第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、下記のとおり、グループビジョン及び経営理念を掲げております。

① グループビジョン

 

わくわく無限大!

個性いろいろ

ともに創る

驚きの未来。

 

 

 

当社グループのグループビジョンは、いろいろな個性を持った仲間と、わくわくしながら、予想もつかない、驚くような未来を創ろうという想いであります。各事業会社の個性を活かしつつ、他のグループ事業会社をリスペクトし、ともに未来を創っていく。時には自分たちだけで、またある時はグループの仲間たちとともに頑張る。これが、外食産業の中で我々が持つ大きな特徴であると考えております。当社グループは、このグループビジョンのもと、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。

 

② 当社の経営理念

 

・私たちは、継続的にチャンスを切り拓き、世界のマーケットで成長します。

・私たちは、常にスピードをもって、クリエイティブにチャレンジします。

・私たちは、個性豊かな事業会社が互いに尊重し、連携し合うことで、新しい価値を創造します。

・私たちは、外食業界の未来のために、リーディングカンパニーとして、イノベーションを起こします。

・私たちは、お客様に彩り豊かな食のシーンを提供し続けることで、社会に貢献します。

 

 

 

このような経営理念のもと、グループとしての社会的責任を果たしながら、企業価値向上に向け、努力してまいります。また、お客様、株主の皆様をはじめとする多くのステークホルダーに対して、魅力あふれる店舗を創造し続けていくことが、企業としての使命であると考えております。そして、株主の皆様に当社グループのバラエティ豊かな店舗を利用していただくことが、企業としての持続的成長につながっていくという考えのもと株主優待制度を実施しており、今後も引き続き実施してまいります。

 

(2)重視する経営指標

当社グループでは、経営効率を高め安定した財務体質を維持しつつ、持続的成長を達成するために、収益性の重要な経営指標(KPI)として調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン、財務の安定性を図る指標として親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)を重視しております。

① 2022年2月期の連結業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束状況に左右されることから、依然先行きが不透明な状況となってはいるものの、調整後EBITDA220億円、調整後EBITDAマージン19.1%の見通しとしております。

② 親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)につきましては、現時点の12.0%の水準向上を図ってまいります。

(注)1.上記KPIについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

2.調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。

・調整後EBITDA=営業利益 + その他営業費用 - その他営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)

・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

2021年2月期においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、外食業界・当社事業に多大な影響を与えました。社会全体の外出自粛や各自治体からの営業自粛や営業時間短縮等の要請に伴う来客数の減少に加え、大手企業をはじめとしたリモートワークの拡大等により、特に都市部における会食や宴席の減少も加わり、新型コロナウイルス感染症の動向が、売上収益を左右する大変厳しい経営環境となっております。

当社グループにおきましては、こうした環境に対応すべく、各店舗での新型コロナウイルス感染症の感染防止策を徹底したうえで、売上収益の減少に応じたコスト圧縮を徹底することを通じて利益を確保できるよう、店舗従業員の一時帰休、人件費水準の切下げ等による人件費削減、家賃の減免交渉、新規投資の抑制等、あらゆる手段を通じて、支出を削減すると共に、不採算店舗の退店や業態変換に積極的に取組み、利益を確保することに注力してまいりました。また、本社におきましても、緊急体制に移行し、従業員の一時帰休及びテレワークを実施したほか、2020年9月1日にはグループ内組織再編を行い、連結子会社5社を2社に合併して、各社の本社業務の効率化を図り、また、連結子会社であるSFPホールディングス株式会社と、経理・人事事務に関するシェアードサービス子会社を設立し、業務の共通化・標準化によるコスト削減と業務の効率的運用を図っております。加えて、テイクアウト・デリバリーにも順次取り組むとともに、政府主導の「Go To キャンペーン」にも積極的に取り組みました。

財務面でも、必要な運転資金について手許資金及び金融機関からの借入等で確保を図るとともに、2021年2月には、永久劣後特約付ローン(以下、「本劣後ローン」という。)による資金調達を実施することで、財務基盤の安定強化を図りました。なお、本劣後ローンは、国際財務報告基準(IFRS)における「資本性金融商品」として、連結財政状態計算書上の「資本」に計上しております。

今後の中長期的な経営戦略の策定に際しても、新型コロナウイルス感染症の影響を十分に考慮する必要がありますが、その収束時期ははっきりとは見通せず、新型コロナウイルス感染症の影響による、お客様のライフスタイルの変化についても変化の途上であり、今後どのような形が定着していくかは予測が困難な状況にあります。

当社グループは、1999年の創業以来、店舗の立地に着目し優良立地に適合する様々なブランドを開発するとともに、お客様のニーズに合わせてブランドを変えていく「マルチブランド・マルチロケーション戦略」で拡大し、2013年以降においてはM&Aを積極的に実施し、多様な企業文化をもつ事業会社の良さを活かし、グループとして成長を図る「グループ連邦経営」を軸に一層の成長をしてまいりました。しかしながら、こうした当社戦略は、中長期的には変わらないものの、足許は新型コロナウイルス感染症への対応を第一にする考え方から、売上収益等の規模の拡大に優先して、まずは経営体質の強化、収益の確保、財務基盤の安定等にフォーカスすることで、企業としてのサスティナビリティに注力することといたしました。

この新型コロナウイルス感染症の状況下においても、お客様のライフスタイル・嗜好の変化を読取り、それを柔軟に立地や業態、店舗運営に反映していくことは、当社の得意とするところでもあります。外食産業全体へのお客様のニーズが完全には元には戻らないことを前提に、ポストコロナを見据え店舗立地の見直しや新業態の開発を行うこと、新型コロナウイルス感染症の対策として取り組んだコストの徹底削減により実現した筋肉質な経営体質を維持強化すること等により、収益力と将来に向けた事業基盤を強化してまいります。当社グループは、今後とも変化する事業環境に柔軟に対応し、お客様、従業員、そして地域社会に、グループビジョンにも掲げている「わくわく」するレストランを創造し続けることで、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

当社は、新型コロナウイルス感染症への対応が継続し、これに伴うお客様のライフスタイルの変化が進む中、以下の課題に適切に対処してまいります。

 

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、お客様の外食機会の大幅な減少を通じて、外食産業を直撃しており、当社グループにおきましても、多大なる影響を受けております。足許につきましても、新型コロナウイルス感染症の動向に左右され、非常に不安定な事業環境が続いております。

かかる状況下、当社グループは、外食産業全体に対し、お客様のニーズが完全には元に戻らないことを前提に、ポストコロナを見据え店舗立地の見直しや新業態の開発などを行ってまいります。また、引き続きコスト削減の徹底を図るとともに、筋肉質な経営体質を維持強化していくこと等により、収益力を強化してまいります。

また一方で、財務面の手当てについても万全を期すため、今後も外出自粛等による売上収益の減少が長期継続化するリスクに備え、手許資金及び金融機関からの借入等で必要な運転資金を確保するとともに、2021年2月には国際財務報告基準(IFRS)上の資本となる永久劣後特約付ローンの調達を実施することで、財務基盤の安定強化を図りました。

かかる状況下、グループ一丸となって臨機応変に対応していくことで、この危機を乗り越え、将来に向けた事業基盤を強化してまいります。

② 「食の安全・安心」への取組み

お客様に「安全」なメニューをご提供し、「安心」して召し上がっていただけるようにすることは、飲食企業にとって最重要事項であると認識しております。当社グループといたしましては、「食の安全・安心」に対する全役職員の意識浸透及びレベルアップに全力で取り組んでまいります。

具体的には、お客様の目線から見た「食の安全・安心」に関するモラルについて、従業員に対するメッセージを繰り返し発信するとともに、経営理念の中核にあるのが「お客様からの信頼」であることを広く浸透させる取組みを実施しております。また、「食の安全安心推進室」を中心に、料理や食材の取扱いに関するマニュアルを随時見直し、これに基づく従業員教育の徹底、店舗オペレーションの強化に努めております。さらに、店舗と本社の情報共有につきましても、社内及びグループ間の報告・連絡体制を迅速化することに加え、店舗内のコミュニケーション及びチームワークの強化に取り組んでおります。

③ 人財育成の強化

当社グループは、現在、国内外の複数のグループ事業会社で構成されており、店舗の運営人財やグループ事業会社経営人財に加え、M&A、マーケティング、システム、経理・財務等、高い専門性を持ち、様々な課題に対処し、進化させ、経営することができる人財の育成強化が必須と認識しております。

そのため、人財の育成に関しましては、「スピード、クリエイティブ、チャレンジ」という当社グループの経営理念を牽引することを期待される幹部人財の育成強化を計画的に実施できるよう、教育・研修システムの整備を進めてまいります。

④ IT活用、自動化による業務効率化・顧客満足度の向上

当社グループは、一部店舗においてお客様をお待たせすることによる機会損失を減少させるべく、タブレット端末等の導入を行い、待ち時間の短縮などを通じてお客様の満足度向上を図ってまいりました。今後につきましては、店舗においては業態に応じて新型コロナウイルス感染症への対策として、お客様との接触機会の低減を極力図っていくほか、店舗運営における省人化を進展させるべく、人工知能(AI)や機械等を取り入れ、業務の効率化・自動化を進めてまいります。

また、本社におきましても、ITを活用することで業務プロセスを高度化し、一層の経営の効率化を図るとともに、各種リスクの低減に取り組んでまいります。

 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① お客様から支持される商品及び業態開発の推進

お客様の食に対するニーズは、近年のスマートフォンやSNS等の普及による情報収集力の向上やライフスタイルの変化等により多様化が進んでおり、加えてニーズの変化のスピードも速まっている中、業態(ブランド)及び立地の陳腐化も早まる傾向にあります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、テイクアウトやデリバリー需要が高まっております。

当社グループでは、このようなニーズの変化に機敏に対応していくために、お客様ニーズを汲み取った業態への転換や、テイクアウトやデリバリーへの対応に取り組んでおります。今後もお客様のニーズに的確かつスピーディーに対応するため、マーチャンダイジングの強化を図るとともに、立地特性や顧客属性に応じた業態開発を推進してまいります。

② 競争力強化に向けた各グループ事業会社の育成

当社は、各事業会社の独自性を尊重しながらグループとしての成長を目指す『グループ連邦経営』を推進しており、各グループ事業会社の競争力の強化は当社グループの持続的な経営にとって重要であり、各社の競争状況、役割、ステージに応じた効果的な経営指導及び機動的かつ最適な経営資源の配分を行っていくことが必要であると認識しております。そのために、当社が各社の経営状態を的確に把握できる管理体制の強化に努めるとともに、複数の専門的かつ特徴的な企業文化、戦略を持つ各社の経営陣が、グループ内にてそれぞれのノウハウや情報交換等を密に行い、個々の経営力を拡充することができ、加えて、各グループ事業会社が成長に向け、迅速かつ最適な意思決定が可能となる組織体制及び環境を整えてまいります。また、各グループ事業会社の内部統制に係る体制につきましてもより一層の整備に努めることで、企業体質の強化を図ってまいります。

③ 本社機能の更なる強化

『グループ連邦経営』の当社の役割として、グループ全体の経営戦略を策定、実行することのほかに、各グループ事業会社が持続的な経営戦略の実行に集中できる環境(プラットフォーム)を提供することも必要であると認識しております。具体的には、各社の間接部門業務の集約化、標準化による効率性の向上と多様な立地・業態に対する開発機能の強化、原材料・設備等の集約化によるコスト面でのシナジーの最大化、食の安全・安心やコンプライアンスに関連する情報の提供等において一層の強化に取り組み、各社の収益性の最大化に資する支援体制強化に努めるとともに、グループガバナンスの更なる強化に取り組んでまいります。

④ グローバル展開

現在、当社グループは直営にてアジア3か国、北米1か国に店舗を展開しておりますが、継続的な海外への展開は重要な課題の一つととらえております。それぞれの拠点が自律的に経営を行うこと、M&A及び出店により、ポートフォリオを多様化すること、経営を支えるグローバルな人財ネットワークを獲得すること等を通じて、グローバル市場において、基盤を固め「グローバル連邦経営」を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループの事業においてはこれら以外にも様々なリスクを伴っており、ここに記載されたものがリスクの全てではありません。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)外食業界の動向について

① 新型コロナウイルス感染症の影響について

全世界へ急速に拡大した新型コロナウイルス感染症は、国内外に事業を展開する当社グループの事業活動に大きく影響しています。当社グループは、各国政府からの規制や要請に則り、営業時間の短縮や一時休業等に協力するほか、営業している店舗においても、換気や消毒の徹底、社会的距離の確保(ソーシャルディスタンス)等を実施し、従業員やお客様の安全・安心の確保を最優先に考えた店舗運営を行っております。しかし、緊急事態宣言の再発令等、新型コロナウイルス感染症の収束が長引く等の事象が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

なお、当社グループは、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の発令等を受け、該当地域における商業施設内にある店舗や居酒屋業態の店舗を中心に臨時休業を実施したことに伴い、売上収益が大幅に減少し、営業損失を計上したこと、また、引き続き感染拡大等の影響により売上収益が左右される状況であることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が生じております。

当社グループは、この感染症への対応に全力を注ぐことが喫緊の課題として、感染拡大が抑制された後の業績の回復を緩やかに見込むとともに、感染拡大が抑制されるまでに必要な運転資金について手許資金及び当連結会計年度に実行した金融機関からの借入等により十分確保しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと判断しております。

② 食材の調達について

食材につきましては、残留農薬や鳥インフルエンザ等に代表されるように、その安全性が特に問われる環境下にあり、以前にも増して安全な食材の確保が重要になっております。

また、天候不順などによる農作物の不作や新規需要の増加、政府によるセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動など需給関係の変動を伴う事態が生じた場合、食材市況に大きな影響を与える可能性があります。

当社グループにおきましては、様々な業態を運営しているため、特定の食材に依存している事実はありませんが、安全かつ安定した食材の確保については、積極的に取り組む方針であります。

ただし、食材に係わる安全性の問題や、諸原材料価格の高騰による食材市況の変動激化等の事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)当社グループのビジネスモデルに係わるリスクについて

① 出店政策について

当社グループは、予め一定以上の集客を見込めるショッピングセンター、地下鉄を含む駅構内、百貨店等の商業施設、駅前、繁華街及び郊外ロードサイド等に出店しており、立地条件、賃貸条件、店舗の採算性等の観点から、好立地を選別した上で、出店候補地を決定してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の状況を勘案すると、従来の好立地が必ずしもそうであるということはなくなることに加え、ソーシャルディスタンスの確保や営業時間の短縮要請等により、当初見込んだ採算性が維持できず、業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループは、賃貸による出店形態を基本としており、賃貸借契約のうち、特に、定期賃貸借契約は、契約終了後再契約されない可能性があります。このような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 敷金・保証金について

当社グループは、賃借による出店形態を基本としており、出店等に際しては、賃貸人へ敷金・保証金を差し入れております。契約に際しては、賃貸人の信用状況の確認等を行い、十分検討しておりますが、今後、契約期間満了による撤退等が発生した際に、賃貸人の財政状況によっては、当該敷金・保証金の全部若しくは一部回収不能となる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 業態開発について

当社グループは、商業施設の価値向上といった商業デベロッパーのニーズに対して、新規に開発した業態を継続的に提案することに加え、駅前や繁華街においては、ドミナント戦略等により好調な業態の出店を加速させ、事業の拡大を図っております。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により市場の変化が加速する中、お客様に受け入れられる業態を開発できなかった場合には、売上収益が減少し、また、これにより商業デベロッパーとの関係が損なわれた場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 出退店時に発生する費用及び損失について

当社グループでは、新規出店時に什器、備品等の消耗品や、販売促進にかかる費用が一時的に発生するため、大量の新規出店や、期末に近い新規出店は、利益を押し下げる要因となります。また、新型コロナウイルス感染症への対応として、収益性改善のために業績の改善が見込めない店舗を閉鎖しておりますが、店舗閉鎖時においては、固定資産除却損、賃貸借契約解約及びリース契約解約による違約金等が発生するため、大量に店舗を閉鎖した場合には、一時的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 商標権の管理について

当社グループは、多業態による店舗展開を行っており、多数の店舗ブランドを保有しているため、同一ブランドをチェーン展開する飲食企業と比較して、商標権侵害等による係争・訴訟のリスクが相対的に高いものと認識しております。そのため、新たな業態の店舗を出店する際には、商標の出願、登録を行うか、若しくは商標登録には馴染まない一般的な名称を用いた店舗名を使用する等、第三者の商標権を侵害しないように常に留意しております。

過年度において出店した一部の業態においては、第三者が類似商標を登録している等の理由により、商標の登録が承認されていない業態、若しくは登録未申請の業態がありますが、これらはあくまで当社グループが独自に開発した知的所有権であり、第三者の商標権等の知的財産権には該当しないものと認識しております。従いまして、当社グループは既存登録商標との非類似性を主張することにより、商標権を取得する方針であります。

ただし、出店時における当社グループの調査内容が十分である保証はなく、当社グループの見解が法的に常に正当性があるとは保証できません。万一、当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害していると認定され、その結果、損害賠償請求、差止請求等がなされた場合、若しくは、当該事項により当社グループの信用力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、現在商標権に関する重大な係争・訴訟はありません。

⑥ 人財の育成について

当社グループは、各社員の創意工夫がサービス力の強化、競争力の向上に寄与すると考えているため、店舗の運営、サービス提供方法等については、画一的な運用を行わず、現場における創意工夫を活かす仕組みとしております。その結果、各業態、各店舗によって、お客様に提供する料理、サービス内容及び店舗運営方法等が異なっており、また、各店舗における顧客満足度は、各店舗で提供するサービスの水準に影響を受けることとなります。そのため、当社グループは人財の育成及び確保を経営上の重要課題であると認識しております。

人財育成については、お客様へのより一層のサービス向上と店舗運営に焦点をあてたオペレーション教育、店舗マネジメント教育を計画的に実施できるよう教育・研修システムの整備を進めていく方針であります。

ただし、今後においても当社グループは業態開発及び店舗網の拡大を図っていく方針であるため、業容に見合った人財の育成が出来ない場合には、サービスの質の低下による信用力の低下が生じ、または、出店計画どおりの出店が困難となり、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

⑦食品の安全管理について

当社グループは、お客様に安心・安全でおいしい商品を提供するため、衛生管理マニュアル等に基づき、各店舗及びグループ事業会社が保有している一部セントラルキッチン等において、食中毒の発生を未然に防ぐべく、品質管理及び衛生管理を徹底し、食品事故の予防に努めております。また、社長直轄に「食の安全安心推進室」を設置し、従業員への教育・指導の徹底、アレルゲン管理や定期的な検査の実施等、食の安全性に対する体制強化に取り組んでおります。しかしながら、万が一食中毒や異物混入などの衛生問題が発生した場合には、当社の商品に対する信用力の低下や企業イメージの失墜等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

(3)法的規制等について

当社グループの事業は、「食品衛生法」、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「健康増進法」、「労働基準法」、「食品表示法」等の法的規制があります。今後の社会情勢の変化等により、これらの法的規制が強化され、その対応のため新たなコストが発生した場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。

 

(4)金利変動の影響について

当社グループは、出店時における設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における総資産に占める有利子負債の割合は43.4%となっております。現在は、当該資金を主として固定金利に基づく長期借入金により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、新たに借り換え等を行う際、資金調達コストが変動している場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後も外出自粛等による売上収益の減少が長期継続化するリスクに備え、グループ経営の安定化を図るべく、機動的に銀行借り入れを実行し、手元流動性を厚く保持することで、資金繰りに懸念なきよう財務基盤を整備しております。

 

(5)災害等及び感染症等の流行による影響について

当社グループは、国内外に店舗展開しておりますが、地震や津波、台風等の自然災害の発生や、自然災害に起因するライフラインや交通網の遮断・制限、感染症の流行等により、来店客数の減少、原材料の調達の阻害や従業員の人員の確保ができない場合は、店舗運営に支障をきたし、営業が困難となることから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。足許においては、新型コロナウイルス感染症の動向により、売上が左右される状況が続いており、流行の長期化等によっては、今後の当社グループの業績への影響は大きいものと予想されます。

 

(6)インターネット等による風評被害に伴うリスク

当社グループは、SNSサイトへの不適切な書き込み等に対し、WEBリスクモニタリングを導入し、企業ブランドに悪影響を及ぼすリスク投稿を早期に検知する体制を整えております。しかしながら、当社の所有する商標等の不正利用、商品への異物混入や調理設備の不適切使用等、インターネット上の掲示板やSNS等への書き込みに伴うマスコミ報道等による風評被害が拡散した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、社会的信用等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)訴訟に伴うリスクについて

当社グループは、事業を展開していくにあたり、顧客や取引業者、従業員を含む第三者等による様々な訴訟の対象となる可能性があります。現在、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、業績に重大な影響を及ぼす訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報システムへの依存リスクについて

当社グループは、店舗運営、食材の仕入れ等の主要業務を情報システムに依存しており、セキュリティガイドラインに基づき、コンピュータウイルスや外部からのサイバー攻撃などの悪意のある攻撃に対し、適切な予防策を実施してリスクの低減を図っておりますが、万が一これらの攻撃等により情報システムに障害が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)海外展開におけるカントリーリスクについて

当社グループは、海外へ店舗展開しておりますが、海外子会社及び関連会社の進出国における、市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣や為替、その他の様々なカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)M&A等によるのれん・無形資産に係るリスクについて

当社グループは、成長戦略の一つとして、シナジー効果が期待できるM&Aを多数行ってまいりました。そのため、当社グループが予め想定しなかった結果が生じ、のれんや無形資産の評価額が帳簿価額より著しく低下する場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。

なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度との比較・分析をしております。

 

(1)業績

(単位:百万円)

 

前連結会計年度
(自 2019年3月1日
   至 2020年2月29日)

当連結会計年度
(自 2020年3月1日
   至 2021年2月28日)

増減

増減率(%)

売上収益

139,328

74,425

△64,903

△46.6

営業利益又は営業損失(△)

3,378

△14,181

△17,559

親会社の所有者に帰属する当期利益又は親会社の所有者に帰属する当期損失(△)

1,205

△13,874

△15,079

調整後EBITDA

25,212

5,130

△20,082

△79.7

調整後EBITDAマージン(%)

18.1

6.9

△11.2

△61.9pt

店舗数(店)

1,149

1,076

△73

△6.4

 

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、2020年4月に政府から緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出自粛等により消費活動が著しく減少したため、非常に厳しい状況となりました。2020年5月の緊急事態宣言解除後においては、経済活動は徐々に回復し、政府主導の「Go Toキャンペーン」等の需要喚起策により個人消費も一時持ち直したものの、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波が生じ、2021年1月には二度目の緊急事態宣言が発令され、その期限が延長される等、引き続き新型コロナウイルス感染症の動向に左右される状況が続いております。

外食産業におきましても、社会全体の外出自粛や各自治体からの営業自粛、営業時間短縮等の要請に伴う来客数の減少に加え、大手企業をはじめとしたリモートワークの拡大等により、特に都市部における会食や宴席の減少も加わり、新型コロナウイルス感染症の動向が、売上収益を左右する大変厳しい経営環境となっております。

当社グループにおきましては、2020年4月の緊急事態宣言を受け、一時休業となる商業施設内にある店舗や繁華街の居酒屋業態等において、多くの店舗が一時休業を余儀なくされました。緊急事態宣言解除後は段階的に営業を再開し、新型コロナウイルス感染症の第2波の動向に左右されながらも、「Go To キャンペーン」等に積極的に参加したことも奏功して、売上収益は回復傾向を示しました。しかしながら、2020年末以降は、新型コロナウイルス感染症の第3波の影響により、二度目の緊急事態宣言が発令されたことを受け、再び多くの店舗が営業時間の短縮及び休業を余儀なくされることとなりました。

こうした環境に対応すべく、各店舗での新型コロナウイルス感染症の感染防止策を徹底した上で、売上収益の減少に応じたコスト圧縮の徹底を通じて利益を確保できるよう、店舗従業員の一時帰休、人件費水準の切下げ等による人件費削減、家賃の減免交渉、新規投資の抑制等、あらゆる手段を通じて、支出を削減するとともに、不採算店舗の退店や業態変換に積極的に取り組み、利益を確保することに注力してまいりました。また、本社におきましても、緊急体制に移行し、従業員の一時帰休及びテレワークを実施したほか、2020年9月1日にはグループ内組織再編を行い、連結子会社5社を2社に合併して、各社の本社業務の効率化を図り、また、連結子会社であるSFPホールディングス株式会社との間で、同社及び当社並びにそれぞれの事業子会社の経理・人事事務に関するシェアードサービス機能を担う合弁会社を設立し、業務の共通化・標準化によるコスト削減と業務の効率的運用を図っております。加えて、テイクアウト・デリバリーにも順次取り組むとともに、「Go To キャンペーン」にも積極的に取り組みました。財務面でも、手許資金及び金融機関からの借入等で必要な運転資金を確保するとともに、2021年2月には、永久劣後特約付ローン(以下、「本劣後ローン」という。)による資金調達を実施することで、財務基盤の安定強化を図りました。なお、本劣後ローンは、国際財務報告基準(IFRS)における「資本性金融商品」として、連結財政状態計算書上の「資本」に計上しております。

当社グループの店舗数に関しましては、こうした状況に対応すべく、新規出店68店舗を行う一方で、業態変更30店舗、退店143店舗を実施し、当連結会計年度末における業務受託店舗等を含む連結店舗数は1,076店舗となりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上収益は74,425百万円(前連結会計年度比46.6%減)、営業損失は14,181百万円(前連結会計年度は営業利益3,378百万円)、税引前損失は15,021百万円(前連結会計年度は税引前利益3,012百万円)、当期損失は15,571百万円(前連結会計年度は当期利益1,745百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は、13,874百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期利益1,205百万円)となりました。また、調整後EBITDAは5,130百万円(前連結会計年度比79.7%減)、調整後EBITDAマージンは6.9%(前連結会計年度は18.1%)、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は12.0%(前連結会計年度は12.4%)となりました。(注1)

 

(注1)当社グループの業績の有用な指標として、調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンを用いております。

調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。

・調整後EBITDA=営業利益 + その他営業費用 - その他営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)

・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100

 

報告セグメントにつきましては、当社グループは飲食事業以外の報告セグメントがないため、記載を省略しております。なお、飲食事業における主要カテゴリー毎の状況は以下のとおりです。

カテゴリー

前連結会計年度
 (自 2019年3月1日
   至 2020年2月29日)

当連結会計年度
 (自 2020年3月1日
    至 2021年2月28日)

店舗数
(店)

売上収益
(百万円)

構成比
 (%)

店舗数
 (店)

売上収益
 (百万円)

構成比
 (%)

CRカテゴリー

569

51,843

37.2

553

27,253

36.6

SFPカテゴリー

275

40,216

28.9

227

17,428

23.4

専門ブランドカテゴリー

251

39,198

28.1

243

25,542

34.3

海外カテゴリー

54

8,962

6.4

53

5,146

6.9

その他調整額

-

△893

△0.6

△944

△1.2

合計

1,149

139,328

100.0

1,076

74,425

100.0

 

 

 

(CRカテゴリー)

当カテゴリーは、株式会社クリエイト・レストランツ、株式会社クリエイト・ダイニング及び株式会社クリエイト・スポーツ&レジャーが運営する店舗で構成されており、商業施設を中心に多様なブランドにてレストラン及びフードコートを運営しているほか、ゴルフ場内レストラン等の受託運営を行っております。

当連結会計年度におきましては、フードコート・フードホールへ計26ブースの出店及びしゃぶしゃぶ業態やデザート業態等の出店により、41店舗の新規出店、67店舗の退店を実施したほか、前連結会計年度におけるM&Aによる1店舗の増加がありました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は27,253百万円となり、連結店舗数は553店舗となっております。

 

(SFPカテゴリー)

当カテゴリーは、SFPホールディングス株式会社、株式会社ジョー・スマイル及び株式会社クルークダイニングが運営する店舗で構成されており、都心繁華街を中心に「磯丸水産」、「鳥良」、「鳥良商店」ブランド等の居酒屋を運営しているほか、熊本県や長野県においても居酒屋を運営しております。

当連結会計年度におきましては、都市部に海鮮居酒屋「磯丸水産」等を出店したことにより、5店舗の新規出店、53店舗の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は17,428百万円、連結店舗数は227店舗となっております。

 

(専門ブランドカテゴリー)

当カテゴリーは、当社の国内子会社である株式会社LG&EW、株式会社YUNARI、株式会社グルメブランズカンパニー、株式会社KRホールディングス、株式会社ルートナインジー、株式会社遊鶴及び株式会社いっちょうが運営する店舗で構成されております。

当連結会計年度におきましては、株式会社KRホールディングスが「あずさ珈琲」、株式会社グルメブランズカンパニーが「ジャン・フランソワ」、株式会社LG&EWが「Mr. FARMER」、株式会社いっちょうが「海山亭いっちょう」等を出店したことに加え、株式会社KRホールディングスが8店舗を業務受託したことにより、18店舗の新規出店、18店舗の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は25,542百万円、連結店舗数は243店舗となっております。

 

(海外カテゴリー)

当カテゴリーは、海外において展開している店舗で構成されており、シンガポール国内にて展開しているcreate restaurants asia Pte. Ltd.が運営する店舗、香港にて展開している香港創造餐飲管理有限公司が運営する店舗、台湾にて展開している台湾創造餐飲股份有限公司が運営する店舗、米国にて展開しているCreate Restaurants NY Inc.及びIl Fornaio (America) LLCが運営する店舗で構成されております。

当連結会計年度におきましては、シンガポールにて「しゃぶ菜」を、香港にて「つけめんTETSU」等を、台湾にて「菜の庵」を出店し、4店舗の新規出店、5店舖の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は5,146百万円、連結店舗数は53店舗となっております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが409百万円の資金増(前連結会計年度比98.3%減)、投資活動によるキャッシュ・フローが3,855百万円の資金減(前連結会計年度比85.0%減)、財務活動によるキャッシュ・フローが22,843百万円の資金増(前連結会計年度比319.2%増)となり、更に換算差額等を加味した当連結会計年度末の資金残高は37,312百万円(前連結会計年度比108.2%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は409百万円となりました。この主な要因は、税引前当期損失15,021百万円、減価償却費17,314百万円を計上したこと等によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は3,855百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出3,286百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によって得られた資金は22,843百万円となりました。この主な要因は、リース負債の返済による支出12,476百万円、長期借入金の返済による支出11,827百万円があった一方で、短期借入金の純増額17,036百万円、長期借入れによる収入15,634百万円、その他資本性金融商品の発行による収入14,832百万円等によるものであります。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資、有利子負債の返済及び運転資金などであります。

当社グループは資金の流動性確保のため、市場環境を勘案して銀行借入による間接調達のほか、社債による直接調達を行い、資金調達手段の多様化を図っております。

また、事業活動等により創出したキャッシュ・フローに加えて、金融機関より随時利用可能な信用枠を確保しており、資金需要に対応しております。

足許の新型コロナウイルス感染症への対応として、主に短期の信用枠を増枠の上、借入を実施して手元流動性を高めたほか、新たにクレジットラインを設定することで機動的な資金調達の必要性に備えております。

なお、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

(4)仕入及び販売の状況

 

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。

 

カテゴリー名称

仕入高(百万円)

前年比(%)

CRカテゴリー

7,369

△48.5

SFPカテゴリー

4,984

△58.2

専門ブランドカテゴリー

7,830

△36.1

海外カテゴリー

1,137

△41.3

その他

△479

合計

20,843

△47.5

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.金額は、仕入価格で記載しております。

3.その他は、主に本社一括購入による仕入割戻であります。

4.上記の金額には、他勘定振替高は含まれておりません。

 

② 販売実績

当連結会計年度における販売実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。

 

カテゴリー名称

販売高(百万円)

前年比(%)

CRカテゴリー

27,396

△46.9

SFPカテゴリー

17,428

△56.6

専門ブランドカテゴリー

25,573

△34.4

海外カテゴリー

5,146

△42.6

その他

△1,119

合計

74,425

△46.6

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.その他は、主に業務受託収入であります。

 

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グル-プの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の判断及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末総資産は、161,966百万円(前連結会計年度比7.8%増)となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が19,393百万円増加したこと等によるものであります。
 当連結会計年度末の負債は、138,702百万円(前連結会計年度比9.9%増)となりました。この主な要因は、社債及び借入金が20,491百万円増加したこと等によるものであります。
 当連結会計年度末の資本は、23,264百万円(前連結会計年度比3.5%減)となりました。

 

③ 当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容

当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑えるべく、売上収益ではなく利益を確保することを優先に経費削減策等を実施した結果、調整後EBITDAについては、新型コロナウイルス感染症によるマイナスインパクトをある程度抑えることができました。具体的には、新型コロナウイルス感染症による損失を最小限に留めることを目的に、各店舗での新型コロナウイルス感染症の感染防止策を徹底したうえで、売上収益の減少に応じたコスト圧縮を徹底することを通じて、休業店舗の従業員の一時帰休、人件費水準の切下げ等による人件費削減、家賃の減免交渉、新規投資の抑制等、あらゆる手段を通じて支出を削減するとともに、不採算店舗の退店や業態変換に積極的に取組み、利益を確保することに注力してまいりました。

 

(売上収益)

当連結会計年度の連結売上収益は、テイクアウトやデリバリー業態の開発や優良物件への出店に加え、政府主導の「Go To キャンペーン」等に積極的に取り組んだものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、74,425百万円(前連結会計年度比46.6%減)となりました。

 

(営業利益、調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン)

営業利益は、各種コスト削減策を実行して利益の確保を図ったものの、新型コロナウイルス感染症の影響等により、IFRS基準に基づいた新型コロナウイルス感染症の影響も含む減損損失の計上を行ったこともあり、△14,181百万円(前連結会計年度は3,378百万円)となりました。

また、調整後EBITDAは5,130百万円(前連結会計年度比79.7%減)、調整後EBITDAマージンは6.9%(前連結会計年度は18.1%)となりました。

 

(親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率))

当社グループは、資金面の手当てについても万全を期していきたいと考えており、今後も新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛等による売上収益の減少が長期継続化するリスクに備え、グループ経営の安定化を図るべく、機動的に銀行借り入れを実行したほか、2021年2月には国際財務報告基準(IFRS)上の資本となる永久劣後特約付ローンの調達を実行することで、財務基盤の安定強化を図ったことにより、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は12.0%(前連結会計年度は12.4%)となりました。

かかる状況下、グループ一丸となって臨機応変に対応していくことで、この危機を乗り越え、将来に向けた事業基盤を強化してまいります。

 

④ キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、「わくわく無限大! 個性いろいろ ともに創る 驚きの未来。」というグループミッションに基づき、個性豊かな事業会社の強みを活かしながら、様々な可能性に挑戦し、お客様だけでなく従業員や社会が驚くような未来を創ることにより、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の収束時期ははっきりとは見通せず、引き続き感染状況に応じて売上収益が左右される、不安定な時期が続くものと思われます。また、新型コロナウイルス感染症の影響による、お客様のライフスタイルの変化についても変化の途上であり、今後どのような形が定着していくかは予測が困難な状況にあります。

当社グループは、新型コロナウイルス感染症への対応として、各店舗において感染防止策を徹底したうえで、売上収益の減少に応じたコスト圧縮を徹底することを通じて、人件費の削減や家賃の減免交渉、新規投資の抑制等、あらゆる手段を通じて支出を削減するとともに、不採算店舗の退店や業態転換に積極的に取り組み、利益を確保することに注力してまいりました。また、本社においても、緊急体制に移行し、従業員の一時帰休やテレワークを実施したほか、グループ内組織再編の実行やシェアードサービス子会社の設立等により、コスト削減と業務の効率的運用を図っております。加えて、お客様のライフスタイルの変化への対応として、テイクアウトやデリバリーにも順次取り組むとともに、政府主導の「Go To キャンペーン」にも積極的に取り組みました。財務面でも、必要な運転資金について手許資金及び金融機関からの借入等で確保を図るとともに、2021年2月には国際財務報告基準(IFRS)上の資本となる永久劣後特約付ローンの調達を実施することで、財務基盤の安定強化を図りました。

次期につきましても、お客様のニーズが完全には元には戻らないことを前提に、ポストコロナを見据えた店舗立地の見直しや新業態の開発を行うこと、新型コロナウイルス感染症の対策として取り組んだコストの徹底削減により実現した筋肉質な経営体制を維持強化することに注力し、利益の確保を図り、事業基盤を強化してまいります。

以上を踏まえ、2022年2月期の通期業績予想といたしましては、売上収益1,150億円、営業利益46億円、税引前利益40億円、当期利益27億円、親会社の所有者に帰属する当期利益25億円を見込んでおります。また、調整後EBITDAは220億円、調整後EBITDAマージンは19.1%を見込んでおります。

 

当社グループは、引き続き新型コロナウイルス感染症へ対応しつつ、利益の確保を図ってまいりますが、新型コロナウイルス感染症の更なる継続や、新業態の開発ができない等が生じた場合には、当社グループの業績予想に影響を与える可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

当社は、今般の新型コロナウイルス感染症による事業への影響に鑑み、グループ経営の安定化を図るべく財務基盤を整備していく方針を掲げる中、その具体的施策の一つとして2021年2月2日付で、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとする永久劣後特約付ローン(以下、「本劣後ローン」という。)契約を締結しました。本劣後ローンは、元本の弁済期日の定めがなく、利息の任意繰延が可能なことから、国際財務報告基準(IFRS)における「資本性金融商品」として、本劣後ローンによる調達額から発行費用を控除した額を、連結財政状態計算書上の「資本」として計上しております。

 

本劣後ローンの概要

①借入契約金額

150億円

②適用利率

3ヶ月日本円TIBORをベースとした変動金利。

③利息支払に関する条項

利息の任意繰延が可能。

④弁済期日

 

期限の定めなし。ただし、本劣後ローンの各利息支払日において、元本の全部又は一部の任意弁済が可能。

⑤劣後特約

 

 

本劣後ローンの債権者は、契約に定める劣後事由(清算等)が発生した場合、上位債務に劣後した支払請求権を有する。

 

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。