文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(令和3年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループのミッションは「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する。」であり、この精神をベースに「キラリと光る、価値ある企業グループ」となることを目指しています。
このビジョンを実現するために、「私たちが大切にする価値観」として、
・誠実であること Sincerity
・奉仕すること Service
・協力すること One-NCI
・創造すること Innovation
を掲げています。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは、2019年に会社経営の基本方針に基づき、「2025年のありたい姿」を定め、これに向けた中期経営計画“NCI-2021”を策定しました。
4つの事業セグメントのうち、電子・機能製品事業及びフィルム・シート事業を「コア事業」と定め、さらにコア事業のうち、高機能樹脂及び機能性フィルムを「戦略分野」と位置付け、この2つの戦略分野を単独で、あるいは戦略分野と戦略分野を組み合わせることで「高付加価値ビジネス」を展開しております。また、研究・製造・販売業務の戦略分野間での融合を図り、新商品開発、新市場開拓をより一層推進してまいります。
さらに、注力領域を「セーフティ」と「モビリティ」、成長地域を「アジア」と定めました。戦略分野である高機能樹脂と機能性フィルムを、注力領域、成長地域を中心に、事業拡大を図るというのが、私たちの成長戦略となります。
なお、2019年に策定した中期経営計画“NCI-2021”の最終年度である2021年度の数値目標は、「コア事業」において、売上高420億円、営業利益45億円、営業利益率7.8%であります。
(3)経営環境及び対処すべき課題
2021年度は、米国の新大統領の政策や米中貿易摩擦の今後の展開、新型コロナウイルス感染症からの世界経済回復時期など不確実要素が多く存在する中、改めて成長のための施策を再構築し、成長の礎を築く年と位置付け、各事業において以下の主要課題への取組みを行ってまいります。
■電子・機能製品事業
中国での光学フィルム用粘着剤の販売本格化と、電子部品市場の好況継続を受けたセラミック基板等の拡販
■フィルム・シート製品事業
二輪車・四輪車の需要回復に伴い、ステッカー、再帰反射シートの東南アジア、欧州における販売強化
■建材関連事業
マンション建設の回復等による手摺や笠木等のアルミ建材の拡販
■エンジニアリング事業
グループ会社の大型案件獲得と主要なお客様への販売体制強化による売上の増加
「2025年のありたい姿」すなわち、「コア事業のうち、高付加価値ビジネスを成長戦略とし、未来の社会に幅広く貢献する持続的成長可能な化学系企業グループ」に向けては、その基本戦略は維持しつつ、新型コロナウイルス感染症への対応を図りながら必要な設備投資を確実に行ってまいります。一方、“NCI-2021”や「2025年のありたい姿」の数値目標の達成時期については、次期中期経営計画(2025年度までの4ヶ年)の中で再検討の予定であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(令和3年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)新型コロナウイルス感染症
今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、当社グループの事業活動に影響を与えており、その終息時期によっては、経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を与える可能性があります。
当社グループは、人と人との接触削減のための各種施策(時差出勤、在宅勤務、出張自粛、会議の見直し等)など従業員の安全と健康を最優先にした対応を徹底し、国内外の拠点における生産、販売、在庫、物流、資金管理状況等の情報収集に努め、これらを通じて新型コロナウイルス感染症の影響の極小化を図るとともに、その予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。
(2)コア事業関連市場の経済状況
当社グループのコア事業である電子・機能製品並びにフィルム・シート製品は、医療・農薬関連市場、半導体・スマートフォン・タブレット関連市場、自動車関連市場等の影響を受けるため、これらの関連市場における販売数量の減少や価格の下落を通じて、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは変動費・固定費の削減を推進し、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを進め、これら市場変化に対するリスクの低減に努めております。
(3)海外での事業活動
当社グループは、連結子会社の過半が在外子会社であり、世界各地で生産・販売活動を展開しております。これらの海外拠点や事業展開している国及び地域では、予期できない法令の変更、輸出入・外資の規制、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的、政治的混乱等のリスクが存在します。
これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタントの起用等を通じて、その予防・回避に努めていますが、これらが顕在化した場合は、グローバルな事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。
(4)原材料価格の変動
当社グループ製品の原材料は、ナフサ価格やアルミ地金価格の変動の影響を受けることがあり、特に粘・接着剤、電子素材、建材関連、エンジニアリング等の事業で、原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、これらがコスト削減額を上回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、国内外を含め新たな調達先の調査、新素材・技術の研究をすることで、原材料価格の変動に対応するよう努めております。
(5)為替レートの変動
当社グループは、電子素材、フィルム・シート製品を中心として海外で大きく事業を展開しております。為替レートの変動は、ストック面では連結財務諸表の換算において、フロー面では販売価格の設定や仕入価格において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えます。
当社グループでは、一部取引で為替予約を行いリスク低減に努めております。
(6)固定資産の価値下落
当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等や遊休資産化に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)事故災害
当社グループの各工場においては、事故や災害による損害防止のため、日常において設備の点検や各種安全活動等を行っております。しかし、これらの活動等にもかかわらず、万一、火災・爆発等の事故災害が発生し、当社グループの業務や地域社会に大きな影響を及ぼした場合、生産活動による機会損失や補償等を含む事故対応費用等が、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。
(8)自然災害
当社グループは、自然災害の発生に備えて、リスク管理マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、事業継続計画の想定を超えた大規模な自然災害により、事業活動の中断、生産設備の被災、交通遮断による製品輸送停止、原材料の仕入れ先又は製品の販売先等の被災・操業停止、経済活動の停滞、電力不足に伴う工場稼働への制約等、不測の事態が発生することが考えられます。
当社グループ又は当社グループのサプライチェーンにおいて、これらの不測の事態の発生により、長期にわたる生産の中断があった場合は、売上高の減少等により、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9)訴訟等
当社グループでは、コンプライアンスの重要性を認識し、法令及び社会規範の遵守の徹底を図っております。当連結会計年度末において、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、国内及び海外事業においては常に訴訟の対象となるリスクが存在しているものと考えております。将来、重要な訴訟が提起された場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンスは事業活動の大前提であるとし、リスク管理や従業員啓発の研修等を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。
(10)知的財産権
当社グループは、知的財産の重要性を認識し、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めておりますが、当社の技術を十分に保護できなかった場合や、当社権利が違法に侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、他者の知的財産権に対して細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害したと認定され損害賠償の責任を負う場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)製造物責任
当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム(ISO9001)に従って、各々の製品の特性に応じて最適な品質・性能の確保に万全を期しておりますが、予期せぬ事象により大規模な製品事故が発生する可能性があります。万一の場合に備えて賠償責任保険を付保しておりますが、そのカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境規制
主に製造業を営む当社グループは、生産効率向上による環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに取り組んでおります。しかしながら、環境関連規制は年々強化・見直しされる方向にあり、規制の内容によっては製造、保管、処分等に関連する費用が発生し、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)システムリスク
当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っておりますが、サイバー攻撃やコンピューターウイルスの感染・攻撃、天災、その他の不測の事態が発生し、システムの復旧等に時間を要した場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化など、不測の事態による業務停止からの早期復旧に関して継続的に対策を講じております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、個人消費や企業業績の落ち込みで大きく停滞しましたが、感染の状況に応じて断続的に経済活動の再開が進められたこともあり、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、米中対立の深刻化や、変異株による感染の再拡大など、先行きは不透明な状況が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止措置などの影響により減少した自動車生産台数が徐々に回復してきたものの、本格的な回復までには至らず、フィルム・シート製品は総じて減販となりました。一方、テレワークの拡大や5Gの普及などに関連する電子素材は堅調に推移いたしました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は42,231百万円と前連結会計年度比4,467百万円(9.6%減)の減収、営業利益は2,388百万円と前連結会計年度比168百万円(6.6%減)の減益、経常利益は2,852百万円と前連結会計年度比35百万円(1.3%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券等の売却による特別利益を計上したことなどにより、2,406百万円と前連結会計年度比664百万円(38.1%増)の増益となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(電子・機能製品)
当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬・中間体などの機能化学品、粘・接着剤やトナー用樹脂などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。
機能化学品は、塗料向けが低調だったものの、新型コロナウイルスPCR検査薬向けなどの医薬関連や半導体市場の好況に伴い、電子部材向け表面処理剤などが堅調に推移し、前連結会計年度比減収増益となりました。機能樹脂は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、繊維や医薬向けの粘・接着剤が低調に推移し、前連結会計年度比減収減益となりました。電子素材は、車載用途の回復に加え、テレワークの拡大や5Gの普及により、サーバーやタブレットなどのスマートデバイス向けセラミック基板が好調に推移、また、半導体市場の好況に伴い半導体用金型クリーニング材の販売も好調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりました。
以上により、当セグメントの売上高は17,652百万円と前連結会計年度比782百万円(4.2%減)の減収となったものの、セグメント利益は1,941百万円と前連結会計年度比295百万円(17.9%増)の増益となりました。
(フィルム・シート製品)
当該事業の主な取扱製品は、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、マーキングフィルムは、自動車用や看板用の販売が低調に推移し、前連結会計年度比減収減益となりました。ステッカーは、ベトナムやインドネシアなどを中心に二輪車や四輪車向けが振るわず、前連結会計年度比減収減益となりました。再帰反射シートは、主力の欧州やアジアでのナンバープレート向けの販売が低迷し、前連結会計年度比減収減益となりました。
以上により、当セグメントの売上高は13,826百万円と前連結会計年度比1,788百万円(11.5%減)の減収、セグメント利益は11百万円と前連結会計年度比678百万円(98.4%減)の減益となりました。
(建材関連)
当該事業の主な取扱製品は、ビル・住宅用アルミ建材や内装建材用プラスチック押出製品などでありますが、網戸材は新型コロナウイルスの感染予防対策として換気の推奨による需要増により好調だったものの、主力の手摺、笠木等の販売が減少したことなどにより、低調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は8,397百万円と前連結会計年度比862百万円(9.3%減)の減収、セグメント利益はアルミ地金価格の低下による影響などもあり、515百万円と前連結会計年度比24百万円(4.9%増)の増益となりました。
(エンジニアリング)
当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・環境分野の産業プラントの設計・施工などでありますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による国内向け工事の完工時期の遅れや、工事自体の中止などから総じて振るわず、前連結会計年度比減収減益となりました。
以上により、当セグメントの売上高は4,035百万円と前連結会計年度比859百万円(17.6%減)の減収、セグメント利益は76百万円と前連結会計年度比52百万円(40.6%減)の減益となりました。
また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。
(資産の部)
総資産は、前連結会計年度末比2,664百万円増加し、63,906百万円となりました。
このうち、流動資産は、受取手形及び売掛金や棚卸資産の減少はあったものの、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末比2,788百万円増加し、36,030百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の取得はあったものの、有形固定資産の減価償却や投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末比124百万円減少し、27,875百万円となりました。
(負債の部)
負債は、前連結会計年度末比125百万円増加し、35,405百万円となりました。
このうち、流動負債は、短期借入金の増加はあったものの、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末比485百万円減少し、20,884百万円となりました。固定負債は、長期借入金の増加などにより、前連結会計年度末比611百万円増加し、14,520百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、前連結会計年度末比2,538百万円増加し、28,500百万円となりました。
このうち、株主資本は、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比2,781百万円増加し、21,047百万円となりましたが、その他の包括利益累計額は、円高に伴う為替換算調整勘定の減少などから、前連結会計年度末比278百万円減少し、5,897百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の39.9%から2.3ポイント改善し、42.2%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは3,790百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1,047百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動と投資活動による各キャッシュ・フローの合計)は2,742百万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは1,034百万円の収入となりました。また、現金及び現金同等物の当期末残高は前連結会計年度末比3,691百万円増加して12,402百万円となりました。
なお、各キャッシュ・フローの主な増減内容は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
運転収支の改善などにより、前連結会計年度比1,053百万円収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券等の売却による収入はあったものの、有形固定資産の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度比544百万円支出が増加しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入れによる収入や新株予約権の行使による株式の発行による収入が増加したことなどにより、1,034百万円の収入(前連結会計年度は425百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
電子・機能製品 |
16,117 |
△1.0 |
|
フィルム・シート製品 |
12,819 |
△11.8 |
|
建材関連 |
2,773 |
△19.1 |
|
エンジニアリング |
- |
- |
|
合計 |
31,711 |
△7.4 |
(注)1 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残(百万円) |
前期比(%) |
|
電子・機能製品 |
5,703 |
9.3 |
831 |
△2.5 |
|
フィルム・シート製品 |
- |
- |
- |
- |
|
建材関連 |
- |
- |
- |
- |
|
エンジニアリング |
3,659 |
△29.8 |
2,255 |
△14.3 |
|
合計 |
9,362 |
△10.2 |
3,087 |
△11.4 |
(注)1 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
電子・機能製品 |
17,652 |
△4.2 |
|
フィルム・シート製品 |
13,826 |
△11.5 |
|
建材関連 |
8,397 |
△9.3 |
|
エンジニアリング |
4,035 |
△17.6 |
|
調整額 |
△1,680 |
- |
|
合計 |
42,231 |
△9.6 |
(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 調整額の内容については、「注記事項 セグメント情報」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(令和3年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比2,664百万円増加し、63,906百万円となりました。
このうち、流動資産は、受取手形及び売掛金や棚卸資産の減少はあったものの、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末比2,788百万円増加し、36,030百万円となりましたが、固定資産は、前連結会計年度末比124百万円減少し、27,875百万円となりました。
有形固定資産は、設備投資が減価償却費を上回ったこともあり、前連結会計年度末比342百万円増加し、24,340百万円となりましたが、投資その他の資産は、投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末比376百万円減少し、2,713百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比125百万円増加し、35,405百万円となりました。
このうち、流動負債は、短期借入金の増加はあったものの、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末比485百万円減少し、20,884百万円となり、固定負債は、計画している設備投資もあり、長期借入金の調達が返済を上回ったことなどから、前連結会計年度末比611百万円増加し、14,520百万円となりました。
なお、当連結会計年度末の受取手形割引高を含む有利子負債残高は、前連結会計年度末比772百万円増加し、18,195百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比2,538百万円増加し、28,500百万円となりました。
このうち、株主資本は、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末比2,781百万円増加し、21,047百万円となりましたが、その他の包括利益累計額は、円高に伴う為替換算調整勘定の減少などから、前連結会計年度末比278百万円減少し、5,897百万円となりました。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の39.9%から42.2%と2.3ポイント改善しました。
b.経営成績の分析
(売上高)
売上高は、電子・機能製品、フィルム・シート製品を中心として、新型コロナウイルス感染症拡大防止措置や米中対立の深刻化などの影響を受け、欧州、インドネシア及びベトナムなどでの販売が減少したことにより、42,231百万円と前連結会計年度比4,467百万円(9.6%減)の減収となりました。
(営業利益)
売上原価は、電子・機能製品、建材関連製品を中心とした、原材料価格の低下などによる原価低減や人件費等の減少などにより、29,115百万円と前連結会計年度比3,723百万円(11.3%減)の減少となりました。
また、販売費及び一般管理費は、基幹システム導入したことに伴う減価償却費の増加はあったものの、売上高の減少に伴う支払運賃等の減少や諸経費削減などにより、10,727百万円と前連結会計年度比575百万円(5.1%減)の減少となりました。
この結果、営業利益は、2,388百万円と前連結会計年度比168百万円(6.6%減)の減益となりましたが、営業利益率は5.7%と前連結会計年度(5.5%)から若干上昇しました。
(経常利益)
前連結会計年度は営業外費用に為替差損104百万円、当連結会計年度は営業外収益に為替差益285百万円を計上したことなどにより、経常利益は、2,852百万円と前連結会計年度比35百万円(1.3%増)の増益となり、経常利益率も6.8%と前連結会計年度(6.0%)から上昇しました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
固定資産除却損や減損損失などの特別損失の増加はあったものの、投資有価証券等の売却による特別利益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,406百万円と前連結会計年度比664百万円(38.1%増)の増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増減額が、前連結会計年度734百万円の増加から、当連結会計年度140百万円減少に転じたことなどに伴う運転収支の改善などにより、前連結会計年度比1,053百万円収入が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券等の売却による収入が前連結会計年度比1,093百万円増加したものの、有形固定資産の取得による支出が前連結会計年度比1,498百万円増加したことなどにより、前連結会計年度比544百万円支出が増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入や新株予約権の行使による株式の発行による収入が増加したことなどにより、1,034百万円の収入(前連結会計年度は425百万円の支出)となりました。
なお、配当金の支払額は、前連結会計年度327百万円(1株当たり40円)、当連結会計年度328百万円(1株当たり40円)であります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。
また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
また、会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動につきましては、素材部門から高付加価値部門への展開を図るなかで、コア事業及びコア技術に重点を置くという当社の基本方針を踏まえ、グループ各社とも研究開発のテーマを厳選し、早期に事業化を図るべく注力しております。
特に新規商品開発に関しましては、当社のコア技術であるフィルム・シート技術と樹脂重合技術、セラミックスの焼成技術を融和させてIT関連、自動車関連、環境対応関連の製品開発に積極的な活動を行っております。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
(電子・機能製品)
機能化学品については、医薬・農薬品や電子材料分野向けにシアナミド誘導体、アセチレン誘導体の開発、また、脱金属化技術によるメタルフリーの高純度化製品の開発にも取り組んでおります。
機能樹脂製品では、光学・電子材料分野向けを中心とした粘・接着剤製品の開発、また、医療・化粧品及び環境対応樹脂、環境対応難燃剤の開発にも注力しております。
電子素材製品では放熱基板用途向けに高性能セラミック基板の開発、また、半導体用金型クリーニング材の環境対応型製品の開発に取り組んでおります。
研究開発費の総額は
(フィルム・シート製品)
マーキングフィルムやステッカー製品では、自動二輪車や自動車向け装飾用フィルムや一体成型フィルム及びレーザー印字等の特殊ラベルを中心とした新製品の開発に取り組んでおります。
再帰反射シートについては、車両ナンバープレート、道路標識、グラフィック市場向けで高品質、機能付与による使用範囲の拡大等を重点とした研究開発を行っております。
研究開発費の総額は
(建材関連)
住宅用建材では、簡易取付工法の手摺、ビル・マンション用建材では高意匠の手摺や外装ルーバーの開発に取り組んでおります。また、室内用建材では環境問題、高機能を重視した商品開発に取り組んでおります。
研究開発費の総額は
(エンジニアリング)
産業プラント分野では、特殊バルブの内製化技術の開発や石炭ガス化複合発電における高圧下での安定的な微粉炭吹込技術の開発に取り組んでおります。
研究開発費の総額は
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は