第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書の記載から重要な変更又は新たな発生はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)におけるわが国経済は、個人消費や輸出に一部足踏みが残るものの、企業の生産や設備投資については持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復が継続しています。雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、引き続き景気拡大が期待される一方、高い金利水準の継続などによる欧米における景気の下振れや、不安定な海外情勢によるエネルギー価格の高騰、物価上昇など、依然としてリスクに対し注視が必要な状況が続いています。

当社の事業領域である情報通信分野については、社会全体のデジタル化進展に伴い、あらゆる社会経済活動を支える最も基幹的なインフラとして、大規模自然災害やサイバーセキュリティの脅威・データ通信量の増大に対応可能な高度かつ強靭な通信ネットワークの構築が求められるとともに、生成AIを中心とした新技術の普及により、大量のデータを蓄積・処理するデータセンター・クラウドサービスの重要性も更に増している状況です。

建設分野については、エネルギー価格や人件費等の高騰によるコスト上昇の影響が続いているものの、民間設備投資は半導体関連産業や更なる生産性向上に向けたソフトウェアへの投資拡大などに持ち直しの傾向が見られ、防災・減災、社会資本の充実に資する道路等の設備の更新・維持に向けた公共投資も底堅く推移する見通しです。さらに、エネルギー関連事業においては、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、蓄電池や送配電インフラ等の関連投資が今後さらに加速すると想定されます。

このような事業環境のなか、当社グループは、事業の効率化を進める一方、成長分野における積極投資を継続し、メリハリのある事業運営を行ってまいりました。通信キャリア事業におきましては、従前より成長分野への人員シフトによる生産性向上に取り組んでおりますが、引き続きアクセス・モバイル事業一体での事業運営の最適化を進めております。都市インフラ事業におきましては、大規模データセンター構築や新築ビル・工場等の電気工事の受注などが引き続き好調に推移しており、公共関連では、高速道路インフラ関連工事についても堅調に推移しました。旺盛な建設需要に対して、選別受注を強化するなど収益性の向上にも引き続き取り組んでおります。システムソリューション事業におきましては、当社グループが強みを持つお客様に対して引き続き積極的な営業活動を展開するとともに、プロジェクトの初期段階から参加し、お客様のご要望をワンストップで解決する「DX支援ビジネス」の拡大に取り組んでまいりました。また、子会社が強みを持つ商材をグループ各社のお客様に横展開することにより、グループ全体としての価値創造に努めております。グローバル分野については、IT機器を利活用するリファービッシュビジネスやインフラシェアリング設備構築のほか、EV充電設備構築を手掛けるなどの事業の展開を行う一方、持続的成長に向けた構造改革を進め、安定した事業成長ができるよう収支改善に取り組んでおります。

当社グループは温室効果ガス削減をはじめとする環境経営にも積極的に取り組んでおり、2030年の温室効果ガス排出量削減目標がパリ協定が定める目標の水準に沿った科学的根拠に基づいた目標(Science Based Targets(SBT))であるとして、2024年8月に国際機関「SBT イニシアティブ(SBTi)」より認定を取得しました。

これらの取り組みの結果、当中間連結会計期間の経営成績につきましては、受注高は3,671億2千9百万円(前期比12.4%増)、売上高は2,734億7千1百万円(前期比3.1%増)となりました。損益面につきましては、営業利益は103億1千2百万円(前期比11.9%増)、経常利益は115億7千9百万円(前期比7.0%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は63億円(前期比14.2%減)となりました。

なお、当中間連結会計期間におけるセグメント別の概況は次のとおりであります。

 

(単位:百万円)

セグメント

通信キャリア

都市インフラ

システム

ソリューション

金額

増減率

金額

増減率

金額

増減率

受注高

(注)1

126,811

6.7%

128,565

21.6%

111,752

9.6%

売上高

(注)1

111,955

0.0%

76,156

9.1%

85,359

2.3%

セグメント利益又は

セグメント損失(△)

8,348

46.4%

△247

(注)2

2,211

4.9%

(注)1.「受注高」「売上高」については外部顧客への取引高を記載しております。

   2.前年同期はセグメント利益1,400百万円であります。

 

(通信キャリア事業の概況)

 通信キャリア事業におきましては、アクセス分野・ネットワーク分野は概ね計画通り推移しました。モバイル分野では、都市部を中心とした繋がりにくさ解消のための工事など、一部キャリア事業者において新たな設備投資も行われていることから、首都圏エリアにおける子会社再編や九州福岡エリアにおける拠点集約を実施するなど効率的な業務運営に努めながらも、新たな需要への対応を着実に行ってまいります。

 

(都市インフラ事業の概況)

 都市インフラ事業におきましては、大規模データセンターに関する引き合いが引き続き強く、その他の大型開発ビル案件も含め電気関連工事が好調に推移しました。また、鉄道関連通信工事や高速道路トンネルの通信線路工事等も堅調に推移しました。エネルギー関連では、EV充電設備や蓄電池設備工事の需要が拡大しているほか、今後の事業拡大に向けた洋上風力発電の電力自営線構築を担う人財育成を引き続き進めております。また、木質バイオマス発電事業については、2024年3月に運用を開始した「あしかがエコパワー発電所」に続き、2024年8月には、「ふるどの論田エコパワー発電所」も本格運用を開始いたしました。

 

(システムソリューション事業の概況)

 システムソリューション事業におきましては、システム開発・運用保守における中核会社2社を中心に、上位コンサルから保守運用までワンストップでのサービス提供を行うことで、更なる収益向上を目指す取り組みを続けるとともに、文教系や地方自治体向けに当社グループの強みを生かしたソリューションを展開し、新たな収益基盤の構築に向けてアプローチを継続しております。2024年7月には本事業の強化施策として株式会社インタラクティブ・コミュニケーション・デザインの全発行済株式を取得いたしました。

 また、グローバル分野におきましては、事業の取捨選択を含めた構造改革を精力的に進めながら、強みを活かした効率的な事業運営を目指しています。屋内通信インフラシェアリングを手掛ける dhost Global株式会社は2024年7月に850拠点の屋内通信設備を取得するとともに、8月には株式会社NTTドコモ・ベンチャーズが運用するファンドから出資受入れを行いました。NTTグループとの協業を模索しつつ、リカーリングビジネスの拡大・強化に努めてまいります。

 

②財政状態の状況

 当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ 400億6千7百万円減少し、5,515億7千万円となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金等の減少、未成工事支出金等の増加によるものであります。

 負債は、前連結会計年度末と比べ 389億4千8百万円減少し、2,334億7千万円となりました。これは主に支払手形・工事未払金等の減少によるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末と比べ 11億1千8百万円減少し、3,180億9千9百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による減少、為替換算調整勘定の増加によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。) は、前年同期に比べ117億1千5百万円減少し、379億5千1百万円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は241億3千4百万円(前年同期は 335億1百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は140億7千9百万円(前年同期は 106億7千1百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は211億2千5百万円(前年同期は 246億5千6百万円の使用)となりました。これは主に短期借入金の減少によるものであります。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した対処すべき課題等について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、287百万円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。