当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
当中間連結会計期間の経済情勢は、欧米のインフレ率が緩和しつつあるものの中国における成長鈍化、ウクライナや中東を巡る地政学的リスク等を内包しながらの遷移となりました。世界経済においては、地域毎に差はあるものの概ね成長軌道を維持しました。わが国経済は堅調な企業収益に下支えされ、内需の拡大を通じた緩やかな回復基調が持続しました。このような環境の下、当社グループは患者さんや医療従事者の方の目線に立脚し、医療関連、医薬関連、ファーマパッケージング、それぞれの事業で培った技術やソリューションを進化・融合させ、最適な形態で提供することで、世界中の人々の「健康でありたい」という願いの実現に尽力してまいりました。
当中間連結会計期間における連結売上高は、医療関連、医薬関連、ファーマパッケージング、いずれの事業においても増収となりました。国内市場では販売価格の適正化に加え、顧客ニーズにきめ細やかに対応したことで出荷数量が伸長しました。海外においては、重点市場に対し積極的なプロモーションを展開し、旺盛な需要を取り込んだことが堅調な販売につながりました。これらにより、連結売上高は前年同期比9.1%増加となる3,120億17百万円となりました。
原価・費用面におきましては、インフレに伴う原材料費や労務費等の増加に加え、ダイアライザ生産設備を含む新規資産の減価償却費が製造原価を押し上げました。また販売費及び一般管理費については、海外事業拡大に伴う増員や研究開発費の増加、医薬品製造工場に係る操業準備費用の計上が増加要因となりました。これらを踏まえ、営業利益は前年同期比0.2%減少の134億59百万円となりました。
これに対し経常利益は、本年7月以降の急速な円高に伴う巨額の為替差損に加え、金利上昇に伴う支払利息の増加や持分法による投資損失の計上を経た結果、前年同期比69.5%減少の44億92百万円となりました。なお減少額は102億43百万円でしたが、うち為替差損益の前年同期比減少額が83億5百万円を占めました。
その結果、親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期比98.7%減少の1億29百万円となりました。なお、経常利益および親会社株主に帰属する中間純利益の減少幅が拡大した要因として、前年同期において多額の為替差益を計上したこと、当中間連結会計期間において資産の売却益が少額であったことが挙げられます。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
国内事業におきましては、メディカル営業部門では、第1四半期に引き続き、輸液関連製品が好調に進捗したほか、症例数の増加に伴い植え込み型補助人工心臓の販売も増加しました。またSARSコロナウイルス抗原検査キットやインフルエンザウイルス検査キットの出荷も堅調でした。
医薬営業部門においては、エソメプラゾール(ネキシウムのオーソライズド・ジェネリック)に加え、一部商品に係る薬価の引き上げ効果が収益増加に寄与しました。また、5月および6月に追補収載された新商品について、シェア拡大のための販売促進に引き続き努めました。他方で、供給問題は依然、解消しておらず、厳しい対応が続いております。一刻も早く限定出荷品の解除ができるよう安定供給への取り組みを進めてまいります。また引き続きMR(医薬情報担当者)による得意先への丁寧な説明と真摯な対応を通じ、ニプロへの信頼および存在感の向上につなげてまいります。
国際事業におきましては、世界各国、特にアジアならびに中米各国の主要代理店および病院施設に対し、KOL(キー・オピニオン・リーダー)と連携のうえ、学術活動および技術営業活動に注力しました。またアフリカ地域での透析器械の設置拡大を積極的に推し進めました。
透析関連商品については、北米における大手透析プロバイダーとの大型契約の履行、中南米・欧州・アジア・インドにおける高性能商品の上市、インドネシアの国策に伴うシングルユース市場拡大などが寄与し、世界各地でダイアライザおよび透析器械の販売は順調に推移しました。また透析器械の開発面では、新モデルの投入とともに、透析情報管理システム「NephroFlow」およびトレーサビリティシステム「GTS」の拡大を進め、AI分析を活用することで、患者さんのQOL向上に貢献します。
ホスピタル関連商品については、高付加価値品であるディスポーザブルバルーンインフューザーの増産を開始し、成長市場である欧州、豪州、中南米を中心に販売は堅調でした。また、関連品である植え込みポート用医薬品注入器具はMDD(欧州域内で流通する医療機器に関する規則)承認を取得したことで、欧州における商品ラインナップ拡充といった相乗効果が発現し、出荷数が増加しました。OEM(他社のブランド商品を製造する事業)関連では採血関連製品の需要回復に加え、インスリン針の肥満症への用途拡大が販売数の大幅な伸長につながりました。
バスキュラー関連商品は、米国市場への新商品投入と現地での販促活動を積極的に展開しました。今後、主力となる末梢血管用スコアリングバルーンが本年3月にFDA(米国の食品医薬品局-日本の厚労省に相当)承認を取得したことに続き、同年6月には冠動脈用商品も承認を得ました。また、来年上半期には冠動脈イメージングシステムの新ソフトウェアの上市も予定しており、継続的な商品の投入と営業活動の強化により事業の拡大を志向します。
感染対策関連商品は日本の感染症対策の権威であるトップ医師と連携の下、中南米、中国、アジア各方面における感染症学会、自社セミナーなどを通じ販売促進に努めました。また、各国での生産体制も充実しつつあり、今後は受注の拡大を図ります。このほか、自社透析センターは引き続き世界各国で展開しており、当第2四半期は南アフリカ、タイ、インドに計6施設を開設しました。新興国を中心に質の高い治療を提供できる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。
本年7月、米国(ノースカロライナ州ピット郡)において工場用地を取得し、2027年の稼働に向け新工場の建設を進めることとなりました。これにより、重点市場である米国における地産地消・安定供給体制の確立を目指します。ベトナムにおいては、ダイアライザ製造棟の建設許可を取得し、2026年の稼働に向けた建設工事が進行中です。昨年竣工した当社大館工場第7工場においては、本年4月に第2製造ラインが稼働したことに続き、今後もダイアライザの供給能力を段階的に拡張し、品質・供給の安定を第一とした生産活動に尽力してまいります。
ロジスティクス面では、米国の港湾ストライキの影響もあり、引き続き海上貨物運賃は不安定な状況ですが、荷役作業効率化の加速、地産地消の継続的な推進、ハブ倉庫活用による安全在庫の確保に注力し、関連経費の削減と安定供給の両立を推進します。併せて、医療現場のニーズに迅速に応じることで、顧客満足度の向上、ひいては売上高の拡大、利益の確保につなげます。また品質マネジメントシステムのアップグレードを図るため、ニプログローバルQMS(品質マネジメントシステム)の構築をスタートし、更なる品質向上に取り組み、安定生産・安定供給をより強固にいたします。
この結果、当事業の売上高は2,420億52百万円(前年同期比9.9%増)、セグメント利益(営業利益)は245億40百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
医薬関連事業におきましては、受託開発した外用剤を含む複数の新規製造品の出荷開始に加え、一部の注射剤において前年比で受注量が増加しました。また仕切価の適正化にも引き続き取り組んでおり、売上高は前年同期比で増加いたしました。
利益面では、ニプロファーマ伊勢工場の新シリンジ棟の本格稼働や大館工場および志紀工場における生産量増加に伴い収益が増加しました。加えて、ニプロファーマ・ベトナム・リミテッドでの生産効率改善による出荷増も収益に寄与しました。他方で、本年4月に竣工したニプロファーマ近江工場の稼働準備に要する費用が発生しました。
この結果、当事業の売上高は379億81百万円(前年同期比7.8%増)、セグメント利益(営業利益)は31億90百万円(前年同期比14.6%減)となりました。なお第3四半期以降、シリンジ製剤の増産や新規受託製造品の出荷が予定されているため、今年度末のセグメント利益は前年計上額を上回る見通しです。
ファーマパッケージング事業におきましては、国内外で滅菌済シリンジの生産体制を整備・拡張するとともに、複数品目の医療用包装容器と医療機器の開発を進めました。
日本市場においては、ガラス関連製品に加え、溶解液注入針やインジェクションセットの販売が増収に貢献しました。また、投与デバイスや培養用バック等のシングルユース商品(自己投与やワクチン向け)のシェア拡大に努め、展示会では商品ポートフォリオの浸透と販売促進に注力しました。自己投与関連製品では、本年4月にHaselmeier社とオートインジェクターの国内独占販売契約を締結しました。
海外市場においては、アフターコロナの在庫調整期間が依然長引いており、ガラス管と医療用包装容器のいずれも需要低下が続いております。他方で、滅菌済シリンジについては前年同期比で増収となりました。需給バランスの混乱により概して既存の主力品は苦戦を強いられましたが、生産効率の改善と需要に適合した商品ラインナップの整備を推進しました。具体的には、バイオ製剤向けのガラス関連製品の開発および増産に加え、滅菌済Ready to useバイアル(顧客である製薬会社において、薬剤充填時に洗浄・滅菌作業が省力化できるタイプの商品)の販路拡大が挙げられます。
この結果、当事業の売上高は315億99百万円(前年同期比5.4%増)、セグメント利益(営業利益)は9億31百万円(前年同期比35.8%減)となりました。引き続き顧客ニーズに的確に応じることで、顧客満足の向上、ひいては売上高の拡大、利益の確保につなげてまいります。
その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が3億83百万円(前年同期比8.0%減)、一時的な費用処理が発生したことから、セグメント損失(営業損失)は2億72百万円(前年同期は1億9百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
当中間連結会計期間末の資産合計は1兆1,735億57百万円で、前連結会計年度末に比べ637億36百万円の増加となりました。このうち流動資産は404億89百万円の増加、固定資産は232億46百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、商品及び製品が168億93百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産の機械装置及び運搬具(純額)が147億97百万円増加したことによるものであります。
一方、負債合計は8,754億14百万円で、前連結会計年度末に比べ353億81百万円の増加となりました。このうち流動負債は301億3百万円の増加、固定負債は52億77百万円の増加となりました。流動負債の増加の主な要因は、短期借入金が305億66百万円増加したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、長期借入金が56億5百万円増加したことによるものであります。
純資産合計は2,981億43百万円で、前連結会計年度末に比べ283億54百万円の増加となりました。このうち株主資本は23億26百万円の減少、その他の包括利益累計額は295億35百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ1.1ポイント増加し、22.1%となりました。
当社グループは医療関連、医薬関連、ファーマパッケージングの各部門の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループ発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末に比べて116億31百万円減少し、849億50百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果、得られた資金は150億28百万円(前年同期は187億24百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、減価償却費302億38百万円、税金等調整前中間純利益40億51百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額127億15百万円であります。
投資活動の結果、支出した資金は547億99百万円(前年同期は355億20百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入1億48百万円であり、支出の主な内訳は、固定資産の取得による支出466億75百万円であります。
財務活動の結果、得られた資金は233億42百万円(前年同期は89億26百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入530億8百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出425億43百万円であります。
当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は95億85百万円であります。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等は行われておりません。