第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

広済堂グループは、1949年に印刷会社として創業以来、社名にある「広済」(広く社会に貢献する)を経営理念として、印刷、ITサービス、人材サービス、葬祭サービスなどの各事業を通じ、“人生100年を様々な場面でサポートする広済堂グループ”となることを目指しております。 

また、お客さまに必要とされる商品やサービスを提供すべく、お客さまや生活者のニーズの一歩先を読みながら、常に新しいものに挑戦する「進取の精神」で事業展開を進めてまいりました。 

当社グループは、社会環境の変化、ライフスタイルや価値観の変化の中で、お客さまに真に必要とされる商品やサービスは何かを探り、提供していく「お客さま第一主義」を今後も追求し、社会から必要とされ、また社会的責任を果たせる企業集団となるよう努めてまいります。

 

(経営環境及び事業の内容)

当連結会計年度におけるわが国経済は、日米金融政策の相違を主因とする円安が継続し原油や輸入品の価格上昇が続きました。国内物価もインフレ傾向にあり、材料費や燃料費、人件費が上昇いたしました。
 当社を取り巻く事業環境につきましては、少子高齢化が進行し、団塊の世代の退職に伴う労働者不足と終身雇用制度の崩壊を背景に転職市場の活性化が継続いたしました。コンテンツ領域では知的財産権(IP)の獲得競争が激化し、グッズ等の周辺商材の開発・販売が過熱する一方、印刷物の小ロット化が加速いたしました。エンディング関連では、東京都内の死亡者数は前年度から減少いたしました。

このような状況のもと、当社グループは葬祭セグメントを成長領域と位置づけ積極的に事業拡大を行ってまいりましたが、より有益な開示を行うため、セグメントを分割いたしました。公益性の観点から安定したサービス提供に努める火葬事業の「葬祭公益」、事業規模と収益力の拡大を図る総合斎場運営事業・葬儀事業を中心とする「葬祭収益」、エンディングにまつわる不動産・金融領域の事業拡大を狙う「資産コンサルティング」の各セグメントを定め、戦略を明確化いたしました。

葬祭収益セグメントでは、2023年4月より東京博善の斎場を改修し、高い稼働率を誇る貸し式場を大幅に増設いたしました。
 資産コンサルティングセグメントでは貸金業、不動産仲介業といった許認可等の取得が完了し事業拡大の準備が整いました。
 情報セグメントでは、縮小する印刷市場で利益創出を図るため、コスト改革を進めました。他方、BPO事業では事業の拡大を見込み人員増強を図りましたが、受注拡大に至らず短期的には減収要因となりました。
 人材セグメントでは、経営の効率化と東北・北陸地方に広く展開する人材事業のシナジー拡大を企図し事業会社を統合いたしました。

 

当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度において、「葬祭セグメント」を「葬祭公益セグメント」「葬祭収益セグメント」「資産コンサルティングセグメント」と区分の変更を行っております。また、調整額として全社費用に含めていたグループ会社の経営指導料を、報告セグメントの各グループ会社に営業費用として計上する方法に変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

 

・葬祭公益セグメント

葬祭公益セグメントは、火葬事業で構成されており、当社子会社の東京博善株式会社の保有する都内6か所の総合斎場で行事を担っております。民営企業として収益力の向上が求められる中で公益性の高い火葬事業と利益成長を図る他の事業とを区分するため、当事業年度より葬祭公益セグメントとして開示することといたしました。

火葬事業は専ら東京都23区内で事業を営むため、売上は東京都近郊の死亡者数と強い相関関係があります。当期は冬期の気温が比較的温暖に推移し、前年比で死亡者数が減少、火葬件数も前期から減少いたしました。他方、円安やインフレの影響によりガス・電気料金の高止まりが継続いたしました。これらに対処すべくステークホルダーのご理解の下、燃料費特別付加火葬料の設定継続や繁忙期の友引営業実施等、安定継続したサービス提供のため必要な施策を講じてまいりました。その結果、葬祭公益セグメントは前年同期比で減収増益となりました。

 

・葬祭収益セグメント

葬祭収益セグメントは、主に総合斎場運営事業及び葬儀サービス事業で構成されており、東京博善株式会社にて総合斎場を運営する他、株式会社広済堂ライフウェル及び株式会社グランセレモ東京にて葬儀事業を展開しております。
 総合斎場運営事業につきましては、当期増設した新式場の利用が順調に拡大し増収増益となりました。また、感染症への懸念が払拭され来場者数が大幅に増加したことにより提供サービス各種で増収となりました。

葬儀事業につきましては、提携先の拡大や宣伝広告等により葬儀施行数が順調に拡大し創業2年目で営業利益2億円を達成する好業績となりました。
 この他、8月には前年度に譲受した日本国内最大規模のエンディング産業展「ENDEX」を主催、参加者・出展者より好評をいただきました。その結果、葬祭収益セグメントは前年同期比で増収増益となりました。

 

・資産コンサルティングセグメント

資産コンサルティングセグメントは、主に株式会社広済堂ファイナンスの提供する金融サービス及び東京博善あんしんサポート株式会社の提供する相続相談・不動産仲介事業で構成されております。本セグメントは、相続に関連するコンサルティングサービスの提供開始を契機に相応規模の事業として収益の目途が立ったため、当期より葬祭セグメントから独立して開示しております。
 相続相談・不動産仲介事業では、グループのリソースを活用した各種営業施策が奏功し不動産仲介売上を中心とする収益モデルが確立しつつあります。
 金融サービス事業では、株式会社広済堂ファイナンスにて貸金業の許可を取得し、2023年7月より利息収入の計上を開始いたしました。他方、許可の取得が期初の想定から遅延し一部収益が営業外での計上となりました。

 

・情報セグメント

情報セグメントは、情報ソリューション事業で構成されており、主に株式会社広済堂ネクストにて出版・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューション、IT受託開発を中心としたデジタルソリューション、データ入力代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービス等の事業を展開しております。
 印刷事業では、商業印刷領域が通年で好調となりましたが、出版印刷領域では電子書籍の台頭による案件減少が加速し不調が継続しました。

BPO事業では、第3四半期まで堅調に推移したものの、第4四半期に見込んだ案件の公示開始が遅れ、受注が大幅に減少いたしました。IT事業では、斎場予約システムの販売を開始する等、新たな収益源の獲得に向けた取り組みも進みつつあります。その結果、情報セグメントは前年同期比で減収減益となりました。

 

 

・人材セグメント

人材セグメントは、人材サービス事業で構成されており、求人媒体・HRテック事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング)、海外(ベトナム等)における人材紹介、人材育成・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛け、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。
 求人媒体・HRテック領域は、他社メディアの攻勢により減収も、当期より方針を転換し自社サービス(HRテック)への新規投資取り止めを始め、固定費を抜本的に見直したことから増益となりました。人材派遣領域では、主力とする東北・北陸地方で派遣人材の獲得が伸び悩み、小幅な増益に留まりました。人材紹介事業では、旺盛な求人ニーズを取り込むため体制を強化いたしましたが、費用増が先行し減益となりました。その結果、人材セグメント全体としましては前年同期比で減収赤字増となりました。

 

(対処すべき課題)

今後のわが国経済の見通しにつきましては、米国・欧州のインフレ継続を背景に円安・資源高の傾向が当分の間継続するものとみられ、光熱費や材料費の高騰も継続することが見込まれます。また、労働人口の減少による人手不足を原因とする賃金コスト上昇や、海外人材の活用についても継続するものとみられます。
 エンディング領域につきましては、高齢化を背景に緩やかな市場拡大が継続していくものと考えられる一方、異業種参入が継続しており、競争が激化。印刷領域につきましては、縮小傾向が継続。コンテンツ領域につきましては、IP獲得競争が激化するとともにグッズ開発等の周辺領域の拡大が継続するものとみられます。

このような状況のもと、当社グループは「中期経営計画3.0」にて式場事業の成長及び資産コンサルティング事業の立ち上げを推進いたしました。市場の一層の期待に応えるべく事業拡大の機会を探ってまいりましたが更なる収益力の強化として「新たな式場増築計画」「資産コンサルティング事業の拡大」を描く「中期経営計画4.0」を策定いたしました。以前より掲げております基本方針を継続しつつも、より具体的かつ発展的な内容に更新し、2026年度までに連結売上高440億円、連結営業利益94億円を目指してまいります。

 

(中期経営計画)

新中期経営計画「中期経営計画4.0」について

 

1.基本方針

(1)業績の更なる向上

(2)長期的成長へ投資

(3)株主還元の更なる充実

 

2.定量目標

当社グループ

 

2024年度

計画

2025年度

計画

2026年度

計画

売上高

39,700

41,930

44,000

営業利益

8,000

8,800

9,400

 

 

3.各事業セグメントでは、以下の取り組みを実施

(1)葬祭公益セグメント

引き続き社会的使命を果たし、東京都民の利便性を向上させます。

 

(2)葬祭収益セグメント

葬儀式場の更なる増築に着手し、中長期的な収益力向上を図ります。

 

(3)資産コンサルティングセグメント

営業利益10億円の事業に育て、長期的には中心事業にできるよう推進いたします。

 

(4)情報セグメント

既存領域での収益を維持しつつ、広告代理事業やグッズ領域など周辺領域への拡大を進めます。

 

(5)人材セグメント

東北・北陸地域での強みを生かすため他社連携を強化します。派遣会社については統合によるシナジーを足掛かりにサービス提供地域の拡大を目指します。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社はこれまでも当社グループのサステナビリティ向上のため様々な取組みを実施してきました。とりわけ環境への配慮・取組みにつきましては、「環境方針」を定め、ISO14001の取得や国民運動「COOL CHOICE」の推進による温室効果ガス削減への取組み等環境負荷の低減や環境保全に取組んでまいりました。

そして、2021年10月に持株会社体制の移行に合わせ、「広済堂グループSDGs宣言」を策定し、以下の4つのマテリアリティ(重要課題)を定めました。この「広済堂グループSDGs宣言」を推進するため、2022年1月に「サステナビリティ推進委員会」と「サステナビリティ推進室」を社内に設置し活動を推進しております。

 

「広済堂グループSDGs宣言」4つのマテリアリティ

1.経済-広くささえる サステナブルな経済活動への価値創造

2.社会-ともに生きる 公平で多様性のある地域社会の発展

3.環境‐未来をまもる 環境負荷軽減による美しい地球の継承

4.企業文化‐笑顔でつながる 透明性と対話のある健全な企業経営

 

■気候変動対応関連 

当社は、2022年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同するとともに、国際社会の重要な課題となっている温室効果ガスの排出量の増加や地球環境温暖化の影響による極端気象に対し、サステナビリティ経営を推進する「広済堂グループSDGs宣言」を発表しています。「環境」をテーマとした以下のマテリアリティを設定し、パートナーとの連携でさらなる環境へのリスク軽減を目指していきます。また、TCFDに沿って情報開示を実行し、ステークホルダーのフィードバックから気候変動に関する経営戦略強化につながるPDCAサイクルを継続的に実行していきます。

・未来を守る―環境負荷低減による美しい地球の継承

次世代を生きる子どもたちや生き物が共存できるよう、地球のライフセーバーとなり、温暖効果ガスの削減や生態系の保全に努め、パートナーとの連携で更なる環境リスク軽減を目指します。

 

(1)ガバナンス

サステナビリティ推進委員会(委員長 広済堂HD上席執行役員)において、サステナビリティ推進者会議のガバナンスグループから気候関連のリスク及び機会についての報告を受け、重要事項について取締役会への報告と削減施策の監督を行います。

そして、グループ全体の気候温暖化ガスの排出量の算定、具体的な削減方法については、サステナビリティ推進者会議(主催 サステナビリティ推進室)が主体となり、グループ全体での進捗管理を行っています。

 

 

(2)戦略

サステナビリティ推進委員会のもとに設置されたサステナビリティ推進者会議「サステナビリティ・サービス化グループ」による各事業に対しての気候変動に関する重要リスク・機会の分析を行い、将来のビジネスシナリオの経済価値と社会価値のインパクト評価を行いました。その結果、サプライチェーン全体におけるGHG排出量の削減、またはカーボンニュートラルが強力に推進され、事業における重要なファクターとなりました。そして、環境に配慮しない事業は淘汰されていく可能性が高いと推測しています。今後も継続的に外部環境変化の分析を実施することで、シナリオの精度を高め、経営戦略への統合をさらに推し進め、不確実な将来に向けたレジリエンス(強靭さ)を高めていきます。

 

インパクト評価における基本シナリオ

脱炭素社会へのシフト

大気、水質、土壌の汚染防止と

資源の再利用にシフト

① 日本政府の「2050年カーボンニュートラル」を宣言により、サプライチェーンにおける資材・生産工程の見直しが図られる。

② CO2削減に向けた企業投資がこれまで以上に積極的に推進されている。

③ サプライチェーン全体で環境に配慮できていない事業者は淘汰されていく可能性が高い。

① 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。

② ノンVOCは元より、水処理(廃液)、廃棄物処理など、取引先との協働で循環型のサプライチェーンを構築し、産業公害を解消する。

 

 

(3)リスク管理

気候変動による組織への影響は、大きく気候関連リスクと気候関連機会に分けることができ、また、リスクについては低炭素社会への「移行」に関するリスクと気候変動による「物理的」なリスクに分けることができます。

さらに、リスクと機会それぞれが、政策・法規制、技術、急性リスクやエネルギー源、市場といった側面まで細分化して考えることができます。

その上で、シナリオ分析としては、下記2つのシナリオを採用しました。

① 1.5℃以下シナリオ(地球の平均気温が産業革命前と比較し、1.5℃上昇以内に抑えられるシナリオ)

=「移行リスク、機会」参考:SSP1-1.9、IPCC「1.5℃特別報告書」

② 4.0℃以上シナリオ(現時点を超える追加的な温暖化対策を取らなかったシナリオ)

=「物理リスク」参考:RCP 8.5、SSP5

当社グループは、下記リスクを踏まえた今回のシナリオ分析や将来の見直しを通して、リスク把握のみならず、機会の創出に向けたレジリエントな事業戦略の策定を行っていきます。

 

シナリオ

参考シナリオ

リスク

「1.5℃」

持続可能な発展の下で、気候政策を導入して21世紀までの気温上昇(工業化前基準)を1.5℃以下に抑えるシナリオ。

SSP1-1.9

IPCC

「1.5℃特別報告書」

移行リスク

政策・

法規制リスク

炭素税導入など、GHG排出抑制の政策強化

技術リスク

低炭素技術の設備導入

市場リスク

サプライチェーンからの排除

評判リスク

株主、顧客による脱炭素目線の意見

「4℃」

化石燃料依存型の発展の下で、気候政策を導入せずに21世紀までの気温上昇(工業化前基準)を4℃程度上昇させるシナリオ。

SSP5

RCP8.5

物理リスク

急性リスク

激甚災害による事業所の営業停止リスク

慢性リスク

平均気温上昇によるサプライチェーン全体への影響

 

 

 

(4)指標及び目標

当社グループは、SDGs宣言「未来を守る - 環境負荷軽減による美しい地球の継承」を目指し、気候変動にともなう機会の最大化とリスクの最小化に向けて、当社グループ全体におけるScope1~3の排出量を算定し、実績に基づく戦略策定を進め、2050年までにはカーボンニュートラルを目指します。

自社拠点での事業活動にともなうGHG排出量(Scope1、2)については、2030年までの中期目標を掲げて削減活動を進めています。また、Scope3については、サプライヤ及び販売先におけるGHG排出量の管理状況の調査などを進めています。

 

項 目

Scope1+2削減目標

Scope3削減目標

2050年目標

カーボンニュートラル

カーボンニュートラル

2030年目標

CO2総排出量34%削減

サプライヤ及び販売先の

状況を踏まえて策定

排出係数

環境省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出 係数一覧 」

基準年

2020年

 

 

■人的資本関連

当社は、フィロソフィーとして掲げる「進取の精神」をもとに積極的に変革に挑戦し、広く社会への貢献に向けて活躍する人材を育成することをグループ成長の重要な要素と位置付けております。

サステナビリティ経営を推進する「広済堂グループSDGs宣言」においても、目指すべき「企業文化」として以下のマテリアリティを設定しました。

・企業文化‐笑顔でつながる 透明性と対話のある健全な企業経営

法令遵守はもとより、誰ひとり取り残さないSDGsの普遍的価値に基づく「人権尊重」「ジェンダー平等」「女性のエンパワーメント」推進によって、一人ひとりがムードメーカーとなり、働きがいある職場づくりとコミュニケーションにあふれる企業文化を守り続けます。

また、当社の全事業領域において持続的な企業価値向上には変革に挑戦する人材の育成と確保が欠かせないため、次の2点に重点的に取り組んでおります。

人材育成方針として「事業拡大・新規事業促進に向けた視野の拡大を促進する」観点で、個人事業主型副業の認定や新規事業への公募等を促進する方針を掲げております。2024年3月期は公募申請の運用構築が予定通りに進まず、目標の達成には至りませんでした。2025年3月期は前年同様、公募申請2件以上の目標達成に向けて早期に施策検討を進めて参ります。

・社内環境整備方針として「働きやすく、働き続けられる環境を整備し、事業運営に資する人材の定着を促進する」観点で、採用後の定期面談やリモート勤務の組み合わせなどを促進し、直近2年で平均50名の水準にある主要4社の社員依願退職者を年間25名以下に半減することを目標に取り組みます。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 価格競争

当社グループの競合会社の中には相当の製造販売の資源を有している会社が存在しております。このような事から急激な景気後退やそれに伴う需要の縮小による価格競争激化等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場の変化

当社グループの印刷事業は一定の需要が維持されるものの、ペーパーレス化などの進展により、印刷需要が大きく変化した場合に、また、人材サービス事業においては、雇用の情勢ならびに顧客需要の状況が急激に変化した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります

 

(3) 原材料費の変動

当社グループは、安定的な原材料の確保と価格の維持に努めております。しかしながら、その価格が市場により変動するものがあります。それら原材料の価格が高騰し、原材料以外のコスト削減でカバーできない場合や、販売価格に転嫁できない場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 製品の品質について

当社グループは、徹底した品質管理のもとで製品を製造しておりますが、製造工程上の不備により製品の欠陥が生じた場合、損害賠償や信用の失墜等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 法的規制について

当社グループの葬祭事業において、火葬場を運営しているため「墓地、埋葬等に関する法律」により、法的規制を受けております。また、人材サービス事業においては、労働関連法令における規制等の影響を受けます。今後、新たに法的規制が設けられる場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります

 

(6) 情報セキュリティ

当社グループは、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、得意先等から預託された機密情報や個人情報の管理には万全な方策を講じておりますが、万一情報を漏洩もしくは誤用した場合、企業としての信頼を失い、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 減損会計

当社グループが保有する土地などの不動産、その他の棚卸資産及び有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等のその他の資産についても、市場環境や経営環境等の変化により減損処理が必要となる場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 財務体質

当社グループは、投資及び設備投資の一部を、主として金融機関からの借入金及び社債の発行により調達しており、有利子負債への依存度が高い水準にあります。今後、現行の金利水準が変動した場合、業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 災害発生による影響

当社グループは、製造設備等の主要設備に対する防火や耐震対策等を実施しておりますが、地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害及び疫病等が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、先般発生した新型コロナウイルス感染症のような感染症のパンデミック等の影響により、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

(a) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて62億79百万円増加し、774億14百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて7億34百万円増加し、304億34百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて55億45百万円増加し、469億80百万円となりました。

 

(b) 経営成績

経営成績の概要は、次のとおりであります。

当連結会計年度の経営成績は、前年のコロナ関連案件の特需を補いきれなかった情報セグメントの売上高減少もあり、前年同期比で減収となるも、重要施策であった葬祭収益セグメントにおける式場増設の成果により大幅な増益を達成いたしました。特に当期における営業利益の増益幅は、中期経営計画3.0で描いた利益成長で最も大きく、また最難関の課題でありましたが、増設した式場の稼働率を向上させるべく、稼働室数の調整から価格設定など、期中に講じた様々な対策により、計画に沿った収益の獲得に至りました。その結果、連結売上高は354億57百万円(前年同期比3.3%減)、連結営業利益は53億23百万円(同24.4%増)、連結経常利益は53億12百万円(同26.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は43億36百万円(同7.3%増)となりました。

 

(売上高)

2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、葬祭収益セグメントにおいては、東京博善株式会社が運営する総合斎場への来場者数が増加し、休憩室の利用や菓子飲料の需要が増加。加えて2023年9月に式場の増設を完了すると、想定を超える式場稼働率の推移から大幅な増収となりました。また人材セグメントにおいては、全般的に採用需要が増加した一方、東北・北陸地域での需要回復の遅れが人材派遣・人材紹介事業に影響を与え、求人媒体事業では他社媒体の攻勢を受けるなど、全体的に低調な推移となりました。情報セグメントにおいては、前期のコロナ関連の自治体BPOに代わる案件の獲得が第3四半期から第4四半期にかけ停滞したこと、また印刷全般の需要縮小が継続いたしました。情報セグメントの大幅な減収には、葬祭収益セグメントの増収でも補いきれず、全体としては、前連結会計年度に比べ減収となりました。その結果、連結売上高は354億57百万円(前年同期比3.3%減)となりました。

(営業利益)

葬祭収益セグメントにおける式場増設に伴う増収が、グループ全体の増益に大きく貢献しました。加えて今期より独立させた資産コンサルティングセグメントの早期収益化に成功したこと等により、連結営業利益は53億23百万円(同24.4%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度は、前会計年度にあった税務上の優遇措置はなくなり税金費用が増加しましたが、営業利益が増加したことに加え、事業許認可の取得時期の関係から事業収益の一部が営業外収益に計上されたこと、また政策保有株式の売却益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益が増加しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は43億36百万円(同7.3%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度において、「葬祭セグメント」を「葬祭公益セグメント」「葬祭収益セグメント」「資産コンサルティングセグメント」と区分の変更を行っております。また、調整額として全社費用に含めていたグループ会社の経営指導料を、報告セグメントの各グループ会社に営業費用として計上する方法に変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

(イ) 葬祭公益セグメント

葬祭公益セグメントは、火葬事業で構成されており、当社子会社の東京博善株式会社の保有する都内6か所の総合斎場で行事を担っております。民営企業として収益力の向上が求められる中で公益性の高い火葬事業と利益成長を図る他の事業とを区分するため、今事業年度より葬祭公益セグメントとして開示することといたしました。

火葬事業は専ら東京都23区内で事業を営むため、売上は東京都近郊の死亡者数と強い相関関係があります。当期は冬期の気温が比較的温暖に推移し、前年比で死亡者数が減少、火葬件数も前期から減少いたしました。他方、円安やインフレの影響によりガス・電気料金の高止まりが継続いたしました。これらに対処すべくステークホルダーのご理解の下、燃料費特別付加火葬料の設定継続や繁忙期の友引営業実施等、安定継続したサービス提供のため必要な施策を講じてまいりました

以上の結果、売上高は55億36百万円(前年同期比0.4%減)、セグメント利益は10億81百万円(同18.4%増)となりました。

 

(売上高)

火葬件数が前期に比べ減少したことにより、前年同期比0.4%減の55億36百万円となりました。

(セグメント利益)

燃料費高騰の影響が継続するも、燃料費特別付加火葬料の継続や修繕費の抑制、最繁忙期を除く友引営業廃止等の業務効率化を進めた結果、前年同期比18.4%増の10億81百万円となりました。

(セグメント資産)

セグメント資産は東京博善株式会社の資産を一定の仮定に基づき配賦計算を行っており、前連結会計年度に比べ16億06百万円減少の204億21百万円となりました。

 

(ロ) 葬祭収益セグメント

葬祭収益セグメントは、主に総合斎場運営事業及び葬儀サービス事業で構成されており、東京博善株式会社にて総合斎場を運営する他、株式会社広済堂ライフウェル及び株式会社グランセレモ東京にて葬儀事業を展開しております。

総合斎場運営事業につきましては、当期増設した新式場の利用が順調に拡大し増収増益となりました。また、感染症への懸念が払拭され来場者数が大幅に増加したことにより提供サービス各種で増収となりました。葬儀事業につきましては、提携先の拡大や宣伝広告等により葬儀施行数が順調に拡大し創業2年目で営業利益2億円を達成する好業績となりました。この他、8月には前年度に譲受した日本国内最大規模のエンディング産業展「ENDEX」を主催、参加者・出展者より好評を頂きました。

以上の結果、売上高は86億75百万円(前年同期比35.9%増)、セグメント利益は35億6百万円(同56.8%増)となりました。

 

(売上高)

当期増設した新式場の利用が順調に拡大したことにより、前年同期比35.9%増の86億75百万円となりました。

(セグメント利益)

増収の影響もあり前年同期比56.8%増の35億6百万円となりました。

(セグメント資産)

セグメント資産は東京博善株式会社の資産を一定の仮定に基づき配賦計算を行っており、前連結会計年度に比べ41億47百万円増加の231億45百万円となりました。

 

(ハ) 資産コンサルティングセグメント

資産コンサルティングセグメントは、主に株式会社広済堂ファイナンスの提供する金融サービス及び東京博善あんしんサポート株式会社の提供する相続相談・不動産仲介事業で構成されております。本セグメントは、相続に関連するコンサルティングサービスの提供開始を契機に相応規模の事業として収益の目途が立った為、当期より葬祭セグメントから独立して開示しております。

相続相談・不動産仲介事業では、グループのリソースを活用した各種営業施策が奏功し不動産仲介売上を中心とする収益モデルが確立しつつあります。金融サービス事業では、株式会社広済堂ファイナンスにて貸金業の許可を取得し、2023年7月より利息収入の計上を開始いたしました。他方、許可の取得が期初の想定から遅延し一部収益が営業外での計上となりました

以上の結果、売上高は4億59百万円、セグメント利益は2億86百万円(前年同期セグメント損失0百万円)となりました。

 

(売上高)

当連結会計年度よりサービスを開始したことにより、セグメント売上高は4億59百万円となりました。

(セグメント利益)

当連結会計年度よりサービスを開始したことにより、セグメント利益は2億86百万円となりました。

(セグメント資産)

当連結会計年度よりサービスを開始し、私募債の取得等もあり、前連結会計年度に比べ97億77百万円増加の115億85百万円となりました。

 

 

(ニ) 情報セグメント

情報セグメントは、情報ソリューション事業で構成されており、主に株式会社広済堂ネクストにて出版・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューション、IT受託開発を中心としたデジタルソリューション、データ入力代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービス等の事業を展開しております。

印刷事業では、商業印刷領域が通年で好調となりましたが、出版印刷領域では電子書籍の台頭による案件減少が加速し不調が継続しました。BPO事業では、受注に向けた活動が順調に進行し第3四半期まで堅調に推移したものの、第4四半期に見込んだ案件の公示が遅れる等の影響も受け、受注が大幅に減少いたしました。IT事業では、斎場予約システムの販売を開始する等、新たな収益源の獲得に向けた取り組みも進みつつあります

以上の結果、売上高は151億68百万円(前年同期比16.0%減)、セグメント利益は3億11百万円(前年同期比20.9%減)となりました。

 

(売上高)

出版印刷及び新聞印刷が依然として厳しい事業環境にあることに加え、コロナ関連の自治体BPO案件が縮小した結果、前年同期比16.0%減の151億68百万円となりました。

(セグメント利益)

人員のエンディング関連事業への配置転換等による固定費削減や印刷工場の内製化率向上に向けた取り組みの効果により、前年同期比20.9%減の3億11百万円となりました。

(セグメント資産)

売掛金及び仕掛品が減少し、現金及び預金が増加した結果、前連結会計年度に比べ7億20百万円減少の151億64百万円となりました。

 

(ホ) 人材セグメント

人材セグメントは、人材サービス事業で構成されており、求人媒体・HRテック事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング)、海外(ベトナム等)における、人材紹介、人材育成・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛け、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。

求人媒体・HRテック領域は、他社メディアの攻勢により減収も、当期より方針を転換し、自社サービス(HRテック)への新規投資取り止めを始め、固定費を抜本的に見直したこと等から増益となりました。人材派遣領域では、主力とする東北・北陸地方で派遣人材の獲得が伸び悩み、小幅な増益に留まりました。人材紹介事業では、旺盛な求人ニーズを取り込むため体制を強化いたしましたが、費用増が先行し減益となりました

以上の結果、売上高は56億17百万円(前年同期比15.9%減)、セグメント損失78百万円(前年同期セグメント損失26百万円)となりました。

 

(売上高)

主領域である東北・北陸エリアの人材需要回復の遅れもあり、求人媒体・人材派遣事業が低調となったこと等により、前年同期比15.9%減の56億17百万円となりました。

(セグメント利益)

固定費の抜本的見直し及びコストコントロールの徹底等に努めましたが、売上高の減少を補いきれず、セグメント損失78百万円(前年同期セグメント損失は26百万円)となりました。

(セグメント資産)

主に売掛金の減少により、前連結会計年度に比べ2億27百万円減少の33億92百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、189億16百万円と、前連結会計年度末に比べて2億80百万円(1.5%)の増加となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、100億円の資金の増加となり、前連結会計年度が62億93百万円の増加であったことに比べて、37億7百万円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、90億18百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が39億36百万円の資金の減少であったことに比べて、50億81百万円の減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、7億12百万円の資金の減少となり、前連結会計年度が54億円の資金の減少であったことに比べて、46億88百万円の増加となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報

12,644

△9.3

合計

12,644

△9.3

 

(注) 1.葬祭公益、葬祭収益、資産コンサルティング及び人材は、生産実績の記載が困難であるため、記載を省略しております。

2.セグメント間取引は消去しております。

 

(b) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報

15,126

△6.2

1,170

△3.5

人材

5,617

△15.9

合計

20,744

△9.1

1,170

△3.5

 

(注) 1.葬祭公益、葬祭収益、資産コンサルティングは、受注実績の記載が困難であるため、記載を省略しております。

2.セグメント間取引は消去しております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

葬祭公益

5,536

△0.4

葬祭収益

8,675

35.9

資産コンサルティング

459

情報

15,168

△16.0

人材

5,617

△15.9

合計

35,457

△3.3

 

(注) 1.セグメント間取引は消去しております。

2.相手先別販売実績については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績等

(イ) 財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて62億79百万円増加しております。主な要因は、有価証券の取得等によるものであります

(負債合計)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて7億34百万円増加しております。主な要因は、借入金等の返済及び未払法人税等の増加等によるものであります

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて55億45百万円増加しております。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益43億36百万円、自己株式の処分による資本剰余金の増加等によるものであります。

 

(ロ) 経営成績

当連結会計年度の経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (b)経営成績」に記載のとおりであります。

 

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

(ハ) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億80百万円(前年同期比1.5%)増加し、当連結会計年度末では189億16百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、100億円の収入(前連結会計年度は62億93百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益62億66百万円の計上、減価償却費の計上等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、90億18百万円の支出(前連結会計年度は39億36百万円の支出)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出、有形及び無形固定資産の取得による支出等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、7億12百万円の支出(前連結会計年度は54億円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払、自己株式の処分等によるものであります。

 

(b) 資本の財源及び資金の流動性

(イ) 資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造やシステム開発に関わる原材料等の仕入れ及び外注費等の経費、各事業についての一般管理費等の運転資金需要、印刷事業と葬祭事業における設備投資等の設備資金需要、事業成長のためのM&Aやアライアンス等の事業投資を目的とした資金需要であります。

 

(ロ) 財政政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金調達を行っており、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップなどの手段を活用しております。また、国内金融機関と総額55億円のコミットメントラインを締結することで、流動性の補完にも対応可能とし、グループ全体の借入金等の削減も図っております

 

② 中期経営計画「中期経営計画3.0」1年目の総括

当社グループは中期経営計画(2023~2025年度)「中期経営計画3.0」に基づき、「1.業績の更なる向上」「2.長期的成長へ向けた投資」「3.株主還元の更なる充実」の基本方針の下、中期経営計画の実現に取り組んでまいりました。当計画において、最終年度の連結売上高438億円、連結営業利益87億円を達成目標としておりました。

中期経営計画1年目において実行した重点施策は以下のとおりです。

・既存斎場内の式場増設

・情報セグメント・人材セグメントの各事業の最適化

・資産コンサルティング事業の早期収益化

・配当性向の引き上げ

これらの施策を推進した結果、当連結会計年度において、連結売上高354億円、連結営業利益53億円、親会社株主に帰属する当期純利益43億円となりました。また、配当性向39%までの引き上げを実現し株主の皆さまへ還元することができました。ついては、より一層の市場からの期待にお応えすべく「新たな式場増築計画」「資産コンサルティング事業の拡大」を成長戦略の柱とする「中期経営計画4.0」へのバージョンアップに至ることとなりました

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年3月12日付の取締役会において、SBIホールディングス株式会社(以下「SBIHD」といいます。)と当社の資産コンサルティング事業の強化を図るべく、資産コンサルティング事業に係る互恵的提携を行うことを骨子とした資本業務提携に関する基本合意書を締結することを決議し、同日に本基本合意書を締結いたしました。

これと併せて、SBIHDを割当先とする第三者割当による自己株式の処分を行うことを同取締役会にて決議し、2024年3月28日付で株式引受契約書を締結しました。なお、本第三者割当の払込は2024年3月29日に完了しております。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。