第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 なお、重要事象等は存在しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用情勢の改善に加え、個人消費や設備投資の持ち直しの動きなど緩やかな回復が続きました。一方で、原燃料価格高騰や物価上昇に加え、ウクライナ情勢の長期化、中東地域をめぐる情勢、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞に伴う影響など、依然として厳しい状況で推移いたしました。

 このような環境のもと、当社グループは、新中期経営計画「Shape the Future-2025」(2023年~2025年度)で掲げた「既存事業の継続的基盤強化」、「新製品創出力の強化」、「サステナビリティ経営の推進」の3つの基本方針に沿った具体的な施策を着実に実行してまいりました。

 「既存事業の継続的基盤強化」においては、安定したキャッシュの創出と成長分野への積極的な投資により事業基盤の拡充を図ってまいりました。基礎化学品事業では、2023年4月に発生した水島工場アリルクロライド製造設備の主要機器の不具合に関しましては、2024年6月末に復旧工事を実施し供給問題は解消しました。設備管理強化による安全・安定稼働を継続し、顧客への供給責任を果たしていくことで信頼回復に努めております。機能化学品事業では、既存顧客への拡販活動や新規開拓の推進により合成ゴムや合成樹脂の販売を伸ばすことができました。ヘルスケア事業では、糖尿病治療薬や肥満治療薬向けの医薬品精製材料の需要が引き続き拡大しており、順調に販売数量を伸ばしております。需要拡大に対応するため、松山工場の新設工事は9月に竣工、尼崎工場の増強工事も計画通り進行しております。肥満治療薬市場が急速に拡大していることから需要予測の再検証とともに、さらなる製造設備の増強についても検討を始めております。

 「新製品創出力の強化」では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された全固体電池用超高イオン伝導性ポリマー等の次世代蓄電池用材料の開発は当初計画どおりに進捗しております。医薬品精製材料では、今後の需要拡大が見込まれるEPA精製用途や超臨界流体クロマトグラフィー用途向けの超高表面積ゲルの開発を進めており、顧客への営業活動を開始しております。また、近年注目を浴びている資源リサイクルの領域では、微量金属吸着材の素材開発を進めており、顧客での実証段階に入る予定です。

 「サステナビリティ経営の推進」では、将来の成長に向けた積極的な投資と株主還元を目指したキャッシュ・アロケーションを定めるとともに、投資家との対話の機会を増加させるなど「資本コストや株価を意識した経営への取り組み」を進めてまいりました。

 また、人的資本への投資の一環として業務改革活動の浸透による人材育成を図るとともに、働きやすい職場環境づくりや従業員エンゲージメントの向上を図るため、本社移転(2025年8月予定)を決定いたしました。創立120周年を迎える2035年のありたい姿として掲げる「社員が実力を存分に発揮できる企業」の実現に取り組んでまいります。

 当中間連結会計期間の売上高は、501億6千7百万円と前年同期比7.6%の増加となりました。利益面におきましても、営業利益は69億6千7百万円と前年同期比41.7%の増加、経常利益は71億8千5百万円と前年同期比19.4%の増加、親会社株主に帰属する中間純利益は48億6千6百万円と前年同期比20.4%の増加となりました。

 

 セグメント別の概況は、以下のとおりであります。

<基礎化学品>

 クロール・アルカリは、水島工場の製造設備不具合による供給問題が解消したため販売数量は増加しましたが、市況軟化に伴う販売単価調整の影響もあり、売上高は減少しました。

 エピクロルヒドリンは、海外市況軟化による影響を受けましたが、製造設備不具合による供給問題が解消し海外向け販売数量が増加したため、売上高は増加しました。

 以上の結果、基礎化学品の売上高は184億3百万円と前年同期比0.8%の増加となりました。

 

<機能化学品>

 合成ゴム関連では、エピクロルヒドリンゴムの販売が自動車用途向けで順調に推移したことに加え、原燃料価格の高騰に伴う価格改定を実施したため、売上高は増加しました。

 ダップ樹脂は、UVインキ用途で中国を中心に新規採用が進んだため、売上高は増加しました。

 アリルエーテル類では、中国で塗料用途を中心としたシランカップリング剤向けの需要が堅調に推移したため、売上高は増加しました。

 以上の結果、機能化学品の売上高は159億6千3百万円と前年同期比18.4%の増加となりました。

 

<ヘルスケア>

 医薬品精製材料は、欧米並びにアジア向けの糖尿病治療薬用途等の需要が順調に拡大し、売上高は増加しました。

 医薬品原薬・中間体は、糖尿病の合併症治療薬中間体および筋疾患治療薬原薬の販売が拡大しましたが、核酸医薬原薬や抗潰瘍薬中間体の販売が減少したため、売上高は減少しました。

 以上の結果、ヘルスケアの売上高は61億7千2百万円と前年同期比14.9%の増加となりました。

 

<商社部門ほか>

 生活関連商品は輸入建材の販売が拡大し、ガラス繊維は電子材料および自動車向け商材を中心に需要が回復したため、売上高は増加しました。

 以上の結果、商社部門ほかの売上高は96億2千7百万円と前年同期比1.3%の増加となりました。

 

 当中間連結会計期間末における当社グループ財政状態は次のとおりです。

 当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、1.7%増加し1,530億6千1百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて、1.7%増加し940億2千1百万円となりました。これは、主として現金及び預金が65億3千9百万円増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて、1.6%増加し590億3千9百万円となりました。これは、主として建設仮勘定が20億1千9百万円増加したことによります。

 

 負債は、前連結会計年度末に比べて、1.1%減少し403億2千1百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて0.2%増加し329億2千7百万円となりました。これは、主として未払法人税等が12億3千2百万円増加したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて、6.6%減少し73億9千4百万円となりました。これは、主として繰延税金負債が3億5千4百万円減少したことによります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べて、2.7%増加し1,127億3千9百万円となりました。これは主として、利益剰余金が37億2千5百万円増加したことによります。

 

(キャッシュ・フローの状況)

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、45億3千1百万円増加し429億6千3百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、101億1千7百万円の収入(前年同期は51億4千9百万円の収入)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前中間純利益が71億円、売上債権及び契約資産の増減額が36億1千9百万円、減価償却費が18億7千3百万円、減少要因として仕入債務の増減額12億3千8百万円となったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、44億8千3百万円の支出(前年同期は8億1千5百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が34億5千7百万円であったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、12億2千6百万円の支出(前年同期は11億6千7百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が11億2千7百万円であったことによるものです。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。

 

(3)研究開発活動

 当中間連結会計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は14億9千6百万円であります。なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。