第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績

当中間連結会計期間において、米連邦準備理事会が金融引き締めからの転換を開始し、米国景気の軟着陸が期待されるようになりました。EUも金融緩和に舵を切りました。中国がようやく景気対策として金融措置を講じましたが、供給過剰が政策の一環としてなされているかのようで輸出は収まりませんでした。貿易摩擦と地政学的リスクが高まっており、注意は怠れません。そのような情況の中にあって当社は、顧客との意思疎通を密に保ち、求められる品質の製品を安定供給し、機敏な販売を遂行しました。その結果、営業利益は四半期ベースで前年同期に対し12%の増益となり、経常利益は為替変動がありながらも6%の増益(同じく四半期ベース)となりました。純利益では若干の減益となりましたが、その主因は海外子会社からの配当を今期から実施したことに基づく税金費用の一時的な増加です。今後とも引き続き、業績の伸長に取り組んでいきます。そのためにも、顧客にとって価値ある製品の開発を急ぎ、かつ顧客と市場からの要望・需要に適時に応えられるよう、中長期の展望を持って、投資を実施していきます。

 

当中間連結会計期間の業績は、売上高は、前年同期に比べ5.9%(705億5千8百万円)増加し、1兆2,664億6千万円となりました。営業利益は、前年同期に比べ6.2%(237億8千4百万円)増加し、4,057億3百万円となり、経常利益は、前年同期に比べ3.6%(154億1千6百万円)増加し、4,429億2千4百万円となりました。また、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に比べ2.4%(73億2千2百万円)減少し、2,941億1千7百万円となりました。

セグメントごとの状況は以下のとおりです。

[生活環境基盤材料事業]

塩化ビニルに関しては、4~6月において主要地域で価格が上昇し、7~9月でさらに水準の改善ないし維持をすることができました。か性ソーダについては、4~6月で値上げを実施しましたが、7~9月では一進一退となりました。

その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ3.8%(184億4千万円)増加し、5,094億6百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ7.9%(131億2千4百万円)減少し、1,521億6千7百万円となりました。

[電子材料事業]

半導体市場は、最先端品において一部回復が見られたものの、全体としては底打ちからの回復はまだらに推移しています。そのような事情のなか、伸びの強い市場にシリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス等の半導体材料を出荷することに注力しました。希土類磁石は、堅調なハードディスクドライブ用の需要に応える一方、車載市場への拡販に努力しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ9.3%(396億5千3百万円)増加し、4,644億9千3百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ21.1%(325億8千5百万円)増加し、1,867億8千8百万円となりました。

[機能材料事業]

汎用製品群で中国経済の不振に起因する在庫調整や市況軟化が続きましたが、機能性の高い製品群の販売に引き続き注力し、収益を補うことに努めました。

その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ4.9%(105億3千3百万円)増加し、2,260億2千4百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ4.0%(20億6千6百万円)増加し、538億3千2百万円となりました。

 

[加工・商事・技術サービス事業]

半導体ウエハーケースは半導体産業の在庫調整の進捗が発注高に表れてきました。自動車用入力デバイスは地域により濃淡はありますが、全体として需要が堅調に推移しました。また、事務機器用ローラも、買い替え需要を捉え、拡大しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ3.0%(19億3千1百万円)増加し、665億3千5百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ24.8%(29億6千4百万円)増加し、149億2千2百万円となりました。

 

(2)財政状態

 当中間連結会計期間末(以下「当中間期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて4,880億5千万円増加し、5兆6,360億2千4百万円となりました。主に円安の影響を受け在外連結子会社資産の円換算額が増加したこと、設備投資により有形固定資産が増加したことによるものです。

 当中間期末負債合計額は、前期末に比べ259億3千5百万円増加し、7,498億3千6百万円となりました。主に円安の影響を受け在外連結子会社負債の円換算額が増加しました。

 当中間期末純資産は、前期末に比べ4,621億1千4百万円増加し、4兆8,861億8千7百万円となりました。主な増減内訳は、親会社株主に帰属する中間純利益2,941億1千7百万円、円安に伴う為替換算調整勘定の増加3,454億1千8百万円、減少として自己株式の取得1,000億3百万円、配当金の支払998億2百万円です。

 その結果、自己資本比率は、前期末に比べ0.6ポイント上昇し、83.3%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、6,040億7千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ139億3千8百万円増加しました。
 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の営業活動の結果得られた資金は、4,518億8千9百万円(前年同期比713億4千2百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前中間純利益4,502億5千5百万円、減価償却費1,084億2千1百万円などで資金が増加した一方、法人税等の支払額987億5千7百万円などで資金が減少したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の投資活動の結果使用した資金は、2,352億3千5百万円(前年同期比4,599億9千1百万円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,578億5千1百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間の財務活動の結果使用した資金は、2,302億9千3百万円(前年同期比368億2千2百万円の増加)となりました。これは、配当金の支払額998億2百万円、自己株式の取得による支出1,000億3百万円などによるものです。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は33,822百万円です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

  当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。