当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、緩やかな回復基調ではあるものの一部に弱さがみられ、海外経済の減速懸念や金融資本市場の変動などにより、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
当社グループの主力事業である食品スーパーマーケット業界におきましては、依然として物価上昇が続く中、実質賃金の動向も明確に見通せないことから、「インフレ疲れ」といわれるお客様の節約志向や買い控えの傾向が一層高まっております。
このような事業環境の下、当社グループは「競合は成長の粮(かて) 協業の力を高め 良い品を納得の価格で提供し 使命を果たす。」を年頭方針として掲げ、業界再編や新たな競合の発生は当社グループの企業体質向上の好機と捉え、お客様のために「良い品」を「納得価格」で提供し続けるための様々な施策に取り組んでまいりました。
厳しい経営環境の中、当社は従来以上にスピード感のあるエリア展開を目指すため、本年5月28日に新経営体制として、CEO、COO、CFOで構成される「3C体制」(※1)へと移行いたしました。CEOはグループの最高経営責任者として業界再編への対応やM&A等の積極的な推進に注力し、COOはグループ全体の営業力強化に関する業務を管掌、CFOは財務・資本戦略や人的資本経営の強化に関する業務を管掌しております。新体制による役割分担の明確化、意思決定の迅速化のため、新業務管掌に対応した組織体制の確立や各種会議体の見直し、グループ各社への業務支援の強化などに取り組んでまいりました。
営業面につきましては、主に以下の3点を中心に注力してまいりました。
① 地域共生としての地産地消の深化
地産地消については、従来の産直野菜メインの取り組みに加え、地元ブランドの牛肉・豚肉・鶏肉の取り扱いを拡充いたしました。さらにデリカ・ベーカリーや日配部門についても、地元の銘店や地元メーカーとの商品開発を積極的に行ったことで、差別化を進めるとともに輸送コストや環境負荷の低減、生産者の支援にもつなげ、「地域共生」を推進してまいりました。
② 中食・内食需要への対応強化
家庭で食事を楽しむ「中食・内食」「家呑み」の需要取り込みのため、「簡便・時短」ニーズに応える冷凍食品の拡充や、素材にこだわった「さかなやの寿司」や焼魚・煮魚などを取り揃えた「おさかな食堂」の展開を拡大してまいりました。また、デリカ・ベーカリーコーナーでは鉄板調理のお好み焼き、大型サイズのピザやハンバーガーなどの品揃えを強化したほか、手づくり需要に対応した調味料やスパイスコーナーを一層充実してまいりました。
③ 「協業の力」による価格競争力と差別化
節約志向への対応として、当社グループのプライベートブランドと位置づけているCGC商品の中でも、特に価格訴求力の高い「定番品を低価格で提供する『ショッパーズプライス』」や「大容量品を低価格で提供する『断然お得』」を拡販してまいりました。さらに、新日本スーパーマーケット同盟(※2 以下、同盟と表記。)の規模を生かしたオリジナル商品による差別化に取り組み、人気の「塩こうじレモンぽん酢」後継商品の開発や、同盟結成5周年記念商品「トマトチキンカレーメシ」などを販売したほか、同盟共同の直接仕入れによる原価低減も進めてまいりました。
新たな顧客基盤拡大の取り組みにつきましては、本年2月に北海道コンサドーレ札幌とクラブパートナー契約を締結し、ホームゲーム開催時の「RARAプリカ・コンサドーレカード」入会キャンペーンやイベントの実施など、新規会員獲得に向け強化した結果、中間期末時点の「アークスRARAカード」会員数は328万人と2024年2月期末より2.6万人増加しました。また、「アークスアプリ」については、本年10月1日に各種キャンペーンやお得なクーポンなどのプッシュ販促機能を充実させた「新・アークスアプリ」にリニューアルいたしました。
「アークスオンラインショップ」につきましては、㈱ラルズの売上高が対前年同期比39%増と大きく伸長したほか、昨年6月に盛岡市でスタートした㈱ベルジョイスでは本年7月から仙台市での配送を開始するなど、順調にエリアを拡大しております。㈱ラルズでは、本年11月から配送拠点を1店舗増やし、合計8店舗とすることで配送地域をさらに拡大する予定です。加えて、Amazon社との協業による「Amazonネットスーパー アークス」におきましても、本年6月より札幌市のほぼ全域へ配送地域を拡大したことや、アマゾンプライム会員以外のお客様も利用可能となったことで、売上規模は順調に拡大しております。
店舗展開につきましては、既存店の活性化として、㈱ラルズ2店舗、㈱ユニバース3店舗、㈱ベルジョイス5店舗、㈱福原1店舗、㈱道北アークス1店舗、㈱東光ストア2店舗、㈱道南ラルズ1店舗、㈱道東アークス1店舗の計16店舗を改装いたしました。改装店舗のうち、㈱ラルズの「(旧)ビッグハウス明野店」、㈱ベルジョイスの「(旧)スーパーロッキー江釣子店」「(旧)ジョイス二戸店」「(旧)ビッグハウス築館店」、㈱道北アークスの「(旧)スーパーチェーンふじアシル砂川店」、㈱道東アークスの「(旧)ビッグハウス小泉店」の6店舗はスーパーアークスへの業態転換であり、「スーパーアークス築館店」は宮城県初のスーパーアークスとなりました。一方で2店舗の閉店により、中間期末時点の当社グループ総店舗数は375店舗となりました。なお、第3四半期以降では新店1店舗、改装14店舗を計画しております。
サステナビリティ推進活動につきましては、本年6月に定量的な指標(KPI)を一覧化した「サステナビリティ共通KPI」を策定いたしました。食品ロス対策として、「てまえどり運動」(※3)の積極的な推進や、フードドライブ(※4)の実施店舗拡大(中間期末時点で7社合計115店舗)に取り組んだほか、㈱ラルズでは生鮮センターが所在している流通団地全域の清掃ボランティアに積極的に参加し、また使用済み食用油のアスファルト製造燃料へのリサイクル活動にも協力してまいりました。㈱ユニバースではマラソン大会への協賛・ブース出展による「環境にやさしい商品」の紹介活動のほか、㈱道東アークスでは地元学生とのコラボ弁当販売、㈱オータニでは酷暑対策として店舗スペースを「クーリングシェルター」として開放するなど、積極的に地域社会との連携を強化してまいりました。
以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高3,027億40百万円(対前年同期比3.6%増)と中間期では過去最高となりました。既存店ベースでは、物価高・節約志向の環境下、客数は対前年同期比0.4%減に留めた一方、客単価は同3.4%増となり既存店売上高は同3.0%増となりました。既存店客単価の内訳は、1点単価が対前年同期比3.7%増、1人当り買上点数は同0.2%減とほぼ前年並みの水準で推移いたしました。
売上総利益率は24.9%と価格競争のなか対前年同期比0.2ポイント低下し、販管費は予算内執行で進行したものの、対前年では人件費の増加等もあり販管費率は22.6%と対前年同期比0.2ポイント増となりました。各段階利益は、営業利益71億62百万円(対前年同期比同9.7%減)、経常利益79億73百万円(同9.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益49億99百万円(同13.8%減)となりました。
(※1)「3C」とは、3名の役職の頭文字であり、正式名称は下記の通りです。
・CEO…Chief Executive Officer :最高経営責任者
・COO…Chief Operating Officer :最高執行責任者
・CFO…Chief Financial Officer :最高財務責任者
なお、「3C体制」への移行に伴い、当社社長室を「3Cオフィス」に変更しCEO直轄の組織としております。
(※2)㈱バローホールディングス(本社:岐阜県)、㈱リテールパートナーズ(本社:山口県)、当社の3社により、2018年12月に資本業務提携契約を締結した地域密着型の独立系食品流通企業の連合体です。
(※3)すぐに召し上がる予定で商品をお買い上げいただくお客様に対し、商品棚の手前にある商品を積極的に選んでいただくことを促すことによって、食品ロスの削減を目指す取り組みです。
(※4)賞味期限内でまだ食べられるにもかかわらず、ご家庭で眠っている・買い過ぎてしまった食料品などを、食品を必要としている地域のフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付する活動です。農林水産省や消費者庁、環境省が中心となって推進しています。
(2)財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して、86億68百万円増加し、2,836億41百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金が76億84百万円、売掛金13億55百万円、棚卸資産が11億16百万円、及び工具、器具及び備品(純額)が11億63百万円増加した一方で、未収入金が16億22百万円、及び投資有価証券が10億97百万円減少したことなどによるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して、65億77百万円増加し、1,037億40百万円となりました。この主な要因は、買掛金が64億23百万円、未払費用が12億56百万円、及び賞与引当金が5億13百万円増加した一方で、短期借入金が8億86百万円、及び未払消費税等が5億19百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、20億91百万円増加し、1,799億円となりました。この主な要因は、利益剰余金が28億94百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が8億44百万円減少したことなどによるものです。
この結果、当中間連結会計期間末の自己資本比率は、前連結会計年度末より1.3ポイント低下し63.4%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末と比較して、76億84百万円増加し、824億16百万円(対前年同期末比55億39百万円の増加)となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、178億67百万円(対前年同期比0.3%増)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益79億46百万円、減価償却費50億49百万円、賞与引当金の増加額5億13百万円、売上債権の増加額13億55百万円、棚卸資産の増加額11億16百万円、仕入債務の増加額64億23百万円、未払消費税等の減少額5億19百万円、及び法人税等の支払額28億28百万円などによるものです。また、得られた資金が増加した要因は、減価償却費が増加したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、62億40百万円(対前年同期比11.3%増)となりました。これは主に、店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出56億54百万円などによるものです。また、使用した資金が増加した要因は、店舗改装等に伴う有形固定資産の取得による支出が増加したこと及び預り保証金の受入による収入が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、39億42百万円(対前年同期比50.2%減)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額8億50百万円、長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出25億9百万円、及び配当金の支払額21億2百万円などによるものです。また、使用した資金が減少した要因は、長期借入れによる収入があったこと及び自己株式の取得による支出が減少したことなどによるものです。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(8)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。