文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは“SECURE THE FUTURE”をスローガンに、社会の安全・快適・エコロジーに貢献することを責務と考えております。これからも世界トップレベルの「開発力」「提案力」そして「総合力」を強みに、経営基盤の強化を進めてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、長年にわたり振動に係る試験装置や計測装置の開発・製造・販売及び試験受託を行い、また振動問題に対するコンサルティング等も実施することで、総合環境シミュレーション業界のリーディングカンパニーとして確固たる地位を確立しておりますが、さらなる事業成長と顧客満足の向上のために、グローバルな展開を行ってまいります。
(3) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、グローバルでの法規制の強化と企業のESGやSDGsに対する取り組みへの評価の高まりとともに、人口や社会の変化による働き方の多様化とグローバル化や経済成長に伴う賃金上昇の加速、IoT、AI、自動運転などの技術進化の加速と業界の垣根を越えた連携や異業種自体の台頭など急速な変化を見せています。
また、国内や欧米におきましては、自動車、航空宇宙、防衛、エレクトロニクスといった主要産業での品質管理と耐久性評価のニーズの増加により、引き続き安定した需要が見込まれています。
このような中、当社グループはコンプライアンス遵守を基盤としつつ、高収益体質への変革を目指す各種施策を着実に実行してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、投下資本利益率(ROIC)を8%以上で維持することを数値目標としております。また、2025年9月期の連結業績は、売上高16,500百万円、営業利益1,950百万円の計上を予想しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
以下を優先的に対処すべき課題として認識し、対応してまいります。
当社グループは、外部パートナーを含めた生産体制の強化に向けて、生産技術の革新と計測技術の確立に注力しています。これらの取り組みにより、製品品質の確保と生産効率の向上を実現し、コスト競争力とリードタイムの短縮実現を目指してまいります。
②コスト削減
当社グループは、重要部品を除く多くの部品を外部パートナーに委託する生産形態を採用しているため、コスト削減には、サプライチェーン全体での取り組みが重要となります。設計段階から価値分析と持続的改善を中心に据え、外部パートナーとの連携を強化、対策を実施してまいります。
③人材育成
事業展開のグローバル化、事業構造の変化への対応に適応するため必要な人材の採用、登用を積極的に行い、事業基盤の安定的な構築、発展を目指してまいります。また研修プログラムの実施により人材育成を強化、チャレンジを支援する風土作りや人事評価制度の改革を通じて、次世代リーダー層やマネジメント層を育成する取り組みを進め、企業価値向上を図ってまいります。
④研究開発体制
振動試験、計測、及び解析分野において、未来を切り拓くために研究開発体制を強化し、内外の研究機関との協力を推進してまいります。当社は、振動関連分野におけるリーディングカンパニーとして、新たな技術の探求と市場への適応性に焦点を当て、既存顧客の新たなニーズへの対応と新たな市場の開拓を行ってまいります。
⑤管理体制
上場企業として、タイムリーに正確な情報を開示することに留まらず、管理体制の強化を通じて、株主や投資家からの信頼に応えるため、透明性、コーポレート・ガバナンスへの遵守及びリスク管理に注力してまいります。
⑥新規事業
既存市場の成熟の兆しが見える中、持続的な成長を実現するために新規事業分野への展開は不可欠と位置づけております。有力企業との提携、デジタル技術への投資、研究開発の強化、マーケティング戦略を通して、新たなイノベーションの創出に注力してまいります。
⑦海外展開
電気自動車、車載バッテリーの開発が欧米・アジア各国で進展し、欧米における航空宇宙分野の成長も加速しています。この背景から、海外展開を通じて新たな成長機会を探求し、市場での存在感を一層高めるため、海外子会社や現地企業と緊密に連携し、販売、サービス及び生産体制の充実を進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する課題に適切に対応するため、業務を執行するメンバーが中心である経営幹部会議にてサステナビリティ全般に関する協議を行うこととしております。また、実行計画の立案、目標の進捗管理状況等については取締役会に報告され、その報告内容を踏まえ、社外取締役を含む多様な視点からの検証・協議を行えることとすることで、執行と監督の体制にしております。
(2) サステナビリティ全般に関するリスク管理
当社グループでは、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適切な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティをめぐる課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を進めております。
事業活動に伴う様々なリスク及び機会の特定・評価・管理については業務を執行するメンバーが中心である経営幹部会議にて全体的な把握を行い、各部門において早期に把握・対策を実施するとともに、内部監査担当が独立した立場から監査・評価・助言を行い、リスク管理体制を構築しております。また、重要な事項については取締役会に諮り、当社グループの経営方針や施策に反映させてまいります。
なお、事業等のリスクについては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載しております。
(3) 人的資本・多様性の戦略に関する事項
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りであります。
(人材育成及び社内環境整備に関する方針)
①人材採用
社員の多様性は、グローバル化への対応及び、イノベーションの創出が企業価値を向上させるために重要であるとの認識から外国人を含む様々な背景、技術を持つ人材を採用、登用に努めております。
②人材育成
社員の育成については、社員の業務、能力に合わせた研修、教育プログラムを実施しております。従来からの階層別研修に加え、社員の自律的なキャリア形成の観点から自主学習を奨励し、会社から資格取得補助を行っております。
③職場環境の整備
出産、育児、介護などのライフイベントに対してフレックスタイム、時短勤務、在宅勤務など柔軟で働き続けやすい制度を整備し、社員が長期的に安心して働ける環境を整えております。さらに育児、介護セミナーを実施し、制度の理解を進め、社員が安心して制度を活用することができる環境を醸成しております。
安全衛生に関しては、安全衛生委員会を中心に、社員が健康で安全な環境の下で働くことができるように取り組みを行いました。また健康経営については、健康保険組合連合会東京連合会に「健康企業宣言」を行い、2024年8月8日付で健康優良企業として「銀の認定」を取得いたしました。
(4) 人的資本・多様性に関する指標及び目標
当社グループでは、性別、国籍、年齢等の属性によらず、能力や適性など総合的に判断する公正・公平な評価基準のもとで優秀な人材の採用及び管理職登用を行っております。また研修などの人材育成、職場環境の整備により人的資本の質的維持、向上を図っております。
指標及び目標については、「女性労働者比率」「男性の育児休業取得率」「階層別研修参加者数」「有給休暇取得率」「超過勤務時間」などを設定し、これらの推移を確認し、人材の多様性の確保、人材育成及び職場環境整備に努めてまいります。
なお、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況 5従業員の状況 (4)提出会社の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループでは製品製造にあたり製品の心臓部にあたる部品や工程は、振動シミュレーションシステムについては連結子会社を含めた当社グループ工場、メジャリングシステムについては当社工場で内製化しており、また、当社工場において、外注委託先から仕入れた部品の受入検査、部品組立、出荷検査を行っております。内製化する必要がない部品・工程に関しては、外注先を積極的に活用する方針としており、当社が策定した設計に則りその多くを外注委託しております。当社は、原則、外注委託先を複数確保し、調達リスクの軽減に努めておりますが、仮に外注先からの調達に支障が生じるなどの事態が生じた場合においては、当社グループの納期管理や品質管理等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの振動シミュレーションシステムの売上高は、販売先の予算執行等の事情により、3月度及び9月度に集中する傾向があり、第2四半期及び第4四半期の業績が他の四半期に比し、上回る傾向にあります。今後、官公庁向けの販売比率の増加によっては、こうした傾向が強まる可能性もあります。また、大型案件を計上するタイミングによっては、月次変動要因となる可能性があります。なお、当社グループの振動シミュレーションシステムの売上高のうち、据付及び動作確認作業を伴う製品の販売については、製品の引渡しと当該製品の据付及び動作確認が完了し、顧客が検収した時点で売上高を計上しており、検収遅延等によっては、期ずれにより経営成績の変動要因となる可能性があります。
当社グループは、国内売上の比率が高く当連結会計年度において全体の約55%を占めております。このため、海外での売上拡大を積極的に進め、かつ国内においては次世代エネルギーや電気自動車等の新たな試験需要への対応を進めておりますが、既存の自動車産業等における内需の回復が想定よりも遅れた場合には、経営成績の変動要因となる可能性があります。
当社グループは、海外売上比率の増加とともに外貨建ての取引が増加し、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、海外子会社の財務諸表は現地通貨にて作成されるため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 気候変動に関するリスクについて
近年、気候変動の影響を受け、環境関連法規制の強化により、脱炭素社会に向けた地球環境保全に関連する費用が増加した場合は、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会移行への要求の高まりに対して当社グループの対応が遅れた場合には、販売機会の損失等による企業価値低下が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、各国の金融引き締めによる景気下振れリスクの拡大、中国経済の停滞や根強いインフレによるコスト増加等、依然として不透明な状況が継続しました。
しかしながら、脱炭素化を背景に電気自動車向け部品やバッテリー等の投資や米国の産業政策を追い風とする設備投資が堅調に推移したことにより、需要が継続いたしました。
このような環境下、当社グループの売上高は振動シミュレーションシステム、テスト&ソリューションサービス及びメジャリングシステムの売上高が伸長した事により、前年同期を1,612百万円上回る15,340百万円となり、過去最高を更新しました。利益面では、部材の高騰や賃上げに伴うコストの増加が見られたことにより、利益が圧迫される一方で、増収による影響に加えて既存製品のブラッシュアップ、価格改定を進める等、採算性向上に努めた結果、営業利益が、1,847百万円(前年同期比581百万円増)、経常利益が1,853百万円(前年同期比278百万円増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益が1,428百万円(前年同期比302百万円増)となりました。
当社グループは、ROICを主要な経営指標として採り上げ、株主重視の経営を推進しております。中長期の観点でROIC8%以上の水準を意識し、経営資源を既存コア事業の拡大や新規事業の立ち上げに効率的に投入して収益性の向上に努めるとともに、資本効率のさらなる向上を目指しております。
当連結会計年度におけるROICは、営業利益が前年同期比581百万円増加し、1,847百万円となったことから9.8%(前年同期比2.8ポイント増加)となり、目標である8%以上の水準を上回りました。引き続き持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
ROIC=営業利益×(1-法定実効税率)÷(株主資本+借入金)
ROICは法定実効税率を30.4%を前提として計算しております。
品目別の営業の概況は次のとおりであります。
振動試験機市場におきましては、欧州及び米国における電気自動車向け大型案件に恵まれたことに加え、国内市場におきましても、電気自動車関連や航空宇宙産業向けの設備投資需要が堅調に推移したことにより、受注高及び売上高が共に増加しました。サービス部門におきましては、工事件数向上の取り組みにより、アンプ更新や保守点検・修理サービスともに堅調に推移し、前年同期を上回りました。
以上の結果、この品目の売上高は10,879百万円(前年同期比704百万円増)となりました。
当連結会計年度におきましては、車載用バッテリーを中心に電気自動車関連や鉄道関連及び航空宇宙関連の振動試験が堅調に推移しました。これらに加えて、EMC試験も伸長し、前年同期を上回る結果となりました。
以上の結果、この品目の売上高は3,149百万円(前年同期比611百万円増)となりました。
当連結会計年度におきましては、電子部品や半導体の部品確保及び生産対応の改善に加え、防災関連の需要が堅調に推移したことにより、振動計や監視装置の売上高が伸長し、前年同期を上回りました。
以上の結果、この品目の売上高は1,311百万円(前年同期比296百万円増)となりました。
当社グループの事業は単一セグメントでありセグメント情報を記載していないため、品目別に記載しております。
当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べ1,998百万円増加し、19,284百万円となりました。流動資産は、現預金が627百万円、棚卸資産が665百万円増加したことから前連結会計年度末と比べ1,406百万円増加し、13,204百万円となりました。固定資産は主に、大阪本社の多目的試験所開設に伴う建設仮勘定が439百万円増加したことにより前連結会計年度末と比べ591百万円増加し、6,079百万円となりました。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ1,024百万円増加し、9,067百万円となりました。流動負債は、短期借入金が440百万円、契約負債が824百万円増加したことにより、前連結会計年度末と比べ1,383百万円増加し、8,546百万円となりました。固定負債は、長期借入金が348百万円減少したことから前連結会計年度末と比べ358百万円減少し、520百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、新たな株主還元方針として、2023年12月より実施しております自己株式の取得等により自己株式が239百万円増加(純資産は減少)しましたが、利益剰余金が1,233百万円増加したことにより、前連結会計年度末と比べ973百万円増加し、10,217百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ0.5ポイント減少し53.0%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,006百万円の資金が増加(前連結会計年度は103百万円増加)しました。これは、税金等調整前当期純利益1,853百万円、減価償却費583百万円の資金の増加要因が、売上債権の増加254百万円、棚卸資産の増加678百万円等の資金の減少要因を上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,034百万円の資金が減少(前連結会計年度は329百万円減少)しました。これは、有形固定資産の取得による支出981百万円の資金の減少要因によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、360百万円の資金が減少(前連結会計年度は1,181百万円減少)しました。これは主に長期借入金の返済589百万円に伴う資金の減少によるものであります。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末の1,908百万円から609百万円増加し、2,518百万円となりました。
資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの主な運転資金需要は製品製造の為の原材料購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業の運営に必要な資金の調達について、調達手段の多様化を図ることで、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。また、グループ各社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、国内外でキャッシュ・マネジメントを実施しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りや判断を行っております。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(事業計画等)に基づく合理的な仮定により検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化などにより、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性の評価にあたっては、決算時点で入手可能な情報等に基づき合理的に判断しておりますが、将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の変化などにより見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
(1) 協同開発契約
当社は開発型企業として顧客のニーズに応えるべく、各装置において積極的に研究開発活動に取り組んでおります。継続的な新製品・新技術の研究開発活動には大別して振動試験技術と振動計測技術があります。当連結会計年度の研究開発費の総額は
なお、当社グループの事業は単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、品目別に記載しております。
主な研究開発テーマとその内容は以下のとおりであります。
ITの進化によって社会環境は大きく変化しており、振動試験に対しても遠隔ソリューションや情報の効率的な利用等の要望が高まってきております。このような環境下のニーズに対応するため、振動試験現場のDXを推進するクラウドサービスとして「iMVcloud」を開発し、多数のお客様に導入して頂いており、リリース後も、常にお客様の声に耳を傾け、ご要望が多数あったカレンダー機能の追加など、継続的な改善を行っております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は16百万円であります。
電気自動車の普及、航空宇宙ビジネスの伸長、ドローンの利用拡大、労働人口の減少など、振動試験を取り巻く環境は常に変化をしています。当社は、振動シミュレーションシステムを構成する振動発生機、電力増幅器、振動制御器のすべての機器を自社開発しており、この総合力を活かして、試験ニーズの変化に対応した開発を行っております。当期は、使いやすい製品の開発はもとより、大きな加速度を発生できる製品や大きな試験品を試験できる製品の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は89百万円であります。
ISO/TC268(持続可能な都市とコミュニティ)/SC1(スマートな都市インフラ)/WG6(防災)にてISO37174(地震計システム導入ガイダンス)が発行され、次のISO37194(地震計システムの選択プロセスガイダンス)についても規格化が提案されました。これらの規格にいち早く対応した各種地震計の開発を前年度より進めております。その第一弾として、都市ガス市場向けの「スリーエス地震計SW-5033」の開発に成功し、販売が開始され、既に複数の都市ガス事業者での評価が始まっています。
また、大阪関西万博への提供が決定している計測震度計SW-9033及び防災データクラウドGalnetCloudについても、大阪関西万博だけでなく、複数の案件で実証設置の準備が進んでおり、これまで有効な製品ラインナップが無く困難であった国内外の観測地震計市場へも展開をしてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は52百万円であります。
FA市場の振動設備診断に関する要望を強く反映させる形で開発しておりましたVDユニットCP-9011-ALについて、従来にはないティーチングと呼ばれる判定閾値を設置シーンごとで自動設定出来る機能を搭載し、より簡単に振動設備診断が可能な装置の製品化を推進しました。独自機能については、特許化を進めており、CP-9011-ALは、従来よりも低コストで導入でき、かつ複雑であった振動設備診断の適正設定の自動化を実現しました。これにより、これまで振動での予知保全を断念していたユーザ層への開拓を試みてまいります。
さらに、CP-9011-ALと組み合わせて使用する振動センサ(ピックアップ)についても、適正コスト化を目指してVP-8021C-T及びVP-7021Aの開発を推進しました。特にVP-7021Aは、従来高感度での計測が困難と言われてきた20kHz高周波振動の計測も可能にした新しい形の振動センサとなっております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は82百万円であります。
継続的に大学及び研究機関との共同研究を推進し、振動計測技術の進歩と普及に取り組んでおります。
予知保全・設備診断事業では、より小型な機械設備も診断の対象にする事が求められており、要望に対応すべくさらなる高周波領域での振動センシング能力を目指し開発を進めております。防災事業では、長周期地震動の影響が懸念されており、より低周波領域の振動センシングを低コストで実現する研究開発を進めております。
これらの基礎技術を確立すると共に、より広い社会への実装を目指して、JICAのビジネス支援事業による「インドネシア国における地震計を活用した水門での自動閉門及び上水道での緊急遮断による地域防災ニーズ調査」を実施し、さらに昨年から継続して国立研究開発法人科学技術振興機構が進める「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」へも参画し、能登半島地震でも問題となった木造文化財の地震モニタリングに関する研究にも参画しております。また、来年度開催される大阪関西万博へも、衛星通信による緊急時のデータ送信に対応した最新の地震計システムを提供する予定です。
当連結会計年度における研究開発費の金額は47百万円であります。