第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針及び経営環境

 当社は、「セルフストレージ業界で必要不可欠のインフラとなり、セルフストレージ業界とともに発展する」ことを経営理念に掲げ、セルフストレージ事業運営に必要な様々なサービスを提供してまいりました。

 当初、これらのサービスは、セルフストレージ事業者向けに提供しておりましたが、セルフストレージ市場の拡大とともに、大手不動産会社や国内外の機関投資家向けに拡大してきております。それに伴い、当社が提供するサービスは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスから、一棟屋内型セルフストレージ施設及び屋外コンテナ型トランクルーム施設を開発・販売し、その売却した物件の運営管理を受託(ストック)するというハードとソフト両面による垂直統合型のビジネスへと拡大させております。

 セルフストレージ市場は、既存の事業者・新規参入事業者・投資家層などによる積極的な事業展開や、一般生活者の認知度の向上や利用需要の顕在化が進み、その規模は着実に増加しております。2022年度の国内市場規模が797億円(前年度比4.1%増・矢野経済研究所「収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納)市場に関する調査(2023年)」より引用)、全国のトランクルームは13,000店舗(13,691店舗・58万室)を突破し、全国のファミリーレストラン10,252店舗を超える規模に拡大するなど(キュラーズ「トランクルーム市場調査(2023年度)」)、大手事業者を中心とした積極的な出店姿勢による拠点数の堅調な拡大や、都市部を中心に不動産賃料の上昇や居住スペースの狭小化などを背景とした高い利用需要の継続により、今後の市場動向に国内外から高い期待と注目を集めています。

 このようなセルフストレージ市場の成長に伴い、当社のセルフストレージ市場における役割もさらに拡大しております。このような中、当社は、三菱地所株式会社との共同事業によるセルフストレージ施設の開発、資本提携先である日本郵政キャピタル株式会社が属する日本郵政グループ企業の日本郵便株式会社へのプロパティマネジメントサービスの提供、第一生命グループの相互住宅株式会社による賃貸運営施設の集客支援など、既存事業の推進や事業規模・事業領域の拡大に向けたエンタープライズ企業等との業務提携も推進して、サービスの専門化・強化やブランド力の向上を進めております。これらのアクションも含め、既存サービスの専門性向上や取組領域の拡大など継続的なセルフストレージビジネスソリューションプロバイダーとしての進化を図ることにより、セルフストレージ市場発展への貢献と当社の業容の拡大を同時に図っていく方針であります。

 生活環境の変化に伴い、セルフストレージの認知度が向上、利用需要の顕在化が進むとともに、ITを活用した非対面での申込・決済手続等のBPOサービスを提供できる当社への注目度が高まっており、当社が取り組むソリューションに対するニーズは引き続き増加するものと見込まれます。引き続きBPOサービスとセルフストレージ施設の開発・運営を中心とした事業展開により、セルフストレージ市場の拡大と企業価値の向上を推進してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、売上高営業利益率、自己資本比率、自己資本利益率(ROE)を安定的に維持することを意識した経営を進めており、収益性の観点において売上高営業利益率10%以上、安全性の観点において自己資本比率30%以上、効率性の観点において自己資本利益率(ROE)10%以上をそれぞれ目標にしております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社が提供するサービスは、セルフストレージ事業を展開する国内企業の約6割に活用され、日本のセルフストレージ市場を支えるインフラの一つとなりつつありますが、当社の市場への貢献度と企業価値をさらに向上させるためには、業界内における当社サービスの利用率を高めていくこと、さまざまな投資家層・事業者が安心してセルフストレージを投資できるように施設運営力を向上させることが不可欠であります。そのために、業務効率化・省力化・リスク回避など当社が得意とするサポート機能を中心にサービスの高付加価値化を推進や、機能性に優れたセルフストレージ施設の供給及び賃貸運営力の強化に取り組み、セルフストレージ市場と当社の事業規模の双方の拡大を目指してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①持続的な成長のための事業基盤の強化

 当社のビジネスモデルは特許権等により法的に他社を排除できる参入障壁を持っておらず、ビジネスモデル自体もシンプルであるため、他社の追随参入による競争激化が起こる可能性があります。これに対し、当社はこれまで、セルフストレージ運営プロセスをサポートするワンストップサービスの提供やセルフストレージ施設の開発・供給を通じ、成長してまいりました。今後も持続的な成長を図るべく、サービス受託件数の伸長とセルフストレージ施設の安定的な供給を推進してまいります。

 サービス受託件数の伸長に向けては、定期的なカスタマーサポートや事業者交流会の開催等を通じ、顧客事業者からの要望などにより業務効率化・利便性に関するニーズをくみ取り、タイムリーにサービスの開発に生かしていくことで、付加価値・ユーザビリティの高いサービス体制を維持するとともに、セルフストレージ事業参入者向けのセミナーや集客マーケティング・コンテナ・パーティション等の施設部材の販売機能も提供できるセルフストレージ開業支援サービスなどの起業者向けサービスプログラムの提供を強化することにより、事業用地の有効活用や転業ニーズの発掘を推進、新規参入者の創出・拡大に貢献してまいります。

 また、滞納保証・管理、収納代行・収納物撤去などの基幹サービスの異業種向けサービス展開を進め、事業領域・収益源の拡大も強化してまいります。

 

②物件開発力の強化

 セルフストレージ施設の安定的な供給に向けては、出店用地の確保、建築コストの抑制が必要となります。当社ではグループ会社と土地情報を共有しており、様々なルートからの情報入手が可能となっております。また大手不動産企業と共同事業を始めるなど、一棟屋内型セルフストレージ施設開発を拡大していくと共に投資規模が少額な屋外コンテナ型トランクルーム施設の開発事業量の拡大を進めることで、事業者・利用者・投資家層にとっての有効な投資機会を創出し、セルフストレージ市場の拡大と当社の安定的な成長につなげてまいります。

 

③セルフストレージ利用者集客力の向上

 当社は、セルフストレージ市場規模拡大に寄与すべく「Keep it(キーピット)」等の施設の開発と開発後の賃貸運用に取り組んでおりますが、物件開発後の早期利用促進・安定稼働化の進展がセルフストレージ施設の資産性・収益性を向上させ、投資対象としての適格度が高まることにより、投資市場の拡大が図れます。

 そのために、セルフストレージ利用者集客力向上に寄与する施策の企画・実行を、次の収益基盤として育ててまいります。

 

④システムの合理化及び構築

 当社は、今後の持続的な成長と効率的な業務運営のため、従来の基幹システムだけではなく、ビッグデータ活用技術やAI技術の導入による利用者の問い合わせ対応や顧客データ管理、査定業務、収納代行業務の効率化など、各種システムを統合的に整備していく方針であります。

 これにより一層の取扱室数の増加に対応するとともに、事業者・利用者満足度向上と更なる業務効率化の実現を進めてまいります。

 

⑤人材の確保・育成

 当社は、少数の人員体制であり、効率性を重視した運営組織となっております。今後の企業規模拡大や事業発展のためには、優秀な人材を継続的に確保・育成することが重要な課題であると認識しております。全社員が新たなことに挑戦でき、活躍できる環境を創るとともに、即戦力となりうる人材の確保を目的とした中途採用と、中長期的な企業価値の向上を見据えた新卒採用をバランスよく行うことで、常に組織を活性化させ、継続的な成長につなげてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社では、「セルフストレージ業界で必要不可欠のインフラとなり、セルフストレージ業界とともに発展する」の企業理念のもと、全ての人々が快適で生産的な生活が送れるよう最適なサービスを提供することにより、豊かな社会が実現できるものと信じ、事業に取り組んでおります。

 持続可能な社会の実現のためには、多様な価値あるサービスを通じて、継続して新たな社会的価値を創造することが重要であると考えます。持続可能な社会の形成と持続的な企業価値の向上を目指しております。

 なお、当社では、自らの事業の成長が企業の業務効率化や個人に生活快適性の向上の促進につながると考えており、それを具現化するための組織構築に資する人的資本投資を含んだサステナビリティという観点で、個別の取り組み指標や目標を設けておりません。

 

(2)具体的な取組み

 ①ガバナンス

 当社は、取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月1回開催するとともに、事業経営にスピーディーな意思決定と柔軟な組織対応を可能にするため、執行役員及び事業責任者等が出席する幹部会議を原則週1回開催しております。

 加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会及び幹部会議に出席することで議事内容や手続き等につき逐次確認いたしております。また、内部監査チームを設置し、内部監査を実施し、監査結果を定期的に代表取締役社長に報告しております。

 ディスクロージャーに関しましては、会社法、金融商品取引法に定められた情報開示はもとより、東京証券取引所が定める「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づく情報開示は、上場会社としての当然の責務と考えております。また、株主・機関投資家・個人投資家・顧客等に向けたIR活動も重要な企業責任であるとの認識に立っており、一般に公正妥当と認められた企業会計基準を尊重し、監査法人や証券会社等のアドバイス等を参照しながら、制度としてのディスクロージャーの他、事業進捗やリスク情報を含めた自発的なディスクロージャーにも重点を置き、透明性、迅速性、継続性を基本として積極的な開示に努めております。

 

②戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

 当社の持続的な成長や企業価値向上のためには、人材は最も重要な経営資源であり、高度な専門的知識、技能及び経験を有する、多様な人材の確保及び育成が不可欠だと考えております。そのため、人事制度の改訂や研修の拡充、フレックスタイム制度の導入等、人材確保のための各種制度の整備を行っております。

 当社の人材多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備に関する方針は、性別、年齢、国籍、人種、宗教等に関わらず、従業員一人ひとりの個性を多様性として活かし働きやすい職場環境整備に努め、社員の成長・活躍の機会を提供することとしております。

 

③リスク管理

 当社は、経営に関するさまざまなリスク及び機会を審議するため、幹部会議において新規投資や事業運営におけるリスク及び機会を評価・分析し、各部門に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を必要に応じて取締役会に報告する体制を整えております。リスク管理の詳細につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④指標及び目標

 当社では、上記②戦略において記載した人材多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備に関する方針に係る当事業年度末現在の女性従業員比率は72.5%であり、今後も積極的に多様性を重視した人材の登用を進めてまいります。なお、当社の業務内容、会社規模、従業員数を勘案し、当事業年度末において女性従業員比率の目標は定めておりません。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社の事業展開上のリスクについて投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる主な事項には以下のものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容もあわせて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、ご留意下さい。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が入手可能な情報から判断したものであります。

 

(1)経済状況等の影響について

当社は主にセルフストレージ事業に特化したサービスを提供しております。よって景気動向、金利動向、不動産価格等の経済状況や社会情勢の変化はもとより、セルフストレージ業界全体の経済変動や施設利用者の需要動向、セルフストレージ運営にかかわる法的規制等に影響を受けやすいため、セルフストレージ業界も含めた景気見通しの悪化や大幅な金利の上昇、あるいは施設供給過剰などにより投資市場が低迷した場合には、施設利用者の減少や施設利用料の滞納の増加、セルフストレージ施設の販売期間の長期化や完成在庫の増大などが発生する恐れがあり、当社の経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社は、当該リスクへの対応策として、定期的に景気動向・不動産市況等のモニタリングを行うとともに、エリア・規模・用途・物件特性に応じたマーケット観の醸成、投資判断力・リーシング力の強化等により、リスクの低減を図ってまいります。

 

(2)求償債権の回収不能リスクについて

当社のビジネスソリューションサービスにおいては、当社がセルフストレージの使用料債務に対する連帯保証人となっております。仮に、当該セルフストレージ事業者への使用料の遅延・滞納が起きた場合には、利用者にかわって当社が使用料の立替払いをいたします。これにより、当社は保証契約に基づく求償債権又は保証委託契約に基づく求償債権を取得することになりますが、これら債権を全額回収できるとは限らず、回収不能金が発生する可能性があります。

当社は、このリスクに対して過去の未回収金の発生状況を勘案した保証料率を設定し、また保証契約あるいは保証委託契約に基づく求償債権に対して直近3年間の貸倒実績率に基づき貸倒引当金を計上することで対処しております。しかしながら、実際の貸倒れが現時点の予想を上回った場合、現時点の貸倒引当金は不十分となる可能性があります。また、当社が貸倒引当金を設定する基準を改訂した場合、又はその他の要因により予想以上に悪影響を受けた場合、当社は追加の貸倒引当金の計上を必要とする可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)残置物撤去費用の発生リスクについて

当社はセルフストレージ使用契約が解除された場合、セルフストレージ利用者がセルフストレージ内に残した残置物を撤去し、撤去にかかわる費用を負担する契約をセルフストレージ事業者と締結しておりますので、セルフストレージの滞納保証業務において残置物撤去費用の発生を避けることはできません。

このため、撤去費用の発生の割合及び発生金額が経済環境の予想し難い激変等、何らかの理由により上昇する事態が起こった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

さらに、残置物撤去の作業時において、重量物や危険物が残置されている際に作業員が不可抗力で労働災害に見舞われる可能性があります。作業員が災害にあった際にはその補償のために拠出した費用が当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)訴訟リスクについて

当社においては、保証委託契約締結時に審査を実施するものの、使用料を滞納し支払困難となる利用者が発生する場合があります。滞納が発生した後2ヶ月以上経過するとセルフストレージ事業者と利用者の間で締結された契約に基づき、セルフストレージ事業者は当社が使用料の立替えを行っていたとしても施設利用契約の解除を行う権限を有します。契約の解除に伴いセルフストレージに入れている荷物の撤去を要求しますが、支払困難となった滞納者の中には独自の解釈により荷物を置き続ける等を行い、セルフストレージ事業者と主張が対立する場合があります。その際、当社はセルフストレージ利用者との間で締結した保証委託契約に基づき、物件に放置された荷物を搬出、運搬、保管、処分を行う権限を有します。一定期間の保管後、当社の処分行為により損害を受けたとしてセルフストレージ利用者が当社を提訴する可能性があります。当該訴訟の内容及び結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)セルフストレージ施設開発用地の仕入について

当社は、東京圏エリアを中心に事業用地の取得し、「Keep It」などのセルフストレージ施設を開発・販売しております。当社では、十分な不動産関連情報に基づき当該事業を展開しておりますが、今後何らかの事情により十分な不動産関連情報の入手が困難となった場合や用地取得前の調査で認識できない土壌汚染が取得契約後に発見された場合による追加費用の発生・開発スケジュールの変更などにより当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)ターンキーソリューションサービスにおける物件の引渡時期等による業績の変動について

ターンキーソリューションサービスにかかる売上高は、主にセルフストレージ施設等の不動産物件の売却金額であるため、当社のその他サービスと比較して売上高が多額になる傾向があります。そのため、ターンキーソリューションサービスの売上高の動向により当社全体の業績も大きく変動する可能性があり、特に四半期毎の経営成績においては、物件売却の有無により売上高および収益が短期的に偏る可能性があります。加えて、天災、事故、その他予測し得ない要因等の不測の事態により、物件の引渡時期が期末を越える遅延が生じた場合や期末近くに竣工・引渡を計画している物件について、竣工時期の延期などにより顧客への引き渡しが次期にずれ込む事態が生じた場合には、当該期の当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)外部業者への工事の委託

 当社は、特にターンキーソリューションサービスにおいて、設計・施工工事・賃貸管理・建物管理等を所定の審査を経た上で外部業者に委託しております。更に外部業者に業務を委託した後においても、品質及び工程監理のため当社社員が随時外部業者との会議に参加し、報告を受け、当社の要求する品質、工期に合致するように確認作業を適宜行っております。

 しかしながら、施工工事における災害の発生、労務費・資材費高騰による開発コストの上昇、外部業者からの虚偽の報告、外部業者の契約不履行や倒産等、不測の事態が発生し工事が遅延若しくは停止した場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、施工完了後、外部業者の破綻等の事態が発生したことにより、本来外部業者が負うべき瑕疵の補修責任等が履行されず、想定外の費用負担等が当社に発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)マスターリース(一括借り上げ)契約

当社のターンキーソリューションサービスにおいて開発した物件は、完成後に売却した際に、当社と物件取得先との間でマスターリース契約を締結することがあり、この場合当社にはこれらの物件についてリース債務が生じます。このマスターリース契約を締結した物件が想定した稼働率に到達しない場合、賃料収入が支払いマスターリース料を下回ることもあり、この場合には当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)競合事業者について

当社はセルフストレージの滞納保証・収納代行・利用申込・ITシステム開発・残置物撤去と、セルフストレージビジネス運営に関する一貫したアウトソーシングサービスを提供しており、サービス導入シェア約6割の独自性の高い事業を展開しております。しかしながら、家賃の連帯保証人代行サービスを提供する会社やクレジットカード会社など、異業種との部分的競合が発生する可能性があります。

当社としては、業務品質の向上、商品開発やIT化の推進等により、先行者利益を更に拡大するべく努力する所存でございますが、当社の競合環境の激化等を通じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)有利子負債の依存ついて

当社は、ターンキーソリューションサービスにおけるセルフストレージ施設開発用地取得費及び建築費の一部などの事業資金を、主に金融機関からの借入金によって調達しているため、総資産額に占める有利子負債の割合が2024年9月期は20.2%となっております。

当社は、金利動向や金融機関の融資状況についてモニタリングを行うとともに、資金調達に際しては、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに金融機関に融資を打診するなど、リスク低減を図っております。

しかしながら、金利の上昇や不動産投資市場または当社のリスクプレミアムが上昇した場合には、支払利息等が増加し、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。また。何らかの要因により当社が必要とする資金調達に支障が生じた場合には、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個人情報を含む情報管理について

当社は、セルフストレージ利用者に関する個人情報やセルフストレージ事業者の企業情報等、機密性が高い様々な情報が蓄積されるため、これらの情報の保護が重要となります。そのため、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、ファイアーウォールによる不正アクセスの防止や、定期的なバックアップの実施によるデータ消失の防止等を行っております。このようなシステムセキュリティを設定しておりますが、通信インフラの破壊や故障などにより当社が利用しているシステム全般が正常に稼働しない状態に陥ってしまった場合、あるいは情報漏洩・不具合が発生した場合には、当社の社会的信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(12)その他の関係会社について

①資本関係

当事業年度末現在、株式会社ディア・ライフは当社の発行済株式総数(自己株式を除く)普通株式の39.29%を保有しております。当社の経営判断において関連会社の承認を必要とする取引や業務は存在しませんが、当社の取締役、監査役の選任・解任や合併等の組織再編、重要な資産・事業の全部又は重要な一部の譲渡、定款の変更及び剰余金の処分等、株主の承認が必要となるすべての事項に関しては、他の株主の意向や利益にかかわらず、株式会社ディア・ライフが今後も影響を与える可能性があります。また、株式会社ディア・ライフにおいて、風評リスク等が顕在化した場合、当社に対しても当該リスクが伝播する可能性があります。

②その他の関係会社との取引関係

その他の関係会社からの独立性確保の観点も踏まえ、重要な取引については取締役会に対して定期的に報告を行うとともに、管理部における取引開始時のチェック、監査役監査や内部監査における取引の内容等の事後的なチェックを行う等、健全性及び適正性確保の仕組みを整備し、更に強化してまいります。

③役員の兼任

当社役員のうち、下記の者は本書提出日現在において、当社の役員と株式会社ディア・ライフの役員を兼務しております。当社に対する株式会社ディア・ライフの出資比率が変更される等の理由により、当社との関係が変動すると、これらの人的関係も変動する可能性があります。

氏名

当社における役職

株式会社ディア・ライフにおける役職

阿部幸広

取締役会長(非常勤)

代表取締役社長

上村卓也

取締役(非常勤)

常務執行役員

(注) 阿部幸広は当社の代表取締役であったことから引き続き取締役を兼任しております。

 

(13)法的規制等について

当社は事業の運営において、国土利用計画法、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、金融商品取引法、労働者派遣法等、各種法令のほか各自治体が制定した条例等による規制を受けております。当社の許認可等の状況は下表のとおりであり、各種法的規制に関して、法律を遵守するよう社員教育を行うとともにそれらの遵守体制を整備・強化しておりますが、何らかの理由により当該許認可が取り消しとなる事由が発生した場合には、当社の業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、今後これらの法令の改正や、法的規則が強化された場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(許認可、免許及び登録等の状況)

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

法令違反の要件及び主要な許認可等取消事由

宅地建物取引業免許

東京都

東京都知事(2)

第97464号

2025年2月13日

宅地建物取引業法第66条各号に該当する場合

有料職業紹介事業免許

厚生労働省

13-ユ-308501

2025年4月30日

職業安定法第32条各号に該当する場合

一般労働者派遣事業免許

厚生労働省

(般)13-304730

2028年5月31日

労働者派遣法第14条各号に該当する場合

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、経済活動の正常化が進みインバウンド需要の拡大等により景気回復の兆しが見られるものの、一方では長引く円安、原材料価格の高騰等による消費者物価の上昇、これらに伴う消費活動の低迷など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社が属するセルフストレージ(トランクルーム等のレンタル収納スペース)業界におきましては、2022年度の国内市場規模が797億円(前年度比4.1%増・矢野経済研究所「収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納)市場に関する調査(2023年)」より引用)、全国のトランクルームは13,000店舗(13,691店舗・58万室)を突破し、全国のファミリーレストラン10,252店舗を超える規模に拡大するなど(キュラーズ「トランクルーム市場調査(2023年度)」)、大手事業者を中心とした積極的な出店姿勢による拠点数の堅調な拡大や、都市部を中心に不動産賃料の上昇や居住スペースの狭小化などを背景とした高い利用需要の継続により、今後の市場動向に国内外から高い期待と注目を集めています。

 このような状況の中、当社は、「セルフストレージ業界のプラットフォーム」として、ビジネスソリューションサービス(セルフストレージ事業者向け賃料債務保証付きBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)・ITソリューションサービス等)の受託ストックの伸長と、セルフストレージ施設の開発事業量の拡大・運営施設のリーシング推進(ターンキーソリューションサービス)に向けた活動を進めてまいりました。

 ビジネスソリューションサービスにおきましては、セルフストレージの拠点数・利用数の伸長に加え、セルフストレージ事業者における運営効率化・省人化ニーズ、不動産会社等異業種によるセルフストレージビジネス参入機会などの高まりを背景に、賃料債務保証付きBPOの受託残高が約129,000室、WEB上でセルフストレージ利用予約決済や在庫管理を実施できるITツール「クラリス」の導入室数が約72,000室超となるなど、ビジネスソリューションサービスの事業規模は堅調に伸長いたしました。

 ターンキーソリューションサービスにおきましては、従来からの主力物件一棟屋内型セルフストレージ施設に加え、屋外コンテナ型トランクルーム施設の開発も推進、東日本を中心に24店を出店するなど、投資の積極化と物件開発販売後のビジネスソリューションサービス受託獲得によるサービス継続を進めてまいりました。

 また、三菱地所株式会社との共同事業によるセルフストレージ施設(東京都大田区)の開発や第一生命グループの相互住宅株式会社による賃貸運営施設の集客支援など、既存事業の推進や事業規模・事業領域の拡大に向けたエンタープライズ企業等との業務提携も推進してまいりました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,810,817千円(前事業年度比19.4%増)、営業利益は123,693千円(同26.4%減)、経常利益は141,686千円(同19.2%減)、当期純利益は80,829千円(同27.7%減)となりました。

 

 なおセグメントの経営成績は以下のとおりであります。

 

(ビジネスソリューションサービス)

 当事業年度は、既存顧客事業者からの堅調な申込に加え、資本提携先の日本郵政キャピタル株式会社が属する日本郵政グループ企業の日本郵便株式会社等の異業種からの新規開業案件や他社保証からのリプレイス受託など、新規提携先の拡大も進展し、賃料債務保証付きBPO関連収入は伸長しました。

 さらに、セルフストレージ運営における代行業務の対応領域の拡張や、施設活用型ビジネスを展開する事業会社向けのセルフストレージ開業支援サービス(物件診断・マーケティング・事業プラン提案・施設工事・施設運営システムの立ち上げ等)、残置・不要品の片付け・整理サービスなど、顧客満足度の伸長や既存のノウハウを新たなサービス展開も推進してまいりました。

 以上の結果、売上高は1,384,514千円(前事業年度比14.1%増)、営業利益は476,676千円(同13.5%増)となりました。

 

(ターンキーソリューションサービス)

 当事業年度は、「北区赤羽岩淵」などの一棟屋内型セルフストレージ施設2棟や、東日本に点在する屋外コンテナ型トランクルーム11施設などの開発施設を投資家・顧客事業者等に販売いたしました。加えて、新規事業参入者の保有不動産の有効活用ニーズや顧客事業者の増設ニーズに向けたパーティション施工も4件推進してまいりました。

 一方、賃貸運営面では、賃料の的確な調整や、集客オペレーション・広告宣伝手法の継続的な見直しにより運営施設の稼働向上を推進、賃料収入が前事業年度比13.8%増加するなど、賃貸収支の改善を図りました。

 以上の結果、売上高は1,426,303千円(前事業年度比25.0%増)となった一方、個別の賃貸物件について将来の予測稼働率等に基づく、賃貸契約の残存期間に発生が見込まれる損失を計上したこと等により、営業損失は183,515千円(前事業年度は104,789千円の営業損失)となりました。

 

 総資産は、前事業年度末に比べ99,120千円減少し、3,544,668千円となりました。これは主にBPOサービスの賃料保証による求償債権が119,364千円増加したこと、および借入金の返済等により、現金及び預金が215,175千円減少、貸倒引当金が79,971千円増加、子会社の清算による関係会社株式19,200千円が減少したことによるものであります。

 負債は、前事業年度末に比べ147,008千円減少し、1,205,795千円となりました。これは主に仕入れ債務の増加による未払金が104,911千円増加したこと、長短の借入金が286,804千円減少したことによるものであります。

 純資産は、前事業年度末と比べて47,888千円増加し、2,338,873千円となりました。これは主に剰余金の配当が33,762千円及び当期純利益が80,829千円計上されたことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は93,922千円(前年同期に使用した資金は194,016千円)となりました。これは主に税引前当期純利益129,182千円、減価償却費13,017千円、支払利息9,763千円、貸倒引当金の増加79,971千円、転貸損失引当金の増加57,806千円、売上債権の減少17,411千円、未払金の増加103,469千円、関係会社株式評価損9,967千円があった一方で、求償債権の増加119,364千円、契約負債の減少12,590千円、法人税等の支払額74,643千円があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は10,634千円(前年同期に獲得した資金は7,944千円)となりました。これは無形固定資産の取得による支出10,979千円、敷金の差入れによる支出10,685千円があった一方で、投資有価証券の売買による収支25,603千円、関係会社の整理による収入11,889千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は319,734千円(前年同期に使用した資金は131,175千円)となりました。これは長期借入れによる収入230,000千円があった一方で、短期借入金の純減額27,000千円、長期借入金の返済による支出489,804千円、配当金の支払額33,730千円があったことによるものです。

 

 以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて215,176千円減少して2,444,405千円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、セルフストレージに関連したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

1.当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2023年10月1日

    至 2024年9月30日)

前事業年度比

ビジネスソリューションサービス

1,384,514千円

14.1%

ターンキーソリューションサービス

1,426,303

25.0

合 計

2,810,817

19.4

 

 

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年10月1日

    至 2023年9月30日)

当事業年度

(自 2023年10月1日

    至 2024年9月30日)

金額(千円)

割合

(%)

金額(千円)

割合

(%)

Pepper Advantage Holdings 株式会社

436,363

18.5

ルートエス・ジェイ合同会社

683,000

24.3

  (注)総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,810,817千円(前事業年度比19.4%増)となりました。ビジネスソリューションサービスの取扱件数が堅調に推移しました。一方、ターンキーソリューションサービスでは、一棟屋内型セルフストレージ施設2棟や、東日本に点在する屋外コンテナ型トランクルーム11施設などの開発施設を投資家・顧客事業者等への販売により、ビジネスソリューションサービスと共に前事業年度と比較して、増収となりました。

(売上総利益)

 当事業年度における売上総利益は897,736千円(前事業年度比3.1%増)となりました。ターンキーソリューションサービスでは、個別の賃貸物件について将来の予測稼働率等に基づく、賃貸契約の残存期間に発生が見込まれる損失を計上し減益となりましたが、ビジネスソリューションサービスは堅調な売上増加となったことから、売上総利益は前事業年度と比較して増益となりました。

(営業利益)

 当事業年度における営業利益は、BPOサービス受託件数増加による賃料滞納に伴う収納物の撤去費用や求償債権の債権回収に伴う費用の増加により、販売費及び一般管理費は前事業年度と比べ増加し774,043千円(前事業年度比10.2%増)、営業利益は123,693千円(前事業年度比26.4%減)となりました。

なお、売上高営業利益率は、前事業年度と比較して、2.7ポイント増加の4.4%となりました。

(経常利益)

 当事業年度における経常利益は、投資有価証券売却益等を計上し営業外収益30,430千円、営業外費用は借入利息等を計上し12,437千円となった結果、141,686千円(前事業年度比19.2%減)となりました。

(税引前当期純利益)

 当事業年度における税引前当期純利益は、特別損失で関係会社株式評価損9,967千円、関係会社清算損2,536千円計上した結果、129,182千円(前事業年度比23.7%減)となりました。

(当期純利益)

 当事業年度における当期純利益は、法人税、住民税及び事業税82,469千円、法人税等調整額△34,116千円を計上した結果、80,829千円(前事業年度比27.7%減)となりました。

(自己資本利益率)

 自己資本利益率は、前事業年度と比較して、1.5ポイント減少し3.5%となりました。

 

②財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比べて122,736千円減少し、3,322,676千円(前事業年度末比3.6%減)となりました。これは主に求償債権が119,364千円増加する一方で、借入金の返済等により現金及び預金が215,175千円減少、貸倒引当金が79,971千円増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比べて23,616千円増加し、221,991千円(前事業年度末比11.9%増)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の減価償却による減少13,017千円、関係会社の清算に伴う関係会社清算損の計上等により関係会社株式が19,200千円減少する一方で、屋外コンテナ型トランクルーム施設開発等により敷金が10,455千円増加、繰延税金資産が34,106千円増加したことによるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比べて60,222千円減少し、606,641千円(前事業年度末比9.0%減)となりました。これは主に未払金が104,911千円、未払法人税等が8,871千円増加する一方で、短期借入金が27,000千円、1年内返済予定の長期借入金が108,667千円、契約負債が12,590千円、未払費用が5,342千円減少したことによるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比べて86,786千円減少し、599,154千円(前事業年度末比12.7%減)となりました。これは長期借入金が151,137千円減少する一方で、転貸損失引当金63,853千円を計上したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比べて47,888千円増加し、2,338,873千円(前事業年度末比2.1%増)となりました。これは主に剰余金の配当が33,762千円及び当期純利益が80,829千円計上されたことによるものであります。

 なお、自己資本比率につきましては前事業年度末より3.2ポイント増加し66.0%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて215,176千円減少して2,444,405千円となりました。当事業年度につきましては屋外コンテナ型トランクルーム施設の開発が進む一方で、一棟屋内型セルフストレージ施設の売却を行ったことから棚卸資産の残高については大きな変動はございませんでした。セルフストレージ事業者向け賃料債務保証付きBPOサービスによる求償債権の増加や、個別の賃貸物件について将来の予測稼働率等に基づく、賃貸契約の残存期間に発生が見込まれる損失を転貸損失引当金として計上したことで営業活動によるキャッシュ・フローはプラスとなり、十分な手元流動性を確保できております。

 当社は、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された最適な資本構成を維持・追求することを基本方針としております。

 当社の主な所要資金は、ターンキーソリューションサービスにて取り組むセルフストレージ施設の開発用地取得・施設建築や、経常の運転資金であり、これら所要資金については、適宜、自己資金及び銀行からの借入により調達しております。

 なお、当事業年度末において借入金の残高は716,241千円、現金及び預金2,484,413千円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。更に10行の金融機関との間に当座借越契約を締結していることにより、急な資金需要や不測の事態にも備えております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

⑤翌事業年度(2025年9月期)の見通し

 2025年9月期の見通しにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、経済活動の正常化が進みインバウンド需要の拡大等により景気回復の兆しが見られるものの、一方では長引く円安、原材料価格の高騰等による消費者物価の上昇、これらに伴う消費活動の低迷など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 セルフストレージ業界におきましては、地価や施設工事コストの上昇傾向が続いておりますが、堅調な収納スペースの利用需要を背景に、大手事業者を中心とした積極的な出店姿勢が継続しております。さらに、土地・建物の有効活用の1手段として、資産管理の容易さや相応の運用利回りが見込める性質から、今後の市場動向に国内外から高い期待と注目を集めており、投資対象資産としてのセルフストレージ物件に対する興味は、国内・海外のさまざまな事業者・投資家層から引き続き期待できるものと見込んでおります。

 2025年9月期は、上記のような想定される事業環境や市場の変化を着実に捉え、各事業ストック・事業量拡大を通じた更なる成長を目指してまいります。ビジネスソリューションサービスは、既存顧客事業者からの受託積み上げに加え、業務プロセスの外部委託ニーズや他社サービスからの切り替えによる当社サービスの新規導入需要などにより、セルフストレージ事業者向け賃料債務保証付きBPOサービスや、空室検索・在庫管理・オンライン決済システム等の主力サービスの堅調な受託伸長を見込んでおります。さらに、コンテナ・パーティション等の施設部材の販売機能も提供できるセルフストレージ開業支援サービスの拡販や、滞納保証・管理、収納代行・収納物撤去などの基幹サービスの異業種展開を推進することにより、事業領域・収益源の拡大も強化してまいります。

 ターンキーソリューションサービスは、引き続き屋外コンテナ型トランクルーム施設や一棟屋内型セルフストレージ施設の開発販売を積極化してまいります。また、前期に提携・共同事業をスタートした日本郵便グループ・相互住宅・三菱地所などのエンタープライズ企業や不動産保有企業との連携を深化・拡大にも注力することにより、主力サービス受託・施設開発機会の加速化・大型化や施設賃貸運営力の向上を実現させ、事業者・利用者・投資家層にとって有効なサービス・投資機会を創出していくことにより、セルフストレージ市場の拡大と当社の安定的な成長につなげてまいります。

 なお、当社の業績はターキーソリューション事業におけるセルフストレージ施設等の売買動向によっては収益が大きく変動する可能性があり現時点における通期予測については不確定要素が多いことから、合理的に仮定された条件に基づいて算出された「業績予想」に代えて、当社の2025年9月期の経営目標である「業績目標」を開示しております。

 

2025年9月期

通期業績目標

2024年9月期

当事業年度実績

当事業年度比

経常利益

350百万円

141百万円

+209百万円

当期純利益

210百万円

80百万円

+130百万円

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

第3【設備の状況】

1【設備投資等の概要】

 当事業年度において実施した設備投資等の総額は12,290千円であります。これはシステム開発及びシステムの機能追加として、ビジネスソリューションサービスで10,717千円、ターンキーソリューションサービスで1,583千円であります。

なお、重要な設備の除却、売却等はありません。

 

2【主要な設備の状況】

2024年9月30日現在

 

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の

内容

帳簿価額(千円)

従業員数

(名)

建物

構築物

工具、器具

及び備品

土地

(面積㎡)

ソフト

ウエア

合計

本社

 (東京都千代田区)

ビジネスソリューション

サービス

 

ターンキーソリューションサービス

 

その他

業務施設

10,531

5,388

19,686

35,606

30(9)

東金倉庫

 (千葉県東金市)

ビジネスソリューション

サービス

同上

11,264

2,308

300

7,000

(794)

20,873

1(-)

(注)1.現在休止中の主要な設備はありません。

2.本社事務所は賃借しており、年間賃借料は23,166千円であります。

3.従業員数欄の(外書)は、契約社員の員数を記載しております。

 

3【設備の新設、除却等の計画】

(1)重要な設備の新設等

事業所名

(所在地)

セグメントの名称

設備の内容

投資予定金額

資金調達方法

着手及び完成予定年月

完成後の増加能力

総額

(千円)

既支払額

(千円)

着手

完了

 

本社

(東京都

 千代田区)

 

ビジネス

ソリューション

サービス

管理機能強化及び業務効率化のための全社基幹システム等

10,000

10,000

自己資金

2024年12月

2025年6月

2025年2月

2025年8月

(注)完成後の増加能力については計数把握が困難であるため、記載を省略しております。

 

(2)重要な設備の除却等

  該当事項はありません。