当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び関係会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
増収増益、12期連続最高益更新に向け順調な進捗、累進配当(増配)継続
当中間期の経営成績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。営業利益、経常利益、純利益はいずれも中間期の過去最高を更新(営業利益は3期連続、経常利益は4期連続、純利益は2期連続)しました。
通期業績予想に対する進捗率は経常利益59%、純利益58%と、4期連続の経常最高益と12期連続の純利益最高益達成に向け順調に推移していると判断しております。配当は予定通り年10円増配を継続いたします。
オフィスビル賃貸、分譲マンションが最高益で業績を牽引
部門別では、東京のオフィスビルを中心とする不動産賃貸事業と、分譲マンションの引渡し戸数が増加した不動産販売事業がともに増収増益となり、中間期の最高益を更新して業績を牽引しました。
営業外損益は受取配当金の増加により2億円(前年同期比+4億円)、特別損益は投資有価証券売却益の計上を主因として9億円(同△5億円)のプラスとなりました。
その結果、売上高5,395億円(前年同期比+6.8%)、営業利益1,559億円(同+4.1%)、経常利益1,561億円(同+4.4%)、親会社株主に帰属する中間純利益1,094億円(同+3.3%)となりました。
主要セグメント別の概況
<不動産賃貸事業部門>
増収増益、最高益更新
当中間期は、既存ビルの収益改善と「住友不動産東京三田ガーデンタワー」、「住友不動産新宿ファーストタワー」の入居進捗、「住友不動産中野駅前ビル」、「住友不動産新宿南口ビル」などの新規稼働に加えて、ホテル、イベントホールなど施設営業分野の収益増が業績に寄与した結果、増収増益となり、売上、営業利益ともに中間期の過去最高を更新しました。
通期業績予想に対する営業利益進捗率は51%と、当事業部門の業績は計画通りに推移していると判断しております。
新規需要堅調、空室率改善継続
当中間期末の空室率は5.9%(23/3期竣工ビルを除くと4.7%)に改善しました。働きやすいオフィス環境を志向する企業や事業拡大のため採用強化を図る企業の新規需要は引き続き旺盛で、新規ビルのテナント募集も着実に進捗しております。
<不動産販売事業部門>
増収増益、最高益更新
当中間期は、「シティテラス善福寺公園」、「THE ASAKUSA RESIDENCE」、「シティハウス横浜」、「シティテラス若江岩田」などが引渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で2,855戸(前年同期比+384戸)を販売計上しました。計上戸数の増加により増収増益となり、営業利益は中間期の最高益を更新しました。
営業利益は通期予想に達しており、当事業部門の業績はやや強含みで推移していると判断しております。
マンション契約順調、当期計上分は確保済
当中間期のマンション契約戸数は1,381戸(前年同期比△306戸)と前年に比べ減少しましたが、当期計上予定戸数(3,500戸)に対する契約はすでに確保済みとなっており、次期以降計上予定分を中心に計画通り順調に進捗しております。
<完成工事事業部門>
受注増、計画通りの進捗
当中間期の受注棟数は、「新築そっくりさん」事業で3,669棟(前年同期比+158棟)、注文住宅事業で1,152棟(同+5棟)と、両事業ともに前年比プラスとなり好調に推移しました。当事業部門の業績は減収減益となりましたが、受注棟数の増加に加え、例年通り計上棟数は下半期を中心に増加する見通しであることから、通期業績に対して計画通りの進捗と判断しております。
<不動産流通事業部門>
減収減益も、計画通りの進捗
当中間期は、中古マンション取引を中心とした主力の仲介事業で、仲介件数が15,388件(前年同期比△894件)と前年に比べ減少し、減収減益となりました。
通期業績予想に対する営業利益進捗率は42%に留まっておりますが、Web広告強化の取組みなどにより問い合わせ件数が増加、契約ベースの仲介収益は3四半期連続で前年比プラスとなり、先行指標は改善傾向となっています。計上ベースの仲介収益も第2四半期(7-9月)は前年比プラスに転じており、当事業部門の業績は計画通りの進捗と判断しております。
<その他の事業部門>
上記の主要事業のほか、フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高5,952百万円(前年同期比
+654百万円)、営業利益712百万円(同+136百万円)を計上いたしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 181,827百万円(前年同期比 △17,847百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー △106,815百万円(前年同期比 +82,750百万円)
財務活動によるキャッシュ・フロー △107,602百万円(前年同期比 △145,559百万円)
となり、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比29,794百万円減少して73,330百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当中間連結会計期間の経常利益が1,561億円となったほか、分譲マンションの引渡し進捗により棚卸資産が減少した結果、営業キャッシュ・フローは1,818億円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
主に賃貸事業の増強を目的として合計934億円の有形固定資産投資を行った結果、投資キャッシュ・フローは1,068億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
期限到来に伴う社債の償還および長期借入金の返済合計2,696億円(ノンリコース含む)があった一方で、賃貸事業の増強に伴う有形固定資産取得などのため、1,277億円の長期借入を実施するとともに、差引500億円のコマーシャル・ペーパーを発行しました。その結果、財務キャッシュ・フローは1,076億円の支出となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)
① 基本方針の内容とその実現に資する取組み
イ.主力事業は回復軌道、次期十次中計で経常利益3千億円達成の見通し
当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまで8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く24期で経常増益を達成しました。
第九次中計の2年目、2024年3月期は3期連続の経常最高益と11期連続の純利益最高益を達成し、3ヵ年累計の中計目標達成に向け、順調に進捗しております。
当社は、昨年5月にコロナ禍脱却と経済正常化を受けて「持続的成長のための基本的な経営戦略と中長期見直し」を公表いたしましたが、1年が経過し、社会・経済情勢など事業環境が大きく変動する中で、主要事業は着実に回復・改善し、2024年3月期決算は当初目標を達成、次期中期経営計画での経常利益3千億円達成が見通せるようになりました。
ロ.成長を支えてきた東京都心のオフィスビル賃貸事業と企業価値
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長、2024年3月期の賃貸キャッシュフロー(不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費)は2千4百億円に達しております。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてきたものと自負しております。「賃貸等不動産」の含み益は年々蓄積され、2024年3月末時点で約3兆9千億円に達しております。
ハ.買収防衛策の必要性
第九次計画では、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することを第三の目標に掲げており、再開発を中心とした具体化している延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割超)の開発計画を順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上、株主利益の増大を目指すこととしております。この大規模な開発計画は、これまで弛まず積み上げてきた多額の先行投資がいよいよ収益化するものです。当社がこれまで長期間に亘り、不動産市況や景気の波にさらされることなく、賃貸ビル開発による事業基盤拡充を継続できたのは、安定収益源である賃貸キャッシュフローが常時下支えとなっていたためであり、この先行投資を有利子負債の際限ない増加に頼らず自信を持って実行するには、2千億円を超える規模に拡大した賃貸キャッシュフローの維持拡大が必要です。また、大型の再開発が中心であるため、全件収益化に目途が立つまでには今後中計2~3期間を要すると見込まれます。
一方、大規模な金融緩和を背景に、国内の優良な収益不動産に対する投資意欲は一段と増しており、東京に多数の優良ビルを持つ当社株式について一方的に大量取得行為が強行されるおそれは否定できません。当社が半世紀にわたって継続してきた、賃貸資産を着実に積み上げることにより企業価値の持続的な拡大を目指す経営方針を否定し、将来の企業価値増大に資する開発計画が成就する前に、保有不動産を売却して含み益をはき出し、一過性の利益を求める短期志向の経営方針を採ることは、結果として、安定収益源の賃貸キャッシュフローを減少させ、開発計画を財務リスクにさらし、当社の企業価値基盤を損なうおそれがないとは申せません。中長期的な展望に基づき着実な企業価値の向上を目指す当社の経営方針は、このような短期志向とは相容れません。よって、現稼働面積の4割を超える70万坪超の開発計画の収益化に概ね目途がつき、企業価値に反映されていない開発計画が一定割合に低下するまでは、買収を意図する投資家が現れた場合に、十分な情報と時間を確保して議論を尽くし、株主の皆様に信を問う必要があると考えます。
また、我が国の金融商品取引法上、会社支配権に影響を及ぼす株取引について、透明性・公平性を担保するための手続きとして公開買付制度が措置され、株主の皆様に判断していただくための情報と時間が確保されることとなっておりますが、公開買付期間が30営業日と短く検討時間として十分とは言いきれません。また、部分公開買付けを容認するものであることから、強圧的買収などの濫用的な買収を必ずしも排除できないこと、そもそも買収者が市場内取引のみで株を買い進めた場合には、公開買付制度が適用されないことといった、法制度上の問題点も残っていると考えております。
以上のことから、当社は「当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)」(以下「本対応方針」といいます。)を、2007年5月17日付取締役会決議に基づき導入し、同年6月の第74期定時株主総会決議に基づき同方針を継続後、第77期、第80期、第83期、第86期および第89期定時株主総会において、それぞれの株主の皆様のご承認を得て、更新してきました。
昨年、経済産業省や金融庁において企業買収の在り方を見直す動きが進展したのに加え、前述の十次中計、またそれ以降の見通しにもある通り、企業価値に直結する当社自身の事業規模や収益力が拡大、安定度が増す中、成長ステージに一定の進展があったと判断し、今般、次回2025年6月の更新を行わないことといたしました。
② 当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容と取締役会の判断
当社は、当社株式の大規模な買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますが、当社株主の皆様が企業価値ひいては株主共同の利益への影響を適切に判断するためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報・意見・代替案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えます。
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為に関するルールを設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めております。大規模買付ルールは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として相当と認める措置を講ずることとしております。
なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、当該大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するか否か、および対抗措置をとるべきか否かについて取締役会が判断するにあたっては、社外取締役、社外監査役、経営経験者、弁護士、公認会計士等から選任される特別委員会に対し諮問し、その勧告を最大限尊重するものとしております。
以上のとおり、本対応方針は、当社株式の大規模な買付行為に対し株主の皆様が判断するのに必要な情報と時間を確保するためのルールを設定し、大規模買付者がこのルールを遵守しない場合や大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかな場合などに対抗措置を講ずることを定めたものでありますので、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(注) 本対応方針の詳しい内容については、当社ホームページ
(https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/2022.05.12_release2.pdf)をご参照ください。
(4)研究開発活動
特記すべき事項はありません。
(5)主要な設備の状況
当中間連結会計期間において、「主要な設備の状況」に重要な変更はありません。
特記すべき事項はありません。