第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(令和2年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループのミッションは「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する。」であり、この精神をベースに「キラリと光る、価値ある企業グループ」となることを目指しています。

このビジョンを実現するために、「私たちが大切にする価値観」として、

・誠実であること Sincerity

・奉仕すること Service

・協力すること One-NCI

・創造すること Innovation

を掲げています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 当社グループは、会社の経営の基本方針に基づき、「2025年のありたい姿」を定めました。

コア事業のうち、高付加価値ビジネスを成長戦略とし、未来の社会に幅広く貢献する持続的成長可能な化学系企業グループを目指します。

・コア事業        =電子・機能製品事業、フィルム・シート事業

・戦略分野        =高機能樹脂、機能性フィルム

・成長戦略        =戦略分野×注力領域(セーフティ、モビリティ)

                  ×成長地域(アジア(現拠点を軸に))

 

 また、「2025年のありたい姿」に向けた中期経営計画“NCI-2021”を策定、「成長戦略への本格転換」を図っています。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大がわが国経済並びに世界経済に深刻な影響を及ぼしており、予断を許さない状況にあります。

 このような環境のなか、昨年定めました「2025年のありたい姿」については、その目標及びそれに向けた大きな戦略は維持したいと考えております。

 一方、“NCI-2021”の計画につきましては、新型コロナウイルス感染症の終息時期や市場の動向を見据えたうえで、見直しを検討いたします。

 更に「2025年のありたい姿」の実現の時期と戦術についても再検討いたします。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(令和2年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)新型コロナウイルス感染症

 今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、当社グループの事業活動に影響を与えており、その終息時期によっては、経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループは、人と人との接触削減のための各種施策(時差出勤、在宅勤務、出張自粛、会議の見直し等)など従業員の安全と健康を最優先にした対応を徹底し、国内外の拠点における生産、販売、在庫、物流、資金管理状況等の情報収集に努め、これらを通じて新型コロナウイルス感染症の影響の極小化を図るとともに、その予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。

 

(2)コア事業関連市場の経済状況

 当社グループのコア事業である電子・機能製品並びにフィルム・シート製品は、医療・農薬関連市場、半導体・スマートフォン・タブレット関連市場、自動車関連市場等の影響を受けるため、これらの関連市場における販売数量の減少や価格の下落を通じて、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは変動費・固定費の削減を推進し、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを進め、これら市場変化に対するリスクの低減に努めております。

 

(3)海外での事業活動

 当社グループは、連結子会社の過半が在外子会社であり、世界各地で生産・販売活動を展開しております。これらの海外拠点や事業展開している国及び地域では、予期できない法令の変更、輸出入・外資の規制、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的、政治的混乱等のリスクが存在します。

 これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタントの起用等を通じて、その予防・回避に努めていますが、これらが顕在化した場合は、グローバルな事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)原材料価格の変動

 当社グループ製品の原材料は、ナフサ価格やアルミ地金価格の変動の影響を受けることがあり、特に粘・接着剤、電子素材、建材関連、エンジニアリング等の事業で、原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、これらがコスト削減額を上回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、国内外を含め新たな調達先の調査、新素材・技術の研究をすることで、原材料価格の変動に対応するよう努めております。

 

(5)為替レートの変動

 当社グループは、電子素材、フィルム・シート製品を中心として海外で大きく事業を展開しております。為替レートの変動は、ストック面では連結財務諸表の換算において、フロー面では販売価格の設定や仕入価格において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えます。

 当社グループでは、一部取引で為替予約を行いリスク低減に努めております。

 

(6)固定資産の価値下落

 当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等や遊休資産化に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)事故災害

 当社グループの各工場においては、事故や災害による損害防止のため、日常において設備の点検や各種安全活動等を行っております。しかし、これらの活動等にもかかわらず、万一、火災・爆発等の事故災害が発生し、当社グループの業務や地域社会に大きな影響を及ぼした場合、生産活動による機会損失や補償等を含む事故対応費用等が、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)自然災害

 当社グループは、自然災害の発生に備えて、リスク管理マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、事業継続計画の想定を超えた大規模な自然災害により、事業活動の中断、生産設備の被災、交通遮断による製品輸送停止、原材料の仕入れ先又は製品の販売先等の被災・操業停止、経済活動の停滞、電力不足に伴う工場稼働への制約等、不測の事態が発生することが考えられます。

 当社グループ又は当社グループのサプライチェーンにおいて、これらの不測の事態の発生により、長期にわたる生産の中断があった場合は、売上高の減少等により、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)訴訟等

 当社グループでは、コンプライアンスの重要性を認識し、法令及び社会規範の遵守の徹底を図っております。当連結会計年度末において、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、国内及び海外事業においては常に訴訟の対象となるリスクが存在しているものと考えております。将来、重要な訴訟が提起された場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、コンプライアンスは事業活動の大前提であるとし、リスク管理や従業員啓発の研修等を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。

 

(10)知的財産権

 当社グループは、知的財産の重要性を認識し、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めておりますが、当社の技術を十分に保護できなかった場合や、当社権利が違法に侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、他者の知的財産権に対して細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害したと認定され損害賠償の責任を負う場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)製造物責任

 当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム(ISO9001)に従って、各々の製品の特性に応じて最適な品質・性能の確保に万全を期しておりますが、予期せぬ事象により大規模な製品事故が発生する可能性があります。万一の場合に備えて賠償責任保険を付保しておりますが、そのカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)環境規制

 主に製造業を営む当社グループは、生産効率向上による環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに取り組んでおります。しかしながら、環境関連規制は年々強化・見直しされる方向にあり、規制の内容によっては製造、保管、処分等に関連する費用が発生し、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)システムリスク

 当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っておりますが、サイバー攻撃やコンピューターウイルスの感染・攻撃、天災、その他の不測の事態が発生し、システムの復旧等に時間を要した場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化など、不測の事態による業務停止からの早期復旧に関して継続的に対策を講じております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の改善等を背景に個人消費が牽引役となり、景気は底堅く推移しているものの、米中貿易摩擦の長期化の影響を受け、中国では景気減速が継続し、欧州諸国やアジア新興国では成長ペースが鈍化しました。また、今年に入り新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により、不透明感が一段と増しました。一方、わが国では、設備投資や個人消費は緩やかに増加しているものの、輸出や生産は力強さを欠いた状況が続きました。

 当社グループにおいては、電子材料等の電子・機能製品の減販に加え、中国や東南アジア地域での景気減速の影響を受けました。

 このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は46,699百万円と前連結会計年度比1,952百万円(4.0%減)の減収、営業利益は2,557百万円と前連結会計年度比92百万円(3.5%減)の減益、経常利益は2,817百万円と前連結会計年度比302百万円(9.7%減)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は1,741百万円と前連結会計年度比58百万円(3.3%減)の減益となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、当社の取締役会にて報告される当社グループの事業活動における経営資源の配分の決定や業績の評価などの検討に使用している経営指標を経常利益から営業利益に変更したことに伴い、セグメント利益も経常利益から営業利益に変更しております。

 この変更に伴い、前連結会計年度のセグメント利益も営業利益に変更したうえで比較しております。

 

(電子・機能製品)

 当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬・中間体などの機能化学品、粘・接着剤やトナー用樹脂などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。

 機能化学品は農薬向けが低調であったものの、医薬関連は堅調に推移し、前連結会計年度比減収増益となりました。機能樹脂は、光学関連分野向け粘・接着剤の需要が低調となり、前連結会計年度比減収減益となりました。電子素材は半導体用金型クリーニング材が市況の悪化により海外での販売が伸びず、また、セラミック基板は車載向けが振るわず、ともに前連結会計年度比減収減益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は18,434百万円と前連結会計年度比596百万円(3.1%減)の減収となったものの、セグメント利益は1,646百万円と前連結会計年度比52百万円(3.3%増)の増益となりました。

 

(フィルム・シート製品)

 当該事業の主な取扱製品は、マーキングフィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。

 マーキングフィルムは、国内及び海外ともに低調に推移し、前連結会計年度比減収減益となりました。ステッカーは、インドネシアやブラジルでの販売は好調に推移しましたが、ベトナムなどでの販売が低迷し、前連結会計年度比減収減益となりました。再帰反射シートは、欧州や中国向けの販売が総じて振るわず、前連結会計年度比減収減益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は15,614百万円と前連結会計年度比755百万円(4.6%減)の減収、セグメント利益は689百万円と前連結会計年度比729百万円(51.4%減)の減益となりました。

 

(建材関連)

 当該事業の主な取扱製品は、ビル・住宅用アルミ建材や内装建材用プラスチック押出製品などでありますが、住宅着工戸数の減少などにより、主力の手摺、笠木等の販売が低迷し、前連結会計年度比減収となりました。一方、アルミ地金価格の低下による原価低減などもあり、前連結会計年度比増益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は9,259百万円と前連結会計年度比507百万円(5.2%減)の減収となったものの、セグメント利益は491百万円と前連結会計年度比284百万円(137.2%増)の増益となりました。

 

(エンジニアリング)

 当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・環境分野の産業プラントの設計・施工などでありますが、国内向け工事案件の完工が増加したことなどにより、前連結会計年度比増収増益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は4,894百万円と前連結会計年度比86百万円(1.8%増)の増収、セグメント利益は128百万円と前連結会計年度比55百万円(75.3%増)の増益となりました。

 

 また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。

 

(資産の部)

 総資産は、前連結会計年度末比632百万円増加し、61,242百万円となりました。

 このうち、流動資産は、現金及び預金や受取手形及び売掛金の増加などにより、前連結会計年度末比1,653百万円増加し、33,241百万円となりました。固定資産は、基幹システム導入による無形固定資産の増加はあったものの、有形固定資産の減価償却や投資有価証券の時価下落などにより、前連結会計年度末比1,020百万円減少し、28,000百万円となりました。

 

(負債の部)

 負債は、前連結会計年度末比363百万円減少し、35,280百万円となりました。

 このうち、流動負債は、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末比229百万円減少し、21,370百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少などにより、前連結会計年度末比133百万円減少し、13,909百万円となりました。

 

(純資産の部)

 純資産は、投資有価証券の時価下落や円高に伴う為替換算調整勘定の減少はあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比996百万円増加し、25,962百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の39.0%から0.9ポイント改善し、39.9%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは2,736百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは503百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動と投資活動による各キャッシュ・フローの合計)は2,233百万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは425百万円の支出となりました。また、現金及び現金同等物の当期末残高は前連結会計年度末比1,754百万円増加して8,710百万円となりました。

 なお、各キャッシュ・フローの主な増減内容は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 運転収支の悪化により、前連結会計年度比3,158百万円収入が減少しました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 定期預金の預入による支出の減少などにより、前連結会計年度比758百万円支出が減少しました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期借入金の返済が減少したことなどにより、前連結会計年度比1,476百万円支出が減少しました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

16,286

△7.7

フィルム・シート製品

14,535

△4.0

建材関連

3,426

△0.9

エンジニアリング

合計

34,249

△5.5

(注)1 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

5,216

△11.0

852

△20.5

フィルム・シート製品

建材関連

エンジニアリング

5,211

32.6

2,631

13.7

合計

10,428

6.5

3,483

2.9

(注)1 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

18,434

△3.1

フィルム・シート製品

15,614

△4.6

建材関連

9,259

△5.2

エンジニアリング

4,894

1.8

調整額

△1,503

合計

46,699

△4.0

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2 調整額の内容については、「注記事項 セグメント情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(令和2年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比632百万円増加し、61,242百万円となりました。

 このうち、流動資産は、現金及び預金や受取手形及び売掛金の増加などにより、前連結会計年度末比1,653百万円増加し、33,241百万円となりましたが、固定資産は、前連結会計年度末比1,020百万円減少し、28,000百万円となりました。

 有形固定資産は、設備投資が減価償却費を下回ったこともあり、前連結会計年度末比600百万円減少し、23,997百万円となりましたが、無形固定資産は、基幹システムの導入により前連結会計年度末比304百万円増加し、913百万円となりました。一方、投資その他の資産は、投資有価証券の時価の下落などにより、前連結会計年度末比724百万円減少し、3,089百万円となりました。

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比363百万円減少し、35,280百万円となりました。

 このうち、流動負債は、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末比229百万円減少し、21,370百万円となり、固定負債は、設備投資計画の遅れもあり、長期借入金の調達が返済を下回ったことなどから、前連結会計年度末比133百万円減少し、13,909百万円となりました。

 なお、当連結会計年度末の受取手形割引高を含む有利子負債残高は、前連結会計年度末比58百万円減少し、17,422百万円となりました。

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比996百万円増加し、25,962百万円となりました。

 このうち、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末比1,458百万円増加し、18,265百万円となりましたが、その他の包括利益累計額は、投資有価証券の時価の下落や円高に伴う為替換算調整勘定の減少などから、前連結会計年度末比674百万円減少し、6,176百万円となりました。

 なお、自己資本比率は前連結会計年度末の39.0%から39.9%と0.9ポイント改善しました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、電子・機能製品、フィルム・シート製品を中心として、米中貿易摩擦の長期化の影響を受け、欧州、中国、ベトナムなどでの販売が減少したことにより、46,699百万円と前連結会計年度比1,952百万円(4.0%減)の減収となりました。

(営業利益)

 売上原価は、人件費等の増加はあったものの、電子・機能製品、建材関連製品を中心とした、原材料価格の低下などによる原価低減などにより、32,838百万円と前連結会計年度比1,732百万円(5.0%減)の減少となりました。

 また、販売費及び一般管理費は、基幹システム導入に伴う費用の増加はあったものの、売上高の減少に伴う支払運賃等の減少などにより、11,303百万円と前連結会計年度比127百万円(1.1%減)の減少となりました。

 この結果、営業利益は、2,557百万円と前連結会計年度比92百万円(3.5%減)の減益となりましたが、営業利益率は5.5%と前連結会計年度(5.4%)から若干上昇しました。

(経常利益)

 前連結会計年度は営業外収益に為替差益152百万円、当連結会計年度は営業外費用に為替差損104百万円を計上したことなどにより、経常利益は、2,817百万円と前連結会計年度比302百万円(9.7%減)の減益となりましたが、経常利益率は6.0%と前連結会計年度(6.4%)から若干下落したものの、6%台を維持しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 減損損失や固定資産除却損などの特別損失が減少した一方、法人税等や非支配株主に帰属する当期純利益は増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,741百万円と前連結会計年度比58百万円(3.3%減)の減益となりました。

 

 なお、当社の連結子会社の過半を占める在外子会社は、主として12月末を決算日としていることもあり、当連結会計年度の経営成績における新型コロナウイルス感染症による影響は軽微でありました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増減額が、前連結会計年度2,211百万円の減少から、当連結会計年度734百万円増加に転じたことなどに伴う運転収支の悪化などにより、前連結会計年度比3,158百万円収入が減少しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資計画の遅れもあり、有形固定資産の取得による支出が前連結会計年度比449百万円減少したことなどにより、前連結会計年度比758百万円支出が減少しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、運転収支の悪化の影響などから、借入金の返済が減少したことなどにより、前連結会計年度比1,476百万円支出が減少しました。

 なお、配当金の支払額は、前連結会計年度245百万円(1株当たり30円)から当連結会計年度327百万円(1株当たり40円)へ増加しました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。

 また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 また、会計上の見積りに関する新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「追加情報」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動につきましては、素材部門から高付加価値部門への展開を図るなかで、コア事業及びコア技術に重点を置くという当社の基本方針を踏まえ、グループ各社とも研究開発のテーマを厳選し、早期に事業化を図るべく注力しております。

 特に新規商品開発に関しましては、当社のコア技術であるフィルム・シート技術と樹脂重合技術、セラミックスの焼成技術を融和させてIT関連、自動車関連、環境対応関連の製品開発に積極的な活動を行っております。

 

 セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(電子・機能製品)

機能化学品については、医薬品・農薬向けや電子材料分野向けに、シアナミド誘導体、アセチレン誘導体の開発を中心としたファインケミカル製品の研究開発を行っております。

 機能樹脂製品では、光学関連分野向け粘・接着剤を中心に医療・化粧品及び環境対応樹脂、環境対応難燃剤の開発にも注力しております。

 電子素材製品ではセラミック基板の高性能化、高付加価値化と半導体用金型クリーニング材の環境対応型製品の開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は728百万円であります。

 

(フィルム・シート製品)

 マーキングフィルムやステッカー製品では、自動二輪車や自動車向け装飾用フィルムや一体成型フィルム及びレーザー印字等の特殊ラベルを中心とした新製品の開発に取り組んでおります。

 再帰反射シートについては、高品質、機能付与による使用範囲の拡大等を重点とした研究開発を行っております。

 研究開発費の総額は750百万円であります。

 

(建材関連)

 住宅用アルミ建材では、簡易取付工法の手摺、ビル用建材では高意匠の硝子手摺の開発に取り組んでおります。また、室内用建材では環境問題、高機能を重視した商品開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は140百万円であります。

 

(エンジニアリング)

 産業プラント分野では、特殊バルブの内製化技術の開発や石炭ガス化複合発電における高圧下での安定的な微粉炭吹込技術の開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は16百万円であります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,024百万円であり、これには上記の各セグメントに含まれない空中ディスプレイ用リフレクターなどの新製品開発のほか、改良研究や技術サービスなど新規事業開発に係る研究費387百万円が含まれております。