第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、『社会の進歩発展に貢献する事で、同志の心物両面の豊かさを追求する』を経営理念としております。

■市場を開拓・創造する強い意思と誠実かつ公明正大な事業展開により、社会の進歩発展に貢献します。

■同志とは、信じあえる高潔な役職員、お客様、及びお取引いただいている事業関連者を指します。

■当社役職員は、豊かな心、真の問題解決力、高い専門性を発揮し、お客様と価値の交換を行う事により、心物両面の豊かさを追求します。

この経営理念に基づいて当社グループは、日本の決済プロセスのインフラとなり、消費者と事業者にとって安全で便利な決済の実現に貢献することを使命と考え、以下を基本方針として事業を推進しております。

・時流への適応

先進性 製品の技術的優位性の確保に努めます。

柔軟性 成長市場でのスピード感のある提案活動を実践します。

・存在価値の確立

独自性 お客様視点のサービスを通じて存在意義の確保に努めます。

収益性 収益性向上の追求により競合他社を圧倒し業界での地位を揺るぎないものといたします。

自主性・教育 自己完結度の高いビジネスマンを目指し、成果、姿勢、マインド全ての面で見本となります。

・利益の条件の追求

社会性 健全なビジネスに徹し、多様な決済手段における未開拓市場を積極的に開拓し続けます。

合理性 経済合理性を常に念頭に置き公平な立場で経営判断を迅速に下していきます。

・株主への責務

資本効率を意識し株主価値の向上に努めます。積極的なIR活動を行い、株主及び投資家の皆様向けに適宜、適切な情報提供を行います。

なお、記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、経営指標として年平均25%の営業利益成長を重視しております。

当社グループは年平均25%の営業利益成長を継続するための投資を中長期的に行い、当連結会計年度の営業利益成長率は24.0%となりました。

当社グループは電子商取引(EC)市場を中心としたオンライン決済及び対面決済のインフラを担う企業として、より安全で便利なEC・キャッシュレス環境を創造し、日本のEC化率の向上及びDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、キャッシュレス比率の向上に貢献してまいります。また、さらに新事業の展開、事業パートナー会社との業務・資本提携、子会社設立、並びに海外事業展開等により事業規模の拡大に努めてまいります。

 

(3)経営環境

①企業構造

当社グループは、当社及び連結子会社13社により構成されており、決済代行事業、金融関連事業と決済活性化事業を行っております。当社グループの事業全体の売上収益及び営業利益に対し、主力事業である決済代行事業の売上収益は約76%、営業利益は約85%を占めております。事業構成及び内容については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。

 

②事業を行う市場の状況

当社グループの事業が主として立脚する消費者向け電子商取引(BtoC EC)市場は、EC化率が欧米諸国に比して未だ低い水準にあり大きな拡大余地が残されております。物販領域において、主に小規模事業者は足元低成長にとどまるものの、大手事業者による販売チャネルの拡充や消費者の購買行動の変化等により成長の継続を見込んでおります。また、物販以外のサービス領域や、公共料金・税金等の公金、医療等の生活に密着した分野等における決済のオンライン化は着実に進行し、今後も高成長の継続が見込まれております。加えて、企業間取引(BtoB)のEC化や個人間取引(CtoC)のEC化等、ECの領域自体も拡大しております。

連結子会社であるGMOフィナンシャルゲート株式会社が立脚する対面市場においては、クレジットカード及びそれ以外の手段も含めた決済のキャッシュレス化が加速しており、新たなビジネスチャンスが生まれると共に、当社グループの事業領域もますます拡大する見込みとなっております。 

 

③競合他社との競合優位性

当社グループの各事業がサービスを展開する市場には、複数の競合他社が存在します。競合他社との競合優位性の内容については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (1)事業環境について ③競合について」に記載しております。

 

④主要製品・サービス内容

当社グループの主力サービスである決済代行サービスは、当社及びGMOイプシロン株式会社より、主にオンライン課金分野・継続課金分野において、消費者向け電子商取引(BtoC EC)をはじめとしたオンラインで販売等を行う事業者とクレジットカード会社等の各決済事業者との間の決済情報を繋ぎ、加盟店に対して、クレジットカード決済・コンビニ収納・電子マネー・QRコード決済・Pay-easy・代引・口座振替・PayPal・キャリア決済・多通貨決済等の決済業務が効率よく実現できる決済代行サービスを提供しております。また、GMO-Z.COM PAYMENT GATEWAY PTE. LTD.等において、海外各国の決済代行サービスを提供しております。

対面分野については、GMOフィナンシャルゲート株式会社において、対面でのクレジットカード決済、デビットカード決済、バーコード決済、QRコード決済等の決済代行サービスを提供しております。

金融機関や事業者等に対するBaaS(Banking as a Service)支援においては、株式会社横浜銀行と共同開発した銀行口座と連動したスマート決済サービス「銀行Pay」や、新たな決済事業の展開を行う際の各種サービスを一括提供する「GMO-PG プロセシングプラットフォーム」を提供しております。また、金融関連サービスにおいては、加盟店のキャッシュ・フロー改善に資する早期入金サービスや、加盟店向け融資サービスであるトランザクションレンディング、海外FinTech事業者に向けたレンディングサービス、送金サービス、給与即時受け取りサービスの「即給 byGMO」のほか、連結子会社であるGMOペイメントサービス株式会社を通じ、消費者が商品を受け取った後に、コンビニや郵便局等から代金を支払う「GMO後払い」やBtoB取引向け後払い決済サービス「GMO掛け払い」、三井住友カード株式会社との分割・対面取引にも対応するBNPLサービス「アトカラ」等の後払い決済サービスを提供しております。

 

⑤顧客基盤

当社グループの主力事業が主に対象とする顧客は、主に消費者向け電子商取引(BtoC EC)をはじめとしたオンラインや対面で販売等を行う事業者であり、当連結会計年度末現在において約15万の事業者にサービスを提供しており、加盟店の業種業態や事業規模は多岐に渡っております。

 

(4)優先的に対処すべき課題

①情報セキュリティの強化

当社グループは、クレジットカード等の決済代行サービスを主とした事業を行っているため、クレジットカード情報等の重要な情報を管理しております。

情報流出を防止するため、リスク管理体制強化の一環として、当社グループ事務所全てを対象範囲として、情報セキュリティ管理のグローバル・スタンダード基準とされるISO/IEC 27001:2013(国内規格JIS Q 27001:2014)への適合認証を、上場決済代行サービス会社として初めて取得しております。これにより、当社グループの情報セキュリティマネジメントシステムが、厳格な国際基準に準拠し適切で安全であることと客観的に判定されております。

また、JCB・American Express・Discover・MasterCard・VISAの国際クレジットカードブランド5社が共同で策定した、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基準PCI DSSについては、2008年12月に最初の認証を取得した後、年次での再認証監査を毎年行っており、2023年12月に最新の認証を取得しております。

個人情報の取扱いに関しては、日本工業規格「JIS Q 15001:2017個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を認定するプライバシーマークを取得しており、法律への適合性に加え、自主性により高いレベルの個人情報保護マネジメントシステムを確立及び運用しております。

 

②システム開発力の強化

当社グループは、事業分野においてインターネットと深く係わり合っており、競争力のある製品をお客様に提供するためには、その技術やサービスをタイムリーに採用していくことが重要と認識しております。

現状では、内部人員でシステム環境の変化やお客様の要望を吸収しシステムの設計を行い、外部にプログラミングを委託し効率よく質の高いサービスを提供すべく対応しております。高度な技術を有した開発要員の確保を継続し、更なるシステム開発力とサービス強化に努めてまいります。

 

③業務提携型ビジネスの強化

当社グループは、安定的成長を確保するため、加盟店を多数抱える企業・各決済事業者・ECサイト構築支援事業者等に対し相互が利益享受可能な業務提携を確立し、効率的な加盟店獲得を進めていくことが不可欠と認識しております。

このような形態のビジネスは当社グループの営業上の特徴であり、今後も業務提携型ビジネスを積極的に推進し、その進捗管理には経営陣が責任を持って対応いたします。

 

④事業ポートフォリオの拡大

当社グループは、経営戦略として、消費者向け電子商取引(BtoC EC)を中心に、公金・公共料金やサービス・コマース、BtoB及びCtoC EC市場におけるオンライン課金、金融機関や事業会社等に対するBaaS(Banking as a Service)支援、またGMOペイメントサービス株式会社の設立により決済サービスに進出する等、常に新しい事業領域の拡大に努めてまいりました。また、海外拠点の連結子会社を通じ海外展開を強化、連結子会社であるGMOフィナンシャルゲート株式会社による対面市場での事業を拡大し、経営戦略の実行をさらに推し進めました。今後も決済代行サービスをコアとした多角的な事業ポートフォリオの拡張を進め、収益の継続的な拡大に努めてまいります。

 

⑤サステナビリティ経営の推進

当社グループは、GMOインターネットグループで共有する「GMOイズム」のもと、経営理念「社会の進歩発展に貢献する事で、同志の心物両面の豊かさを追求する」を掲げ、決済業界のリーディングカンパニーとして、各種決済・金融関連のソリューションやプラットフォームの提供、決済インフラの構築等を行い、オンライン化・キャッシュレス化・ペーパーレス化・DX・金融包摂等を支援する事業活動を推進しております。主な取り組みとして、実質再生可能エネルギーの導入により前連結会計年度の自社オペレーションの温室効果ガス排出量(Scope1、2)を実質ゼロとするカーボンニュートラルを実現し、信頼性確保のため検証機関より第三者保証を取得しました。今後もサステナビリティ経営の高度化に努めてまいります。

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティに対する基本的な考え方

当社は、GMOインターネットグループで共有する「GMOイズム」のもと、経営理念「社会の進歩発展に貢献する事で、同志の心物両面の豊かさを追求する」を掲げ、決済業界のリーディングカンパニーとして、各種決済・金融関連のソリューションやプラットフォームの提供、決済インフラの構築等を行い、オンライン化・キャッシュレス化・ペーパーレス化・DX・金融包摂等を支援する事業活動を推進しております。

このような決済を起点としたイノベーションにより、多様な企業活動を支援する当社事業の推進を通じて、企業の競争力向上や社会経済活動の活性化等広範な社会課題の解決に取り組んでおります。

当社の事業活動を支えるステークホルダーの皆様と共に、社会課題の解決に取り組みながら、お客様の成長や持続可能な社会の実現に貢献し、当社の持続的な高成長、企業価値の向上を実現してまいります。

 

 (マテリアリティ)

事業を通じた社会課題の解決によって、持続可能な社会発展への貢献と持続的な企業価値向上を実現するため、中長期に当社事業へ影響を及ぼし優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しております。また、特定したマテリアリティを5つの領域に整理し、サステナビリティ経営の重点テーマを明確化しました。重点テーマに沿って、持続可能な社会発展への貢献と持続的な企業価値向上を追求してまいります。

 


 

 (サステナビリティ経営の重点テーマ)

 


(2)サステナビリティに関するガバナンス

取締役会におけるサステナビリティ経営推進の責任者は企画業務を管掌する取締役副社長であり、サステナビリティに関する課題を当社の経営戦略や経営目標に反映させる責任を負っております。代表取締役社長、取締役副社長を含む経営陣で、気候変動を含むサステナビリティ活動に関する方針の議論、計画の審議や進捗レビューを行い、取締役会へ業務進捗を報告しており、そこで受けたフィードバックに基づき、施策を推進しております。また、取締役会は、リスク管理委員会で議論・検証した結果について定期的に報告を受けることにより、全社に関わるサステナビリティ関連の課題及び事業への影響、その対応状況等について、モニタリングを行っております。

 

 

(3)サステナビリティに関するリスク管理

当社グループでは、サステナビリティに関するリスクを全社的なリスク管理に組み込み、効果的かつ効率的に実施するために、四半期に1回の頻度でリスク管理委員会を開催しております。リスク事象を金額基準での影響度及び発生頻度の2つの尺度でそれぞれ6段階に分けて数値評価しており、想定されるリスク並びに一般的なリスクを社内の一定の役職者にて全社横断的に評価・選定した上で、一定の水準を超えるリスク事象を重大なリスクと捉え、各部門において対応策を検討・実施しております。

  当該フローで検討・実施された重大リスクの対応策は社外専門家の意見も踏まえて担当部署にて検討を行い、リスク管理委員会において点検・議論を行った上で、取締役会に報告しております。

 

(4)気候変動に関する戦略並びに指標及び目標

(戦略)

当社は、決済業界のリーディングカンパニーとして、現金を不要とするキャッシュレス化や振込用紙をペーパーレス化する請求のデジタル化等の決済サービスを推進しております。また、決済データを処理するデータセンター電力への実質再生可能エネルギー導入やサプライヤーエンゲージメントを推進し、当社事業やサプライチェーンのGHG排出量削減に取り組んでおります。このような環境に配慮した事業運営を通じてお客様及び社会の環境負荷軽減に努め、脱炭素社会への転換、持続可能な社会の実現を目指します。このような考え方のもと、TCFD提言が推奨するシナリオ分析の手法により、将来の気候変動が当社事業に影響を及ぼし得るリスク・機会を特定しております。IPCCやIEA等のシナリオを参考に、当社を取り巻く自然環境や社会環境の変化を想定したシナリオを設定し、気候変動に関するリスク・機会を特定しました。

 

想定シナリオ

1.5℃シナリオ

・脱炭素社会への移行による、CO2排出量削減に向けた動きの急速な進行

・カーボンプライシング等の規制強化

・ステークホルダーの環境意識の高まりに基づくニーズの変化

      4.0℃シナリオ

   ・気候変動対策の法規制等の強化が進まないことによる、地球温暖化の進行

   ・気温上昇による自然災害の激甚化、海面上昇や異常気象の増加

 

気候変動に関するリスクと機会

分類

リスク・機会

期間

対応策

移行リスク

政策・

法規制

・炭素税の導入による事業コストの増加

中長期

・主要データセンター電力への実質再生可能エネルギー導入

市場・

サービス

・環境負荷軽減への顧客ニーズを充足出来ないことによる、事業機会の喪失

中長期

評判

・気候変動問題への対応が不十分と見做されることによるステークホルダーからの評価低下、採用コストや資金調達コストの増加

短中期

・ESGに関する情報開示の推進

物理リスク

慢性

・平均気温の上昇に伴うデータセンターの空調負荷上昇による電力コストの増加

中長期

・データセンターの効率性向上

・平均気温の上昇に伴う風水害や伝染病の蔓延による業務への影響

中長期

・被災を受けにくいデータセンターの立地選定

・システム構成の冗長化やデータセンターの多重化、分散化

・事業継続計画の策定

急性

・異常気象・自然災害によるデータセンターの倒壊やデータの消失、人的損害の発生による業務・サービスの停止

短中期

機会

市場・

サービス

・環境に配慮した経営への社会的要請の高まりから、当社が提供する、オンライン化やキャッシュレス化、ペーパーレス化を推進するサービスへの需要の増加

中長期

・DX支援等現戦略の遂行

評判

・気候変動問題への積極的な関わりによるステークホルダーからの評価や企業価値の向上

短中期

・ESGに関する情報開示の推進

 

 

(指標と目標)

    当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献すべく、GHG排出量の削減に向けた取り組みを推進しております。2022年9月期に、当社事業における電力の大半を消費する主要データセンターの電力に実質再生可能エネルギーを導入し、2023年9月期に他のデータセンターやオフィスも含めた自社オペレーションのGHG排出量(Scope1、2)を実質ゼロにする目標を達成しました。2024年9月期も自社オペレーションのGHG排出量(Scope1、2)を実質ゼロにする目標を達成する見込みです。引き続き2030年9月期に向けても、GHG排出量(Scope1、2)実質ゼロを継続してまいります。

  当社サプライチェーン由来のGHG排出量(Scope3)においては、2030年9月期までに、決済端末新規稼動台数1台当たりのScope3排出量(カテゴリ1、11)を2021年9月期比で55%削減する目標を設定しました。当該目標は、パリ協定に準じた目標値となります。

  目標達成に向けて、GHG排出量(Scope3)の大半を占める対面決済の提供に必要となる決済端末製品の購入並びに製品の使用に係るGHG排出量(カテゴリ1、11)、及びソフトウェア開発に係るGHG排出量(カテゴリ2)の削減に向けたサプライヤーエンゲージメントに取り組んでおります。

  具体的には、決済端末製造メーカーに対して、端末製造に係るGHG排出量や対面決済時の消費電力の適切な測定並びに削減に向けた対話を実施しております。

  同様に、取引先のシステム開発会社に対して、ソフトウェア開発に係るGHG排出量(カテゴリ2)の適切な測定並びに削減に向けた対話を実施しております。

  2024年5月、当社のGHG削減目標が、科学に基づく気候目標の設定を企業に促す世界的な団体「SBTイニシアチブ」から「1.5℃目標」と整合した目標であることの認定を受けました。これにより当社のGHG削減目標が、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際的な枠組みとして採択されたパリ協定における、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べ1.5℃に抑えるとする「1.5℃目標」に対して科学的に整合するものと実証されました。

 

今回認定を受けた目標

・Scope1、2(注)1:2030年9月期まで継続的にGHG排出量実質ゼロを達成

・Scope3   (注)1:2030年9月期までに決済端末新規稼動台数1台当たりのGHG排出量(注)2

            を、2021年9月期比で55%削減

 

(単位:t-CO2)

対象スコープ

排出量実績

2023年9月期(注)3

2024年9月期(注)3

Scope1(注)1

0

0

Scope2(注)1

0

0

Scope3(注)1

23,616

測定中

 

 

対象スコープ

排出量目標

Scope1(注)1

2030年9月期まで継続的にGHG排出量実質ゼロを達成

Scope2(注)1

同上

Scope3(注)1

2030年9月期までに決済端末新規稼動台数1台当たりの
GHG排出量(注)2を、2021年9月期比で55%削減

 

 

(注)1.Scope1:企業が自ら排出するGHG排出量

          Scope2:購入した電力・熱等の間接的なGHG排出量

          Scope3:当社グループの活動に関連する他社のGHG排出量

   2.当社におけるScope3の大半を占める決済端末製品にかかわる、購入した商品・サービス

     (カテゴリ1)および、販売した製品の使用(カテゴリ11)が該当。

   3.2023年9月期の実績は、GHG排出量の報告内容に対する信頼性確保のため、第三者保証を受け

     ております。2024年9月期のScope1、Scope2の実績は、第三者保証取得前の概算値になり

     ます。

 

(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

(基本方針)

当社グループは、「社会の進歩発展に貢献する事で、同志の心物両面の豊かさを追求する」という経営理念に基づき、成長の源泉=「企業は人なり」という理念のもと、持続的な成長の実現のため、成長の源泉である人材への投資を推進しております。パートナー一人ひとりが仕事への誇りと働きがいを持ち、能力を最大限に発揮できるよう「多様な人材の尊重」「自発的なキャリア形成支援」「Well-beingの向上」の3テーマを全社一丸で共創することで、ステークホルダーの期待を超える価値創造を実現します。

 

〈人的資本経営 全体像〉


 

(共創テーマ)

①多様な人材の尊重

(考え方)

当社グループは、従業員のことを「パートナー」と呼んでおります。大切なことは帰属意識ではなく、パートナー一人ひとりが高い志とオーナーシップを持って会社・事業と共に成長し続けることだからです。

当社グループは、多様なパートナーが活躍できる環境を構築することが企業価値の向上につながると認識しております。

GMOインターネットグループの一員として掲げる「スピリットベンチャー宣言」では、「人種・国籍・性別・学歴・言葉・宗教、すべての差別を排除する。実力本位。」という行動指針を明示し、多様性の尊重と機会均等の実現に努めております。

また、当社グループでは、採用と育成を人事部門だけの役割に限定せず、「全員で採用し、全員で育てる」ことをポリシーとしております。全社一丸となって最高のポテンシャルを持つ人材の採用に取り組むことで、多様性を尊重する組織風土を醸成しております。

 

(求める人材像)

当社グループでは、経営戦略を実現・遂行するために必要な人材要件として、高い能力と人間性を兼ね備えた人物を重視しております。専門分野や担当領域における専門性に加え、高い人間性(EQ)を持つ人材が切磋琢磨することで、優れた成果を生み出し、ステークホルダーに価値を提供できると考えております。

この人材観に基づき、「業務の心得」として心構えや行動指針を定めております。この「業務の心得」は、経営や現場での判断基準の中心であり、評価制度や教育の基盤ともなっております。

当社グループでは、パートナー一人ひとりが「業務の心得」を実践することで、持続的に成長し続ける誇れる企業を目指します。その結果、自然と優れた人材が集まり、磁力のある企業となることを目指しております。

 

(働き方改革)

当社グループは、一人ひとりのパフォーマンス最大化を目指し、経営指標として「一人当たり営業利益」を重視しております。この目標を念頭に、生産性の向上と時間外・休日労働時間の削減に取り組んでおります。

具体的には、RPA・AI・ロボット・動画等を活用して定常業務を削減・効率化する「10%以上業務効率化プロジェクト」を推進しております。その結果、2021年9月期に月間24.7時間だった一人当たりの平均残業時間は、2024年9月期には月間21.2時間まで減少いたしました。

また、残業を助長する可能性のあるみなし残業代についても、残業実績に応じた低減を進めております。今後も段階的な見直しを行い、更なる働きやすい環境の整備に努めてまいります。

 

〈平均残業実績の推移(注)〉


      (注)平均残業実績は提出会社となります。

 

(多様性の推進)

当社グループでは、男性が「協力」ではなく「主体的な育児」に参加することを早期から啓発し、性別役割分担意識の改善に努めております。これにより、多様なパートナーが活躍できる環境の構築を目指しております。

また、育児・介護・傷病と仕事の両立を支援する環境整備は、多様性推進の重要な要素と考えております。2024年9月期からは、出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドワークや、週・月単位で選べる時差通勤制度を拡充し、柔軟な働き方を加速させております。さらに、2024年6月には、厚生労働省東京労働局より「次世代育成支援対策推進法」に基づく子育てサポート企業認定(プラチナくるみん)を取得いたしました。今後も、多様なパートナーが活躍できる環境づくりを進めることで、働きがいの向上を図り、企業成長の源泉を強化してまいります。

 

〈育児・介護・傷病と仕事の両立支援制度〉


 

〈X×仕事の環境づくり状況〉

 

2023年9月期

2024年9月期

2025年9月期(目標)

男性育児休業取得率(注)

-

57.6

60.0

障害者雇用率

2.5

2.5

2.5

介護休業取得者数

0

1

0

 

      (注)男性育児休業取得率は、2024年9月期より連結会社で集計を開始いたしました。

      障害者雇用率及び介護休業取得者数は連結会社となります。

 

②自発的なキャリア形成支援

(考え方)

当社グループでは、パートナーの自発的なキャリア形成を重視しております。「キャリアデザイン制度」や「キャリア相談窓口」を通じて、各パートナーが中長期的なキャリアを主体的に考える機会を提供しております。また、これらの仕組みを通して、配属異動やジョブローテーションの希望を定期的に申告できる仕組みも整えております。

当社グループは、「企業は人を育てる場所」であるとの認識のもと、すべてのパートナーが継続的な事業成長を推進するビジネスリーダーへと成長できるよう、独自の育成プログラムを通じた支援を今後も強化してまいります。

 

(選択機会の創出)

パートナー一人ひとりが自らキャリアを選択することで、高いモチベーションと強い覚悟を持って業務に取り組むことができます。そのため、偶発的ではなく意図的・自発的にキャリアやスキルを磨けるよう、多様で幅広い選択肢を提供しております。

 

〈パートナーの選択機会〉

 

2023年9月期

2024年9月期

2025年9月期(目標)

キャリアデザイン制度 申告率)(注)

100.0

100.0

100.0

キャリアチェンジ希望 選択率(%)(注)

4.0

6.0

10.0

社内短期留学制度 新規留学者率(%)(注)

0.0

7.0

10.0

 

      (注)キャリアデザイン制度の申告対象者は連結会社となります。

      キャリアチェンジ希望及び社内短期留学制度の実績は提出会社となります。

 

(対話機会の創出)

パートナーのエンゲージメント向上は、持続的な成長と事業基盤の強化に欠かせない要素です。そのため、当社では「従業員満足度調査」を基点とし、パートナーとの対話の場の創出、育成支援、働き方改革、社内環境の整備等、様々な取り組みを進めております。

さらに、パートナーの声は、すべての部門責任者で構成される経営層メンバーが参加する『人事戦略会議』で共有されます。この会議は週1回開催され、人事に特化した戦略を議論する場として、高い推進力と実効性を確保しております。

 

〈エンゲージメントの向上〉

 

2023年9月期

2024年9月期

2025年9月期(目標)

働きがいのある会社 総合満足度(注)

66.7

66.4

67.0

 

      (注)働きがいのある会社 総合満足度は提出会社となります。

 

③Well-beingの向上

(考え方)

持続的な成長を実現するためには、成長の源泉である人材が心身ともに健康であることが不可欠です。

当社グループでは、会社という縁で知り合ったすべてのパートナーに幸せになってほしいという想いを込め、GMO-PG健康宣言「Well-being With Partners」を掲げております。CWO(Chief Well-being Officer)を中心に、健康維持・増進に特化した組織体制を整備し、「食」「癒」「躍」「医」の豊富なプログラムを通じて、パートナーの健康で活動的な生活を支援しております。

 

〈健康経営の組織体制〉


 

(GMOインターネットグループ 健康支援プログラム)

当社グループでは、環境健康資源の構築と整備を進めております。その一環として、管理栄養士監修のランチメニューを提供するシナジーカフェ「GMO Yours」、短時間の昼寝を可能にするおひるねスペース「GMO Siesta」、最新設備を備えたフィットネスジム「GMO OLYMPIA」、そしてこころとからだの健康を支援する「産業医健康相談会」等、多彩な取り組みを展開しております。

 

(定期的なヘルスチェック)

法定健診に加えて、ドック関連項目の受診も可能な体制を整備し、病気の早期発見・早期治療を目指しております。

また、定期健康診断の受診率及びストレスチェックの受検率については、引き続き100%達成を目指し、健康アプリの活用とデータドリブンの推進を通じて、パートナーの健康状態の可視化に取り組んでおります。

 

(フィジカルヘルスとメンタルヘルス)

健康リテラシー向上を目指し、情報共有や研修を通じて、生活習慣病やストレスマネジメントの対策を実施しております。

また、健康投資施策の拡充は、パートナーの意識と行動の変容を促進し、当社グループが目指すパートナー一人ひとりのWell-beingの向上に繋がります

 

〈意識・行動変容指標〉

 

 

2023年9月期

2024年9月期

2025年9月期

(目標)

定期的な

ヘルスチェック

定期健康診断受診率

100.0

100.0

100.0

有所見者率

53.7

58.6

60.0以下

ストレスチェック受検率

100.0

100.0

100.0

健康アプリ登録率

20.8

31.6

90.0以上

年次有給休暇取得率

77.3

83.9

80.0以上

フィジカルヘルスとメンタルヘルス

適度な運動習慣率

21.4

20.6

21.3

良質な睡眠率

66.4

63.1

65.3

喫煙率

19.3

21.1

19.9

特定保健指導実施率

57.4

65.4

60.0以上

高ストレス者率

12.1

13.9

14.0以下

就業継続者率

69.2

100.0

80.0以上

メンタルヘルス休業者率

3.0

1.6

1.2

 

 

 

3 【事業等のリスク】

以下については、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

また、当社グループとして必ずしも特に重要なリスクとは考えていない事項についても投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、株主及び投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行う必要があります。また、以下の記載は本株式への投資に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。

記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境について

①業界動向について

当社グループは、消費者向け電子商取引(BtoC EC)をはじめとした非対面販売を行う事業者及び対面販売を行う事業者とクレジットカード会社等の各決済事業者との間の決済情報を繋ぎ、加盟店に対して、クレジットカード等の決済業務が効率よく実現できるサービスを提供しており、一般的に「決済代行」と呼ばれる業界に位置しております。

当業界は、「インターネットという通信インフラの普及」「非対面取引の加盟店の増加」「消費者の非対面取引の利用拡大による非対面商取引市場の拡大」「決済のキャッシュレス化」等の各要素が相乗的に効果を生み、今日まで成長を続けてまいりました。当業界各社は、市場拡大のため更なる情報セキュリティ向上、取引の安全性向上、並びに導入時の簡便性向上に注力しておりますが、これらの要素の変化が当社のビジネスに影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、引き続き消費者向け電子商取引(BtoC EC)の健全な拡大に資するべく、上記のような要素の変化をいち早く捉え、更なる情報セキュリティ向上、取引の安全性向上、並びに導入時の簡便性向上を図ってまいります。

 

②電子商取引(EC)の普及について

日本におけるEC市場は拡大を続けております。しかしながら、契約当事者の顔が見えず相手方の特定や責任追及が困難なこと等から悪質商法が行われやすい環境であり、ECをめぐる新たな法的規制や個人消費の減退等によりEC自体が消費者に受け入れられない場合、EC普及の低迷やEC市場の停滞が懸念されます。このとき、EC市場規模と密接な関係にある非対面決済代行事業の当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、引き続き消費者向け電子商取引(BtoC EC)の健全な拡大に資するべく、情報セキュリティ対策を強化し、新たな法的規制等にも率先した対応を行ってまいります。

 

 

③競合について

当社グループは、顧客である加盟店のニーズに合致した製品やサービスの開発・提供、決済代行サービスに加え顧客の売上向上に繋がる付加価値サービスの提供、サービス導入から運用までの一貫した加盟店サポート体制、最新技術を見据えた安定的な基幹システムの構築・運用、並びに東京証券取引所プライム市場の企業であることによる信頼性等により、継続的に競争力を高め、顧客満足度を向上し競合他社との差別化を実現しております。さらに顧客の問題を解決するサービスや顧客ニーズをきめ細かく反映した製品やサービスを継続して提供することで先行者メリットを継続して享受、非対面クレジットカード等の決済代行サービス事業最大規模の顧客基盤を背景に市場における価格支配力を確保、システムのOEM提供等を通じたクレジットカード会社等との営業協力関係の一層の緊密化、並びに関連サービスベンダー(各種決済に係わるサービス提供事業者)とのパートナーシップ構築や当社代理店の拡大を通じ事業規模の保持と拡大を推し進めております。

しかしながら、今後競合他社が当社グループのサービスを模倣・追随し、これまでの当社グループの特徴が標準的なものとなり差別化が難しくなること、これまでにない全く新しい技術を活用した画期的なサービスを展開する競合他社が出現すること、並びに競合他社が低価格を前面に打ち出した営業を展開する等の結果として、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、引き続き顧客である加盟店のニーズに合致した製品やサービスの開発・提供、決済代行サービスに加え顧客の売上向上に繋がる付加価値サービスの提供、サービス導入から運用までの一貫した加盟店サポート体制、最新技術を見据えた安定的な基幹システムの構築・運用等を強化し、継続的な競争力と顧客満足度の更なる向上により競合他社との差別化を図ってまいります。

 

④技術動向(革新)への対応について

インターネット・情報セキュリティの技術革新が著しく進み、消費者向け電子商取引(BtoC EC)においても決済手段の多様化やスマートフォン利用の拡大等常に進化しております。今後当社グループが新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合、当社グループの加盟店に対するサービスが陳腐化し、その結果競合他社に対する競争力が低下する恐れがあり、場合によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、より堅牢なサービスの追求・新たなサービスの開発のためのマーケティング活動を強化すると共に、世界の先端技術及びサービスの発信地である米国シリコンバレーに拠点を置く等最新技術及びサービスに関する情報の入手や、それらを有するスタートアップへの出資活動等により技術革新への対応を行ってまいります。

 

⑤法令による規制について

当社グループは、電子商取引(EC)市場に立脚し、クレジットカード等の決済代行事業、金融関連事業、決済活性化事業を行っております。決済代行事業においては、2018年6月1日に「割賦販売法の一部を改正する法律」(「改正割賦販売法」)が施行され、当改正に伴う加盟店に対する管理が強化されました。今後、同法及び監督官庁等の出すガイドライン等が改正された場合、その内容によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、金融関連事業においては、加盟店のキャッシュ・フロー改善に資する早期入金サービス、成長資金を融資するトランザクションレンディング、海外事業者に向けたレンディングサービス、送金サービスを提供しているため、これらのサービスに関連する法改正(貸金業法、出資法、資金決済法等)に伴う業務規制の変更等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループがマネー・ローンダリングに関する法令及び規制を遵守できない場合、課徴金命令や業務改善命令等の行政処分を受ける可能性があります。これらにより、当社グループのレピュテーションリスクが顕在化し、顧客やマーケット等の信頼を失った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

上記に加え、当社グループでは、弁護士や外部諸団体を通じて新たな規制の情報が直ちに入手できる体制を整えておりますが、今後当社グループの事業環境でもあるEC・インターネットに関連する規制、クレジットカード業界に関する規制、並びに当社グループのお客様である加盟店の事業に関連する規制等の制定により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、法令改正や規制変更等に伴う業績への影響の可能性を排除できるよう、引き続き弁護士や外部諸団体を通じて新たな法令や規制に関する情報収集ができる体制を強化すると共に、法務部門の拡充を図り適正に対処してまいります。また、金融庁策定の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」等に基づく遵守体制を構築し、定期的な体制見直しと従業員の知識理解を深めることによる強化を行っております。

 

⑥物価高騰の影響について

ウクライナ情勢の長期化、円安等に起因して物価が上昇しており、家計に与える影響が危惧される状況となっております。物価高騰により急激に消費行動が変化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(対応策)

当社グループの決済代行事業自体が安定的な収益基盤をベースにしたビジネスモデルであることや、多種多様な加盟店に向けてサービス提供していることにより過去より経済危機等有事の影響を受けにくい特徴がありますが、さらに事業や業績への影響を最小化するべく、当社グループ全体でマクロ影響を受けにくいビジネスモデルを強化してまいります。

 

(2)事業活動について

①稼動店舗について

当社グループは、これまでの営業活動の結果、順調に稼動店舗数が増加してまいりました。

しかしながら、競争の激化等により稼動店舗数が減少する可能性があります。当社グループは稼動店舗に対して月次固定費等を課金するビジネスモデルであるため、このような事象が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、他社への乗換えや内製化が容易ではないシステム・サービス特性に加え、今後とも変化するニーズに応え続けるきめ細かい顧客対応により継続的に取引関係を維持いたします。また、業務提携型ビジネスの強化等により、引き続き新規顧客獲得にも注力してまいります。

 

②情報処理センターネットワークの利用について

当社グループのクレジットカード決済代行サービスは、株式会社NTTデータが運営するCAFISのネットワーク及び株式会社日本カードネットワークが運営するCARDNETのネットワークを利用するものであり、今後これらのネットワークシステム障害等の理由により、当サービス提供が困難になる可能性があります。

(対応策)

現在、クレジットカード会社の多くが決済情報の授受にCAFIS・CARDNETセンターを利用しており、いずれのネットワークも利用が困難になるという事態が発生する可能性は極めて低いと考えておりますが、万が一、どちらか片方のネットワークでそのような事態が生じた場合には、もう一方のネットワークやその他手段等を代替して接続いたします。

 

③経営上の重要な契約について
a.業務代行に関する契約

当社グループは、クレジットカード会社と加盟店間の加盟店契約において発生するクレジットカード決済に係る売上承認請求業務及び売上請求業務等を事務代行するために、必要な提携契約を各クレジットカード会社と締結しております。

万が一、主要なクレジットカード会社から契約解除の申し出や条件変更等の接続制限がなされた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、常に主要なクレジットカード会社との連絡を密にすると共に、当社グループが提供する機能をさらに強化し、より強固な関係を築いてまいります。

b.代表加盟に関する契約

当社グループは、加盟店のクレジットカード決済業務に係る事務を代行する目的として、各クレジットカード会社と包括加盟に関する契約を締結しております。

但し、通常クレジットカード会社が加盟店に対して行う売上代金支払いを当社グループの責任範囲で行うため、当社グループが加盟店に代金支払いを完了した後に、加盟店の不正な売上請求や倒産等の契約解除に相当する状態となったことが判明した場合には、その回収が困難になるチャージバックリスクが生じます。

また、対面決済領域においては、前払い式の継続的サービス提供を行っている加盟店が倒産した場合に、当該加盟店の顧客が継続的サービス提供の対価として当該加盟店に対して前払いした金額のうち、加盟店が倒産した時点において、顧客が未だ提供を受けていないサービスに対する対価の金額の相当分を当社グループが負担するリスクがあります。

(対応策)

当社グループは、加盟店の契約時にクレジットカード会社の審査に加え、当社グループにおいても開設サイトの存在確認、及び特定商取引に関するサイト上の表記確認や契約後の途上与信審査を行い、さらに月毎に滞留債権管理を実施しております。

c.マルチペイメントサービスに関する契約

原則として、上記の「a.業務代行に関する契約」及び「b.代表加盟に関する契約」に記載のリスクが考えられ、同様の対応策をとっております。

 

④知的財産権について

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することのないように、啓蒙及び社内管理体制を強化しておりますが、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社グループが把握できないところで第三者が既に特許・著作権・その他知的財産を保有している可能性は否めません。また、今後当社グループの事業分野において第三者が当社グループより早く特許・著作権・その他知的財産を保護し、損害賠償又は使用差止等の請求を受けた場合は、当社グループの業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、引き続き啓蒙及び社内管理体制を強化すると共に、上記のような事実が判明したときは直ちに、事例に応じて弁護士・弁理士等と連携し解決に努める体制を整えております。

 

⑤事業投資について

当社グループは、事業シナジーのある事業への投資、子会社化や子会社設立、並びに投資事業組合の運営管理を行っております。今後の投資先・子会社・投資事業組合が計画どおりに進捗せず経営状態が悪化した場合、当社グループの経営成績、財政状態、並びに事業計画等に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、投資先選定にあたっては当該企業の財務内容等、詳細なデューデリジェンスを行い、また投資後については経営陣が定期的にモニタリングを行うこと等により可能な限りリスクを回避するように努めております。

 

⑥子会社の管理体制について

当社は、関係会社として連結子会社13社、持分法適用関連会社3社を有しております。各社の損益状況は、連結子会社であれば当社グループの連結財務諸表に結合され、持分法適用関連会社であれば持分法損益として当社グループの連結財務諸表に取り込まれ、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、連結子会社についてその運営にあたり、適切な管理及び支援を行っておりますが、当該連結子会社の業績の悪化、不祥事等の発生、外部環境の急速な悪化や経営状況が一定期間以上改善しない場合には、リスク管理の観点や連結全体の収益性、成長性を総合的に考慮し、売却する等の対応を行い当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社は、子会社の管理体制については関係会社規程を整備すると共に、当社より取締役を派遣し経営指導する等、実際の運用についても適切に行っております。また、引き続き連結子会社についてその運営にあたり、月次、四半期等での業績、外部環境の変化及び財政状況のモニタリングを強化し、適切な管理及び支援を行ってまいります。

 

⑦信用リスクについて

当社グループは、事業活動を行う中で、加盟店や消費者、海外の出資先や事業パートナー等への信用供与を行っております。当社グループとして加盟店及び消費者への与信情報は一定の規定に従って審査しておりますが、予想を超えた未回収が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、引き続き加盟店及び消費者、海外の出資先や事業パートナー等への与信情報を一定の規定に従って慎重に審査すると共に、信用供与先の分散化を図り信用リスクの軽減を図ってまいります。

 

 

⑧海外事業について

当社グループは、海外への事業展開を加速させており、決済代行事業のほか、金融関連事業としてのレンディングサービスを行っております。海外の事業展開においては予期しない法律・規制の変更や経済環境の変化等のリスクが存在するほか、戦争、テロリズム、紛争又はその他の要因による社会的又は政治的混乱等の発生や、同事象からも起因するレンディングサービスにおける貸倒リスク、為替リスク等の顕在化により当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、海外の事業展開に関し、現地拠点でのモニタリングを強化すると共に、特に投資及び融資の分散化により、貸倒リスク、為替リスクの軽減を図ってまいります。

 

⑨災害リスクについて

当社グループは、地震・台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動等の自然災害、火災や停電・電力不足、感染症の拡大、テロ行為等が発生した場合、営業活動への影響、物的、人的な損害が発生する可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、上記のような自然災害やテロ行為等への備えとして、システム構成の冗長化等の対応を適宜図っており、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法や手段を取り決めております。

 

⑩人材について

当社グループは、人材は最も重要な財産と考え、優秀な人材採用と人材育成を行っております。しかしながら、事業規模の拡大に応じた人材育成や外部からの人材採用等が計画どおりに進まない場合や、在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの業績及び今後の事業発展に影響を与える可能性があります。

(対応策)

当社グループは、引き続き人事部門を中心に安定的な新卒採用及び中途採用においては専門的な知識を有する人材の獲得を継続すると共に、社内研修等の充実により、優秀な人材の確保・育成を行ってまいります。また成果主義に基づく評価制度や福利厚生の充実等により定着率の向上を図ってまいります。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標」をご参照ください。

 

⑪事務・オペレーションリスクについて

当社グループの急速な事業拡大に伴う事務量の増加、加盟店契約の複雑化、取次店の料率変更による事務量の増加等により、事務手続きのミスが起こる可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、社内規範や事務手続きの標準化及び文書化、事務・オペレーションのシステム化によりリスクの軽減に取り組んでまいります。

 

⑫決済端末の調達・販売について

当社グループは、対面決済ビジネスの起点である決済端末について、国内及び海外双方のメーカーから仕入れております。経済安全保障、地政学的リスク、自然災害、感染症等の要因によりメーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を生じるような事態が発生した場合のほか、当該メーカーの事業撤退、又は他社に買収され、これまでの事業戦略が見直しされる等、予期せぬ事象の発生によって決済端末の調達が困難になり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、国内及び海外双方のメーカーに対して、品質・セキュリティの観点で精査・管理を行ったうえで端末を仕入れており、複数のメーカーと調達契約を締結することで、購買ルートの分散を図っております。

 

(3)情報セキュリティについて

当社は、日本の決済プロセスのインフラを目指し、消費者と事業者にとって安全で便利な決済の実現に貢献することを使命としております。この使命に則った企業活動を営むにあたり、当社固有の情報資産を活用する一方、情報資産を外部の脅威から保護することは、経営の最重要課題であるとの認識に立ち、情報セキュリティ対策に取り組んでおります。

具体的には、年度ごとに教育・啓蒙活動をスケジュール化し、しっかりと対策が組織内に根付くよう運用管理しております。情報セキュリティ対策徹底への啓蒙動画や情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)として規定する当社のセキュリティルールを中心に、基本方針やルールの目的及び手順について理解を深め確実に遵守するための研修を、入社時また定期的に実施する等教育を徹底しております。また、専門的知識を有する人員を内部監査室へ配置、リスク管理委員会には外部専門家が参加し、リスクアセスメントの実効性を高めております。

①システムダウン及び情報セキュリティについて

当社グループのサービスは、通信事業者が提供する公衆回線、専用回線及びインターネット網を利用することを前提としたものであるため、自然災害又は事故・外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入・コンピュータウイルス・サイバー攻撃等により、通信ネットワークの切断やアプリケーションの動作不良が予測されます。また、予期せぬクレジットカード会社決済事業者のシステムダウンや当社グループのシステムの欠陥により、当サービスが停止する可能性もあります。

このような事象が発生した場合は、当社グループに損害賠償請求や障害事後対応により営業活動に支障をきたし機会損失が発生し、さらに当サービスへの信用が失墜する可能性があります。

(対応策)

当社グループでは、情報セキュリティの基本方針を定め、全社レベルの情報セキュリティの状況を正確に把握し、必要な対策を迅速に実施できるようにするため、情報セキュリティ委員会を設置しております。また、外部・内部からの不正侵入に対するセキュリティ対策、24時間のシステム監視態勢、システム構成の冗長化、保険への加入並びに社内規程の整備運用等によりシステムダウン及び情報セキュリティのリスクに対処してまいります。

 

②個人情報の流出の可能性及び影響について

当社グループサービスを利用する場合、クレジットカード番号を当社グループのコンピュータシステムに送信する必要があります。また、一部のサービスにおいてはクレジットカード番号のほかに氏名・住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報の登録を求める場合があり、登録された情報は当社グループの管理下にあるデータベースにて保管しております。

昨今、企業から個人情報漏洩が相次ぐ中、個人情報の扱いに対する社会的関心が高まっております。2017年5月には改正個人情報保護法が全面施行され、今後個人情報管理の更なる徹底が必要となります。

このような中、当社グループでは社団法人日本クレジット協会へ加入し、同協会で義務化されている個人情報保護指針に基づく個人情報管理の運用を実施しているほか、プライバシーマークを取得する万全な体制を整備しておりますが、このような状況下において万が一クレジットカード情報等の重要な情報が外部に流出した場合には、当社グループへの社会的信用の失墜が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

当社グループは、情報セキュリティの基本方針を定め、全社レベルの情報セキュリティの状況を正確に把握し、必要な対策を迅速に実施できるようにするため、情報セキュリティ委員会を設置しております。また、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき課題 ①情報セキュリティの強化」に記載のとおり、リスク管理体制強化の一環として情報セキュリティにかかる各種認証を取得しております。

 

 

③加盟店等からのカード情報の流出について

万が一、当社グループの加盟店等からクレジットカード情報が漏洩した際は、原則、加盟店等が賠償負担を行うため当社グループに影響はございません。しかしながら、加盟店等に賠償負担する支払い能力がない場合、当社グループが連帯責任として、クレジットカード再発行手数料等の賠償を負担する可能性があります。

(対応策)

当社グループは、当該リスクを軽減するため、クレジットカード情報を加盟店等ではなく当社グループが保持するサービスの促進、及び情報を保持する加盟店等の管理強化等を行っております。

 

(4)親会社グループとの関係について

当社グループの親会社であるGMOインターネットグループ株式会社は、2024年9月30日において当社の議決権の40.73%を保有する筆頭株主であります。同社は、「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、GMOインターネットグループにおいてインターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業、インキュベーション事業を行っております。

①GMOインターネットグループにおける当社グループの位置づけについて

当社グループは、GMOインターネットグループのインターネットインフラ事業に区分される総合的な決済関連サービス及び金融関連サービスを担う会社として位置づけられております。

 

②GMOインターネットグループとの取引について

当社グループとGMOインターネットグループとの重要な取引は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39.関連当事者取引」に記載しております。

 

③親会社等との役員の兼務関係について

有価証券報告書提出日現在における当社の役員15名のうち、GMOインターネットグループの役員又は従業員を兼ねる者は8名であり、うち1名は当社の代表取締役及び同社の取締役を兼任しております。当社における役職、氏名及びGMOインターネットグループにおける役職は以下のとおりです。

氏名

当社における役職

親会社等又はそのグループ企業での役職

相浦  一成

代表取締役社長

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

取締役グループ副社長執行役員グループ決済部門統括(非常勤)

熊谷  正寿

取締役会長(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

代表取締役グループ代表 会長兼社長執行役員・CEO

 

■親会社の関係会社

GMOリサーチ&AI株式会社 取締役会長

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 取締役会長

GMOペパボ株式会社 取締役会長

GMOメディア株式会社 取締役会長

GMO TECH株式会社 取締役会長

GMOアドパートナーズ株式会社 取締役会長

安田  昌史

取締役(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

取締役グループ副社長執行役員・CFO グループ代表補佐

グループ管理部門統括

 

■親会社の関係会社

GMOメディア株式会社 取締役

GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 取締役

GMOリサーチ&AI株式会社 取締役

GMOアドパートナーズ株式会社 取締役

GMO TECH株式会社 取締役

GMOフィナンシャルホールディングス株式会社 取締役

GMOあおぞらネット銀行株式会社 社外取締役

山下  浩史

取締役(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

グループ副社長執行役員グループシステム部門統括

システム統括本部長

新井  輝洋

取締役(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

グループ専務執行役員 海外投資・仲間づくり担当

海外管理・ガバナンス担当

稲垣  法子

取締役(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

グループ執行役員グループ財務部長

川﨑  友紀

取締役(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

グループ執行役員グループ法務部長

島原  隆

取締役(非常勤)

■親会社

GMOインターネットグループ株式会社

グループリスク管理本部長兼グループ金融事業連携・グループ内部監査室長

 

■親会社の関係会社

GMOあおぞらネット銀行株式会社 社外監査役

 

 

④親会社等からの独立性の確保について

当社が事業活動を行う上で、「重要な決議事項」に限り親会社であるGMOインターネットグループ株式会社に事前通知することとなっておりますが、当社は各事業における営業活動等、すべての業務を独自に意思決定し事業展開しております。また、GMOインターネットグループからの役員の兼務状況は当社独自の経営判断を妨げるものではなく、経営の独立性は確保されていると認識しております。

当社グループがGMOインターネットグループと取引を行う場合には、少数株主の保護の観点から新規取引開始時及び既存取引の継続時も含め、取引条件等の内容の適正性を、その他第三者との取引条件との比較等から慎重に検討して実施しております。具体的には、定期的に第三者との取引条件と総合的に比較検討し、適正な条件であることを親会社等から独立した立場の社外取締役も参加する取締役会に報告することとしております。

なお、支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為については、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会にて審議・検討を行ったうえで、取締役会に答申され、決定されます。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の概況

a.経営成績の概況

当連結会計年度(2023年10月1日~2024年9月30日)の業績は、以下のとおりです。

(単位:千円)

 

前連結会計年度

(自 2022年10月1日

    至 2023年9月30日

当連結会計年度

(自 2023年10月1日

    至 2024年9月30日

増減率(%)

売上収益

63,119,117

73,785,055

16.9

営業利益

20,312,237

25,187,463

24.0

税引前利益

20,636,412

27,504,689

33.3

親会社の所有者に帰属する当期利益

13,475,513

18,705,445

38.8

 

 

(ⅰ)売上収益

売上収益は73,785,055千円(前年同期比16.9%増)となりました。オンライン課金分野、継続課金分野、対面分野と「GMO後払い」合計の決済処理件数は前年同期比19.3%増、決済処理金額は前年同期比25.5%増となり、決済代行事業の売上収益は55,927,023千円(前年同期比16.7%増)、金融関連事業の売上収益は16,462,355千円(前年同期比16.8%増)、決済活性化事業の売上収益は1,509,085千円(前年同期比31.3%増)となりました。詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の概況 b.セグメントの業績」に記載しております。

 

 

品目別売上収益は、以下のとおりです。イニシャルにおいて前連結会計年度に計上した対面分野における大型案件の反動減の影響がある一方、ストック、フィー及びスプレッドが順調に推移しております。

(単位:千円)

品目別

前連結会計年度
(自  2022年10月1日
  至  2023年9月30日

当連結会計年度
(自  2023年10月1日
  至  2024年9月30日

増減率(%)

イニシャル

(イニシャル売上)

11,403,745

12,398,190

8.7

ストック

(固定費売上)

9,422,749

11,505,453

22.1

フィー

(処理料売上)

17,772,378

21,356,307

20.2

スプレッド

(加盟店売上)

24,520,244

28,525,104

16.3

合計

63,119,117

73,785,055

16.9

 

 

(ⅱ)営業利益

営業利益は25,187,463千円(前年同期比24.0%増)となり、当連結会計年度の業績予想を達成しております

決済代行事業のセグメント利益(営業利益)は25,214,399千円(前年同期比19.5%増)となり、金融関連事業のセグメント利益(営業利益)は4,104,615千円(前年同期比49.2%増)、決済活性化事業のセグメント利益(営業利益)は373,678千円(前年同期比29.4%増)となりました。

 

(ⅲ)税引前利益

税引前利益は27,504,689千円(前年同期比33.3%増)となり、当連結会計年度の営業利益が前年同期比24.0%増だったのに対し、税引前利益が前年同期比33.3%増となりました。これは主に持分法による投資の売却益を1,629,664千円計上したことによるものです。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.持分法による投資の売却益」に記載しております。

 

 

b.セグメントの業績

セグメントの業績は以下のとおりです。

(単位:千円)

セグメント別

前連結会計年度
(自  2022年10月1日
  至  2023年9月30日

当連結会計年度
(自  2023年10月1日
  至  2024年9月30日

増減率(%)

決済代行事業
 売上収益
 セグメント損益(△は損失)

47,913,393

21,101,322

55,927,023

25,214,399

16.7

19.5

金融関連事業
 売上収益
 セグメント損益(△は損失)

14,088,682

2,751,650

16,462,355

4,104,615

16.8

49.2

決済活性化事業
 売上収益
 セグメント損益(△は損失)

1,149,538

288,842

1,509,085

373,678

31.3

29.4

調整額

 売上収益
 セグメント損益(△は損失)

△32,496

△3,829,578

△113,409

△4,505,230

 

合計
 売上収益
 セグメント損益(△は損失)

63,119,117

20,312,237

73,785,055

25,187,463

16.9

24.0

 

 
(ⅰ)決済代行事業

決済代行事業については、主にオンライン課金分野・継続課金分野と対面分野における決済代行サービス、金融機関や事業者等に対するBaaS(Banking as a Service)支援の拡大に取り組んでおります。オンライン課金分野・継続課金分野においては、EC市場の順調な成長のもと、大手から中小規模まであらゆる業態の加盟店開拓やEC以外の幅広い事業者における当社グループのサービス利用の拡大に注力しております。

当連結会計年度のオンライン課金分野・継続課金分野は、大手加盟店の開拓が進捗した結果、公金・公共料金や旅行・チケット、日用品等のオンライン決済が増加し、売上収益が伸長いたしました。

当連結会計年度における対面分野は、前連結会計年度においてイニシャル売上に寄与した大口案件が無い中、中小規模案件の積み上げを推進したこと、リカーリング型売上の成長等により着実な売上成長を遂げることができました。なお、当第4四半期連結会計期間には「stera」シリーズで従来型の据置型に、組込型の新端末を加えた「next stera」の販売を開始いたしました。

さらに、決済のキャッシュレス化やDXニーズの拡大を捉えた金融機関や事業者等に対するBaaS支援では、第1四半期連結会計期間以降、大型案件等の収益貢献が開始したことにより、プロセシングプラットフォームサービスの売上収益が拡大いたしました。

以上の結果、売上収益は55,927,023千円(前年同期比16.7%増)、セグメント利益(営業利益)25,214,399千円(前年同期比19.5%増)となりました。

 

(ⅱ)金融関連事業

金融関連事業(マネーサービスビジネス:MSB)については、加盟店のキャッシュ・フロー改善に資する早期入金サービスや、加盟店向け融資サービスであるトランザクションレンディング、海外FinTech事業者に向けたレンディングサービス、送金サービス、給与即時受け取りサービスの「即給 byGMO」のほか、連結子会社であるGMOペイメントサービス株式会社を通じて「GMO後払い」やBtoB取引向け後払い決済サービス「GMO掛け払い」、三井住友カード株式会社との分割・対面取引にも対応するBNPLサービス「アトカラ」等の後払い決済サービスを提供しております。

当連結会計年度において、後払い決済サービスは前連結会計年度における手数料改定の影響が一巡したものの、引き続き大手加盟店の獲得により売上収益が伸長いたしました。海外FinTech事業者に向けたレンディングサービスにおいては、北米及びインドを中心に新たな融資先の開拓及び既存融資先への追加融資が進捗し、売上収益の拡大に貢献しました。加えて、「即給 byGMO」も取扱件数が順調に推移し売上収益が伸長いたしました。

以上の結果、売上収益は16,462,355千円(前年同期比16.8%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、後払い決済サービスにおける未回収率の低下がさらに進み与信関連費用を一定水準抑えることができたことに加え、海外FinTech事業者に向けたレンディングサービスが伸長したことにより、4,104,615千円(前年同期比49.2%増)となりました。

 

(ⅲ)決済活性化事業

決済活性化事業については、当社グループ加盟店の売上向上に繋がるマーケティング支援サービスやセキュリティ強化サービス、連結子会社であるGMO医療予約技術研究所株式会社を通じて医療受付現場の業務効率化に繋がる医療特化型予約管理システム「メディカル革命 byGMO」等を提供しております。

当連結会計年度において、GMO医療予約技術研究所株式会社が提供する予約・問診票記入・受付・決済といった行為をスマホアプリから行えるサービスや、複数の医療機関の診察券をスマートフォン1つに集約することができるサービスへの需要の高まり等から売上収益が前年同期比54.6%増と引き続き好調に推移し、利益面でも貢献をいたしました。また、マーケティング支援サービスも増収となっております。

以上の結果、売上収益は1,509,085千円(前年同期比31.3%増)、セグメント利益(営業利益)は373,678千円(前年同期比29.4%増)となりました。

 

 

c.財政状態
(ⅰ)資産

当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ52,355,637千円増加し、344,702,455千円となりました。これは主に前渡金2,863,713千円、関係会社預け金5,300,000千円が減少した一方、現金及び現金同等物40,395,695千円、営業債権及びその他の債権4,827,704千円、未収入金4,093,148千円、その他の金融資産6,557,429千円、のれん及び無形資産1,722,416千円が増加したことによるものです。

 

(ⅱ)負債

当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ41,341,195千円増加し、238,883,171千円となりました。これは主に未払法人所得税等5,318,613千円が減少した一方、未払金2,095,451千円、預り金35,463,150千円、借入金3,905,000千円、その他の負債2,869,468千円が増加したことによるものです。

 

(ⅲ)資本

当連結会計年度末における資本の残高は、前連結会計年度末に比べ11,014,441千円増加し、105,819,284千円となりました。これは主にその他の包括利益1,336,115千円、剰余金の配当6,749,115千円により減少した一方、当期利益19,235,072千円を計上し増加したことによるものです。

 

②キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、期首残高に比べ40,395,695千円増加し、174,053,848千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローは以下のとおりです。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は49,472,425千円(前年同期は6,128,597千円の獲得)となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権の増加5,808,873千円、未収入金の増加4,093,653千円、法人所得税の支払額13,870,988千円により資金が減少した一方、税引前利益27,504,689千円、減価償却費及び償却費3,347,330千円、預り金の増加35,463,265千円により資金が増加したものです。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は5,231,449千円(前年同期は17,762,101千円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入1,934,307千円、関係会社預け金の払戻による収入5,300,000千円により資金が増加した一方、無形資産の取得による支出3,951,825千円、投資有価証券の取得による支出7,726,096千円により資金が減少したものです。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は3,728,583千円(前年同期は6,419,333千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の純増加額3,900,000千円により資金が増加した一方、配当金の支払額6,745,849千円により資金が減少したものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは決済代行事業、金融関連事業及び決済活性化事業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。

 

b.受注実績

生産実績と同様の理由により記載しておりません。

 

c.販売実績

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の概況 b.セグメントの業績」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上収益(千円)

割合(%)

売上収益(千円)

割合(%)

三井住友カード株式会社

8,747,770

13.9

9,098,712

12.3

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要性がある会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

財政状態の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の概況 c.財政状態」に記載しております。

 

b.経営成績

経営成績の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の概況 a.経営成績の概況 及びb.セグメントの業績」に記載しております。

 

c.キャッシュ・フロー

(ⅰ)キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載しております。

(ⅱ)資本の財源及び資金の流動性について

当社グループにおける主な資金需要は、金融関連事業の拡大に伴い増加する運転資金や貸付金等によるものです。主な資金調達は、短期運転資金については自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、長期性資金については金融機関からの長期借入や社債での調達を基本としております。また、急な資金需要や不測の事態に備え、コミットメントライン契約を締結し資金調達の十分な流動性を確保しております。

(ⅲ)財務政策

当社グループは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

会社名

契約の名称

契約の内容

契約期間

自動更新

株式会社三井住友フィナンシャルグループ、

株式会社三井住友銀行、

三井住友カード株式会社及び

GMOインターネットグループ株式会社

資本提携契約書

合弁会社を通じた決済代行サービスに関する資本提携に係る契約

自 2021年3月24日

至 2026年3月23日

有(5年)

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。