第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループのミッションは「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する。」であり、この精神をベースに「キラリと光る、価値ある企業グループ」となることを目指しています。

このビジョンを実現するために、「私たちが大切にする価値観」として、

・誠実であること Sincerity

・奉仕すること Service

・協力すること One-NCI

・創造すること Innovation

を掲げています。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

① 中期経営計画“NCIキラリ2025”の進捗状況

 2022年5月、当社グループは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画“NCIキラリ2025”を策定いたしました。基本方針を「キラリ=One&Only」の追求とし、キラリと光る技術を究め、キラリと光る製品を提供することで、サステナブルな社会に貢献し、サステナブルな成長を実現します。

 

<財務目標>

 2025年度財務目標として、売上高620億円、営業利益70億円、ROE12%以上、D/Eレシオ0.5倍以下を掲げています。

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<戦略市場分野業績>

 2022年度のエレクトロニクス戦略市場での売上高は65億円の計画に対して39億円、セーフティ戦略市場での売上高は95億円の計画に対して79億円、戦略市場全体での売上高は160億円の計画に対して118億円となりました。総売上高に占める戦略市場全体での売上高比率は27%です。戦略市場全体での営業利益は10億円となりました。

 2023年度においては、エレクトロニクス戦略市場での売上高は41億円、セーフティ戦略市場での売上高は96億円、戦略市場全体での売上高は137億円、総売上高に占める戦略市場全体での売上高比率は28%となる見込みです。戦略市場全体での2023年度営業利益は14億円となる見込みです。2025年度に戦略市場分野全体として売上高250億円、営業利益50億円の達成を目指します。

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<戦略市場分野新製品比率>

 当社グループでは、戦略市場分野を中心とした新製品開発を推進しています。戦略市場分野での売上高に占める新製品の比率は、2021年度は25%、31億円の売上高、2022年度は38%、45億円の売上高となりました。2023年度には34%、46億円の売上高を計画しており、2025年度には35%以上、90億円の売上高を目指します。

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<SDGs経営の推進>

 当社グループではSDGs経営を推進していくにあたり、社会の関心やニーズの変化をとらえ、私たちのミッション「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する」の実現に関わりが深いものを5つのマテリアリティとして設定しています。

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 2022年度においては、代表取締役社長をプロジェクトリーダー、執行役員を兼務する取締役を各マテリアリティの分科会リーダーとし、各部門上位者層の参加による推進プロジェクトを設置しました。本プロジェクトにて、マテリアリティ実現のための具体的な目標、計画、方策を検討しています。

 

カーボンニュートラルの実現に向けた取組み

 当社グループでは、地球温暖化防止の取組みとして、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指します。太陽光発電などによる再生可能エネルギーの利用や、プロセス効率改革の推進、排熱の回収・再利用、燃料の転換、省エネ機器への切替、グリーン電力への転換などの取組みを推進し、2030年度には2013年度比46%にあたる51,200tCO2以上を削減し、GHG排出量60,000tCO2以下の達成、2050年度にはカーボンニュートラルの達成を目指します。

 2023年度は、恩希愛(杭州)薄膜有限公司(中国)にてGHGの排出量を年間約2,000tCO2削減するため太陽光パネルの稼働を開始する予定です。

 

従業員のやりがいと満足度の向上に向けた取組み

 当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限発揮して当社グループと共に成長し活躍できるように、職場環境の整備、多様な人材の確保、人材育成、キャリア開発などに積極的に取組んでいます。具体的には、次世代経営者人材、グローバルで活躍できる人材、一流の技術者などの人材育成に力を入れるとともに、ニューノーマル時代の働き方への対応や職場環境の整備などに積極的に取組んでいます。

 

② プライム市場上場維持基準への適合状況

 当社は、2022年5月25日に2026年3月期までを計画期間とする中期経営計画“NCIキラリ2025”を公表して、「時価総額向上」に向けた取組みを実施しております。また「流通株式比率向上」に向け2022年8月26日付「株式の売出に関するお知らせ」にて公表のとおり、政策保有株式の縮減を実施いたしました。これらの取組みの結果、2023年3月末にはプライム市場上場維持基準に適合することができました。

 当社では、今後も中期経営計画達成に向けた経営方針に則り、持続的な企業価値の向上に取組んでまいります。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、ロシア・ウクライナ情勢の悪化などの地政学リスク、資源や原材料の価格高騰の長期化、インフレ抑制に向けた世界的な金融引き締めなど、引き続き予断を許さない状況にあります。

 このような経営環境のもと、当社グループでは、中期経営計画“NCIキラリ2025”を策定し、各セグメントにおいて以下の主要課題への取組みを行ってまいります。

セグメント

分野

主要課題

2025年度に向けた対応

電子・

機能製品

戦略市場

分野

●半導体材料用化学品を中心とした高付加価値品の拡販

●中国市場での半導体用金型クリーニング材などの拡販

●お客様との技術交流による新たなニーズの発掘

●中国拠点でのお客様サポート体制強化による市場拡大への対応

その他

分野

●中国市場での光学用粘着剤などの拡販

●国内での研究開発バックアップ体制と中国でのテクニカルサービスの強化

フィルム・

シート製品

戦略市場

分野

●次世代高機能フィルムでの新規ビジネス拡大

●多層広幅フィルム製造設備による自動車や二輪車、エレクトロニクス分野向け高機能製品の市場投入

その他

分野

●米国でのグラフィック市場向け反射シートの拡販

●大手ディストリビューターとの連携

●高品位製品での差別化

建材関連

戦略市場

分野

●超高層ビル向け高強度高機能手摺の拡販

●戦略市場分野へのリソースの重点配分

その他

分野

●顧客ニーズの探求による製品の高付加価値化

●EV車用カーポート製品等の新製品開発

●LED照明製品(手摺・笠木)の拡販

エンジニア

リング

戦略市場

分野

●カーボンニュートラルトランジションでの事業機会獲得によるビジネス拡大

●長年培った粉体搬送技術を武器にお客様ニーズへの対応推進

その他

分野

●EPC事業の拡大

●施設内常駐によるお客様との協力関係強化

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループでは、長期的な視点から2030年のありたい姿を「サステナブルな社会に貢献する、キラリと光る企業グループ」と定め、中期経営計画「NCIキラリ2025」を策定いたしました。その中で、サステナビリティ経営としてSDGsを重要な目標と捉え、当社ミッション「技術力で価値を創造し、より豊かな社会の発展に貢献する」の実現と関わりが深く、SDGs貢献へ繋がるマテリアリティを設定しました。

 これまで培ってきた技術を究め、融合させることで、価値ある製品を広く提供し、マテリアリティの実現により持続的な企業価値の向上を図るとともに、持続可能な社会の実現を目指していきます。

 

(1)ガバナンス

 マテリアリティの推進に向けては、代表取締役社長をプロジェクトリーダー、執行役員を兼務する取締役をサブリーダーとするSDGs推進プロジェクトを立上げ、具体的な目標、KPI、方策、計画等の検討を実施し、その内容は取締役会へ報告、提言しております。

 2023年度は発展的に代表取締役社長を委員長とするSDGs推進委員会を設置し、マテリアリティの実現を含め、サステナビリティ経営に取組んでまいります。

 同委員会で協議した内容は、定期的に取締役会へ報告を行い、議論、進捗管理を行います。

 

(2)リスク管理

 サステナビリティ全般のリスク重要課題は、経営企画部を事務局とするリスク管理委員会にて適切に対処する体制を整備しています。

 リスク管理委員会において、毎年重要なリスクを特定し、対処すべき担当部門を決定します。リスク管理委員会は年4回開催し、各課題について、担当部門より対策、行動計画、進捗等の報告を受け、全執行役員が出席する会議等での審議を経てリスクの低減を図っております。

 取締役会は、リスク管理委員会から年2回報告を受ける等、リスク管理委員会を監督する立場にあり、リスク管理の基本方針、重要リスクの特定、重要施策の決定、施策のモニタリングや改善指示などリスク全般についての活動に関与しております。

 

(3)気候変動対応について

 当社グループでは、サステナブルな社会の実現に向け、5つのマテリアリティを設定しておりますが、その中でも気候変動(カーボンニュートラルの実現)への対応が最も重要であると認識しており、TCFDに則り開示しております。

 

① ガバナンス

 気候変動関連の課題については、リスク管理委員会にて議論の上、取締役会へ定期的に報告を行います。

 リスク管理委員会では、気候変動対応の実務レベルでの協議・対応組織としてTCFD推進チームを設置し、適切に対処する体制を整備しています。

 取締役会では、報告を受けモニタリングを行い、気候変動対応及びGHG削減目標の設定、達成に向けた活動を継続的に監督しております。

 

② リスク管理

 上記サステナビリティについての考え方と取組 (2)リスク管理をご参照ください。

 

③ 戦略

 当社グループは、気候変動の影響と緩和や気候変動関連の課題解決に貢献することを通じて社会とともに持続的に成長することを目指しており、気候変動対応を重要なサステナビリティ課題と認識しています。

 気候変動による影響については、平均気温上昇「4℃」と「2℃未満」のシナリオにてリスクと機会を検討しました。

 その結果、リスクとして、炭素税の導入、エネルギーコストの増加、再エネ・省エネ設備への投資の増加、自然災害の激甚化による設備への損害等を認識しました。また、機会として、脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加、EV関連需要の拡大、水素燃料製造設備の需要増加等を認識しました。

 当社グループでは、今後も温暖化施策の変化などに適時に対応してリスクの軽減を図るとともに、更なる気候変動の影響緩和に貢献する取組みを通じて、持続的成長と企業価値向上を目指します。

 

 なお、識別したリスクと機会の概要については、以下をご参照ください。

種別

内容

影響度

対応

移行

リスク

政策・規制

炭素税の導入によるエネルギーコスト、原材料コストの増加

省エネ活動の積極的推進

太陽光発電の導入

再生可能エネルギーへの転換

サプライヤーとの協働によるScope3の削減

価格への転嫁

GHG削減目標達成のための設備投資等の対応コストの増加

投資計画の策定

市場

・主要製品に関する新製法の確立に向けた先発メーカーとの技術面、コスト面での競争激化

・エネルギー価格上昇による物流コストの増加

・左記リスクを念頭に置いた新製法の検討、確立

・配送業者へのEV車導入働きかけ配送方法の見直し

技術

・新たな省エネ・再エネ技術の導入による対応コストの増加

・新技術への研究開発費用等の増加

コストダウンの同時検討

評判

取引先企業の意識向上に伴い、GHG削減の遅れによる製品需要の減少

GHG削減目標の達成

物理的

リスク

慢性

・平均気温上昇による冷房コストの増加

・洪水による生産拠点の浸水やサプライチェーンの寸断

・冷房効率のアップ(機器の切替等)

・リスクエリアの把握と対策検討

急性

異常気象が激甚化し、洪水発生による生産拠点の浸水

各拠点の災害レベル想定

各レベルに即した防災対策の検討、強化

機会

資源効率

新たな省エネ・再エネ技術の導入によるエネルギーコストの減少

積極的な導入による競争力アップの実現

評判

環境側面での付加価値の高い製品ラインナップへの切替えによる販売増

タイムリーな製品開発

需要に対応できる生産能力の準備

製品・

サービス等

・EV関連需要増加

・全個体電池の需要増加

・脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加

・水素燃料製造設備の需要増加

タイムリーな製品開発

需要に対応できる生産能力の準備

 

④ 指標及び目標

 当社グループはGHG排出量削減目標を以下のとおり定めております。

2030年度 GHG排出量 46%削減(2013年度比) (Scope1,2)

2050年度 カーボンニュートラルの達成 (Scope1,2)

<Scope1+2> (tCO2)

2013年度   111,170

2021年度    88,779

2022年度    78,905

2030年度    60,000以下 (目標)

 

 なお、Scope3排出量については、昨年度より算定作業を進めております。

 

(4)人的資本

① 戦略/人材育成、社内環境整備方針と取組み状況

 当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限発揮して当社グループとともに成長して活躍できるように、職場環境の整備、多様な人材の確保、人材育成、キャリア開発などに積極的に取組んでおります。具体的には、次世代経営者人材、グローバルで活躍できる人材、一流人材を目指した若手社員の育成に力を入れるとともに、ニューノーマル時代の働き方への対応、女性管理職比率の目標設定やジョブリターン制度導入により、多様な人材が集まり、働きやすい職場環境の整備などに取組んでおります。

 

1) 次世代経営者育成プログラム

 将来、経営者として活躍できる人材、多様性ある人材を育成することを目的として、次世代経営者育成プログラムを実施しています。4段階の階層別の研修等により、計画的に人材育成・選抜を行っており、最終的に企業経営のできる人材を育成します。このプログラムでは、座学だけでなく、職場実践と連動させることで、有効な経験から学びを得ることを重視しています。例えば、最終段階(STEP4)の次世代経営者層に対するプログラムにおいては、選抜されたメンバーが経営視点で変革課題に取組み、社長執行役員による個別メンタリング、取締役会メンバーへの報告会などを実施しながら、3年間で経営人材を育成することを目指しております。

 

2) グローバル人材育成制度

 グローバルで活躍できる人材を育成することを目的として、グローバル人材育成制度を実施しています。海外勤務に対する意識の高い人材や適性が認められる人材の中から対象者を選抜し、グローバルマインド、スキル・知識等を習得させます。

 

3) 若手社員育成制度

 若手社員が一流人材に成長することを支援するため、若手社員育成制度を実施しています。個別に1年間の育成計画を作成し、教育責任者により日常のテーマ指導を行っています。また、経営も含め、会社全体で責任を持って若手社員を育成していく方針により、年に1回、若手社員には1年間の成果を、教育責任者には育成方針や育成計画の進捗状況を執行役員に報告させています。執行役員は若手社員の成長を確認するとともに、若手社員、教育責任者に対して、必要な助言、指導を行い、育成力の強化に取組んでおります。

 

4) ニューノーマル働き方ワークチームの提案活動

 2021年にニューノーマル時代に勝ち進んでいける働き方について、若手社員に主体的に提案させることを目的として、ニューノーマル働き方ワークチームの提案活動を実施しました。社内公募により意欲ある若手社員が参集し、ニューノーマル時代に勝ち進んでいける働き方について考え、議論し、その成果を執行役員に提案しました。その提案などにより、自律的で多様な働き方のできるよう、取組みを進めています。2022年度の具体的な取組み事例は次のとおりです。

 

(ジョブ・リターン制度)

 当社を退職した社員を再度採用することのできる「ジョブ・リターン制度」を導入しました。結婚や育児、介護などのやむを得ない理由による退職者を再度採用することでワークライフバランスの推進を図ります。また、それ以外の通常の退職者も対象とすることとしており、採用募集の間口を広げるとともに、当社や他社での業務経験により、業務に習熟した人材を採用することで、採用力を強化していきます。

 

(社内フリーエージェント制度、社内公募制度)

 社員が希望する仕事に就けるようにし、仕事に対する納得感を高め、やりがい向上や適材適所の人材配置を実現することを目的として、2023年度より、社内フリーエージェント制度、社内公募制度の運用を開始します。

 

(自律的、効率的な働き方の推進)

 社員が自律的に「働く時間帯」や「働く場所」を決めて、より効率的に働くことのできるように、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しています。自律的、効率的な働き方を推進することで、社員のモチベーション向上、社員の生産性を高めることにより、組織全体の生産性向上を目指しております。

 

5) 職場改善活動の実施

 職場をより良くしていくこと、チャレンジする風土に変えていくこと、職場のコンプライアンスや安全に対する意識を向上させること等を目的に職場改善活動を実施しています。従業員満足度調査の結果等に基づき、職場単位のミーティングを開催し、職場が抱える課題の整理と対策の検討を行い、行動計画に則って、取組みを実施しています。従業員満足度調査と職場単位のミーティング、職場改善活動の取組みを継続することにより、より良い職場環境の実現や従業員満足度の向上を目指しております。

 

6) 人事考課制度の改善

 チャレンジする風土の醸成を目的に人事考課制度の改定を行いました。当社では人事考課制度に目標管理を取り入れており、目標の達成度だけでなく、目標の難易度、努力・工夫、貢献度を加点できる仕組みとしています。2022年度より、困難な目標にチャレンジすることを評価するため、難易度の加点を引き上げる等の制度改善を実施し、運用を開始しました。

 

② 指標及び目標/多様性確保の現状と自主的かつ測定可能な目標設定

 当社グループでは中期経営計画の重要課題の1つとして、「多様性の推進」を掲げて、女性、外国人、中途採用者をはじめとした多様な社員一人ひとりの個性を尊重し、活用する取組みを進めてまいります。

 

・女性社員の管理職への登用

 当社グループの社員に占める女性比率は41%(前年41%)、管理職に占める女性比率は13%(前年13%)です(注)。また、当社の社員に占める女性比率は14%(前年14%)、管理職に占める女性比率は2.4%(前年2.6%)です(注)。管理職の女性比率の向上を図るべく、以下の目標とアクションプランを策定し、取組んでいきます。

(注)本年は2022年12月末時点、前年は2021年12月末時点の比率をそれぞれ記載しております。

 

(女性管理職比率(目標))

-2025年度当社グループは15%以上、当社は5%以上

-2030年度当社グループは20%以上、当社は10%以上

 

(アクションプラン)

-新規採用時の女性社員比率を高め、国内は30%以上を維持し、また、経験豊富な女性のキャリア採用を積極的に推進することで、管理職や管理職候補者の拡大を図ります。

-産休・育休、介護休業や時短勤務などの既存制度の利用促進や改善、男性の育児休業推進により、更なるワークライフバランスの向上を図ります。

-2022年度、当社を退職された方にもう一度当社で活躍していただく「ジョブ・リターン制度」を導入しました。結婚や育児、介護などのやむを得ない事由で退職した社員を再採用することなどにより、女性社員のキャリア支援の充実を図ります。

 

・外国人社員の管理職への登用

 当社グループには13の海外子会社があり、各社で日本人以外の外国人を中核人材に登用することで、多様性を確保しております。当社グループの管理職に占める日本人以外の外国人比率は34%(前年36%)です。引き続き本水準を維持・向上できるよう取組みを継続していきます。

 

・中途採用者の管理職への登用

 当社グループの管理職に占める中途採用者の比率は46%(前年50%)です(注)。また、当社の管理職に占める中途採用者の比率は24%(前年23%)です(注)。現在も中途採用者を積極的に中核人材に登用しており、今後も中途採用をより強化することにより、中途採用者の管理職比率を維持・向上できるよう取組みを継続していきます。

(注)本年は2022年12月末時点、前年は2021年12月末時点の比率をそれぞれ記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、当社リスク管理委員会が当社グループを取り巻く環境変化やそれに伴う新たなリスクの発生等を所管部署から集約する体制を構築しており、それに基づいてリスクマネジメントを推進するとともに日々の事業活動におけるリスクの低減に取組み、収益機会の拡大に努めております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 注力領域における市場環境の急変

 当社グループの注力領域は「エレクトロニクス」並びに「セーフティ」と位置付けておりますが、「エレクトロニクス」では半導体、電子デバイス向け市場、「セーフティ」では環境、医薬・化粧品、自動車向け市場と関連があります。これらの関連市場における販売数量の減少や価格の下落を通じて、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループは中期経営計画「NCIキラリ2025」の成長戦略に基づき、製品の付加価値を高め、事業環境の変化に影響されにくい収益体質づくりを進めております。

 

② 原材料価格の変動

 当社グループ製品の原材料は、ナフサ価格やアルミ地金価格の変動の影響を受けることがあり、特に粘・接着剤、電子素材、建材関連、エンジニアリング等の事業で、原材料価格の変動をタイムリーに製品価格に転嫁できず、これらがコスト削減額を上回った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、国内外を含め新たな調達先からの購入、グループ内での購買情報を共有化することで、原材料価格の変動に対応するよう努めております。

 

③ 為替レートの変動

 当社グループは、電子素材、フィルム・シート製品を中心として海外で大きく事業を展開しております。為替レートの変動は、ストック面では連結財務諸表の換算において、フロー面では販売価格の設定や仕入価格において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えます。

 当社グループでは、一部取引で為替予約を行いリスクの低減に努めております。

 

④ 固定資産の価値下落

 当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等や遊休資産化に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 地政学に係るリスク

 当社グループは、連結子会社の過半が在外子会社であり、世界各地で生産・販売活動を展開しております。これらの海外拠点や事業展開している国及び地域では、予期できない法令の変更、輸出入・外資の規制、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的、政治的混乱等のリスクが存在します。

 これらのリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタントの起用等を通じて、その予防・回避に努めていますが、これらが顕在化した場合は、グローバルな事業活動に支障をきたし、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当社グループは、ロシア及びウクライナに直接的な販売先、調達先及び製造・販売拠点はありませんが、今後紛争が長期化した場合には、ロシア・ウクライナ情勢に関連した原材料価格の高騰や、サプライチェーンが分断されるリスクが存在します。これらのリスクに対して、複数の購入先及び物流ルートの確保や、原材料価格高騰を受けての製品価格への転嫁等に努めております。

 

⑥ 事故災害

 当社グループの各工場においては、事故や災害による損害防止のため、日常において設備の点検や各種安全活動等を行っております。しかし、これらの活動等にもかかわらず、万一、火災・爆発等の事故災害が発生し、当社グループの業務や地域社会に大きな影響を及ぼした場合、生産活動による機会損失や補償等を含む事故対応費用等が、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 自然災害

 当社グループは、自然災害の発生に備えて、リスク管理マニュアルや事業継続計画の策定、社員安否確認システムの構築、耐震対策、防災訓練などの対策を講じていますが、事業継続計画の想定を超えた大規模な自然災害により、事業活動の中断、生産設備の被災、交通遮断による製品輸送停止、原材料の仕入れ先又は製品の販売先等の被災・操業停止、経済活動の停滞、電力不足に伴う工場稼働への制約等、不測の事態が発生することが考えられます。

 当社グループ又は当社グループのサプライチェーンにおいて、これらの不測の事態の発生により、長期にわたる生産の中断があった場合は、売上高の減少等により、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新型コロナウイルス感染症再拡大

 新型コロナウイルス感染症について、社会活動の制限は緩和されておりますが、変異株等により新型コロナウイルス感染症が再拡大した場合、経営成績、財政状態及び将来の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の再拡大に備え、従業員の安全と健康を最優先に対策を整備しており、適切な管理体制を構築しております。

 

⑨ 訴訟等

 当社グループでは、コンプライアンスの重要性を認識し、法令及び社会規範の遵守の徹底を図っております。当連結会計年度末において、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されていませんが、国内及び海外事業においては常に訴訟の対象となるリスクが存在しているものと考えております。将来、重要な訴訟が提起された場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、コンプライアンスは事業活動の大前提であると認識し、リスク管理や従業員啓発の研修等を通じて、従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性の低減に努めております。

 

⑩ 知的財産権

 当社グループは、知的財産の重要性を認識し、事業活動に有用な知的財産権の取得に努めておりますが、当社の技術を十分に保護できなかった場合や、当社権利が違法に侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、他者の知的財産権に対して細心の注意を払っておりますが、万一、他者の知的財産権を侵害したと認定され損害賠償の責任を負う場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 製造物責任

 当社グループは、国際的な品質マネジメントシステム(ISO9001)に従って、各々の製品の特性に応じて最適な品質・性能の確保に万全を期しておりますが、予期せぬ事象により大規模な製品事故が発生する可能性があります。万一の場合に備えて賠償責任保険を付保しておりますが、そのカバーを超えて費用が発生するリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 環境規制・気候変動対応

 主に製造業を営む当社グループは、生産効率向上による環境負荷の低減と省資源・省エネルギーに取組んでおります。しかしながら、環境関連規制は年々強化・見直しされる方向にあり、規制の内容によっては製造、保管、処分等に関連する費用が発生し、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、気候変動に係るリスクとして、炭素税の導入、エネルギーコストの増加、自然災害の激甚化による設備への損害等を認識し、機会としては、脱炭素化設備やゼロカーボンスチールの需要増加、EV関連需要の拡大化等を認識しておりますが、今後も温暖化施策の変化などに適時に対応してリスクの軽減を図ってまいります。

 

⑬ システムリスク

 当社グループは、基幹システムを導入して業務運営を行っておりますが、サイバー攻撃やコンピューターウイルスの感染・攻撃、天災、その他の不測の事態が発生し、システムの復旧等に時間を要した場合、当社グループの経営成績、財政状態及び将来の業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化など、不測の事態による業務停止からの早期復旧に関して継続的に対策を講じております。また、サイバー攻撃やコンピューターウイルスへの防御や検知といったシステム的な対策により、ネットワークやシステムセキュリティの強化に努めております。

 

⑭ 人材確保

 当社グループが更なる成長へ向け企業基盤を確立するためには、優秀な人材の確保が不可欠であります。しかしながら、生産年齢人口が大きく減少していく中で、必要な人材を確保できない場合には、当社グループの事業展開、業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、人材が全ての事業活動の礎であるとの考えのもと、多様な人材が集まり、一人ひとりが能力を最大限発揮して当社グループとともに成長して活躍できるように、職場環境の整備、多様な人材の確保、人材育成、キャリア開発などに積極的に取組んでおります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍での移動制限が多くの国で緩和され、経済活動の再開が進みました。しかしながら、資源や原材料の価格高騰の長期化、インフレの抑制に向けた世界的な金融引き締め、中国での新型コロナ感染症再拡大による経済活動停滞の影響などにより、景気減速感が強まりました。

当社グループの事業では、電子・機能製品がコロナ特需の収束に伴う、液晶パネル向けやパソコン、サーバー、通信機器などの電子部品向け製品の出荷減少により減販となりました。また、フィルム・シート製品は欧米でのインフレに伴う自動車販売台数の減少により、自動車向け製品の出荷が減少したものの、東南アジアではコロナ禍からの回復に伴い、二輪車向けの出荷が好調に推移し、増販となりました。

このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は44,008百万円と前連結会計年度比2,995百万円(6.4%)の減収、営業利益は、電子部品向け高付加価値品の出荷減少による影響が大きく1,261百万円と前連結会計年度比1,931百万円(60.5%)の減益、経常利益は、1,902百万円と前連結会計年度比2,152百万円(53.1%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上などにより、332百万円と前連結会計年度比1,597百万円(82.8%)の減益となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(電子・機能製品)

当該事業の主な取扱製品は、ファインケミカル製品や医薬品原薬、医農薬中間体などの機能化学品、粘・接着剤などの機能樹脂、半導体用金型クリーニング材やセラミック基板などの電子素材であります。

機能化学品は、半導体向け製品の出荷が堅調に推移したものの、新型コロナPCR検査薬向け製品の出荷減少などにより医薬品原薬の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。機能樹脂は、液晶パネル関連の市況回復の遅れにより光学関連分野向け粘・接着剤の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。電子素材は、コロナ特需の収束に伴うパソコンやサーバー、通信機器などの電子部品向け高付加価値品の出荷減少に加え、世界的なインフレによる景気低迷により汎用セラミック基板の出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。

以上により、当セグメントの売上高は18,128百万円と前連結会計年度比2,344百万円(11.5%)の減収、セグメント利益は1,458百万円と前連結会計年度比1,401百万円(49.0%)の減益となりました。

 

(フィルム・シート製品)

当該事業の主な取扱製品は、フィルム、ステッカー、再帰反射シートなどであります。

フィルムは、自動車向けや看板向けなどの国内需要の回復が遅れ、前連結会計年度比減収減益となりました。ステッカーは、コロナ禍からの回復に伴い、東南アジアでの二輪車向けの出荷が増加し、前連結会計年度比増収増益となりました。再帰反射シートは、欧米でのインフレに伴う自動車販売台数の減少によりナンバープレート向けの出荷が減少し、前連結会計年度比減収減益となりました。

以上により、当セグメントの売上高は16,603百万円と前連結会計年度比430百万円(2.7%)の増収、セグメント利益は143百万円と前連結会計年度比142百万円(49.8%)の減益となりました。

 

(建材関連)

当該事業の主な取扱製品は、住設用押出成形品や住宅用アルミ建材、高強度・高機能手摺などであります。

コロナ禍の影響で遅れていたマンション建設工事が進展したことでビル用アルミ建材の売上が増加し、当セグメントの売上高は7,589百万円と前連結会計年度比82百万円(1.1%)の増収となりました。セグメント利益はアルミ地金価格高騰の影響もあり、258百万円と前連結会計年度比20百万円(7.4%)の減益となりました。

 

(エンジニアリング)

当該事業の主な内容は、鉄鋼・化学・電力・環境分野の産業プラントの設計・施工・設備やカーボンニュートラルトランジション設備などであります。

グループ会社向け大型設備工事案件の完工により売上が増加し、当セグメントの売上高は5,084百万円と前連結会計年度比827百万円(19.4%)の増収となりました。セグメント利益は受注構成の変化などにより、52百万円と前連結会計年度比29百万円(36.1%)の減益となりました。

 

 また、当連結会計年度末における財政状態は次のとおりであります。

 

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比2,708百万円減少し、61,838百万円となりました。

このうち、流動資産は、棚卸資産の増加はあったものの、現金及び預金、売上債権の減少などにより、前連結会計年度末比2,942百万円減少し、33,645百万円となりました。固定資産は、減損損失の計上や投資有価証券の売却などにより減少したものの、設備投資による有形固定資産の取得などにより、前連結会計年度末比234百万円増加し、28,192百万円となりました。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比3,744百万円減少し、28,751百万円となりました。

このうち、流動負債は、仕入債務の減少、短期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比1,721百万円減少し、16,869百万円となりました。固定負債は、長期借入金の返済などにより、前連結会計年度末比2,023百万円減少し、11,882百万円となりました。

なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は、前連結会計年度末比2,575百万円減少し、11,861百万円となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比1,036百万円増加し、33,086百万円となりました。

このうち、株主資本は、前連結会計年度末比243百万円増加し、23,789百万円となりました。その他の包括利益累計額は、円安に伴う為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末比669百万円増加し、7,441百万円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の47.0%から3.5ポイント上昇し、50.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益の減少などにより、前連結会計年度比691百万円収入が減少し、3,606百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の売却による収入の増加などにより、前連結会計年度比212百万円支出が減少し、2,147百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

借入金の返済による支出が減少したことなどにより、前連結会計年度比994百万円支出が減少し、3,215百万円の支出(前期は4,210百万円の支出)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末比1,016百万円減少して9,821百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

17,281

△14.0

フィルム・シート製品

14,746

△0.8

建材関連

2,792

△1.5

エンジニアリング

合計

34,820

△7.9

(注) 生産金額は、平均販売価格により算出したものであります。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

5,712

△19.7

551

△21.6

フィルム・シート製品

建材関連

エンジニアリング

2,579

△53.9

1,100

△69.8

合計

8,292

△34.7

1,651

△62.0

(注) 一部の子会社を除き、受注生産は行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

電子・機能製品

18,128

△11.5

フィルム・シート製品

16,603

2.7

建材関連

7,589

1.1

エンジニアリング

5,084

19.4

調整額

△3,396

合計

44,008

△6.4

(注) 調整額の内容については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(営業利益)

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(経常利益)

 当連結会計年度は為替差益が減少したことなどにより、経常利益は、1,902百万円と前連結会計年度比2,152百万円(53.1%)の減益となり、経常利益率は4.3%と前連結会計年度(8.6%)から下落しました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 減損損失の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、332百万円と前連結会計年度比1,597百万円(82.8%)の減益となりました。

 

b.財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

c.経営方針、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、設備の更新や合理化などを目的とした設備投資であり、その資金については、自己資金及び金融機関からの借入れにより調達しております。

また、資金運用の柔軟性を保つため、一定の手元資金を確保するとともに、メインバンクとコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達を実現しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動につきましては、素材部門から高付加価値部門への展開を図るなかで、コア事業及びコア技術に重点を置くという当社の基本方針を踏まえ、グループ各社とも研究開発のテーマを厳選し、早期に事業化を図るべく注力しております。

 特に新規商品開発に関しましては、当社のコア技術である合成技術、フィルム・シート技術と樹脂重合技術、セラミックスの焼成技術を融和させてエレクトロニクス関連、モビリティ関連、セーフティ関連の製品開発に積極的な活動を行っております。

 

 セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 なお、新製品・新事業の創出を加速させるため、2022年4月1日付で、研究開発センターの組織体制を製品別チーム編成から開発ステップ別のチーム編成に変更しております。

 

(電子・機能製品)

機能化学品については、医薬・農薬品や電子材料分野向けにシアナミド誘導体、アセチレン誘導体の開発、また、脱金属化技術によりメタルフリーな高純度化製品の開発にも取組んでおります。

 機能樹脂製品では、光学・電子材料分野向けを中心とした粘・接着剤製品の開発、また、医療・化粧品及び環境対応樹脂の開発にも注力しております。

 電子素材製品ではチップ抵抗用基板をはじめ薄膜抵抗基板用途向けに高性能セラミック基板の開発、また、半導体用金型クリーニング材の環境対応型製品の開発に取組んでおります。

 研究開発費の総額は772百万円であります。

 

(フィルム・シート製品)

 マーキングフィルムやステッカー製品では、自動二輪車や自動車向けを中心とした機能性フィルムや加飾成形フィルム及びレーザー光により機能が発現される特殊識別ラベル等の新製品開発に取組んでおります。

 再帰反射シートについては、車両ナンバープレート、道路標識、グラフィック市場向けで高品質、機能付与による使用範囲の拡大等を重点とした研究開発を行っております。

 研究開発費の総額は797百万円であります。

 

(建材関連)

 住宅用建材では、豊富なデザインやカラーを取り揃えた簡易取付工法の手摺、ビル・マンション用建材では高強度で高意匠の手摺や外装ルーバーの開発に取組んでおります。また、室内用建材では環境や機能性を重視した商品開発に取組んでおります。

 研究開発費の総額は170百万円であります。

 

(エンジニアリング)

 産業プラント分野では、特殊バルブの内製化技術の開発や石炭ガス化複合発電における高圧下での安定的な微粉炭吹込技術の開発及び製鉄業界や電力業界向けカーボンニュートラルトランジション設備の開発に取組んでおります。

 研究開発費の総額は12百万円であります。

 

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,106百万円であり、これには上記の各セグメントに含まれない空中ディスプレイ用リフレクターなどの新製品開発のほか、改良研究や技術サービスなど新規事業開発に係る研究費353百万円が含まれております。