当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、人を育て、人々の生活を支援する公共性の高い事業に取り組んでいる企業グループとして、物流・商事事業を核に、未来を動かすサービス・商品の新潮流の創造にたゆみなく挑戦し、真に豊かなグローバル社会の実現に貢献することをミッションとした「未来潮流を創る企業グループ」を目指しています。
そして、この想いを「Moving Global 物流を超える、世界を動かす、ビジネスを変える」のスローガンとして掲げています。
その上で、グループ全従業員が共有すべき価値観を「誠実」「情熱」「責任」「敬意」「多様性」と定め、事業を通じて株主、お客様、従業員をはじめ社会やすべての人々に貢献し、信頼される企業となることを基本方針としています。
(2)目標とする経営指標
当社は、2023年度におきまして、下表の指標を経営目標として定めております。
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2022年実績 |
2023年目標 |
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営業収益 |
6,962億円 |
7,900億円 |
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営業利益 |
255億円 |
290億円 |
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営業利益率 |
3.7% |
3.7% |
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、事業の深化と創出を通じて、人と社会に新しい価値を届け、持続的な成長を実現するために、2022年度から5年間の中期経営計画を開始しております。
センコーグループ中期経営計画(2022年度~2026年度)の概要
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1.コーポレート・スローガン 『Moving Global』 ・物流を超える -従来の物流企業の枠組みを超える「高品質」な商品・サービスを提供する ・世界を動かす -「社会との共生」を大切にしながら、「グローバル」な企業活動を展開する ・ビジネスを変える -従業員の成長志向を育み、お客様に新たな価値を提案する
2.中期経営計画の重点課題 (1)既存事業の拡大と深化 ・既存事業領域の拡大 ・グローバル化の更なる展開 (2)成長事業の創出と育成 ・ライフサポート事業、ビジネスサポート事業の更なる成長 ・新たな事業への挑戦(モノづくりなど) (3)ESG+H(健康)経営への取り組み ・事業を通じ、持続可能な社会の実現 ・カーボンニュートラルの実現に向けた環境維持活動推進 ・心身ともに健康で楽しく働ける環境づくり (4)グループ経営の高度化 ・グループ全体の戦略立案・遂行機能の強化 ・HDの機能の強化・充実によるグループ経営の高度化 (5)働きがいと個人の成長の実現 ・会社と従業員が、共感してともに高めあう関係の実現 ・自分らしく、わくわく働ける職場の実現
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(4)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財政上の課題
世界的な拡大を見せた新型コロナウイルス感染症(以下 コロナ)からの回復が期待される中、世界的なインフレ、エネルギーコストの上昇が見込まれます。
この様な経営環境のもと、当社グループは、中期経営計画の達成に向けあらゆる施策を実行してまいります。また、ビジネスの環境の変化をチャンスととらえて、M&Aや既存事業の拡大を進めていき、経営環境の変化に対応し持続可能な企業経営を目指すとともに、ES経営を実践し従業員と会社がともに成長できる関係を構築させることで、人材確保や生産性向上に取り組みます。
またこの様な環境の中、当社グループは、人を育て、人々の生活を支援する公共性の高い事業に取り組んでいる企業グループとして、「既存事業の拡大と深化」、「成長事業の創出と育成」、「ESG+H(健康)経営への取り組み」、「グループ経営の高度化」、「働きがいと個人の成長の実現」などに取り組んでまいります。
「既存事業の拡大と深化」につきましては、物流事業において、ドラッグストア・通販・チェーンストア等の成長領域での事業拡充、物流センターの運営業務・ケミカル関連等の新規事業分野への進出、インド・台湾等の新規拠点拡大によるグローバルネットワークの確立、船舶管理・既存荷主の深化等での海運グループのシナジー追求、商事事業において新商材・海外事業・M&A等による事業拡大、物流の抜本的見直しによる物流費の抑制、以上6つを進めてまいります。
「成長事業の創出と育成」につきましては、ライフサポート事業において、コロナからの回復と安全・安心な事業展開の推進、ビジネスサポート事業において、不動産・人材派遣等のビジネスサポート各事業の拡大、新規事業において、新たな事業の芽の育成、以上3つを進めてまいります。
「ESG+H(健康)経営への取り組み」につきましては、2050年カーボンニュートラルに向けたCO2削減の取り組み推進、ダイバシティ&インクルージョン教育の推進、グループ全体のリスクマネジメント体制の強化、スポーツ・文化イベントを通じた健康増進、以上4つを進めてまいります。
「グループ経営の高度化」につきましては、資本コストを意識した投資基準の導入、動画配信やSNSを活用した認知度の向上、ITセキュリティと従業員のIT教育の強化、省力化・省人化に向けた先端技術の研究・企画・開発、各事業グループとの連携によるグループシナジー効果の創出、協力会社との連携強化、以上6つを進めてまいります。
「働きがいと個人の成長の実現」につきましては、「チェンジ&チャレンジ活動」を通じた従業員が挑戦する風土の醸成、グループ間の情報交換・人財交流によるグループ活性化、センコーユニバーシティによる次世代経営者人材の育成、従業員持株会の拡大、以上4つを進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティ全般>
(1)ガバナンス
当社グループは、“「持続可能な環境・社会の実現」に貢献し、「グループの持続的な成長」を図るため、当社グループのもつ多様な事業を通じて、人と社会を「つなぐ」、新しい価値を届けることを目指します。”というサステナブル方針を掲げ、さまざまな課題解決につながる価値を提供していきます。
その実現のため、「コンプライアンス」「リスク管理」「環境推進」「社会価値向上」の各委員会がサステナビリティに関する個々の活動を推進しています。さらに、サステナブル推進会議(年2回開催)が、これらの各委員会及びサステナブル推進部を統括し、重要事項を協議し、協議内容や活動実績等について取締役会へ報告しています。取締役会は、サステナブル推進会議から協議内容や活動実績等について報告を受け、監督を行います。(コーポレート・ガバナンス体制の概念図は
サステナブル推進会議は、サステナビリティ全般に関する最高責任を負う当社の代表取締役社長を議長とし、当社の社外取締役をはじめとする当社役員等で構成されています。また、サステナブル推進会議の担当部門である「サステナブル推進部」は、主要なグループ会社及び各事業推進本部の「サステナブル推進責任者」並びに「サステナブル推進担当者」と実務的な取組みを推進し、サステナブル推進会議へその内容を付議します。
ESGやSDGs等、世界的にサステナビリティの重要性がますます高まる中、当社グループ事業に影響を及ぼす可能性があるメガトレンドも刻々と変化していることから、重要課題(マテリアリティ)の分析を行いました。具体的にはSASBスタンダードを参考にして、当社グループの事業セグメントは、SASBの77セクターのうち28に関連することが分かりました。売上比率や事業への影響を勘案し、28セクターに求められるマテリアリティの中から、事業を通じて対応すべき課題を抽出しました。グループ経営における重要施策との精査の結果、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)・健康(H)に関して重要課題(マテリアリティ)を設定しています。
※当社の課題分析については
(2)リスク管理
当社グループは、「持続可能な環境・社会の実現」に貢献し、「グループの持続的な成長」を図ることを基本方針とし、当社グループの持つ多様な事業を通じて、人と社会を「つなぐ」、新しい価値を届けることを目指します。本方針に基づき、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)・健康(H)の課題解決に取り組み、気候変動対策を最重要課題の1つとして位置付けています。
リスク管理委員会は、当社グループが直面する、あるいは将来発生する可能性のあるリスクを識別し、識別したリスクに対して組織的かつ適切な予防策及び善後策を講じています。
さらに、リスク管理委員会は、気候変動対策として、自然災害リスク分科会を設置し、事業継続計画(BCP)等の点検・見直しを実施して当社グループのレジリエンスを高めています。また、同委員会は、識別したリスク並びにリスクに対する予防策及び善後策等をサステナブル推進会議に報告します。
環境推進委員会は、環境保全活動、環境負荷低減活動についての「環境活動方針」を定め、従業員をはじめ事業所で働く全員に周知するとともに、CO₂削減、再エネ利用、廃棄物リサイクル等の環境目標の管理を行っています。また、環境目標の進捗状況について、サステナブル推進会議に報告します。
サステナブル推進会議は、リスク管理委員会及び環境推進委員会等から受けた報告を踏まえて重要事項を協議し、協議内容や活動実績等について取締役会に報告します。取締役会は、サステナブル推進会議からリスク管理に関する報告を受け、監督を行います。
(3)戦略
当社では、2020年10月には「国連グローバル・コンパクト」に賛同しており、2021年4月に「センコーグループ企業行動規準」を制定するなど、さまざまな法令や国際規範等に基づいて、高い倫理観をもって業務を遂行することを基本方針としています。
また、当社グループは、サプライヤーの皆様にも理解と遵守を期待するものとして、「センコーグループ調達基本方針」を制定しました。
これらの方針をもとに、今後も環境や社会の持続的成長と企業価値の向上の実現を目指します。
また、上記「(1)ガバナンス」と「(2)リスク管理」の枠組みを通じて重要と判断した具体的なサステナビリティ項目である気候変動及び人的資本の「戦略」は
(4)指標及び目標
上記「(1)ガバナンス」と「(2)リスク管理」の枠組みを通じて重要と判断した具体的なサステナビリティ項目である気候変動及び人的資本の「指標及び目標」は
<気候変動>
(1)ガバナンス
(2)リスク管理
(3)戦略
●基本的な考え方
当社グループでは、気候変動への対応は地球環境保全における重要な課題であり、サステナブル経営の推進において対処すべき重要課題(マテリアリティ)の一つと捉えています。このため当社グループは、気候変動対策に真摯に取り組み、2020年10月には国連グローバル・コンパクトに署名して環境問題への対応等に関わる原則の実現を支持しています。2022年9月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとの良好なコミュニケーションを図れるよう、気候変動に関連する情報を開示しました。
●シナリオ分析
2022年度は、主力の「物流事業」に加え、気候変動による影響が小さいと考えられる「商事・貿易事業」「ビジネスサポート事業」「ライフサポート事業」についても、TCFDのフレームワークに基づく気候変動によるリスクと機会についてのシナリオ分析を実施し、移行リスク・物理リスク・機会を具体化し、中長期の対応策を検討しました。
主力事業である「物流事業」については、シナリオ分析を深化させ、2021年度に想定したリスク・機会のうち当社が重要と考える項目について、2030年、2050年の時間軸、1.5℃シナリオと4℃シナリオの気温軸で財務影響度を評価し、投融資にかかる戦略への反映を検討しました。中央化学株式会社の連結子会社化に伴い新設されたプロダクト事業については、今後、分析を実施する予定です。
(物流事業)
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区分 |
想定される |
当社グループへの |
事業インパクト ※1 |
対応策 |
||||
|
2030年 |
2050年 |
|||||||
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1.5℃ |
4℃ |
1.5℃ |
4℃ |
|||||
|
移行リスク |
政策・法規制 |
・急激な燃料価格変動
・環境車両導入による |
・運送燃料コスト変動 |
中(+) |
中 |
中 |
中 |
・環境車両(EV・HV・LNG・環境対 応DSL等)、ダブル連結トラック の導入推進 ・モーダルシフトの促進 ・FCV、LNG・アンモニア燃料船等の 導入検討 ・GXリーグ参画企業としての取り組 み |
|
・炭素税など規制の導入 |
・コスト負担が増加 |
大 |
- |
大 |
-
|
|||
|
技術 |
・GHG削減目標達成が困 難に |
・再エネ・省エネ・炭素ク レジットの調達コスト増 加 |
- |
・グループのエネルギー使用量管理 と省エネ施策 ・再エネ電力の確保 |
||||
|
市場 |
・顧客がより低炭素なサ ービスを選択 |
・低炭素サービスに対応し なければシェア低迷 |
大 |
- |
大 |
- |
・Scope3を含むCO2排出量の開示 ・CO2排出量に関する「見える化」推 進 ・環境車両・環境船舶の活用、モー ダルシフト、物流拠点集約等によ る脱炭素に向けた選択肢の提供 |
|
|
物理リスク |
急性 |
・道路・鉄道・海上・航 空輸送の運行停止 |
・物流事業継続に係わるコ
スト増加 |
- |
- |
小 |
小 |
・BCPの整備・訓練の実施 ・備蓄品の保有 ・拠点間の連携支援 ・拠点の分散化 ・代替輸送ルートの提供 |
|
慢性 |
・物流拠点の水害対策、 配置の見直しが必要に |
・物流拠点のリスク調査 費・移転等のコスト発生 |
- |
|||||
|
慢性 |
・熱中症リスク ・従業員の離職増加 |
・従業員の健康被害増加 ・保険料や採用等のコスト 増加 |
- |
・安全な労働環境の整備 ・自動化・無人化の推進 ・従業員の健康安全衛生意識醸成、 健康促進の取り組み強化 |
||||
|
機会 |
技術 |
・再生可能エネルギーへ の切り替え等、再エ ネ・省エネ技術の利用 拡大 |
・低コスト・低CO2排出なエ ネルギーの安定供給 ・自家発電電力の販売によ る収益発生 |
- |
・太陽光発電設備敷設と自家消費化 替え |
|||
|
技術 |
・共同物流サービス等、 車両積載・運行効率を 向上させる次世代物流 技術の導入拡大 |
・モーダルシフト・ダブル 連結トラック導入等によ る物流コスト抑制 ・CO2排出量の削減 |
中 |
- |
中 |
- |
トの提供等、気候変動リスク対応
物流サービスの提案 |
|
|
市場 |
・燃料電池トラックの普 及に伴うタンクローリ ーによる液化水素輸送 の需要の高まり ・船舶による液化アンモ ニア輸送の需要の高ま り |
・液化水素輸送・液化アン モニア輸送に関する収益 増加 |
小 |
- |
中 |
- |
・既存事業の拡大と次世代エネルギ ー輸送体制の構築 |
|
|
市場 |
・EV電池・太陽光パネ ル・廃プラのリユー ス・リサイクルが拡大 |
・リユース・リサイクル関 連の物流サービスに関す る収益増加 |
小 |
- |
小 |
- |
・気候変動対策の需要を踏まえた既 存・新規顧客のターゲティング ・物流プラットフォームの構築 |
|
|
評判 |
・気候変動リスク対応を 正しく情報開示するこ とにより、投資家等か ら評価 |
・企業価値向上、好条件で の資金調達 |
- |
・ステークホルダーへの情報開示の 深化 ・グリーンボンド等による資金調達 |
||||
※1:・事業インパクトは、各シナリオにおける当社への財務影響度を営業利益に対する影響額で算定し、
大、中、小の三段階で評価。
「大」50億円超、「中」10~50億円、「小」10億円未満
「-」現時点では影響額が小さいと判断するため、算定は非実施。
・シナリオ分析においてはIEA「World Energy Outlook2022」(原油価格)、
IEA「World Energy Outlook2021」(炭素税価格)などを参照。
※2:・1.5℃シナリオでは燃料コストは減少と想定するため、リスクの項ではあるが財務影響はプラス。
(商事・貿易/ライフサポート/ビジネスサポート各事業)
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区分 |
想定される |
当社グループへの |
影響のある事業 |
対応策 |
|||
|
商事 ・貿易 |
ライフ サポート |
ビジネス サポート |
|||||
|
移行リスク |
政策・法規制 |
・配送・調達コストの増加 発生 |
・物流コスト増加 |
〇 |
|
|
・自社物流グループへの物流集
約 |
|
・エネルギー調達コスト増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
・自社グループ施設での太陽光 発電エネルギー自己託送の活 用 |
|||
|
・原材料調達コスト増加 |
〇 |
〇 |
|
・自社グループ内共同調達の推 進 |
|||
|
技術 |
・商品・サービス開発コスト 増加 |
・商品開発コスト増加 |
〇 |
|
|
・環境対応商品・サービス開発
体制の構築 |
|
|
・サービス開発コスト増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
||||
|
市場 |
・顧客がより環境に配慮した
商品・サービスを選択 から疎外 |
・環境対応商品・サービスが 提供できなければシェア低 迷 |
〇 |
〇 |
〇 |
||
|
物理リスク |
急性 |
・拠点・設備・在庫・不動産 物件等の甚大な被害 |
・事業継続に係るコスト増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
・BCPの整備・訓練の実施 ・拠点間の連携支援 ・安全な労働環境の整備 ・従業員の健康安全衛生意識 醸成、健康促進の取り組み 強化 |
|
・サプライチェーンの途絶に 伴う事業停止 |
・店舗・拠点の運営停止によ る販売機会損失 |
〇 |
〇 |
〇 |
|||
|
・異常気象による、従業員・ 顧客の人的損害増加 |
・従業員の健康被害増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
|||
|
慢性 |
・店舗・拠点の水害対策、配
置の見直しが必要 (情報・物流網)整備 |
・店舗・拠点のリスク調査、 移転等のコスト増加 |
|
〇 |
〇 |
||
|
慢性 |
・気温上昇による従業員の熱
中症リスク増加 る人的損害 |
・従業員の健康被害・離職の 増加 |
〇 |
〇 |
〇 |
||
|
機会 |
技術 |
・Scope3を含めたCO₂排出量 の正確な把握への需要増加 |
・CO₂排出量の正確な把握・ 可視化・排出量削減に関す るサービスへの需要増加 |
|
|
〇 |
・物流事業で蓄積したノウハウ を活用したサービスの開発・ 提供 |
|
・グリーンエネルギーの活用 ・省エネ技術搭載設備の進展 |
・自社施設にグリーンエネル ギー・最新の省エネ技術を 搭載した設備を導入するこ とによるコスト削減 |
|
〇 |
〇 |
・次世代エネルギー・次世代技 術の研究と積極的な導入 |
||
|
市場 |
・環境対応商品・サービスの 需要増加 |
・減プラスチック化進展に伴 う代替製品の需要増加 |
〇 |
|
|
・再生プラスチック・プラスチ ック代替原料を使用した製品 の開発強化 |
|
|
・顧客からの環境配慮型製 品・サービスの需要増加へ の対応による収益拡大 |
〇 |
|
|
・回収から再利用迄、グループ 総力での資源循環の仕組み構 築 |
|||
|
市場 |
・台風・豪雨の頻発により防 災能力の高い施設への需要 増加 |
・防災能力の高い施設の利用 増加による収益拡大 |
|
|
〇 |
・既存施設の災害対策・防災能 力の強化 |
|
|
評判 |
・環境に配慮した商品・サー
ビス提供による評判向上
向上 引先からの評判向上 |
・ブランド価値向上 資金調達 |
〇 |
〇 |
〇 |
・ステークホルダーへの情報開
示深化 調達 |
|
※シナリオ分析の結果
当社グループは、パリ協定の目指す2050年カーボンニュートラルな社会の実現に向け、様々なCO₂排出量の削減施策を推進しています。また、経営のレジリエンスを高めるために、気候変動により想定されるリスクや機会の把握に努め、認識したリスクに対処しながら、機会を最大化する取り組みを継続的に進めています。
抽出した重要リスクの中で、2022年度に実施した「炭素税導入」によるグループ全体への財務影響度評価の結果、1.5℃シナリオにおける2030年の炭素税価格を130USD/t-CO₂として試算した場合、2030年に約50~60億円の影響額になると算定されました。「炭素税導入」に関しては、GXリーグに参画し、その動向を把握すると共に、再生可能エネルギーの活用、環境車輌や省資源タイヤの積極的な導入等による様々なCO₂排出削減策の実施に努め、税負担の軽減を目指します。
また、環境車両の技術開発に向けては、他社とも連携し、当社グループの輸送用途に応じた輸送や積載効率向上に資するトラックボディやコンテナ開発を行っています。環境車輌の導入については、CO₂排出量削減のため積極的な投資を推進し、顧客へさらに低炭素な物流サービスの提供を行ってまいります。
これらの取り組み推進により、リスク軽減にとどまらず機会の獲得や拡大に努めてまいります。
(4)指標及び目標
2022年度に開始した5カ年の中期経営計画では、陸運事業のCO₂排出原単位を主要指標とし、2020年度比10%削減を2026年度目標に戦略投資等の実行によりカーボンニュートラルの実現に向けた環境対策活動を推進し、事業の持続的な成長の実現を目指しています。2022年度は、物流事業での次世代環境車両や環境対応設備の導入、物流センターでの再生可能エネルギー活用等の推進により、4,065tの削減活動を実現しました。また、企業活動の上流(調達関係)・下流(出荷以降)におけるCO₂排出量(Scope3)について、当社グループの算定を詳細化するとともに、顧客のサプライチェーンにおける物流分野でのScope3の算定と効率的な物流策の提言を進めてまいります。
(注)陸運事業のCO₂排出原単位 :物流事業セグメントにおいて、「国内物流」「冷凍冷蔵物流」「その他物流」に属する事業会社のCO₂排出総量を把握し、同事業会社の直営売上高合計で除した値
<人的資本>
(1)ガバナンス
(2)リスク管理
(3)戦略
●基本的な考え方
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。
当社グループは、人を育て、人々の生活を支援する企業グループとして、未来を動かすサービス・商品の新潮流の創造にたゆみなく挑戦し、真に豊かなグローバル社会の実現に貢献することをミッションとして活動しています。このミッションを実現し、人々の生活や産業への関わりを通じて、人と社会に新しい価値を届け続けるためには、当社グループで働く「人」、一人ひとりの働きがいと個人の成長の実現が重要と考えます。以上を踏まえ、当社グループの人的資本における基本的な考え方は、『従業員自らが、個性と能力を最大限に発揮できる人材の育成』を人材育成方針とし、『人権を尊重し、従業員が健康かつ安全に、自分らしく、いきいきと働ける職場づくりに取り組む』ことを社内環境整備方針とすることで、会社と従業員がともに高めあう関係の実現を目指します。
●育成したい人材像
上記の基本的な考え方を踏まえ、当社グループに必要な人材は、以下のとおりです。
●具体的な取り組み
①育成
当社グループでは、前述の育成したい人材像を獲得・育成するために、各従業員のキャリアのステージや個性に合わせた様々な種類の研修を、多くの従業員を対象として実施しています。また、「人を育てる企業グループ」を実現するためには、日常業務から離れて集中できる「学びの空間」が必要です。グループの役員から、物流現場の最前線で活躍するドライバー・作業員まで、全てのセンコーグループ従業員が、自ら「チェンジ&チャレンジ」を実現するために、目的に合わせた教育・訓練施設を設置しています。
|
「クレフィール湖東」を活用した人材育成 |
当社グループが事業を通じて培ってきた物流技術を伝承し、さらなる高度化を目指して設置した、交通安全・物流教育訓練施設における研修プログラムを実施しています。 国内屈指の規模を誇るクレフィール湖東では、交通コースを利用した様々なプロドライバー訓練が行われており、また、クレフィール湖東で育成されたトレーナー(トラックドライバー・フォークリフトオペレーターの指導者)が講師となり、それぞれの物流事業の業態にあわせた指導が、全国各地で行われています。 |
|
社内大学「センコーユニバーシティ」の開学 |
物流事業のみならず、これからの事業展開をより確かなものにするため、「センコーユニバーシティ」を2016年に開学しました。 将来の経営人材、高度な知識・技術習得のための重点教育をする場として、現在は経営人材学科と高度プロフェッショナル人材学科の2コースを中心に、グループ内で知的交流の場を提供しています。経営人材学科では、新たな社会課題・顧客課題を見極め、事業ポートフォリオの再構築ができる人材づくりを、高度プロフェッショナル人材学科では、デジタル変革をリードできる人材づくりを目指しております。 2022年度までの各コースの延べ卒業者数は、491名です。 |
②ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループは中期経営計画(2022年度~2026年度)の中で、女性管理職比率(係長を含む)を15%に引き上げることを目標としています。性別や国籍に関わらず、従業員の個性や能力を最大限に発揮できる職場づくりを実現するため、以下の取り組みを推進しています。
|
Female Project |
物流・商事・ライフサポート・ビジネスサポート等幅広い事業会社の女性管理職及びその候補者を対象に、メンバーの動機付けやリーダーシップの醸成とともに、女性ならではの視点で、経営・人事制度・採用・育成等幅広いテーマに沿った議論を重ね、経営層に提言するプロジェクトに取り組んでいます。 |
|
キャリア採用・外国人就労支援担当の設置 |
当社人事部に『キャリア採用・外国人就労支援担当』を設置し、多様な経験や見識のある人材の確保を図るとともに、当社グループでの外国人や技能実習生の受け入れを拡大する取り組みを進めています。 |
③健康経営
当社グループでは、中期経営計画の重要課題の一つに“ESG+H(健康)経営への取り組み”を掲げ、従業員の健康を増進することは、円滑な事業活動の推進に欠かせないとの考えのもと、健康経営を推進しています。2017年には「センコーグループ健康経営宣言」を公表しました。健康経営を通じて、従業員一人ひとりが心と身体の健康を増進し、個性を活かしながらパフォーマンスを最大限に発揮できる状態を作ることを目指しています。
④人権
当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や日本政府「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」等に則り、2023年3月に「センコーグループ人権方針」を制定し、人権尊重経営を推進しています。
(4)指標及び目標
当社グループはダイバーシティ&インクルージョン及び健康経営の推進に向けた定量目標を設け、取り組みを進めています。
当社グループの、人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた2022年度実績と2026年度目標は、以下のとおりです。
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指標 |
2022年度実績 |
2026年度目標 (注)1 |
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女性管理職比率 (注)2 |
9.6% |
15.0% |
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男性育児休業取得率(注)3 |
9.9% |
50.0% |
(注)1.2026年度目標は当社及び全連結子会社を対象の範囲としております。
2.女性管理職比率の2022年度実績は、海外連結子会社及び国内連結子会社の一部の集計を実施していないため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、公表している会社のみの数値であります。また、本指標における「管理職」には、係長以上の者またはそれと同等の地位にある者を含めておりますが、その他の点については「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき個社毎に計算し、その平均値により算出しております。
3.男性育児休業取得率の2022年度実績は、海外連結子会社及び国内連結子会社の一部の集計を実施していないため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)または「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づき、公表している会社のみの数値であります。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を個社毎に計算し、その平均値により算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものです。
1.財務・経理リスク
①為替変動のリスク
円と外国為替相場の変動により、外貨建資産・負債の円換算価値が変動した場合、及び当社グループにおいて海外製品の仕入を外貨建、もしくは円貨建で行っており、外貨建で仕入れを行っている製品の原価は為替レートに連動しているため大きく変動した場合、及び海外グループ会社の業績の邦貨換算結果の際に影響を及ぼす可能性があります。
②退職給付債務
当社グループの一部の会社の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた差異は、数理計算上の差異として認識し、将来にわたり均等に償却することから、退職給付債務及び費用に影響を及ぼします。また、当社は退職給付信託を設定しており、上場株式の株価が下落した場合、年金資産の時価が減少し、未認識数理計算上の差異及び将来の償却費用が増加する等、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③資金調達コストの増加
当社グループは、金融機関からの借入や社債の発行等によって資金調達を行っており、市場金利の急激な変動や金融市場の混乱、格付機関による信用格付の大幅な引き下げ等の事態が生じた場合には、資金調達コストが増加し、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
対策として、適切な水準の格付けを維持することで資金調達コストを低減するとともに、資金調達手段の多様化と期日の適切な分散、金利の固定化を通じ、金利変動リスクの低減に努めています。
④資産の処分損失および減損損失
当社グループは国内外に数多くの物流拠点を有しております。設備投資あるいは長期にわたる賃貸借契約にあたっては投資効果の算定、キャッシュ・フローの回収見込み等、長期的な観点から十分に検討したうえで実施しておりますが今後の経済動向、顧客企業の動向等により、当初計画よりも早期に処分、返還等を行い、一時的な損失が発生する、または減損損失が発生する等、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤M&A、資本提携
当社グループは既存事業の規模拡大や新たな事業分野に進出する際、事業戦略の一環としてM&Aや資本提携等を行っております。しかしながら、買収後の市場環境の著しい変化、法的規制、予期せぬ費用増加等の影響により、当初期待された効果を出せない可能性があります。また、偶発債務の発生や未確認債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合等において、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
2.コンプライアンスリスク
①役職員による法令および社内規定順守違反
当社グループが展開する各事業は、それぞれの事業分野において法的規制を受けております。当社グループは、サステナビリティ経営に基づき、コンプライアンスを最重要課題として認識し、取り組みを行っておりますが、法的規制の強化や変更により、事業活動などが制限された場合、売上収益の減少や、新たな費用の増加などにより、経営成績等に影響を与えるリスクがあります。
また、コンプライアンスに対応できず違法行為が誘発された場合も、風評被害を含むレピュテーションリスクなどを要因とする顧客減少など、採用競争力の低下などの影響が出るリスクも発生します。
当社グループでは“「持続可能な環境・社会の実現」に貢献し、「グループの持続的な成長」を図るため、当社グループの持つ多様な事業を通じて、人と社会を「つなぐ」、新しい価値を届けることを目指します。”というサステナブル方針を掲げ、さまざまな課題解決につながる価値を提供するため、サステナブル推進会議を開催しております。そしてその下部にリスク管理委員会、コンプライアンス委員会、環境推進委員会、企業価値向上委員会を設置運営し当社グループの全ての事業における事業活動を監視し、それに資する施策を決定し実行しております。
また、当社管理本部に設置している人材教育部において当社グループの全ての企業の取締役、経営者、役員、社員に対するリスク研修などを毎年定期的に実施するとともに、当社管理本部とグループ各社の人事部を中心として、各種のコンプライアンス関連の研修を体系的に進めております。
3.労務上のリスク
①人権に関するリスク
当社グループは、「センコーグループ人権方針」を定め、事業活動のあらゆる場面で、差別行為や強制労働・児童労働等の非人道的な行為、さまざまなハラスメント行為を禁止し、人権を尊重した活動を求めています。想定されるリスクとして、当社グループの事業活動の各プロセスで、お客様、ビジネスパートナー、地域社会等の様々なステークホルダーに負の影響を及ぼす場合や、サプライチェーン上の人権課題に適切に対応できない場合に、当社グループのブランドイメージの低下、顧客との取引停止など事業継続に支障をきたす可能性があります。
②労務管理リスク
当社グループは、「『人間尊重』と『すべてに優先する安全』の精神のもと『完全0災職場の確保』を実現する」ことを安全理念として、安全実力度評価、課題解決のPDCA等による安全マネジメントシステムを推進し、安全な職場環境を整備しております。労働安全衛生や労務上の管理が不徹底である場合、重大事故の発生するリスクがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
4.情報セキュリティリスク
①情報システムおよび情報セキュリティ
当社グループは、IT技術を活用し、顧客の貨物情報の管理、倉庫機能をシステム管理しております。これらのシステムが、自然災害の他、コンピュータウイルスやハッカー行為等により停止を余儀なくされた場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
②顧客情報の管理
当社グループは、物流サービスの提供に際し、顧客等の情報を取り扱っており、社内教育を通じて情報管理に努めておりますが、情報の外部漏洩やデータ喪失等の事態が生じた場合、損害賠償請求等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
5.オペレーション上のリスク
①法規制
当社グループは、物流事業、商事・貿易事業、ライフサポート事業、ビジネスサポート事業、プロダクト事業を行い、多様なサービスを提供しており、これらの事業は、各種業法による規制を含む様々な法令の遵守が必要となります。
今後、法規制の強化や、新たな法規制の適用等がなされた場合には、かかる法規制への対応に追加費用を要したり、当社グループの事業運営方法の変更を余儀なくされたりすること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②重大な事故の発生
重大な車両又は貨物事故が発生した場合、顧客の信頼及び社会的信用が低下する他、車両の使用停止、営業停止等の行政処分等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
③原油価格の高騰
原油価格の高騰による軽油価格の上昇は運送コストの増加となり、貨物自動車運送事業を主体とする当社グループの業績は、今後の価格動向により影響を受ける可能性があります。
④人材確保に関わるリスク
当社グループが展開する事業は労働集約型事業の比重が高く、労働力として質の高い人材の確保と適正配置、および、その人材がいきいきと自己実現を目指し成長していくことが必要不可欠です。
少子高齢化を主とする国内の労働人口の減少により労働需給が逼迫し、当社の各事業会社と、そのパートナー企業が人材を十分に確保できない場合や、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、当社グループの経営成績等に影響を与えるリスクがあります。
陸運事業以外の当社事業のグループにおいては、当社グループ全体の魅力あるコングロマリッティ総合企業として、様々な業種で働けることの優位性の拡大を図り、人材育成と教育体系、および企業の枠を超えた横連携を強化するとともに、当社グループ内人材の相互交流と活躍の場の提供による人材活用を促進し、必要人員の確保を行っていきます。加えて、当社グループは新たな時代を作っていくチェンジ&チャレンジを実現できる人材育成方針を策定し、多様で柔軟な働き方を実現できる環境や職場を提供するなど、各種対策に取り組んでおります。
6.自然災害、感染症など事業継続リスク
①災害、停電等の発生
豪雨・豪雪・台風・地震等の災害や停電等が発生した場合、輸送経路の遮断、電力供給の停止による事業停止および各拠点の設備復旧に伴う費用発生、及び顧客の被災による取引量の減少が中・長期に渡り生じることで、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループは気候変動対策として自然災害リスク分科会を設置し、事業継続計画(BCP)等の点検・見直しを実施してグループの災害レジリエンスを高めております。
②気候変動に関するリスク
気候変動の影響と考えられる豪雨や台風による洪水などの異常気象等による物理リスク(急性)については、上記の「災害、停電等の発生」に記載のとおり、災害等の発生により当社グループの施設等に被害が生じた場合、業績へ影響を及ぼす可能性あります。加えて、物理リスク(慢性)や急激な燃料価格の上昇や炭素税などの政策や法規制の導入によるコスト上昇等の移行リスクにより、当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。
気候変動に関する主要なリスクと機会についてはTCFDのフレームワークに基づいてまとめており、その内容については、〔サステナビリティに関する考え方及び取組〕内の<サステナビリティ全般>に記載しております。
③感染症拡大
感染症拡大が発生した場合、営業所の業務停止、行政による休業要請の影響により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
7.海外リスク
①海外での事業展開
当社グループは、将来にわたって成長を続けていくために海外での事業展開に取り組んでおりますが、進出地域の経済状況の変化や景気の後退、為替レートの変動、政治又は法規制の変化、自然災害の発生、テロ・戦争・疫病の発生などの要因による社会的混乱が生じた場合、事業展開や業績及び成長見通しに大きな影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における経済環境は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しが続いている一方で、世界的なエネルギー・食料価格の高騰や欧米各国の金融引締めを背景とした急激な為替変動など、厳しい経営環境で推移しました。
このような中、当社グループは中期経営5ヵ年計画の初年度として、業績のさらなる伸長に努めてまいりました。
当期の主な取り組みは以下のとおりです。
物流事業においては、4月に「さいたまPDセンター」(さいたま市岩槻区)、「仙台北PDセンター」(宮城県利府町)、5月に「葛西第2PDセンター」(東京都江戸川区)、7月に「アクロストランスポート札幌センター」(北海道北広島市)、8月に「綾瀬ロジスティクスセンター」(神奈川県綾瀬市)、12月に「北神戸PDセンター」(神戸市西区)、「京葉PDセンター」(千葉県市原市)を稼働させました。
また、2月に重量物や大型貨物などの海上・陸上一貫輸送体制を持つ「株式会社オーナミ」をグループに迎えました。
商事・貿易事業においては、8月にアパレル商品在庫の廃棄ゼロを支援するため、商品の再生加工、再販売、リサイクル等の機能を備えた「株式会社ゼロブランズ」を設立しました。
ライフサポート事業においては、7月にフィットネス事業を展開する「株式会社COSPAウエルネス」を、1月に電気、水まわり、鍵等の緊急対応が必要なトラブルに対し、駆け付けサービスを全国展開する「株式会社ARS」をそれぞれグループに迎えました。
ビジネスサポート事業においては、4月に外国人派遣に特化した「Kyoudou Project株式会社」を、2月に交通・重機誘導や、大学等での常駐警備、鉄道警備などを行う「日制警備保障株式会社」をグループに迎えました。
また、12月に東京証券取引所に上場していた食品包装容器メーカーの「中央化学株式会社」を株式公開買付けによりグループに迎えました。
環境負荷低減の取り組みについては、日本物流団体連合会から6月にセンコー株式会社、株式会社ランテック、埼玉南センコーロジ株式会社が「第23回物流環境大賞」の特別賞を、12月にセンコー株式会社、株式会社ランテックが「令和4年度モーダルシフト取り組み優良事業者賞」を受賞しました。また、国土交通省から12月に株式会社ランテックが「令和4年交通関係環境保全優良事業者等大臣表彰」を、センコー株式会社が「令和4年度物流パートナーシップ優良事業者表彰」の部門賞(物流構造改革表彰)を受賞しました。
今後も当社グループは、人々の生活を支援する企業グループとして、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
当期の連結業績は以下のとおりです。
(百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
営業収益 |
623,139 |
696,288 |
73,148 |
11.7% |
|
営業利益 |
24,771 |
25,535 |
764 |
3.1% |
|
経常利益 |
26,103 |
26,151 |
47 |
0.2% |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
15,233 |
15,341 |
107 |
0.7% |
電気料金ならびに燃料価格、仕入価格の上昇や、コロナ特需の剥落などがありましたが、拡販ならびに料金・価格改定などにグループ全体で取り組むと共に、M&Aを推進した結果、営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに前期を上回る結果となりました。
当期のセグメント別の状況は、以下のとおりです。
なお、当連結会計年度の期首より報告セグメントの区分ならびに集計方法を変更しており、当期の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
また、中央化学株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、第4四半期連結会計期間より新たに「プロダクト事業」セグメントを設置しております。
(物流事業)
(百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
営業収益 |
440,565 |
475,833 |
35,267 |
8.0% |
|
セグメント利益 |
23,275 |
23,748 |
472 |
2.0% |
電気料金ならびに燃料価格の上昇、年度後半には荷動きの急減などがありましたが、拡販ならびに料金改定に取り組むと共に、M&Aの収益寄与があったことなどにより、営業収益は4,758億33百万円と対前期比352億67百万円の増収、セグメント利益は237億48百万円と対前期比4億72百万円の増益となりました。
(商事・貿易事業)
(百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
営業収益 |
146,123 |
159,821 |
13,697 |
9.4% |
|
セグメント利益 |
2,447 |
2,421 |
△26 |
△1.1% |
前期に連結子会社化した家庭紙卸売の株式会社カルタスの収益寄与があったことに加え、価格改定ならびに拡販、コスト改善などに努めましたが、テイクアウト・デリバリーに使用する包材需要の減少や、仕入価格の上昇などがあり、営業収益は1,598億21百万円と対前期比136億97百万円の増収、セグメント利益は24億21百万円と対前期比26百万円の減益となりました。
(ライフサポート事業)
(百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
営業収益 |
28,812 |
38,985 |
10,172 |
35.3% |
|
セグメント利益 又は損失(△) |
△708 |
186 |
894 |
― |
日常生活の正常化の動きに伴う利用者数・来店者数の回復と、新規出店ならびにM&Aの収益寄与があったことなどにより、営業収益は389億85百万円と対前期比101億72百万円の増収、セグメント利益は1億86百万円と対前期比8億94百万円の増益となりました。
(ビジネスサポート事業)
(百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
営業収益 |
7,626 |
10,733 |
3,107 |
40.7% |
|
セグメント利益 |
1,099 |
1,252 |
152 |
13.9% |
拡販ならびにコスト改善に取り組むと共に、M&Aの収益寄与があったことなどにより、営業収益は107億33百万円と対前期比31億7百万円の増収、セグメント利益は12億52百万円と対前期比1億52百万円の増益となりました。
(プロダクト事業)
(百万円)
|
|
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
営業収益 |
― |
10,604 |
10,604 |
― |
|
セグメント 損失(△) |
― |
△180 |
△180 |
― |
当期に連結子会社化した中央化学株式会社の営業収益は106億4百万円、営業損失は1億80百万円となりました。
(資産の状況)
当期末における総資産は、5,818億50百万円となり、前期末に比べ1,010億32百万円増加いたしました。
流動資産は、2,017億73百万円となり、前期末に比べ307億39百万円増加いたしました。これは、現金及び預金が134億90百万円、受取手形、営業未収入金及び契約資産が53億3百万円、商品及び製品が60億13百万円、原材料及び貯蔵品が22億90百万円、その他流動資産が19億20百万円増加したことなどによるものです。
固定資産は、3,800億77百万円となり、前期末に比べ702億93百万円増加いたしました。これは、有形固定資産が589億73百万円、無形固定資産が12億26百万円、投資その他の資産が100億93百万円増加したことなどによるものです。
(負債の状況)
当期末における負債合計は、4,027億47百万円となり、前期末に比べ827億83百万円増加いたしました。
流動負債は、1,653億57百万円となり、前期末に比べ277億10百万円増加いたしました。これは、支払手形及び営業未払金が53億83百万円、電子記録債務が20億15百万円、短期借入金が42億8百万円、リース債務が22億60百万円、その他流動負債が131億円増加したことなどによるものです。
固定負債は、2,373億89百万円となり、前期末に比べ550億72百万円増加いたしました。これは、長期借入金が375億46百万円、長期リース債務が90億52百万円、退職給付に係る負債が14億28百万円、資産除去債務が10億93百万円、繰延税金負債が28億53百万円、その他固定負債が28億71百万円増加したことなどによるものです。
(純資産の状況)
当期末における純資産は、1,791億3百万円となり、前期末に比べ182億48百万円増加いたしました。これは、利益剰余金が102億47百万円、為替換算調整勘定が23億27百万円、非支配株主持分が45億78百万円増加したことなどによるものです。自己資本比率は前期末から2.9ポイント低下し、27.6%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ、139億53百万円増加し、561億47百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、476億94百万円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が257億36百万円、減価償却費が224億29百万円、売上債権及び契約資産の減少による資金の増加が97億4百万円あったものの、未払債務の減少による資金の減少が32億43百万円、法人税等の支払額として92億23百万円支出したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、523億19百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得に345億78百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得に155億円支出したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、177億30百万円の収入となりました。これは、短期借入金の純減額が51億49百万円、長期借入金の返済に134億24百万円、ファイナンス・リース債務の返済に66億3百万円、配当金の支払額に50億89百万円支出したものの、長期借入れによる収入が483億46百万円あったことなどによるものです。
③キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
|
2019年 3月期 |
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
|
自己資本比率(%) |
35.0 |
35.1 |
30.9 |
30.5 |
27.6 |
|
時価ベースの 自己資本比率(%) |
41.0 |
35.7 |
35.6 |
27.8 |
24.2 |
|
キャッシュ・フロー 対有利子負債比率 |
4.2 |
3.6 |
5.2 |
5.8 |
4.8 |
|
インタレスト・ カバレッジ・レシオ |
26.2 |
28.3 |
27.7 |
25.5 |
28.6 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
3)キャッシュ・フローの状況
当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローを重視し、当連結会計年度においても318億85百万円の資金を得ることができました。なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
物流事業におきましては、電気料金ならびに燃料価格の上昇、年度後半には荷動きの急減などがありましたが、拡販ならびに料金改定に取り組むと共に、M&Aの収益寄与があったことなどにより、営業収益は4,758億33百万円と対前期比352億67百万円の増収、セグメント利益は237億48百万円と対前期比4億72百万円の増益となりました。
セグメント資産は3,356億80百万円と対前年比458億69百万円増加しました。
商事・貿易事業におきましては、前期に連結子会社化した家庭紙卸売の株式会社カルタスの収益寄与があったことに加え、価格改定ならびに拡販、コスト改善などに努めましたが、テイクアウト・デリバリーに使用する包材需要の減少や、仕入価格の上昇などがあり、営業収益は1,598億21百万円と対前期比136億97百万円の増収、セグメント利益は24億21百万円と対前期比26百万円の減益となりました。
セグメント資産は662億55百万円と対前年比50億67百万円減少しました。
ライフサポート事業におきましては、日常生活の正常化の動きに伴う利用者数・来店者数の回復と、新規出店ならびにM&Aの収益寄与があったことなどにより、営業収益は389億85百万円と対前期比101億72百万円の増収、セグメント利益は1億86百万円と対前期比8億94百万円の増益となりました。
セグメント資産は321億85百万円と対前年比75億75百万円増加しました。
ビジネスサポート事業におきましては、拡販ならびにコスト改善に取り組むと共に、M&Aの収益寄与があったことなどにより、営業収益は107億33百万円と対前期比31億7百万円の増収、セグメント利益は12億52百万円と対前期比1億52百万円の増益となりました。
セグメント資産は666億61百万円と対前年比120億16百万円増加しました。
中央化学株式会社の連結子会社化に伴い新設されたプロダクト事業におきましては、営業収益は106億4百万円、営業損失は1億80百万円となりました。
セグメント資産は389億59百万円となります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、下払運賃ほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社・関係会社株式の取得等によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入による資金調達を基本としており、設備投資資金や長期運転資金は、社債及び金融機関からの長期借入による資金調達を基本としております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の金融機関との間で当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
当社は、2022年11月14日開催の取締役会において、中央化学株式会社(以下「対象者」)の普通株式(以下「対象者株式」)の全て(ただし、対象者が所有する自己株式を除きます。)及び三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)が所有するA種優先株式に係る普通株式対価の取得請求権を行使することにより交付される対象者株式を取得し、対象者を公開買付者の完全子会社とする一連の取引を実施した後、三菱商事による再出資と併せて、当社が対象者を公開買付者の連結子会社とすることを目的とする取引の一環として、金融商品取引法に基づく公開買付けを実施することを決議し、同日付で三菱商事と公開買付応募契約及び株主間契約を締結いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発活動費は、
主にプロダクト事業、商事セグメントにおいて新製品開発によるものであります。