬ事象が発生した場合、工事の中止及び遅延、建築コストの上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)契約不適合リスクについて

当社グループは、分譲マンション事業、収益物件事業における建築工事は外注により行っており、当社グループが販売する建物の瑕疵については、外注先の施工会社の工事保証にて担保しております。しかしながら、施工会社の財政状態が悪化または破綻する等により施工会社が負うべき契約不適合責任が履行されない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、財団法人住宅保証機構の登録業者となり、当社グループが分譲する住宅は、住宅性能保証制度に登録しておりますので、当該制度の保険に裏付けされた10年保証により、購入者の保護がなされております。

また、土地については土地の仕入時及び開発中において、後述の通り調査を行っておりますが、物件の引渡後瑕疵が発見され、当社グループが是正又は賠償する必要が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)土地仕入時において予測できないリスクについて

当社グループでは、土地の仕入に際して、さまざまな調査を行い、土地仕入の意思決定をしておりますが、土地仕入時には予想がつかない土壌汚染や地中埋設物等の瑕疵が発見された場合や近隣への建築工事中の騒音や竣工後の日影の影響等に対する近隣住民の反対運動が発生した場合には、プロジェクトの工程に遅れをきたすと同時に、追加費用が発生する場合があります。

当社グループの開発物件におきまして、予想を超えた地中障害や近隣反対運動等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)有害物質対策について

当社グループは、分譲マンション事業並びに収益物件事業におきまして土地建物の取得を行っており、当該土地上に解体を目的とした既存建物が存在している場合、アスベストやPCB等の有害物質の使用状況に関して確認を行っております。有害物質の使用が確認された場合、飛散または流出防止対策を実施するとともに解体により発生した廃棄物は法令に基づいた処理を行っております。

しかしながら、有害物質が経年劣化等により飛散又は流出する恐れが生じた場合や、当社グループが想定する範囲を越えて使用が判明した場合には、有害物質の除去又は封じ込め等の費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)事業に係る法的規制について

当社グループ各社は、事業に必要な宅地建物取引業法に基づく宅地建物取引業者の免許やマンション管理適正化推進法に基づくマンション管理業者の登録を受けており、各法令上の規制と当局の監督を受けます。また、各事業の継続には、かかる許認可が必要なため、仮にこれらの取消事由等に該当する何らかの問題が発生し、業務停止命令や許認可の取消処分を受けた場合には、当社グループの事業遂行に支障をきたす場合があります。

その他当社グループの事業にかかる法的規制としては、都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法、消防法、各自治体等が定めた条例等があります。当社グループはこれらの法令を遵守しておりますが、今後法令等の改正又は新たな規制の制定によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個人情報の保護について

当社グループでは、主に分譲マンション事業、収益物件事業、販売代理事業、建物管理事業、ホテル事業を通じて多数のお客様の個人情報を取り扱っており、その取扱いには十分な注意を払っております。当社グループのホームページにおきましても個人情報保護方針を掲載し、個人情報の取り扱いについて説明を行っております。個人情報の機密保持につきましては、施錠されたロッカーに保管し、電子ファイルはパスワードによる管理を行っております。また、当社グループでは各部署の責任者で組織したコンプライアンス委員会において、ビデオ等による説明会、研修等を定期的に開催し、情報管理の重要性の周知徹底、個人情報に対する意識の徹底を図っております。

当社グループでは、個人情報の保護に注力しておりますが、不正侵入や不正アクセス等の不測の事態によって、万が一、個人情報の漏洩が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)訴訟等について

当社グループが開発、販売、管理する不動産物件において、瑕疵、土壌汚染、販売活動等を起因として、訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)自然災害等について

当社グループが取り扱う物件のエリアにおいて、地震、火災、津波、大型台風等の自然災害が発生し、当社グループが取り扱う物件が毀損、滅失等を被った場合は、追加費用やプロジェクトの進捗遅延等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)物件の引渡時期にかかるリスクについて

当社グループでは、分譲マンション事業、収益物件事業、販売代理事業におきましては、物件の引渡時を売上計上時期としております。大規模プロジェクトや利益水準の高いプロジェクト等の収益計上が、ある特定の時期に偏重する場合があります。将来、不測の事態による工事遅延等が発生し、物件の引渡時期が期末を越えた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)主要な事業の免許について

当社グループは、不動産業者として宅地建物取引業法第3条第1項及び第6条に基づき、宅地建物取引業者免許証の交付を受けており、同法第3条第2項の規定により、免許の有効期限は5年間と定められております。同法第5条が免許基準、同法第66条及び第67条が免許取消について定められており、これに該当した場合は免許の取消が命じられます。

現在、当該免許取消となる事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由により免許取消事由が発生した場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、主なグループ各社の免許及びその有効期限は以下のとおりとなっております。

 

会社名

法令等名

免許・許可の内容

有効期間

株式会社THEグローバル社

宅地建物取引業法

国土交通大臣(1)第10614号

2024年2月21日から

2029年2月20日まで

株式会社グローバル住販

宅地建物取引業法

東京都知事 (6)第77167号

2024年3月13日から

2029年3月12日まで

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は27,037百万円(前年同期比36.2%減)、営業利益1,757百万円(前年同期比20.3%減)、経常利益3,079百万円(前年同期比96.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,714百万円(前年同期比55.4%増)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

[分譲マンション事業]

分譲マンション事業におきましては、「ウィルローズ府中宮町」、「ウィルローズ横浜鶴見」「ウィルローズ大宮Kan」等合計179戸の引渡しを行いました。

以上の結果、当セグメントにおける業績は、売上高8,968百万円(前年同期比55.0%増)、営業利益806百万円(前年同期比19.1%増)となりました。

[収益物件事業]

収益物件事業におきましては、「松濤プロジェクト」、「八丁堀Ⅲプロジェクト」、「大宮大成町プロジェクト」等、収益物件14物件の引渡しを行いました。

以上の結果、当セグメントにおける業績は、売上高15,086百万円(前年同期比19.4%減)、営業利益1,711百万円(前年同期比42.6%減)となりました。

[販売代理事業]

販売代理事業におきましては、グループ会社開発及び他社開発物件の販売代理を行い、地域別の引渡実績は、東京都区部60物件99戸、東京都下9物件90戸、神奈川県6物件56戸、埼玉県5物件55戸、千葉県4物件6戸、合計84物件306戸となりました。

以上の結果、当セグメントにおける業績は、売上高975百万円(前年同期比16.4%増)、営業利益502百万円(前年同期比45.0%増)となりました。

[建物管理事業]

建物管理事業におきましては、2024年6月30日現在のマンション管理戸数が3,981戸となります。

以上の結果、当セグメントにおける業績は、売上高496百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益58百万円(前年同期比27.5%増)となりました。

[ホテル事業]

ホテル事業におきましては、京都におけるホテル運営及び京都プロジェクト2物件の引渡しなどを行いました。

以上の結果、当セグメントにおける業績は、売上高2,179百万円(前年同期比87.1%減)、営業利益258百万円(前年同期は営業損失605百万円)となりました。

[その他]

その他としましては、不動産賃貸事業等による収入であります。

以上の結果、当セグメントにおける業績は、売上高10百万円(前年同期比83.9%減)、営業利益5百万円(前年同期は営業損失15百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

総資産は49,002百万円となり、前連結会計年度末に比べ15,758百万円増加いたしました。これは主に販売用不動産の増加2,350百万円、仕掛販売用不動産の増加12,398百万円によるものであります。

負債は41,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,093百万円増加いたしました。これは主に有利子負債の増加12,271百万円によるものであります。

純資産は7,957百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,665百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が2,714百万円増加したことによるものであります。

これにより、自己資本比率は16.2%(前期は15.9%)、1株当たり純資産額は281.11円(前期は186.96円)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて251百万円減少し、4,438百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,036百万円を計上した一方、主に棚卸資産の増加額14,755百万円、未払消費税等の減少額650百万円により、11,866百万円の支出(前期は12,836百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に投資有価証券の取得による支出447百万円、出資金の回収による収入91百万円により、385百万円の支出(前期は19百万円の収入)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入20,151百万円、長期借入金の返済による支出8,949百万円、短期借入金の純増加額807百万円、社債の償還による支出100百万円により、11,990百万円の収入(前期は10,102百万円の支出)となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関係指標の推移

 

2023年6月期

2024年6月期

自己資本比率(%)

15.9

16.2

時価ベースの自己資本比率(%)

22.0

28.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

16.8

 

 

 自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により記載しております。

 (注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

 (注3)キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

 (注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 (注5)2023年6月期及び2024年6月期の時価ベースの自己資本比率につきましては、最終株式取引日である2023年6月30日及び2024年6月28日の終値より算出しております。

 (注6)2024年6月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)、インタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため、記載しておりません。

 

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.売上高

セグメントの名称

項目

前連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比

(%)

数量

(戸数)

売上高

(千円)

構成比

(%)

数量

(戸数)

売上高

(千円)

構成比

(%)

分譲マンション事業

121

5,786,268

13.6

179

8,968,098

33.2

155.0

収益物件事業

27

18,716,749

44.2

47

15,086,090

55.8

80.6

販売代理事業

自社開発物件(新築分譲)

123

10,777

0.0

160

14,230

0.1

132.0

他社開発物件(新築分譲)

115

320,911

0.8

23

56,352

0.2

17.6

仲介その他

156

170,809

0.4

181

225,178

0.8

131.8

小計

394

502,498

1.2

364

295,761

1.1

58.9

建物管理事業

473,321

1.1

496,891

1.8

105.0

ホテル事業

11

16,848,356

39.7

2

2,179,627

8.1

12.9

その他

65,834

0.2

10,605

0.0

16.1

合計

553

42,393,029

100.0

592

27,037,074

100.0

63.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.ホテル事業の数量(戸数)は、客室数を記載しております。

3.最近2連結年度の主要な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年7月1日)

(至 2023年6月30日)

当連結会計年度

(自 2023年7月1日)

(至 2024年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

大和証券リアルティ株式会社

9,815,507

23.15

3,359,000

12.42

合同会社ハッピー浅草

4,360,000

10.28

合同会社サポート46号

12,186,262

28.75

合同会社八丁堀

2,986,600

11.05

 

 

b.期中契約実績の状況

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比

(%)

数量

(戸数)

金額

(千円)

数量

(戸数)

金額

(千円)

分譲マンション事業

170

8,740,528

160

7,647,519

87.5

収益物件事業

63

18,985,706

20

17,030,280

89.7

ホテル事業

13

18,276,262

(注)販売代理事業における期中契約実績の金額は、売主の顧客に対する販売価格によります。

 

c.期末契約残高の状況

セグメントの名称

前連結会計年度

 (自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

当連結会計年度

 (自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

前期比

(%)

数量

(戸数)

金額

(千円)

数量

(戸数)

金額

(千円)

分譲マンション事業

160

8,218,430

141

6,838,199

83.2

収益物件事業

42

721,894

9

2,666,085

369.3

ホテル事業

2

1,730,000

(注)販売代理事業における期末契約残高の金額は、売主の顧客に対する販売価格によります。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

当連結会計年度末における総資産は49,002百万円(前期より15,758百万円増加)、負債は41,044百万円(前期より13,093百万円増加)、純資産は7,957百万円(前期より2,665百万円増加)となりました。これにより、自己資本比率は16.2%(前期は15.9%)、1株当たり純資産額は281.11円(前期は186.96円)となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は、物件取得による棚卸資産の増加を主要因として、仕掛販売用不動産の増加12,398百万円及び販売用不動産の増加2,350百万円となり、前連結会計年度末と比較して15,270百万円増加の47,505百万円となりました。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は、投資有価証券の増加を主要因として、投資有価証券の増加356百万円、繰延税金資産の増加124百万円などにより、前連結会計年度末と比較して487百万円の増加の1,496百万円となりました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は、買掛金の増加を主要因として、買掛金の増加1,049百万円、未払法人税等の増加250百万円、前受金の増加235百万円、未払消費税等の減少650百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,187百万円増加の24,164百万円となりました。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は、長期借入金の増加を主要因として、長期借入金の増加12,094百万円、社債の減少172百万円となり、前連結会計年度末と比較して11,905百万円増加の16,880百万円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上を主要因として、利益剰余金の増加2,714百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,665百万円増加の7,957百万円となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は27,037百万円(前期比36.2%減)となりました。セグメント別の業績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(売上原価・売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は21,455百万円(前期比41.3%減)となりました。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は5,581百万円(前期比4.8%減)となりました。

(販売費及び一般管理費・営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、分譲マンション、収益物件のプロジェクト販売費及びホテル運営費を中心に3,823百万円(前期比4.6%増)となりました。その結果、営業利益は1,757百万円(前期比20.3%減)となりました。

営業損益の事業別内訳は、分譲マンション事業の営業利益806百万円(前年同期比19.1%増)、収益物件事業の営業利益1,711百万円(前年同期比42.6%減)、販売代理事業の営業利益502百万円(前年同期比45.0%増)、建物管理事業の営業利益58百万円(前年同期比27.5%増)、ホテル事業の営業利益258百万円(前年同期は営業損失605百万円)、その他事業の営業利益5百万円(前年同期は営業損失15百万円)となりました。

(営業外損益・経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、受取配当金2,013百万円、為替差益52百万円、受取地代家賃56百万円を主要因として、2,174百万円(前年同期は営業外収益162百万円)となりました。また、営業外費用は、借入金及び社債に対する支払利息562百万円、支払手数料281百万円等を主要因として、852百万円(前期比6.3%増)となりました。

この結果、当連結会計年度における経常利益は3,079百万円(前期比96.6%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,714百万円(前期比55.4%増)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、税金等調整前当期純利益の計上により現金及び現金同等物の期末残高が251百万円減少し、4,438百万円なりました。

当社グループは、主に物件の売却による営業活動によるキャッシュ・フローを財源とし、また物件取得時には金融機関からの借入金により資金を調達し、企業活動を行っております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は36,822百万円、自己資本比率は16.2%となっております。

 

③重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

 投融資の評価

非上場の投資等、市場価格のない株式等と認められる投資は、個別に回収可能性を検証し評価しております。

 

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(借入期間の延長)

2023年12月20日に開示しました「資金の借入の借入期間延長に関するお知らせ」のとおり、当社は、親会社であるSBIホールディングス株式会社の子会社であります株式会社SBI証券との間で、2023年9月28日付けでプロジェクトの運転資金として返済期限を2023年12月20日として借入をし、土地の取得は完了しましたが、昨今の金利上昇および建築費用の上昇を踏まえて当該プロジェクトの見直しを行っているため、借入期間の延長を行いました。

資金の借入の概要につきましては、以下のとおりであります。

 

変更前

変更後

借入金額

4,000百万円

変更なし

利率

固定金利 2.0%

変更なし

借入実施日

2023年9月28日

変更なし

返済期日

2023年12月20日

2024年9月27日

 

(極度方式基本契約の締結)

当社は、2024年3月28日の取締役会において、親会社であるSBIホールディングス株式会社の子会社であります株式会社SBI証券(以下「SBI証券」といいます。)との間で、極度方式基本契約(以下「本基本契約」といいます。)の締結いたしました。

 

1.本基本契約の目的

当社における今後の新規プロジェクトに機動的に対応できるよう、SBI証券との間で本基本契約を2024年3月28日付で締結しました。

 

2.本基本契約の概要

極度額

4,000百万円

契約期間

2024年3月28日~2025年3月27日

借入利率

固定金利

・不動産仕入資金とする場合  1.5%

・運転資金とする場合     2.0%

 

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。