第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「私たちは、全従業員の物心両面の豊かさを追求するとともに、日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献する」という経営理念のもと、「絶えざる革新」により、変化する環境に対応し、人の一生を支援する事業を通じて、企業価値の向上と、株主のみなさまをはじめとする全てのステークホルダーへの貢献を追求しています。

 

(当社グループの組織価値観)

経営理念

私たちは、全従業員の物心両面の豊かさを追求するとともに、
日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献します

経営目標

私たちは、人の一生にかかわる企業として、地域一、日本一、そして世界一を目指します

社是

私たちは、常に創意工夫をし、絶えざる革新を心がけます

3つの原則

1.私たちは、ひとりひとりを大切にします

2.私たちは、高い志を持ち、仕事を通じて成長します

3.私たちは、常に感動づくりを心がけます

 

 

(2) 優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題

我が国においては、国民の年齢構成や人口動態が変化することにより、少子高齢化が加速しています。当社グループにとって、少子高齢化は成長戦略の重要な要素であり、課題でもあります。社会構造もグローバル化や高度なデジタル化がますます進行し、多様化してきています。今後当社グループは、学習塾事業、語学関連事業、保育事業、介護事業、人材育成・紹介事業、フードサービス事業をコア事業と位置づけ、一生支援事業を行っていきたいと考えています。

学習塾事業においては、更に多様化する未来を見据え、学習を通じて自主性を持った子どもたちを育てていきたいと考えています。未来を生きるために必要な自主性を育む教育サービスである「リーチング」を独自能力として更に磨いていくことが課題であります。また、大学入試制度、英語教育の抜本的な改革、教育のオンライン化の進行など教育環境も変化し、顧客ニーズの多様化への対応も課題であります。 

語学関連事業では、日本国内だけでなく、グローバルな語学教育事業を拡大していきたいと考えています。将来の労働人口の減少は日本国内の産業にも大きく影響してきます。海外からの留学生に日本語教育を行い、技能実習生の教育に携わることも当社グループの重要なミッションであります。また、日本国民のグローバルなコミュニケーションの道具としての英会話力向上により将来のグローバル化に対応できる人材を育成していきたいと考えています。グローバル化が進むにつれ、各国の文化・慣習などを把握して対応することが課題であります。

保育事業においては、待機児童の問題が少子化の加速により徐々に解消されていくことを鑑み、出店スピードを抑制しながら、学習塾の特性を活かした知育を実現し、社会からの要請に応えていきたいと考えています。しかしながら、他社同様、保育士不足は依然問題と認識しており、保育士の確保と質の高い保育サービスを提供することが課題であります。

介護事業においては、高齢人口が急速に増加する中で、現在は入居者等の健康を考慮し、機能改善を図っておりますが、これまで以上に健康維持・改善や認知機能の低下防止などさらなる高い質の介護サービスの提供が課題であります。フードサービス事業においても、高齢者への配食による健康維持や予防につなげていくことが課題であります。

 

人材育成・紹介事業においては、当社グループをはじめ保育事業や介護事業を営んでいる事業者へ技術力の高い人材を育成し紹介していくことが社会的使命だと考えています。日本人の育成・紹介を展開するだけでなく、海外からの留学生や技能実習生、特定技能資格で働く外国人など、国境を越えた人材育成と地域貢献も課題と捉え、取り組んでおります。外国人が日本国内で保育士や看護師、介護士等の資格を取得するためには日本語能力だけでなく、専門知識も身につけてもらうことが必須であり、これまで培ってきた学習塾事業のノウハウをどう活かしていくかが課題であります。

新型コロナウイルス感染症については、予断を許さない状況ではありますが、少しずつ収束の光が見え始めています。学習塾などの事業においては、感染防止対策を徹底し、顧客の安全と安心を第一に考え、最善を尽くしてまいります。日本語教育や海外事業については、少しずつ留学生などの人の往来が可能となり、今後の事業拡大に向けて積極的に活動して参ります

 

(3) 中長期的な経営戦略

当社グループは、少子高齢化や教育改革など環境の変化に対応し、「総合教育企業」から「人の一生に寄り添い、社会に貢献できる企業」としての展開を進めております。2020年に「ステキな大人が増える未来をつくる」を当社のグループビジョンとして掲げました。重要課題は「本気の人材育成」と「将来を見据えた収益性の向上」です。「本気の人材育成」については、業態にかかわらず人材の交流を積極的に行うとともに、人事評価の見直しを行うことによって社員の成長を促していきたいと考えています。「将来を見据えた収益性の向上」を実現していくためには、目先の利益ではなく、ひとりひとりが力をつけ、独自性を追求していくことが大切だと考えています。また、国内市場に向けた海外人材の活用だけでなく、日本から海外への人やサービスを輸出する双方向の人材交流でグローバル戦略を計画・実行していきたいと考えています

新型コロナウイルス感染症による事業への影響は、今後も暫く続くと想定されるものの、中長期でみると、当社グループの各事業の課題は不変的要素が多分にあり、これまでの戦略が大きく変わることはないと考えています。すべての事業において、今後の基軸となるのは将来性です。京進だからこそできるサービスや商品の開拓に全力で取り組み、独自性を確かな力に変えていきたいと考えております

 

具体的には、以下の3つの戦略テーマを推進いたします。

1.本気の人材育成

  ①積極的な人事交流とダイナミックな組織編制

  ②リーチングのさらなる促進

  ③風通しの良い職場環境の実現

2.徹底した収益性向上への対応

  ①人件費率の低減

  ②事業部ごと・事業所ごとの収益性向上

  ③人件費を除く経費削減

3.その他

  ①グローバルな事業展開

  ②新規事業展開

  ③独自性の追求

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、顧客や社会から評価された結果としての集客及び収益性の向上を目指しており、経営指標としては、各事業において顧客数・売上高・営業利益を重視しております。長期的な経営指標の目標としては、顧客数・売上高の成長と同時に経常利益率の向上を重視しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 安全・安心に関するリスク

・顧客、従業員の安全・安心

当社グループは、何よりも安全・安心を重要と考えています。全校舎電子錠システムを採用し、モニターカメラを設置しチェックする体制の確立など、学習塾事業においては、安全に安心して通える環境の提供は必須であります。保育事業、介護事業、フードサービス事業においては、アレルギー性物質の混入や食中毒等が発生しないよう各種マニュアルの制定・研修の実施等、体制を整えています。その他の事業でも、お客様が安全に安心してご利用いただけるサービスの提供を最重要事項として位置づけ、活動を行っています。また、従業員が安全・安心に働けることも重視しており、特に心のケアができる体制を強化することが重要であり、外部の相談窓口等とも提携し体制を整えています。しかしながら、顧客や従業員の安全を脅かす事態が発生した場合、社会的信用の低下により業績等に大きな影響を与える可能性があります。

 

・海外事業

当社グループでは、海外にて学習塾事業、語学関連事業の拠点を運営しています。海外での事業は、各国の法律・規則、税制などの変化、自然災害の発生、政治情勢及び経済情勢の変化、商習慣や文化の相違、戦争や紛争、テロの発生等により影響を受ける可能性があります。当社グループでは、拠点のある各国、地域の動向等情報収集に努めているものの、これらの国・地域において上記事象が発生・顕在化することにより、事業継続に支障をきたし、業績等に影響を与える可能性があります。

 

・個人情報の取り扱い

当社グループでは、多数の個人情報を有しております。これらに関しては、様々な部門メンバーで構成された委員会を組織し、顧客情報保護方針に基づいた管理を徹底し、漏洩等の未然防止を徹底しております。しかしながら、何らかの原因により情報が流出した場合は、社会的信用の低下により業績等に影響を与える可能性があります。

 

② 自然災害の発生に関するリスク

当社グループが事業を展開している地域において、大規模な地震・水害等の自然災害が発生した場合、事業継続が困難となる可能性があります。当社グループでは、事業拠点における施設・設備の安全対応、災害マニュアルの浸透徹底や訓練の実施、従業員等安否確認システムの整備や各事業所へ備蓄品を配備するなど、お客様及び従業員の安全確保と事業が継続できる体制の構築に努めておりますが、首都直下型地震や南海トラフ地震等の想定を上回る大災害が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新型コロナウイルス等のパンデミックに関するリスク

当社グループが事業を展開している地域において、新型コロナウイルス等の感染症が発生した場合、海外からの留学生を顧客対象とする事業や、対面によるサービス提供を中心とする事業において、業務遂行が困難となる可能性があります。新型コロナウイルス感染症について、当社グループでは厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に基づき感染防止対策の徹底を行っております。当社グループでは、オンライン環境の整備など有事に備えて体制の整備に努めております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が継続し、長期に渡る海外渡航制限や複数施設での大規模クラスターの発生等により、事業活動の運営が困難になった場合には、売上減少や感染症対応費用の増加により、業績等に影響を与える可能性があります。

 

④ 法的規制に関するリスク

・子育て支援にかかる法的規制

当社グループが展開する保育事業において、国や地方自治体の子育て支援事業に関連する方針が変更され、保育所の設置・運営に関する法律の改定が行われた場合や、補助金制度の見直しが行われる場合、当社グループの保育事業活動が制約を受ける可能性があります。また、何らかの事由により、現在運営している認可保育所や東京都認証保育所などの許認可が取り消された場合には、業績等に影響を与える可能性があります。

 

・外国人受け入れにかかる法的規制

当社グループが展開する日本語教育事業、海外の語学関連事業において、入国管理局及び国の外国人受け入れに関連する法的規制の制定・改定が行われた場合、計画通りの留学生の受け入れができず、当社グループの語学教育活動が制約を受ける可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症のように想定外の事態が顕在化した場合においても、入国制限及び行動制限措置等により、計画通りの留学生の受け入れができなくなった場合には、業績等に影響を与える可能性があります。

 

・介護事業にかかる法的規制

介護サービス事業は介護保険法の影響を強く受けており法律の制定・改定が行われた場合、当社グループの事業活動が制約を受ける可能性があります。当社グループでは、介護サービスを提供する関連会社において、マニュアルの整備や研修を充実させ、適切な事業経営に努めております。しかしながら、何らかの理由により指定の取消又は停止処分を受けた場合には、業績等に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 企業の存続に関わるリスク

・人材の不足

当社グループでは人材が重要な経営資源であり、サービス提供を行う従業員の確保と育成は提供価値の質に関わるものであり、企業規模の拡大成長には不可欠で重要な要素となっております。また、保育事業における保育士、介護事業における介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士等、有資格者によるサービスが法的に義務付けられている事業もあります。当社グループでは、要員計画に基づいた採用活動で人材要件に沿った人材確保をするとともに、育成についても、職種別・階層別等のさまざまな研修の充実を行い、独自のリーダー育成制度等により人材育成に努めております。しかしながら、今後、採用環境の急激な変化により人材の確保や育成が計画どおりに行えない場合には、出店計画の遂行やサービスの提供に支障をきたし、業績等に影響を与える可能性があります。

 

・システムトラブル

当社グループでは、コンピュータネットワークシステム上で基幹システムを構築しており、顧客情報の管理、請求管理等を行っております。また、インターネット上で提供しているオンラインサービスも実施しています。災害や事故の発生に備えてシステム会社とのメンテナンス契約、バックアップ体制を整えております。しかしながら、予期せぬ規模の災害等によりシステムトラブルが発生した場合には、顧客へのデータ提供等に支障をきたし、業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

⑥ 業績変動に関わるリスク

・集客時期の偏り

当社グループの学習塾事業、語学関連事業では、入学や卒業等により生徒数が大きく変動し、学校の新学期である春期が最も少なく、その後増加していく傾向にあります。新学期開始時期と、その他の季節講習の時期は、新規顧客の集客時期となります。集客時期に想定外の事態が発生し、集客が進まなかった場合、通期の業績等に影響を与える可能性があります。

 

・出店計画の変更

拠点の開設に当たっては、中長期の出店計画とマーケティングデータをもとに、顧客の安全性の確保等を重視して物件選定を行っております。競合環境の大きな変化や物件確保が計画どおりに進まない場合、出店計画が変更になり、業績等に影響を与える可能性があります。

 

のれんの減損や子会社株式の評価減

当社グループでは、成長戦略の一環として積極的なM&Aを行っており、のれんや子会社株式を保有しております。買収した子会社の業績不振により、のれんの減損や子会社株式の評価減を行った場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 

・固定資産の減損

 当社グループでは、事業所の新設等に伴い設備投資を行っており、設備等の有形固定資産を有しております。当該資産への投資が将来的に回収できるかどうかを定期的に検討し、将来的に投資金額を回収できないと判断する場合、減損を認識することとなります。このような場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動が停滞しましたが、各国でワクチン接種が進展したことなどから、緩やかな回復傾向にありました。しかしながら、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の高騰など、経済の先行きは不透明な状況にあります。

 

学習塾事業においては、2020年の教育改革により小学校での英語教育やプログラミング教育の教科化、センター試験から大学入学共通テストへの移行等、時代の変化に対応していくことが求められました。また、新型コロナウイルス感染防止対策として、教育のオンライン化が急務であり、ICTの環境整備に努めました。保育事業においては、待機児童問題は解消に向かいつつあるものの、保育士不足に関する課題は残っており、教育や保育に関する国内の関心は非常に高まっております。また介護事業においては、高齢者人口の増加傾向は2042年まで続くと予想されており、高齢者向けのサービス需要が拡大していることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で、高齢者ケアのさらなる必要性が社会的に認識されました。

当社グループにおいては、長期的な事業拡大を支え、時代の流れと社会の要請に対応するため、2018年3月に“人の一生に関わる「一生支援事業」を展開する企業への変革”として中期ビジョンを見直しました。また、2020年12月には、「ステキな大人が増える未来をつくる」企業になることを当社のグループビジョンとして掲げ、人材育成と将来を見据えた収益性の向上でさらなる成長を目指しております。

当連結会計年度は、学習塾事業や保育・介護事業による売上の増加等により、創業以来最高売上高を6期連続で更新しました。学習塾事業や保育事業の生徒・園児数、介護事業の顧客数を堅調に伸ばし、当連結会計年度の営業利益は前年を上回る結果となりました。しかし、新型コロナウイルス感染防止対策をこれまで同様に徹底してまいりましたが、助成金の支給額が減少したことなどから、当連結会計年度の経常利益は前年を下回りました。また、閉鎖・移転等が決定した校・教室に関する固定資産に対する減損損失として78百万円を計上しました。

 

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は23,653百万円(前年比2.2%増)となり、前年に比べ508百万円増加しました。営業利益は165百万円(前年比114.0%増)となり、前年に比べ88百万円増加しました。経常利益は365百万円(前年比1.4%減)となり、前年に比べ5百万円減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は△7百万円(前年は189百万円の純利益)となり、前年に比べ196百万円減少しました。期中平均の顧客数(FC事業部における末端生徒数含む。)は、37,444名(前年比2.6%増)となりました。

 

セグメント別の概況は、以下のとおりです。

<学習塾事業>

学習塾事業においては、脳科学に基づく独自の学習法「リーチング」の定着や、ICTを活用した学習管理の仕組みとひとりひとりを大切にする指導が、顧客からの支持を得ております。新型コロナウイルス感染防止対策を徹底し、オンラインも併用しながらほぼ通常通りの営業を行い、期中平均生徒数は前年同期比102.7%となりました

この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高11,031百万円(前年比2.0%増)、セグメント利益は2,186百万円(同8.8%増)となりました。

 

 

<語学関連事業>

英会話事業においては、幼児から小学生までを主な対象とするユニバーサルキャンパス、成人を対象とした英会話教室コペル英会話、英語圏の留学先としてオーストラリアの英会話学校 English Language Company Australia Pty Ltd.及び専門学校SELC Australia Pty Ltd.を運営しております。ユニバーサルキャンパスと首都圏で営業を行うコペル英会話は新型コロナウィルス感染防止対策を徹底しながら通常通りの営業を行うことで、生徒数は堅調に推移しました。オーストラリアの英会話学校は、海外からの留学生の入国制限が続き入室数が減少しておりましたが、2022年2月からの入国再開後は徐々に入室数も回復しつつあります

日本語教育事業においては、留学生の入国制限が続く中、入国待機中の学生にオンラインの授業を提供してきました。2022年3月より入国が可能となり、5月末までに約1,800名の留学生が入国し、対面での授業を再開しました。中国及びミャンマーで日本語教育を行っている国際人材交流事業では、国外での営業活動ができず、新規の顧客開拓ができない状況となっておりますが、オンラインで中国の学生に向けた特別講義を行うなど、今後の布石となる活動を続けました

キャリア支援事業部では、介護の資格取得スクール「介護のキャンパス」を2021年10月に布施校と尼崎校、12月に難波校、2022年1月に川西校を新規開校し、当社グループ及び連結子会社のスクール数は9カ所となり、介護人材の育成に取り組みました。

この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高2,380百万円(前年比8.1%減)、セグメント損失は692百万円(前年は784百万円のセグメント損失)となりました。

 

<保育・介護事業>

保育事業では、2021年春に開園した3園の園児数も順調に増加し、期中平均園児数は前年同期比110.7%となりました。それに伴い売上高が増加した一方で、保育士の処遇改善といった人件費等のコストが増加したことで利益は減少しました

介護事業においては、新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するとともに、入居率とサービス利用率の向上を目指し取り組んだ結果、期中平均顧客数は前年同期比105.4%となりました。フードサービス事業では、受発注体制の見直しなどの食材廃棄率を下げる取り組みを行いました。しかし、在宅ワークの増加で企業からの受注が減ったことに加え、新規顧客獲得の営業活動も制限されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました

この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高10,241百万円(前年比5.1%増)、セグメント損失は252百万円(前年は132百万円のセグメント損失)となりました。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は20,727百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,008百万円減少しました。流動資産は4,783百万円となり同84百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金の減少63百万円、売掛金の減少37百万円等です。固定資産は15,944百万円となり、同924百万円減少しました。有形固定資産は11,503百万円(同750百万円減少)となりました。主な要因は、建物及び構築物の減少525百万円リース資産の減少124百万円、その他の減少104百万円等です。無形固定資産は1,610百万円(同251百万円減少)となりました。主な要因は、のれんの減少279百万円等です。投資その他の資産は2,830百万円(同76百万円増加)となりました。主な要因は、繰延税金資産の増加72百万円等です

 

当連結会計年度末の負債合計は17,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ936百万円減少しました。流動負債は7,938百万円となり、同158百万円減少しました。主な要因は、短期借入金の減少524百万円、前受金の増加359百万円、未払法人税等の減少127百万円等です。固定負債は9,100百万円となり、同778百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の減少657百万円等です。

 

当連結会計年度末の純資産合計は3,688百万円となり、前連結会計年度末に比べ72百万円減少しました。主な要因は、連結剰余金の減少107百万円等です。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末17.3%から0.5ポイント上昇し、17.8%になりました。

 

 

  (3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより2,880百万円となり、前連結会計年度末に比べ55百万円減少しました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益292百万円減価償却費935百万円のれん償却額279百万円支払利息151百万円、法人税等の支払537百万円、補助金の受取365百万円等が発生しました。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,659百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ653百万円の増加(64.9%)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出107百万円無形固定資産の取得による支出156百万円等が発生しました。この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、303百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ413百万円の増加(57.7%)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額524百万円長期借入金の返済による支出1,641百万円長期借入れによる収入900百万円等が発生しました。この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、1,418百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ689百万円の増加(32.7%)となりました。

 

 (4) 生産、受注及び販売の実績

a.生産及び受注実績

当社グループは、サービスの提供を主たる業務としておりますので、生産及び受注の実績については、該当事項はありません。

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

前年同期比

顧客数(人)

金額(百万円)

顧客数(人)

金額(%)

学習塾事業

27,286

11,031

26,574

102.0

語学関連事業

6,175

2,380

6,288

91.9

保育・介護事業

3,983

10,241

3,637

105.1

合計

37,444

23,653

36,499

102.2

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.顧客数は、期中平均の在籍人数を記載しております。

3.販売の数量につきましては、表示すべき適当な指標はありませんので、記載を省略しております。

4.学習塾事業の顧客数には、個別指導教室京進スクール・ワンのフランチャイズ教室の末端生徒数を含めて記載しております。

 

 

 (5) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えています。事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は主に手元の自己資金及び借入金により充当しています。

また、当社グループは、将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え、十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金によって調達しており、資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当することで確保しています。

なお、新型コロナウイルス感染症の当期の資金状況への影響は軽微であります。今後の不測の事態に備えて金融機関からは十分な融資枠を確保しています。新型コロナウイルス感染症の状況の変化には注意を払いながらも、中長期的に将来の成長が見込める分野についてはM&Aや事業基盤強化のための投資等を今後も積極的に推進していきたいと考えています。

 

 (6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要としています。これらの見積りについて過去の実績や合理的と判断される入手可能な情報等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。