第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループのミッションは「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する。」であり、この精神をベースに「キラリと光る、価値ある企業グループ」となることを目指しています。

このビジョンを実現するために、「私たちが大切にする価値観」として、

・誠実であること Sincerity

・奉仕すること Service

・協力すること One-NCI

・創造すること Innovation

を掲げています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 当社グループは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サスティナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、そこからバックキャスティングする形で、中期経営計画 ”NCIキラリ2025” を策定しました。その中で、基本方針を「キラリ=One&Only」の追求とし、キラリと光る技術を究め、キラリと光る製品を提供することで、サスティナブルな社会に貢献し、サスティナブルな成長を実現します。”NCIキラリ2025”における、成長戦略は、当社の強みである、半導体や電子デバイスの製造工程に採用されるケミカルエレクトロニクス材料と、医薬品原薬やセーフモビリティ市場にて活躍するフィルム材料を成長ドライバーとし、注力領域を「エレクトロニクス」と「セーフティ」に定め、以下の主要課題への取組みを通じて収益性の向上を実現します。

 

成長戦略

・エレクトロニクス 既存の成長ドライバーへのリソース重点配分

次世代成長ドライバーの事業化を推進

新たな成長ドライバーの創出に向けた研究開発力の強化

 

・セーフティ    カーボンニュートラル関連のエンジニアリング技術の展開

クオリティオブライフ向上のための新製品・新技術の開発

フィルム・シートの多機能・高機能化

 

 また、これらの成長戦略を支える取組みとして、①研究開発体制の強化、②SDGs/ESGの推進、③DX施策の推進を掲げ、プライム市場に相応しい企業グループを目指します。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、原材料不足の深刻化、資源価格の上昇、中国での電力供給問題、ロシアによるウクライナへの侵攻等を背景とし、引き続き予断を許さない状況にあります。また、新型コロナウィルス感染症の不確実要素が多く存在するなか、行動様式や働き方に大きな変容をもたらしています。

 このような経営環境の下、当社グループでは、中期経営計画 ”NCIキラリ2025” を策定しました。2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにおいては、当社グループはプライム市場を選択しましたが、流通株式時価総額がプライム市場上場維持基準を満たしておりません。この計画期間の2026年3月末までに上場維持基準を満たすために、各種取組みを実行し、中期経営計画を着実に進めていきます。

2【事業等のリスク】

 当社グループでは、当社リスク管理委員会が当社グループを取り巻く環境変化やそれに伴う新たなリスクの発生等を所管部署から集約する体制を構築しており、それに基づいてリスクマネジメントを推進するとともに日々の事業活動におけるリスクの低減に取り組み、収益機会の拡大に努めております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 注力領域における市場環境の急変

 当社グループの注力領域は「エレクトロニクス」並びに「セーフティ」と位置付けておりますが、「エレクトロニクス」では半導体、電子デバイス向け市場、「セーフティ」では環境、医薬・化粧品、自動車向け市場と関連があります。これらの関連市場における販売数量の減少や価格の下落を通じて、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは中期経営計画「NCIキラリ2025」の成長戦略に基づき、製品の付加価値を高め、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを進めております。

 

② 原材料価格の変動

 当社グループ製品の原材料は、ナフサ価格やアルミ地金価格の変動の影響を受けることがあり、特に粘・接着剤、電子素材、建材関連、エンジニアリング等の事業で、原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、これらがコスト削減額を上回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、国内外を含め新たな調達先からの購入、グループ内での購買情報を共有化することで、原材料価格の変動に対応するよう努めております。

 

③ 為替レートの変動

 当社グループは、電子素材、フィルム・シート製品を中心として海外で大きく事業を展開しております。為替レートの変動は、ストック面では連結財務諸表の換算において、フロー面では販売価格の設定や仕入価格において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えます。

 当社グループでは、一部取引で為替予約を行いリスクの低減に努めております。

 

④ 固定資産の価値下落

 当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等や遊休資産化に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 地政学に係るリスク

 当社グループは、連結子会社の過半が在外子会社であり、世界各地で生産・販売活動を展開しております。これらの海外拠点や事業展開している国及び地域では、予期できない法令の変更、輸出入・外資の規制、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的、政治的混乱等のリスクが存在します。

 これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタントの起用等を通じて、その予防・回避に努めていますが、これらが顕在化した場合は、グローバルな事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当社グループは、ロシア及びウクライナに直接的な販売先、調達先及び製造・販売拠点はありませんが、今後紛争が長期化した場合には、ロシア・ウクライナ情勢に関連した原材料価格の高騰や、サプライチェーンが分断されるリスクが存在します。これらのリスクに対して、複数の購入先及び物流ルートの確保や、原材料価格高騰を受けての製品価格への転嫁等に努めております。

 

⑥ 新型コロナウイルス感染症再拡大

 今般世界的に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症は、当社グループの事業活動に影響を与えており、その終息時期によっては、経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループは、人と人との接触削減のための各種施策(時差出勤、在宅勤務、出張自粛、会議の見直し等)など従業員の安全と健康を最優先にした対応を徹底し、国内外の拠点における生産、販売、在庫、物流、資金管理状況等の情報収集に努め、これらを通じて新型コロナウイルス感染症の影響の極小化を図るとともに、その予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。

 

⑦ 事故災害

 当社グループの各工場においては、事故や災害による損害防止のため、日常において設備の点検や各種安全活動等を行っております。しかし、これらの活動等にもかかわらず、万一、火災・爆発等の事故災害が発生し、当社グループの業務や地域社会に大きな影響を及ぼした場合、生産活動による機会損失や補償等を含む事故対応費用等が、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 自然災害

 当社グループは、自然災害の発生に備えて、リスク管理マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、事業継続計画の想定を超えた大規模な自然災害により、事業活動の中断、生産設備の被災、交通遮断による製品輸送停止、原材料の仕入れ先又は製品の販売先等の被災・操業停止、経済活動の停滞、電力不足に伴う工場稼働への制約等、不測の事態が発生することが考えられます。

 当社グループ又は当社グループのサプライチェーンにおいて、これらの不測の事態の発生により、長期にわたる生産の中断があった場合は、売上高の減少等により、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 訴訟等

 当社グループでは、コンプライアンスの重要性を認識し、法令及び社会規範の遵守の徹底を図っております。当連結会計年度末において、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、国内及び海外事業においては常に訴訟の対象となるリスクが存在しているものと考えております。将来、重要な訴訟が提起された場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、コンプライアンスは事業活動の大前提であるとし、リスク管理や従業員啓発の研修等を通じたコンプライアンスの推進により、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。

 

⑩ 知的財産権

 当社グループは、知的財産の重要性を認識し、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めておりますが、当社の技術を十分に保護できなかった場合や、当社権利が違法に侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、他者の知的財産権に対して細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害したと認定され損害賠償の責任を負う場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 製造物責任

 当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム(ISO9001)に従って、各々の製品の特性に応じて最適な品質・性能の確保に万全を期しておりますが、予期せぬ事象により大規模な製品事故が発生する可能性があります。万一の場合に備えて賠償責任保険を付保しておりますが、そのカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 環境規制・気候変動対応

 主に製造業を営む当社グループは、生産効率向上による環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに取り組んでおります。しかしながら、環境関連規制は年々強化・見直しされる方向にあり、規制の内容によっては製造、保管、処分等に関連する費用が発生し、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、気候変動に係るリスクとして、炭素税の導入、エネルギーコストの増加、自然災害の激甚化による設備への損害等を認識し、機会としては、脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加、EV関連需要の拡大加等を認識しておりますが、今後も温暖化施策の変化などに適時に対応してリスクの軽減を図ってまいります。

 

⑬ システムリスク

 当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っておりますが、サイバー攻撃やコンピューターウイルスの感染・攻撃、天災、その他の不測の事態が発生し、システムの復旧等に時間を要した場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化など、不測の事態による業務停止からの早期復旧に関して継続的に対策を講じております。また、サイバー攻撃やコンピューターウイルスへの防御や検知といったシステム的な対策により、ネットワークやシステムセキュリティの強化に努めております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、国や地域による違いはあるものの、総じてコロナ禍による落ち込みから回復を続けております。一方で部品・原材料不足の深刻化、資源価格の上昇、中国での電力供給問題、ロシアによるウクライナへの侵攻等を背景とし、その回復は減速傾向となりました。

 当社グループを取り巻く事業環境においては、半導体向けや、テレワーク拡大に伴うPC、通信関連向け需要が引き続き好調に推移し、機能化学品や電子素材などの電子・機能製品は増販となりました。また、国内・海外での自動車や自動二輪車の出荷が堅調に推移したことにより、フィルム・シート製品も増販となりましたが、年度後半から半導体不足による自動車生産台数の減少による影響で減速して推移しました。

 このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は47,003百万円と前連結会計年度比4,772百万円(11.3%増)の増収、営業利益は3,192百万円と前連結会計年度比804百万円(33.7%増)の増益、経常利益は、為替差益の計上などにより、4,055百万円と前連結会計年度比1,203百万円(42.2%増)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上などにより、1,930百万円と前連結会計年度比475百万円(19.8%減)の減益となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(電子・機能製品)

 当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬・中間体などの機能化学品、粘・接着剤などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。

 機能化学品は、半導体市場の好況に伴う電子部材向け表面処理剤などの出荷が堅調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりました。機能樹脂は、光学関連分野向け粘・接着剤の出荷が堅調に推移したものの、原材料価格の上昇などにより、前連結会計年度比増収減益となりました。電子素材は、カーエレクトロニクス用途、電子デバイス関連向けの需要回復によりセラミック基板の出荷が好調に推移、また、半導体用金型クリーニング材の販売も半導体市場の好況に伴い好調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は20,473百万円と前連結会計年度比2,821百万円(16.0%増)の増収となり、セグメント利益は2,860百万円と前連結会計年度比919百万円(47.4%増)の増益となりました。

 

(フィルム・シート製品)

 当該事業の主な取扱製品は、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。

 フィルムは、自動車向けの出荷が堅調に推移し、前連結会計年度比増収増益となりましたが、年度後半からは半導体不足による自動車生産台数の減少による影響で減速して推移しました。ステッカーは、東南アジア、ブラジルの自動二輪車市場の回復により、前連結会計年度比増収増益となりました。再帰反射シートは、欧州でのナンバープレート向け出荷が好調に推移しましたが、原材料価格の上昇などにより前連結会計年度比増収減益となりました。

 以上により、当セグメントの売上高は16,172百万円と前連結会計年度比2,346百万円(17.0%増)の増収、セグメント利益は285百万円と前連結会計年度比274百万円の増益となりました。

 

(建材関連)

 当該事業の主な取扱製品は、ビル・住宅用アルミ建材や内装建材用プラスチック押出製品などでありますが、主力のビル用アルミ建材や戸建て住宅用アルミ建材の販売が低調だったことなどもあり、当セグメントの売上高は7,507百万円と前連結会計年度比889百万円(10.6%減)の減収、セグメント利益はアルミ地金価格の高騰による影響などもあり279百万円と前連結会計年度比235百万円(45.7%減)の減益となりました。

 

(エンジニアリング)

 当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・環境分野の産業プラントの設計・施工などでありますが、国内向け工事案件の完工が増加し、当セグメントの売上高は4,257百万円と前連結会計年度比222百万円(5.5%増)の増収となり、セグメント利益は82百万円と前連結会計年度比6百万円(8.3%増)の増益となりました。

 

 また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。

 

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比639百万円増加し、64,546百万円となりました。

 このうち、流動資産は、現金及び預金の減少はあったものの、売上債権や棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末比557百万円増加し、36,588百万円となりました。固定資産は、設備投資による有形固定資産の取得は増加したものの、減損損失の計上や投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末比81百万円の増加に止まり、27,957百万円となりました。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比2,909百万円減少し、32,496百万円となりました。

 このうち、流動負債は、支払手形及び買掛金の増加はあったものの、短期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比2,293百万円減少し、18,591百万円となりました。固定負債は、土地の減損損失計上に伴う再評価に係る繰延税金負債の取崩などにより、前連結会計年度末比615百万円減少し、13,905百万円となりました。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比3,548百万円増加し、32,049百万円となりました。

 このうち、株主資本は、剰余金の配当による減少はあったものの、新株予約権の行使に伴う新株の発行による資本金及び資本剰余金の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比2,498百万円増加し、23,546百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比874百万円増加し、6,772百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の42.2%から4.8ポイント改善し、47.0%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは4,297百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは2,360百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動と投資活動による各キャッシュ・フローの合計)は1,937百万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは4,210百万円の支出となりました。また、現金及び現金同等物の当期末残高は前連結会計年度比1,563百万円減少して10,838百万円となりました。

 なお、各キャッシュ・フローの主な増減内容は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 運転収支の改善などにより、前連結会計年度比506百万円収入が増加しました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資有価証券の売却による収入の減少などにより、前連結会計年度比1,312百万円支出が増加しました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期借入金の返済が増加したことなどにより、4,210百万円の支出(前連結会計年度は1,034百万円の収入)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

20,100

24.7

フィルム・シート製品

14,860

15.9

建材関連

2,834

2.2

エンジニアリング

合計

37,795

19.2

(注) 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

7,111

24.7

703

△15,4

フィルム・シート製品

建材関連

エンジニアリング

5,596

52.9

3,647

61.7

合計

12,708

35.7

4,351

40.9

(注) 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

20,473

16.0

フィルム・シート製品

16,172

17.0

建材関連

7,507

△10.6

エンジニアリング

4,257

5.5

調整額

△1,407

合計

47,003

11.3

(注) 調整額の内容については、「注記事項 セグメント情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の部)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度比639百万円増加し、64,546百万円となりました。

 このうち、流動資産は、現金及び預金の減少はあったものの、売上債権や棚卸資産の増加などにより、前連結会計年度末比557百万円増加し、36,588万円となりました。固定資産は、設備投資による有形固定資産の取得は増加したものの、減損損失の計上や投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度末比81百万円の増加に止まり、27,957百万円となりました。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度比2,909百万円減少し、32,496百万円となりました。

 このうち、流動負債は、支払手形及び買掛金の増加はあったものの、短期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比2,293百万円減少し、18,591百万円となりました。固定負債は、土地の減損損失計上に伴う再評価に係る繰延税金負債の取崩などにより、前連結会計年度末比615百万円減少し、13,905百万円となりました。

 

(純資産の部)

 当連結会計年度末における純資産は、前期末比3,548百万円増加し、32,049百万円となりました。

 このうち、株主資本は、剰余金の配当による減少はあったものの、新株予約権の行使に伴う新株の発行による資本金及び資本剰余金の増加や親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末比2,498百万円増加し、23,546百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比874百万円増加し、6,772百万円となりました。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の42.2%から4.8ポイント改善し、47.0%となりました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 売上高は、半導体向けや、テレワーク拡大に伴うPC、通信関連向け需要が引き続き好調に推移し、電子・機能製品は増販し、国内・海外での自動車や二輪車の出荷も堅調に推移したことによりフイルム・シート製品も増販となり47,003百万円と前連結会計年度比4,772百万円(11.3%増)の増収となりました。

 

(営業利益)

 売上原価は、フィルム・シート製品、建材関連製品を中心とした、原材料価格の上昇などにより、32,859百万円と前連結会計年度比3,743百万円(12.9%増)の増加となりました。

 また、販売費及び一般管理費は、世界的なコンテナ不足による運賃の高騰や売上高の増加に伴う支払運賃の増加となどにより、10,951百万円と前連結会計年度比224百万円(2.1%増)の増加となりました。

 この結果、営業利益は、3,192百万円と前連結会計年度比804百万円(33.7%増)の増益となりましたが、営業利益率は6.8%と前連結会計年度(5.7%)から上昇しました。

(経常利益)

 当連結会計年度は営業外収益に為替差益681百万円を計上したことなどにより、経常利益は、4,055百万円と前連結会計年度比1,203百万円(42.2%増)の増益となり、経常利益率も8.6%と前連結会計年度(6.8%)から上昇しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 減損損失などを計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,930百万円と前連結会計年度比475百万円(19.8%減)の減益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増減額が、前連結会計年度448百万円の減少から、当連結会計年度1,146百万円の増加に転じたことなどに伴う運転収支の改善などにより、前連結会計年度比506百万円収入が増加しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券等の売却による収入が前連結会計年度比999百万円減少したことにより前連結会計年度比1,312百万円支出が増加しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済が増加したことなどにより、4,210百万円の支出(前連結会計年度は1,034百万円の収入)となりました。

 なお、配当金の支払額は、前連結会計年度328百万円(1株当たり40円)、当連結会計年度580百万円(1株当たり55円)であります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。

 また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 また、会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動につきましては、素材部門から高付加価値部門への展開を図るなかで、コア事業及びコア技術に重点を置くという当社の基本方針を踏まえ、グループ各社とも研究開発のテーマを厳選し、早期に事業化を図るべく注力しております。

 特に新規商品開発に関しましては、当社のコア技術であるフィルム・シート技術と樹脂重合技術、セラミックスの焼成技術を融和させてエレクトロニクス関連、モビリティ関連、セーフティ関連の製品開発に積極的な活動を行っております。

 

 セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(電子・機能製品)

機能化学品については、医薬・農薬品や電子材料分野向けにシアナミド誘導体、アセチレン誘導体の開発、また、脱金属化技術によるメタルフリーの高純度化製品の開発にも取り組んでおります。

 機能樹脂製品では、光学・電子材料分野向けを中心とした粘・接着剤製品の開発、また、医療・化粧品及び環境対応樹脂、環境対応難燃剤の開発にも注力しております。

 電子素材製品ではチップ抵抗用基板をはじめ放熱基板用途向けに高性能セラミック基板の開発、また、半導体用金型クリーニング材の環境対応型製品の開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は745百万円であります。

 

(フィルム・シート製品)

 マーキングフィルムやステッカー製品では、自動二輪車や自動車向けを中心とした機能性フィルムや加飾成形フィルム及びレーザー光による特殊識別ラベル等の新製品開発に取り組んでおります。

 再帰反射シートについては、車両ナンバープレート、道路標識、グラフィック市場向けで高品質、機能付与による使用範囲の拡大等を重点とした研究開発を行っております。

 研究開発費の総額は703百万円であります。

 

(建材関連)

 住宅用建材では、豊富なデザインやカラーを取り揃えた簡易取付工法の手摺、ビル・マンション用建材では高強度で高意匠の手摺や外装ルーバーの開発に取り組んでおります。また、室内用建材では環境や機能性を重視した商品開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は171百万円であります。

 

(エンジニアリング)

 産業プラント分野では、特殊バルブの内製化技術の開発や石炭ガス化複合発電における高圧下での安定的な微粉炭吹込技術の開発及び製鉄業界や電力業界向けカーボンニュートラルトランジション設備の開発に取り組んでおります。

 研究開発費の総額は12百万円であります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,104百万円であり、これには上記の各セグメントに含まれない空中ディスプレイ用リフレクターなどの新製品開発のほか、改良研究や技術サービスなど新規事業開発に係る研究費471百万円が含まれております。