第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の分析

<連結経営成績>                              (単位:百万円)

 

前中間連結

会計期間

当中間連結

会計期間

前年増減

前年増減率

売    上    高

37,480

38,735

1,255

3.3%

営     業     利     益

1,041

550

△491

△47.2%

経     常     利     益

1,121

617

△503

△44.9%

親 会 社 株 主 に 帰 属

す る 中 間 純 利 益

786

363

△422

△53.8%

 

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)におけるわが国経済は、個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、引き続き景気が緩やかに回復しています。雇用・所得環境が改善する下で、政府や日銀の各種政策の効果もあって、今後もこの状況が続くことが期待されています。一方で、海外の経済・物価情勢や国際金融資本市場及び資源価格の動向など、経済や物価を巡る不確実性は高く、金融・為替市場の動きを注視する必要があります。

コーヒー業界につきましては、国内におけるコーヒーの生豆輸入量及び消費量が、前年に比べともに増加しました。業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は、国際コーヒー機関(ICO)が公表するICO複合指標価格が、2024年4月以降1ポンド当たり200セントを超えて急騰しました。その後、短期間で一貫した上昇傾向をたどり、直近では250セントを突破し高値圏で推移しています。為替相場につきましては、2024年4月以降1ドル150円を超える円安基調が続き、一時160円台となる円安水準にありました。7月以降は円高ドル安方向の動きとなりましたが、140円を超える水準となっています。以上の2つの要因から、コーヒーの製造に必要な原材料の価格は、過去5年間のうち最も高い水準で推移しました。


(コーヒー生豆相場:ICO複合指標価格)

 

このような状況の下、当社は「コーヒーを究めよう。お客様を見つめよう。そして、心にゆたかさをもたらすコーヒー文化を築いていこう。」という企業理念を果たすため、長年にわたり培った「品質第一主義」に基づき、「事業構造の改革」、「収益力強化」及び「グループ総合力強化」を3つの柱とし、新たな需要の創出や生活者のニーズにお応えする商品開発、お取引先の業績向上に寄与する企画提案型の営業活動を推進してまいりました。

当社は、2030年までに目指す姿として掲げた「珈琲とKISSAのサステナブルカンパニー」に則り、喫茶文化の承継と持続可能なコーヒー栽培を実現する事業活動を行っています。当社の中部工場(愛知県春日井市)では、太陽光発電パネル等の活用を実施し、すべての使用電力を再生可能エネルギーへ転換しました。持続可能なコーヒー生産を実現すべく2022年に立ち上げた社長直轄部門「コーヒーの未来部」では、発足以降、産学官連携を強化しています。2024年5月には、コーヒーに関する国際的な研究機関であるワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)のアジア初となるボードメンバーに代表取締役社長が就任し、コーヒーの2050年問題の解決に向け生産者の支援強化に取り組んでいます。当社では、サステナビリティレポートを2023年から発行しています。2024年9月に「キーコーヒー サステナビリティレポート2024」を公表し、持続可能な社会に向けてサステナビリティに関する方針や取り組み内容を紹介しています。2020年8月に創業100周年を迎えた当社は、2世紀企業に向けた新たな歩みをスタートしています。

当社グループの当中間連結会計期間の業績は、売上高は387億35百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は5億50百万円(前年同期比47.2%減)、経常利益は6億17百万円前年同期比44.9%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は3億63百万円(前年同期比53.8%減)となりました。

<セグメント別経営成績>                       (単位:百万円)

事業区分

売上高

営業利益

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

前年

増減

前年

増減率

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

前年

増減

前年

増減率

コーヒー

関連事業

33,209

34,631

1,422

4.3%

1,095

571

△524

△47.8%

飲食関連事業

2,104

2,063

△41

△2.0%

△15

3

19

その他

2,166

2,040

△125

△5.8%

243

271

27

11.4%

調整額

△282

△296

△14

合  計

37,480

38,735

1,255

3.3%

1,041

550

△491

△47.2%

 

(コーヒー関連事業)

コーヒー関連事業は、業務用市場、家庭用市場、原料用市場から構成されています。

業務用市場では、喫茶店・ホテル・レストランなど飲食店等への営業を行い、コーヒーを軸に食材・ドリンク等の幅広い商品をお客様のニーズに沿って提案しています。

商品の販売につきましては、引き続きトアルコ トラジャ、氷温熟成珈琲及び認証農園産コーヒーなど、付加価値の高いコーヒーの販売を推進しました。加えて、日本初上陸となった自然素材のコーヒー用ニュージーランド産フレーバーシロップ「SHOTT」やリプトン紅茶商品の販路拡大に努めました。また、取引関係の強化を目的に全国各地でお取引先向けのコーヒーセミナーを実施しました。2024年9月には、お取引先の店舗活性化を目的とした業務用商材の提案会を開催しました。業務用商品の一部については、従来廃棄されていたコーヒー生豆の麻袋を混合した環境配慮包材を商品パッケージとして世界で初めて採用し、プラスチック使用量の削減など環境対策への取り組みも積極的に進めています。カフェ開業支援の施策として取り組む様々な立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY'S CAFÉ」は2店舗閉店となり、導入店舗数は66店舗となります。なお、コーヒー生豆の調達価格の高騰や環境対策に関する設備投資など、さまざまなコストの増加に伴い、お取引先への業務用商品の納入価格を順次改定しました。

 

家庭用市場では、食品卸売業や小売業等へコーヒーや紅茶など家庭用向けの商品の販売を行っています。

商品の販売につきましては、香り豊かなコーヒーを気軽に楽しめるレギュラーコーヒー「GRAND TASTE(グランドテイスト)」ブランドより、「グランドテイスト アイスコーヒー(FP)」を発売しました。また、2023年秋に立ち上げた家庭用コーヒーブランド「KEY DOORS+(キードアーズプラス)」から「KEY DOORS+ リキッドコーヒー テトラプリズマ」2アイテムと「KEY DOORS+ 香味まろやか水出し珈琲」をリニューアル発売しました。2024年9月には、新しい味わい「グランドテイスト やさしい余韻のマイルドブレンド」を2形態で発売しました。ブランド発足より1周年を迎える「KEY DOORS+」のラインアップを拡充するため、「KEY DOORS+ スペシャルブレンド(FP)/モカブレンド(FP)」を発売しました。「KEY DOORS+(FP)」では、環境に配慮して包材の一部をプラスチックから紙へ変更しています。また、「無理せず、おいしく、カフェイン・マネジメント」をコンセプトにした「KEY DOORS+ ドリップオン カフェインひかえめ マイルドブレンド」を発売しました。ギフト商品では、中元シーズンに向けて家族で楽しめる「アイスコーヒー&ジュース&ドリンク」ギフトや、氷温熟成のまろやかな味わいが楽しめる「氷温熟成珈琲アイスコーヒー」ギフトなど、夏季限定ギフトを中心に全27アイテムをラインアップしました。なお、家庭用商品につきましてもメーカー出荷価格を8月より改定しました。

原料用市場では、飲料メーカー等へ原料用コーヒーの販売を行っています。コーヒー生豆相場に連動したお取引となっています。

コーヒー関連事業における業績につきましては、売上高は増加したものの、売上原価の増加により販売費及び一般管理費の抑制に努めましたが、前年同期に比べ増収減益となりました。

この結果、当中間連結会計期間におけるコーヒー関連事業の業績は、売上高は349億73百万円前年同期比4.2%増)、営業利益は5億71百万円前年同期比47.8%減)となりました。

 (飲食関連事業)

飲食関連事業は連結子会社が営んでいます。

株式会社イタリアントマトでは、旬の食材を使用した季節限定メニューを毎月投入しており、店舗オペレーションの改善や食材の廃棄ロス削減にも継続して取り組むとともに、期間限定での催事への出店など集客力の向上に努め、営業黒字を確保しました。同社店舗数は137店(直営店49店、FC店88店)となりました。

この結果、上記以外の連結子会社も含めた当中間連結会計期間における飲食関連事業の業績は、売上高は20億81百万円前年同期比1.4%減)、営業利益は3百万円(前年同期は15百万円の営業損失)となりました。

(その他)

その他の区分は、コーヒー関連事業及び飲食関連事業に含まれていない事業セグメントであり、連結子会社が営んでいる飲料製品製造事業、通販事業等を含んでおります。

飲料製品製造事業を営むニック食品株式会社では、経営方針として掲げた「持続的な収益の創出」を実現すべく、工場における包装工程の自動化や昼夜シフト勤務を廃止するなど、生産性の向上策に取り組みました。また、外国人材の活用などダイバーシティ推進によって労働力の確保に努めた結果、業績は前年同期に比べ増収となりました。

通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、原材料価格、物流費などが前年度に引き続き大きく上昇する中、販売価格の引き上げ、販売促進費の抑制及び梱包の見直し等により、利益の確保に努めた結果、前年同期に比べ増益となりました。

この結果、上記以外の連結子会社も含めた当中間連結会計期間におけるその他事業の業績は、売上高は30億88百万円前年同期比2.6%減)、営業利益は2億71百万円前年同期比11.4%増)となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

  <連結財政状態>                         (単位:百万円)

 

2024年3月31日

2024年9月30日

増減額

流動資産

36,473

40,184

3,710

固定資産

18,359

18,338

△20

資産合計

54,832

58,522

3,689

流動負債

21,968

25,335

3,366

固定負債

1,892

2,008

116

負債合計

23,861

27,344

3,483

純資産

30,971

31,177

206

負債純資産合計

54,832

58,522

3,689

 

(資 産)

資産は前連結会計年度末に比べて36億89百万円増加し、585億22百万円となりました。

流動資産は37億10百万円増加し、401億84百万円となりました。受取手形及び売掛金の増加(15億68百万円増)、商品及び製品の増加(7億30百万円増)、原材料及び貯蔵品の増加(8億47百万円増)などによるものであります。

固定資産は20百万円減少し、183億38百万円となりました。有形固定資産は1億10百万円減少し、無形固定資産は77百万円増加し、投資その他の資産は12百万円増加しました。

(負 債)

負債は前連結会計年度末に比べて34億83百万円増加し、273億44百万円となりました。

流動負債は33億66百万円増加し、253億35百万円となりました。これは支払手形及び買掛金の増加(14億61百万円増)、短期借入金の増加(28億74百万円増)、未払金の減少(4億74百万円減)などによるものであります。

固定負債は1億16百万円増加し、20億8百万円となりました。

(純資産)

純資産は前連結会計年度末に比べて2億6百万円増加し、311億77百万円となりました。これは利益剰余金の増加(2億55百万円増)などによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は49億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億84百万円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益6億17百万円、減価償却費4億92百万円、仕入債務の増加額14億61百万円を計上する一方、売上債権の増加額15億67百万円、棚卸資産の増加額16億65百万円、未払金の減少額4億36百万円、未払消費税等の減少額3億58百万円などの支出がありました。この結果、19億17百万円の支出となりました(前中間連結会計期間は4億80百万円の支出)。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出4億70百万円、無形固定資産の取得による支出52百万円などにより5億46百万円の支出となりました(同会計期間は11億78百万円の支出)。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増加額28億67百万円、配当金の支払額1億8百万円、リース債務の返済による支出22百万円などにより27億36百万円の収入となりました(同会計期間は20億87百万円の収入)。

(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

(5) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。

(7) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当中間連結会計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

(8) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は92百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。