当社は、2024年10月25日開催の取締役会において、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)860,000株を1株に併合すること(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2024年12月4日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
1.本株式併合の目的
2024年8月8日付当社プレスリリース「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、株式会社可成屋(以下「公開買付者」といいます。)は、2024年8月8日に、東京証券取引所スタンダード市場に上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施することを決定しております。
そして、2024年9月25日付当社プレスリリース「株式会社可成屋による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、公開買付者は、2024年8月9日から2024年9月24日までの間、本公開買付けを行い、その結果、2024年9月30日をもって、当社株式2,665,011株(所有割合(注1)76.60%)を保有するに至りました。
(注1) 「所有割合」とは、2024年10月25日現在の当社の発行済株式総数(3,784,000株)から、2024年10月1日現在の当社が所有する自己株式数(304,910株)を控除した株式数(3,479,090株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。
公開買付者は、本公開買付けを通じた当社株式の取得等を目的として、2024年4月11日に設立された株式会社です。
本意見表明プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおり、当社は、1900年3月、創業者である石井太吉が東京月島に鉄工所を創業し、ボイラー、水力発電用水圧鉄管、各種水門、鉄塔、鉄槽等の製作を開始したのに始まり、その後わが国産業の振興と相まって1919年11月、資本金100万円の株式会社に改組しました。その後、当社は、1949年5月に東京証券取引所市場第一部に株式を上場し、1961年12月に株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)市場第一部に上場しました。その後、2003年5月に大阪証券取引所の上場廃止を経て、現在は2022年4月に行われた東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場に移行しています。
2024年10月25日現在、当社のグループは、当社、子会社2社、関連会社1社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)で構成されており、鉄構事業と不動産事業を主たる事業としています。
当社の事業内容は、以下のとおりです。
(a)鉄構事業
1900年の創業以来、当社は、石油精製事業者、都市ガス事業者、石油化学事業者、電力事業者など基幹産業のお客様に不可欠なタンク・プラント設備を世界中に提供しており、当社の技術とノウハウは世界40ヵ国以上で高く評価されてきたものと考えております。具体的な事業内容として、油槽やその他の貯槽、化学工業用諸機械装置、鉄骨及び各種プール等の鉄鋼構造物の設計から、製作、据付、試運転に至るまでの一貫したエンジニアリングを行っております。限られたコストと時間的制約の中で、要求される法規や基準を遵守しながらお客様にご満足いただける品質を維持しており、これからも、これらの技術とノウハウを基に安全で信頼性の高い設備を世界中に提供し、お客様の事業活動を支え続けてまいります。
(b)不動産事業
1988年に不動産の賃貸事業を開始して以来、当社は、社会のニーズの変遷に応える不動産開発と運用を行い、社有地の立地条件を活かした付加価値の高い不動産をお客様や社会に提供してまいりました。具体的な事業内容として、介護付き有料老人ホームや賃貸マンション、物流施設、外食産業及び飲食店向総合支援プラットホーム、認可保育所等への不動産の賃貸を行っております。近年は太陽光発電事業にも参入し、売電事業も手掛けております。
また、当社は、「社会のニーズに応える技術と誠実な『ものづくり』により企業価値を高め、社業を通じて社会に貢献する」という経営理念の下、創業以来発展を続け、タンク・プラントメーカーとして、日本のみならず、世界でも確固たる地位を築いてきたと考えております。
しかし、当社の代表取締役社長である石井氏(以下「石井氏」といいます。)は、当社の鉄構事業の一角であるタンク事業については製品のコモディティ化が進み、価格競争に苛まれる中、なかなか差別化戦略を打ち出せずにおり、持続的成長を示せていないことが実状であると考えていたとのことです。
公開買付者の設立者かつ当社の代表取締役社長である石井氏は、このような状況下において、当社の鉄構事業について、カーボンニュートラル(注2)の実現に向けた新エネルギー(注3)市場の拡大に伴う技術力強化、プラント設備の老朽化及びエンジニアの減少への対応、自然災害に対して強靭なエネルギーインフラの整備等を実施することは、大きなビジネスチャンスであると同時に、こうした課題への対応が当社の企業価値向上に繋がると認識していたとのことです。
石井氏は、当社グループの課題解決に向けて2021年5月14日に当社により公表された、2021年度(2021年4月1日~2022年3月31日)を初年度とし、2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)を最終年度とした中期経営計画に記載されている取組みを実施し、また、2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)を初年度とし、2026年度(2026年4月1日~2027年3月31日)を最終年度とした新しい中期経営計画(2024年5月9日に公表)の策定に向けた検討を進める中で、上記課題を解決するためには、相応の時間と先行投資を要し、短期的には当社の既存株主の皆様への期待に沿えなくなる可能性があると認識していたとのことです。特に、新エネルギー市場は成長領域ではあるものの、新エネルギーの生産及び需要の時期並びに規模は現状不透明である中で、人的・経済的リソースの継続的な投下が、当社の更なる成長を実現するためには必要と認識していたとのことです。
(注2) カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることとのことです。
(注3) 新エネルギーとは、「非化石エネルギーのうち、技術的には実用段階であるが経済的な理由から普及が十分に進んでおらず、利用促進を図るべきエネルギー源」として分類されるものであり、太陽光発電や風力発電などのこととのことです。
石井氏は、このような課題を抱える当社がその解決を図り、今後もさらなる成長を達成するためには、中長期的な目線で事業運営の舵取りが求められると考えており、具体的に以下の施策を実施することが必要であると考えているとのことです。
(A)新工法の開発や施工能力の強化に取り組むための積極的な研究開発
当社グループの鉄構事業においては、現在、業界として新エネルギー分野の燃料タンクの大型化が進んでいないという課題があり、石井氏は、その課題解決に向けた研究開発を今以上に加速させるべきであると考えているとのことです。一方で、石井氏は、水素やアンモニアを貯蔵する燃料タンクの開発には、高度な技術を用いた研究開発が必要であると認識しているとのことです。
また、社会全体において少子高齢化が進み、人材の確保が困難となる中、限られた人的リソースを有効活用するために業務フローの自動化を積極的に進め、業務効率化や施工能力を高めることも必要であると考えているとのことです。主に、溶接作業や検査作業に関しては、自動化による業務効率化や安定した作業による施工能力の向上が見込めると考えているとのことです。
これらの取組みに対する一時的な先行投資により、当社グループの収益及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性は否定できないことに加え、研究開発には一定の時間を必要とするものの、中長期的な観点では、付加価値の高いサービスの提供が可能となり、当社グループの売上及び収益の増加が実現できるものと考えているとのことです。
(B)他社との連携強化を通じた先端技術の取り込み
石井氏は、当社グループは、現在においても新エネルギー分野の燃料タンク受注に向けて他社との協業は行っている認識ではあるものの、新エネルギー分野の燃料タンクは、今後需要が急速に拡大すると考えており、今以上に他社との協業を深化させ、他社と連携しつつ新エネルギー分野の燃料タンクを開発することが、今後の需要拡大に対応できる手段であると考えているとのことです。
また、パートナーである外注業者(外注している製造業者やサブコン業者等)との連携を強化し、当社グループが保有する技術力や効率性のノウハウの共有を行うことが、先端技術を活用したサービス提供には必要であると考えているとのことです。
これらの取組みが成果を発揮するには一定の時間を必要とするものの、中長期的な観点では、当社グループの売上及び収益の増加に寄与するものと考えているとのことです。
(C)人材の育成と、最適な配置による企業競争力向上やコスト競争力の強化等の構造改革
当社グループの鉄構事業においては、現在、プロジェクトの大型化が進んでいるものの、石井氏は、当社グループにおいて大型プロジェクトの全体を管理できる人材が不足していると考えているとのことです。一方で、大型プロジェクトは収益性が高く、当社グループの今後の事業基盤を支えるものであると認識しているとのことです。そのため、大型プロジェクトの全体を管理できる人材の採用・育成に注力し、人材育成のモデルを構築する必要があると考えているとのことです。
また、事業の中長期的な競争力を強化するために、人材の最適配置を追求し、抜本的な組織構造の見直しを行うことが必要であると考えているとのことです。
これらの取組みに対する一時的な先行投資により、当社グループの収益及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性は否定できないことに加え、人材育成のモデル構築や組織構造の見直しには一定の時間を必要とするものの、中長期的な観点では、当社グループの人材強化による生産性の向上に繋がり、総合的な経営基盤の強化が実現できると考えているとのことです。
以上のとおり、石井氏は、上記(A)乃至(C)の各種施策を推進することで、当社グループの中長期的な企業価値向上を見込むことができる一方で、上記の各施策を推進していくにあたっては、経営資源を集中的に投下する必要があり、多額の先行投資が発生することから、一時的に収益及びキャッシュ・フローが悪化する可能性は否定できず、短期的には当社の業績や財務状況に大きな影響を与えるリスクがあり、当社が上場を維持したまま各施策を実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の株価が下落し、株式価値を毀損する可能性があると考えていたとのことです。
また、石井氏としては、当社は、1949年5月に東京証券取引所市場第一部に株式を上場して以来、知名度の向上、社会的な信用の向上等、上場会社として様々なメリットを享受してまいりましたが、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれていないこと、金融機関との長期的な取引により良好な関係を築けており、また昨今の良好な資金調達環境を鑑みても、間接金融を通じて必要に応じた資金調達を行うことが想定されること、さらには、一定のブランド力やお取引先様に対する信用力は既に確保できていると考えることから、人材の採用の面やお取引先様との取引の継続の面から見ても上場廃止による悪影響は見込まれず、当社が上場を維持する必要性や上場を維持することにより享受できるメリットは相対的に低下している状況になっていると考えていたとのことです。
さらに、当社において株式の上場を維持するために必要な人的・経済的コストは近年増加しており、今後も、かかるコストが当社の経営上の更なる負担となる可能性も否定できないと認識しているとのことです。
このようなことから、石井氏は、当社を非公開化することが当社の企業価値向上のために最も有効な手段であるという考えに至ったとのことです。
また、石井氏は、当社株式の非公開化にあたっては、第三者ではなく、当社グループの事業内容を熟知している当社の代表取締役社長である石井氏の主導でマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、当社の所有と経営を一体化させた上で上記施策を迅速かつ積極的に実行していくことが当社にとって最善であると考えるに至ったとのことです。
以上を踏まえ、石井氏は、当社の中長期的かつ持続した企業価値の向上に向けた戦略的施策を検討する中、2024年1月上旬から、当社株式の非公開化について、具体的な検討を開始したとのことです。そして、石井氏は、本取引に関して検討するにあたり、2024年3月上旬にファイナンシャル・アドバイザーとしてSMBC日興証券株式会社を、リーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、それぞれ選任したとのことです。そして、石井氏は、2024年3月5日、当社に対して、本取引の実施に関する正式な協議開始の申入書(以下「本申入書」といいます。)を提出したとのことです。
そして、石井氏は、2024年3月15日に当社から、本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。その後、石井氏は、2024年3月中旬から2024年4月中旬まで当社に対する財務・税務及び法務デュー・ディリジェンスを実施したとのことです。そして、石井氏は、本取引の諸条件等についてさらに具体的な検討を進め、2024年4月8日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1株当たり6,908円(2024年4月5日当社株式の終値2,773円に対して149.12%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値2,805円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して146.27%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,749円に対して151.29%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,760円に対して150.29%のプレミアムをそれぞれ加えた価格とのことです。)とする旨の初回の価格提案書を提出したとのことです。その後、2024年4月10日、当社より、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)及び本特別委員会の第三者算定機関である株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)が行った当社事業計画等を基にした当社株式価値の試算結果を踏まえると、本公開買付価格として提案した6,908円は当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないという判断に至ったとして、再検討の要請を受けたとのことです。これを受け、石井氏は、2024年4月15日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を1株当たり7,196円(2024年4月12日の当社株式の終値2,796円に対して157.37%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値2,818円に対して155.36%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,754円に対して161.29%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,753円に対して161.39%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の再提案を実施したとのことです。その後、2024年4月16日、当社より、引き続き、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券及び本特別委員会の第三者算定機関であるプルータスが行った当社事業計画等を基にした当社株式価値の試算結果を踏まえると、本公開買付価格として再提案した7,196円は当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないという判断に至ったとして、再検討の要請を受けたとのことです。
これを受け、石井氏は、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について再検討を進めておりましたが、その後、当社が、当社の株主から、剰余金の配当を1株当たり金155円とすること等を第158期定時株主総会の目的事項とする株主提案を2024年4月22日付で受領した旨の伝達を受けたとのことです。当初より、石井氏は、本取引に係る取引条件の検討に際して、剰余金の配当に関する議案が当社の第158期定時株主総会に上程されないことを前提としていたものの、当社が当該株主提案を受領したことを受けて、改めて本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件等について検証する必要があると考えるに至ったことから、2024年4月22日に、当社及び本特別委員会に対して、口頭により、当初想定していた2024年5月上旬での本公開買付けの開始を延期したい旨連絡したとのことです。その後、当社の第158期定時株主総会が終結したことを踏まえて、石井氏は、2024年7月8日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を1株当たり7,628円(2024年7月5日の当社株式の終値2,917円に対して161.50%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値2,845円に対して168.12%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,805円に対して171.94%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,777円に対して174.68%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の再提案を実施したとのことです。その後、2024年7月10日、当社より、引き続き、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券及び本特別委員会の第三者算定機関であるプルータスが行った当社事業計画等を基にした当社株式価値の試算結果を踏まえると、本公開買付価格として再提案した7,628円は当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないという判断に至ったとして、再検討の要請を受けたとのことです。これを受け、石井氏は、2024年7月17日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を1株当たり7,916円(2024年7月16日の当社株式の終値3,100円に対して155.35%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値2,920円に対して171.10%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,833円に対して179.42%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,794円に対して182.32%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の再提案を実施したとのことです。その後、2024年7月22日、当社より、当社保有の不動産における含み益に着目する少数株主は一定程度存在すると考えられ、その点を踏まえると、本公開買付価格として再提案した7,916円は当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないという判断に至ったとして、再検討の要請を受けたとのことです。これを受け、石井氏は、2024年7月26日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を1株当たり8,192円(2024年7月25日の当社株式の終値3,125円に対して162.14%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値3,016円に対して171.62%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,872円に対して185.24%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,819円に対して190.60%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の再提案を実施したとのことです。その後、2024年7月31日、当社より、当社保有の不動産における含み益に着目する少数株主は一定程度存在すると考えられ、その点を踏まえると、本公開買付価格として再提案した8,192円は当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないという判断に至ったとして、再検討の要請を受けたとのことです。これを受け、石井氏は、2024年8月5日、当社及び本特別委員会に対し、本公開買付価格を1株当たり8,364円(2024年8月2日の当社株式の終値2,921円に対して186.34%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値3,055円に対して173.78%、同過去3ヶ月間の終値の単純平均値2,896円に対して188.81%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値2,837円に対して194.82%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の最終提案を実施したとのことです。
その後、公開買付者は、2024年8月7日、当社から、正式な意思決定は当社取締役会決議で承認されるという前提の下、公開買付者の提案を応諾する旨の回答を受領したとのことです。
以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2024年8月8日、本公開買付価格を8,364円とし、本取引の一環として本公開買付けを開始することを決定したとのことです。
当社は、2024年3月5日に石井氏から本取引に関する協議・交渉の申入れを受けると共に、同日に本意向表明書の提出を受けました。その後、当社は本公開買付けがマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保すべく、2024年3月14日に、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券を、リーガル・アドバイザーとして岩田合同法律事務所を、それぞれ本特別委員会の承認を得られることを条件として選任し、同法律事務所から受けた本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定に関する留意点等についての法的助言を踏まえ、石井氏から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための社内における検討体制の構築を開始しました。
さらに、当社は、当社の少数株主の皆様の保護を目的として、本取引における公正性の担保、本取引の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の観点から本取引の公正性を担保する措置の一つとして、2024年3月14日開催の当社取締役会において、本特別委員会(なお、本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)を設置する旨を決議いたしました。本特別委員会は、2024年3月15日に、石井氏及び当社からの独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての野村證券の選任、並びにリーガル・アドバイザーとしての岩田合同法律事務所の選任をそれぞれ承認しております。また、2024年3月15日、本特別委員会は、本特別委員会の独自の第三者算定機関としてプルータスを選任いたしました。
上記体制の下、当社は、本申入書に記載された本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、また、本特別委員会との間で事前に交渉方針を相談・検討すると共に、石井氏及び公開買付者から本取引の条件についての提案を受けたときに具体的な提案金額や提案理由に関する意見や指示を受ける等、交渉上重要な局面における本特別委員会による意見、指示、要請等を受けて、野村證券及び岩田合同法律事務所の助言を受けながら、本取引の実行の是非及び取引条件に関して石井氏及び公開買付者との間で協議・交渉を行いました。
また、本公開買付価格については、当社は2024年4月8日に石井氏から本公開買付価格を6,908円とする本公開買付けを実施した上で、当社株式を非公開化する旨の提案を受けて以降、石井氏との間で協議・検討を重ねてまいりました。
具体的には、当社は、石井氏から、2024年4月8日に、本公開買付価格を1株当たり6,908円とする旨の提案を受け、2024年4月10日、石井氏に対して、本特別委員会の意見も踏まえ検討した結果、当該提案価格は、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券及び本特別委員会の第三者算定機関であるプルータスが行った事業計画等を基にした当社株式価値の計算結果を踏まえると、当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないことを理由に提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2024年4月15日、石井氏から本公開買付価格を1株当たり7,196円とする旨の再提案を受けました。これに対して、当社は、2024年4月16日、本特別委員会の意見も踏まえ検討した結果、当該提案価格は、引き続き、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券及び本特別委員会の第三者算定機関であるプルータスが行った事業計画等を基にした当社株式価値の計算結果を踏まえると、当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないことを理由に再度提案内容の再検討の要請を行いました。これを受け、石井氏は、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件について再検討を進めていたとのことですが、その後、石井氏に対して、当社が、当社の株主から、剰余金の配当を1株当たり金155円とすること等を第158期定時株主総会の目的事項とする株主提案を2024年4月22日付で受領した旨の伝達を行いました。当初より、石井氏は、本取引に係る取引条件の検討に際して、剰余金の配当に関する議案が当社の第158期定時株主総会に上程されないことを前提としていたものの、当社が当該株主提案を受領したことを受けて、改めて本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件等について検証する必要があると考えるに至ったことから、2024年4月22日に、当社及び本特別委員会に対して、口頭により、当初想定していた2024年5月上旬での本公開買付けの開始を延期したい旨連絡したとのことです。その後、当社の第158期定時株主総会が終結したことを踏まえて、当社は、2024年7月8日、石井氏から本公開買付価格を1株当たり7,628円とする旨の再提案を受けました。これに対して、当社は、2024年7月10日、本特別委員会の意見も踏まえ検討した結果、当該提案価格は、引き続き、当社のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券及び本特別委員会の第三者算定機関であるプルータスが行った事業計画等を基にした当社株式価値の計算結果を踏まえると、当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないことを理由に再度提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2024年7月17日、石井氏から本公開買付価格を1株当たり7,916円とする旨の再提案を受けました。これに対して、当社は、2024年7月22日、本特別委員会の意見も踏まえて検討した結果、当社保有の不動産における含み益に着目する少数株主は一定程度存在すると考えられ、その点を踏まえると、当該提案価格は、引き続き当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないことを理由に再度提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2024年7月26日、石井氏から本公開買付価格を1株当たり8,192円とする旨の再提案を受けました。これに対して、当社は、2024年7月31日、本特別委員会の意見も踏まえて検討した結果、当社保有の不動産における含み益に着目する少数株主は一定程度存在すると考えられ、その点を踏まえると、当該提案価格は、引き続き当社の少数株主にとって必ずしも十分な価格であるとは言えないことを理由に再度提案内容の再検討の要請を行いました。その後、当社は、2024年8月5日、石井氏から本公開買付価格を1株当たり8,364円とする旨の再提案を受けました。これに対して、当社は、2024年8月7日、本特別委員会の意見も踏まえて検討した結果、当該提案に応諾する旨の回答を行いました。
その結果、公開買付者と当社は、2024年8月7日に、本公開買付価格を8,364円とすることで合意に至りました。
さらに、当社は、リーガル・アドバイザーである岩田合同法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けると共に、本特別委員会から2024年8月8日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)。また、当社は、野村證券から、2024年8月7日付で当社株式に係る株式価値算定書(以下「当社算定書」といいます。)の提供も受けております(当社算定書の概要については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。)。また、本特別委員会は、プルータスから、2024年8月7日付で当社株式に係る株式価値算定書(以下「本特別委員会算定書」といいます。)の提供も受けております(本特別委員会算定書の概要については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。)。
その上で、当社は、リーガル・アドバイザーである岩田合同法律事務所から受けた法的助言及び第三者算定機関である野村證券から取得した当社算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。具体的には、以下のとおり、協議・検討を行っております。
当社は、タンク・プラントメーカーとして、日本のみならず、世界でも確固たる地位を築いてきたと考えているところ、昨今、当社のタンク事業については製品のコモディティ化が進み、価格競争に苛まれる中、なかなか差別化戦略を打ち出せずにおり、持続的成長を示せていないというのが実状になりつつあると考えております。しかし、現在、地球温暖化等の環境問題を背景として、国内外で化石燃料から、水素、アンモニア等の環境負荷の少ないエネルギーへの転換が進む中、当社は、カーボンニュートラル社会への移行、GX(グリーントランスフォーメーション)(注4)に向けて、燃料アンモニア用低温タンク等の提供を目指しております。また、特に自然災害のリスクが高いわが国において、津波や地震に耐えるレジリエントな設備(注5)の提供を行い、また、老朽化の進むエネルギーインフラを安全に維持管理するメンテナンス・ソリューションの提供などを着実に推進し、社業を通じた社会への貢献をより一層加速化していく観点から、当社の社会的な役割は今後益々大きくなってくると考えられます。
(注4) GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石エネルギーを中心とした現在の産業構造・社会構造を、クリーンエネルギー中心へ転換する取組みのことです。
(注5) レジリエントな設備とは、自然災害に強い設備のことです。
当社としては、上記のような事業環境等を踏まえ、当社の鉄構事業にとって、カーボンニュートラルの実現に向けた新エネルギー市場の拡大に伴う技術力の強化、プラント設備の老朽化及びエンジニアの減少に対する対応、自然災害に対する強靭なエネルギーインフラの整備等は大きなビジネスチャンスであり、今後、当社が安定的かつ継続的に企業価値を向上させるためには、短期的な業績変動に捉われることなく、迅速かつ柔軟な経営判断や機動的な戦略的投資を実施していくことが必要であると考えております。
また、石井氏及び公開買付者は、当社が安定的かつ継続的に企業価値を向上させるためには、こうした課題への対応が早急に求められる事業環境を背景に中長期的な目線で事業運営の舵取りを行うことが求められると考えているとのことですが、当社としても、この点につき同様の認識を有しており、当社にとって、短期的には財務的負担となる可能性がありながらも、中長期的に企業価値の向上に繋がる施策への戦略的投資を積極的かつ迅速に行うことにより、新たな成長基盤を構築する必要があること、及びそのために、適時に柔軟かつ迅速果敢に事業を再構築できる経営体制の構築が不可欠であると考えております。
具体的には、当社は、石井氏及び公開買付者から、協議・交渉の過程において、当社において、(a)新工法の開発や施工能力の強化に取り組むための積極的な研究開発、(b)他社との連携強化を通じた先端技術の取り込み、(c)人材の育成と最適な配置による企業競争力向上やコスト競争力の強化等の構造改革を実施することが必要と考えているとの伝達を受けており、当社としても、かかる施策の必要性について慎重に検討を行った結果、それらの施策は、実現可能な事業計画の策定及び研鑽を積むことが必須ではあるものの、方向性として当社の中長期的な企業価値向上のために積極的に推進していくべき施策であり、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいと考えております。
しかしながら、かかる取組みは、当社の今後の収益性に不確実性を伴い、短期的には、利益水準の低下、キャッシュ・フローの悪化及び有利子負債の増加等による財務状況の悪化を招来するリスクがあります。そのため、当社が上場を維持したままこれらの各施策を実行した場合には、株価の下落や配当の減少等、当社の株主の皆様に対して多大な悪影響を与えてしまう可能性があると考えております。他方で、上記のとおり、当社の置かれている事業環境等を踏まえますと、早急に抜本的な対応策を実施することが必要であると考えております。
このような状況下において、当社としては、当社の株主の皆様に対して発生する可能性がある上記の悪影響を回避しつつ、抜本的かつ機動的な経営戦略を実践し、中長期的な視点から当社の企業価値を向上させるためには、公開買付者によるマネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社株式を非公開化すると共に、当社の所有と経営を一致させ、公開買付者、取締役及び従業員が一丸となって各施策に迅速かつ果敢に取り組むことができる経営体制を構築することが必要であると考えております。加えて、当社株式の非公開化を行った場合には、コーポレートガバナンス・コード等への対応のために増加を続けていた上場維持コストを削減することができ、経営資源の更なる有効活用を図ることも可能になると考えております。
なお、当社が当社株式の非公開化を行った場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用や知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、当社は過去60年以上資本市場からの資金調達を行っておらず、今後も必要資金については金融機関からの借入れによる調達を想定しております。加えて、証券取引所への上場から70年以上が経過し、上場による当社のブランド力や取引先に対する信用力は凡そ確保できていると考えており、また当社の社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等は事業活動を通じて獲得できる部分もあるため、当社株式の非公開化のデメリットは限定的であると考えております。そのため、当社は、2024年8月8日開催の取締役会において、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。
当社は、このような協議・検討の過程において、本公開買付価格が、(a)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている野村證券による当社株式の算定結果のうち、市場株価平均法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っており、類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの上限を上回っていること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2024年8月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株価の終値2,933円に対して185.17%、2024年8月7日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,055円に対して173.78%、過去3ヶ月間の終値単純平均値2,896円に対して188.71%、過去6ヶ月間の終値単純平均値2,842円に対して194.30%のプレミアムがそれぞれ加算されており、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(以下「M&A指針」といいます。)を公表した2019年6月28日以降2024年8月7日までに公表され成立した非公開化を目的とするMBO事例、63件におけるプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して41.80%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.91%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して48.21%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して48.72%。小数点以下第三位を四捨五入。)を上回っていることから、合理的なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が取られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)本公開買付価格が、上記利益相反を解消するための措置が取られた上で、当社と石井氏及び公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、より具体的には、野村證券による当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や、岩田合同法律事務所による本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言等を踏まえ、かつ、本特別委員会による意見、指示、要請等を受けた上で石井氏及び公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、当初提示額(1株6,908円)よりも、1株当たり1,456円(21.08%)引き上げられた価格で提案された価格であること、(e)本公開買付価格が、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても妥当であると判断されていることから、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値向上に資するものであり、かつ本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当なものであると判断したため、2024年8月8日開催の取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明すると共に、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記の当社取締役会の決議の詳細については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」をご参照ください。
その後、上記のとおり本公開買付けは成立いたしましたが、公開買付者は、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することができなかったことから、当社は、本意見表明プレスリリースにおいてお知らせしておりましたとおり、公開買付者からの要請を受け、本日付の取締役会において、本臨時株主総会において株主の皆様にご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者のみとするために、下記「2.本株式併合の割合」に記載のとおり、本株式併合に係る議案を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
なお、2024年10月1日付の「臨時株主総会のための基準日設定に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社は、本臨時株主総会において議決権を行使することができる株主を確定するため、2024年10月17日を基準日と定め、同日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主をもって、その議決権を行使することができる株主とするべく、2024年10月2日に電子公告を行っております。
2.本株式併合の割合
当社株式について、860,000株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株未満の端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株に満たない端数につきましては、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を会社法第235条その他の関係法令の規定にしたがって売却し、その売却により得られた代金を端数が生じた株主の皆様に交付いたします。当該売却について、当社は、当社株式が2024年12月24日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性はほとんど期待できないこと、本株式併合が、当社株式を非公開化するために行われるものであり、かかる目的との関係では公開買付者が端数相当株式の買受人となるのが整合的であること、及び当社において自己株式数を増加させる必要も存しないことなどを踏まえて、当社は会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当該端数の合計数に相当する当社株式を公開買付者に売却することを予定しております。
この場合の売却価格につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である8,364円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。但し、裁判所の許可が得られない場合や端数調整が必要な場合等においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。
② 売却に係る株式を買い取る者となると見込まれる者の氏名又は名称
株式会社可成屋(公開買付者)
③ 売却に係る株式を買い取る者となると見込まれる者が売却に係る代金の支払いのための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
本意見表明プレスリリースに記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本公開買付けの決済の開始日の前営業日までに株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)から合計14,914,000千円を上限とした借入れ(以下「本買収ローン」といいます。)を受けると共に、当社の名誉会長である石井宏治氏から合計16,499,000千円を限度とする出資を受けることを予定しているところ、当社は、石井宏治氏からの出資に関する出資証明書及び三井住友銀行からの借入れに関する融資証明書を確認することによって公開買付者の資金確保の方法を確認しております。
また、公開買付者によれば、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払に支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、また今後発生する可能性も認識していないとのことです。したがって、当社は、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却代金の支払のための資金を確保する方法については相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、本株式併合の効力発生後、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の合計数に相当する当社株式の売却について、2025年1月上旬を目途に裁判所に許可を求める申立てを行うことを予定しています。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動しますが、同年1月下旬を目途に裁判所の許可を得て、2025年2月上旬を目途に公開買付者に売却し、その後、当該売却により得られた代金を株主の皆様に迅速かつ円滑に交付するための準備を行った上で、2025年3月下旬を目途に株主の皆様に端数相当株式の売却代金を交付することを見込んでおります。
当社は、本株式併合と同様にスクイーズアウト手続として行われる株式併合の他社事例における裁判所に許可を求める申立て、裁判所の許可の取得及び当該売却に係る代金を交付するために要する期間、当社のために当該売却に係る代金の交付を行う当社の株主名簿管理人との協議、並びに公開買付者による当該売却に係る代金の支払のための資金の準備状況及び確保手段を踏まえて、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われる見込みがあり、また、当該売却により得られた代金の株主への交付が行われる見込みがあるものと判断しております。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては、上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」の「① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由」に記載のとおり、当社は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合は、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である8,364円を乗じた金額に相当する金銭を各株主の皆様に交付することを予定しております。
また、本公開買付価格(8,364円)は、(a)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている野村證券による当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っており、類似会社比較法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っており、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの上限を上回っていること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2024年8月7日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株価の終値2,933円に対して185.17%、2024年8月7日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,055円に対して173.78%、過去3ヶ月間の終値単純平均値2,896円に対して188.71%、過去6ヶ月間の終値単純平均値2,842円に対して194.30%のプレミアムがそれぞれ加算されており、経済産業省がM&A指針を公表した2019年6月28日以降2024年8月7日までに公表され成立した非公開化を目的とするMBO事例、63件におけるプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して41.80%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.91%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して48.21%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して48.72%。小数点以下第三位を四捨五入。)を上回っていることから、合理的なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が取られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)本公開買付価格が、上記利益相反を解消するための措置が取られた上で、当社と石井氏及び公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、より具体的には、野村證券による当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や、岩田合同法律事務所による本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言等を踏まえ、かつ、本特別委員会による意見、指示、要請等を受けた上で石井氏及び公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、当初提示額(1株6,908円)よりも、1株当たり1,456円(21.08%)引き上げられた価格で提案された価格であること、(e)本公開買付価格が、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても妥当であると判断されていることから、当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
また、当社は、2024年8月8日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明すると共に、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をした後、2024年10月25日に至るまでの当社の業況を踏まえ、本取引に関する諸条件を改めて検討した結果、2024年10月25日開催の取締役会において、本取引に関する判断を変更すべき要因がないと判断いたしました。
以上のことから、当社は、本株式併合によって生じる端数の処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付け及び本株式併合がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反状態が生じ得ること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会における意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券に当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年8月7日付で当社算定書を取得しています。また、当社は、以下に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。なお、野村證券は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会において、野村證券の独立性に問題がないことが確認されています。野村證券の報酬は、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系により野村證券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。
野村證券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値を多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価平均法を用い、比較可能な類似上場会社が存在し、類似上場会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を用い、また、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行いました。
野村證券によれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
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市場株価平均法 |
2,842円~3,055円 |
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類似会社比較法 |
3,610円~7,946円 |
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DCF法 |
2,600円~8,268円 |
市場株価平均法においては、2024年8月7日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における基準日終値2,933円、直近5営業日の終値の単純平均値2,924円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,055円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値2,897円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値2,842円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は、2,842円から3,055円と算定しております。
類似会社比較法においては、当社グループの事業を、鉄構事業と不動産事業に分類して価値評価を行うサム・オブ・ザ・パーツ分析(以下「SOTP分析」といいます。)を実施しております。鉄構事業については、田辺工業株式会社、株式会社高田工業所、三菱化工機株式会社、木村化工機株式会社、レイズネクスト株式会社を相対的に類似する事業を手掛ける上場会社として選定しております。不動産事業については、株式会社長栄、アズマハウス株式会社、平和不動産株式会社、京阪神ビルディング株式会社、住友不動産株式会社、空港施設株式会社、イオンモール株式会社を相対的に類似する事業を手掛ける上場会社として選定しております。その上で、鉄構事業、不動産事業の両事業において、企業価値に対する営業利益の倍率、償却前営業利益(以下「EBITDA」といいます。)の倍率(以下「EBITDAマルチプル」といいます。)、時価総額に対する純利益の倍率及び修正簿価純資産の倍率を用いて当社株式の株式価値を算定しております。その結果、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,610円から7,946円と算定しております。
DCF法においては、当社が作成した2025年3月期から2027年3月期までの3期分の事業計画に基づく収益予測や投資計画等、合理的と考えられる前提を考慮した上で、当社が2025年3月期第2四半期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを基に、事業リスクに応じた一定の割引率で現在価値に割り戻して企業価値を評価し、さらに当社が保有する現金同等物等の価値を加算するなど財務上の一定の調整を行って、当社株式の株式価値を分析しております。割引率(加重平均資本コスト)は5.00%から6.00%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率モデル及びマルチプルモデルを採用し、永久成長率は-0.25%~0.25%、EBITDAマルチプルは4.5倍から6.5倍として当社株式の株式価値を算定しております。また、DCF法においても、SOTP分析を実施し、鉄構事業、不動産事業の財務予測ごとに価値評価を行っており、当社が作成した2025年3月期から2027年3月期までの3期分の事業計画に基づく収益予測及び投資計画等、合理的と考えられる前提を考慮した上で、当社が2025年3月期第2四半期以降に創出すると見込まれる各事業のフリー・キャッシュ・フローを基に、各事業の事業リスクに応じた一定の割引率で現在価値に割り戻して各事業の事業価値を評価し、その各事業価値を合算することで当社の事業価値を評価した上で、さらに当社が保有する現金同等物等の価値を加算するなど財務上の一定の調整を行って、当社株式の株式価値を分析しております。なお、割引率(加重平均資本コスト)は、鉄構事業では6.50%~7.00%、不動産事業では3.45%~3.75%を採用しており、継続価値の算定にあたっては鉄構事業、不動産事業の両事業において永久成長率モデル及びマルチプルモデルを採用し、永久成長率を鉄構事業では-0.25%~0.25%、不動産事業では-0.25%~0.25%、EBITDAマルチプルは鉄構事業では4.0倍から6.0倍、不動産事業では12.0倍から14.0倍として当社株式の株式価値を算定しております。その結果、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を2,600円から8,268円と算定しております。なお、当該事業計画は、石井氏及び公開買付者から独立した当社関係者による主導の下で作成されており、作成過程において公開買付者が関与した事実はございません。本特別委員会は、当社が本取引のために当該事業計画を作成するにあたり、事業計画案の内容及び重要な前提条件等について説明を受けると共に、最終的な当該事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしています。
野村證券がDCF法で算定の前提とした当社財務予測の具体的な数値は以下のとおりであり、大幅な増減益を見込んでいる事業年度はありません。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該財務予測には加味しておりません(注6)。
(単位:百万円)
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2025年3月期 (注7) |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
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売上高 |
9,145 |
12,240 |
13,350 |
|
営業利益 |
1,332 |
1,640 |
1,710 |
|
EBITDA |
1,565 |
1,989 |
2,092 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
▲118 |
430 |
408 |
(単位:百万円)
|
鉄構事業 |
2025年3月期 (注7) |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
|
売上高 |
7,805 |
10,400 |
11,500 |
|
営業利益 |
456 |
490 |
560 |
|
EBITDA |
480 |
566 |
667 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
▲920 |
▲616 |
▲646 |
(単位:百万円)
|
不動産事業 |
2025年3月期 (注7) |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
|
売上高 |
1,340 |
1,840 |
1,850 |
|
営業利益 |
876 |
1,150 |
1,150 |
|
EBITDA |
1,085 |
1,423 |
1,425 |
|
フリー・キャッシュ・フロー |
723 |
1,046 |
1,055 |
(注6) 野村證券は、株式価値の算定に際して、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則として採用し、採用したそれらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っていないとのことです。また、当社の資産又は負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)については、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。加えて、当社から提出された財務予測(利益計画及びその他の情報を含みます。)については当社の経営陣(但し、石井氏及び公開買付者から独立した者に限ります。以下同じです。)による主導の下で、当該情報提供時点で得られる最善の予測と判断に基づき、合理的に作成されたことを前提としているとのことです。
(注7) 2025年3月期に係る数値は、いずれも同事業年度第2四半期会計期間以降の2024年7月1日から2025年3月31日までの期間に係るものです。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定における公正性及び適正性を確保するために、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして岩田合同法律事務所から、2024年3月中旬以降、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。
なお、岩田合同法律事務所は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会において、岩田合同法律事務所の独立性に問題がないことが確認されております。同事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得
当社は、本公開買付けを含む本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当するものであり、構造的な利益相反の問題が存在するために、当社の少数株主の皆様の保護を目的として、本取引における本公開買付価格の公正性の担保、本取引の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の観点から本取引の公正性を担保する措置の一つとして、意思決定の恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性のある意思決定過程を確立するため、石井氏及び当社から独立し、高度の識見を有すると考えている河村博氏(当社独立社外取締役、監査等委員)、井本憲邦氏(元当社独立社外取締役、元監査等委員(2024年6月27日退任))及び當眞瑞代氏(当社独立社外取締役、監査等委員(監査等委員である取締役への就任は2024年6月27日))の3名によって構成される本特別委員会を設置することを、2024年3月14日の取締役会において決議いたしました(委員の互選により、本特別委員会の委員長として河村博氏が選定されております。)。河村博氏は当社の社外取締役であり、弁護士として法務に関する専門的な知見と経験を有することから、井本憲邦氏は、当時、当社の社外取締役であり、企業経営者としての豊富な経験や幅広い知見を有することから、當眞瑞代氏は当社の社外取締役であり、人事企画・総務・不動産部門において豊富な経験を有することから、それぞれ本特別委員会の委員に選定しております。
当社は、取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本取引の目的の正当性・妥当性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含みます。)、(b)本取引の取引条件の公正性・妥当性、(c)本取引に係る公正性、(d)本取引を行うことが当社の少数株主にとって不利益でないか、及び(e)上記(a)乃至(d)を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決定することの是非(以下、総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問しております。
また、当社取締役会は、本特別委員会を、当社取締役会から独立した合議体であると同時に、当社及び当社の少数株主の利益を図る立場に立って本諮問事項について検討・判断する組織として位置づけ、当社取締役会において本取引に係る意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定を行わないことを決議しております。さらに、本特別委員会に対しては、(ⅰ)当社が公開買付者との間で行う交渉の過程に実質的に関与する権限(必要に応じて、公開買付者との交渉方針に関して指示又は要請を行うこと、及び、自ら公開買付者と交渉を行うことを含む。)、(ⅱ)本取引に関して、必要に応じて、特別委員会が自らの財務若しくは法務等のアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社が負担する。)、又は、当社が選任するアドバイザーを指名若しくは承認(事後承認を含む。)し、専門的助言を求める権限、並びに(ⅲ)当社の役職員に対して、特別委員会への出席を要求し、また、諮問事項の検討及び判断に必要な情報の提供を要求する権限を付与することを決議しております。
そして、当社は、岩田合同法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補者の独立性及び適格性等についても確認を行い、石井氏からの独立性を有すること、及び本取引の成否に関して少数株主とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、本特別委員会の委員の選定をしております。なお、当社は、当初から上記の3氏を本特別委員会の委員として選任しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の各委員に対しては、固定報酬が支払われることとされており、本取引の成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
本特別委員会は、2024年3月15日より2024年8月8日まで合計14回開催され、本諮問事項について、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、慎重に検討及び協議を行いました。
具体的には、本特別委員会は、まず、2024年3月15日、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての野村證券、並びにリーガル・アドバイザーとしての岩田合同法律事務所について、石井氏及び当社からの独立性及び専門性に問題がないことを確認し、それぞれを当社のアドバイザーとして選任することを承認しております。また、本特別委員会は、必要に応じて当社のアドバイザー等から専門的助言を得ることとした上で、複数の第三者算定機関の候補者の独立性及び専門性・実績等を検討の上、2024年3月15日、プルータスを独自の第三者算定機関として選任いたしました。さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制についても、当社から説明を受けた上で、独立性の観点から問題がない旨も確認しております。
その上で、本特別委員会は、岩田合同法律事務所から、特別委員会の設置が求められる背景、特別委員会の役割等についての説明を受け、本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する意思決定にあたっての留意事項等についての法的助言を踏まえ、本取引における手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。
本特別委員会は、石井氏及び公開買付者並びに当社より提出された各検討資料その他必要な情報・資料等の収集及び検討を行うと共に、石井氏及び公開買付者に対して書面で質問し、回答を受けております。また、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券、リーガル・アドバイザーである岩田合同法律事務所と共に、石井氏及び公開買付者との面談によるヒアリング調査を行っています。これらによって、当社の経営環境・経営課題及びこれに対する石井氏及び公開買付者の認識の確認、本取引の内容、背景、意義・目的、メリット・デメリット、本取引後に検討している施策の内容、本取引及び当該施策が当社の企業価値に与える影響、石井氏及び公開買付者並びに当社が意思決定をするに至る経緯・検討経緯の妥当性その他本取引に関連する事項について、説明を受けると共に、本取引の目的や背景、本取引を行うことを必要と考える理由、本取引実施後の経営体制及び実施予定の施策等について質疑応答を行いました。また、本特別委員会は、当社の経営陣に対しても書面で質問し、回答を受けると共に、当社の経営陣との面談及びヒアリング調査を行って、当社の経営環境・経営課題、これに対する石井氏及び公開買付者の提案する本取引及び施策の意義、有効性等について確認し、質疑応答を行っています。さらに、本特別委員会は、事業計画について、石井氏及び公開買付者から独立した者による主導の下で作成されていることを確認すると共に、当社から重要な前提条件について説明を受け、最終的な事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について確認し、承認しております。その上で、野村證券及びプルータスから、当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受け、当該価値算定の前提等に関するヒアリング調査をしました。
また、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、2024年4月8日に石井氏から本公開買付価格を1株当たり6,908円とする提案を受領して以降、石井氏及び公開買付者と当社との間における本取引の条件に係る協議・交渉において、当社から本特別委員会に対して、その経緯及び内容等について適時に報告を行った上で、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券及び本特別委員会の第三者算定機関であるプルータスによる当社株式の株式価値の算定結果、石井氏及び公開買付者との交渉方針等を踏まえた助言、並びに岩田合同法律事務所からの本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を踏まえて、本公開買付価格についての検討を行い、交渉方針を当社に伝達する等、石井氏及び公開買付者との交渉過程に積極的に関与しております。
さらに、本特別委員会は、野村證券及び岩田合同法律事務所から、当社が公表又は提出予定の本意見表明プレスリリース及び意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の各ドラフト、並びに公開買付者が提出予定の本公開買付けに係る公開買付届出書のドラフトの内容について説明を受け、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しています。
本特別委員会は、以上のような経緯の下、本諮問事項について慎重に検討・協議した結果、2024年8月8日、当社の取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
(ⅰ)答申内容
ⅰ 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的の正当性・妥当性を有すると認められる。
ⅱ 本公開買付けにおける公開買付価格を含め、本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると考えられる。
ⅲ 本取引に係る手続の公正性は確保されていると考えられる。
ⅳ 本取引を行うことは当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる。
ⅴ 上記ⅰ乃至ⅳを踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決定することは、妥当であると考えられる。
(ⅱ)答申の理由
ⅰ 本取引の目的の正当性・妥当性
公開買付者によれば、本取引の目的は、当社が、当社の鉄構事業において抱える課題(カーボンニュートラルの実現に向けた新エネルギー市場の拡大に伴う技術力強化、プラント設備の老朽化及びエンジニアの減少への対応、自然災害に対して強靭なエネルギーインフラの整備等)の解決を図るための各種施策(具体的には、(A)新工法の開発や施工能力の強化に取り組むための積極的な研究開発、(B)他社との連携強化を通じた先端技術の取り込み、(C)人材の育成と、最適な配置による企業競争力向上やコスト競争力の強化等の構造改革)を十分に推進することを可能とすることで、当社グループの中長期的な企業価値の向上を実現することにあると理解される。
まず、(A)新工法の開発や施工能力の強化に取り組むための積極的な研究開発については、当社グループの鉄構事業においては、現在、業界として新エネルギー分野の燃料タンクの大型化が進んでいないという課題があり、その課題解決に向けた研究開発を今以上に加速させるべきであると考えられること、水素やアンモニアを貯蔵する燃料タンクの開発には、高度な技術を用いた研究開発が必要であると考えられること、社会全体において少子高齢化が進み、人材の確保が困難となる中、限られた人的リソースを有効活用するために業務フローの自動化を積極的に進め、業務効率化や施工能力を高めることも必要であり、主に、溶接作業や検査作業に関しては、自動化による業務効率化や安定した作業による施工能力の向上が見込めると考えられることの一方で、これらの取組みに対する一時的な先行投資により、当社グループの収益及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性は否定できないことに加え、研究開発には一定の時間を必要とすることから、当社が上場を維持したままかかる取組みを実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の株価が下落し、株式価値を毀損する可能性がある。この点に関しては、本取引により当社が非公開化されることで、上場している中では一定の制限があったこれらの取組みに対する一時的な先行投資や研究開発が可能となると考えられ、その結果、中長期的な観点では、付加価値の高いサービスの提供が可能となり、当社グループの売上及び収益の増加が実現できるものと考えられる。
次に、(B)他社との連携強化を通じた先端技術の取り込みについては、当社グループは、現在においても新エネルギー分野の燃料タンク受注に向けて他社との協業は行っているものの、今以上に他社との協業を深化させ、他社と連携しつつ新エネルギー分野の燃料タンクを開発することが、今後の需要拡大に対応するための手段であると考えられること、パートナーである外注業者(外注している製造業者やサブコン業者等)との連携を強化し、当社グループが保有する技術力や効率性のノウハウの共有を行うことが、先端技術を活用したサービス提供には必要であると考えられることの一方で、新エネルギーの生産及び需要の時期並びに規模は現状不透明であり、また、上記連携強化の取組みが成果を発揮するには一定の時間を必要とすることから、当社が上場を維持したままかかる取組みを実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の株価が下落し、株式価値を毀損する可能性がある。この点に関しては、本取引により当社が非公開化されることで、上場している中では一定の制限があったこれらの取組みが可能となると考えられ、その結果、中長期的な観点では、当社グループの売上及び収益の増加に寄与するものと考えられる。
最後に、(C)人材の育成と、最適な配置による企業競争力向上やコスト競争力の強化等の構造改革については、大型プロジェクトの全体を管理できる人材の採用・育成に注力し、人材育成のモデルを構築することや、事業の中長期的な競争力を強化するために、人材の最適配置を追求し、抜本的な組織構造の見直しを行うことが必要であると考えられる一方で、これらの取組みに対する一時的な先行投資により、当社グループの収益及びキャッシュ・フローの悪化を招く可能性は否定できないことに加え、人材育成のモデル構築や組織構造の見直しには一定の時間を必要とすることから、当社が上場を維持したままかかる取組みを実施した場合には、資本市場から十分な評価を得ることができず、当社株式の株価が下落し、株式価値を毀損する可能性がある。この点に関しては、本取引により当社が非公開化されることで、上場している中では一定の制限があったこれらの取組みが可能となると考えられる。その結果、中長期的な観点では、当社グループの人材強化による生産性の向上に繋がり、総合的な経営基盤の強化が実現できると考えられる。
上記のとおり、本取引の実行により当社が非公開化されることで、当社の抱える課題の解決を図るための各種施策が十分に推進され、当社グループの中長期的な企業価値の向上が実現されるというメリットがあると考えられることに加え、本取引の実行により当社が上場廃止することで、上場維持のために必要なコスト(上場会社に求められる管理体制の構築・維持に要する人件費その他の管理費、証券代行手数料、IR関連費用等)が削減されるメリットもあると考えられる。
その一方で、本取引により生じ得るデメリットとして、本取引により当社が上場廃止することに伴う資金又は資本調達や社会的信用力や人材採用力への影響が想定される。もっとも、まず、資金又は資本調達については、公開買付者によれば、エクイティ・ファイナンスの活用による資金調達の必要性は当面見込まれておらず、金融機関との長期的な取引により良好な関係を築けており、また、昨今の良好な資金調達環境を鑑みても、間接金融を通じて必要に応じた資金調達を行うことが想定されるとのことであるから、当社は、資本市場へのアクセスという上場会社としてのメリットを必ずしも享受する必要がない状況であると考えられる。加えて、社会的信用力や人材採用力については、公開買付者によれば、一定のブランド力や取引先に対する信用力は既に確保できているとのことであり、本取引により当社が上場廃止したとしても取引先や人材採用の面から見て悪影響は見込まれないと考えられる。その他本取引により生じ得るデメリットとして、本買収ローンにより当社の事業運営が重大な悪影響を受ける可能性が想定されるが、公開買付者によれば、公開買付者は、本買収ローンの調達及び返済については事業計画に織り込んだ上で、当社事業の成長性及び継続性の観点から問題ない水準での調達を予定しているとのことであり、また、当社の通常の事業活動や既存の余剰資産の売却により得られる金銭を原資とする配当金により本買収ローンの返済は十分に可能であるとのことであるから、本買収ローンにより当社の事業運営が重大な悪影響を受ける可能性が高いとはいえず、かかるデメリットが本取引の実行を妨げるほど重大なものとはいえないと評価できる。以上より、本取引による当社のデメリットについては、仮に存在するとしても、本取引の実行に当たり特段の支障にはならないと評価できる。
以上に加えて、公開買付者は、当社の従業員の取扱いについて当社の企業価値の維持・向上の観点から適切な方針を有しているといえ、本取引の実行後においてかかる方針が実行される限り、当社の企業価値の維持・向上に資するものであると評価できること、本取引と同様の効果を生じさせることが期待できる本取引以外の代替手段は想定されないと考えられることからすると、本公開買付けを含む本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は正当性・妥当性を有すると認められる。
ⅱ 本取引の取引条件の公正性・妥当性
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うに当たり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、当社算定書を取得した。本公開買付価格の公正性・妥当性の前提として、当社算定書の信頼性について検討すると、まず、野村證券は、市場株価平均法、類似会社比較法及びDCF法を用いて、当社株式の株式価値の算定を行っているところ、各算定方法はいずれも一般的な算定方法と認められる。また、野村證券がそれぞれの算定方法を採用した理由についても、不合理な点は認められない。この点、当社算定書は、当社の株価算定において純資産法を採用していないものの、本取引は当社の収益基盤・事業基盤を強化して当社の中長期的な企業価値の向上を目指すものであり、当社は保有する不動産等の売却を予定していないから、当社株式の株式価値算定において純資産法を採用していないことを、不合理であると評価することはできない。当該各算定方法に基づく算定結果は、経験豊富な第三者算定機関である野村證券により算定されたものであり、当社株式1株当たりの株式価値の算定結果にも不合理な点は認められない。さらに、上記算定方法及びその結果の前提となる財務予測や前提条件等についても、いずれも不合理な点は認められない。なお、DCF法による株式価値算定の前提とされている事業計画は、石井氏及び公開買付者から独立した当社関係者による主導の下で作成されており、作成過程において石井氏及び公開買付者が関与した事実はないところ、本特別委員会は、当社が本取引のために当該事業計画を作成するにあたり、事業計画案の内容及び重要な前提条件等について説明を受けると共に、最終的な当該事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしている。以上より、当社算定書には信頼性が認められると評価できる。
本公開買付価格である8,364円は、信頼性の認められる当社算定書における市場株価平均法による算定結果のレンジの上限を上回っており、同書における類似会社比較法による算定結果のレンジの上限を上回っており、また、同書におけるDCF法による算定結果のレンジの上限を上回っていることからすれば、本公開買付価格は当社算定書における株式価値算定の結果との関係で妥当な範囲内にあると評価できる。
加えて、本特別委員会は、本諮問事項について検討するに当たり、公開買付者から提示された本公開買付価格に係る取引条件の妥当性を確保するために、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関であるプルータスに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、本特別委員会算定書を取得した。
本公開買付価格の公正性・妥当性の前提として、本特別委員会算定書の信頼性について検討すると、まず、プルータスは、市場株価法及びDCF法を用いて、当社株式の株式価値の算定を行っているところ、各算定方法は、いずれも一般的な算定方法と認められる。また、プルータスがそれぞれの算定方法を採用した理由についても、不合理な点は認められない。この点、本特別委員会算定書は、当社の株価算定において純資産法を採用していないものの、本取引は当社の収益基盤・事業基盤を強化して当社の中長期的な企業価値の向上を目指すものであり、当社は保有する不動産等の売却を予定していないから、当社株式の株式価値算定において純資産法を採用していないことを、不合理であると評価することはできない。当該各算定方法に基づく算定結果は、経験豊富な第三者算定機関であるプルータスにより算定されたものであり、当社株式1株当たりの株式価値の算定結果にも不合理な点は認められない。さらに、上記算定方法及びその結果の前提となる財務予測や前提条件等についても、いずれも不合理な点は認められない。以上より、本特別委員会算定書には信頼性が認められると評価できる。
本公開買付価格である8,364円は、信頼性の認められる本特別委員会算定書における市場株価法による算定結果のレンジの上限を上回っており、また、同書におけるDCF法による算定結果のレンジの上限を上回っていることからすれば、本公開買付価格は本特別委員会算定書における株式価値算定の結果との関係で妥当な範囲内にあると評価できる。
また、本公開買付価格のプレミアム水準は、経済産業省がM&A指針を公表した2019年6月28日以降、2024年8月7日までに公表され成立した非公開化を目的とするMBO事例63件におけるプレミアム水準の平均値(野村證券によれば、本公開買付けの公表日の前営業日の株価に対して41.80%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して44.91%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して48.21%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して48.72%とのことである。)を上回る水準のプレミアムが確保されていることからすれば、本公開買付価格は、本取引の実行によって当社に実現される株式価値が相当程度反映されたものであると評価できる。
そして、本公開買付価格については、2024年4月8日以降、当社と石井氏及び公開買付者との間で複数回にわたり協議及び交渉が重ねられた。本特別委員会は、当社からかかる当社と石井氏及び公開買付者との間の協議及び交渉状況について逐次報告を受け、本特別委員会としての意見を表明するなどしており、本特別委員会として本公開買付価格に係る交渉過程に実質的に関与している。以上の本取引に係る交渉経過等において、透明性や公正性を疑わせるような事情も認められず、本公開買付価格は、本特別委員会が実質的に関与した上で実施された当社と石井氏及び公開買付者との間の再三に亘る協議・交渉の結果として提案された価格であると共に、当初提案額(当社株式1株につき、6,908円)から8,364円と大幅に増額されたものであって、真摯な交渉によって決定された価格であると評価できる。
以上より、本公開買付けにおける公開買付価格の公正性・妥当性は確保されていると評価することができる。
また、本取引に係る本公開買付価格以外の取引条件としても、本取引のスキームは、前記のとおり本取引と同様の効果を生じさせることが期待できる本取引以外の代替手段は想定されないことに鑑みても、また、当社の少数株主にとって適切な投資回収の機会を与えるという意味からも、合理的なものであると評価できる。そして、公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日と設定する予定とのことであること、公開買付者及び当社は、当社が当社株式について公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っていないこと等を踏まえると、対抗的な買付け等の機会が確保されているといえ、本取引における間接的なマーケット・チェックは相応に機能するものと評価できる。
加えて、公開買付者は、本公開買付けにおいて、2,319,400株(所有割合:66.67%)を買付予定数の下限として設定しており、これは公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式の数に係る議決権の数の過半数に相当する株式数、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を上回るものとなるため、上記下限の設定は、実質的にマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限の設定として、本取引に係る手続の公正性を確保するものであり、公正性担保措置として有効に機能していると評価できる。
さらに、本取引では、公開買付者が当社株式の全てを取得することが前提とされており、当社の株主に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用されないこと、また、少数株主が本公開買付け又は本公開買付けの成立後に行われる当社の株主を公開買付者とするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」という。)のいずれによって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることが本意見表明プレスリリース及び本意見表明報告書を始めとする開示資料において明らかにされる予定であることを踏まえれば、本取引において強圧性は排除されていると認められる。
その他、本取引に係る本公開買付価格以外の条件についても、同種・同規模の取引条件と比較して不合理なものではないと考えられ、取引条件が公正性・妥当性を欠くものとは認められない。
以上より、本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると考えられる。
ⅲ 本取引に係る手続の公正性
当社は、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、石井氏と当社又は当社の少数株主との間には構造的な利益相反及び情報の非対称性の問題が存することに鑑み、本取引の公正性を担保し、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の利益の確保を目的として、2024年3月14日開催の当社取締役会の決議に基づき、本特別委員会を設置した。本特別委員会は、M&A指針において特別委員として最も適任であるとされている社外取締役3名(うち2名は監査等委員でもある)という構成で設置されており(但し、設置後、井本憲邦氏は同年6月27日付で当社の独立社外取締役・監査等委員を退任し、當眞瑞代氏は同日付で当社の監査等委員である取締役に就任した。)、本特別委員会の委員はいずれも石井氏及び当社から独立している。
以上に加え、当社は、本特別委員会の設置を決議した取締役会において、本特別委員会に対して本諮問事項に対する答申を依頼すると共に、(ⅰ)本取引に係る当社取締役会の意思決定については本特別委員会の答申内容を最大限尊重して行うこと、及び、(ⅱ)本特別委員会が本取引の実施又は取引条件が妥当でないと判断した場合には、本公開買付けに賛同しないことを決議した。さらに、本特別委員会は、当社取締役会から、(a)当社が公開買付者との間で行う交渉の過程に実質的に関与する権限(必要に応じて、公開買付者との交渉方針に関して指示又は要請を行うこと、及び、自ら公開買付者と交渉を行うことを含む。)、(b)本取引に関して、必要に応じて、本特別委員会が自ら財務若しくは法務等のアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社が負担する。)、又は、当社が選任するアドバイザーを指名若しくは承認(事後承認を含む。)し、専門的助言を求める権限、並びに、(c)当社の役職員に対して、本特別委員会への出席を要求し、また、本諮問事項の検討及び判断に必要な情報の提供を要求する権限の各権限を付与されている。
したがって、本特別委員会は、特別委員として適格な者により構成され、適切な判断をすることが可能な設計とされており、かつ、当社における本取引に関する意思決定に実質的に関与できる機会が確保されているといえる上に、実際にも、本特別委員会における審議は慎重かつ適切に行われており、本特別委員会として本取引の交渉過程に実質的に関与していたものといえることから、本特別委員会の設置及び審議等については、本取引に係る手続の公正性を確保するものであり、公正性担保措置として有効に機能していると評価できる。
本公開買付けにおいて、当社は、岩田合同法律事務所から受けた法的助言及び野村證券から受けた財務的見地からの助言並びに野村證券から提出を受けた当社算定書の内容を踏まえつつ、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討を行っているとのことである。
当社は、石井氏による当社に対するデュー・ディリジェンスへの対応、事業計画の検討及び作成、本取引後の当社の経営方針の検討といった当社における本取引の検討、交渉及び判断に関しては、公開買付者の代表取締役社長である石井氏及び公開買付者の事務手続を補助する立場にある当社従業員1名を関与させないこととした上で、石井氏及び公開買付者からの独立性の認められる役職員のみからなる検討体制を構築し、本特別委員会と共に、当社と石井氏及び公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程、及び当社株式の価値評価の基礎となる当社の事業計画の作成過程に専属的に関与しており、本公開買付けの公表日までかかる取扱いを継続しているとのことである。
以上より、当社は、石井氏及び公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を構築しているものといえ、かかる体制は、本取引に係る手続の公正性を確保するものであり、公正性担保措置として有効に機能していると評価できる。
当社は、本取引に関して、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券を、本特別委員会独自の第三者算定機関としてプルータスを、リーガル・アドバイザーとして岩田合同法律事務所をそれぞれ選任し、本取引の諸手続や本公開買付価格を含む本取引の条件等の公正性・妥当性を確保するため、当社及び本特別委員会は必要かつ十分な助言等を得ている。また、いずれも公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有していない。なお、本取引に係る野村證券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれているが、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと認められる。また、本取引に係るプルータス及び岩田合同法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれていないことから、かかる報酬体系がプルータス及び岩田合同法律事務所の独立性の判断等に影響を与えるものではないと考えられる。
したがって、野村證券、プルータス及び岩田合同法律事務所の選任及び承認並びにこれらによる助言等は、本取引に係る手続の公正性を確保するものであり、公正性担保措置として有効に機能していると評価できる。
本取引では、公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日と設定する予定とのことであり、また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っていないとのことである。これらの措置等を踏まえると、対抗的な買付け等の機会が確保されているといえ、本取引における間接的なマーケット・チェックは相応に機能するものと評価できる。
以上に加え、本取引では、当社の少数株主が本取引について評価・判断するに当たり、適切な情報が提供される予定であると認められることや、公開買付者は、本公開買付けにおいて、2,319,400株(所有割合:66.67%)を買付予定数の下限として設定しており、これは公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式の数に係る議決権の数の過半数に相当する株式数、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を上回るものとなるため、上記下限の設定は、実質的にマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限の設定として、本取引に係る手続の公正性を確保するものであり、公正性担保措置として有効に機能していると評価できること、本取引では、公開買付者が当社株式の全てを取得することが前提とされており、当社の株主に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用されず、また、少数株主が本公開買付け又は本公開買付けの成立後に行われる本スクイーズアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることが本意見表明プレスリリース及び本意見表明報告書を始めとする開示資料において明らかにされる予定であることを踏まえれば、本取引において強圧性は排除されていることが認められる。
本取引においては、以上の各公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続の公正性は確保されていると考えられる。
ⅳ 本取引を行うことが当社の少数株主にとって不利益でないか
前記のとおり、①本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は正当性・妥当性を有すると認められること、②本公開買付けにおける公開買付価格を含め、本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると考えられること、③本取引に係る手続の公正性は確保されていると考えられることからすると、本取引を行うことは当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる。
ⅴ 当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決定することの是非
前記のとおり、①本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は正当性・妥当性を有すると認められること、②本公開買付けにおける公開買付価格を含め、本取引の取引条件の公正性・妥当性は確保されていると考えられること、③本取引に係る手続の公正性は確保されていると考えられること、④本取引を行うことは当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられることからすると、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決定することは妥当であると考えられる。
④ 特別委員会における独立した独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
本特別委員会は、本諮問事項について検討するにあたり、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の妥当性を確保するために、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関としてプルータスに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年8月7日付で本特別委員会算定書を取得しています。また、本特別委員会は、以下に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、プルータスから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。当社取締役会は、2024年8月8日付で本特別委員会から本答申書の提出を受けた際、併せて本特別委員会算定書の提出を受けており、本特別委員会算定書の内容も踏まえて、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認」に記載の決議を実施しました。なお、プルータスは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
また、本特別委員会において、プルータスの独立性に問題がないことが確認されています。上記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、複数の第三者算定機関の候補者の独立性及び専門性・実績等を検討の上、プルータスを独自の第三者算定機関として選任しております。また、本取引に係るプルータスの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
プルータスは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、本特別委員会はプルータスから2024年8月7日に本特別委員会算定書を取得しました。
本特別委員会算定書によると、上記各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:2,842円から3,055円
DCF法 :7,666円から8,108円
市場株価法では、基準日を2024年8月7日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値2,933円、直近1ヶ月間の終値の単純平均値3,055円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値2,897円、直近6ヶ月間の終値の単純平均値2,842円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を2,842円から3,055円までと算定しております。
DCF法では、不動産事業については主として鑑定評価額に依拠しつつ、個々の物件の時価を積算することにより評価し、鉄構事業については当社がプルータスに提供した当社の2025年3月期から2027年3月期までの事業計画を基にした鉄構事業に関する財務予測、直近までの業績の動向に基づき、当社が生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて計算した上で、当社の企業価値や株式価値を計算し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を7,666円から8,108円までと算定しております。なお、鉄構事業の算定に用いた割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、5.5%~7.3%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、永久成長率は0%として算定しております。
プルータスが、DCF法の算定の前提とした当社の鉄構事業に基づく財務予測は、以下のとおりです。なお、プルータスがDCF法による算定に用いた当社作成の事業計画については、大幅な増減益を見込んでいる事業年度はありません。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味されておりません。
(単位:百万円)
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2025年3月期 |
2026年3月期 |
2027年3月期 |
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売上高 |
9,800 |
10,400 |
11,500 |
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営業利益 |
300 |
490 |
560 |
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EBITDA |
222 |
452 |
554 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
▲1,643 |
▲751 |
▲789 |
プルータスは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による主導の下で、現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。なお、上記の事業計画は、石井氏及び公開買付者から独立した当社関係者による主導の下で作成されており、作成過程において公開買付者が関与した事実はございません。本特別委員会は、当社が本取引のために当該事業計画を作成するにあたり、事業計画案の内容及び重要な前提条件等について説明を受けると共に、最終的な当該事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしています。
⑤ 当社における独立した検討体制の構築
上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、2024年3月に、構造的な利益相反の問題を排除し、当社の少数株主の皆様の利益を確保する観点から、石井氏から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、岩田合同法律事務所の助言を踏まえ、2024年3月5日に石井氏から本取引に関する協議・交渉の申入れを受けた時以降、本取引に係る検討、交渉及び判断の過程に、公開買付者の代表取締役社長である石井氏及び公開買付者の事務手続を補助する立場にある当社従業員1名を関与させないこととした上で、石井氏及び公開買付者からの独立性の認められる役職員のみからなる検討体制を構築し、本特別委員会と共に、当社と石井氏及び公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程、及び当社株式の価値評価の基礎となる当社の事業計画の作成過程に専属的に関与しており、本公開買付けの公表日までかかる取扱いを継続しております。
上記体制の下、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、リーガル・アドバイザーである岩田合同法律事務所から受けた法的助言並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券から取得した当社算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。当社は、「1.本株式併合の目的」に記載の検討を行った結果、本取引が当社の企業価値向上に資するものであり、かつ本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当なものであると判断いたしました。
⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
当社は、野村證券から受けた財務的見地からの助言及び野村證券から取得した当社算定書、岩田合同法律事務所から得た法的助言、石井氏及び公開買付者との間で実施した、上記「1.本株式併合の目的」記載の複数回にわたる継続的な協議の内容及びその他の関連資料を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、並びに本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものであるかについて、慎重に協議・検討をいたしました。
その結果、当社は、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、2024年8月8日開催の取締役会において、当社の事業環境及び業績等を踏まえると、石井氏及び公開買付者の提案する新工法の開発や施工能力の強化に取り組むための積極的な研究開発、他社との連携強化を通じた先端技術の取り込み、人材の育成と最適な配置による企業競争力向上やコスト競争力の強化等の構造改革といった各施策の実行を通じた経営改革を行うことで、当社の経営基盤の強化・安定、売上及び利益の増加、新たな収益機会の拡大、並びに当社の収益力の向上が可能になり、その結果として当社の企業価値向上に資すると考えられ、かかる施策の実施には機動的かつ柔軟な経営体制の構築が望ましいことから、本取引が当社の企業価値向上に資するものであると共に、当社算定書の算定結果、本公開買付価格のプレミアム水準、石井氏及び公開買付者との交渉過程並びに本公開買付価格の決定プロセス等に照らし、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明すると共に、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計6名のうち、石井氏を除く取締役5名)の全員一致で決議いたしました。
上記の取締役会においては、当社の代表取締役社長である石井氏は、公開買付者の代表取締役であり本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定していることから、本取引において特別の利害関係を有しており、当社との間で利益が相反する可能性があることから、審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉には一切参加しておりません。
⑦ マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)に相当する数を上回る買付予定数の下限の設定
公開買付者は、本公開買付けにおいて2,319,400株(所有割合:66.67%)を買付予定数の下限として設定しており、応募株券等の総数が買付予定数の下限(2,319,400株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。上記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、当該株式数は、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式に係る議決権の数の過半数に相当する株式数、すなわち、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を上回る株式数となるとのことです。これにより、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株式に係る議決権の数の過半数に相当する株式数の応募が得られない場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしているとのことです。
⑧ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しております。公開買付期間を法令に定められた最短期間よりも長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保すると共に、対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
4.本株式併合がその効力を生ずる日
2024年12月26日(予定)
以上