1【四半期報告書の訂正報告書の提出理由】

 当社は、2024年3月27日付開示の「外部調査委員会の設置及び2023年12月期有価証券報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」のとおり、EV充電インフラ1号合同会社を当社グループの連結範囲に含めるための対応を行うことといたしました。具体的には、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」で定められている支配力基準に基づく実質的な支配があるものと評価して、同社を2023年2月の設立時より、当社の連結範囲に含めることといたしました。

 

 EV充電インフラ1号合同会社は、EV充電設備所有を目的とする特別目的会社(Special Purpose Company, SPC)として2023年2月に設立された合同会社(GK)です。GKの代表社員及び業務執行社員、並びに設立時の出資者は一般社団法人EV充電インフラ(ISH)であり、GK並びにISHと当社との間に直接的な資本関係はありません。GKは、スポンサーから商法上の匿名組合(TK)出資(本件の場合は、当初社債の引受を行い、3年経過後にTK持分へ強制転換する)を募る他、銀行からの融資やリース会社からのリース提供により、EV充電設備の取得及び運営に必要な資金を調達します。なお当該社債引受者は、引受後3年経過時点で保有する社債がTK持分に転換された以降、社債引受価額(引受簿価)にてその持分を当社もしくは当社が指定する第三者に売り渡す権利(プット・オプション)を有しています。

 当社は、EV充電インフラ1号の資金が当社グループ外の出資者又は社債引受者による匿名組合契約を通じた出資又は社債の発行により調達される計画であることを踏まえ、2023年12月期第3四半期連結会計期間までに発行された社債の引受者2者がEV充電インフラ1号の意思決定機関を実質的に支配していると判定しておりました。この判定に基づき、当社は、EV充電インフラ1号を連結の範囲から除外しておりました。その後EV充電インフラ1号は2023年10月に新たな社債を発行しており、この新たな社債発行を受け、当社は、社債引受者3者がEV充電インフラ1号の意思決定機関を支配するに至ったと判定しておりました。

 有限責任 あずさ監査法人は、当社による連結の範囲の判定の妥当性を検討していたところ、2024年2月16日に上記のSPCスキームに係る会計処理に疑義がある旨の外部通報を受け、当社による連結の範囲の判定及びSPCスキームに係る会計処理に関し、不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況を識別し、当社の常勤監査役に対して、デジタルフォレンジックの実施を求めました。このデジタルフォレンジックの実施により検出された事項は以下のとおりです。

 

・当社の緊密な関係にある者に該当する当社の代表取締役(当時。2024年7月30日付で退任)が、2023年10月に筆頭社債引受者(2023年12月末におけるEV充電インフラ1号の社債(10億円)のうち、最大額である7億円の引受者)に対して3.5億円の融資を行っていたこと

・この融資に当たり締結された金銭消費貸借契約書には以下の定めがあり、当社の代表取締役(当時)による社債引受者に対する融資は実質的にSPCに対する間接出資に該当すること

  ・融資された資金の使途は、SPCへの出資に限定される

  ・返済額は、SPCから社債引受者が受け取る金額に限定される

・社債引受者が保有するEV充電インフラ1号に対する出資について、諸条件を満たした場合、社債引受者が当社にこの出資を売渡すことが可能となるオプション契約が締結されていたが、オプション契約に定められた諸条件に関わらず、出資後3年目に社債引受者が保有するSPCに対する出資をその出資額に利息を加えた金額で買い取ることが実質的な合意事項である旨等を、当社執行役員(当時)が社債引受者に対して電子メールで伝達していたこと

 

 上記を踏まえたうえでの当社グループとGKとの関係性は以下のとおりです。

・当社は、EV充電設備所有者であるGKより一部の管理業務を除くGKの業務執行全てを受託しておりEV充電設備の運営に関する包括的業務を行っている他、GKがEV充電設備を設置する土地の利用に関しての方針に関する重要な地位を有しております。また、当社はGKのリース債務に対して債務保証を行っております。

・当社子会社のENECHANGE EVラボ株式会社は、GKに対してEV充電設備の販売を行っており、GKとの間で商品売買契約及び工事請負契約を締結しております。

・当社の代表取締役(当時)は、特定の社債権者との間で締結した金銭消費貸借契約を通じてEV充電インフラ1号合同会社への間接的な貸付を行っております。当該貸付金はEV充電インフラ1号合同会社の社債の払い込みに使途が限定されており、また、その返済額は、EV充電インフラ1号合同会社から社債権者が受け取る金額に限定されていることから、実質的に当該貸付は当社の代表取締役(当時)によるEV充電インフラ1号への間接的な出資であると評価しております。

 当社は、これらの契約関係及び運営の実態を踏まえ、「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第21号最終改正2009年3月27日。以下「実務対応報告第21号」という。)Q4の参照先である「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第20号最終改正2011年3月25日。以下「実務対応報告第20号」という。)Q1に規定される「2投資事業組合における具体的な適用」(3)を適用した結果、i)「自己の計算において有している当該投資事業組合に係る業務執行の権限(当該業務執行の権限を有していない場合を含む。)と、緊密な者及び同意している者が有している業務執行の権限とを合わせて、当該業務執行の権限の過半の割合を占めているときであって、かつ、ii)実務対応報告第20号Q1「2投資事業組合における具体的な適用」(2)の②から⑥までのいずれかの要件に該当する場合」に該当すると判断し、またiii)EV充電インフラ1号合同会社の財務及び営業又は事業の方針を決定できないことが明らかであるとは認められないため、実質的に支配していると判断しております。

 i)については、具体的にはISHが以下の理由から、当社の緊密者であると考えられるため、当社と ISHの業務執行の権限を合わせるとEV充電インフラ1号合同会社の業務執行の権限の過半の割合を占めていると評価しております。

・EV充電インフラ1号合同会社の運営基本契約、商品売買契約及び工事請負契約に基づきEV充電インフラ1号合同会社の「EV充電事業」の重要な意思決定及び業務執行は当社により行われていると判断しております。

・ISHにおける職務執行者は会計事務所であり、同事務所及びこれと実質的に同一視される ISHは形式的な業務執行者であると判断しております。

・当社が下記ii)記載のとおり、EV充電インフラ1号合同会社の「EV充電事業」から生ずる損失の半分を超える多くの額を負担する場合等に該当する可能性があると判断しております。

 ii)については、具体的には以下の理由から、当社がEV充電インフラ1号合同会社の資金調達額の総額の概ね過半について債務の保証を行っており、またEV充電インフラ1号合同会社の事業から生ずる損失の概ね全額について負担していると考えております。

・当社がEV充電インフラ1号合同会社のリース債務に対する連帯保証を負担しており、これらの保証は、資金調達額の総額の過半を超える可能性があること

・当社にコール・オプションが、社債権者にプット・オプションが付与されており、それぞれの行使価額が出資価額とされているため、経済合理性に鑑みると、どちらかのオプションが行使される可能性は高く、支配力の要件(資金調達額の総額の概ね過半に対する債務の保証)を満たすことが当初から予定されていると評価できること

・社債権者に付与しているプット・オプションが行使された場合は、当社は社債が転換された後の匿名組合出資持分を出資価額で買い取る義務を有していることにより、EV充電インフラ1号合同会社の「EV充電事業」の状況が芳しくなく、欠損の状況が続く場合は、社債権者のプット・オプションが行使されると考えられ、当社がEV充電インフラ1号合同会社の損失の概ね全額を負担することになると考えられること

 iii)については、具体的には当社及びISHが行っている業務(例えば、EV充電設備の設置場所の選定、施設オーナーとの契約の締結、リース条件の決定、EV充電インフラ1号合同会社のリース債務に対する連帯保証契約の締結等)は、EV充電インフラ1号合同会社の財務及び営業又は事業の方針を決定できないことが明らかであるとは認められないと評価しております。

 以上の理由により、2023年12月期において、当社がEV充電インフラ1号合同会社を支配力基準に基づき実質的に支配しているものと評価し、連結子会社に含めることといたしました。

 これに伴い、EV充電インフラ1号合同会社を設立時点から連結の範囲に含めるなどの必要な訂正を行った結果、2023年11月10日に提出いたしました第9期第3四半期(自 2023年7月1日 至 2023年9月30日)四半期報告書の記載事項の一部に訂正すべき事項がありましたので、金融商品取引法第24条の4の7第4項の規定に基づき、四半期報告書の訂正報告書を提出するものであります。

 なお、訂正後の四半期連結財務諸表については、有限責任 あずさ監査法人より四半期レビューを受けており、その四半期レビュー報告書を添付しております。

 

2【訂正事項】

第一部 企業情報

第1 企業の概況

第2 事業の状況

第4 経理の状況

 

3【訂正箇所】

 訂正箇所は___を付して表示しております。なお、訂正箇所が多数に及ぶことから、上記の訂正事項については、訂正後のみを記載しております。