当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間連結会計期間における世界経済は、依然としてロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢等による先行き不透明感があるものの、世界的に高インフレの落ち着きなどを背景に、先進国の中央銀行の多くは利下げに軸足を移し、底堅い成長を維持しています。また米大統領選挙の動向に注目が集まっています。
このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初40,646.70円で始まりました。当初は、米利下げ期待の後退による米長期金利の上昇が嫌気され、東京株式市場でも幅広い銘柄に利益確定売りがでました。中東情勢の緊迫化もあり、日経平均株価は4月19日に36,733.06円まで下落する場面がありました。一時ボックスでのもみ合いとなりましたが、米利下げ期待等を背景に日経平均株価は7月11日には終値で42,224.02円を付け、史上最高値を更新しました。その後、7月末の日銀の利上げや米景気の先行き不安等が発生したことで、パニック的な売りが広がり、日経平均株価は急落し、8月5日には安値31,156.12円まで下落する場面がありましたが、乱高下しながらも戻りを試す展開となり、9月末の日経平均株価は37,919.55円で取引を終了しました。
米国株式市場において、ダウ工業株30種平均は期初39,807.93米ドルで始まりました。米国経済が好調であることを示す経済指標の発表が相次ぎ、原油高も相まってインフレ鎮静化が遅れ米連邦準備理事会(FRB)の利下げが遠のくとの見方が広がりました。その結果、米長期金利は上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、4月17日にダウ工業株30種平均は安値37,611.56米ドルを付けました。その後、好調な企業業績や労働市場の過熱感が薄れたことで、FRBが年後半に利下げを始めるとの観測を受けダウ工業株30種平均は戻りを試す動きになりました。9月17日~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりの大幅利下げを受け、米景気がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方が強まり、ダウ工業株30種平均は9月27日に史上最高値42,628.32米ドルを付け、9月末は42,330.15米ドルで取引を終了しました。
当社が注力している中国・香港株式市場においては、主要株価指数であるハンセン指数は期初16,811.74ポイントで始まりました。4月に中国政府が株式市場の健全化に向けた取り組みを発表したことに加え、1~3月GDPが予想を上回ったことから買い直され、5月20日に高値19,706.12ポイントと20,000ポイントに迫るまで回復しました。その後は景気減速懸念からじり安となり、8月5日に16,441.44ポイントまで下げました。しかし、8月になってからは米利下げ期待が高まり、株価は反発し、8月30日に一時18,000ポイント台を回復しました。9月に入り再び値を消す局面もありましたが、9月24日に中国金融当局が0.5%の既存住宅ローン金利引き下げを含む大規模金融緩和を発表すると、同指数は連日の急反発を展開し、9月24日から30日の5日間で15.8%上昇し、9月末は21,133.68ポイントと、2023年2月以来の高値で取引を終了しました。
このような状況のもと、当中間連結会計期間の当社グループの業績は、投資信託の代行手数料や金融収支が増加したものの、投資信託の販売手数料が減少したため、営業収益は55億57百万円(前中間連結会計期間比2.6%減)、経常利益は4億37百万円(前中間連結会計期間比20.6%減)になりましたが、投資有価証券売却益(特別利益)を計上したため、親会社株主に帰属する中間純利益は14億19百万円(前中間連結会計期間比200.4%増)になりました。
なお、主な内訳は以下のとおりであります。
受入手数料の合計は42億55百万円(前中間連結会計期間比6.1%減)になりました。科目別の概況は以下のとおりであります。
(委託手数料)
当中間連結会計期間の東証の1日平均売買代金は5兆3,447億円(前中間連結会計期間比26.6%増)になりました。当社の国内株式委託売買代金は4,679億円(前中間連結会計期間比9.5%増)、外国株式委託売買代金は241億円(前中間連結会計期間比7.2%減)になりました。その結果、当社グループの委託手数料は17億94百万円(前中間連結会計期間比2.2%減)になりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は債券の引受高が増加したため7百万円(前中間連結会計期間比28.7%増)になりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
主に証券投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は株式投資信託の募集金額が425億円(前中間連結会計期間比28.8%減)に減少したため10億90百万円(前中間連結会計期間比32.1%減)になりました。
(その他の受入手数料)
証券投資信託の代行手数料が中心のその他の受入手数料は株式投資信託の預り資産の平均残高が3,373億円(前中間連結会計期間比23.5%増)に増加したため13億63百万円(前中間連結会計期間比25.7%増)になりました。
トレーディング損益は米国株店頭取引売買代金の増加等により株券等が7億83百万円(前中間連結会計期間比5.5%増)、外国債券の売買損益の減少等により債券等が2百万円(前中間連結会計期間比93.0%減)、米国株取引に係る為替手数料の増加等によりその他が1億35百万円(前中間連結会計期間比17.7%増)で合計9億21百万円(前中間連結会計期間比2.4%増)になりました。
金融収益は信用取引収益及び受取利息の増加により3億32百万円(前中間連結会計期間比35.3%増)、金融費用は支払利息の増加等により74百万円(前中間連結会計期間比16.2%増)で差引金融収支は2億57百万円(前中間連結会計期間比42.1%増)になりました。
販売費・一般管理費は、賞与引当金繰入額の減少等により人件費が25億24百万円(前中間連結会計期間比8.0%減)、システム費用の増加等により事務費が10億60百万円(前中間連結会計期間比18.2%増)で合計51億87百万円(前中間連結会計期間比0.5%減)になりました。
営業外収益は投資有価証券配当金の増加により2億8百万円(前中間連結会計期間比8.1%増)、営業外費用は子会社の為替差損の減少等により4百万円(前中間連結会計期間比60.2%減)で差引損益は2億4百万円(前中間連結会計期間比12.6%増)になりました。
特別利益は投資有価証券売却益により11億30百万円(前中間連結会計期間比996.0%増)、特別損失は事務所閉鎖損失により9百万円(前中間連結会計期間比77.5%減)で差引損益は11億20百万円(前中間連結会計期間比10億61百万円増)になりました。
資産合計は800億34百万円と前連結会計年度末に比べ7億15百万円の減少になりました。主な要因は、現金・預金が61億26百万円増加、顧客分別金信託が32億74百万円、投資有価証券が22億96百万円、信用取引貸付金が9億8百万円減少したことによるものであります。
負債合計は416億11百万円と前連結会計年度末に比べ2億65百万円の増加になりました。主な要因は、その他の預り金が58億15百万円増加、顧客からの預り金が27億42百万円、信用取引貸証券受入金が8億65百万円、繰延税金負債が7億41百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は384億23百万円と前連結会計年度末に比べ9億81百万円の減少になりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が15億62百万円減少、利益剰余金が5億85百万円増加したことによるものであります。
当中間連結会計期間における、現金及び現金同等物の中間期末残高は306億95百万円と前中間連結会計期間末に比べ26億29百万円の増加になりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、立替金及び預り金の増減額32億71百万円(前中間連結会計期間比28億 36百万円の減少)、顧客分別金信託の増減額30億31百万円(前中間連結会計期間比51億55百万円の増加)、信用取引負債の増減額△10億85百万円(前中間連結会計期間比17億49百万円の減少)等により58億46百万円(前中間連結会計期間比46百万円の増加)になりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入11億33百万円(前中間連結会計期間比4億26百万円の増加)、定期預金の払戻による収入1億97百万円(前中間連結会計期間比13億52百万円の減少)等により10億97百万円(前中間連結会計期間比6億51百万円の減少)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額△8億33百万円(前中間連結会計期間比6億66百万円の減少)、前中間連結会計期間に計上した長期借入金の返済による支出△20億円がなくなったこと等により△6億58百万円(前中間連結会計期間比5億43百万円の増加)になりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営方針、経営環境等について重要な変更はありません。
なお、当中間連結会計期間末から当半期報告書提出日までにおいて、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について以下の変更を行いました。
当社は、2024年10月30日開催の取締役会において、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、現状分析と評価を実施し、改善に向けた今後の取組方針を決議しました。
① 現状分析・評価
当社の今期の株主資本コストが6~7%程度である中、直近5事業年度では、赤字が2期あり、残り3期のROE(自己資本利益率)は、2~4%弱の水準で推移しており、当中間連結会計期間末現在、PBR(株価純資産倍率)は1倍を下回る状況となっております。現在進行中の第六次中期経営計画では、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に向けて、全てのステークホルダーの皆さまのご期待に応えるには十分とは言えない数値目標等であり、更なる成長戦略が必要となるため、改めて第六次中期経営計画の見直しを行いました。
② PBR1倍以上を目指すため
当社は、株主資本コストについては、客観的な市場データから機械的に算出可能なCAPM(資本資産価格モデル)を用いております。当社の主たる業は金融商品取引業であり、市場環境の変動の影響により業績が大きく変動する業界であります。業績を安定させるため、2023年10月に第六次中期経営計画を一部見直し、株式投信残高の増加による信託報酬の増加に努めてまいりました。ROE(自己資本利益率)が直近の株主資本コスト6~7%を超えるためには、更なる成長戦略が必要となるため、改めて第六次中期経営計画の見直しを行います。第六次中期経営計画の見直しにより、計画期間を延長し、業績の安定的成長を図ります。
当社の株価がPBR1倍以上となることを目指すため、2027年3月期までは、これまで財務戦略で進めていた投資有価証券の売却を加速させ、特別利益を計上します。
あわせて資本効率の観点も踏まえ、証券業とのシナジーを得られるような新規投資も含めた資産の取捨選択、バランスシートの見直しを継続的に図ります。
③ 株主還元の充実
当社は、2022年12月26日より配当性向60%以上を方針としております。資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について現状分析と評価を実施したところ、株主還元の充実を図る必要があると認識しました。
2027年3月期までは、同期間の事業活動の結果、利益の場合は普通配当と特別配当を合せて1株あたり50円をお支払いする方針です。
2025年3月期の普通配当金、特別配当金の正式発表は、2025年3月中旬ですが、現段階での方針として2024年10月30日に公表いたしました。
※配当予定
④ 株主・投資者・お客さまならびに全てのステークホルダーの皆さまとの対話を強化
当社は、中長期的な企業価値向上の実現に向けて実効的な対話を行うためには、継続的な株主・投資者・お客さまをはじめ、従業員等を含む全てのステークホルダーの皆さまとの信頼関係の構築が重要であると認識しております。また、信頼関係の構築には、これまで以上の対話と情報の開示が大切であると考えております。
現在は、金融商品取引法その他法令および証券取引所の適時開示規則等に基づくIR活動を中心としておりますが、今後はホームページのリニューアル等を行い、PR活動等も積極的に行います。
⑤ 第六次中期経営計画の見直し
概要と目標 ~ 見直し後の中期経営計画の概要と目標
<数値目標他>
※ KGI:重要目標達成指標 KPI:重要業績評価指標
⑥ 廃止する内容
概要と目標
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」中の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
なお、当中間連結会計期間末から当半期報告書提出日までにおいて、当社グループが定めている優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について変更を行いました。変更内容については上記(4) 経営方針・経営戦略等に合わせて記載しております。
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「株式会社の支配に関する基本方針」について重要な変更はありません。
該当事項はありません。
著しい増減はありません。
当社グループの主たる事業区分は、「投資・金融サービス業」という単一の事業セグメントに属しており、当該箇所において記載できる情報がないことから、当該業務の収益の状況等については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
著しい変更はありません。
当社グループの営業収益は、中核事業が金融商品取引業であることから国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けるため、不安定な状況にあります。そのため、現在、預り資産の残高拡大を中心に顧客基盤の拡充を通して得られる安定的な収益の確保を目指しております。
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが、預り金の増加等により58億46百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが、投資有価証券の売却による収入等により10億97百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが、配当金の支払額等により6億58百万円の支出となりました。
この結果、当社グループの現金及び現金同等物の中間期末残高は前連結会計年度末に比べ61億28百万円増加の306億95百万円となり、十分に資金の流動性が確保されております。
また、不測の事態に備えるため、当社は取引銀行11行それぞれと当座貸越契約、連結子会社は取引銀行1行と当座貸越契約を締結しております。このほか、緊急時対応についてもコンティンジェンシープランを策定し、全社的な緊急時対応体制を構築しております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。