第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』をパーパス(PURPOSE)に掲げ、その実現に向けて全社を挙げて取り組んでおります。パーパスは、当社の究極の目的、社会における存在意義を示したものであり、経営の根幹であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、パーパス(PURPOSE)、経営理念(MISSION)、バリュー(VALUE)、行動指針(CREDO)で構成するフィロソフィーを経営の柱として事業活動を行っております。

 

パーパス(PURPOSE)

美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。

 

経営理念(MISSION)

お客さまには最高の満足と信頼を

社員には幸せと未来への夢を

私たちは社会に貢献する企業として

限りなく幅広い発展をめざします

 

バリュー(VALUE)

感動創造 creating inspiration

 

行動指針(CREDO)

私たちは、

挨拶 笑顔 利他の心を大切にします

傾聴 共感 感謝の姿勢を徹底します

挑戦 変化 成長の志向で行動します

 

 

(2) 経営環境及び経営戦略、対処すべき課題

今後の見通しにつきましては、各種経済支援策により日本の景気は緩やかな回復基調が続くと期待されますが、為替変動や世界的な資源価格の上昇や原材料価格の高騰、賃金上昇を上回る物価上昇等、先行き不透明な状況が続くと予想されます。このような市場環境のもと、当社グループは、令和6年11月に新たな中期経営計画「Growth Next 2027」を策定いたしました。令和7年度から令和9年度までを対象年度としており、『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』というパーパスの実現へ向けたグローバル展開における基盤固めの期間として位置づけ、中期経営目標「令和9年9月期 売上高520億円・営業利益60億円・営業利益率11.5%」の達成をめざしてまいります。また、ROEは15%以上を目標とし、連結配当性向は35%以上といたします。これらの経営目標達成に向けて、全社戦略のもと4つの重点活動とそれを支える事業戦略及び全社基盤強化に取り組み、持続的な成長を実現してまいります。

 

具体的には、市場トレンドとVOC(※)、独自価値戦略を掛け合わせ、スピーディーな商品開発からデータベースマーケティングでシェアを拡大する全社戦略を展開します。

全社戦略に基づく重点活動として以下の4つに取り組みます。

 

※ Voice of Customerの略

 

① PERFECT ONEのターゲットを拡大しミドル世代獲得

PERFECT ONEは、スキンケアからオーラルケアやボディケアへと商品ラインナップを拡充しトータルビューティーブランドへと進化させ、ターゲットをミドル世代まで拡大することで、シニア世代からミレニアル世代まで全世代へ通じるブランドをめざします。また、お客さま一人ひとりのニーズに合わせたコミュニケーションに向けて、オフライン通信販売、EC、卸販売の各チャネルを連携させ、オムニチャネルの構築をめざします。

 

② データベースマーケティング強化による新規事業・新商品でLTV最大化

お客さまとの出会いを増やし、美と健康の分野でお客様満足度とQOLの最大化に貢献します。また、当社の強みであるデータベースマーケティングを通して、新しいお客さまにフィット感のある新規事業や新商品を開発し、新たなご提案をすることでLTVも最大化させます。

 

③ 米国を中心としたグローバル成長戦略の展開

海外販売においては、さらなる成長のため米国を起点として新規市場を拡大し、グローバルでのPERFECT ONEのブランド力を強化いたします。日本の通販企業におけるグローバル展開の先駆者となるべく、米国においてマーケティング手法の成功モデルを確立し、展開地域を拡大させます。また、アジアでは、現地との強固なパートナーシップを構築しスピーディーに展開すべく、新たな戦略のもとフィジビリティスタディを開始いたします。

 

④ 新商品、新サービス強化による事業成長の加速

さらなる事業成長のため、AIを活用したヒット商品の開発やスピーディーな商品開発体制と仕組みの構築を行います。それに加え、研究開発の強化や顧客ロイヤリティの向上に努め、お客さまの世代やライフステージに合わせた新商品・新サービスを展開いたします。

 

また、これらの重点活動を支えるため、成長戦略やブランド戦略、チャネル戦略等の事業戦略に加え、IT・デジタル拡大、人財資本経営、コスト構造改革、財務戦略等の全社基盤強化にも取り組んでまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

サステナビリティに関する基本方針

当社グループは、『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』というパーパスのもと、持続可能な社会の実現に向け、地球環境や社会を取り巻く課題の解決をめざしています。

 

新日本製薬グループ サステナビリティ基本方針

限りない未来を

当社グループは

『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』

というパーパスのもと

地球環境や社会を取り巻く課題の解決をめざし、ステークホルダーの皆さまとともに

持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

(1) ガバナンス

当社グループは、令和4年5月にサステナビリティ委員会を新設いたしました。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長CEOを委員長として、常勤取締役及び執行役員によって構成され、原則として年に2回開催、年に2回取締役会に報告しております。

 

(2) 戦略 重要課題(マテリアリティ)

当社グループの経営方針・経営戦略に影響を与える可能性がある社会課題を抽出し、特に対処すべき課題として「重要課題(マテリアリティ)」を特定しております。特定したマテリアリティに対し目標を設定し達成をめざした取り組みを推進しています。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ委員会にてサステナビリティ関連のリスクと機会を識別、評価を行った上で、サステナビリティ委員会での協議・承認、取締役会への報告により、各重要課題(マテリアリティ)及び目標に対する進捗管理を行っております。

 

 

(4) 指標及び目標

サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)及び目標

マテリアリティ

項目

目標

実績

(2023年度)

関連するSDGs

環境問題への対応

適正な在庫回転率の維持

25

23

 


 

エコフレンドリーな緩衝材の使用率

2030年度までに100%

100

化粧箱・配送箱での認証紙及び再生紙使用率

2030年度までに100%

配送箱 88%

化粧箱 35%

資源使用量の削減

2030年度までに30%削減

(2022年度比)

資源使用量の把握まで完了

顧客満足向上のための
商品・サービス提供

顧客満足向上のための独自評価項目の整理と目標の設定

2024年度までに完了

完了

 


責任あるサプライチェーンマネジメント

サステナビリティを考慮した調達方針の策定

2023年度までに完了

完了

調達方針に基づいたサプライヤーへの啓発活動の実施

2024年度

啓発活動に向けたサプライヤーガイドラインの検討開始

女性活躍の推進

女性管理職(※)比率

※課長級以上

2030年度までに30%以上

15%

育児・介護と仕事の両立ができる制度構築

※現行制度の見直しと新たな制度の構築

2024年度までに完了

目標達成に向けて検討中

社内の乳がん検診の提供率

100%維持

100%

福岡県の乳がん検診受診率の向上

2026年度までに55%以上(※)

※厚生労働省「国民生活基礎調査」2026年公表見込みを参照予定

乳がん検診の啓発活動を実施

コンプライアンス・リスクマネジメントの取り組み強化

重大なコンプライアンス違反件数

0件

0件

 


コンプライアンス・リスクマネジメントに関する研修受講率

100%

100%

個人情報の保護

情報セキュリティに関する重大事故件数

0件

0件

重大な個人情報漏洩件数

0件

0件

情報セキュリティや個人情報保護に関する研修受講率

100%

100%

 

(注) 1.実績は、サステナビリティレポート2023で公表している内容を記載しております。詳細な情報については、当社ウェブサイト(URL https://corporate.shinnihonseiyaku.co.jp/company/sustainability/)のサステナビリティレポートをご参照ください。

2.2024年度の実績は、2025年発行予定のサステナビリティレポートをご参照ください。

 

重点課題(マテリアリティ)、目標の設定プロセス

様々な社会課題のうち、当社グループの事業活動と関連性が高いと思われる社会課題を全社で議論の上抽出し、重点課題、目標を設定いたしました。

STEP1 社会課題の抽出

当社グループの方針や国際的な枠組み・原則(※)、社会情勢等を参考とし、検討すべき39項目の社会課題を抽出いたしました。

STEP2 社会課題の優先順位付け

抽出された社会課題について、ステークホルダーにとっての重要度と当社グループ事業にとっての重要度の2つの視点で評価を行い、社内の各部署を交え優先順位付けを実施いたしました。

STEP3 マテリアリティ案の策定

選定された社会課題を、その内容や特性から6つに整理し、マテリアリティ案を策定いたしました。

STEP4 妥当性の検証

マテリアリティ案及び策定までのプロセスについて、経営層との意見交換を行い、妥当性を検証いたしました。

STEP5 マテリアリティの特定

経営の承認を受け、マテリアリティを決定いたしました。

STEP6 マテリアリティの目標の策定

関連部署や各会議体より出された目標案をサステナビリティ委員会で審議の上決定し、取締役会へ報告しました。

※ GRI、SASB、ISO26000、SDGs等

 

(5) 気候変動への取り組み

持続可能な社会の実現に、気候変動の問題解決は重要と考え、当社は中長期的視点で予測されるリスクと機会を踏まえ、緩和と適応の両方から気候変動に取り組んでまいります。

 

① ガバナンス

気候変動に起因するリスク・機会は、サステナビリティ委員会で審議されます。サステナビリティ委員会では、委員長である代表取締役社長CEOをはじめ常勤取締役、執行役員が参加し、気候変動に起因したリスク・機会の特定及び顕在化した際の影響分析、その対応策の検討を実施します。その結果は取締役会に報告されます。気候変動を含む事業等に重要な影響を与える可能性のあるリスクについては、サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において検討・審議が行われ、取締役会へ報告されます。

 

② 戦略(シナリオ分析)

当社では、将来における気温上昇のシナリオとして、2℃以下・4℃の2種類の温度帯を想定し、令和12年(2030年)及び令和32年(2050年)におけるシナリオ分析を実施しています。国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオなどを参照し、重要度の評価及び財務影響の分析を実施しています。

 

 

③ 気候変動におけるリスクと機会

リスク

リスクタイプ

ジャンル

リスク要因

リスク詳細

当社への影響度

2℃以下シナリオ

4℃シナリオ

2030年

2050年

2030年

2050年

移行

政策及び規制

GHG排出量の規制強化

サプライチェーンの脱炭素化の加速

炭素税の導入

市場

消費者行動の変化

低炭素・環境に対応していない商品・サービスの淘汰

評判

ステークホルダーの懸念増大

企業イメージの悪化、株価下落、投資対象からの除外

物理

急性

大雨・洪水などの異常気象の増加

サプライチェーンの製造機能停止や寸断

慢性

平均気温上昇、長期的な熱波

自然由来原料の収穫・捕獲

気象パターンの変化
取水制限による化粧品製造への影響

品質維持

 

 

機会

機会タイプ

機会要因

当社への影響度

2℃以下シナリオ

4℃シナリオ

2030年

2050年

2030年

2050年

資源の効率

効率的な生産・流通プロセス

製品及びサービス

低炭素商品・サービスの開発、拡大

消費者の好みの変化

評判

ステークホルダーの評価変化

 

 

 

(6) 人的資本に関する取り組み
当社では、企業の存在意義であるパーパスを策定し、常識にとらわれない発想で『美と健康の「新しい」』をお客さまに届け続けることをめざしております。また、当社が掲げる「理想の人財像」では、社員に様々な課題に対し挑戦・変化・成長の志向で向き合い、成果を生み出す力が求められることを明記しております。
上記のことから、今後、当社の人財戦略として、「①人事制度」、「②人財創出」、「③Well-being経営」の3つの側面から社員の挑戦・変化・成長を後押しし、「④タレントマネジメント」により最適な人財配置や育成を行い人財資本の最大化を推進することで、経営戦略との連動を図ってまいります。

 

① 人事制度

社員の努力や成果に報い、チャレンジと成長意欲を促進させることを目的とし、評価、報酬、等級制度をはじめとした、各種制度を企画・整備しております。

 取り組み事例

ⅰ 人事制度の改定

令和6年10月1日付で人事制度の改定を実施しました。まず、等級制度については、一般社員の等級(グレード)の枠数を増やし、ステップアップの機会を多く設けることで、成長実感を得られやすくしました。

次に、評価制度については、スキルコンピテンシーを評価する仕組みを導入し、成果だけでなく、成果につながる行動を評価するようにしました。

 更に、賃金制度については、昨今の物価高の状況を踏まえ昇給率を上げるとともに、成果に応じたよりメリハリのある処遇にするなど、社員のチャレンジと成長意欲を促すとともに、成果を出した社員に還元することで、より社員の納得度が高まる仕組みへと見直しました。

 

ⅱ 報酬の見直し

令和6年4月に、ベースアップを実施しました。年収換算では約5%の賃上げとなります。今後も市況の変化に応じた見直しを行ってまいります。

 


 

 

② 人財創出

当社では、理想の人財像、人財育成方針を後述の通り掲げております。今後も、パーパスを基軸とし、変化に柔軟に対応し、挑戦、成長し続ける社員の創出を目的とし、経営戦略を実現するための人財育成、採用を行ってまいります。

 


 

Ⅰ 理想の人財像

当社は、パーパスを実現するため、新日本製薬の社員として理念を体現し、行動指針を実践する力を備えた人物を理想とします。

ⅰ 当社社員として、その立場に相応しい業務姿勢、倫理観、人間力を有する。

ⅱ 当社を取り巻くすべての人々に愛情をもって接し、何事においても当たり前と思わず、社内外で常に感謝の心をもって行動する姿勢を有する。

ⅲ 社会情勢や事業状態の変化を前向きに捉え、自らを成長させる機会とし、イノベーションの創出へ繋げる力を有する。

ⅳ 様々な課題に対し挑戦・変化・成長の志向で向き合い、それまでの経験値を最大限に活用しながら高いパフォーマンスの中で成果を生み出す力を有する。

ⅴ 当社の永続的な発展、また自身の成長のため、パーパスの実現を常に念頭におき、それを周囲にも波及することで、後進の育成にも寄与する力を有する。

 

Ⅱ 人財育成方針

パーパスに掲げる『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』の実現には、すべての社員が夢と志を持ち、日々の挑戦の中から生まれる成長が不可欠であると考えます。

ⅰ 当社の経営理念や経営方針を実現するとともに、社会課題を解決する次世代のリーダーを育成します。

ⅱ 複雑に変化し続ける環境の中でも、自身の価値を見失うことなく、挑戦し続ける人財を育成します。

ⅲ 不確実性の高い時代において、新たな価値を生み出し続けるため、年齢・性別・国籍・専門性・経験等、個性を尊重し、多様な人財を育成します。

ⅳ すべての物事を当たり前と捉えず、感謝の気持ちで夢と志の実現に邁進する人財を育成します。

 

 

Ⅲ 取り組み事例

ⅰ 新日本大学(企業内大学)

令和6年8月より、企業内大学として「新日本大学」を開始いたしました。管理職や若手社員を中心に、今後の経営戦略を実現するための中核となる人財を早期に育成してまいります。

 

ⅱ 戦略的ジョブローテーションの実施

人財育成の一環として、ジョブローテーションを実施しております。バリューチェーンに基づく様々な業務を経験し、幅広い分野での知識や経験値を積むことで、広い視野で活躍できる人財を育成することを目的としております。

 

ⅲ 自律的キャリア形成の促進

キャリアデザインシートによる社員のキャリア希望を確認する機会を設け、組織戦略上の視点も加えて、積極的なジョブローテーションやキャリア支援を実施しております。また、1on1ミーティングの仕組みを構築し、上司とのコミュニケーションを通して、社員一人ひとりが自らの強み、価値観、やりがいなどの自己理解を深めるとともに、仕事の充実感を得たり、自身のキャリアを描くことができる仕組みづくりを行っております。

 

③ Well-being経営

当社では、社員一人ひとりの働きがいを創出し、エンゲージメントを向上することを目的とし、Well-being経営を推進しております。昨年は、社内環境整備方針を新たに策定し、社員が心身ともに健やかで、日々イキイキと働ける環境を整えるため、様々な取り組みを行っております。

 


 

 

Ⅰ 社内環境整備方針

私たちは、社員の人格、個性、人権や多様性を尊重し、快適で働きやすく、やりがいのある職場環境を実現します。

ⅰ 人権・多様性の尊重

国籍・人種・性別・年齢などの属性に加え、経験や感性、価値観、専門性等のあらゆる多様性を尊重し、社員一人ひとりがその個性や能力を発揮し、活躍できる環境を創出します。

 

ⅱ 社員の安全・安心と心身の健康を推進

社員一人ひとりが安全かつ安心して業務を遂行できる環境を整備するとともに、活発なコミュニケーションにより組織力を高め、イノベーションを生み出す環境を創ります。また、世界中に美と健康の「新しい」を提供する企業として、社員の健康意識を高めるとともに、心身の健康の推進に取り組みます。

 

ⅲ 柔軟な働き方の実現

社員の柔軟な働き方を支援し、生産性の向上及び社員一人ひとりのワークライフバランスの向上をめざします。

 

ⅳ やりがいを感じられる風土の実現

社員一人ひとりの自主性とチャレンジ精神を大切にし、やりがいをもってイキイキと働くことを通じて、自己成長できる風土をつくり、パフォーマンスの最大化を図ります。

 

Ⅱ 取り組み事例

ⅰ 多様な人財の活躍

当社は、国籍・人種・性別・年齢等に関わらず、多様な人財の獲得と活躍の実現をめざしております。その取り組みの一つとして、新卒採用だけでなく経験者採用を積極的に行っており、多様な価値観で新たなイノベーションを生み出す環境づくりに取り組んでいます。また、当社は誰もが活躍できる風土をつくるために、女性管理職比率30%(課長級以上)を令和12年度(2030年度)までの目標とし、目標達成に向けた取り組みを推進しています。

 

ⅱ 心身の健康促進

当社は、パーパスである『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』の実現のために、社員一人ひとりが健康であり、幸せであることが重要だと認識しています。「企業は人財なり」という言葉を大切にしている当社は、社員と会社が一丸となって健康経営を実現することを宣言しております。また、社員の意見を積極的に施策に取り入れるため、月1回開催される「衛生委員会」で社員の意見を集約し、新たな取り組みに反映させる仕組みを整えております。

心の健康のための取り組みとしては、メンタルヘルスケアを目的とした社外相談窓口を設置しております。専門カウンセラーに直接相談することで、社員自身の悩みや不安の解消だけでなく、キャリア形成やキャリアアップを目的としたキャリアコンサルティングとしても活用できます。

身体の健康のための取り組みとしては、年齢に関わらず法律に定める項目数を上回る内容で定期健康診断を実施し、病気の早期発見・予防ができる体制を整えております。その中でも、女性社員について、女性特有の病気のリスクを減らし、活躍してほしいとの想いから、年齢を問わず、定期健康診断の際に会社負担で乳がん検診を受診することが可能な体制を整えております。社内の乳がん検診受診率については、毎年100%の受診率を目標としております。

 

 

ⅲ カフェテリア(社員食堂)

当社は、美と健康の「新しい」を提供する企業として、まずは社員の健康に寄与するため、本社ビル最上階にカフェテリア(社員食堂)を設けております。カフェテリアでは、管理栄養士の監修のもと日替わりランチを「スマートランチ」として提供している他、数種類の日替りメニューをリーズナブルに提供しております。「スマートランチ」は成人女性の1日に必要なエネルギー摂取量の1/3で設計されております。

 

ⅳ 各種休暇制度

 当社は、行動指針の1つに「利他の心を大切にする」との指針を掲げております。そこで、社員一人ひとりが「地域社会に貢献できる企業風土」をつくり、利他の心を行動に移す想いを尊重するために、ボランティアや地域活性化に向けた活動に参加する場合に、当社独自の制度として「社会貢献休暇」(有給休暇)を年間で1日付与しています。また、社員の誕生月にはより心身ともにリフレッシュする時間を過ごしてほしいという想いから、誕生日休暇(有給休暇)を1日付与しています。

 

ⅴ パーパスの実現

当社は令和5年1月、30周年の節目に新たにパーパスを制定しました。制定にあたり、社員一人ひとりが自社のパーパスへの理解を深めるため、「パーパス浸透プロジェクト」を実施しております。会社の存在意義や使命、価値観を自分ごととして考えることで、社員がやりがいをもって日々の業務に取り組める風土づくりを進めてまいります。

 

ⅵ 挑戦を後押しする褒賞制度

当社は、行動指針の1つに「挑戦・変化・成長の志向で行動します」との指針を掲げております。社員がより行動指針を実践するために、各種褒賞制度を通じて主体的且つ積極的に挑戦することを奨励しております。過去に前例のない高い成果を出したことに対する褒賞や、革新的な取り組みを実現したことに対する褒賞等、様々な視点から挑戦を奨励する風土づくりを行っております。

 

ⅶ エンゲージメント調査の実施

当社は、やりがいをもってイキイキと働くことができる環境をつくるために令和2年度より年1回の頻度で全社員を対象にエンゲージメント調査を実施しております。調査結果をもとに、自組織の強みや解決すべき課題について職場で議論し、部署横断でアイデアを出しながらパフォーマンスの最大化をめざすべく、改善に取り組んでおります。

 

ⅷ 職場代表委員会の積極的な活用

当社は、「職場代表委員会」を活用し、社員が安心とやりがいをもって働ける職場をつくるため、会社の取り組みに対し主体的に関わり意見交換し、施策に反映できる環境を整えております。

 

ⅸ 永年勤続者への記念品贈呈

当社で永く働いている社員に対し、その貢献に報いるため、記念品として旅行券の贈呈と、有給休暇を付与しています。令和6年に見直しを行い、さらに充実した内容となりました。

 

 

④ タレントマネジメント

社員の持つスキル、経験値を可視化し、人財配置や育成などの人財戦略に活かすことで、組織や社員のパフォーマンスを最大化します。また、人事KPIを設定し、ギャップを埋めるための人事施策を積極的に行うことで、企業価値につなげてまいります。

 

Ⅰ 取り組み事例

ⅰ 人事情報の基盤整備

人事管理システムを導入し、社員の情報を一元管理するとともに、人財育成や人事評価等にも活用しております。今後、社員の保有スキルや特性なども見える化し、人事管理システムに蓄積することで、より精度の高い人財戦略を行ってまいります。

 

ⅱ 組織分析・要員計画の策定

中長期的な組織体制に向け、現状分析を行い、パフォーマンスを最大化するための最適な要員計画を策定し、実行をしてまいります。

 

ⅲ ジョブディスクリプション(職務記述書)の導入

各職種や等級(グレード)に求められるスキル、ミッションを明確にするため、ジョブディスクリプション(職務記述書)を導入しました。今後はこれを活用し社員の保有するスキルを可視化することで、人財育成や配置等の人財戦略に活用してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業に係るリスク

① 消費者ニーズの変化

新規ブランド及び商品の開発、育成並びにマーケティング活動の消費者ニーズへの適合状況は、当社グループの売上及び利益に大きな影響を及ぼします。当社グループでは、消費者ニーズに応えるため、コールセンターに寄せられる顧客の声を広く収集する等して、新商品の開発や消費者ニーズの変化に合わせた商品の改良を継続的に行っております。しかしながら、商品の開発はその性質上、様々な要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合の激化

当社グループが属する化粧品市場においては、国内外問わず多くの競合企業が存在しております。また、商品の製造を請負うOEM企業等の活用により製造設備を持たずに事業展開が可能であることから、参入障壁が低く、新規事業者の継続的な参入も見られます。このような競争環境の下、当社グループは、消費者ニーズを踏まえた商品開発や広告宣伝等のマーケティングを積極的に行うことにより認知度の向上及びブランド価値の向上に努めております。また、顧客データベースやデータベースマーケティングのノウハウを活用し、お客さまとの関係性構築にも取り組んでおります。

しかしながら、既存の競合他社との競争激化や、高い知名度・ブランド力をもつ企業等の参入及び類似商品の販売等により、当社グループの顧客流出やそれに対処するためのマーケティングコスト等が増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定のブランド及び商品への依存

当社グループの「パーフェクトワン オールインワン美容液ジェルシリーズ」は、売上高の大半を占める主力商品であります。当社グループは、リブランディング等により「PERFECT ONE」のブランド力や品質等の維持・向上に努めるとともに、「PERFECT ONE FOCUS」と「Fun and Health」に続く第三の柱となるブランドの育成や同商品以外の取扱商品を増やし、特定のブランド及び商品に対する依存度の低減を図っております。しかしながら、当該商品の品質不良等によりブランド価値が毀損されるなどして販売量が大きく低下した場合、また、ブランドの育成と新たな商品の開発において、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 商品の製造委託について

当社グループは、既存商品の製造を外部委託しており、当社と製造委託先との間で役割分担と責任を定めた書面を締結しております。

製造委託先における品質管理においては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における製造販売業許可を取得し、品質管理基準(GQP)手順を定め運用すると共に、適正な製造管理及び品質管理の確保のため、製造委託先に対する定期的な実地監査を行い、衛生管理、製造体制、製造記録のチェックを行うことにより、商品品質の維持、改善に努めております。

また、当社グループは委託先に対する計画的な発注や、委託先との良好な関係を保つことにより、商品を安定的に供給できるよう努めております。

当社グループはこのように製造委託先、製造再委託先の管理に万全を期すことによりリスクの低減を図っておりますが、商品の製造委託先もしくは製造再委託先との急な契約の解消や、天災等による生産設備への被害等、不測の事態が生じた場合には商品の円滑な供給に支障をきたすことが考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 特定の製造委託先との取引について

当社グループは、主力商品の「オールインワン美容液ジェル」を含む化粧品の大部分において、製造をTOA株式会社及び御木本製薬株式会社に委託しております。当社グループは両社に対して厳正な製造管理及び品質管理を徹底することに加え、製造を分散することにより、リスクを軽減するよう努めております。しかしながら、急な契約解消や天災等による生産設備への被害等不測の事態が生じた際には、当社グループの商品の円滑な供給に支障を来すことが考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 知的財産権について

商品に使用する商標権及び特許権につきましては、事前の調査により類似のものがないことを確認して出願しております。しかしながら、この出願の調査や当社グループにおける出願決定に期間を要した場合、他社が当社グループに先駆けて商標登録、特許登録をする可能性があり、その場合には、商品を該当の商標にて販売できなくなるといった事態が生じる可能性があります。

 

⑦ 法的規制等

a 特定商取引に関する法律

本法は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう。)の公正化を図ることで、消費者の保護を目的とするものであり、クーリング・オフ等の規制を定めております。当社グループは商品を販売するに当たり、通信販売を主要な販売経路としており、本法による規制を受けるものであります。

当社グループは、考査課において、本法及び施行令に基づき厳正にチェックを行っておりますが、何らかの原因により本法に違反する事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

b 不当景品類及び不当表示防止法

本法は、消費者の利益を保護するため、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽ったり、消費者に誤認されたりする表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額、総額を制限するものであります。

当社グループは、販売促進活動の一環として広告による宣伝を積極的に行っております。また営業戦略の一環として、お客さまに対し、本法の景品類に該当する販促品、商品等を提供しており、本法の規制を受けるものであります。

当社グループは、考査課において、日本化粧品公正取引協議会が作成した公正競争規約に基づき厳正にチェックを行っておりますが、何らかの原因により本法に違反する行為が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

c 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

化粧品、医薬部外品及び医薬品を国内にて製造販売するためには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)に基づく、製造販売の許可を取得する必要があります。当社グループは、当該許可が求める基準を遵守するために三役責任者の設置、品質管理基準(GQP)、製造販売後安全管理基準(GVP)を満たした活動を行うとともに、法令の定めに基づき5年毎の更新、その他必要な手続きを行っております。

しかしながら、「薬機法第12条の2」等に抵触し、業務の一部もしくは全部の停止が命ぜられた場合、又は、製造販売に係る許可が取り消された場合、もしくは、将来において更に規制が強化され、その対応が困難となる場合には、事業における許可の取消等の事業制約要因となる可能性があります。これらの可能性が顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

[主要な許可の取得状況(令和6年9月30日現在)]

許可名称

監督官庁

取得年月日

有効期限

第二種医薬品製造販売業許可

福岡県知事

令和3年9月1日

令和8年8月31日

医薬部外品製造販売業許可

福岡県知事

令和3年9月1日

令和8年8月31日

化粧品製造販売業許可

福岡県知事

令和3年9月1日

令和8年8月31日

店舗販売業許可

福岡市中央保健所

令和4年7月1日

令和10年6月30日

店舗販売業許可

福岡市博多保健所

令和3年4月1日

令和9年3月31日

医薬品販売業許可

福岡県知事

令和5年10月1日

令和11年9月30日

 

なお、上記の許可について、令和6年9月30日現在において、事業の停止、許可取り消し及び事業廃止事由に該当する事実はありません。

 

d その他

当社グループは、国内外で様々な商品を取り扱っているため、関連する法令・規制は上記以外にも多岐にわたります。具体的には、会社法、税法、知的財産法、下請法、食品表示法、健康増進法、食品衛生法、個人情報保護法、さらには海外事業に係る当該国の各種法令・規制等となります。当社グループでは法令遵守は極めて重要な企業の責務と認識しており、規程の制定、コンプライアンス委員会の開催、研修の実施等の対策を行い、法令遵守の徹底を図っております。しかしながら、個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスク並びに社会的な信用やブランド価値が毀損されるリスクを回避できずに、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 顧客情報の管理

当社グループの主力の販売形態は通信販売であるため、多数の個人情報を取り扱っております。これらの当社グループが知り得た顧客情報等については、コールセンター、ホームページサービス利用の顧客の個人情報を格納する各サーバーに厳格なアクセス制限を設けることにより、関係者以外はアクセスできないよう対策をしております。また、アクセス可能な関係者においても、外部に情報を持ち出すことができないよう多重のセキュリティ対策を実施しております。さらに、個人情報保護法の改正に対応して、社内規程の整備、社員教育の徹底等を行なうとともに、「プライバシーマーク(JISQ15001)」の認証取得や外部コンサルタントによる情報セキュリティに係るアドバイスをもとに社内にて監査を実施しております。しかしながら、何らかの原因により、これらの情報が外部に流出した場合には、当社グループに対する損害賠償請求の提起、信用失墜等が生じることにより、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 在庫の滞留又は欠品

当社グループは、在庫の保有状況をモニタリングしながら発注数量の調整を毎月実施し、滞留が予測される商品について販売施策を追加で立案することにより在庫リスクの最小化を図っております。しかしながら、需要動向を見誤ったことによる欠品、または滞留在庫が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 原材料価格の高騰

当社グループの商品の製造に不可欠な原材料等は、製造委託先が統括管理のもと調達しております。製造委託先は、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるように努めております。しかしながら、原材料価格の動向や為替相場の変動により、当社グループの商品の主要原材料の価格が高騰した場合には、当社グループの製造委託先からの商品仕入価格も上昇する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑪ 配送コストの高騰

当社グループは、商品販売に際し運送会社に商品配送業務を委託しており、一定金額以上購入のお客さまに無料配送サービスを提供しております。現在は複数の配送会社の使い分け等により委託価格の安定を図っておりますが、今後配送コストが高騰した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 人財確保と人件費の高騰

当社グループは、継続的な事業の発展のため、全国各地において様々な媒体、手法を活用し、新卒採用及び中途採用を積極的に行うことにより人財の確保に努めております。しかしながら、国内における少子高齢化による労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人財を継続的に確保するための競争は厳しくなっており、人財確保のための採用費及び人件費が高騰しております。今後の競争激化により、必要な人財の確保が計画通りに進まない場合、あるいは、人件費が高騰し続けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 通信販売におけるリスク

当社グループの主要な販売形態は通信販売であり、通信販売の売上は、コールセンターへの入電による受注がその大半を占めております。この販売方法から取引件数は膨大なものであるため、受注以降の業務プロセスの多くをシステム化し、業務の効率化を図っております。しかしながら、システム障害等により一連の業務プロセスが寸断された場合、もしくは著しく業務効率が低下した場合には、受注や出荷、会計処理等が滞る可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 海外販売におけるリスク

当社グループは、中国や台湾、シンガポール、米国等において、海外代理店を通じて商品を販売しております。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政治的・社会的な突発事態の発生、テロ・戦争・内乱の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、自然災害等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ 消費者とのトラブル及び風評

当社グループでは、商品の効果・効能に係るエビデンスを取得し、効果を実感いただける商品をお客さまに提供することに注力をしております。しかしながら、お客さまが期待する効果・効能が体感できなかった場合や健康被害等が発生した場合に、消費者とのトラブルが生じる可能性があります。このようなトラブルがマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により流布され、これにより当社グループの商品イメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また当社グループの商品に直接関係がない場合であっても、他社の模倣品等によるトラブルや風評等により当社グループの商品イメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 天災や突発的事象

当社グループのコールセンター、物流センター、事務所等、事業活動に必要な機能については、当社グループだけでなく外部パートナーと協業することにより、拠点を分散して事業継続性を高めております。しかしながら、拠点を分散しているものの、いずれかの拠点が所在する地域において、地震等の天災あるいは火災や爆発事故等が発生した場合には、お客さまとのコミュニケーションや商品の販売等の機能に支障が出る恐れがあり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑰ 感染症

新型インフルエンザ・新型コロナウイルス等の新興感染症の世界的な蔓延により、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。具体的には、サプライチェーンの維持やコールセンターの運営、物流センターの運営、海外への輸出入等に影響があった場合に、商品や資材の安定調達や、お客さまからの受注・お客さまへの納品が滞る可能性があります。以上のリスクを踏まえ、当社グループは事業継続の対応として、社員の感染予防・感染拡大防止の観点から在宅ワーク制度や時差出勤制度の継続実施、職場の衛生管理の徹底等、必要な措置を実施しております。またコールセンターの運営やサプライチェーンの維持・継続のために、外部のパートナー企業とも適切に連携をとって対応しております。しかしながら、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、かかる事象の発生時には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑱ 気候変動対応に関する評判リスク

当社グループは、気候変動への対応を重要な課題として認識しております。気候変動への対応が不十分な場合、環境に良くない影響をもたらしている等の評判が流布される恐れがあります。その結果、ブランドイメージの悪化により顧客が離反し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) その他のリスク

主要株主との関係について

令和6年9月30日時点において、当社の主要株主(第1位の大株主)である山田英二郎氏は、当社の創業者であり、元代表取締役であります。当社の主要株主(第2位の大株主)である山田恵美氏は、当社の元代表取締役であり、山田英二郎氏の配偶者であります。山田英二郎氏と山田恵美氏は、直接所有分と合算対象分を含めて当社株式の49.40%(自己株式を除く)を保有しており、今後も中長期的に保有する方針であります。しかしながら、今後の株価の推移等によっては短期で当社株式を売却する可能性があり、市場で当該株式の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社グループに対する方針次第では、当社グループの経営戦略等に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、社会経済活動の正常化に伴う人流の活発化、訪日外国人の増加によるインバウンド需要の回復、雇用や所得環境の改善等が見られました。一方で、不安定な国際情勢を背景とする原材料・エネルギー価格の高騰や為替動向、賃金上昇を上回る物価上昇の影響等もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような市場環境のもと、当社グループは『美と健康の「新しい」で、笑顔あふれる毎日をつくる。』というパーパスの実現に向けて、重点課題に取り組みました。

通信販売において、化粧品の「PERFECT ONE」では、CRM強化によるLTV最大化への取り組みにより、複数商品の定期顧客比率や定期購入の顧客単価等が継続して上昇し、国内売上高は前年並で着地しました。一方で、海外販売の事業戦略見直しや、つめかえ用商品販売拡大による売上単価減少の影響により、ブランド売上高では減収となりました。また、ミドル世代の獲得による顧客ポートフォリオの拡大については、引き続き課題であり、来期以降も継続して取り組んでまいります。「PERFECT ONE FOCUS」では、若年層から人気の高い主力商品のクレンジングバームで販売好調が継続したことに加えて、人気キャラクターを起用した限定デザインパッケージの発売や外部ECモールにて実施したインフルエンサーとの大型施策が奏功し、EC売上高が大きく拡大しました。また、主力商品に続くヒット商品の拡充に取り組み、新たな商品ラインナップとして美容液「VCレチ スムースセラム」を発売し話題となりました。ヘルスケアでは、「Fun and Health」の主力商品である機能性表示食品「Wの健康青汁」による新規顧客獲得と定期顧客の増加により、高い成長率を継続しました。3月に発売した新商品「Slimore Coffee(スリモアコーヒー)」はテスト販売が好調に推移し、新たな柱へと成長させるべくマーケティング投資拡大フェーズへ移行しました。また、Wellness Foodにおいては、主力商品のアマニ油やMCTオイルのEC販売が、ECモールのセールイベント好調やTV放映をフックとする需要増加により着実に成長しました。

卸販売においては、「PERFECT ONE」のドラッグストア展開における1店舗当たり売上高の引き上げを重視する戦略を推進加速させながら、着実に展開店舗数を拡大させました。また、インバウンド需要獲得に向けた新たな販促の取り組みを推進しました。「PERFECT ONE  FOCUS」では、4月に定番化した商品「パーフェクトワンフォーカス スムースクレンジングバーム ディープブラック」の販売拡大や販促の取り組みにより、1店舗当たり売上高の良化が継続し、大幅成長しました。Wellness Foodは、ドラッグストアへの販路拡大や、PB商品の展開拡大により着実に成長しました。

海外販売においては、昨年度に子会社を設立した米国にて「PERFECT ONE」「PERFECT ONE FOCUS」のオフライン通販・ECともにテスト販売を開始しました。雑誌掲載やインフルエンサーとのタイアップ等のPR施策も並行して実施し、米国内の認知度向上に取り組みました。東アジア・ASEANでは、事業戦略見直しの影響によりマイナス売上高での着地となりましたが、新たな展開に向けた戦略の再構築を行っております。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は40,043百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益は4,176百万円(前年同期比11.3%増)、経常利益は4,103百万円(前年同期比10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,795百万円(前年同期比16.7%増)となりました。

なお、当社グループの事業セグメントは化粧品、ヘルスケアに関わる商品の通信販売、卸販売及び海外販売でありますが、卸販売及び海外販売の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

 

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、1,720百万円増加して27,222百万円となりました。これは主に、現金及び預金が822百万円、売掛金が1,119百万円それぞれ増加したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べて、410百万円減少して5,430百万円となりました。これは主に、買掛金が397百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が192百万円それぞれ減少したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べて、2,131百万円増加して21,792百万円となりました。これは主に、利益剰余金が2,085百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、822百万円増加して16,341百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは2,097百万円の収入(前年同期は3,468百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額1,119百万円、法人税等の支払額1,263百万円の一方で、税金等調整前当期純利益4,110百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは382百万円の支出(前年同期は208百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出167百万円、無形固定資産の取得による支出265百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは902百万円の支出(前年同期は2,101百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出192百万円、配当金の支払額709百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b 仕入実績

当社グループは、販売チャネルを基礎としたセグメントから構成されており、全セグメントで共通して仕入活動を行っているため、セグメントごとの金額は記載しておりません。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

通信販売

36,361

6.5

卸販売

3,759

28.9

海外販売

△77

合計

40,043

6.3

 

(注) 主要な販売先の記載については、総販売実績に対する販売先別の販売実績割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、当社グループが現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果は様々な要因により大きく異なる可能性があります。なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績等に関する認識及び分析

(経営成績)

当連結会計年度の売上高は40,043百万円(前年同期比6.3%増)、売上総利益は31,812百万円(前年同期比5.0%増)となりました。売上高をセグメント別に見ると、通信販売で36,361百万円(前年同期比6.5%増)、卸販売で3,759百万円(前年同期比28.9%増)、海外販売で△77百万円となりました。通信販売の増加要因は、各ブランドの国内ECが好調に推移したことによるものであります。卸販売の増加要因は、FOCUSの好調がけん引したことによるものであります。海外販売の主な減少要因は、東アジア・ASEAN事業戦略の見直しによるものであります。

営業利益は4,176百万円(前年同期比11.3%増)、営業利益率は10.4%(前年同期比0.5%増)となりました。営業利益の主な増加要因は、育成ブランドの伸長による増収効果とオペレーションコストの効率化によるものであります。

経常利益は4,103百万円(前年同期比10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,795百万円(前年同期比16.7%増)となりました。

(財政状態)

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

また、財務指標としては、自己資本比率が79.8%となりました。

b 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

c 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要の主なものは、商品仕入、広告投資、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、ブランド開発や新商品開発等の成長投資及び生産性の向上を目的とした構造改革に係る投資等の資金需要が生じております。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を自己資金から確保することを基本方針としており、安定的かつ機動的に運転資金を確保することを目的として、複数の金融機関との間で合計13,000百万円の当座貸越契約を締結しております。

d 経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

e 中長期的な会社の経営戦略

中長期的な会社の経営戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

商品の製造委託契約

当社は、下記のとおり当社商品の製造委託に関する契約を締結しております。

相手先の名称

契約締結日

契約期間

契約内容

TOA株式会社

平成16年3月20日

平成16年3月20日から平成17年3月19日(1年毎の自動更新)

当社主力商品の製造委託

御木本製薬株式会社

平成28年3月1日

平成28年3月1日から平成29年2月末日(1年毎の自動更新)

当社主力商品の製造委託

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、美と健康の領域において、お客さまのスマートで新しいライフスタイルを実現することをめざしております。人生100年といわれる現代において、お客さまの美や健康に対する価値観やニーズは日々変化しております。そのような中、お客さまへ世代やライフステージに応じた科学的で効率的なケアを提案するため、原料や商品の研究開発に取り組んでおります。特に、お客さまにとって「効果を実感」頂けるような機能性の高い新素材の開発や、肌や体内の生体バリア機能向上に関する研究に力を入れ、新しい商品や新しい使用方法等の開発につなげております。また、当社グループは自社の資源の活用だけではなく、大学やパートナー企業等と共同での研究開発(オープンイノベーション)も推進しております。これにより、様々な分野の先進テクノロジーを活用し、効率的かつ効果的に研究開発を進め、研究の成果を速やかに商品開発に活用できるよう取り組んでおります。

以上より、当社グループは研究開発の成果を通じてお客さまのスマートで新しいライフスタイルの実現に貢献し続けることを、研究開発の目的としております。

当連結会計年度において、当社グループが支出した研究開発費の総額は、92百万円であり、当連結会計年度の研究開発活動は、以下のとおりであります。

 

(研究開発活動)

当社グループは化粧品の分野において、美と健康に幅広い応用が見込まれるコラーゲンや独自素材の新規研究開発、またお客さまの効果実感を高めるための浸透技術の研究開発等に取り組んでおります。ヘルスケアの分野においては、お客さまの健やかな毎日をサポートする機能性表示食品を中心とした健康食品の開発を進めております。特に、肌のバリア機能が重要であると捉えており、より高い機能性を持つ薬用植物やコラーゲンの独自素材開発に取り組んでおります。

令和5年12月に開催された第1回日本化粧品技術者会 学術大会では、平成18年より研究を続けている薬用植物「ムラサキ」の根である「紫根」に、肌のバリア機能を高める効果が期待できる旨を研究成果として発表いたしました。令和6年6月に開催された第24回日本抗加齢医学会総会モーニングセミナーでも、ウェルエイジングに期待される薬用植物「ムラサキ」の研究成果について発表を行っております。

コラーゲンの研究においては、コラーゲンの浸透性とバリア機能を高める独自開発成分「プロテクトコラーゲン」の製造方法に関する特許を令和6年4月5日に取得いたしました。また、独自開発コラーゲンである「VCコラーゲン」、「ムラサキ発酵コラーゲン」、「プラセンタコラーゲン」、「プロテクトコラーゲン」の組合せが、睡眠中に分泌する成長ホルモンとの相乗効果でコラーゲン産生を促進する効果を確認しております。

その他、国立大学法人佐賀大学との共同研究において、化粧水、乳液の両方を塗布した肌よりも当社のオールインワンジェルのみを塗布した肌のほうが、有効成分の浸透量が高くなることを確認しました。オールインワンジェルひとつでケアするシンプルケアが、最適な美容方法であることを示唆しております。

今後も、薬用植物やコラーゲンの持つ様々な可能性を探り、お客さまのお肌や健康のお悩みを解決するための研究開発を進めてまいります。