当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の分類が2023年5月に第5類へ移行した以降、行動制限等の緩和から消費活動に回復の兆しがみられるものの、一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化やエネルギー・原材料価格の高騰、円安長期化、各地で頻発する異常気象などの影響により、国民の生活防衛意識から消費行動に慎重さがみられること等、当社グループ事業に大きな影響を与えました。今後も引き続き、状況の変化を注視し、対応を行ってまいります。
当社グループは、第71期(2019年2月期)から第75期(2023年2月期)連結会計年度において、営業損失を計上しておりました。当第3四半期連結累計期間においても、専門店・百貨店共に取引先の整理の影響が大きく、営業損失を計上、通期の業績予想でも営業損失を見込んでおり、営業活動によるキャッシュ・フローの改善は見込まれておりません。
また、取引金融機関からは借入金元本の返済猶予を受けており、継続して借入金弁済条件の変更交渉を行っております。
これらの状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループは、当該状況を解消すべく、以下の対応策を実行に移しております。
①卸売・小売事業については、
・製品の品質は維持向上を図りながら、パターン・縫製仕様の合理化を進め、よりお買い求めやすい販売価格で、売れ筋のトレンドを押さえた新作デザインを展開し、幅広いお客様層へ訴求できる魅力ある新商品の提供に努めていきます。
・百貨店、直営店売場など店頭VP(ビジュアルプレゼンテーション)は、顧客向けだけでなく、ラピーヌ商品の未購買消費者に向けてのアピールを強化し、新規顧客の獲得、増大を図っております。
・製造、仕入額のコントロールとジャストインタイムの納期コントロールによる在庫リスクの低減に努めております。
・製造原価の低減による適正粗利確保の取り組みを推し進めるとともに、引き続き固定経費の徹底的削減を継続して、売上高の維持拡大と安定的な営業利益を確保できる体制を整えてまいります。
②ラピーヌ夢ファーム株式会社の福祉事業については、葉もの野菜の水耕栽培、土耕栽培野菜の選定と生産性向上を進めるとともに、施設利用者の作業効率アップに資する教育訓練に努め、営業利益の創出を実現できる体制を整えてまいります。
③資金の確保については、製造原価の低減、販売費及び一般管理費削減の継続的取り組み、取引金融機関への借入元本返済猶予の依頼、政府による緊急経済対策に基づく各種税金及び社会保険料の納付猶予制度などの利用により、当第3四半期連結会計期間末における現金及び預金は13億61百万円と、当面の事業継続に必要な資金を確保しております。今後も同様の取り組みを継続するとともに、取引金融機関との良好な関係を維持しつつ、継続的に支援いただくための協議を行ってまいります。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類移行が2023年5月から始まり、経済活動の回復が進む中、人流の増加やインバウンド需要の回復などを受けて、景気は緩やかながらも持ち直し傾向がみられましたものの、物価上昇やエネルギー・資源価格の高止まり、円安基調の長期化など、今後の先行きは不透明な状況が続いております。
当アパレル業界におきましても、行動制限の緩和から人流が回復し、外出機会が増加傾向を示しておりますが、当社グループの主力顧客層であるミセス層を中心とした生活者の節約志向から、衣料品の消費マインドの回復は鈍く、引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、引き続き、百貨店に出店するアパレル店舗のあるべき姿を求めて業務改革に取り組んでおります。消費者にお買い求めやすい価格帯商品の展開、新規顧客の開拓を中心とした改革に加え、専門店卸販路の回復、拡大にも注力してまいりました。
また、原材料価格の上昇圧力が高まる中、製造・仕入のコントロール、製造原価低減の工夫、固定経費及び変動経費の削減を継続し、適正利益の確保に努め、近年の厳しい経営環境に対処してまいりました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて5億61百万円減少し、34億63百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて5億83百万円減少し、19億26百万円となりました。これは主に、商品及び製品の増加77百万円などがあった反面、現金及び預金の減少7億26百万円などがあったことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて21百万円増加し、15億36百万円となりました。これは主に、差入保証金の減少39百万円などがあった反面、投資有価証券の増加54百万円などがあったことによります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べて3億64百万円減少し、25億4百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて3億58百万円減少し、14億70百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少1億66百万円、未払金の減少75百万円、支払手形及び買掛金の減少64百万円などがあったことによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて6百万円減少し、10億33百万円となりました。これは主に、資産除去債務の減少8百万円などがあったことによります。
また、純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億97百万円減少し、9億58百万円となりました。これは主に、利益剰余金の減少2億27百万円などがあったことによります。
b.経営成績
当第3四半期連結累計期間の売上高は18億14百万円(前年同期比31.1%減)となりました。損益面におきましては、安売りを抑え同時に売上原価の低減に努めました。併せて販売費及び一般管理費の抑制もいたしました。営業損益は2億38百万円の損失(前年同期は4億26百万円の損失)にとどめることができました。経常損益は、前年まであった雇用調整助成金収入が無くなった上でも2億22百万円の損失(前年同期は2億82百万円の利益)に抑えられました。また、親会社株主に帰属する四半期純損益は2億27百万円の損失(前年同期は雇用調整助成金があったため2億74百万円の利益)となりました。
セグメント別の経営成績の概要は次のとおりであります。
<卸売事業>
百貨店販売事業においては、若年層における顧客離れや既存顧客の高齢化の進行と、衣料に対する需要が減退する市場環境に対応するために、消費者がお買い求めやすい商品価格に設定して、若い世代の客層を取り込み、売上を回復することに取り組んでまいりました。
そのために、当社の商品企画や発注の体制を改め、自社の企画力や技術力およびマーケティング力を向上させるための社員教育を積極的に実行しております。
従来の品質を保ちながら、仕入原価率を抑制するために、少量多品種であっても生産方針の見直しを行い、市場に適した価格での供給に取り組むことにより、売上回復および粗利益率の改善を進め、今後の事業の収益性を高めてまいります。
専門店販売事業においては、取引条件や不採算取引の見直しを徹底して遂行し、デリバリー、収益面の改善に努めております。
また、従来の商慣習であった展示会ベースから受注リードタイムを短くし、リアルシーズン化を図ることで受注精度向上、店頭消化促進に繋がり、コロナ後の新たなアパレル卸として新規・新販路開拓に取り組んでおります。
しかしこのような中、一部百貨店に対して店舗の一時営業休止を行った影響が大きく、当事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は8億59百万円(前年同期比44.3%減)となり、損益面では、粗利益率は大きく改善したものの、経費の削減が追い付かず、営業損益は2億36百万円の損失(前年同期は3億82百万円の損失)となりました。
<小売事業>
卸売事業と同様に、小売店頭の売上が厳しい中、立地別、店舗別の効率改善に取り組み、店舗のスクラップアンドビルドを行いました。また、お客様本位の魅力ある品揃えの強化、販売促進策の打ち出しに努め、新規お客様の獲得に努め、損益改善に注力してまいりました。本部の強力な指導のもと、経費の効率的運用を行い、売上原価を大きく改善させました。
その結果、当事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は9億46百万円(前年同期比12.3%減)となり、営業損益は28百万円の利益(前年同期は20百万円の損失)となりました。
直営店数につきましては、当第3四半期連結累計期間中に、新規出店はなく、不採算店2店を退店し、同期間末の運営店舗数は当社グループ合計で32店となりました。
<福祉事業>
当社グループの社会福祉への取組みとして、障害者総合支援法に基づく「障害者福祉サービス事業」と農地法に基づく農業委員会の認可を受けた「野菜の生産及び販売事業」を両立させる事業を行う会社として2012年にラピーヌ夢ファーム株式会社を設立し事業を行っております。事業規模としては、連結売上高に占める割合は小さいものの、水耕栽培に加えて土耕栽培にも注力し、採算性改善に努めております。
当事業の当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高8百万円(前年同期比12.1%減)となり、営業損益は30百万円の損失(前年同期は23百万円の損失)となりました。
なお、福祉事業に関しましては、就労支援事業運営費収入20百万円、特定求職者雇用開発助成金他6百万円の営業外収益などがあり当第3四半期累計期間の当期純損失は3百万円となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
該当事項はありません。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、消費動向の変化、気象状況や自然災害、感染症の拡大等のリスク項目をはじめとする、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループでは、消費動向に留意しつつ、魅力的な製品の提供に努め、外部や事業環境の変化にすばやく対応するための情報収集、人材育成や組織体制の整備、内部統制強化等により、経営成績に影響を与える可能性のあるリスクの回避及び発生を抑え、適切な対応に努めてまいります。
(5) 資金の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における必要資金は、当社グループ製品の製造に係る原材料費等の費用や販売費及び一般管理費等の運転資金、直営店舗及び百貨店売場等の開設及びリニューアルに係る投資資金が主なものであります。
運転資金及び投資資金の調達につきましては、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。これらにより、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。
また、当第3四半期連結会計期間末における有利子負債の残高は16億35百万円となっております。
当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。