第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 なお、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

当中間連結会計期間における我が国経済は、雇用環境の改善等により経済活動は緩やかな回復基調で推移しました。一方、欧米の金融政策の転換、また長期にわたる不安定な国際情勢に加え、原材料やエネルギー価格の高止まりや物価上昇等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。

当アパレル業界におきましては、地域や販路によってインバウンド消費の伸長といった効果も見られたものの、物価高による消費者の生活防衛意識は更に高まっており、回復ペースはやや鈍化傾向にあります。

このような経営環境のもと、当社グループにおきましては、2023年度からスタートした「新中期3ヵ年経営計画」に掲げた基本方針を着実に実行することで、売上および収益の拡大に取り組んでおります。なお、各施策に対しての具体的な進捗状況は以下のとおりであります。

 

① オリジナルブランドの構築

百貨店チャネルのドレスシャツ売場におきましては、継続して実施している「CHOYA」ブランドのコーナー化・一社化・ショップ化の営業政策により、当中間連結会計期間末の既製ドレスシャツのシェアは77%、同じくオーダーシャツのシェアも77%と、前連結会計年度末から2ポイント伸ばすことができました。その結果、売上高・粗利益につきましては、前年同期を上回る実績で推移いたしましたが、昨今の原価高騰の影響等により、粗利率は前年同期比で0.7ポイントダウンしました。既製ドレスシャツにつきましては、地域特性・店舗特性に適応した新たなスタイルと価格のバリエーションを提案強化しており、「CHOYA」ブランドの超形態安定シャツ・スリムフィットに加え、9月より展開開始しました前身頃と後身頃のサイズバランスをアレンジした「クリーンフィット」も好調に動き出しました。加えて、2024年12月展開予定のレディースシャツを拡充することで、更なるFAN獲得を図ってまいります。

オーダーシャツにつきましては、ライセンスブランドの絞り込みに伴い、「CHOYA」ブランドの品揃えを充実させるなど、店頭フェイスの拡大を図ることで、お客様への認知度をアップさせております。

また、既製品の主力商品である「CHOYA SHIRT FACTORY アポロコット」のサイズオーダーを、2024年10月中頃からの展開に向け準備を進めており、更にオリジナルブランドの拡充を図ることにより、売上高・粗利益の拡大および、粗利率の向上に努めてまいります。

 

量販店チャネルの消費者直販型事業である「SHIRT HOUSE」は、量販店ドレスシャツ売場で当社商品によるコーナー展開をしているコンセ店舗です。この「SHIRT HOUSE」におきましては、当中間連結会計期間末の店舗数は、出退店による増減の結果、前連結会計年度末からは3店舗減の116店舗となりましたが、10月には2店舗の出店を予定しており、今後も出店攻勢を続けてまいります。2024年の夏物におきましては、さらにビジネスウェアのカジュアル化が加速したことにより、布帛シャツの動きは鈍化しましたが、ビズポロやビジネスTシャツ、シャツジャケットなどの売上は伸長しました。その結果、売上高につきましては前年同期並みの実績となり、粗利益につきましては上代アップ等の効果もあり、前年同期を上回る実績となりました。

今後の商品政策といたしましては、既に展開している「SWAN」ブランドのグリーンレーベルに加え、2024年秋物より、ホワイトレーベル・ブルーレーベル・ブラックレーベルのラインナップを増やすことでフェイス拡大を図り、当社のシェアアップに向け、続けてチャレンジしてまいります。

 

② BtoCの強化による収益アップ

消費者直販型事業(BtoC)のネット販売におきましては、自社サイトである山喜オンラインショップの会員数が、前連結会計年度末の33,144名から、当中間連結会計期間末では、36,589名にまで増加し、売上高・粗利益が伸長しております。商品面においては、主軸である「CHOYA」ブランドでのWEB限定販売品として、日本製を訴求した「CHOYA1886」、ノーアイロンニットシャツの「SHIRT MAKER CHOYA」の販売をスタートしました。引き続き、集客力向上策としてSNSの活用などによる「顧客接点」の強化と、来店客の転換率向上を目的とした「顧客体験」の強化への取り組みを受け皿とし、さらなる売上・収益の拡大を図ってまいります。

 

百貨店チャネルの既製ドレスシャツ・オーダーシャツ売場の消費者直販型事業におきましては、取引形態の消化売上移行による条件改定、小売価格のアップ等により、収益が安定的に維持できております。今後は、都心大型百貨店の販売員増によるシェアアップを図り、継続的に進めている消化売上店舗の拡大と、コーナー化・一社化による「CHOYA SHIRT SHOP」、洋品メーカー連合による「STYLE WORKS」直営店の新規出店も視野に入れ、収益拡大に努めてまいります。また、既存店である「STYLE WORKS大阪上町店」においては、専任販売担当の配置および、協賛メーカーからの品揃えの拡充により、売上の拡大に注力してまいります。

 

量販店チャネルの消費者直販型事業である「SHIRT HOUSE」におきましては、小売価格の見直し、コーディネイト販売の強化、店頭販売員のスキルアップの教育などを徹底したことにより、売上・収益面ともに堅調に推移しております。引き続き、店舗数の拡大を図り、1店舗あたりの運営効率を向上させるために、無人店舗を減らし販売員付きのコンセ売場を拡充することにより、売上と収益の最大化を目指してまいります。

 

③ ドレス・カジュアル・レディース・ユニフォームの新商品開発と売上拡大

ドレスシャツにおきましては、2024年夏物商戦は猛暑の影響により、接触冷感や遮熱効果を付加したアイテムや、ニット素材のビズポロなどが伸長しましたが、従来の布帛半袖シャツにつきましては低調な動きとなりました。前期から継続して実施している納品価格交渉の成果と、為替予約方法の見直しにより粗利率は改善できたものの、原価高の影響と受注不足により売上高・粗利益につきましては、前年同期を割り込む結果となりました。2025年春夏物に向けては、吸湿吸熱冷感機能のキシリトール・ドットコーティング加工素材の「ひやっとクール」シャツや、日傘のようなUVカット・熱遮断効果の「ヒートガード」シャツなど、新商品の提案を強化し、受注拡大に努めてまいります。

 

カジュアルにおきましては、夏物商戦の前半は、ビジカジアイテムが好調に推移しました。しかしながら夏物商品の受注不足や、秋物初回納品の納期遅れにより、売上高・粗利益は前年同期を下回る結果となりました。今後につきましては、既存ブランドの改廃や新しいライセンスブランドの展開などを視野に入れ、受注拡大を図ってまいります。

 

レディースにおきましては、リアル店舗で販売している商品をECサイトでも販売する販促連動商品が活発化しており、売上が伸びてきております。また、夏物では、合繊素材を使用したソフトブラウスが好調に推移しましたが、秋物の受注不足の影響もあり、売上高・粗利益につきましては、前年同期を下回る結果となりました。今後の商品政策といたしましては、合繊ソフトブラウスやTブラウスの企画提案を強化し、素材から縫製までを短サイクル生産することにより、受注強化を図ってまいります。

 

ユニフォーム関連におきましては、イージーケア性に優れたトリコット素材を使用した制服やスクールシャツが好調なことから、新商品の提案を強化することで、売上の拡大を図ってまいります。

 

④ 生産事業

国内自社工場におきましては、原価高・物価高および上代アップの影響で、オーダーシャツの受注が減少したことにより、生産枚数が前年同期を下回る結果となりました。10月以降は受注の増加が見込まれること、更に固定費等の見直しを行い経費効率の改善を進めることなどにより、業績の向上を図ってまいります。また、メンズシャツジャケット・レディースシャツブラウス・レディースシャツワンピースなど、継続して実施しているドレスシャツ以外のアイテムの生産を強化し、受注拡大と安定稼働に努めてまいります。

海外生産事業の上海山喜は、中国国内経済低迷の影響もあり、売上高・利益とも前年同期を下回る結果となりました。今後は、東南アジアの生産工場との連携を強化し、新規受注の拡大を図ってまいります

ラオ山喜は、売上高・利益とも前年同期を上回り、下期以降も安定受注が見込まれることから、生産効率の向上を図ることにより、さらなる収益拡大を目指してまいります。

タイ山喜は、抜本的な収益改善策として生産ラインの閉鎖を実施し、海外営業および販売拠点として事業再編をおこなうことで業績の回復に取り組んでまいります。

 

⑤ SDGsの取り組み

持続可能な社会の形成として、リサイクル素材の使用はもちろんのこと、ドレスシャツのプラスチック製付属品を2030年までに全廃する取り組みを始めており、環境省の「プラスチック・スマート(脱プラスチック)」運動にも登録し、活動を強化しております。また、シャツ製造時において、生地を裁断した際にでる「ハギレ」を紙に混ぜ込んで「混抄紙」として再生し、社員の名刺に使用しており、今後は更に用途を増やしていく予定です。

 

この結果、当中間連結会計期間の業績は、連結売上高56億73百万円(前年同期は61億56百万円)、営業利益99百万円(前年同期は2億81百万円)、経常利益71百万円(前年同期は3億47百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益1億14百万円(前年同期は2億56百万円)となりました。

 

事業セグメントごとの業績は次のとおりであります。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高を含めて表示しております。

① 国内販売

国内販売セグメントは上述の要因により、売上高49億20百万円(前年同期は53億47百万円)、セグメント利益1億44百万円(前年同期は2億33百万円の利益)となりました。

② 製造

製造セグメントにおいては、売上高は増加しましたが、原価・物価高等による国内販売の仕入抑制により、生産効率が下がったことや、製造人件費の増加等により、売上高は12億24百万円(前年同期は11億52百万円)、セグメント損失67百万円(前年同期は7百万円の利益)となりました。

③ 海外販売

海外販売セグメントにおいては、売上高は1億92百万円(前年同期は3億円)、4月から引き続き、中国国内の景気が後退し、売上高は減少しましたが、売上原価の削減により、セグメント利益16百万円(前年同期は16百万円の利益)となりました。

 

(2)財政状態の分析

当中間連結会計期間末の総資産は113億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億59百万円増加いたしました。この主な要因は、現金及び預金の増加によるものであります。

当中間連結会計期間末の負債は70億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ71百万円増加いたしました。この主な要因は、借入金の増加等によるものであります。

当中間連結会計期間末の純資産は42億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円増加いたしました。この主な要因は、利益剰余金の増加等によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ2億94百万円増加し12億12百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間に営業活動により得た資金は、2億51百万円(前年同期は8億47百万円の収入)となりました。これは主に棚卸資産の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により得た資金は、31百万円(前年同期は68百万円の支出)となりました。これは主に定期預金の減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、7百万円(前年同期は5億32百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出によるものであります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

特記すべき事項はありません。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因

当中間連結会計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。

 

(7)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年4月9日開催の取締役会において、株式会社フェールムラカミ(本社:新潟県村上市坪根521番地6)の全株式を取得し、子会社化することについて決議し、株式譲渡契約を2024年4月10日に締結いたしました。なお、2024年5月1日付で対象会社の全株式の取得を完了しております。

詳細は「第4 経理の状況 1中間連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。