当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当社グループは、パーパスを「笑顔につながる、まだ見ぬアイデア実現の母体となる」、提供価値を「デザインとエンジニアリングの力で、挑戦を支える」と定義した上で、「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンに掲げ、挑戦的な文化を醸成し、ITを軸とした様々な挑戦を積極的に進めていく企業を目指しております。
事業内容としては、企業、教育、医療の現場で活用されるモバイル端末の一元管理・運用を行うSaaS(Software as a Service)を提供する「CLOMO事業」を主軸に展開しております。また、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)やM&Aを通じた投資活動により、グループの持続的成長とスタートアップ企業の新たな価値創造を支える「投資事業」を運営しております。
組織面では、様々なライフイベントに応じた柔軟な働き方を実現するための各種制度を設け、性別や国籍を問わない採用活動により、多様性のある組織づくりを推進しております。また、人材育成のための研修などの成長支援を通じて、挑戦を積極的に行う文化の醸成に取り組んでおります。このような取り組みの結果、Great Place to Work® Institute Japanが世界共通の基準で従業員の意識調査を行う、「働きがいのある会社」ランキングにおいて、5年連続で働きがいのある会社として認定されております。
当中間連結会計期間においては、ワンビ株式会社の株式に対する公開買付けを実施しました。同社は、Windows PC向けの情報漏洩対策製品の開発・提供を主たる事業としており、Windows PCの管理・セキュリティ分野において豊富な知見と高い開発力を有しております。同社製品をCLOMOサービスの既存顧客にクロスセルすることで、CLOMO事業におけるARPU(注1)の向上を目指すとともに、同社が有する流通商社を中心とした販路を活用することで、CLOMOサービスのWindows PCへの導入を加速させ、顧客基盤のさらなる拡大を目指してまいります。
経営成績の状況について、売上高は、CLOMO事業でOEM提供による新規顧客の獲得が進んだことに加え、投資事業で営業投資有価証券の売却による売上が発生し、前年同期比で増加しました。売上原価は、CLOMO事業でソフトウェアに対する顧客からの要望に応じ、一部の軽微な改修を優先した結果、製造経費が増加したことに加え、投資事業における売上原価の発生により、前年同期比で増加しました。販売費及び一般管理費については、人件費の増加に加え、ワンビ株式会社の株式に対する公開買付けに係る諸費用等が発生したことにより、前年同期比で増加しました。なお、人件費は、積極的な採用活動や、2024年4月に完全子会社化した10KN COMPANY LIMTEDの損益計算書を当中間連結会計期間から連結対象に含めたことにより増加しております。
この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高1,716,554千円(前年同期比20.4%増)、営業利益423,960千円(前年同期比27.2%増)、経常利益422,187千円(前年同期比27.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益280,630千円(前年同期比26.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① CLOMO事業
CLOMO事業においては、2010年から提供を開始したモバイル端末管理ソフトウェアサービス「CLOMO MDM」及びモバイル端末向けアプリサービス「CLOMO SECURED APPs」を事業の主軸に、クラウドを利用したB to BのSaaS事業をサブスクリプションの形で提供しており、2024年12月に公表されたMDM市場(自社ブランド)シェアにおいて、2011年度から14年連続でシェアNo.1を達成しました(注2)。さらに、CLOMOサービスは2024年2月に「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)(注3)」に登録され、政府が求める高いセキュリティ水準をクリアしたサービスとして認められております。
当中間連結会計期間においては、引き続き、既存及び新規の販売パートナーとの連携を強化し、販売網を強化・拡大しております。また、自社ブランド製品であるCLOMO MDMの販売に加え、OEM製品の展開にも取り組んでおり、株式会社NTTドコモが提供するMDMサービス「あんしんマネージャーNEXT(注4)」へのOEM提供を行っております。
また、CLOMO事業のさらなる成長に向け、顧客基盤の拡大に加えて、ARPUの向上が重要であるため、オプションサービスの拡充戦略を推進しております。具体的には、セキュリティ対策製品や運用支援サービスなど、MDMの周辺サービスをラインナップし、クロスセルを通じたARPUの向上に取り組んでおります。
製品開発においては、CLOMOサービスのPC資産管理市場でのシェア獲得に必要となるWindows端末向けの機能強化のほか、他社製品との連携、オプションサービスの機能拡充など、顧客のニーズに応えるための開発活動に注力しております。さらに、従来より提供していたホーム画面カスタマイズアプリの機能を拡充し、新名称「CLOMO HOME」としてリリースしました。今回の機能拡充により、アプリを効率的に配置するフォルダ機能や、ユーザーが操作できる設定を残しつつ他の設定変更を制限する機能が追加され、管理者は業務用途外の使用を防ぎながら、モバイル端末をより効果的に運用できるようになります。
これらの取り組みにより、導入法人数は7,694社(前連結会計年度末に比べ984社、14.7%増)に達しました。
この結果、売上高は1,595,562千円(前年同期比11.9%増)、営業利益は411,598千円(前年同期比20.6%増)となりました。
なお、サービス別の内訳は次のとおりであります。
② 投資事業
投資事業では、ベンチャーキャピタル子会社である株式会社アイキューブドベンチャーズを通じてアイキューブド1号投資事業有限責任組合を設立し、CVCとして投資活動を推進しております。
主な投資対象はモバイル、SaaS、セキュリティ等、当社事業領域と親和性の高い企業、社会課題解決型企業及び当社グループが本社を置く九州の地場で活動している企業としております。また、当社グループの新たな市場領域への進出及び収益源の創出を図るべく、M&Aを通じた新事業開発にも積極的に取り組んでおります。
当中間連結会計期間においては、新たに2社(注5)へ投資し、累計投資社数は9社となっております。また、アイキューブド1号投資事業有限責任組合における営業投資有価証券の売却による収益を当中間連結会計期間において計上しました。
この結果、売上高は120,991千円(前年同期は-千円)、営業利益は12,361千円(前年同期は営業損失7,909千円)となりました。
(注) 1.Average Revenue Per Userの略称であり、導入法人数当たりの平均月間単価。
2.出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/)」2011~2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号: https://mic-r.co.jp/micit/2024/)」2014~2023年度出荷金額・2024年度出荷金額予測。
3.政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを予め評価・登録することにより、政府のクラウドサービス調達におけるセキュリティ水準の確保を図り、円滑に導入できることを目的とした制度です。本制度は「政府情報システムにおけるクラウドサービスのセキュリティ評価制度の基本的枠組みについて」(2020年1月30日サイバーセキュリティ戦略本部決定)に基づき、内閣サイバーセキュリティセンター・デジタル庁・総務省・経済産業省が運営しています。
4.株式会社NTTドコモが提供しているモバイル端末管理サービスです。主に、社員・生徒に貸与したモバイル端末に対して紛失・盗難時に有効な「ロック/初期化」機能や、「カメラ制御」「利用可能アプリの制限」などのセキュリティ機能、「アプリ配信」などのデバイス管理業務効率化機能を備えています。
5.アイキューブド1号投資事業有限責任組合の決算日は連結決算日と異なっており、当中間連結会計期間においては、同組合の2024年9月30日に終了する中間会計期間の財務諸表を連結しております。そのため、当該投資につきましては当中間連結会計期間の連結財務諸表には反映されておりません。
(2) 財政状態の状況
当中間連結会計期間末における財政状態については次のとおりであります。
(資産)
総資産は3,546,665千円となり、前連結会計年度末に比べ62,573千円の減少となりました。これは主に、営業投資有価証券が99,992千円、ソフトウエアが73,795千円、のれんが18,436千円、売掛金が15,772千円減少し、投資その他の資産が65,354千円、ソフトウエア仮勘定が47,277千円、現金及び預金が34,498千円増加したことによるものです。
(負債)
負債は853,178千円となり、前連結会計年度末に比べ176,495千円の減少となりました。これは主に、契約負債が121,873千円、未払法人税等が34,914千円、その他流動負債が27,718千円減少し、賞与引当金が7,157千円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は2,693,486千円となり、前連結会計年度末に比べ113,921千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益の計上に伴い利益剰余金が280,630千円増加し、剰余金の配当に伴い利益剰余金が163,314千円減少したことによるものです。この結果、自己資本比率は75.6%(前連結会計年度末は71.2%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,845,630千円となり、前連結会計年度末に比べ34,563千円の増加となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は402,235千円(前年同期は得られた資金517,549千円)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益422,187千円、減価償却費161,715千円、契約負債の減少額121,873千円、営業投資有価証券の減少額99,992千円、法人税等の支払額189,136千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は205,446千円(前年同期は使用した資金896,544千円)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出132,693千円、その他の投資活動による支出68,778千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は161,391千円(前年同期は使用した資金158,037千円)となりました。これは主に、配当金の支払額163,291千円によるものです。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における研究開発活動の金額は8,084千円であり、CLOMO事業に係るものであります。
なお、当中間連結会計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社は、2024年11月29日開催の取締役会において、ワンビ株式会社(証券コード:5622)の株式を金融商品取引法に基づく公開買付けにより取得することを決議いたしました。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表」の「注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。