(1)経営方針
当社グループは、「想いの熱量でセカイを切り拓く」という企業理念のもと、さらにクリエイティブエージェンシーとして独自のポジションを確立し、情熱をもって好きなことや実現したいことに取り組む人たちと共に、テクノロジーとプロデュースの力で、日々新たなコンテンツを創り続け、社会課題を解決する為の良質なエコシステムを形成することを目指しております。
(2)経営環境・経営戦略等
当連結会計年度におけるわが国の経済は、物価上昇や金融引き締めの影響により、景気後退リスクは高まり、依然として先行き不透明な状況が続いております。こうした状況下において当社グループは、クリエイターサポート業務などを積極的に展開してまいりました。
国内の端末別インターネット利用状況に目を向けると、2023年にはスマートフォンを保有する世帯の割合が90.6%に達し(総務省2023年「通信利用動向調査」)、 スマートフォンの普及や通信インフラの発展に伴い、動画視聴の機会が増加しています。
一方で、動画コンテンツにおいては長尺動画の再生数の比率は減少傾向にあり、収益化が黎明期であるショート動画の再生数は大きく増加しており、アドセンス収益は現時点で不透明な状況が続いております。
このような環境下において当社は、クリエイターとの共創事業であるプロモーションビジネスやグッズ・EC事業の拡大に注力し、事業基盤の強化に取り組んでまいりました。
(3)対処すべき課題等
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① クリエイターサポートの強化
当社グループは、バディ(マネージャー)によるサポートからタイアップ案件の獲得、 イベントの開催、クリエイターグッズの販売、バックヤードのサポートなど、様々な側面でクリエイターのバックアップに努めております。 昨今の急速なデジタル化、技術の進展により、広告コンテンツ制作の効率が飛躍的に向上しており、クリエイターはより迅速かつ柔軟に対応できるようになっています。 しかし、効率化が進む中で、個々のクリエイターが独自のクリエイティビティを発揮し、パーソナライズされたメッセージングを提供することは、競争の激しい市場において、ますます重要な要素となっています。 当社はこの流れを活かし、クリエイターが効率を高めつつも、独自性を維持しながらファンとのつながりを強化できるよう、世界中のファンにアクセスし、新しい価値を提供できる環境の整備を進めてまいりました。 現代のクリエイターエコノミーは急速に拡大しており、競争も激化しています。 このような状況において、当社はクリエイターの多様なニーズに応える柔軟なサポートを提供し、 彼らが持続可能なビジネスモデルを構築し続けられるよう尽力し、インターネット上で活躍する全てのクリエイターにとって、必要不可欠な存在を目指してまいります。
② 人材育成による生産性の向上
当社グループにとって最も重要な資産は「人」であり、優秀な人材の獲得や人材育成は当社にとって重要な経営課題の一つであると認識しております。当社グループは、企業理念の社内浸透やリモートワーク環境の整備及びオンライン研修制度の整備を強化し、人材育成を通じて会社全体の生産性を向上させることで、さらなる収益性の向上に努めてまいります。
③ コンテンツ管理体制の強化
当社グループは、健全なコンテンツを発信していくことが、中長期的なメディアとしての視聴者獲得や広告主の獲得につながるとの考えのもと、クリエイターに対するコンプライアンス研修やコンテンツ管理に注力してまいりました。昨今では、インターネット上のコンテンツの健全性に対する世間の関心がますます高まっていることから、引き続き当社グループとしてコンテンツ管理体制を一層強化してまいります。
④ 新しい収益柱の確立
当社グループは、アドセンス収益を中心としたマネジメントから、クリエイターとのビジネス深耕を中心とした新しいマネジメントとしてのインフルエンサー・ギャラクシービジネス事業と、タイアップを中心としたマーケティングサービスから、コンテンツからメディアまでをも扱う総合マーケティングサービスとしてのコンテキストドリブンマーケティング事業の両軸に注力していくことで収益多様化を実現してまいります。
⑤ M&Aによる成長加速
既存事業において、強化・領域拡大・効率化等の面でシナジーが発揮できる企業に対して業務提携やM&Aを積極的に実行し、競争力の強化を図ってまいります。
⑥ 組織体制の強化
当社グループの継続的な成長には、事業拡大に応じて優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社グループの理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備、人事制度の構築を行ってまいります。
⑦ 継続的な業務改革への取り組み
クリエイターの活動領域の拡大に伴い、当社の事業領域は多岐に渡っております。事業の規模や多角化に合わせた業務改革を継続的に行っていくことで、会社全体の生産性向上に取り組んでまいります。具体的には、不採算又は成長性が期待できない事業の撤退・統合、ITシステムの導入、社内制度やオペレーションの見直し、人材戦略の見直しなどに中長期目線で取り組むことによって、社員一人当たりのビジネス有効時間の拡大や生産性の拡大、継続的な販管費のコントロールによりコスト削減を実現してまいります。
⑧ 海外展開
当社グループの所属クリエイターの動画視聴層は国内がほとんどですが、海外にはより多くの潜在的な視聴者がいると考えております。海外のMCN(マルチチャンネルネットワーク)との協業を深めることにより、プロモーション案件の相互紹介やクリエイターのコラボレーションなど補完メリットを実現していきたいと考えております。また、海外コンテンツホルダーからのコンテンツ調達、海外プラットフォームへのコンテンツ提供にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。
⑨ 情報管理体制の強化
当社グループは、クリエイターの個人情報を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備などを継続して行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、 別段の表示がない限り、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティに対する考え方
当社グループは経営理念・パーパス実現に向けて、サステナビリティ基本方針を以下のとおりに定めております。
(サステナビリティ基本方針)
この基本方針に基づき、サステナビリティに係る施策の企画立案・審議・決議を行っています。
(2)長期に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)
当社グループは経営理念・パーパス実現に向けて「人・共創・文化・企業統治・環境」の5つの領域に重点を置き、「世界を切り拓く人材の育成と誰もが働きやすい環境を」「パートナーシップで市場の成長・開拓を」「誰もがエンターテインメントを安全に楽しめる社会へ」「企業成長を支える強固なガバナンス体制の構築」「次世代へ続く環境への取り組み」の5つのマテリアリティ(重要課題)に取り組みます。
(人的資本への取り組み)
私たちは最も「人」を重要視し、人的資本に対する投資、従業員のエンゲージメントを高めることを自社の最重要課題としています。
UUUMグループの持続的な成長には、人の力が不可欠です。革新的な共創、コンテンツ、笑顔になれるエンターテインメントを生み出し、会社を成長させてきたのは、人による力です。私たちは人に対して十分な投資を行うことで、企業も人材も成長することができ、世の中の笑顔を増やすことができると信じています。
そして、従業員の多様性や、さまざまなバッググラウンドに対する柔軟な働き方など、人に対する尊重を重んじ、誰もがUUUMグループで働くことにやりがいを感じてイキイキと働くことができる環境作りに努めてまいります。
①人材育成方針
当社グループは、経営理念・パーパス実現に向けて、人材マネジメントポリシーを「Value Creation All Creator(自己を超え、チームでエンタメを創造する)」と定めました。
ひとりひとりが世の中に発信したいと企てる「新しい体験」を、個人の圧倒的な「当事者意識」と「専門スキル」をベースにしたチームワークによる共創でスピードをもって実現してまいります。そのために個人とチームの能力を最大限に発揮するための機会を提供し、成果に対してしっかりと応える環境作りに努めてまいります。
<取り組み例>
・個人とチームの能力を最大限発揮するために、組織マネジメント・チームビルディングを担うリーダーの育成を
重要視し、管理者としての知識習得、スタンス醸成を学習テーマに新任リーダー・管理者向けの研修実施を行っ
ています。
・オンボーディング及びOJT担当者として、中途社員にはインストラクターを3か月間、新卒入社社員には育成担当
者を1年間、入社者1名につき1名任命しています。インストラクター、育成担当者共に受入前研修の実施、新入社
員及びインストラクター・育成担当者へのランチ費用補助、双方からのアンケートの実施等を通じて離脱防止と
早期の戦力化の実現に努めております。
②社内環境整備方針
当社グループは、安全と心身の健康を守るとともに、革新的なイノベーションやエンターテインメントは多様な
思想や個性によって創造されると考えており、あらゆる多様性を認め、誰もが働きがいをもって笑顔で活躍できる
環境を作ってまいります。またその結果として2024年11月、LGBTQ+などの性的マイノリティに関するダイバーシ
ティマネジメントの促進と定着を支援する任意団体「work with pride」が策定する「PRIDE指標2024」において、
「ブロンズ」認定を獲得いたしました。
<取り組み例>
・SOGIE(性的指向、性自認、性表現)に関わらず、一人ひとりが自分にプライドを持ち、自分らしくパフォーマンスを発揮できる企業を目指すための研修を従業員向けに実施しております。そのほか、SOGIEについて、作品を通じて理解を深めるための映画上映会や、レンタル自由な図書コーナーの設置、イントラネットによる啓発や情報発信、社内での推進POPの設置、リモートワークの背景にALLYを表明するアイコン入りの背景を制作するなどの取り組みを実施しております。
・家庭、育児、自己研鑽、エンタメへの接触機会増大も含めたプライベートとの両立促進として、一部社員を除き全従業員の約77%にフレックス制度を適用しております。
・両立支援、キャリアの公平化の観点で、男性従業員の育児休業取得率向上に取り組んでおります。全社単位での啓蒙や個別面談等を通じ、11期の当社の男性育児休業取得率は81.0%となっております。
(重要な指標及び目標)
当社グループは、革新的なイノベーションやエンターテインメントは多様な思想や個性によって創造されると考えています。
現在の当社の管理職に占める女性労働者の割合(注1)は19.0%であり、今後、女性の活躍推進として研修や育成を積極的に実施し、当該割合を2025年5月までに20%まで引き上げることを目標としています。男女間の賃金の差異についても、女性管理職の増加を以って縮小を図って参ります。
そのほか、両立支援・キャリアの公平化の観点で男性従業員の育児休業取得率向上に取り組み、全社単位での啓蒙や個別面談等を通じ、男性育児休業取得率は81.0%(注2)となっております。当該割合は、引き続き80%以上を維持することを目標としております。また、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況等が優良な企業として、2024年2月、厚生労働省が認定する「えるぼし認定」において、3段階目(3つ星)を取得しました。
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
(4)ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関する方針及び取り組みは、議長である代表取締役社長及び代表取締役社長から指名を受けた執行役員(取締役との兼務含む)で構成された重要事項報告審議会議において協議・報告を行い、重要なものについては取締役会に報告いたします。
また、リスク管理においては、代表取締役社長を委員長として関係役員・部門長等がメンバーであり各リスク対策チームで構成されるコンプライアンス・リスクマネジメント委員会により、事業全般のリスクに関してリスク管理を行い、議論の内容は取締役会、重要事項報告審議会議において報告をしております。
さらに、会社の長期的な成長に向けたサステナビリティへの取組みを強化するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティの取組み推進に向けた、重要課題(マテリアリティ)や施策などについての協議、決定議論を行っております。また、各マテリアリティ毎に設置される分科会にて実施される取組みの進捗状況を定期的に確認し、重要なものについては取締役会に報告いたします。
(5)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティに関連するリスクも含め、当社グループを取り巻くあらゆる業務や取引における潜在的なリスクを正しく認識し、適切に管理することを経営の最重要課題の一つとして捉え、そのリスクの評価及び管理機能の強化を図っています。
(リスク管理体制)
当社は、当社グループのリスク管理体制構築の一環として、コンプライアンス・リスクマネジメントを統括する委員会を設置し、その責任者である委員長は、代表取締役となっております。当社のコンプライアンス推進やリスク対策の施策等を審議・決定した上で指示命令、その活動状況を取締役会に報告しております。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループが事業を展開するオンライン動画広告市場は、「2023年日本の広告費インターネット広告媒体費詳細分析」(注)によると、2023年には6,860億円まで成長したとされています。このように国内の動画広告市場は拡大基調にあるものの、年間で7兆円と言われる日本の広告市場(株式会社電通「2023年日本の広告費| 媒体別広告費」)に比べて広告市場規模は小さい状況です。
一方で、株式会社博報堂DYメディアパートナーズが発表した「メディア定点調査・2024」によると、携帯電話/スマートフォンとタブレット端末を合計したメディア接触時間は1日あたり199.6分とテレビのメディア接触時間である122.5分を超える結果となり、若い世代を中心にエンターテイメントとしてオンライン動画を楽しむスタイルが更に定着しつつあります。今後もブロードバンドの普及に伴ってオンライン上の動画コンテンツをいつでもどこでも見られる環境が整うことによって、オンライン動画の視聴頻度はますます増加すると考えており、消費者の視聴スタイルの変化に合わせて動画広告市場もオンライン動画広告市場へシフトしていくと考えております。
しかしながら、消費者のオンライン動画に対する視聴回数や視聴時間が伸び悩み、上記の予測通りにオンライン動画広告市場が拡大しなかった場合、再生回数、再生当たりの広告収益、タイアップ動画広告収入等が見込みを下回り、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(注)出所:株式会社CARTA COMMUNICATIONS、株式会社電通、株式会社電通デジタル、株式会社セプテーニ・ホールディングスが共同で発表した資料です。
当社グループの主な収益源であるアドセンス収益、タイアップ動画広告はいずれも企業の広告出稿需要に依存しており、景気の低迷等の理由により広告出稿が落ち込んだ場合は当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
現在、国内でクリエイター関連のビジネスを行う競合企業は複数存在しており、また、今後の市場規模拡大に伴い新規参入が相次ぐと考えております。当社グループはオンライン動画におけるトップクリエイター達のマネジメントに注力するとともに、トップクリエイターとのビジネス共創を実現し、クリエイターの健全な個人経済圏の拡大に寄与してまいりました。
これらの実績と経験に基づき、クリエイターへのマネジメントサポート体制やノウハウ、クリエイターとのビジネス共創におけるディレクション能力においては競争優位性を持っていると考えておりますが、新規参入により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの動画コンテンツ事業はYouTube等の他社が運営する動画配信サービス上において、サービスを提供しております。そのため、動画配信サービスの運営会社の事業戦略の転換によって、当社グループのサービスが当該動画配信サービス上で展開できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサービスを提供している動画配信サービスが、利用者数の減少などにより、マーケティング媒体としての価値を低下させた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはGoogle LLCとの契約(CONTENT HOSTING SERVICES AGREEMENT)に基づき、当社グループが同社に対し、当社グループが管理する動画コンテンツの利用許諾を行う一方で、当社グループは、同社から提供されるツールを使用して、YouTube上において当該コンテンツを管理し、当該コンテンツから生じる収益の一定料率分を受領しております。当該契約は当初Google Ireland Limitedとの間で2013年12月に発効し、1年間の契約期間で、30日前の終了通知がない限り、さらに1年間自動更新されることになっております。現時点で当該契約が解除になる事由は発生しておりませんが、当該契約が終了する契機としては、当社グループの、破産等の債務超過、事業の譲渡等及び秘密保持や保証違反等の当該契約上の重要な条項の違反が解除事由とされており、また、両当事者ともに30日前に通知することで中途解約することができるとされております。当該契約が解除された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
人気チャンネルを保有するクリエイターの活動が休止・停止した場合や、スキャンダルや炎上によりクリエイター活動に影響が生じた場合、また当社グループがマネージメント戦略上クリエイターの活動を抑制した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、専属プロデュース契約はその期間が限定されており毎回更新できる保証はなく、上記のような人気チャンネルを保有するクリエイターとの専属プロデュース契約が更新に至らなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、クリエイターが1ヵ月間で対応できるタイアップ動画本数には限りがあるため、特定のクリエイターに案件が集中してしまった場合は全ての案件を受けることが出来ず、機会損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの今後の事業展開としまして、事業規模の拡大と高収益化を目指して、既存事業に留まらず新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針でありますが、とりわけ新規事業の立ち上げについては、既存事業よりもリスクが高いことを認識しております。入念な市場分析や事業計画構築にも関わらず、予測とは異なる状況が発生し、計画どおりに進まない場合は、投資資金を回収できず当社グループの業績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業は、すべてインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大や地震などの自然災害や事故などにより予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業活動は、現状、国内における事業活動が中心でありますが、既存コンテンツの海外展開や海外大手MCNとの協業を通じた海外広告主の獲得にも積極的に取り組んでいく予定であります。
しかしながら、こうした国々での著作権に関する法規制やその実施体制は未だ整備中であると同時に、国際情勢や各国との国際関係等による影響により、当社グループの各種権利が侵害されたり、当社グループが期待する程の収入を確保できない可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業領域である動画というフォーマット自体が技術革新によりなくなる可能性は低いと考えておりますが、中長期的に動画の制作方法が技術革新により大きく変化し、当社グループがそのトレンドについていけなかった場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、クリエイターやグッズ購入者等の個人情報を保有しています。個人情報漏洩による企業経営・信用への影響を十分に認識し、各種規程・マニュアルの整備、社員への周知徹底など、個人情報の管理体制の整備をおこなっていますが、万が一情報が漏洩した場合は、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜などにより、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのクリエイターが制作する動画などについて、第三者から意図せずに著作権、商標権その他の権利(以下「知的財産権」といいます。)を侵害される可能性や第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。知的財産権の第三者からの侵害に対しては、コンテンツ管理グループ、法務グループ及び関係部署がクリエイターと連携して対応しておりますが、インターネット上での権利侵害に対しては、法規制の未整備その他の問題から、知的財産権の保護を迅速かつ十分に受けることができない場合もあり、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。
また、クリエイターによる意図せぬ知的財産権の侵害については、コンテンツ管理グループ、法務グループ及び関係部署がクリエイターと連携して、コンプライアンス研修の実施などの予防対策を講じておりますが、法解釈の相違等により、侵害が意図せず生じてしまう場合があり、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループでは所属するクリエイターに対して公序良俗違反や著作権侵害につながるような動画は公開しないようにガイドラインを設け、指導に努めております。また、第三者からの指摘等により所属クリエイターが不適切な動画を公開していることを認識した場合はすみやかに対処するように努めております。しかしながら、当社グループの対応が不十分だった場合、当社グループのレピュテーション低下につながることで、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主な事業領域であるインターネット上での動画配信やクリエイターを活用したプロモーション事業は、新しい業態の事業であるため、当社グループの事業遂行に関連して、著作権法のほか、肖像権・プライバシー権、特定商取引に関する法律、景品表示法、個人情報の保護に関する法律、動画配信事業にかかる租税法などに関して、現行の法令及び権利内容の解釈適用上で論点が生じる可能性があり、その結果として当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後の企業規模の拡大に伴い、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。当社グループの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの事業および業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると認識をしており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が急拡大することにより、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) その他について
当社グループでは、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストックオプション制度を採用しております。2024年11月30日における新株予約権による潜在株式数は441,660株であり、発行済株式総数20,080,040株の2.2%に相当します。
当社グループは決算期変更に伴い、当連結会計年度は16ヶ月の変則決算となっております。このため、前年同期との比較は行っておりません。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、物価上昇や金融引き締めの影響により、景気後退リスクは高まり、依然として先行き不透明な状況が続いております。こうした状況下において、当社グループは、クリエイターサポート業務などを積極的に展開してまいりました。
国内の端末別インターネット利用状況に目を向けると、2023年にはスマートフォンを保有する世帯の割合が90.6%に達し(総務省2023年「通信利用動向調査」)、 スマートフォンの普及や通信インフラの発展に伴い、動画視聴の機会が増加しています。
一方で、動画コンテンツにおいては長尺動画の再生数の比率は減少傾向にあり、収益化が黎明期であるショート動画の再生数は大きく増加しており、アドセンス収益は現時点で不透明な状況が続いております。
このような環境下において当社は、クリエイターとの共創事業であるプロモーションビジネスやグッズ・EC事業の拡大に注力し、事業基盤の強化に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は27,589百万円、営業利益は324百万円、経常利益は554百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は272百万円となりました。
なお、当社グループは動画コンテンツ事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。
(インフルエンサーギャラクシー)
当連結会計年度におけるインフルエンサーギャラクシーの売上高は、18,389百万円となりました。長尺動画の再生回数比率減少の影響により、当連結会計年度におけるアドセンス売上は10,060百万円となりました。また、グッズP2Cにおいては、ブランドの一部撤退等を行いましたが、既存ブランドの強化や主力商品の販売増加によって、売上高は6,284百万円となりました。その他においては、ゲームの一部タイトル撤退等を行いましたが、イベント開催の拡大により、売上高は2,044百万円となりました。
(コンテキストドリブンマーケティング)
広告出稿抑制及びマーケティングにおける案件の多様化を原因として、マーケティング事業が苦戦したことにより、当連結会計年度におけるコンテキストドリブンマーケティングの売上高は、9,199百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,658百万円増加し、5,890百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は以下の通りであります。
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、890百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益646百万円、減損損失647百万円の計上があった一方で、法人税等の支払額333百万円等があったことによるものであります。
当連結会計年度において投資活動により獲得した資金は、1,158百万円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入394百万円、関係会社株式の売却による収入770百万円があったことによるものであります。
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は、390百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出396百万円等があったことによるものであります。
生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしておりません。
当社グループの一部の事業で受注販売を行っておりますが、売上高に占める受注高の割合の重要性が乏しいため記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績を主要サービスごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.決算期変更により、2024年9月期は16ヶ月間の変則決算となるため、前年同期比については記載しておりません。
2.当社グループは動画コンテンツ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(資産)
当連結会計年度末における資産は、9,832百万円となり、前連結会計年度末に比べ606百万円減少いたしました。
流動資産は8,873百万円となり、前連結会計年度末に比べ589百万円増加いたしました。この主な内訳は、現金及び預金が1,658百万円増加し、未収消費税等が687百万円、商品が212百万円減少したことによるものであります。
固定資産は958百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,196百万円減少いたしました。この主な内訳は、投資その他の資産が431百万円、無形固定資産が711百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債は、6,171百万円となり、前連結会計年度末に比べ941百万円減少いたしました。この主な内訳は、長期借入金が256百万円、未払費用が209百万円、一年内返済予定の長期借入金が139百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産は、3,660百万円となり、前連結会計年度末に比べ335百万円増加いたしました。この主な内訳は、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ9百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益272百万円を計上したことによるものであります。
当連結会計年度の売上高は27,589百万円となりました。動画コンテンツにおいて長尺の再生数比率が下降傾向、収益化が黎明期であるショート動画の再生回数は大きく伸長しているものの、アドセンス収益としては現時点で不安定であること等を受けて、アドセンス売上が見込みを下回る結果となりました。また、広告出稿抑制及びマーケティングにおける案件の多様化を原因として、マーケティング事業が苦戦したことにより、見込みを下回る結果となりました。
当連結会計年度の売上原価は19,203百万円となりました。これはアドセンスやマーケティングの売上が見込みを下回ったことに伴いクリエイターへの支払いも見込を下回ったためです。また、販売費及び一般管理費は8,061百万円となりました。これは主に構造改革による人員数適正化、広告宣伝費の抑制によるものです。この結果、営業利益は324百万円となりました。
当連結会計年度の営業外収益は324百万円となりました。また、営業外費用は95百万円となりました。この結果、経常利益は554百万円となりました。
税金等調整前当期純利益は646百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は272百万円となりました。
当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。M&Aや設備投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本としております。短期資金需要については、営業活動により得られたキャッシュ・フローを基本としております。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、上記「業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループは、「第2 事業の状況 『3 事業等のリスク』」に記載のとおり、市場の成長、競合他社、人材の確保・育成、法的規制など様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。短期的には、新規事業立ち上げに伴う優秀な人材の採用、新規事業立ち上げ費用等が先行して発生しますが、共創クリエイターの拡大とクリエイターとの共創事業を迅速に立ち上げることにより、現在のリーディングポジションを一層強固にし、更なる成長につなげたいと考えております。
今後の見通しに関しましては、当社グループの業績を取り巻く環境は社会活動の制限が緩和される中で、回復の兆しが見られました。しかしながら、世界的な物価上昇や金融引き締めの影響により、景気後退リスクは高まり、依然として先行き不透明な状況が続いております。こうした状況下においても、当社グループは、クリエイターサポート業務などを積極的に展開してまいりました。国内の端末別インターネット利用状況に目を向けると、2023年にはスマートフォンを保有する世帯の割合が90.6%に達し(総務省2023年「通信利用動向調査」)、 スマートフォンの普及や通信インフラの発展に伴い、動画視聴の機会が増加しています。 一方で、長尺動画の再生数の比率は下降傾向にあり、収益化が黎明期であるショート動画の再生数は大きく増加しており、アドセンス収益は現時点で不透明な状況が続いております。
これを受けて当社は、クリエイターとの共創事業であるプロモーションビジネスやグッズ・EC事業の拡大に注力し、事業基盤の強化に取り組んでまいります。
該当事項はありません。