第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「IT技術教育(人材育成)によりビジネスを創造し、社会の発展に貢献する」ことを経営方針として掲げております。具体的には、当社グループの強みである採用力とIT技術教育によりIT人材を創出し、顧客のITプロジェクトを支援することに加え、当社のIT技術教育ノウハウを広く社会に還元することでITエンジニアのスキルアップや付加価値創出を行う企業として社会の発展に努めてまいります。また、「みどりクラウド」をはじめとしたIT技術力を生かした独自商品サービスや新商品を開発・展開し、デジタルトランスフォーメーション領域において社会課題を解決するITビジネスを展開することで、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

 現在のわが国経済は、欧米における高い金利水準の継続や、中東地域をめぐる情勢、中国経済の先行き懸念など、海外の影響により先行き不透明な状況ではあるものの、雇用・所得環境の改善が進むなど、各種政策の効果もあって景気は緩やかな回復基調にあります。そのような中、当社グループの将来の業績は、技術力の高いエンジニアの確保とその稼働率の多寡にかかっております。これを実現するために、優秀な人材の採用及び育成、営業の強化、新規事業の開発と拡大、企業の社会的責任への取り組みへの対応について、バランスを取りながら永続して強化を図ることが最大の課題であると認識しております。

 そこで、当社グループは、以下のような点に留意し経営活動に取り組んでまいります。

 

① 優秀な人材の確保、育成

 当社グループは、顧客にIT技術を提供できる人材を自社で採用し、入社後の技術研修をはじめとした社内教育を行うことでIT技術とビジネススキルを備えた人材を顧客に提供できることを強みとしております。

 そのため当社グループでは、現在の採用活動及び研修制度をさらに発展させ、素養の高い人材の採用強化を図るとともに、高難度のIT技術研修を実施することで、質の高いサービス提供の実現に取り組んでまいります。

 

② 大規模プロジェクトを取りまとめるプロジェクトマネジャー(PM)の育成

 高付加価値の大規模プロジェクトをより多く受注し、また受注したプロジェクトを円滑に進行するためには多数のプロジェクトマネジャーの確保が必要不可欠となります。

 そのため当社グループでは、プロジェクトマネジャーを育成するための研修制度を整備し、高付加価値の大規模プロジェクトをより多く受注できる体制構築に取り組んでまいります。

 

 ③ 営業の強化

 エンジニアのキャリアアップを実現するためには大規模プロジェクトを受注するための営業力や、みどりクラウドやSalesforceをはじめとする先端DXソリューションを顧客に提案する営業力などが必要不可欠となります。

 そのため当社グループでは、営業個人の提案力、営業力の強化を図るための研修制度の整備や多様な営業手法の導入を行ってまいります。また、営業体制を拡大することや顧客満足の向上を図るため営業部門と技術部門の連携強化についても取り組んでまいります。

 

④ 新規事業の開発と拡大

 長期にわたる企業成長を実現するためには、次なる成長のための新規事業の開発と拡大が重要と考えております。

 農業IoT分野の「みどりクラウド」、AI分野の「NewtonX」をさらに拡大させるとともに、引き続き新規事業の研究開発にも取り組んでまいります。

 

⑤ 企業の社会的責任への取り組み

 当社は、経営理念の1つである「世の為人の為に、貢献する」を実践するため、CSR(企業の社会的責任)活動に積極的に取り組んでおり、次の二点につきましても徹底した取り組みを図ってまいります。

(a)企業統治に係る責任の自覚

 当社グループは、監査役監査及び内部監査の充実並びに管理部門をはじめとした内部管理体制の充実により、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、リスク管理体制の整備と実効的な運用を図ってまいります。

 

 

 

(b)企業モラルの堅持

 当社グループは、顧客企業の機密厳守をはじめとする厳格な情報管理が事業活動継続の生命線と考えており、ISO27001(ISMS)を取得しております。引き続き、このような意識を経営幹部以下全ての従業員に自覚させるために、入社時及び随時に研修を行い、教育・啓蒙を行ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に対して、以下の経営理念のもと、社長を最高責任者としてサステナビリティへの取り組みを強化しております。 取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、適宜対応方針及び実行計画について活発な協議を行っております。

<経営理念>

・永続的に発展する企業を目指す

・変化にチャレンジする

・世の為人の為に、貢献する

・社員の幸福を追求する

 

詳細は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2)戦略

当社は、社会課題への取り組みを推進することで、グループとして長期的な成長基盤を構築し、社会的価値の創造と社会の発展に寄与しております。

これまで、ITインフラ分野を中心にIT人材の育成を積極的に行ってまいりました。持続可能かつ強固なITセキュリティの構築や顧客ニーズに合わせたサービスの提供など、IT社会におけるシステムの安全な運用を支えるだけでなく、IT未経験者を独自の教育モデルや研修システムによってIT技術者へ転換するなど、社会全体が抱えるIT人材不足という大きな課題に対してアプローチしております。また、技術領域を積極的に広げ、AIやIoTなど先端技術領域において新たなイノベーションを創出しております。

その他、当社独自のサービスとして、農水産DXプラットフォーム「みどりクラウド」「ファームクラウド」、農水産ソリューション「みどりクラウド らくらく出荷」を展開しております。データ活用や生産者支援プラットフォームだけでなく、第一次産業全体を領域とした総合ソリューションを提供し、農業分野をはじめとする第一次産業の生産性向上や活性化といった社会的課題の解決をIT技術によって果たしてまいります。また、企業におけるAI活用による業務変革を推進すべく、安心安全にChatGPTを利用するための法人向けサービス「NewtonX」の導入・活用支援サービスを行っております。

こうした事業を支え、経営戦略を実現するために最も重要な資本は「人財」であることを認識し、人的資本の価値を高めるべく、様々な取り組みを行っております。人材の多様な視点や価値観を尊重するほか、タレントマネジメントシステムによる人材価値の可視化、健康増進に向けたウォーキングプログラムなど実効性のある取り組みを強化し、健康経営を推進してまいります。

当社の人材育成方針及び社内環境整備方針は以下のとおりであります。

 

人材育成方針

 当社は、「企業としての永続的な発展」及び「社員の幸福の追求」のために、変化の速く、大きいIT業界において、それぞれの領域で活躍できる「主体的に学び、となりの人と共に成長し続ける人材」の育成を目指します。

 その実現に向けて、包括的な教育体系とナレッジデータベースの整備等による「知の共有」を図るとともに、スキルの可視化による戦略的なローテーションや業務アサインを実施することで、業務経験を通じたスキルアップ・キャリアアップ機会の創出を図ります。また、適切な評価・フィードバックによって社員の成長意欲を醸成するとともに、主体的な学びを支援することで、専門性を有した多様な人材を育成し、組織力の強化を図ります。

 リスキリングを通じたIT人材の創出を継続しつつ、付加価値の高いIT技術を持つプロフェッショナル人材の育成にも注力し、人材投資を積極的に行うことで、デジタルインテグレーターとして社会やお客様により一層の価値を提供できるよう、経営戦略や人事戦略と一体となった人材育成を促進していきます。

 

社内環境整備方針

 年齢や性別、国籍に関わらず、社員一人ひとりがやりがいと誇りをもって働けるよう、多様な人材の活躍を支援する働きやすい社内環境の整備に努めています。リモートワーク等を含む柔軟な働き方の実現や出産・育児・介護などに対しての制度整備を進めるほか、自社サービスを含めた健康経営の推進を行い、社員の健康、幸福を実現することによって、会社の永続的な発展を目指しています。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関するリスク及び機会について、サステナビリティ委員会での審議・検討と共に、必要に応じて取締役会における審議・決議を行い、当社グループにおいて発生し得る損失の危険に対応するための取り組みの検討や具体的な指示を、当社グループ内へ展開しております。

 

詳細は、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 上記「(2) 戦略」において記載した、人的資本の充実・強化と併せて、施策を継続的に評価・管理するための指標及び目標の設定を検討してまいります。なお、当連結会計年度末現在、人材育成方針及び社内環境整備方針に関連して管理している指標に関する目標とその実績は、次のとおりであります。

 

 人的資本に関する事項

指標

目標

実績

女性管理職比率

10%以上

2028年8月末までに)

7.0%

一月あたりの労働者の平均残業時間

20.0時間未満を継続

10.6時間

年次有給取得率

70以上

84.7

障がい者雇用率

法定雇用率の維持

2.50

(2024年8月時点)

ウォーキングキャンペーン参加者数

-

953

(2024年5月開催)

健康管理アプリ*利用者数

(*自社アプリ/ココカラダイアリー)

-

2,381

※指標及び目標は、提出会社のものを記載しております。

 

詳細は、「第1企業の状況 5従業員の状況」をご参照ください。

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境の変化に伴う当社の優位性低下

 当社グループは、IT技術を中核とし、他領域へ事業を水平展開することでドメインの拡大を図り、各事業領域では、オンサイト型、ソリューション型の技術支援に加え独自の新商品サービスを展開し技術の高度化を図ってまいりました。しかしながら、事業環境の変化に十分な対応ができなかった場合、若しくは、顧客のニーズを的確に捉えたサービスを提供できなくなった場合やそれ以外の何らかの要因により当社の競争力が低下した場合には、当社の事業戦略、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(2)景気動向及び業界動向の変動による影響

 当社グループが提供するサービスは、企業を取り巻く環境や企業経営の効率化などの動きにより、顧客のITに対する投資抑制策等の影響を受けることから、経済情勢の変化に伴い事業環境が悪化するなどした場合、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)人材の確保及び育成

 当社グループが成長に向けて更なる企業基盤を拡充するためには、関連する技術ノウハウを有する優秀な人材の確保・育成が不可欠であります。IT業界における慢性的な人材不足のなか、当社グループでは優秀な人材の確保・育成のために教育制度の充実等、継続した人的資本投資を行っておりますが、今後退職者の増加や採用の不振等により必要な人材を確保することができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)個人情報を含めた情報管理体制

 当社グループはシステム開発や運用、又はサービス提供の遂行過程において、顧客の機密情報やユーザーの個人情報を取り扱う可能性があります。また、社内日常業務を遂行する過程においても、役員及び従業員、取引先企業の役職員に関する個人情報に接する機会があります。

 当社では、システム上のセキュリティ対策に加え、様々な情報を取り扱うシステム開発・運用サービス業者としての信頼性を高めるため、情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC27001(JISQ27001)」を取得しております。また、当該公的認証に準拠した「情報セキュリティマニュアル」を整備し、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の運営、維持、改善に努めております。しかしながら、こうした取り組みにより将来にわたり情報漏洩を完全に防止できる保証はなく、仮に個人情報その他の機密情報が外部流出するような事態が生じた場合には、当社グループの社会的信用に与える影響は大きく、その代償として当社グループの経営成績にも多大な悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(5)法的規制

 当社グループが提供するサービスのうち、人材派遣サービスは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)に基づいた労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っております。労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、当社が労働者派遣事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)、及び、当該事業許可の取消事由(同法第14条)に該当した場合には、厚生労働大臣が事業許可の取消、業務の停止を命じることができる旨を定めております。現時点において認識している限りでは、当社グループにおいてはこれらの法令に定める欠格事由及び取消事由に該当する事実はありません。しかしながら将来、何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社グループの事業運営に大きな支障をきたすとともに、業績及び財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 また、これまでに施行された労働者派遣法改正法が当社グループ業績に与える影響は限定的でありましたが、今後の動向によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは前述の労働者派遣法の他、職業安定法、労働基準法等の労働関連法令等により、規制を受けております。法令の変更、新法令の制定、又は解釈の変更等が生じた場合、当社グループの事業が制約され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(許認可等の状況)

許認可等の名称

有効期限

許認可等の番号

規制法令

所轄官庁等

取消事由等

労働者派遣事業許可

2021年4月1日~

2026年3月31日

派13-080517

労働者派遣法

厚生労働省

労働者派遣法第6条に定められている条項に抵触した場合

 

(6)派遣・請負エンジニアおよびスタッフに関する業務上トラブルの発生

 スタッフによる業務遂行に際して、スタッフの過誤による事故やスタッフの不法行為により訴訟の提起又はその他の請求を受ける可能性があります。当社グループは、スタッフの作業にあたり、事故を未然に防ぐために管理体制を整えておりますが、上記トラブルによる訴訟内容及び請求金額によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)経営者への依存に関するリスク

 当社において、創業者である代表取締役宮崎龍己は、当社の経営方針及び事業戦略を決定するとともに、ビジネスモデルの構築から事業化に至るまで重要な役割を果たしております。また、今後も当社の業務全般においては、同氏の経営手腕に依存する部分が大きいと考えられます。

 当社では、取締役会及び事業部会等における役員及び幹部社員の情報共有を行っております。また、経営組織の強化など権限委譲を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が業務執行を継続することが困難になった場合には、今後の当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自然災害や事故

 地震等の自然災害や予期せぬ事故等により、当社グループあるいは取引先企業の重要な設備が損壊する等の被害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、欧米における高い金利水準の継続や、中東地域をめぐる情勢、中国経済の先行き懸念など、海外の影響により先行き不透明な状況ではあるものの、雇用・所得環境の改善が進むなど、各種政策の効果もあって景気は緩やかな回復基調にあります。

 当社グループが主にサービスを提供する情報産業分野においては、デジタル技術の進展・普及に伴い、あらゆる産業で企業の生産性向上や競争力強化を目的としたIT・DX関連のニーズは高まっており、クラウドを活用したシステムインテグレーションやシステム運用・保守等へのIT投資需要は堅調に推移いたしました。最適なITインフラが企業の経営戦略を支える重要な役割を担うなど、ITサービス・IT人材への需要は拡大している一方、国内のIT人材不足やITスキル向上には大きな課題を有しております。当社グループでは、質の高いITエンジニアの採用・育成に取り組むほか、ビジネスパートナーを積極的に活用して、様々なITサービスの提供を行っております。

このような環境の下、当連結会計年度においては、良質なエンジニアの育成や社内エンジニアのDXシフト等によるサービスの価値向上に取り組むほか、ビジネスパートナーリソースの活用も含め、IT・DX領域の社会実装と運用を担う「デジタルインテグレーター」としての事業基盤の整備を行いました。

 

(a)財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ798,457千円増加し12,052,121千円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ59,939千円減少し4,289,507千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ858,396千円増加し7,762,614千円となりました。

 

(b)経営成績

 当連結会計年度の業績について、当社グループの売上高は22,221,595千円(前連結会計年度比6.5%増)、営業利益は2,273,862千円(前連結会計年度比16.9%増)、経常利益は2,317,709千円(前連結会計年度比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,575,719千円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。

 

 事業分野別のセグメント概況は、次のとおりであります。

 

 

(デジタルインテグレーション事業)

 デジタルインテグレーション事業において、SI(システムインテグレーション)領域ではITインフラソリューションとしてITシステムの構築・運用・保守を手掛けております。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域ではIoTクラウドサポートセンターにおける24時間365日体制でのクラウドインフラやIoTサービスの運用の提供、顧客管理・営業管理システム「Salesforce」や統合人事システム「COMPANY」を中心とするクラウドシステムの導入・運用・定着化支援を手掛けるほか、法人向けChatGPT導入・活用支援サービス「NewtonX」を取り扱っております。

 当連結会計年度においては、ITシステムの構築運用、クラウド基盤への移行や24時間365日対応のマネージドサービスを中心とした底堅いIT投資需要のもと、更なる取引拡大に取り組みました。また、データ分析やデジタルマーケティングに対応できるエンジニアを育成し、サービスの拡充と付加価値向上に努めました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は21,342,828千円(前連結会計年度比7.1%増)、セグメント利益は2,320,428千円(前連結会計年度比21.2%増)となりました。

 

(みどりクラウド事業)

 みどりクラウド事業では、ITを用いて農業・畜産・水産のDX化を支援する「みどりクラウド」「ファームクラウド」などのプラットフォームサービス、一次産業をはじめとした各産業分野の個別課題を解決するソリューションサービスを展開しております。

 当連結会計年度においては、引き続きソリューションサービスの受注拡大に注力いたしました。また、2023年3月にリリースした青果流通の現場にバーコードやクラウドシステムなどを用いたデジタル技術を導入する「みどりクラウドらくらく出荷」の拡販等、将来の事業拡大に向けた先行投資を行っております。農産物の集出荷業務に関しては、多くの農業者や出荷団体で同じ課題を抱えており、今後は全国のJAに向けた拡販を行ってまいります。

 これらの結果、当セグメントの売上高は238,238千円(前連結会計年度比35.9%減)、セグメント損失は109,172千円(前連結会計年度はセグメント損失31,828千円)となりました。

 

(機械設計エンジニアリング事業)

 機械設計エンジニアリング事業においては、連結子会社である株式会社セラクビジネスソリューションズでの3DCAD分野の技術、実験や性能検査などの品質管理に関わる技術、通信建設及び情報通信に関する技術を提供しております。

 当連結会計年度においては、研修環境を拡充し、エンジニアの採用・育成に注力いたしました。安定した稼働率や新しい技術領域での案件獲得が図られたことにより、堅調に推移いたしました。引き続き各領域での案件獲得が期待され、教育によるエンジニアの付加価値向上や地理的展開を図りつつ、企業規模を拡大させてまいります。

 これらの結果、当セグメントの売上高は745,038千円(前連結会計年度比19.5%増)、セグメント利益は44,887千円(前連結会計年度比15.9%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、6,844,087千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,357,112千円(前連結会計年度は2,027,754千円の収入)となりました。

 主な要因は、法人税等の支払額832,061千円、棚卸資産の増減額165,598千円、未払消費税等の増減額161,788千円の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益2,317,631千円、仕入債務の増減額123,678千円を計上したこと等の資金の増加要因が生じたことによるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、404,100千円(前連結会計年度は195,684千円の使用)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出199,205千円、定期預金の預入による支出102,400千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、923,341千円(前連結会計年度は625,812千円の使用)となりました。

 主な要因は、自己株式の取得による支出601,145千円、長期借入金の返済による支出183,824千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

(a)生産実績

 当社グループは受注生産を一部行っておりますが、事業内容が多岐にわたっており、受注生産の重要性が乏しいことから、記載を省略しております。

 

(b)受注実績

 当社グループは受注開発を一部行っておりますが、事業内容が多岐にわたっており、受注開発の重要性が乏しいことから、記載を省略しております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年9月1日

至 2024年8月31日)

前連結会計年度比(%)

デジタルインテグレーション事業(千円)

21,342,828

7.1

みどりクラウド事業(千円)

238,238

△35.9

機械設計エンジニアリング事業(千円)

745,038

19.5

調整額(千円)

△104,510

合計

22,221,595

6.5

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態の分析

(a)資産

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ798,457千円増加し12,052,121千円となりました。これは主に、仕掛品が184,599千円、売掛金及び契約資産が178,885千円、有形固定資産(その他)が127,889千円、のれんが124,827千円増加したことなどによるものであります。

 

(b)負債

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ59,939千円減少し4,289,507千円となりました。これは主に、未払消費税等が156,423千円、1年内返済予定の長期借入金が144,120千円、未払法人税等が58,718千円減少したものの、買掛金が131,960千円、賞与引当金が109,161千円、未払金が44,522千円増加したことなどによるものであります。

 

 

(c)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ858,396千円増加し7,762,614千円となりました。これは主に、利益剰余金が1,430,241千円増加したものの、自己株式が374,319千円増加、資本剰余金が194,920千円減少したことなどによるものであります。

 

③ 経営成績の分析

(a)売上高

 売上高については22,221,595千円(前連結会計年度比6.5%増)となりました。これは主に、引き続き堅調な市況感での技術者並びに受注案件の増加によるものであります。

 

(b)売上原価

 売上原価については16,521,542千円(前連結会計年度比5.4%増)となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。

 この結果、売上総利益は5,700,052千円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。

 

(c)販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費については3,426,190千円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。これは主に、販売費や人件費の増加によるものであります。

 この結果、販売費及び一般管理費は増加した一方、採用効率化などが一定の成果を上げたため、営業利益は2,273,862千円(前連結会計年度比16.9%増)となりました。

 

(d)営業外損益

 営業外損益については、営業外収益が45,756千円(前連結会計年度比78.6%減)、営業外費用が1,909千円(前連結会計年度比13.7%減)となりました。

 この結果、経常利益は2,317,709千円(前連結会計年度比7.5%増)となりました。

 

(e)特別損益

 特別損益については、特別利益が6,094千円、特別損失が6,172千円となりました。

 この結果、税金等調整前当期純利益は2,317,631千円(前連結会計年度比7.9%増)となりました。

 

(f)親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税を761,650千円、法人税等調整額を△19,738千円計上し741,912千円となりました。

 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,575,719千円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、6,844,087千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,357,112千円(前連結会計年度は2,027,754千円の収入)となりました。

 主な要因は、法人税等の支払額832,061千円、棚卸資産の増減額165,598千円、未払消費税等の増減額161,788千円の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益2,317,631千円、仕入債務の増減額123,678千円を計上したこと等の資金の増加要因が生じたことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、404,100千円(前連結会計年度は195,684千円の使用)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出199,205千円、定期預金の預入による支出102,400千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、923,341千円(前連結会計年度は625,812千円の使用)となりました。

 主な要因は、自己株式の取得による支出601,145千円、長期借入金の返済による支出183,824千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るためには、収益源の多様化を実現する必要があると考えており、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資を積極的に取り組んでいく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための採用費、開発に係る人件費及び研究開発費であります。投資を目的とした資金需要は、主にM&A及び設備投資等によるものであります。これらの資金需要は自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額なM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施いたします。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが参入している業界において、技術革新のスピードが速く、常に最先端に向けた研究開発や成長のための投資を積極的かつ継続的に行う必要があるため、事業の収益力を示す売上高経常利益率を中長期的な経営指標として重視しております。

 

⑦ 経営者の問題認識と今後の方針

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は59,452千円であり、その主な内容は以下のとおりであります。

[みどりクラウド事業]

 スマート農業分野における食農データプラットフォーム構築、「みどりクラウド らくらく出荷」におけるシステム及びサービス開発、みどりモニタ/ボックスにおける機能開発を行っております。