文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、下記を経営理念としております。
永 永続的な発展を使命とする
徳 自利利他の精神をもって事を為す
環 社会との繋がりを大切にする
この経営理念の基に、「"つなぐ未来を創造する" 私たちの使命は真の価値を生み出し 必要とされる企業グループで在り続けることです」とする企業理念を掲げ、事業ビジョンである「世界の人とモノをつなぐ物流インフラプラットフォームとしてNO.1企業グループ」に基づき、物流を支えるすべてのサービスの基盤となる、社会へ貢献し続ける企業グループへの成長を目指してまいります。
(2)経営環境
EC市場は堅調に拡大をしており、物流施設への旺盛な需要が継続しております。物流不動産の売買市場につきましても、引き続き好調で、纏まった面積を有する物流施設の開発用地は仕入れ競争が過熱しております。投資効率を優先するあまり、テナントの使い勝手を軽視した物流施設も散見されており、物流不動産の供給増と併せ、今後は物流施設の二極化が進むものと捉えております。
また、金利上昇に対する警戒感がJ-REIT全般に不透明感を与えております。現物不動産市況には、まだ影響を与えていないものの、不動産・J-REIT市場を今後も注視し、国内における投資を進めてまいります。
さらに、国内経済については、65歳以上の高齢者人口が総人口の3割に迫るなど少子高齢化の進展、生産年齢人口の減少及び都市部への人口集中継続による労働力不足や個人消費の低迷など将来への影響が懸念されております。また、新型コロナウイルス感染症流行の影響により停滞していた経済活動は、社会的抑制が緩和されたことで個人消費やインバウンド需要が回復し持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナや中東情勢等の地政学的リスク及び各国の金融政策の変更等により、依然として先行き不透明な状況にあります。今後も経営環境を取り巻く変化を注視し、必要な施策を講じていくことが重要であると考えております。
(3)経営戦略等及び対処すべき課題
当社グループは、2021年8月に第2次中期経営計画(2022年7月期~2026年7月期)を策定しております。当社グループは、本計画の達成を最重要課題と認識し、以下を主要な課題として取り組んでまいります。
①物流不動産領域の着実な成長
フロービジネスを成長ドライバーに、ストックビジネスの着実な成長を図ります。
イ.管理面積の拡大
不動産所有者への資産活用提案による新築物件の供給、新規物件の借り上げや取得及びプロパティマネジメント受託の推進により管理面積を増加させ、不動産管理収入・利益の拡大を図ります。
ロ.受託資産残高の拡大
従前の開発手法とともに、開発型ファンドの組成や他デベロッパーとの共同開発等の外部資本も活用し、開発の促進を図ります。加えて、投資家ニーズに応じた多様な金融商品を提供することにより、アセットマネジメント受託資産残高の拡大を図ります。
②新領域(海外事業・新規事業)の収益化
イ.海外事業
ベトナムでの倉庫開発などASEAN地域での不動産投資を拡大し、海外事業の収益化を図ります。
ロ.新規事業
資本及び業務提携を推進することにより事業領域を拡充し、既存事業や企業間のシナジー連携を通して収益化を図ります。
③持続可能な社会への取り組み
開発物件の脱炭素化、グリーンビル認証等の取得及びグリーンファイナンスの活用等により持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の達成貢献に向けて取り組んでまいります。
④成長を維持するための体制整備
イ.適切な財務コントロール
ネットD/Eレシオ2.5倍以下を目安にコントロールし、借入期間の最適化や調達資金の多様化を図ります。
ロ.成長を支える人材の育成
当社グループの業務には、専門的な知識やノウハウが必須であり、人材を最も重要な経営資源の一つと位置付けております。成長を支える人材を育成するため、階層別研修の導入、自己研鑽の促進、新卒採用、誰もが働きやすい環境の整備等に取り組んでまいります。
⑤継続的な株主還元の実施
当社は、配当と自己株式取得を合わせた総還元性向の目標を毎期30%を下限とし、50%を目標としております。また、安定した期末配当の継続に加え、自己株式取得または特別配当を通じた機動的な株主還元により、積極的な株主還元を実施してまいります。なお、期末配当については累進配当を行うことを目指します。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
当社グループは、2024年9月13日に2022年7月期から2026年7月期までの第2次中期経営計画における数値目標を修正し、2026年7月期までに事業利益100億円以上、最終年度ROE15%以上を数値目標としております。
※事業利益=営業利益+持分法投資損益+のれん償却費(連結子会社・持分法適用会社)+事業投資による損益
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
① サステナビリティ基本方針
当社のサステナビリティ基本方針は以下のとおりです。
<サステナビリティ基本方針> 経営理念「永・徳・環」に基づき、企業の社会的責任を果たします。
私たちCREグループの活動はすべて経営理念「永・徳・環」の考え方を基盤としています。
社会の発展のため、永続的に貢献していく姿勢を示す「永」、
他者と社会の利益を考えて行動する「徳」、
社会との繋がりを大切にし、循環する未来社会の創造を目指す「環」。
この経営理念に基づく事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが、私たちに期待されているサ
ステナビリティ(持続可能性への取り組み)と考えています。
CREグループでは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)を経営の重要事項と認識
し、事業活動を通じて物流不動産にかかわる社会的課題に真摯に取り組むことで、企業の社会的責任と常に向き
合い続け、グループの持続的な成長を目指してまいります。
② ガバナンス
当社では気候変動・環境への対応を経営上の重要課題と認識しております。その諸課題についてはサステナビリティ委員会がリスク・コンプライアンス委員会との連携のもと、気候変動に伴うリスクと機会の評価及び管理や目標達成に向けた対応、SDGs関連施策について年2回協議し、必要に応じて、取締役会へ報告いたします。取締役会は原則として業務執行で議論・承認されたTCFD/SDGs課題に関する取り組み施策の進捗を監督し、少なくとも年に1回以上、関連課題に関する事項を予定議題としております。
<サステナビリティ推進体制>
<サステナビリティマネジメント体制における会議体および役割>
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組織・会議体 |
役割 |
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取締役会 |
業務執行で議論・承認されたTCFD/SDGs課題に関する取り組み施策の進捗を監督いたします。 TCFD/SDGs課題に関する事項を少なくとも年に1回以上を予定議題としております。 |
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リスク・コンプライアンス委員会 |
メンバーは社長、常勤取締役及び監査等委員である取締役、経営企画本部長及び内部監査室長、弁護士、公認会計士等の外部有識者で委員会の決議により任命された者によって構成されております。 |
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サステナビリティ委員会 |
各メンバーは常勤取締役によって構成されております。 |
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各事業部門 |
各委員会で決議された事項について、各委員会と連携して対処いたします。 |
③ 戦略
当社は、事業活動を通じた社会課題の解決による持続的な社会発展への貢献という企業が本来有する社会的責任に対する認識をより一層深め、中長期的な企業価値向上を実現するため、サステナビリティに関する取組みをより一層強化してまいります。この一環として、各種ガイドライン(SDGsの17の目標および169のターゲット等)を踏まえ課題抽出を行い、マテリアリティ(重要課題)を特定し、優先して取り組んでいくテーマを明確化しました。CREグループはマテリアリティへの取組みを通じて、持続可能社会の実現に向けて貢献してまいります。なお、特定したマテリアリティについては、サステナビリティに関連する世界的な動向や業務の進捗等に合わせ適宜見直しを行い、効果的な取り組みを推進してまいります。
<特定したマテリアリティ>
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特定したマテリアリティ |
取り組み施策 |
関連するSDGs |
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サステナブルな環境の実現 |
・開発物件「ロジスクエア」への太陽光発電システムの導入を通じ100%再エネ化へ ・開発物件「ロジスクエア」の環境評価獲得:BELS、CASBEE ・開発物件「ロジスクエア」の設備:LED照明導入、井戸水活用、緑化推進等 ・CREロジスティクスファンド投資法人のGRESB登録への取り組み、グリーンファイナンスの実施 ・土壌汚染対策 |
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地域社会とともに発展・成長を実現 |
・歴史保存への協力(採掘への協力) ・倉庫開発による地域雇用の創出 ・福祉活動への参加 ・大学での講義(寄附講座):上智大学、明治大学 |
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多様な人材が活躍できる組織づくり |
・ダイバーシティの推進 ・働き方改革の推進 ・自己実現を重視した人材開発・人材育成 |
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コーポレート・ガバナンスを高め社会からの信頼を獲得 |
・コーポレート・ガバナンスへの対応 ・コンプライアンスの徹底・強化 ・リスクマネジメントの強化 |
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④ リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ体制構築のため、当社グループに経済的損失、事業の中断・中止、信用・ブランドイメージの失墜等をもたらし、当社の経営理念、経営目標、経営戦略の達成を阻害する様々なリスクに対して、最少かつ経常化されたコストで適切な対応を行うことにより、事業の継続と安定的発展を確保してまいります。当社グループは、事業遂行に関わる様々なリスクについて管理を行うとともに、全社的なリスク管理体制の整備を推進し、運用を評価するために、リスク・コンプライアンス委員会を設置しております。また、気候変動課題を含めたサステナビリティ全般に対応するため「サステナビリティ委員会」を設置しております。特に気候変動に伴うリスクは本部長会議及びリスク・コンプライアンス委員会と連携しながら、サステナビリティ委員会で識別し、評価を実施いたします。その後、各事業部門で管理(対応)し、本部長会議及びリスク・コンプライアンス委員会と連携しながらサステナビリティ委員会でモニタリングを実施いたします。
(2)気候変動
① ガバナンス
上記
② 戦略
当社は、2022年6月に、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づく情報開示を行っております。当社では、気候変動に伴うリスクと機会が財務を含む会社経営にどのような影響を及ぼすかを的確に把握すべく、シナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき1.5℃シナリオと4℃シナリオを定義し、2030年時点で事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価いたしました。また、2022年よりCDP(CARBON DISCLOSURE PROJECT)質問書への回答を開始するとともに、2023年より気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)へ参加いたしました。当社は気候変動への取り組みが、社会の持続的発展と当社の中長期的な企業価値の向上に資すると改めて認識するとともに、サステナビリティへの取り組みをより一層推進してまいります。
シナリオ群の定義
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設定シナリオ |
1.5℃シナリオ |
4℃シナリオ |
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世界観 |
日本政府により炭素税の導入等、厳しい気候変動対策が推進され、抜本的な社会変革が起こり、プラスチック規制や気候変動関連情報開示への対応が求められる。 一方で、洪水・浸水等、自然災害の被害は限定的なものにとどまる。 |
政府による、現行を上回る気候対策は実施されず、気候変動対応は求められない。 一方で、気温上昇の影響による渇水、洪水などの異常気象が顕在化し、拠点が被災、対応コストや被災時の回復費用が見込まれる。 |
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参照シナリオ |
IEA The Net-Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)/ IEA World Energy Outlook 2021/ IEA World Energy Outlook 2018/ IPCC AR6 SSP1-1.9 |
IEA World Energy Outlook 2021/ IEA World Energy Outlook 2018/ IPCC AR6 SSP5-8.5 |
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特徴 |
政策などに関連する移行リスクが顕在化しやすい。 |
異常気象などに関連する物理リスクが顕在化しやすい。 |
リスクと機会の特定及び評価
当社の物流投資事業および不動産管理事業を対象として、気候変動に関連する移行・物理リスクを精査し、当社事業への影響度を評価しました。移行リスクでは政策・法規制から市場の変化まで、物理リスクでは急性物理リスクと慢性物理リスクなど、さまざまな項目について検討を行いました。特に当社に影響度の大きいと判断したリスク・機会について対応してまいります。
対象範囲:国内物流投資事業、国内不動産管理事業
影響度
大:影響度は非常に大きい(売上高の29%以上)
中:影響度は大きい(売上高の17〜29%)
小:影響度はあるが限定的(売上高の17%未満)
特定したリスクと機会の一覧
当社で認識しているリスク・機会のうち、事業への影響度が「中」以上のものを記載しております。
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リスク・機会の種類 |
リスク・機会の内容 |
事業及び財務への影響 |
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1.5℃ |
4℃ |
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リスク |
移行リスク |
政策・法規制 |
炭素税の大幅引き上げにより、排出源単位の大きい原材料(鉄鋼、セメントなど)のコスト上昇 |
中 |
- |
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省エネ基準への適合の対象範囲の拡大や省エネ基準の引き上げがあった場合、開発物件のコスト増につながる恐れ |
中 |
- |
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市場 |
消極的なESG対応に対するステークホルダーの懸念に伴う投融資費の減少 |
中 |
中 |
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物理リスク |
急性 |
中長期的な気候変動影響を背景とした用地価格の変動により、用地取得競争の過熱と追加落札コストの発生 |
中 |
中 |
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豪雨の頻発や内水氾濫の発生によって物流施設の建設現場作業が中断し、工期遅延が発生 |
大 |
大 |
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異常気象による局地的な豪雨・豪雪・台風などの気象災害の発生により、サプライヤーの製造拠点が被災し、稼働停止となる場合や道路の寸断など、輸送経路に影響が出た結果、建設工期に支障が発生 |
大 |
大 |
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沿岸部での物流施設開発にあたり、海水面の上昇や高潮への対応策として盛土やBCP対応費用が上昇 |
中 |
中 |
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異常気象による局地的な豪雨・豪雪・台風・洪水などの気象災害の頻発により、雨水処理施設、構造計算などの設計基準が厳正化しコストが増加 |
中 |
中 |
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自然災害の発生によりオーナーの所有する倉庫が被災し、改修コスト発生にオーナーが対応できず、倉庫の所有を断念することで、管理物件が減少する可能性 |
大 |
大 |
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慢性 |
猛暑日に現場作業が困難となり、対策コストの増加や工期遅延が発生 |
中 |
中 |
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機会 |
移行機会 |
市場 |
環境性能の高い物流施設の需要が上がり、競争優位へ |
中 |
中 |
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モーダルシフトが進み、物流施設開発の機会が増加し需要が増加 |
中 |
中 |
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物理機会 |
急性 |
災害対応を強化した物流施設を開発することにより、競争優位性が確保でき、賃料収入の増加やテナントからの引き合いが増加 |
中 |
中 |
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財務影響金額一覧
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リスク・機会項目 |
事業インパクト |
定量化内容 |
2030年 ※異常気象による財務影響金額については2050年 |
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1.5℃ |
4℃ |
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炭素税 |
炭素税導入による税負担の増加 |
費用 |
約1,000万円 |
- |
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原油価格変動 (営業車) |
原油価格の変化に伴うガソリン価格の上昇による費用の増加/減少※1 |
費用 |
約△1,600万円 |
約600万円 |
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エネルギーミックス変化 |
エネルギーミックスの変化による電気代の増加/減少 |
費用 |
約60万円 |
約60万円 |
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異常気象 (浸水リスク) |
各営業所の操業停止による利益損失※2 |
売上 |
約△1,900万円 |
約△3,700万円 |
|
約△3億4,800万円(最大損失額) |
||||
※1 原油価格変動の項目に関して、国際情勢は加味せず、気候変動のみを要因とした価格変動を考慮し算定しております。
※2 1度被災した場合の最大の影響金額と、発生確率を考慮した影響金額の両方を考慮しております。
③ リスク管理
上記
④指標及び目標
当社は、気候変動関連リスク・機会の評価指標として、温室効果ガス排出量の算定を行なっております。2024年7月期はScope1にあたる「燃料の使用(CO2)」と、Scope2にあたる「他人から供給された電気の使用(CO2)」を算定対象としております。今後も温室効果ガス排出量の把握を継続し、対象範囲の拡大や、削減していくことができるよう、体制づくりと目標設定を進めてまいります。
<温室効果ガス排出量>
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年間排出量(t-CO2) |
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Scope1・2 合計 |
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Scope1 ※1 |
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Scope2 ※2 |
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※1 都市ガス、ガソリンの使用による排出量
※2 電力、熱の使用による排出量。電力の再生可能エネルギー属性を証明する「FIT非化石証書」利用後の温室効
果ガス排出量を記載しております。
算定期間:2023年8月~2024年7月 開示対象:国内単体 算定方法:マーケットベース
(注)1.算定の方法には、ロケーションベース(日本全体の排出平均原単位を使用して算定するもの)と
マーケットベース(電力会社ごとの排出原単位を使用して算定するもの)のうち、後者のマーケット
ベースを採用しております。
2.Scope2で使用した排出係数:電気事業者別排出係数 2022年度実績および2023年度実績
3.昨年までデータ取得困難だったために算定に含むことができていなかった空調の使用による排出につい
て、本年度より追加で算定し算定結果に含めております。
(3)人的資本
①ガバナンス
当社グループは「すべての社員が65歳までいきいきと働ける環境をつくる」という方針を全社員に示し、採用・教育・労務などで一貫した施策を遂行します。
②戦略
〈人材育成方針及び社内環境整備方針〉
当社の人材戦略において、以下の要点を重視しています。
・安全と健康の最優先: 社員一人ひとりの安全と心身の健康を最優先に考えます。
・挑戦意欲の高揚: 個人が自身の能力を最適に発揮し、課題の解決に向けた挑戦意欲を高めることを目指します。
・キャリア自立: 個人の成長とキャリア発展を支援し、自己実現を促進します。
・人権の尊重: 人権を尊重し、全ての社員が尊重される環境を促進します。
・ダイバーシティの推進: 年齢性別国籍を超えた様々な人材を尊重し、多様性を推進します。
・人材育成の推進: 人材育成を積極的に推進し、社員が成長できる機会を提供します。
これらの方針を実現するため、キャリア自立の概念を取り入れ、個人が自己実現し、経営人材育成にも焦点を当てた取り組みを行っており、多様な人材がやりがいを持って活躍できる環境や制度の整備に力を注いでいます。
〈具体的な取り組み〉
安全と健康の最優先: 社員一人ひとりの安全と心身の健康を最優先に考えます。
2018年より継続実施している組織診断サーベイをもとに、コアタイムなしのフレックスタイム制、リモートワークなどにより、働き方の選択肢を従業員に与えるとともに、健康診断で懸念のある社員には主治医を持つことを徹底推奨し、プライベートとのバランスとりやすい環境を提供します。
挑戦意欲の高揚: 個人が自身の能力を最適に発揮し、課題の解決に向けた挑戦意欲を高めることを目指します。
個人の目標がトップダウンで決まるのではなく、社員が自ら考え設定し上司のサポートを受けながらPDCAを繰り返す中に、期中の目標内容を繰り返し変更できるルールに改定しました。これにより期中の環境変化にも柔軟に対応しながら、個人のチャレンジを引き出すことを可能にする制度にしています。
キャリア自立: 個人の成長とキャリア発展を支援し、自己実現を促進します。
会社主導で行う定期異動を廃止し、社内公募制度を中心に異動を行います。これにより全ての社員にチャレンジの機会を提供し、シーアールイーおよびグループでの活躍を推進します。また、人事がキャリアの相談に乗ることにより、自身で考えることが難しい社員にもサポートをしています。
人権の尊重: 人権を尊重し、全ての社員が尊重される環境を促進します。
ハラスメントを中心に経営陣・管理職のさらなる理解促進を進めます。人事部主導で研修を実施しハラスメントが起こる原因や、防止策をマネジメント層から再認識の徹底を進めます。
ダイバーシティの推進: 年齢性別国籍を超えた様々な人材を尊重し、多様性を推進します。
海外事業部を中心に外国人材の採用の強化、ならびに女性管理職の増加、若年層の管理職登用など、組織を膠着状態にさせず、常に様々な価値観が飛び交い理解しあえる組織風土を構築します。
人材育成の推進: 人材育成を積極的に推進し、社員が成長できる機会を提供します。
座学と実践、ルールの整備が三位一体となって人が育ちやすい環境づくりを行います。
知識教育よりも意識改革に重点を置き、研修後、社員一人ひとりの“心がけ”に頼るのでなく、変化を起こしやすい制度(ルール整備や権限移譲)の整備を進めます。
③リスク管理
当社では、人的資本におけるリスクを以下のように設定し、それぞれに適切な対策をとれる体制を整えています。
離職リスク:優秀な従業員が退職するリスク
社員一人ひとりの職務満足を高めるために、業務難度とそれに見合った報酬の得られる制度を構築しています。同時に、各自のプライベートの事情に柔軟に対応できる人事制度により、会社と個人が長く良い関係を築けるように努めています。また、一人の優秀社員に依存しない業務体制や教育施策を部署ごとに講じることで、リスクの分散を図っています。
労働環境リスク:職場の安全や健康に関するリスク
産業医との連携を強化し、健康診断にて要再検査となった社員への産業医からの追跡の徹底と
健康を害している全社員には主治医を持つことを推奨し、社内外で健康をサポートできる体制を構築していま
す。
法的リスク: 労働法や規制に違反するリスク
ハラスメント・インサイダー取引・サイバーセキュリティの3分野を中心に、雇用形態に関係なくすべての社
員にEラーニングによる基本的な知識の定着を毎年行います。さらに強調して更新・注意喚起すべき事象が社
内外問わず起こった場合は、人事課と法務課が連携して社内での周知徹底を図ります。
④指標及び目標
当社グループでは、上記「②戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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連結子会社に関する指標は今後検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経済動向
当社グループは、主に物流施設の賃貸、管理、開発、仲介、投資助言及び運用を事業として営んでおり、金融政策や政治情勢の変化に起因する経済情勢の影響を受けております。そのため、経済情勢が悪化する局面では、空室率の上昇や賃貸収入等の減少、開発計画への影響、不動産投資意欲の低下等が予想されます。
当社グループでは、このような状況に備え、長期的かつ安定的な利益を確保できるよう、テナント企業を多様化させ、特定の業種・業態の業況の影響を受けにくくする等対策を進めております。しかしながら、経済情勢が著しく悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制
当社グループは、事業を運営するにあたって、主に、借地借家法、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、建築士法、都市計画法、国土利用計画法、金融商品取引法、個人情報の保護に関する法律等の規制を受けております。
当社グループは、主要な許認可を含め関係法令の遵守に努めており、当該許認可に関して、取消や行政処分等を受けたことはありません。しかしながら、今後、法令等の違反や不正等により許認可の取消や行政処分等を受け、当社グループの事業範囲が制限された場合、社会的信用が低下し顧客からの解約等が発生する可能性があります。
また、法的規制の改廃及び新設等により規制が強化された場合や、法的規制の解釈・運用が変化した場合、当社グループ事業範囲の制限、費用負担の増加が生じる可能性があります。
以上の結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)金利の上昇
当社グループは、開発資金及び運転資金を、主として、金融機関からの借入により調達しております。
当社グループでは、将来の金利変動によるリスク回避を目的として金利スワップ取引を行っておりますが、今後、経済情勢の変化により、金利水準の上昇や金融機関の融資圧縮等が生じた場合には、資金調達コストの増加や、調達資金が不足する恐れがあります。その結果、開発計画等の今後の事業展開に影響を及ぼすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)為替変動
当社グループは、タイ・ベトナム・インドネシアを中心に東南アジアにおいて事業を展開しております。外貨建て取引が増加していることから、為替レートの変動により、円換算での投資額・回収額等の変動が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)営業地域の集中
当社グループが不動産管理事業において賃貸・管理しているマスターリース物件は、主に首都圏(主に神奈川、千葉、埼玉、東京)に集中しております。
当社グループは、既存顧客及び不動産所有者との関係強化に加え、新規顧客の開拓、顧客の要望に沿った提案等により、事業の成長を図る方針でありますが、首都圏で経済情勢が悪化した場合や、当該地域において地震その他の災害が発生した場合、また、他社参入により当該地域における当社グループの優位性が低下した場合には、空室率の上昇及び賃料の下落が生じ、賃貸収入等が減少する恐れがあります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)未収賃料等の回収可能性
当社グループは、テナントとなる顧客と賃貸借契約を結ぶ際に、賃料及び原状回復費用等、当社グループへの一切の債務を担保するため、敷金又は保証金(以下、預り敷金等)をお預かりします。しかしながら、テナントが賃料を滞納し退去する場合に、未収賃料及び原状回復費用等が預り敷金等を超過し、テナントに当該超過金額の支払能力がなく、当社グループにて当該超過金額を回収できない場合があります。また、賃料を滞納しているテナントが退去に応じず、当社グループが建物明渡請求を提起した場合、明渡費用等が発生する可能性があります。
当社グループでは、入居時には与信調査を実施し、賃料延滞時には早期に対応する等、未収賃料等の発生回避のため対策を講じておりますが、上記のような事例が多数発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)不動産販売原価及び工事原価の上昇
当社グループは、主に首都圏において、物流施設の開発を進めておりますが、近年、物流不動産投資市場の活発化に伴い、東京周辺の土地価格が高騰しております。当社グループは採算性を重視しており、土地価格が高騰している局面において、収支計画に見合った価格で購入できない場合は、積極的な投資を控える方針であります。当社グループが望む価格や立地等の条件に合致する用地が確保できなかった場合、開発計画に影響を及ぼし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、原材料や人件費等が高騰した場合、当社グループの開発物件及び施工物件において、建設費の上昇を招く恐れがあります。このような状況において、売上価格に建設費上昇分を転嫁できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)販売用不動産の価値下落
当社グループは、物流投資事業において開発用地を取得する際、事前に調査を行った上で、開発計画を作成し検討しております。しかしながら、事業環境の変化や災害の発生等により、不動産価格が下落する可能性があります。その場合、想定していた価格での売却が困難になり、仕掛販売用不動産及び販売用不動産に係る、評価損又は売却損、売却利益の減少が生じる可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)引き渡し時期による業績変動
当社グループは、物流投資事業においては、開発物件を顧客に引き渡した時点で収益を認識しております。そのため、四半期毎の当社グループの業績は、物件の引き渡し時期により変調が生じる傾向があります。
当社グループでは、物流施設の開発プロジェクトにおいて、計画段階からリスクを洗い出し、スケジュール通りに顧客へ引き渡しができるよう、各工程のプロジェクト管理を徹底しておりますが、不測の事態により、引き渡し時期が期末を越えて遅延した場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)競合
当社グループは主に首都圏において物流施設の開発を進めておりますが、近年、大手不動産会社等の大型物流施設開発への参入や、電子商取引増加による需要拡大により、物流不動産投資市場が活発化しております。当社グループは、物流施設の規模や仕様等で競合他社との差別化を図っておりますが、競争環境が激化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)契約不適合責任
当社グループは、物流投資事業において当社グループが顧客に販売した物件及び不動産管理事業における建設工事において施工した物件に対して、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負っております。当社グループの開発物件及び施工物件において、重大な瑕疵が発見された場合には、その直接的な原因が当社グループによるものではなくても、当社グループが契約不適合責任を負うことがあります。その結果、当社に多額の経済的負担が発生したり、当社の社会的信用が低下したりした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(12)自然災害及び気候変動
当社グループが賃貸・管理及び開発を行っている物件が所在する地域において、地震や台風、噴火等の大規模な自然災害が発生した場合、点検や応急措置、建築現場の修復、支援活動等により多額の費用が発生する恐れがあります。
また、大規模な気候変動により、国内外の経済環境や社会環境の変化が発生した場合、不動産需要の低下、地価等の下落、個人消費の低迷等が起こる可能性があり、当社グループのマスターリース物件及び開発物件の価値が下落し、賃貸収入及び開発利益等の減少や、開発物件の完成・売却時期の遅延等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報管理
当社グループは、事業を運営するにあたり、顧客や不動産所有者等の情報を保有しております。これらの情報は、関連法令及びガイドラインに沿って漏洩防止策を講じるとともに、情報システムの管理を徹底することで情報セキュリティの維持・向上に努めております。しかしながら、これらの取り組みが及ばず、業務上の人為的ミスや故意による不法行為、災害などによるシステム障害、マルウェア感染や標的型攻撃などのサイバー攻撃などにより、万が一、外部漏洩、データの破壊や改ざん、サービスの停止などの被害等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下や損害賠償請求等による費用の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)訴訟
当社グループは、現時点において、業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。当社グループは、訴訟及びトラブル等の発生回避に努めておりますが、今後、訴訟その他の請求が発生する可能性があります。その場合、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)人材の確保
当社グループは、経営課題の克服及び今後の事業の発展のためには、優秀な人材が必要不可欠であると認識しております。したがって、人事制度の充実を図り、当社グループの経営理念や経営方針を理解した社員の育成に努めるとともに、必要に応じて、優秀な人材を採用する方針であります。
しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保できなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)M&A、資本提携等
当社グループは、事業領域拡大及び競争力の強化等を目的として、企業や事業の買収、資本提携等を行うことは、事業戦略上有効と認識しております。買収、資本提携等を行う際には、事前調査により最大限リスクを低減する努力をし、慎重に検討を重ねた上で決定する方針であります。しかしながら、買収、資本提携等を行った後に、偶発債務等が発見されたり、想定したシナジー効果や成果があげられなかったりした場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)財務制限条項
当社グループの一部の借入契約には財務制限条項が付されております。当社グループは、現時点において、当該条項に抵触する可能性は低いものと認識しておりますが、当該条項に抵触した場合には、当該借入金の返済義務が生じるとともに期限の利益を喪失し、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)リース会計
当社グループでは、不動産管理事業においてテナントへ賃貸している土地・建物は、不動産所有者から賃借しており、当該契約内容から相当程度はオペレーティング・リースとして処理を行っているため、一部を除き貸借対照表上には計上されておりません。しかしながら、今後、リース会計基準等の改正によりオペレーティング・リース対象資産・負債を計上することとなった場合には、資産及び負債に建物・土地の使用権相当額が計上されることとなります。その結果、当社グループの自己資本比率が現状から大きく低下する可能性や、リース資産の減損損失が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19)国際情勢
当社グループは、タイ・ベトナム・インドネシアを中心に東南アジアにおいて事業を展開しております。事業を展開する地域の選定においては、その地域が抱える政治的、軍事的、社会的事情等を総合的に勘案し、リスクを織り込んでの投資判断を行っておりますが、その地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりにより、政治体制の混乱、経済環境の変動等が生じた場合、当該地域で展開する当社グループの事業に対して直接的に影響を及ぼすおそれがあります。また、国際情勢の変化に伴う資源価格の高騰やその他事業環境の変化が生じることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)感染症の拡大
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症を含めた感染症に対し、感染予防対策の周知徹底やテレワークの導入等適切な行動抑制策や安全対策を実施し、当社グループの事業推進に影響を及ぼさないよう努めております。しかしながら、今後、新たな感染症の発現・拡大により経済情勢が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1.財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症流行の社会的抑制が緩和されたことで個人消費が回復し、またインバウンド需要の回復とあわせて持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナや中東情勢等の地政学的リスク及び各国の金融政策の変更等により、依然として先行き不透明な状況にあります。
EC市場は堅調に拡大をしており、物流施設への旺盛な需要が継続しております。物流不動産の売買市場につきましても、引き続き好調で、纏まった面積を有する物流施設の開発用地は仕入れ競争が過熱しております。投資効率を優先するあまり、テナントの使い勝手を軽視した物流施設も散見されており、物流不動産の供給増と併せ、今後は物流施設の二極化が進むものと捉えております。
また、金利上昇がJ-REIT全般に不透明感を与えております。現物不動産市況には、まだ影響を与えていないものの、不動産・J-REIT市場を今後も注視し、国内における投資を進めてまいります。
このような事業環境のもと、不動産管理事業セグメントでは、中小型倉庫のマスターリース事業の強化を継続的に進めております。オーナー、不動産仲介会社及び金融機関等との連携を強化し、既存の中小型倉庫の取得と土地の有効活用によるマスターリース付きの新築倉庫の建築提案を通じてマスターリース事業の面積の拡大を図ってまいります。
物流投資事業セグメントでは、今中期経営計画期間に売却予定の物件の総額は、コミットメント額である2,000億円を超え、2,100億円に達する見込みであり、次の中期経営計画である2027年7月期以降の売却案件の優良な開発素地の仕入れに注力しております。広島市が実施する「広島市中央卸売市場新中央市場整備事業」において、余剰地活用事業者として参画し、市場内余剰地において市場機能の活性化・効率化にも資する大型物流施設を開発していく予定です。物流投資事業は、キャピタルゲインを確保するだけでなく、アセットマネジメント事業及び不動産管理事業のストック収益基盤を拡大する成長ドライバーでもありますので、中期的な優良案件の獲得を目指してまいります。
アセットマネジメント事業セグメントでは、私募ファンドを運営する連結子会社のストラテジック・パートナーズ株式会社が、私募リート「CREインダストリアルアセット投資法人」(以下、「本投資法人」といいます。)を設立し、2024年6月5日に運用を開始しました。
当社グループは、2021年9月9日に「第2次中期経営計画」を発表し、さらなる成長のため、アセットマネジメント事業の施策の一つとして、「中・小型倉庫私募リートの組成」を掲げ準備を進めてまいりました。今般運用を開始いたしました本投資法人は、当社がマスターリース事業で特に強みを有する延床面積5,000㎡未満の中小型倉庫を中心とする産業用不動産を投資対象としており、当社がマスターリースする物件を組み入れることにより当社グループのストックビジネスの事業基盤の拡大に寄与すると同時に、企業規模にとらわれない幅広い業種からの賃借ニーズに応える中小型倉庫の受け皿を担うことで、日本の物流業界の発展を支えることを目的としております。
なお、本投資法人は、当社がマスターリースする18物件、資産規模約100億円で運用を開始し、ポートフォリオのバランスに配慮しつつ、3~5年後を目途に300億円程度への資産規模の成長を目指してまいります。
海外事業セグメントでは、インドネシアにおいて1号案件が2024年7月に竣工し、2号及び3号案件として、マルチ型物流施設の開発用地の売買契約を締結いたしました。ベトナムにおいては、開発を進めていた2案件で6棟が竣工し、ベトナムでの開発棟数は10棟、総賃貸面積は13万㎡になりました。経済成長の著しい東南アジアでの事業展開を今後も積極的に推進してまいります。
EC市場の拡大とは対比的にトラックドライバーは減少しております。国内生産年齢人口の減少に加え、物流業界における2024年問題と、物流を取り巻く環境は大きく変化しております。当社としましては、この事業環境の中、さらに付加価値の高いサービスを提供し、顧客の発展に貢献することを目指し、物流インフラプラットフォームの実現を事業ビジョンに掲げております。そのため、物流不動産に係るサービスに加え、物流施設内の管理システム及びロボティクス対応、配送マッチングプラットフォームや人材採用サポートなど、様々なソリューションを提供する企業グループへの成長を目指してまいります。
当連結会計年度の事業活動の結果、売上高66,901百万円(前年同期比28.3%増)、営業利益8,045百万円(前年同期比12.6%増)、経常利益6,816百万円(前年同期比1.8%増)、事業利益(注)8,250百万円(前年同期比2.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,341百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、持分法適用関連会社の損益及びM&Aに伴う償却を考慮し、経営判断の客観的指標として「事業利益」を導入いたしました。「事業利益」の算定方法は下記のとおりです。
(注)事業利益又は損失(△)=営業利益又は損失(△)+持分法投資損益+のれん償却費(連結子会社・持分法適用会社)+事業投資による損益
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、ストックビジネスとフロービジネスを明確にするため、また、海外ビジネスの事業の位置づけを明確にするため、報告セグメントを従来の「不動産管理事業」、「物流投資事業」及び「アセットマネジメント事業」の3区分から「不動産管理事業」、「物流投資事業」、「アセットマネジメント事業」及び「海外事業」の4区分に変更しております。また、持分法適用関連会社の損益を考慮し、報告セグメントごとの利益又は損失の算定方法を変更しております。変更後の報告セグメントごとの利益又は損失の算定方法は下記のとおりです。
セグメント利益又は損失(△)=営業利益又は損失(△)+持分法投資損益
前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分及び変更後の報告セグメントごとの利益又は損失の算定方法に基づき作成したものを開示しております。
①不動産管理事業
不動産管理事業につきましては、高稼働を維持しつつ収益性の向上を目指した結果、2024年7月末時点での管理面積は約202万坪となりました。マスターリース物件が前期に引き続き高い稼働率を維持したこと、管理面積が堅調に推移したことから、安定的に収益が計上されました。その結果、売上高は23,106百万円(前年同期比0.9%減)、セグメント利益は1,925百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
②物流投資事業
物流投資事業につきましては、当社開発物件である「ロジスクエア伊丹」、「ロジスクエア一宮」、「ロジスクエア厚木Ⅰ」、「ロジスクエア掛川」及び「ロジスクエア福岡小郡」を売却いたしました。その結果、売上高は39,723百万円(前年同期比58.1%増)、セグメント利益は6,610百万円(前年同期比15.6%増)となりました。
③アセットマネジメント事業
アセットマネジメント事業につきましては、CREロジスティクスファンド投資法人と私募ファンドの2024年7月末時点での受託資産残高は340,196百万円となりました。これにより、アセットマネジメントフィー等が順調に計上されたことに加え、「CREインダストリアルアセット投資法人」を組成したことによるアレンジメントフィー等を計上いたしました。その結果、売上高は1,644百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益は1,028百万円(前年同期比6.9%増)となりました。
④海外事業
海外事業につきましては、東南アジアで共同パートナーとともに開発物件の土地取得、リーシング及び建設を進めているところであり、売上高は42百万円(前年同期比16.1%増)、セグメント損失は374百万円(前年同期は100百万円のセグメント損失)となりました。
2.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、24,306百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,968百万円減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、977百万円の資金使用(前年同期比95.7%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,764百万円により資金が増加し、一方で前渡金の増加6,610百万円、法人税等の支払1,315百万円により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、2,696百万円の資金使用(前年同期比25.3%減)となりました。これは主に、関係会社貸付けによる支出1,772百万円、有価証券及び投資有価証券の取得による支出868百万円、有形固定資産の取得による支出86百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、301百万円の資金使用(前年同期は17,859百万円の資金獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出31,940百万円により資金が減少し、一方で長期借入れによる収入31,236百万円、短期借入れによる収入330百万円により資金が増加したことによるものであります。
3.生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループは、不動産管理事業、物流投資事業、アセットマネジメント事業、海外事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
②受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
不動産管理事業 |
1,559 |
113.5 |
518 |
85.2 |
(注)不動産管理事業の請負工事についてのみ記載しております。
③販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前年同期比(%) |
|
不動産管理事業 (百万円) |
23,106 |
△0.9 |
|
物流投資事業 (百万円) |
39,723 |
58.1 |
|
アセットマネジメント事業(百万円) |
1,644 |
7.4 |
|
海外事業 (百万円) |
42 |
16.1 |
|
その他 (百万円) |
2,384 |
11.4 |
|
合計(百万円) |
66,901 |
28.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比はそれぞれ前期の数値をセグメント変更後に組み替えて算出しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
CREロジスティクスファンド投資法人 |
23,850 |
45.7 |
- |
- |
|
リコーリース株式会社 |
- |
- |
19,993 |
29.9 |
|
エムエル・エステート株式会社 |
- |
- |
13,510 |
20.2 |
3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
2.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は111,141百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,483百万円増加いたしました。これは主に仕掛販売用不動産が21,420百万円、現金及び預金が3,966百万円、未収消費税等が2,071百万円減少した一方、販売用不動産が22,849百万円、前渡金が6,610百万円増加したことによるものであります。固定資産は31,396百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,245百万円増加いたしました。これは主に関係会社長期貸付金が2,013百万円、無形固定資産のその他が259百万円増加したことによるものであります。繰延資産は19百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円増加いたしました。これは社債発行費が7百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は142,557百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,735百万円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は39,373百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,015百万円増加いたしました。これは主に買掛金が3,571百万円減少した一方、1年内償還予定の社債が3,000百万円、1年内返済予定の長期借入金が2,745百万円、未払法人税等が1,293百万円、未払消費税等が276百万円、流動負債のその他が129百万円増加したことによるものであります。固定負債は62,012百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,974百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が2,542百万円、社債が1,000百万円減少した一方、受入敷金保証金が614百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は101,386百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,041百万円増加いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は41,170百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,693百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益4,341百万円の計上と配当金1,465百万円の支払に伴い利益剰余金が2,875百万円増加したことによるものであります。
②経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、66,901百万円(前年同期比28.3%増)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 1.財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、52,703百万円(前年同期比34.0%増)となりました。これは主に物流投資事業における不動産販売原価等を計上したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の売上総利益は14,198百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は6,152百万円(前年同期比8.1%増)となりました。これは主に事業規模の拡大に伴う人員増加により人件費等が増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の営業利益は8,045百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は36百万円となりました。主な内訳は、為替差益17百万円、還付加算金9百万円であります。また、当連結会計年度の営業外費用は1,265百万円となりました。主な内訳は、支払利息714百万円、支払手数料539百万円であります。この結果、当連結会計年度の経常利益は6,816百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は0百万円となりました。主な内訳は、固定資産売却益0百万円であります。また、当連結会計年度の特別損失は51百万円となりました。主な内訳は、減損損失37百万円、固定資産除却損8百万円であります。さらに、匿名組合損益分配額0百万円を計上した結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は6,764百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,341百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
なお、当社グループは、2022年7月期から2026年7月期までの第2次中期経営計画を策定し、2026年7月期までに事業利益100億円以上、最終年度ROE15%以上を数値目標としております。当連結会計年度の事業利益は8,250百万円、ROEは10.9%となりました。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 2.キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、物流投資事業における物件の取得及び開発の資金であります。資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入による資金調達等にて対応しております。当連結会計年度におきましては、総額32,266百万円を借入により調達いたしました。また、第2回無担保社債を発行し、総額2,000百万円の資金調達を行いました。結果、当連結会計年度末における有利子負債は総額78,141百万円(前連結会計年度末比2,136百万円増)となりました。
今後の資金需要におきましては、長期経営方針に基づき、ネットD/Eレシオを1.5倍から2.5倍を目安にコントロールし、借入期間の最適化と調達資金の多様化を推進してまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 1.財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(1)投資法人とのスポンサーサポート契約
当社は、2022年9月22日付でCREロジスティクスファンド投資法人(以下「本投資法人」という。)、当社の子会社であるCREリートアドバイザーズ株式会社及びストラテジック・パートナーズ株式会社とスポンサーサポート契約を締結いたしました。
当社グループと本投資法人が、相互のビジネスの拡大発展のための継続的協力関係を確立し、本投資法人の安定的かつ継続的な不動産等の取得機会を確保するため、当社グループが支援業務を提供することにより、相互のビジネスが拡大発展することを目的とするものであります。
本スポンサーサポート契約に係る契約の内容は次のとおりであります。
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相手方名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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CREロジスティクスファンド投資法人 |
スポンサーサポート契約書 |
①優先的物件情報の提供、優先交渉権の付与、売却物件情報の提供、ウェアハウジング機能の提供 ②土壌汚染に係る支援、リーシングサポート業務の提供、プロパティマネジメント業務の提供 ③保有資産の再開発等に関する支援、施設運営に関するアドバイザリー業務の提供 ④賃料固定型マスターリース契約の締結、保有資産の価値向上のための修繕・改築に関する支援 ⑤投資口の取得及び保有、商標の使用許諾 |
2022年9月から2032年9月まで (自動更新) |
(2)資本業務提携契約
①株式会社エンバイオ・ホールディングスとの資本業務提携契約
当社は、2015年10月13日付で株式会社エンバイオ・ホールディングス(以下、「EBH」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結し、同日付で同社の実施する第三者割当増資の引受けを行いましたが、2023年4月21日に当該契約の内容を見直し、新たに同名称の契約を締結し、2023年5月10日付で同社の実施する第三者割当増資の引受けを行いました。
本資本業務提携は、当社及びEBHの両社の経営資源を最大限活用、協業することにより、EBHが行う太陽光発電を中心とした国内外の自然エネルギー事業を拡大させ、環境配慮型企業グループとして両社の企業価値を向上させることを目的とするものであります。
本資本業務提携に係る契約の内容は次のとおりであります。
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相手方名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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株式会社エンバイオ・ホールディングス |
資本業務提携契約書 |
(EBHの役割) ・国内外の太陽光発電を中心とした自然エネルギー事業投資及びその運営
(当社の役割) ・EBHの太陽光発電事業のために、当社が開発する物流施設「ロジスクエア」の屋根の提供 ・自然エネルギー施設を投資対象とする投資ファンド組成・運営ノウハウの提供 |
― |
②ケネディクス株式会社との資本業務提携契約
当社は、2017年2月6日付でケネディクス株式会社との間で資本業務提携契約を締結し、2017年3月1日に同社からの第三者割当増資の払込みが完了しました。2021年10月4日に当該契約の内容を見直し、当該資本業務提携契約に関する変更合意書を締結いたしました。
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相手方名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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ケネディクス株式会社 |
資本業務提携契約 |
ケネディクス㈱と共同開発又は共同投資の検討を行うことにより当社物流投資事業における物流施設の開発件数や規模の拡大等 |
2024年3月から2025年2月まで (自動更新) |
該当事項はありません。