第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、お客様、そして地域社会の「生活文化の質的な向上」を、美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとしており、複数分野にわたる事業部からなる小売事業と、酒類や化粧品等の輸入卸事業、酒類製造事業及び不動産事業からなる総合ライフスタイルカンパニーであります。グループ全体で顧客満足・社員満足を高めていくことで会社満足を高め、これら3つの満足によって企業価値の更なる向上に努めるとともに、「株主様」「取引先様」をはじめとする全ての関係者の皆様への利益還元と社会貢献の実現を目指しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、小売事業、卸売事業、蒸溜所事業、不動産賃貸事業の4事業にて構成されております。

小売事業においては、美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとし、その事業分野の店舗や商品・サービスにおいて提案力・迅速性・専門性・独自性で付加価値を生むことで他社との差別化を図ってまいります。

卸売事業においては、長引く円安に対応すべく、国内マーケットのみならず、アセアン諸国を中心とした海外マーケットの開拓に一層注力することにより、為替動向に左右されない安定した収益体制の構築を図るとともに、六甲山蒸溜所において製造しているオリジナル商品を、国内・海外問わず拡販することにより、売上・利益の確保に取り組んでまいります。

不動産賃貸事業においては、保有する資産の利活用の見直しに取り組むことにより、不動産賃貸事業への転換がより合理的である施設については、不動産賃貸事業に転換を図っていくことにより安定した収益を確保するとともに、引き続き良好な不動産マーケットにあり、収益が見込める物件については積極的に投資検討を図ることにより、着実な企業成長を目指してまいります。

また、積極的にM&A案件を検討することにより、既存事業の更なる成長や新たな事業基盤の獲得を目指してまいります。

① 小売事業 出店戦略

 当社グループは、より多くのお客様や地域へ取り組みをお届けするため、京阪神エリアを中心とし、北海道・首都圏・中部・近畿・九州地方への出店地域の拡大に積極的に取り組んでまいります。資本効率を重視し、出店予定エリアの市場性や地域の特性等を考慮したうえで最適な店舗形態を選択し出店してまいります。また当社グループは、総合ライフスタイルカンパニーとして、出店エリアのニーズにあわせて、複数の保有ブランドをマルチ展開し、ライフスタイルという領域において多角的に地域シェアを獲得することを目指してまいります。各ブランドにおいて、豊富な品揃えはもちろんのこと、生活必需品に限らず、洗練されたアイテムを「美・健康・ゆとりや時代の空気」というフィルターに通してご提案することで、心・体の両面から日々の豊かさを提供してまいります。また、お客様のニーズにあわせて、「化粧品×雑貨×食品酒類」といった、保有ブランドをハイブリッドにした売場展開を拡大してまいります。各事業部・ブランドで培った商品戦略基盤を保有するからこそ可能であるアイテムミックスにより、お客様のニーズにお応えすることで、差別化を図ってまいります。

 また、リテール部門の店舗コンセプトなどに合う酒類飲料や食品など、独自性のある商品を貿易事業部と川上の段階より共同開発を行い、川下の店舗で販売するという当社グループ内で一貫する垂直連携のプロセスも強化していくことで、他社にない魅力あるオリジナル商品の販売にも努めてまいります。

 

② 卸売事業 商品戦略・販売戦略

 海外サプライヤーとの関係強化により、多品種小ロットによる豊富な品揃えに加え、他社で取り扱っていないレア商材を様々な国から取り寄せることにより、国内マーケットのシェア拡大を図ってまいります。また、長引く円安に対応すべく、海外サプライヤーと連携し、自社オリジナルブランドの商品開発を積極的に行うことにより、為替動向に左右されない安定した収益体制の構築を図ってまいります。

 

③ 蒸溜所事業 製品戦略・販売戦略

 近年ウイスキーの世界市場は拡大しており、なかでも海外で権威のある賞を受賞したのをきっかけに、世界で注目されるようになったジャパニーズウイスキーの需要は今後ますます増えていくと思われます。そこで六甲山蒸溜所において、六甲の天然水を使用して製造した六甲山ピュアモルトウイスキーを高付加価値ブランドとし、国内マーケットに浸透させるとともに、アセアン諸国を中心とした海外マーケットの開拓に積極的に取り組み、幅広く輸出展開していくことで、蒸溜所事業の更なる事業拡大を図ってまいりたいと考えております。

 

④ 不動産戦略

 保有している施設において、人口減少エリアにおける需給バランスの変化に伴い、飽和市場となっている地域の施設については、同地の不動産市況も鑑み、現状の収益と不動産賃貸事業へ転換した場合の収益の将来キャッシュ・フローを比較検討し、不動産賃貸事業への転換がより合理的である施設については、小売事業における地域社会への一定の貢献は果たしたものと判断し、同施設の不動産賃貸事業への転換を図ることにより安定した賃貸収入確保への切り替えを検討してまいります。また、中核都市においては、引き続き良好な不動産マーケットにあり、且つ収益が見込める物件については積極的に投資検討を図ることにより、着実な企業成長を目指してまいります。

 

⑤ IT及び顧客購買データの活用

 インターネットやモバイル端末の普及により様々な情報を入手することが可能になったことでお客様の生活スタイル・消費行動が変化し、さらにニーズ・嗜好も多様化してきております。これらに迅速に対応するためECサイト「アクサスオンラインコレクション」、「チャーリーオンラインショップ」の充実も図ってまいります。また、アクサススタンプカードアプリ及びPOSデータをはじめとした顧客購買データの活用を図るとともに、EC事業を専業としている当社連結子会社(孫会社)のノースカンパニー及びハイブリッジ並びにアクサスリテールからも消費者の消費動向のマーケティングのサンプルデータをより多く入手することが可能となったことで、出店戦略、商品戦略並びに販売戦略のさらなる向上を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高、営業利益のほか、自己資本利益率、自己資本比率を、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として用いております。

 

(4)経営環境

国外においては、インフレと金融不安による信用収縮が実体経済の下押し圧力となっていること等により世界的な景気後退懸念が強まっております。また、国内においては、インバウンド需要の拡大や所得の増加による個人消費の持ち直しが期待される一方で、資源・エネルギー価格の高騰や生活必需品の値上げ等により、先行きについては不透明な状況が続くものと考えられます。

当連結会計年度におきましては、主として小売事業において、首都圏、京阪神、九州エリアへの新規出店や品揃えを充実させるリニューアルを実施した店舗を中心に販売が好調に推移したものの、長引く円安の影響により仕入れコストが上昇したことによる収益の減少や、現状の収益と不動産賃貸事業へ転換した場合の収益の将来キャッシュ・フローを比較検討し、不動産賃貸事業への転換がより合理的である施設について不動産賃貸事業へ転換を図ったことから、当連結会計年度においては対象となる店舗の閉店セールの影響により収益が減少いたしました。

翌連結会計年度(令和7年8月期)におきましては、小売事業においては、インバウンド需要の拡大や所得の増加による個人消費の持ち直しが期待されることや、卸売事業においては、積極的な海外販路の開拓に取り組むとともに、六甲山蒸留所において製造しているオリジナル商品を、国内・海外問わず拡販してまいります。また、不動産賃貸事業においては、保有する資産の利活用の見直しを実施するとともに、良好な不動産マーケットにある不動産物件に対し、積極的に投資検討を図ってまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 財務体質の改善

当社グループでは、財務体質の改善を重要な課題として認識し、自己資本比率を向上させることを経営目標に掲げております。また、運転資金枠及びシンジケートローンを活用することで、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入しており、財務の健全性を確保するとともに、今後の出店等で増加する経常運転資金の変化に即応した施策の実行を可能としております。新規出店等の設備投資にあたりましては、営業キャッシュ・フローとバランスのとれた回収可能性の高い設備投資を実施するとともに、在庫削減・コスト低減をすることにより、有利子負債を抑制し、自己資本比率の改善に努めてまいります。

 

② 人材育成

当社グループでは、商品・サービスによって美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとしており、お客様の日常から最も近いところにいる私たちにとって、本当にいいものや必要とされるものを見極める感性を磨き続け、良質な提案をスピーディーにお届けすることも最重要使命のひとつであります。国内外の視察等により日々感性を磨くとともに、研修制度や外部委託による顧客満足度(CS)調査により小売業の基本となる接客サービスや幹部候補育成に積極的に取り組み、プロフェッショナルとしての自覚を持った人材の育成に取り組んでまいります。

 

③ マルチブランド化

近年、地政学リスク等で国際情勢が一段と不透明なものとなり、国内においては人口減少に歯止めがかからない等、当社グループを取り巻く経営環境は急激に変化しております。このような経営環境の変化をいち早く察知し、柔軟に対応するため、当社グループでは、これからもM&Aを成長エンジンの一つと捉え、新たな事業分野での事業価値の創造による成長を図ることで、企業価値の向上を目指してまいります。

 

④ 内部管理体制及び内部統制の強化

お客様の安心・信頼に繋がる店舗運営を実現するため、内部監査室による店舗監査を定期的に実施し、健全な店舗管理体制の維持に努めてまいります。内部統制につきましては、経験・見識の豊富な社外取締役を選任し活発な議論を図るとともに、監査等委員監査、会計監査人監査並びに内部監査の三様監査の相互連携と独立性の確保を図り、健全なガバナンス体制の維持に努めてまいります。また、法務・会計・税務等の専門分野について重要な判断を要する案件につきましては、顧問弁護士、顧問会計士、顧問税理士等、外部専門家に適宜、指導や助言を受けることでコンプライアンスを徹底してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、「美」・「健康」・「ゆとり」・「時代の空気」などの側面から、お客様の暮らしや地域社会の生活文化の質的向上を応援するというミッションを掲げており、そのミッションを通じて社会の持続可能な発展に貢献していくことが、当社グループに期待されているサステナビリティと考えております。

 事業活動を通じて持続可能な社会の実現に寄与するため、環境や社会などの諸問題に対して適切な対応を行うため、取締役及び監査等委員である取締役を中心に、サステナビリティに関する議論をし、当社グループの方針について検討したうえで、中長期的な企業価値に影響を与える重要な案件については取締役会に付議・審議しております。

 

(2)戦略

 当社グループにおける、人材の育成等人的資本に関する方針、戦略として、当社グループは多様な人材に門戸を開放し、性別や国籍に関わりなく、同一の基準で採用・登用しております。そして、当社グループで働くすべての社員が、事業全般を通じて、お客様に200%の満足をご提供するために活動し、そのためには社員のひとり一人が、個性の中にも共通する価値観と高い倫理観を持って行動する必要があると考えております。そこで当社グループの基本的使命や社会的責任を十分に認識し、日常の業務における行動や判断が、これらの使命や責任に即したものであるかを判断するスタッフ行動規範冊子「アクサスの羅針盤」を作成し、これに基づいた社内研修を実施する等、人材の育成に取り組んでおります。

 また、スポーツ活動を通じて健康増進を図るとともに、自身の能力を向上させ、自己研鑽をしていく過程を経験することで、社員の生活の質を高めることを目的とした「スポーツ魂支援制度」を平成28年3月に制定・実施しており、これにより社員の健康保持・増進が図られ、当社グループの将来的な収益性等の向上にも寄与していくと考えております。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、グループ全体的なリスク管理は、コンプライアンス規程の定めに従い都度設置されるコンプライアンス委員会において行っており、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクにつきましても、本委員会において協議・検討しております。また、中長期的な企業価値に影響を与える重要な案件については取締役会に付議・審議しております。

 

(4)指標及び目標

 上記「(2)戦略」において記載した人材の育成等人的資本に関する指標及び目標については以下の通りです。

指標

目標

実績

スタッフ行動規範等社内研修実施回数

30

79

スポーツ魂支援制度利用件数

定めない

10

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)競合について

当社グループの小売事業は激しい競争環境にあり、ライフスタイル商品を取り扱うあらゆる販売チャネルが競合となります。当社グループは美・健康・ゆとりの側面から時代の空気をお客様のライフスタイルにお届けすることをコアミッションとし、その事業分野の店舗や商品・サービスにおいて提案力・迅速性・専門性・独自性で付加価値を生むことで他社との差別化を図っておりますが、市場の動向により価格競争、来店客数の減少等、様々な要因により財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替リスクについて

 当社グループの卸売事業及びEC事業は商品を海外から輸入しており、取引通貨は円以外にも米ドル・ユーロ等の通貨があり、急激な円安の進行や、円安が長期的に推移した場合、実質的な仕入価額が上がるため、売上総利益率の変動を受ける可能性があり、場合により売価を見直す等、為替リスクを回避する対策を講じておりますが、当該為替リスクを完全に価格転嫁できる保証はなく、為替相場等の変動による一般的な市場リスクを有しております。

 

(3)気候条件・災害等について
 当社グループは、幅広い商品展開を行っておりますが、夏・冬の気候の影響が強い商品群が存在します。季節商品の動向は、一定期間に集中する傾向にあるものの、予測・コントロール不可能な気候条件の変動により左右されるため、今後も気候条件の変動が財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、災害等により、当社グループが出店する周辺地域に被害が生じ、円滑な営業活動が阻害された場合、当社グループの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)関連法令等について
 当社グループでは、関連法令等に十分留意した営業活動を行っておりますが、万一、これらに反する事由が生じた場合には、企業活動が制限される可能性があります。また、関連法令等の改正や新たな法規制への対応及び有資格者の確保等のため、経営コストが増加する可能性があります。したがって、関連法令等により事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)金利・金融市場の動向

 当社グループは、当連結会計年度末日現在において13,099百万円の銀行借入金、社債、リース債務の残高があります。当社グループは、銀行借入金等の削減に向けた様々な取り組みを行っていますが、当社グループの成長戦略に伴い、銀行借入金等がさらに増加する可能性があります。長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)財務制限条項について

 当社グループは、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入し、財務の健全性を確保するとともに事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることを目的とし、当社の連結子会社であるアクサスは、取引金融機関各行と運転資金枠及びシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。コミットメントライン契約には、一定の財務制限条項が付されており、財務制限条項に抵触した場合、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)減損会計の適用について

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により、今後においても競合の激化や予期せぬ商圏の変動等により店舗の収益性に変化があった場合には、固定資産の減損処理が必要になる場合があります。その場合、特別損失が計上され財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)個人情報管理について

 当社グループは、お客様へのサービス向上のための各種クレジットカードの取扱いを通じ、お客様の個人情報を保有しております。これらの情報の管理につきましては、個人情報保護法に基づき「個人番号及び特定個人情報保護規程」や事務手続等を策定し、従業員への教育・研修等による情報管理の重要性の周知徹底、情報システムのセキュリティ対策等を行っております。また、マイナンバー制度に関する特定個人情報の管理体制についても万全の対応を行っております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重要な情報が外部に漏洩した場合、社会的信用問題や個人への賠償問題等、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)地政学リスクについて

米中をはじめとする2国間関係やロシア・ウクライナ及び中東情勢を巡る多国間関係等、国際的な地政学リスクが高まり、戦争・紛争が発生した場合、取引先や物流に影響を及ぼす事象が発生する等、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(令和5年9月1日から令和6年8月31日まで)のわが国の経済は、インフレと金融不安による信用収縮が実体経済の下押し圧力となっていること等により世界的な景気後退リスクが広がっております。国内においては、内需の回復やインバウンド需要の拡大に伴う雇用、所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直し等により景気は緩やかな回復基調にあります。一方で、為替市場の円安の長期化やロシア・ウクライナ危機を起因とした原材料や資源価格の高騰等により生活必需品の値上げが相次ぐ等、消費者の体感インフレが高まっております。そのような経済環境のなか、当社グループは、お客様の日常から最も近いところから「本当にいいものや必要とされるものを見極める感性を磨き続け、良質な提案をスピーディーにお届けすること」を最重要使命とし、グループ全体でお客様、そして地域社会の生活文化の質的な向上を「美・健康・ゆとりの側面」から応援し、顧客満足、社員満足を高めていくことで会社満足も高め、これら3つの満足によってグループ価値の更なる向上に努め、株主様、取引先様をはじめとするすべての関係者の皆様への利益還元と社会貢献の実現を目指しております。

具体的な取り組みとして、令和5年9月、チャーリー川内店(徳島県徳島市)において、化粧品の品揃えを充実するリニューアルを実施するとともに、複合施設YAMASHIROTERRACE(徳島県徳島市)にあったサイクルショップGoGoBIKEをデコール川内店(徳島県徳島市)に移転いたしました。また、アウトドア用品を新たに品揃えし、サイクルキャンプを提案する店舗にリニューアルいたしました。同年10月、同複合施設にあったアウトドアショップ好日山荘徳島山城店をアレックススポーツ沖浜店(徳島県徳島市)に移転リニューアルオープンいたしました。同年同月、国内外のウイスキーや入手困難なウイスキーを数多く取り扱う川端WHISKY Established in 2023(福岡市博多区)を福岡県に初出店いたしました。その一方で、同年同月、チャーリーDSブランチ大津京店(滋賀県大津市)を閉店いたしました。同年12月、チャーリー沖浜店(徳島県徳島市)において、コスメを中心に、国内ブランドや海外のラグジュアリーブランド、フレグランス等のアイテムを充実するリニューアルを実施いたしました。その一方で、アレックスコンフォート星が丘テラス(名古屋市千種区)を閉店し、令和6年1月、アワーリカー藍住店(徳島県板野郡)について、現状の収益と不動産賃貸事業へ転換した場合の収益の将来キャッシュ・フローを比較検討し、不動産賃貸事業への転換がより合理的であると判断し閉店いたしました。同年4月、インテリア雑貨やバッグ、アクセサリー等、洗練されたオリジナリティあふれる商品構成を目指し、国内外のメジャー・マイナーを問わず、使うほどに愛着が湧く商品を取り揃えたライフスタイルショップとしてプラザアレックス日比谷シャンテ(東京都千代田区)を出店、同年同月、生活雑貨、化粧品、食品等を唯一無二の世界観で提案し、生活を美しくするアイテムを取り揃えた&luluマークイズ福岡ももち(福岡市中央区)を出店いたしました。一方で、同年3月、アレックスコンフォートいこらも~る泉佐野(大阪府泉佐野市)、同年6月、アレックスコンフォート岸和田カンカンベイサイドモール(大阪府岸和田市)を閉店いたしました。同年7月、アレックスコンフォート高松丸亀町グリーン(香川県高松市)において、新規カテゴリーのカラーコンタクトの導入や流行ブランドメイク、ファンデーション等のアイテムを充実するリニューアルを実施いたしました。同年同月、アレックススポーツブルメール舞多聞(神戸市垂水区)において、施設の2階から通行量が多く見込める1階に移転、リニューアルするため一時休業し、準備を進めております。また、同年8月、デコール川内店、デコール脇町店(徳島県美馬市)について、現状の収益と不動産賃貸事業へ転換した場合の収益の将来キャッシュ・フローを比較検討し、不動産賃貸事業への転換がより合理的であると判断し閉店するとともに、デコール川内店にあったサイクルショップGoGoBIKEをアレックススポーツ沖浜店に移転いたしました。また同年同月、複合施設YAMASHIROTERRACE内にあるアワーリカー沖浜店及びデコールグリーン&アースカフェを閉店し、同年9月、デコールグリーン&アースカフェ跡に、世界各国のウイスキーを取り扱う店舗として山城WHISKYを新たにオープンいたしました。また、自社リソースで物流業務を内製化し、業務の効率化を図ることにより物流コストを長期的に削減する目的として、チャーリー藍住店(徳島県板野郡)を閉店し、各店舗への配送やEC販売の配送を担う自社物流センターに転換し、運用を開始いたしました。

その結果、当連結会計年度末におけるグループ店舗数は、35店舗となりました。

以上の結果、当連結会計年度は、売上高11,718百万円(前期比5.9%増)、営業利益14百万円(同92.0%減)、経常損失102百万円(前連結会計年度は、経常利益33百万円)となりました。特別利益、特別損失及び法人税等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は31百万円(同2,945.3%増)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(a) 小売事業

小売事業につきましては、ヘルス&ビューティーケアユニットでは、スキンケア関連商品の客注販売が苦戦した一方で、天然素材100%で作られたスタイリング剤やラグジュアリーヘアケア商品の販売が好調に推移いたしました。

ライフスタイルユニットでは、外出機会が増えたことや猛暑の影響等により日傘・帽子やアイウェア関連商品の販売が好調に推移いたしました。一方で、家ナカ需要が落ち着いたことによりキッチンカテゴリーの販売が苦戦いたしました。

アスレユニットでは、令和5年夏場の残暑が長引いた影響等で冬物アイテムの販売が苦戦いたしました。一方で、プロサッカーチーム関連の大口販売があったことや、ECサイトにおいて人気アウトドアブランドのTシャツの販売が好調に推移いたしました。

ホームキーパーユニットでは、文具セクションにおいて、人気の高機能シャープペンの販売が好調に推移いたしました。一方で、ホームキーパーセクションの各店舗について、不動産賃貸業へ転換することにより安定した収益を確保することを目的として、閉店セールを実施した影響等により利益額は減少いたしました。

アルコユニットでは、アワーリカー沖浜店及びアワーリカー藍住店の閉店セールの影響等により利益額が減少いたしました。一方で、高単価のウイスキーや高級ブランデーの販売が各店舗やECサイトにおいて好調に推移いたしました。

ECユニットでは、円安や輸入代行等のコスト増加の影響を受けたものの、国内化粧品やベビーカトラリー等の雑貨及び、ウイスキー、シャンパン等の酒類の販売が好調に推移いたしました。

これらの結果、当セグメントの売上高は8,487百万円(前期比15.9%増)、セグメント利益は60百万円(同68.7%減)となりました。

 

(b) 卸売事業

卸売事業につきましては、長引く円安の影響による仕入コストの上昇や、多様化する消費動向の変化に対応するため商品構成の充実や価格訴求商品のラインアップ強化に取り組みました。また、増加するインバウンド向けマーケットや拡大傾向にあるウイスキーマーケットの需要を取り込むべく、あらゆるチャンネルに向けて営業強化を実施いたしました。六甲山蒸溜所においては、日本酒を製造する際に使われる杉樽を利用し、貯蔵したウイスキー等のラインナップの増強や、百貨店の催事・カタログ等での販売に取り組みました。また、長引く円安に対応すべく海外販路の開拓に取り組み、空港免税店での販売やアセアン諸国を中心とする海外での商品展示会に対して積極的に出展する等、輸出事業の強化を図ってまいりましたが、仕入れ価格の高騰分を販売価格にすべて転嫁することは難しく、また、ナイトマーケット向けの嗜好品の消費低迷も影響し、当セグメントのセグメント利益を押し上げるには至りませんでした。

これらの結果、当セグメントの売上高は3,461百万円(前期比2.2%増)、セグメント利益は81百万円(同69.0%減)となりました。

 

(c) 不動産賃貸事業

不動産賃貸事業につきましては、所有物件の価値を維持、向上させることにより、物件の高稼働を維持しており、既存テナントから安定した売上を確保しております。また、一部不動産に関しましては、キャピタルゲインを含めた譲渡価額が、対象不動産の想定する運用期間から得られる将来キャッシュ・フローを上回ったことから、譲渡することが企業価値の向上に寄与すると総合的に判断し譲渡いたしました。

これらの結果、当セグメントの売上高は655百万円(前期比5.1%増)、セグメント利益は249百万円(同19.4%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ543百万円増加し、当連結会計年度末残高は1,341百万円(前期末比68.1%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの概況とそれらの要因は次のとおりであります。

(a) 「営業活動によるキャッシュ・フロー」

営業活動の結果獲得した資金は749百万円(前期比40.8%減)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益48百万円に対し、減価償却費389百万円、棚卸資産の減少額699百万円等により増加し、仕入債務の減少額106百万円等により減少いたしました。

 

(b) 「投資活動によるキャッシュ・フロー」

投資活動の結果使用した資金は348百万円(前期比127.1%増)となりました。主な要因は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出956百万円、有形固定資産の取得による支出294百万円等により減少し、有形固定資産の売却による収入1,010百万円等により増加いたしました。

 

(c) 「財務活動によるキャッシュ・フロー」

財務活動の結果獲得した資金は143百万円(前期は2,697百万円の使用)となりました。主な要因は長期借入れによる収入1,000百万円、社債の発行による収入200百万円等により増加し、短期借入金の純減少額80百万円、長期借入金の返済による支出825百万円等により減少いたしました。

 

③ 仕入及び販売の状況

(a) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

区分

前連結会計年度

(自 令和4年9月1日

至 令和5年8月31日)

当連結会計年度

(自 令和5年9月1日

至 令和6年8月31日)

金額

(千円)

前年同期比

(%)

金額

(千円)

前年同期比

(%)

小売事業

4,902,405

92.6

5,564,047

113.5

卸売事業

1,985,843

61.0

2,507,656

126.3

合計

6,888,249

80.6

8,071,704

117.2

(注)1.仕入高は、仕入価格によっております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(b) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント及び地域別に示すと、次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 令和4年9月1日

至 令和5年8月31日)

当連結会計年度

(自 令和5年9月1日

至 令和6年8月31日)

区分

地域別

(都道府県別)

店舗数

売上高

(千円)

構成比

(%)

前年

同期比

(%)

店舗数

売上高

(千円)

構成比

(%)

前年

同期比

(%)

小売事業

北海道

3

1,056,015

9.0

東京都

2

40,612

0.4

304.3

3

48,759

0.4

120.1

愛知県

4

298,998

2.7

157.8

3

316,107

2.7

105.7

滋賀県

2

314,685

2.8

86.8

1

223,905

1.9

71.2

京都府

1

25,468

0.2

1

56,202

0.5

220.7

大阪府

2

119,690

1.1

194.5

90,305

0.8

75.4

兵庫県

9

1,272,932

11.5

90.6

9

1,203,804

10.3

94.6

岡山県

26,495

0.2

66.5

徳島県

17

3,926,032

35.5

94.1

11

3,650,926

31.1

93.0

香川県

4

1,292,859

11.7

96.9

4

1,254,727

10.7

97.1

福岡県

2

88,492

0.8

小 計

41

7,317,775

66.1

96.6

37

7,989,247

68.2

109.2

卸売事業

1

3,055,510

27.6

97.7

1

3,076,751

26.2

100.7

不動産賃貸事業

619,404

5.6

99.9

651,226

5.6

105.1

そ の 他

71,776

0.7

3,492.8

1,489

0.0

2.1

合  計

42

11,064,467

100.0

97.7

38

11,718,715

100.0

105.9

(注)1.店舗数は、当連結会計年度末の店舗数を記載しております。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用した重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績の分析

当社グループの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に関する、当連結会計年度の達成状況及び翌連結会計年度の計画等につきましては、次のとおりであります。

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

自己資本

利益率

(%)

自己資本比率

(%)

当連結会計年度

(令和6年8月期)

当初計画

12,386

411

当連結会計年度

(令和6年8月期)

実績

11,718

14

1.5

12.2

対比率

(計画比)

5.4%減

(計画比)

96.6%減

(前期比)

1.5ポイント増

(前期比)

0.3ポイント増

翌連結会計年度

(令和7年8月期)

計画

12,347

408

 

④ 財政状態の分析

(a) 資産

総資産は16,607百万円(前期末比5.6%減)となりました。うち流動資産は6,239百万円(同3.0%減)、固定資産は10,357百万円(同7.1%減)、繰延資産は10百万円(同17.5%減)となりました。

 

(b) 負債

負債合計は14,580百万円(前期末比6.0%減)となりました。うち流動負債は9,777百万円(同8.5%減)、固定負債は4,803百万円(同0.5%減)となりました。

 

(c) 純資産

純資産合計は2,026百万円(前期末比2.5%減)となりました。以上の結果、自己資本比率は12.2%(同0.3ポイント増)となりました。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因等につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

⑦ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、小売事業及び卸売事業で販売する商品の仕入れ並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金需要のうち主なものは、店舗に関わる設備投資及び賃貸不動産の取得等であります。

当社グループは、運転資金需要に対しては、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入し、財務の健全性を確保するとともに事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることを目的とし、当社の連結子会社であるアクサス及びノースカンパニー並びにハイブリッジは、取引金融機関各行と運転資金枠及びシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。設備資金需要に対しては、設備投資計画に基づき、案件ごとに調達方法を検討し、適切な調達を行っております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は13,099百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,341百万円となっております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式取得(孫会社化)に係る株式譲渡契約

 当社は、令和6年9月18日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるアクサスが、株式会社GIVERSと株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

(2)経営指導に関する契約

 当社は、平成28年3月1日付で連結子会社であるアクサスとの間で、同社に対する経営管理業務に関し、経営指導に関する契約を締結しております。

 また、令和5年9月1日付で当社の連結子会社であるアクサスとノースカンパニー及びハイブリッジとの間で、両社に対する経営管理業務に関し、経営指導に関する契約を締結しております。

 そして、令和6年10月1日付で当社の連結子会社であるアクサスと株式会社GIVERSとの間で、両社に対する経営管理業務に関し、経営指導に関する契約を締結いたしました。

 

(3)シンジケーション方式によるコミットメントライン契約

当社の連結子会社であるアクサス及びノースカンパニー並びにハイブリッジは、安定的且つ資金需要に応じた機動的な経常運転資金調達手段を導入することで、財務の健全性を確保するとともに、今後出店等による経常運転資金増加の事業環境の変化に即応した施策の実行を可能にすることを目的として、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。

 

(4)不動産売買契約

契約会社名

相手方の名称

契約締結日

契約内容

契約金額

物件引渡日

アクサス

内国会社1社

(非上場)

令和6年8月13日

土地及び建物の

譲渡

1,067,000千円

令和6年8月30日

アクサス

内国会社1社

(非上場)

令和6年9月6日

土地及び建物の

譲受

796,663千円

令和6年9月27日

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。