当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
◆当社グループを取り巻く経営環境
2024年の夏も記録的な高温が続き、昨年に並ぶ過去最高の暑さとなりました。また、世界各地で、かつてないレベルの集中豪雨が相次いで発生しています。頻発する異常気象や自然災害の激甚化の原因が、地球温暖化にあることを多くの人が確信し、脱炭素社会への早急な転換の必要性がグローバルで共通の認識となりました。
エネルギーの分野では、米中の緊張関係、長期化するロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化など、サプライチェーンを揺るがす地政学リスクを背景に、エネルギーを適切な価格で安定的にお届けするエネルギー安全保障が、喫緊の課題となっております。加えて、少子高齢化、2024年問題による配送ドライバー不足、2025年の崖など、国内のエネルギー事業者は多くの社会課題を抱えています。
このような課題に直面するなかで明白になったのは、従来型のガス販売量に依存するビジネスモデルはいよいよ転換期に差し掛かった、ということです。LPガス業界では、全国の事業者数が10年前と比較して四分の三程度となり、経営環境の変化に対応できなければ規模に関わらず事業継続は困難、という現実が浮き彫りになりました。今後、業界集約のペースは、確実に加速します。
◆社会課題の解決と業界集約
当社にとって社会課題の解決とは、ガス対電気という従来の垣根を超え、ハイブリッド給湯器や太陽光発電、蓄電池などを活用してガスと電気を融合・セットにして、エネルギーの最適利用をお客さまに提供し、地域社会に貢献することです。そして、より多くのお客さまにこの先駆的サービスを提供することによって、より広く地域社会に貢献したいと考えています。
これを実現する方法の一つに、AIを主軸としたDXをいち早く実装したプラットフォームサービスを同業他社にご利用頂き、一緒に成長を追求する形があります。また、小売という事業領域で他事業者と資本を合流するM&Aという形もあります。 特にM&Aという業界集約、つまり非連続の成長は、連続的成長(3ヶ年計画)の達成に加えて、必ず実現すべき目標と位置付けておりますが、細分化・重層化された業界構造が高い壁となっています。そこで、当社は、①小売領域での成長、②プラットフォームサービスのシェアリング拡大、③高い資本効率と成長する企業価値、の3つを磁石の磁力とし、賛同する事業者と大きな流れを作ってまいります。我々には変革していく意思があり、同じ目的を持つ事業者と合流する覚悟があり、お客さまから信頼される前線の社員がいて、大規模な再編・大型M&Aに備えた最適解となるプラットフォームもあります。与えられたチャンスの大きさを十分認識し、競争と共創というハードルを大きく乗り越え、業界の再編を通じた更なる飛躍を目指します。
当社はこれまで、地域社会の中で、エネルギー小売自由化市場において、70年間にわたりお客さまからの信頼を積み上げて成長を続けてまいりました。今年5月、LPガスのお客さま件数は100万件を超え、都市ガス、電気のお客さまを加えると、間もなく総契約数は200万件を突破いたします。
一見、変わらないだろう、変えられないだろうと思われる社会課題や常識に直面する場合も、自分たちのDNAを再確認しながら絶えず変化して、中長期的な企業価値の成長に向かって挑戦を続けます。今後も、ラストワンマイルのお客さまとの接点を強みに、ステークホルダーの皆様からご支持頂けるよう、全力を尽くしてまいります。
《 連結業績 》
当中間連結会計期間の業績は以下の通りです。 (単位:百万円)
当中間期は、高気温の影響等で販売量が伸びず、また都市ガスのスライドタイムラグのプラス影響が前年比で縮小したため売上総利益で減益となりました。また販管費において顧客獲得費用を積極的に投じたこと等から、営業利益以下の各利益でも減益となりました。
販管費が増加した主な理由は、新規のLP顧客を当中間期に1万8千件と、前中間期の8千件を大きく上回るペースで増加させたためです。顧客基盤の拡大は、獲得時に経費を要するため、営業利益を一時的に引き下げますが、以降、契約期間の長期間に渡り、ガスや電気、機器販売等のサービスを通じて売上総利益の伸長に繋がります。引き続き、お客さまのニーズにお応えしながら関係強化を図り、適切に販管費をコントロールし、利益拡大に努めてまいります。
《 セグメント別の状況 》
◇ LPガス事業
LPガス事業セグメントは、ガス事業による売上総利益が188億40百万円(前年同期比4億78百万円増)、機器・工事・プラットフォーム事業による売上総利益が17億67百万円(同1億円増)となりました。
LPガス事業による売上総利益が増加したのは、高気温の影響でガス販売量が伸びなやんだものの、業務用のLPガス販売の利幅が拡大したことによるものです。
営業につきましては、集合住宅のオーナー向けに過剰なサービスを提供することを抑制する液石法省令の改正に伴い、6月より新規獲得を集合住宅から戸建へシフトする方針へ見直しを行いました。お客さま純増数は、期中において変動がありながらも後半に徐々に増加し、前期末から1万8千件を積み重ね、101万件といたしました。戸建営業へのシフトは、その獲得に時間とノウハウを要しますが、獲得経費を抑えながら、高使用量、長期契約が見込まれるお客様層へ営業対象を切り替えることを企図しています。顧客純増数の一時的な変動も想定されますが、中長期的に当社の企業価値を増加させる取り組みであり、商圏買収の促進と合わせて一層の拡大をすすめてまいります。
※ 収益認識基準適用により、検針基準の販売量に期末日までの販売量を調整して算出しております。
◇ 電気事業
電気事業セグメントの売上総利益は、18億60百万円(前年同期比81百万円増)となりました。
電気事業による売上総利益の増加は、電気契約数の増加に加えて、冷房需要の増加によりお客様あたりの消費量が伸長したためです。
当年4月、二人暮らしなどの中使用量世帯も商品のターゲット層に加えたことで、新規契約獲得は加速、お客さま数は前期末より1万9千件増加の36万5千件となり、電気のセット率は前期末21.6%から22.8%に上昇いたしました。7月には電気のみを提供するメニューもリリースしております。成長余地の大きいWeb経由の申込みを強化し、他社のガス利用顧客やオール電化世帯など、これまで十分に営業できていなかった層にアプローチして獲得数を増加させてまいります。また、補助金増額や光熱費への意識の高まりを追い風に、ハイブリッド給湯器やソーラーパネルや蓄電池などのソリューション機器販売も加速させてまいります。
※ 収益認識基準適用により、検針基準の販売量に期末日までの販売量を調整して算出しております。
◇ 都市ガス事業
都市ガス事業セグメントの売上総利益は、ガス事業による売上総利益が78億41百万円(前年同期比9億51百万円減)、機器・工事等による売上総利益が4億99百万円(同1億2百万円増)となりました。
都市ガス事業による売上総利益の減少は、都市ガス原料の下降基調を要因としたスライドタイムラグ(*)のプラス影響が縮小したこと、入札の結果、官公庁等向けのガス販売量が減少したこと等によるものであります。
都市ガスの営業は、休日に機器販促イベントを開催するなどして、ファミリー世帯への営業機会を増やし、使用量が多く長期でご契約いただけるお客さまをターゲットに獲得を積み上げております。当社がスポンサーを務めるプロサッカーチーム、東京ヴェルディを応援する「ヴェルディガスでんき」の加入も好調で、スポーツ等を通じた地域社会とのコミュニケーションによりお客さまとの関係を深め、解約数を抑え、純減数を縮小させております。
*スライドタイムラグとは、都市ガスの原料費調整制度によるもので、原料価格の変動が先に売上原価、後に遅れて売価(料金)に反映されることから発生するタイムラグのことで、原料価格が下降基調である時に、プラスの影響があります。
※ 収益認識基準適用により、検針基準の販売量に期末日までの販売量を調整して算出しております。
(2) 財政状態の状況
当社は、株主資本の収益率、すなわちROEを高めることを目的として、資産の収益性を高めるべく、投下資本利益率(ROIC)をKPIとして設定し、その向上に努めております。
・当中間期末の資産の部は、1,423億円と前期末より168億円減少(10.6%減)しております。
資産の主要な減少は、季節的要因により営業債権が80億円減少したこと、必要手許資金を55億円減少させたことによるものです。
・同期末の負債の部は、771億円と前期末から93億円減少(10.8%減)、純資産の部は、652億円と前期末から74億円(10.3%減)減少しております。負債の部が減少した主な要因は、季節的要因により仕入債務が51億円、未払法人税等が29億円減少したこと、及び有利子負債を前期末から20億円減らして451億円としたためです。純資産の部が減少した主な要因は、配当42億、自己株式の取得37億と株主還元をすすめたためです。
・デッドエクイティレシオは0.7倍、自己資本比率は45.8%と、財務基盤の安定性を確保しながらも、最適な資本構成(26/3期末には自己資本比率40%を計画)に向け、適切なタイミングで自己株式取得をすすめ、調達コスト(WACC)を意識した資本調達を行なってまいります。
(単位:億円)
(3) キャッシュフロー状況の分析
当中間期末における現金及び現金同等物は、前期末と比べ56億22百万円減少し、130億91百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュフロー)
営業活動によるキャッシュフローは、91億24百万円の収入(前年同期比9億1百万円減少)となりました。
減少した主な要因は、税金等調整前中間純利益が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュフロー)
投資活動によるキャッシュフローは、34億17百万円の支出(前年同期比4億93百万円減少)となりました。
減少した主な要因は、前期と比較して、工場やデポ等の設備投資が減少したことによるものです。
当中間期は導管工事の他、バルク配送システムや新保安、導管システム等のICT投資をすすめております。
(財務活動によるキャッシュフロー)
財務活動によるキャッシュフローは、113億25百万円の支出(前年同期比53億95百万円増加)となりました。
支出が増加いたしましたのは、借入の返済及び自己株式の取得の支出が増加したことによるものです。
(単位:百万円)
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。