第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績の状況

①当中間連結会計期間の概況

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における世界経済は、米国では金融引き締めが継続し、住宅着工件数は調整局面が継続するなか、潜在的な住宅需要は底堅く推移しており、金利引き下げの期待感から回復の動きもみられます。一方、欧州や中東での地政学リスクの長期化を背景としたエネルギーコストの上昇や資材価格の高騰、世界的なインフレに伴う金融不安等の影響等により、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

このような環境の中、当社グループの主力事業である建機用フィルタ事業においては、北米、アジア、欧州、日本における建機の新車需要は前年度を下回る一方で、交換需要は大幅に増加いたしました。一方、中国市場では、市況の低迷が継続し需要は減少いたしました。この結果、当連結会計年度における当社の売上高は全体では大幅な増収となりました。

利益面では、建機用フィルタの交換需要の増加に伴う補給品売上高の増加に加え、主要原材料価格やエネルギーコスト高騰への対応策として、原価低減の取り組みや、販売価格の改善効果により大幅な増益となりました。

当社グループは、環境負荷低減に貢献するナノファイバーを使用したロングライフのフィルタ製品や油の汚染度やフィルタの交換時期を感知する差圧センサを搭載した高付加価値フィルタ製品の主要得意先への提案を進めており、各建機メーカの新機種への製品供給が随時開始されております。また、カーボンニュートラルへの取り組みの一環として、バイオマス樹脂を用いたナノファイバー開発や、リサイクル素材を活用したろ材の開発を推進しております。

また、原材料価格やエネルギーコスト等の高騰に対する販売価格の改善に努めるとともに、当社の更なる競争力を強化するための原価改善の取り組みとして、プロジェクトPAC24の推進に加え、設計開発段階での機能や材料の見直し、生産プロセスの効率化、品質管理の強化等による製造コストの削減に取り組み、利益の改善に努めてまいります。また、グローバル生産供給体制とサプライチェーンの再構築により、原材料調達の安定化と物流コストの低減を実現することで、外部環境変化やリスクへの適応力の強化を図り、資本効率の更なる改善と収益性の拡大に努めてまいります。

エアフィルタ事業においては、主力製品であるビル空調用フィルタの納期調整の影響等により、減収減益となりました。当社グループは、ロングライフ、低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名NanoWHELP(ナノウェルプ))の供給を開始し、オフィスビルや商業施設、ホテル、病院、工場等への採用が進展しております。当社製品であるNanoWHELPは、自社調べによると他社製エアフィルタに比し、年間で約30%近いCO2の削減効果と同時に光熱費低減効果が期待できる製品であることから、ビル用空調システム市場を中心に今後大きく成長することが見込まれます。また、当社グループは、エアフィルタ性能規格であるアメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)の定めるエアフィルタの性能等級であるMERV(16の等級に区分され最高性能等級は16)において、国内では唯一MERV14・15・16の3つの等級を取得(当社のNanoWHELPが取得)しているフィルタメーカであり、今後、国内市場のみならず、欧米市場をはじめとした、海外市場の開拓にも積極的に取り組んでまいります。更には、このNanoWHELP開発の技術を生かし、熱可塑性高分子系不織布によるナノファイバーHEPAフィルタ(商標名Yamashin Nano Air)の開発に取り組んでおります。本製品は従来のガラス繊維HEPAフィルタとは異なり発癌性のリスクが問われている有機フッ素化合物(以下「PFAS」)を使用しない「PFAS FREE」の製品であり、健康や環境被害を排除するための規制の強化がEUから各国に広がり始めているなか、当社事業の新たな成長の牽引役になることが期待されております。

更には、新たな市場開拓の取り組みとして、Yamashin Nano Filter の新規事業領域における製品開発を継続しております。

今後も当社グループは、総合フィルタメーカとして「環境」「空気」「健康」をテーマに持続可能な社会・経済活動に貢献する企業として社会的責任を果たしてまいります。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は99億8百万円(前年同期比13.8%増)となり、営業利益は13億76百万円(前年同期比227.1%増)、経常利益は14億35百万円(前年同期比243.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は8億70百万円(前年同期比285.0%増)となりました。

 

②連結業績

当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)業績について

(単位:百万円)

 

前中間期

当中間期

増減額

増減率

外部売上高

8,709

9,908

1,199

13.8%

営業利益

(利益率)

420

(4.8%)

1,376

(13.9%)

955

227.1%

経常利益

(利益率)

417

(4.8%)

1,435

(14.5%)

1,018

243.8%

親会社株主に帰属する中間純利益

(利益率)

226

(2.6%)

870

(8.8%)

644

285.0%

 

売上高については、建機用フィルタ事業において17.0%の増収、エアフィルタ事業において4.5%の減収となったことから、全体では13.8%の増収となりました。

営業利益については、建機用フィルタ事業において、収益性の高い補給品売上高の増加や価格転嫁の実施により255.6%の増益となりました。エアフィルタ事業においては48.3%の減益となり、連結では227.1%の増益となりました。

経常利益については、243.8%の増益となりました。

親会社株主に帰属する中間純利益については、285.0%の増益となりました。

 

③事業セグメント別の売上高と営業利益

(建機用フィルタ事業)(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)業績について

(単位:百万円)

 

前中間期

当中間期

増減額

増減率

外部売上高

7,410

8,668

1,258

17.0%

営業利益

(利益率)

381

(5.1%)

1,355

(15.6%)

974

255.6%

 

売上高については、建機の新車需要は前年度を下回る一方で、交換需要の増加により、全体では17.0%の増収となりました。

営業利益については、建機用フィルタの交換需要の増加に伴う補給品売上高の増加に加え、主要得意先への価格転嫁の実施により255.6%の増益となりました。

 

(エアフィルタ事業)(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)業績について

(単位:百万円)

 

前中間期

当中間期

増減額

増減率

外部売上高

1,298

1,240

△58

△4.5%

営業利益
   (利益率)

39

(3.0%)

20

(1.6%)

△19

△48.3%

 

売上高については、主力製品であるビル空調用フィルタの納期調整の影響等により4.5%の減収となりました。

 

営業利益については、販売数量の減少により48.3%の減益となりました。

 

(2)  財政状態の状況

資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。

 (流動資産)
 当中間連結会計期間末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比2億89百万円増加(前連結会計年度末比2.1%増)し、137億77百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が4億12百万円増加(前連結会計年度末比8.1%増)、受取手形及び売掛金2億47百万円増加(前連結会計年度末比7.1%増)した一方で、電子記録債権が3億27百万円減少(前連結会計年度末比24.6%減)したことによるものです。

 

 (固定資産)
 当中間連結会計期間末における固定資産の残高は、前連結会計年度末比1億81百万円減少(前連結会計年度末比1.5%減)し、122億73百万円となりました。その主な要因は、建物及び構築物が1億3百万円減少(前連結会計年度末比2.1%減)、機械装置及び運搬具が1億円減少(前連結会計年度末比8.1%減)、繰延税金資産が1億21百万円減少(前連結会計年度末比19.6%減)した一方で、投資その他の資産のその他が1億24百万円増加(前連結会計年度末比58.7%増)したことによるものです。

 

 (流動負債)
 当中間連結会計期間末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比3億91百万円減少(前連結会計年度末比10.2%減)し、34億36百万円となりました。その主な要因は、短期借入金が2億25百万円減少、未払金が1億62百万円減少(前連結会計年度末比36.7%減)したことによるものです。

 

(固定負債)
 当中間連結会計期間末における固定負債の残高は、前連結会計年度末比1億72百万円減少(前連結会計年度末比21.2%減)し、6億43百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が2億1百万円減少(前連結会計年度末比63.1%減)したことによるものです。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末比6億71百万円増加(前連結会計年度末比3.2%増)し、219億70百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が6億58百万円増加(前連結会計年度末比8.3%増)、自己株式が1億33百万円減少(前連結会計年度末日は2億32百万円)した一方で、為替換算調整勘定が1億61百万円減少(前連結会計年度末比21.7%減)したことによるものです。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前中間連結会計期間末より1億38百万円増加し、52億25百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、14億38百万円(前年同期は得られた資金は11億92百万円)となりました。

その主な内訳は、税金等調整前中間純利益13億79百万円、減価償却費の計上3億72百万円があった一方で、法人税等の支払額による支出3億53百万円があったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、3億29百万円(前年同期は使用した資金は1億27百万円)となりました。

その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出2億81百万円があったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、6億94百万円(前年同期は使用した資金は1億48百万円)となりました。

その主な内訳は、長期借入金の返済による支出2億1百万円、短期借入金の返済による支出2億25百万円、配当金の支払2億11百万円があったこと等によるものです。

 

(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題

 1.経営方針

当社グループの経営理念は「仕濾過事」(ろかじにつかふる)であります。この経営理念には、当社の創業者である山崎正彦のフィルタビジネスを通じて社会に貢献するという意思が込められており、当社グループは、この不変のDNAを通じ、フィルタビジネスを通じて「環境」、「空気」、「健康」をテーマに持続可能な社会の実現のための課題解決に取り組み、コーポレートサステナビリティの更なる強化に努めるとともに、企業価値の最大化を図ってまいります。

 

2.目標とする経営指標

当社は経営指標として「MAVY’s(マービーズ)」という独自の指標を設けております。MAVY’sは投下資本を通じ獲得される事業収益から創出される付加価値の定量指標であり、当社の企業価値の持続的成長を判断する最重要経営指標であります。また、「MAVY’sのスプレッド」の目標を毎期設定し、常に資本コスト(WACC)の最適化と収益力(ROIC) の最大化を図ることにより長期的持続的成長に努めてまいります。このMAVY’s経営においては、達成すべき目標値(KGI)としてROEやPBRを重要な経営指標として設定するとともに、各KGIを達成するための主要プロセス目標(KPI)を具体的に設定し、KGI やKPIを達成するための各部門別行動目標(KSF)や従業員各人別の目標を定量・定性的に明確に設定することにより、全社一体となった企業価値向上に向けた取り組みを行っております。

 

3.中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

① 効率的な資本運用による持続的な企業価値の向上

当社は企業価値指標としての「MAVY’s」の持続的な拡大を経営の基本としております。しかしながら当社の平均資本コスト(WACC)は約7.5%、また前期のROICは約4.9%であり資本コスト割れの状況であります。このため、ROICを8.0%以上に改善することが喫緊の重要課題となっております。そのためには、主力事業の建機用フィルタ事業における事業構造の改善を促進すると同時に、ナノファイバー技術による先端素材を建機用フィルタ事業やエアフィルタ事業により積極的に展開し、新規事業分野への進出等を図り、より付加価値の高いビジネスを創出してまいります。この事業計画は中期経営計画として開示を行ってまいります。また、当社のエクイティストーリーを反映した事業計画書を策定開示し、当社の目指す長期的持続的な成長性を明確に示すことによりPBRの向上にも努めてまいります。

 

② 持続可能な環境や社会を実現するための取り組み

当社は持続可能な環境・社会を実現するための取り組みとして、気候変動に対する取り組み及び人的資本への積極的な投資を掲げております。具体的には、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同を表明し、CDPを通じ当社の二酸化炭素排出量削減や気候変動に対してどのような取り組みを行っているのかを開示しておりますが、更に中長期的な温室効果ガス排出量の削減目標を具体的に設定することにより、SBT(Science Based Targets)の認定取得に向けた取り組みを進めてまいります。また、人的資本への投資としては、「多様な価値観を持つ人的資本」への投資を図ることを通じ、従業員等にとり「ウェル・ビーイング」な社会を実現すべく努めてまいります。

(注)サステナビリティレポート (https://www.yamashin-filter.co.jp/ja/sustainability.html)

 

③ コーポレート・ガバナンス機能の充実

当社グループは、コーポレート・ガバナンス及び経営課題に関する事項等について幅広く議論し、コーポレート・ガバナンス機能の継続的な充実を図ることを目的とした取締役会の諮問機関として、ガバナンス委員会を設置しております。同委員会は、取締役会の経営の監督機能の実効性の評価、課題に対する取締役会への助言、改善提案、報告、執行役員への通知といった活動を行っております。同委員会は透明性及び客観性を確保するため、委員は独立社外取締役で構成されております。

また、グループ会社が行う業務執行に関するリスクの監視・牽制機能(モニタリング)、内部監査で実施される評価業務の支援を目的とした社内委員会として、代表取締役社長の諮問機関である業務監理委員会を設置しております。この内部統制組織の拡充強化を通じ、当社連結グループ全体のガバナンス及びコンプライアンスの更なる改善を図ってまいります。当社はこのようなガバナンス委員会及び業務監理委員会の活動を通じ、より一層牽制機能の強化等による業務執行の適切な監督を行うことで経営の透明性と質の向上を図り、アカウンタビリティ(説明責任)をより明確に果たし、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

(注)有価証券報告書 (https://www.yamashin-filter.co.jp/ja/ir/library/securities.html)

 

(5)経営方針、経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針、経営戦略等については、(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりであり、重要な変更はありません。

 

(6)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題については、(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりであり、重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

当中間連結会計期間における研究開発費の総額は1億92百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。