第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、下記のとおり、グループミッション及び経営理念を掲げております。

① グループミッション

 

わくわく無限大!

個性いろいろ

ともに創る

驚きの未来。

 

 

 

当社グループのグループミッションは、いろいろな個性を持った仲間と、わくわくしながら、予想もつかない、驚くような未来を創ろうという想いであります。各事業会社の個性を活かしつつ、他のグループ事業会社をリスペクトし、ともに未来を創っていく。時には自分たちだけで、またある時はグループの仲間たちとともに頑張る。これが、外食産業の中で我々が持つ大きな特徴であると考えております。当社グループは、このグループミッションのもと、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。

 

② 当社の経営理念

 

・私たちは、継続的にチャンスを切り拓き、世界のマーケットで成長します。

・私たちは、常にスピードをもって、クリエイティブにチャレンジします。

・私たちは、個性豊かな事業会社が互いに尊重し、連携し合うことで、新しい価値を創造します。

・私たちは、外食業界の未来のために、リーディングカンパニーとして、イノベーションを起こします。

・私たちは、お客様に彩り豊かな食のシーンを提供し続けることで、社会に貢献します。

 

 

 

このような経営理念のもと、グループとしての社会的責任を果たしながら、企業価値向上に向け、努力してまいります。また、お客様、株主の皆様をはじめとする多くのステークホルダーに対して、魅力あふれる店舗を創造し続けていくことが、企業としての使命であると考えております。そして、株主の皆様に当社グループのバラエティ豊かな店舗を利用していただくことが、企業としての持続的成長につながっていくという考えのもと株主優待制度を実施しており、今後も引き続き実施してまいります。

 

(2)重視する経営指標

当社グループでは、経営効率を高め安定した財務体質を維持しつつ、持続的成長を達成するために、収益性の重要な経営指標(KPI)として調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン、財務の安定性を図る指標として調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)を重視しております。当社グループは、これらの指標を向上させることで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

なお、当連結会計年度における調整後EBITDAは27,088百万円(前連結会計年度比428.0%増)、調整後EBITDAマージンは34.6%(前連結会計年度は6.9%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は30.5%(前連結会計年度は18.6%)となりました。

(注)1.調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。

・調整後EBITDA=営業利益 + その他の営業費用 - その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)

・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100

2.調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率):親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)からIFRS第16号の影響を除外した比率

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

① 中期経営計画

新型コロナウイルス感染症は、外食業界・当社事業に多大な影響を与えておりますが、当社は、お客様のライフスタイルの変化により、消費行動は元には戻らないことを前提として、2021年7月14日に中期経営計画を発表しております。この中期経営計画においては、お客様のニーズが急速に変化し、外食産業からの店舗の撤退・廃業、人財の流出が表面化している外部環境を踏まえ、当社グループの強みである「変化対応力」を最大限発揮し、サステナブルな利益成長を図っていくことといたしました

具体的には、中期経営計画における成長戦略の3本の柱として、「アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直し」、「グループ連邦経営の更なる進化」、「DXの推進による生産性の向上と人財不足への対応」に重点的に取り組むことで、『食を通じて、ステークホルダーに対し、「豊かさ」を提供し続ける企業グループ』を目指してまいります。ここでいうステークホルダーとは、お客様・社会、お取引先、従業員、株主を指し、お客様・社会には安心・安全で地域に愛される店舗・料理・サービスを提供し、お取引先とは長期的な互恵関係を構築、従業員へは安定的な雇用と多様な働き方を提供し、株主にはサステナブルな利益成長を提供することを掲げております。

成長戦略の一つ目の柱は、「アフターコロナを見据えたポートフォリオ見直し」です。お客様の新たな需要の変化を見極め、当社グループの特徴である変化対応力を駆使して、適合する効率的なポートフォリオを再構築することで、外食業界における「勝ち組」として、サステナブルな成長を目指します。長引くコロナ禍の影響により、今後、一部の同業他社においては、業績不振による撤退・廃業等が増加する傾向が見込まれる一方、当社グループにとっては潜在的な出店余力、M&A機会は増加するものと見込まれます。このような環境の中、当社グループは外食業界における「勝ち組」として、サステナブルに成長する企業グループを目指して、新たな需要の変化を的確に見極め、適合する効率的なポートフォリオを再構築いたします。具体的には、アフターコロナの需要に対応すべく、「日常」、「定番」、「地域密着」、「低投資」をキーワードに、当連結会計年度以降、年間30店舗の新規出店及び迅速な業態変更を進めてまいります。これらに際しては、投資効率に関し従来以上に厳格化した基準を設定し当面の運営を行います。また、M&Aについても、店舗戦略同様のキーワードを踏まえ、自力での出店や開発が難しい立地や業態を中心に、投資効率の高い案件の検討を進めてまいります。ターゲットとしては、国内においては、地方の地域密着型ブランドや、他業種のカーブアウト案件を、海外では北米を中心に安定優良企業の獲得を目指してまいります。また、グループ内で投資効率基準に満たないポートフォリオがあれば、将来的なカーブアウトやグループ内再編も検討してまいります。

成長戦略の二つ目の柱は、「グループ連邦経営の更なる進化」です。従来のグループ事業会社の個性を尊重し、連携し合うことで成長を図る「グループ連邦経営」の基本スタンスに変更はありませんが、持株会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングスの求心力を強化し、経営人財のグループ横断的な人財配置、本社業務・機能の統合(SFPホールディングス社との合弁による、経理・人事事務を担うクリエイティブ・サービス社及び購買企画機能を担うCMD社の設立、立地情報の集約による投資・撤退判断の一本化、店舗設計・修繕業務の一本化等)、グループ事業会社の再編によるコントラクト事業強化(クリエイト・レストランツ社とクリエイト・スポーツ&レジャー社の統合等)、グループ内業態変更・グループ内FCの推進、店舗サービスの付加価値向上を図るためのメニューの相互活用等に取り組んでおります。

成長戦略の三つ目の柱は、「DX推進による生産性の向上・人財不足への対応」です。DXミッションとして、「当社グループのビジネスの基本は「人(お客様・従業員)」であり、アフターコロナで時代が変化しようとしても変わらない」との考え方を定め、DX推進により、効率化・自動化できる業務は省人化し、従業員の接客サービスに関わる時間を最大化し、お客様満足度の向上を目指します。また、デジタル技術の導入により、お客様の利便性の向上を目指します。具体的には、ソフトバンク社との提携による同社の知見も活かしながら、バックオフィス業務の効率化(ワークフロー、経費精算システム、RPAの導入検討、ペーパレス化のプラン策定等)及び店舗業務の省人化、コスト削減、サービス向上、売上収益拡大項目として、モバイルオーダーシステムの導入、配膳ロボットのテスト導入、デジタルマーケティングの推進等を行っております。

② サステナビリティへの取り組み

当社は、食に携わる企業として、従来から食の安全安心、生産地との連携、食品ロスの削減等、持続可能な社会に貢献する活動を行っております。2021年11月には、「サステナビリティに関する基本方針」を定め、中長期的な観点からサステナビリティへの取り組みを行うことを定めました。

 

 

〈サステナビリティに関する基本方針〉

クリエイト・レストランツグループは、食の様々なシーンを通じてステークホルダーに対し「豊かさ」を提供し続けることで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的なグループ企業価値向上を目指します。

 

 

 

サステナビリティ推進体制としては、代表取締役社長を委員長とし、グループの事業会社社長も含んだサステナビリティ委員会、及び同委員会の事務局としてサステナビリティ推進室を設け、組織的にサステナビリティへの取り組みを行う体制としております。


 

当社が優先して取り組むべき課題として、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当社事業にとっての重要性」の双方が高いと考えられる5項目をマテリアリティ(重要課題)として選定し、その土台となる「コーポレートガバナンスの強化」とともに、関連する各部署がグループ事業会社と連携しながら具体的に取り組むこととしております。


 

(4)経営環境及び対処すべき課題

当社は、新型コロナウイルス感染症への対応が継続し、これに伴うお客様のライフスタイルの変化が進む中、以下の課題に適切に対処してまいります。

 

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、お客様の外食機会の大幅な減少を通じて、外食産業を直撃し、当社グループにおきましても、大きな影響を受けております。足許につきましても、新型コロナウイルス感染症の動向に左右される不安定な事業環境が続いております。他方で、ワクチン接種の進展や治療薬の開発の進行等により、経済活動の正常化が期待されております。

かかる状況下、当社グループは、外食産業全体に対し、お客様のニーズが完全には元に戻らないことを前提に、アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直しを行い、新規出店、業態変更、新業態の開発等を行ってまいります。また、引き続きコスト削減の徹底を図るとともに、筋肉質な経営体質を維持強化していくこと等により、収益力を強化してまいります

一方で、財務面の手当てについても万全を期すため、今後も外出自粛等による売上収益の減少が長期継続化するリスクに備え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が抑制されるまでに必要な運転資金については、手許資金及び前連結会計年度に実行した金融機関からの借入等により十分確保したほか、2021年11月に公募増資、2021年12月に第三者割当増資による資本調達を実施し、財務面の安定性の強化を図りました。

また、2023年2月期からの再成長期間にむけて、2022年2月には借入金の一部返済を実施することで、手元流動性の水準を適正化し、債務圧縮による金利負担の軽減と、財務体質の改善を図りました。

② 「食の安全・安心」への取り組み

お客様に「安全」なメニューをご提供し、「安心」して召し上がっていただけるようにすることは、飲食企業にとって最重要事項であると認識しております。当社グループといたしましては、「食の安全・安心」に対する全役職員の意識浸透及びレベルアップに全力で取り組んでまいります。

具体的には、お客様の目線から見た「食の安全・安心」に関するモラルについて、従業員に対するメッセージを繰り返し発信するとともに、経営理念の中核にあるのが「お客様からの信頼」であることを広く浸透させる取り組みを実施しております。また、「食の安全安心推進室」を中心に、料理や食材の取り扱いに関するマニュアルを随時見直し、これに基づく従業員教育の徹底、店舗オペレーションの強化に努めております。さらに、店舗と本社の情報共有につきましても、社内及びグループ間の報告・連絡体制を迅速化することに加え、店舗内のコミュニケーション及びチームワークの強化に取り組んでおります。

なお、「食の安全・安心」につきましては、当社が優先して取り組むべき課題としてマテリアリティ(重要課題)に選定しており、その内容は、「(3)中長期的な会社の経営戦略 ②サステナビリティへの取り組み」をご参照ください。

③ 多様な人財の活躍促進、人財育成の強化

外食企業である当社グループにおいて、人財を確保しその活躍を促進することは、大変重要な課題となっております。そのために、人事制度を整備し、多様な従業員が安心して活き活きと仕事ができる環境を整えてまいります。

また、当社グループは、現在、国内外の複数のグループ事業会社で構成されており、店舗の運営人財やグループ事業会社経営人財に加え、M&A、マーケティング、システム、経理・財務等、高い専門性を持ち、様々な課題に対処し、進化させ、経営することができる人財の育成強化が必須と認識しております。

そのため、人財の育成に関しましては、「スピード、クリエイティブ、チャレンジ」という当社グループの経営理念を牽引することを期待される幹部人財の育成強化を計画的に実施できるよう、教育・研修システムの整備を進めてまいります。

なお、「多様な人財の活躍推進」につきましては、当社が優先して取り組むべき課題としてマテリアリティ(重要課題)に選定しており、その内容は、「(3)中長期的な会社の経営戦略 ②サステナビリティへの取り組み」をご参照ください。

④ IT活用、自動化による業務効率化・顧客満足度の向上

当社グループは、一部店舗においてお客様をお待たせすることによる機会損失を減少させるべく、タブレット端末やモバイルオーダー等の導入を行い、待ち時間の短縮等を通じてお客様の満足度向上を図ってまいりました。今後につきましては、店舗においては業態に応じた新型コロナウイルス感染症への対策として、お客様との接触機会の低減を極力図っていくほか、店舗運営における省人化を進展させ、お客様サービスに向ける時間を最大化するべく、人工知能(AI)やロボットを始めとする機械等を取り入れ、業務の効率化・自動化を進めてまいります。

また、本社におきましても、ITを活用することで業務プロセスを高度化し、一層の経営の効率化を図るとともに、各種リスクの低減に取り組んでまいります。

 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① お客様から支持される商品及び業態開発の推進

お客様の食に対するニーズは、近年のスマートフォンやSNS等の普及による情報収集力の向上やライフスタイルの変化等により多様化が進んでおり、加えてニーズの変化のスピードも速まっている中、業態(ブランド)及び立地の陳腐化も早まる傾向にあります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、テイクアウトやデリバリー需要が徐々に高まっております。

当社グループでは、このようなニーズの変化に機敏に対応していくために、お客様ニーズを汲み取った業態への転換や、テイクアウトやデリバリーへの対応に取り組んでおります。今後もお客様のニーズに的確かつスピーディーに対応するため、マーチャンダイジングの強化を図るとともに、立地特性や顧客属性に応じた業態開発を推進してまいります。

② 競争力強化に向けた各グループ事業会社の育成

当社は、各事業会社の独自性を尊重しながらグループとしての成長を目指す『グループ連邦経営』を推進しており、各グループ事業会社の競争力の強化は当社グループの持続的な経営にとって重要であり、各社の競争状況、役割、ステージに応じた効果的な経営指導及び機動的かつ最適な経営資源の配分を行っていくことが必要であると認識しております。そのために、当社が各社の経営状態を的確に把握できる管理体制の強化に努めるとともに、複数の専門的かつ特徴的な企業文化、戦略を持つ各社の経営陣が、グループ内にてそれぞれのノウハウや情報交換等を密に行い、個々の経営力を拡充することができ、加えて、各グループ事業会社が成長に向け、迅速かつ最適な意思決定が可能となる組織体制及び環境を整えてまいります。また、各グループ事業会社の内部統制に係る体制につきましてもより一層の整備に努めることで、企業体質の強化を図ってまいります。

③ 本社機能の更なる強化

『グループ連邦経営』の当社の役割として、グループ全体の経営戦略を策定、実行することのほかに、各グループ事業会社が持続的な経営戦略の実行に集中できる環境(プラットフォーム)を提供することも必要であると認識しております。具体的には、各社の間接部門業務の集約化、標準化による効率性の向上と多様な立地・業態に対する開発機能の強化、原材料・設備等の集約化によるコスト面でのシナジーの最大化、食の安全・安心やコンプライアンスに関連する情報の提供等において一層の強化に取り組み、各社の収益性の最大化に資する支援体制強化に努めるとともに、グループガバナンスの更なる強化に取り組んでまいります。

④ グローバル展開

現在、当社グループは直営にてアジア3か国、北米1か国に拠点を有しておりますが、継続的な海外への展開は重要な課題の一つととらえております。それぞれの拠点が自律的に経営を行うこと、M&A及び出店により、ポートフォリオを多様化すること、経営を支えるグローバルな人財ネットワークを獲得すること等を通じて、グローバル市場において、基盤を固め『グローバル連邦経営』を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループの事業においてはこれら以外にも様々なリスクを伴っており、ここに記載されたものがリスクの全てではありません。また、文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)外食業界の動向について

① 新型コロナウイルス感染症の影響について

全世界へ急速に拡大した新型コロナウイルス感染症は、国内外に事業を展開する当社グループの事業活動に大きく影響しています。当社グループは、各国政府からの規制や要請に則り、営業時間の短縮や一時休業等に協力するほか、営業している店舗においても、換気や消毒の徹底、社会的距離の確保(ソーシャルディスタンス)等を実施し、従業員やお客様の安全・安心の確保を最優先に考えた店舗運営を行っております。しかし、緊急事態宣言の再発令等、新型コロナウイルス感染症の収束が長引く等の事象が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

② 食材調達について

食材調達につきましては、原油高、円安、ロシアのウクライナ侵攻、天候要因等の複合的な要因により、価格の高騰の可能性及び供給が不安定となる可能性があります。

当社グループにおきましては、様々な業態を運営しているため、特定の食材には依存していませんが、安全かつ安定した食材の確保及び仕入価格高騰抑制については、グループのシナジーを発揮し、情報を集約しつつ、仕入先との交渉を行うことで、その影響を最小限に止めるべく取り組んでおります。また、高騰した食材価格を吸収する手段としては、メニューを見直すことで、販売価格への転嫁や高騰した食材の使用割合を減らすこと等で対応しております。

③ 人財の確保について

人財の確保につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による外食業界からの人財流出と、足許の業績回復傾向の中で、必要な人財を確保できない可能性並びに人件費及び募集費の高騰の可能性があります。

当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の状況においても、極力雇用を維持するべく対応してまいりました。今後につきましては、募集方法を工夫しながら必要な人財を確保していくほか、配膳ロボットやモバイルオーダー、その他DXの活用により、省人化を進めていく方針です。また、人件費の高騰に対しては、メニューを見直すことで、販売価格への転嫁等も実施してまいります。

 

(2)当社グループのビジネスモデルに係るリスクについて

① 出店政策について

当社グループは、予め一定以上の集客を見込めるショッピングセンター、地下鉄を含む駅構内、百貨店等の商業施設、駅前、繁華街及び郊外ロードサイド等に出店しており、立地条件、賃貸条件、店舗の採算性等の観点から、好立地を選別した上で、出店候補地を決定してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、好立地の条件に変化が生じたことから、店舗立地の見直しや、賃料の値下げ交渉を進めております。

また、当社グループは、賃貸による出店形態を基本としており、賃貸借契約のうち、特に、定期賃貸借契約は、契約終了後再契約されない可能性があります。このような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 敷金・保証金について

当社グループは、賃借による出店形態を基本としており、出店等に際しては、賃貸人へ敷金・保証金を差し入れております。契約に際しては、賃貸人の信用状況の確認等を行い、十分検討しておりますが、今後、契約期間満了による撤退等が発生した際に、賃貸人の財政状況によっては、当該敷金・保証金の全部若しくは一部回収不能となる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 業態開発について

当社グループは、商業施設の価値向上といった商業デベロッパーのニーズに対して、新規に開発した業態を継続的に提案することに加え、駅前や繁華街においては、ドミナント戦略等により好調な業態の出店を加速させ、事業の拡大を図っております。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により市場の変化が加速する中、お客様に受け入れられる業態を開発できなかった場合には、売上収益が減少し、また、これにより商業デベロッパーとの関係が損なわれた場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 出退店時に発生する費用及び損失について

当社グループでは、新規出店時に什器、備品等の消耗品や、販売促進にかかる費用が一時的に発生するため、大量の新規出店や、期末に近い新規出店は、利益を押し下げる要因となります。また、新型コロナウイルス感染症への対応として、収益性改善のために業績の改善が見込めない店舗を閉鎖しておりますが、店舗閉鎖時においては、固定資産除却損、賃貸借契約解約及びリース契約解約による違約金等が発生するため、大量に店舗を閉鎖した場合には、一時的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑤ 商標権の管理について

当社グループは、多業態による店舗展開を行っており、多数の店舗ブランドを保有しているため、同一ブランドをチェーン展開する飲食企業と比較して、商標権侵害等による係争・訴訟のリスクが相対的に高いものと認識しております。そのため、新たな業態の店舗を出店する際には、商標の出願、登録を行うか、若しくは商標登録には馴染まない一般的な名称を用いた店舗名を使用する等、第三者の商標権を侵害しないように常に留意しております。

ただし、出店時における当社グループの調査内容が十分である保証はなく、当社グループの見解が法的に常に正当性があるとは保証できません。万が一、当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害していると認定され、その結果、損害賠償請求、差止請求等がなされた場合、若しくは、当該事項により当社グループの信用力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、現在商標権に関する重大な係争・訴訟はありません。

⑥ 人財の育成について

当社グループは、各社員の創意工夫がサービス力の強化、競争力の向上に寄与すると考えているため、店舗の運営、サービス提供方法等については、画一的な運用を行わず、現場における創意工夫を活かす仕組みとしております。その結果、各業態、各店舗によって、お客様に提供する料理、サービス内容及び店舗運営方法等が異なっており、また、各店舗における顧客満足度は、各店舗で提供するサービスの水準に影響を受けることとなります。そのため、当社グループは人財の育成及び確保を経営上の重要課題であると認識しております。

人財育成については、お客様へのより一層のサービス向上と店舗運営に焦点をあてたオペレーション教育、店舗マネジメント教育を計画的に実施できるよう教育・研修システムの整備を進めていく方針であります。

ただし、今後においても当社グループは業態開発及び店舗網の拡大を図っていく方針であるため、業容に見合った人財の育成が出来ない場合には、サービスの質の低下による信用力の低下が生じ、または、出店計画どおりの出店が困難となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑦ 食品の安全管理について

当社グループは、お客様に安心・安全でおいしい商品を提供するため、衛生管理マニュアル等に基づき、各店舗及び一部のグループ事業会社が保有しているセントラルキッチン等において、食中毒の発生を未然に防ぐべく、品質管理及び衛生管理を徹底し、食品事故の予防に努めております。また、社長直轄に「食の安全安心推進室」を設置し、従業員への教育・指導の徹底、アレルゲン管理や定期的な検査の実施等、食の安全性に対する体制強化に取り組んでおります。しかしながら、万が一食中毒や異物混入などの衛生問題が発生した場合には、当社の商品に対する信用力の低下や企業イメージの失墜等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)法的規制等について

当社グループの事業は、「食品衛生法」、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「健康増進法」、「労働基準法」、「食品表示法」、「プラスチック資源循環法」等の法的規制があります。今後の社会情勢の変化等により、これらの法的規制が強化され、その対応のため新たなコストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)金利変動の影響について

当社グループは、出店時における設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における総資産に占める有利子負債(リース負債を除く。)の割合は31.0%となっております。現在は、当該資金を主として固定金利に基づく長期借入金により調達しているため、一定期間においては金利変動の影響を受けないこととなりますが、新たに借り換え等を行う際、資金調達コストが変動している場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が抑制されるまでに必要な運転資金については、適切な手元流動性の水準を確保しております

 

(5)災害等及び感染症等の流行による影響について

当社グループは、国内外に店舗展開しておりますが、地震や津波、台風等の自然災害の発生や、自然災害に起因するライフラインや交通網の遮断・制限、感染症の流行等により、来店客数の減少、原材料の調達の阻害や従業員の人員の確保ができない場合は、店舗運営に支障をきたし、営業が困難となることから、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。足許においては、新型コロナウイルス感染症の動向により、売上収益が左右される状況が続いており、流行の長期化等によっては、今後の当社グループの業績への影響は大きいものと予想されます。

 

(6)インターネット等による風評被害に伴うリスク

当社グループは、SNSサイトへの不適切な書き込み等に対し、WEBリスクモニタリングを導入し、企業ブランドに悪影響を与えるリスク投稿を早期に検知する体制を整えております。しかしながら、当社の所有する商標等の不正利用、商品への異物混入や調理設備の不適切使用等、インターネット上の掲示板やSNS等への書き込みに伴うマスコミ報道等による風評被害が拡散した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループの財政状況及び業績、社会的信用等に重大な影響を与える可能性があります。

 

(7)訴訟に伴うリスクについて

当社グループは、事業を展開していくにあたり、顧客や取引業者、従業員を含む第三者等による様々な訴訟の対象となる可能性があります。現在、当社グループの業績に重大な影響を与える訴訟等は提起されておりませんが、業績に重大な影響を与える訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)情報システムへの依存リスクについて

当社グループは、店舗運営、食材の仕入れ等の主要業務を情報システムに依存しており、セキュリティガイドラインに基づき、コンピュータウイルスや外部からのサイバー攻撃などの悪意のある攻撃に対し、適切な予防策を実施してリスクの低減を図っておりますが、万が一これらの攻撃等により情報システムに障害が生じた場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)海外展開におけるカントリーリスクについて

当社グループは、海外へ店舗展開しておりますが、海外子会社及び関連会社の進出国における、市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、習慣や為替、その他の様々なカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)有形固定資産の減損損失に係るリスクについて

当社グループは、多様な立地に店舗を展開しており、店舗に係る建物及び構築物等の有形固定資産を保有しております。そのため、環境の変化等により店舗の収益性等が著しく低下し、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)M&A等によるのれん・無形資産に係るリスクについて

当社グループは、成長戦略の一つとして、シナジー効果が期待できるM&Aを多数行ってまいりました。そのため、当社グループが予め想定しなかった結果が生じ、のれんや無形資産の評価額が帳簿価額より著しく低下する場合には、減損損失を計上し、当社グループの財政状況及び業績に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。

 

(1)業績

(単位:百万円)

 

前連結会計年度
(自 2020年3月1日
   至 2021年2月28日)

当連結会計年度
(自 2021年3月1日
   至 2022年2月28日)

増減

増減率(%)

売上収益

74,425

78,324

3,898

5.2

営業利益又は営業損失(△)

△14,181

7,633

21,814

親会社の所有者に帰属する当期利益又は親会社の所有者に帰属する当期損失(△)

△13,874

5,919

19,793

調整後EBITDA

5,130

27,088

21,957

428.0

調整後EBITDAマージン(%)

6.9

34.6

27.7

401.4pt

店舗数(店)

1,076

1,037

△39

△3.6

 

 

当連結会計年度におけるわが国経済は、前年に引き続き新型コロナウイルス感染症の流行による影響を受けました。政府から発令された2度目の緊急事態宣言は2021年3月に解除され、経済活動は一旦持ち直しの動きが見られたものの、感染の再拡大により、2021年4月以降には3度目の緊急事態宣言の発令、及びまん延防止等重点措置の適用が断続的に行われ、2022年2月末日時点では31都道府県にまん延防止等重点措置が適用されておりました。しかしながら、足許においては、ワクチン3回目接種の加速や治療薬の普及が図られること等により、経済活動の持ち直しが期待されております。

外食産業におきましては、リモートワークの浸透や会食の自粛等、生活様式の変化への対応が求められ、加えて、政府や各自治体からの緊急事態宣言の発令及びまん延防止等重点措置の適用に係る各種要請等により、営業自粛や営業時間短縮等に伴う客数の減少が断続的に続きましたが、各自治体による協力金制度の下支えもあり、厳しい経営環境には改善が見られました。

こうした中、当社グループにおきましては、感染拡大防止に協力するとともに、お客様及び従業員の健康を守るべく、政府や各自治体からの営業時間短縮や、酒類提供禁止の要請に真摯に対応し、特に繁華街の居酒屋業態等においては、一定期間において多くの店舗を一時休業いたしました。その一方で、前連結会計年度から継続して人件費・家賃等固定費を圧縮する運営の強化を図るとともに、不採算店舗を中心とした退店を徹底して、筋肉質なコスト構造への転換を推し進め、併せて、雇用調整助成金や時短営業等に対する協力金の申請を行うことで、新型コロナウイルス感染症の影響による売上収益の減少に対応できる体制を整備し、維持しております。また、2021年8月に立ち上げたDX推進室の主導により、グループにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みの一環として、モバイルオーダーの導入や、業態に合わせたアプリの活用等に注力し、さらには、2021年9月に設立した連結子会社SFPホールディングス社との購買企画機能を担う合弁会社によるサプライチェーンマネジメントの強化によって、コストダウンや食材価値の最大化を推進いたしました。これらの対応策により、依然新型コロナウイルス感染症の大きな影響を受けながらも、売上収益の減少に対応できる体制を整備することができ、その結果、当連結会計年度において営業利益及びその他の各段階利益において黒字が確保できました。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が抑制されるまでに必要な運転資金については、手許資金及び前連結会計年度に実行した金融機関からの借入等により十分確保したほか、2021年11月に公募増資、2021年12月に第三者割当増資による資本調達を実施し、財務面の安定性の強化を図りました。また、2023年2月期からの再成長期間に向けて、2022年2月には借入金の一部返済を実施することで、手元流動性の水準を適正化し、債務圧縮による金利負担の軽減と、財務体質の改善を図りました。

なお、当社グループの店舗数に関しましては、新規出店13店舗を行う一方で、業態変更12店舗、退店53店舗を実施し、当連結会計年度末における業務受託店舗等を含む連結店舗数は1,037店舗となりました。

以上の結果、当連結会計年度における売上収益は78,324百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は7,633百万円(前連結会計年度は営業損失14,181百万円)、税引前利益は7,134百万円(前連結会計年度は税引前損失15,021百万円)、当期利益は6,660百万円(前連結会計年度は当期損失15,571百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,919百万円(前連結会計年度は親会社の所有者に帰属する当期損失13,874百万円)となりました。また、調整後EBITDAは27,088百万円(前連結会計年度比428.0%増)、調整後EBITDAマージンは34.6%(前連結会計年度は6.9%)、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.6%(前連結会計年度は12.0%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は30.5%(前連結会計年度は18.6%)となりました(注)。

 

(注)当社グループの業績の有用な指標として、調整後EBITDA、調整後EBITDAマージン及び調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)を用いております。

調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン及び調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)の算出方法は以下のとおりです。

・調整後EBITDA=営業利益 + その他の営業費用 - その他の営業収益(協賛金収入、雇用調整助成金、協力金及び賃料減免分等を除く)+ 減価償却費 + 非経常的費用項目(株式取得に関するアドバイザリー費用等)

・調整後EBITDAマージン=調整後EBITDA ÷ 売上収益 × 100

・調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率):親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)か

らIFRS第16号の影響を除外した比率

 

報告セグメントにつきましては、当社グループは飲食事業以外の報告セグメントがないため、記載を省略しております。なお、飲食事業における主要カテゴリー毎の状況は以下のとおりです。

カテゴリー

前連結会計年度
 (自 2020年3月1日
   至 2021年2月28日)

当連結会計年度
 (自 2021年3月1日
    至 2022年2月28日)

店舗数
(店)

売上収益
(百万円)

構成比
 (%)

店舗数
 (店)

売上収益
 (百万円)

構成比
 (%)

CRカテゴリー

553

27,253

36.6

526

30,098

38.4

SFPカテゴリー

227

17,428

23.4

215

10,404

13.3

専門ブランドカテゴリー

243

25,542

34.3

241

26,772

34.2

海外カテゴリー

53

5,146

6.9

55

12,340

15.8

その他調整額

△944

△1.2

△1,291

△1.7

合計

1,076

74,425

100.0

1,037

78,324

100.0

 

 

(CRカテゴリー)

当カテゴリーは、株式会社クリエイト・レストランツ、株式会社クリエイト・ダイニング及び株式会社クリエイト・スポーツ&レジャーが運営する店舗で構成されており、商業施設を中心に多様なブランドにてレストラン及びフードコートを運営しているほか、ゴルフ場内レストラン等の受託運営を行っております。

当連結会計年度におきましては、株式会社クリエイト・レストランツが「CHEESE RESTAURANT RICOTTA」を出店したことにより、1店舗の新規出店、28店舗の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は30,098百万円となり、連結店舗数は526店舗となっております。

 

(SFPカテゴリー)

当カテゴリーは、SFPホールディングス株式会社、株式会社ジョー・スマイル及び株式会社クルークダイニングが運営する店舗で構成されており、都心繁華街を中心に「磯丸水産」、「鳥良商店」、「おもてなしとりよし」ブランド等の居酒屋を運営しているほか、熊本県や長野県においても居酒屋を運営しております。

当連結会計年度におきましては、都市部に海の幸・ごはん処「磯丸水産食堂」を出店したことにより、1店舗の新規出店、13店舗の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は10,404百万円、連結店舗数は215店舗となっております。

 

(専門ブランドカテゴリー)

当カテゴリーは、当社の国内子会社である株式会社LG&EW、株式会社YUNARI、株式会社グルメブランズカンパニー、株式会社KRホールディングス、株式会社ルートナインジー、株式会社遊鶴及び株式会社いっちょうが運営する店舗で構成されております。

当連結会計年度におきましては、株式会社KRホールディングスが「かごの屋」、「GOCONC」、「かやぶきの森珈琲」を、株式会社いっちょうが「海山亭いっちょう」を出店したことに加え、株式会社KRホールディングスが3店舗を業務受託したことにより、7店舗の新規出店、9店舗の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は26,772百万円、連結店舗数は241店舗となっております。

 

(海外カテゴリー)

当カテゴリーは、海外において展開している店舗で構成されており、シンガポール国内にて展開しているcreate restaurants asia Pte. Ltd.が運営する店舗、香港にて展開している香港創造餐飲管理有限公司が運営する店舗、台湾にて展開している台湾創造餐飲股份有限公司が運営する店舗、米国にて展開しているCreate Restaurants NY Inc.及びIl Fornaio (America) LLCが運営する店舗で構成されております。

当連結会計年度におきましては、香港にて「もみじ茶屋」を、米国にて「更科堀井」を、タイにて「かごの屋」を出店したことにより、4店舗の新規出店、3店舖の退店を実施いたしました。

以上の結果、当カテゴリーの当連結会計年度の売上収益は12,340百万円、連結店舗数は55店舗となっております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが27,109百万円の資金増(前連結会計年度は409百万円の収入)、投資活動によるキャッシュ・フローが759百万円の資金減(前連結会計年度比80.3%減)、財務活動によるキャッシュ・フローが42,206百万円の資金減(前連結会計年度は22,843百万円の収入)となり、さらに換算差額等を加味した当連結会計年度末の資金残高は21,502百万円(前連結会計年度比42.4%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は27,109百万円となりました。この主な要因は、減価償却費16,429百万円、税引前当期利益7,134百万円を計上したこと等によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は759百万円となりました。この主な要因は、差入保証金の回収による収入1,076百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出1,376百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によって使用した資金は42,206百万円となりました。この主な要因は、長期借入による収入16,310百万円、株式の発行による収入16,090百万円があった一方で、短期借入金の純減額32,145百万円、その他資本性金融商品の償還による支出15,000百万円、リース負債の返済による支出13,146百万円、長期借入金の返済による支出12,623百万円等によるものであります。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資、有利子負債の返済及び運転資金などであります。

当社は、事業活動等により創出したキャッシュ・フローに加えて、銀行借入、社債調達を行っているほか、コミットメント・ライン及び銀行信用枠の設定等により、多様かつ十分な資金調達手段を確保しております。

なお、重要な資本的支出の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

 

(4)仕入及び販売の状況

 

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。

 

カテゴリー名称

仕入高(百万円)

前年比(%)

CRカテゴリー

8,081

+9.7

SFPカテゴリー

3,167

△36.5

専門ブランドカテゴリー

8,520

+8.8

海外カテゴリー

2,576

+126.6

その他

△572

合計

21,773

+4.5

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.金額は、仕入価格で記載しております。

3.その他は、主に本社一括購入による仕入割戻であります。

4.上記の金額には、他勘定振替高は含まれておりません。

 

② 販売実績

当連結会計年度における販売実績をカテゴリー別に示すと、次のとおりであります。

 

カテゴリー名称

販売高(百万円)

前年比(%)

CRカテゴリー

30,098

+10.4

SFPカテゴリー

10,404

△40.3

専門ブランドカテゴリー

26,772

+4.8

海外カテゴリー

12,340

+139.8

その他

△1,291

合計

78,324

+5.2

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.その他は、主に業務受託収入であります。

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グル-プの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の判断及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、133,605百万円(前連結会計年度比17.5%減)となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が15,809百万円、有形固定資産が10,110百万円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末の負債は、102,874百万円(前連結会計年度比25.8%減)となりました。この主な要因は、社債及び借入金が28,877百万円、リース負債が5,629百万円減少したこと等によるものであります。
 当連結会計年度末の資本は、30,730百万円(前連結会計年度比32.1%増)となりました。

 

③ 当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容

当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止に協力するとともに、お客様及び従業員の健康を守るべく、政府や各自治体からの営業時間短縮や、酒類提供禁止の要請に真摯に対応し、特に繁華街の居酒屋業態等においては、一定期間において多くの店舗を一時休業いたしました。その一方で、前連結会計年度から継続して人件費・家賃等固定費を圧縮する運営の強化を図るとともに、不採算店舗を中心とした退店を徹底して、筋肉質なコスト構造への転換を推し進め、併せて、雇用調整助成金や時短営業等に対する協力金の申請を行うことで、新型コロナウイルス感染症の影響による売上収益の減少に対応できる体制を整備し、維持しております。

 

(売上収益)

当連結会計年度の連結売上収益は、政府や各自治体からの営業時間短縮や、酒類提供禁止の要請に真摯に対応し断続的に多くの店舗を休業や営業時間短縮した結果、78,324百万円(前連結会計年度比5.2%増)となりました。

 

(営業利益、調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン)

営業利益は、前連結会計年度から継続して人件費・家賃等固定費を圧縮する運営の強化を図るとともに、不採算店舗を中心とした退店を徹底して、筋肉質なコスト構造への転換を推し進め、併せて、雇用調整助成金や時短営業等に対する協力金の申請を行ったこと、保守的に減損損失の計上を行ったこと等により、7,633百万円(前連結会計年度は△14,181百万円)となりました。

また、調整後EBITDAは27,088百万円(前連結会計年度比428.0%増)、調整後EBITDAマージンは34.6%(前連結会計年度は6.9%)となりました。

 

親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)

当社グループは、感染拡大が抑制されるまでに必要な運転資金については、手許資金及び前連結会計年度に実行した金融機関からの借入等により十分確保したほか、2021年11月に公募増資、2021年12月に第三者割当増資による資本調達を実施し、財務面の安定性の強化を図りました。また、2023年2月期からの再成長期間にむけて、2022年2月には借入金の一部返済を実施することで、手元流動性の水準を適正化し、債務圧縮による金利負担の軽減と、財務体質の改善を図りました。これらの結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.6%(前連結会計年度は12.0%)、調整後親会社所有者帰属持分比率(調整後自己資本比率)は30.5%(前連結会計年度は18.6%)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、「わくわく無限大! 個性いろいろ ともに創る 驚きの未来。」というグループミッションに基づき、個性豊かな事業会社の強みを活かしながら、様々な可能性に挑戦し、お客様だけでなく従業員や社会が驚くような未来を創ることにより、豊かな食生活への貢献を目指してまいります。

当社グループは、新型コロナウイルス感染症への対応として、人件費・家賃等固定費を圧縮する運営の強化を図るとともに、不採算店舗を中心とした退店を徹底して、筋肉質なコスト構造への転換を推し進めました。

一方で、中期経営計画の3本の柱に沿い、「アフターコロナを見据えたポートフォリオ見直し」としては、「日常」、「定番」、「地域密着」、「低投資」をキーワードに、業態変更、モビリティビジネスへの参入、コントラクト事業・SAPA事業の強化、グループ内の業態変更、FC活用・メニューの相互活用等を図っております。

「グループ連邦経営の更なる進化」としては、持株会社であるクリエイト・レストランツ・ホールディングスの求心力を強化し、経営人財のグループ横断的な人財配置、本社業務・機能の統合(SFPホールディングス社との合弁による、経理・人事事務を担うクリエイティブ・サービス社及び購買企画機能を担うCMD社の設立、立地情報の集約による投資・撤退判断の一本化、店舗設計・修繕業務の一本化等)、グループ事業会社の再編によるコントラクト事業強化(クリエイト・レストランツ社とクリエイト・スポーツ&レジャー社の統合等)、グループ内業態変更・グループ内FCの推進、店舗サービスの付加価値向上を図るためのメニューの相互活用等に取り組んでおります。

「DX推進による生産性の向上・人財不足への対応」としては、ソフトバンク社との提携による同社の知見も活かしながら、①バックオフィス業務の効率化(ワークフロー、経費精算システム、RPAの導入検討、ペーパレス化のプラン策定等)②店舗業務の省人化、コスト削減、サービス向上、売上収益拡大項目として、モバイルオーダーシステムの導入、配膳ロボットのテスト導入、デジタルマーケティングの推進等を行っております。

次期につきましても、新型コロナウイルス感染症の対策として取り組んだコストの徹底削減により実現した筋肉質な経営体制を維持強化することに注力し、利益の確保を図る一方で、上述の中期経営計画の3本の柱に沿って、各種施策に取り組み、事業基盤を強化してまいります。

以上を踏まえ、2023年2月期の通期業績予想といたしましては、売上収益1,150億円、営業利益73億円、税引前利益68億円、当期利益51億円、親会社の所有者に帰属する当期利益45億円を見込んでおります。また、調整後EBITDAは247億円、調整後EBITDAマージンは21.5%を見込んでおります。

 

当社グループは、引き続き新型コロナウイルス感染症へ対応しつつ、利益の確保を図ってまいりますが、新型コロナウイルス感染症の更なる継続や、新業態の開発ができない等が生じた場合には、当社グループの業績予想に影響を与える可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。