第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
  なお、重要事象等は存在しておりません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 ① 経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に緩やかに回復傾向にある一方、急激な為替変動や原材料価格の高騰に加え、物価上昇に伴う消費者マインドの低下懸念等、先行き不透明な状況も続いています。衣料品小売業界は、原材料高や円安の影響が継続しつつも、堅調なファッション消費意欲やインバウンド需要の拡大に支えられ底堅く推移しています。

 

このような状況の下、当社は2033年3月期を最終年度とする長期ビジョン「美しい会社ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」とともに、その達成を目指して2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「感動提供 お客様と深く広く繋がる」を策定し、3つの戦略を推進しています。

2025年3月期は「新しい価値提供を実現する」を経営方針に掲げ、3つの戦略により長期ビジョンと中期経営計画の実現を目指しています。

 

1つ目のUA CREATIVITY戦略では、既存事業の成長拡大、ブランド力の強化、(株)コーエンの再成長に向けて取り組んでいます。

既存事業の成長拡大では、商品力の向上、積極的な在庫政策、OMO(*1)施策の浸透により、実店舗とネット通販双方が成長し、小売+ネット通販既存店売上高(単体)は前年同期比112.8%と大きく伸長しました。販売単価とセット率双方の上昇により既存店客単価が同102.4%と前年を超えつつ、既存店買上客数も同110.0%と大きく伸び、良好な傾向が続いています。マーケット別でも、トレンドマーケット、ミッド・トレンドマーケットそれぞれの特性に応じた価格政策により、両マーケットとも前年同期から二桁成長となりました。

売上総利益率については、盛夏商品を拡充して夏の定価販売を強化したこと等によりビジネスユニット計(*2)が前年水準を上回りました。

ブランド力の強化については、企業イメージの刷新や売上拡大を目的に大型プロモーションを積極的に実施しているほか、業界横断で優秀な販売員を選出するイベントにおいて当社スタッフが最優秀の称号を獲得したこともブランド価値向上に貢献しています。

(株)コーエンは、マーチャンダイジングの修正や新レーベル「RONEL(ロネル)」の展開が奏功し、今春夏より回復傾向となっています。秋冬からはファッションモデルを起用したプロモーションを実施し、さらなる成長を目指します。

(*1)OMO: Online Merges with Offlineの略。オンラインとオフラインの融合を指す。

(*2)ビジネスユニット計: (株)ユナイテッドアローズ単体の小売、ネット通販、卸売等の売上合計を指す。アウトレット等の売上は含みません。

 

2つ目のUA MULTI戦略では、業容拡大に向けた事業開発やグローバル展開の拡大によって、当社の価値提供の領域を広げ、お客様層を拡大させることを目指しています。

新たなお客様層の拡大やテイスト軸の課題解決に向けて、アパレル領域においてブランド開発等を進めています。若年層に向けたウィメンズの新ブランド「ATTISESSION(アティセッション)」、自立した女性に向けた新ブランド「conte(コンテ)」ともに、9月に初の実店舗を出店し、新規事業を着実に進めています。加えて、韓国のバッグブランド「OSOI(オソイ)」の国内独占販売権を取得し、来春より当社ブランドとして展開します。

またこの度、2024年10月1日付で株式会社BOOT BLACK JAPANの全株式を取得し、子会社化しました。既存事業でのサービス拡充による顧客満足度の向上等を目指します。

グローバル展開の拡大に向けて、中国大陸・杭州で期間限定店舗を出店したほか、シンガポールで商品展開を開始するなどマーケティングやブランドの認知向上施策を進めています。2025年1月には中国大陸・上海にブランドの発信拠点となる初の直営店を出店します。

 

3つ目のUA DIGITAL戦略では、OMOの推進とサプライチェーンの最適化を軸に取り組んでいます。OMOの推進では、昨年8月から稼働している会員制度の成果が発現しており、会員売上やクロスユーザー数(*3)等の主要指標が好調に推移しています。併せて、自社ECアプリの機能改善のためのリニューアルを実施し、アプリユーザーの増加やアプリ上でのOMO施策を通じたクロスユーザーの拡大等によるライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の向上を目指します。

サプライチェーンの最適化では、次期商品管理基幹システムの開発と商品調達のデジタル化に向けたプロジェクトを継続して進行しています。

(*3)クロスユーザー:実店舗と自社ECを併用される会員様を指す。

 

出退店については、トレンドマーケットで6店舗の出店、ミッド・トレンドマーケットで4店舗の出店、アウトレットで1店舗の退店を実施した結果、当中間連結会計期間末の小売店舗数は204店舗、アウトレットを含む総店舗数は230店舗となりました。

 

連結子会社の状況については、株式会社コーエン(決算月:1月)、海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)ともに増収となりました。出退店については、株式会社コーエンは3店舗の出店、1店舗の退店により当中間連結会計期間末の店舗数は73店舗、台湾聯合艾諾股份有限公司は1店舗の出店により当中間連結会計期間末の店舗数は10店舗となっています。

 

以上により、グループ全体での新規出店数は14店舗、退店数は2店舗、当中間連結会計期間末の店舗数は313店舗となりました。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、前年同期比11.9%増の68,265百万円となりました。売上総利益は前年同期比12.4%増の35,953百万円となり、売上総利益率は前年同期差0.2ポイント増の52.7%となりました。販売費及び一般管理費は、賃上げ等に伴う人件費の増、売上増加に伴う変動費の増などにより、前年同期比9.2%増の32,999百万円となったものの、売上高構成比は前年同期差1.2ポイント減の48.3%に抑制されました。

 

以上により、当中間連結会計期間の営業利益は2,953百万円(前年同期比66.4%増)、経常利益は3,397百万円(前年同期比55.6%増)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は1,898百万円(前年同期比33.1%増)となりました。

 

 

 ② 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比較して6,116百万円(15.2%)増加の46,489百万円となりました。これは、現金及び預金が1,893百万円、商品が5,450百万円それぞれ増加した一方、未収入金が1,405百万円減少したことなどによります。

固定資産は、前連結会計年度末と比較して2,467百万円(12.4%)増加の22,299百万円となりました。これは、店舗の出店などにより有形固定資産が663百万円、基幹システム刷新に向けた準備などにより無形固定資産が1,262百万円、差入保証金が599百万円、それぞれ増加した一方、繰延税金資産が125百万円減少したことなどによります。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末と比較して7,981百万円(38.0%)増加の28,979百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が4,280百万円、短期借入金が2,698百万円、未払法人税等が523百万円、一年内に履行が予定されている資産除去債務が486百万円それぞれ増加したことなどによります。

固定負債は、前連結会計年度末と比較して299百万円(7.2%)減少の3,877百万円となりました。これは、流動負債への組替えにより資産除去債務が325百万円減少したことなどによります。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末と比較して901百万円(2.6%)増加の35,931百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する中間純利益により1,898百万円増加した一方、配当金の支払などにより1,054百万円減少したことなどによります。

(2) キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,889百万円増加し、8,376百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動の結果得られた資金は3,308百万円(前年同期は1,162百万円の収入)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前中間純利益3,009百万円、減価償却費565百万円、売上債権の減少額1,403百万円、仕入債務の増加額4,422百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額5,556百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動の結果使用した資金は3,066百万円(前年同期は1,771百万円の支出)となりました。

これは主に、新規出店等に伴う有形固定資産の取得による支出911百万円、基幹システム刷新に向けた準備などに伴う無形固定資産の取得による支出1,410百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動の結果得られた資金は1,645百万円(前年同期は3,572百万円の支出)となりました。

これは、短期借入金の純増加額2,698百万円、及び配当金の支払額1,052百万円があったこと等によるものであります。

 

 

(3) 事業上および財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当連結会社の事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

 

(4) 研究開発活動

特記事項はありません。 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。